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*未来神話ジャーヴァス 【みらいしんわじゃーう゛ぁす】 |ジャンル|RPG|&amazon(B000068I2V)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2Mbit+64kRAMROMカートリッジ|~| |発売元|タイトー|~| |発売日|1987年6月30日|~| |分類|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|広大なマップに放り出されるプレイヤー&br()全体的にショボイ作業ゲー&br()理不尽なアイテム探し&br()まともな攻撃手段が無い&br()ハンバーガーも無い|~| **概要 ファミコンRPG初のバッテリーバックアップ搭載((他ジャンルまで含めるなら『森田将棋』、他機種を含めるならMSX2版『ハイドライドII』や『ザナドゥ』はこれよりも先に発売されている。))ソフト。パッケージでも2Mのバッテリーバックアップを前面に押し出している。~ 更に、響きの良さそうなタイトルと世紀末感のあるイラスト、目を惹くようなアイディアを盛り込んだシステムと期待がもてそうだが、メーカーはあの『[[たけしの挑戦状]]』を作ったタイトー。~ ゲーム中のフォントが『たけ挑』と同じところから地雷臭が漂うが…。~ **ストーリー >新地球誕生にまつわる神話のうち、もっとも有名なものの一つに~ 「ジャーヴァスの神話」がある。~ この神話の真相をキミだけにお話ししよう。 > >昔地球には高度な機械文明があった。その中心都市には、ニューヨークや~ 東京などがあり、交通手段も発達していた。しかし、人口の増加から地球は~ 手狭になり、人々は新しい居住世界をもとめ、高速宇宙船に乗り込み~ 未知の空間に飛び出していったのである。~ その中には宇宙探査船ジャーヴァス号の姿もあった。 > >このジャーヴァス号が数々の苦難を乗り越え、やっとの思いで地球に~ 戻ったとき、乗組員は1人だけになっていた。~ 彼はなつかしい地球を視界に捕らえると光速通信装置のスイッチをいれた。~ 「ケネディ宇宙空港、ケネディ宇宙空港、応答せよ。~ こちら、探査船ジャーヴァス号。応答せよ・・応答せよ・・」~ しかし応答はなかった。~ 彼は探査船をアメリカ大陸(らしきところ)に不時着させ、母なる大地を踏みしめた~ だが何かがおかしい。かっての文明の形跡はどこにもないのだ。~ 住人も違っている。&bold(){ハンバーガーも無い。}~ そして、あの巨大都市ニューヨークもない!~ 一体地球はどうなってしまったのだ。~ やがて彼は旅立った、昔の地球を探すため。大変化の原因をさぐるため。~ そして、自分の生きる道を見いだすために。~ 彼のその後の行動そのものが「ジャーヴァスの神話」と呼ばれている。~ そして、その神話を作るのはキミ。ジャーヴァス号のパイロットこそ、~ キミにほかならないのだ。 -「神話の真相を君にだけ教えよう」と言っておきながら、いつの間にかジャーヴァスのパイロットにされているプレイヤー。一体、誰に聞かせようとしているのか。 -実際の目的は''「世界に君臨する7人の暴君を討ち滅ぼして、新地球の新たな王様になることです」''。 --……正しい事なのかは置いといて、「大変化の原因」や「自分の生きる道」は''完全放置である。'' **問題点 RPGとはいっても、プレイ時間の大半がクリアに不可欠なアイテムの探索と仲間集め、そして金稼ぎという作業ゲー。 ~ ゲームを始めると何の説明もなくフィールドに放り出される。ここまでなら当時のソフトとしてはありがちだが… -移動速度が遅い。 --主人公はとにかく歩く速度が遅くのらりくらりと歩く。それに対して敵、味方になるキャラ、街の人すべてが主人公より早く動き回る 。 ~ 4方向にしか動けない主人公に対して8方向に縦横無尽に動くキャラ。''この世界で一番動きが鈍いのが主人公である。'' --また、画面スクロールが主人公中心に動かず画面の端から外に向かって移動することで徐々にスクロールしていく方式のため余計に歩く速度が遅く感じられてしまう。 --敵・味方・町人は特定の場所を通過すると出現する仕様のため、街中などで情報を集めようとすれば何度も歩き回って ~ 画面を少しずつスクロールさせ、出てきたキャラに''画面外へ逃げられて消える''前に話しかけなければならない。 ~ -マップは新地球の王になるという目的のためか地球の広さを表すように無駄に広い。2メガというだけはある。 --一見、怪しげに見えて何もない場所がほとんどだが、この広い世界のどこかにゲームクリアに必要なアイテムがいくつか落ちており、 ~ ほとんどノーヒントで「たんさく」を使用し見つけ出さなくてはならない。 --足の遅さ、画面スクロールのもったり感から余計に広く感じるため歩いているだけで疲れる。 -マップの広さに反して移動手段や通行手段はことごとく不親切。 --離島へ渡るには船を使うことが多いが船小屋に入った時点で強制的にそこへ連行される。 ~ どこへ行くかは教えてくれるがそれは船小屋に入った後であり事前にどこへ行くかを判断する術はない。 --ゲームの中盤以降に特定のキャラと会話することにより切り株ワープ、骨ワープ、石ワープ、木ワープの4種類のワープを身につけられ ~ 特定の場所のワープに対応するオブジェクトに触れることで遠く離れた土地へ移動できるのだが''当然のように目印も無ければ行き先もわからない。'' ~ 必須ルート上にあるワープは小さい島にしかないが、移動を楽にするためのワープは広い世界で延々とオブジェクトを触り、行き先も自分で把握しなければならない。 ---ワープ習得前に到達すると脱出手段がないために詰む島があったりする。 --入るとスタート地点に戻されてしまう「初心の館」と呼ばれる建物がある。もちろん普通の建物とは見分けがつかない。~ 同じようにどこへ飛ばされるかわからない「惑いの宿」もある。タチが悪いのは結構な街でこの2つが紛れているため街中でも油断できない。 ---惑いの宿で飛ばされる場所にはある程度法則性があるため、入る前にセーブを使ってやり直せば ~ どちらも移動を楽にする手段として使えないこともない。だが中の覆面魔道士の胡散臭さから罠としか思えない。 --街にはまれに店主の後ろに扉があり、(一部は条件付きで)そこから先へ進める建物があるが''建物の裏に出ると戻れなくなる。'' ~ この世界の人間はどんな生活をしているのか? 先へ進めず、帰る道もなければそこで詰む。 --移動手段に共通することは''すべて一方通行''であり、到着した場所の周りには何もないことがほとんど。 ~ 先へ進むにも元の場所へ戻るにもまた別のルートを探さなければならない。 --これら移動手段による詰み防止のためか、IIコンで「上上下下ABAB」と入力すると、どこにいようがスタート地点に一瞬で帰ることができる。 ~ 一応、裏技扱いにはなっているが街の情報屋から聞くことができる。 -謎解きが難しすぎる。 --素早く動き回るキャラにやっとのことで話しかけても下らない話や断片的過ぎるヒントが多い。 ~ やっとの思いで捕まえたと思ったら''「いい てんきですね」''。脱力モノである。 --具体的なヒントがないこともないがそれにはまた別の問題があり、特にアイテムを見つけるには怪しいと思った場所を''1マスずつ探索しなければならない。'' ~ 更に先へ進むと''特定のアイテムを使わないと取れない。'' 広大すぎるマップでこれは骨が折れる。 ~ 道端にハッキリとわかるグラフィックで落ちているものはすべて換金用アイテムである。 --ひどいヒントの例として''「さばくに いちばん ちかい かいがんから きたへ8びょう」'' ~ 歩数ではなく秒数と来た。探索するにもまず「砂漠に一番近い海岸」が間違っていれば見つかるはずもない。 --後半になると敵がいないのに突然ダメージを受ける。これは敵が透明になっており「スコープ」を入手して使わなければ表示されない。 --最終ボスは最高レベルと最強装備でもまず勝てないほど強いのだが「クリスタル」を使うと一発で倒せる。 ~ ヒントと思しきものはあるのだがそれが''「くりすたるは きょうてきを はいじょする」'' &color(red){''わかるか''} -ストレスのたまる戦闘システム。このゲームはAボタンで武器を振り、飛び道具を買うことでBボタンで間接攻撃もできるのだが… --''武器のリーチが短すぎる。''リーチは主人公を三頭身とすると一頭身ぐらいしかない。また、''どんな武器を買ってもリーチは同じ。'' ~ 主人公の図体がやたら大きいため当たり判定も大きく、攻撃を当てると一瞬敵がひるんで点滅する間に連打して敵を倒さなくてはならない。 --通常攻撃は上下左右4方向にしかできないが、敵は自由に動き回り斜めから体当たりしてくるのはザラ。 --飛び道具を買うことでBボタンで間接攻撃もできるのだがこれがコマンド表示との切り替え制。 ~ スコープを使わなければ敵が見えない後半の城など画面が切り替わる度にステータス画面を出してBボタン設定をする必要がある。 --また、飛び道具は''画面に一発ずつしか撃てない。''一度撃ったら敵か障害物に当たらなければ連打しても投げた音が響くだけ。 ~ この仕様は敵も同様だが8方向に動き回り2、3体で湧いてくるので敵だけはそこまでデメリットになっていない。 --このゲームではフィールド画面は上からの見下ろし型2Dだが、ギルドの試合や暴君の城に攻め込んだ時はなぜか横向きアクションに変わる。 ~ 上を押すとジャンプでき、このスピードだけは速いのだが敵を無駄に出現させてしまったり、そもそもジャンプしても敵も飛び道具も回避できないため ~ 使ってくる相手がほぼまったくいない地を這う飛び道具を回避するためにしか役に立たない。 --装備品が役に立たない。一部の敵に対しては高価な防具を買ったところで、触れると即死なので意味が無い。 ---しかもその敵がゲームの進行上、倒さなくてはならないものである。倒し方さえ分かれば、あまり強くは無いが… --他に重要なものとして''武器や防具を買ってもステータスの攻撃・防御が変動しない'' ~ ステータスで表示される攻撃と防御はギルドとレベルを計算した素の状態であり、''武器防具の性能は加算されないのでまったくわからない。'' ~ 終盤の値段が高い防具は敵に触れた時のダメージがかなり減り、効果がわかるレベルではある。 --魔術師の魔法は経験値を消費して使う。MP(マジックパワー)に該当するものがないので仕方ないとはいえ効果と消費量が釣り合っていない。 --減ったHPを回復するには薬を買って使うか、魔術師の魔法を使うしかない。''宿屋などと気の利いたものはこの世界には存在しない。'' ---薬は1つで50回復で1個65G。まとめ買いするとわずかにお得だがこのゲームの金銭事情では序盤は厳しい。魔法は一度で全快するが経験値を500消費する。 -金を集める手段が乏しすぎる。このゲームは敵を倒しても直接金は貰えず仕事屋から請け負うことで報酬として受け取るのだが…。 --仕事屋の場所と換金アイテムの場所をまったく考慮していない。 ---ゲーム開始後、依頼で「どくろばな」を選んでしまうと詰む。手に入れるために関所を抜ける必要があるのだが ~ 往復で200Gかかり、依頼の報酬が200Gなので意味が無い。ゲーム開始時は80Gしか持ってないためどうにもならない。仕事のキャンセルは不可である。 --2つ3つ先の大陸に落ちているアイテムが平然と依頼リストにある。仮に取ってこられたとしても仕事屋がある大陸を基準にされるため報酬は安い。 ---そのくせ後半高値で換金できるアイテムは中盤の大陸にあったりする。ただし''謎解きを込みで。'' --他の仕事には敵を決まった数だけ倒してくればいいという経験値稼ぎも兼ねて一石二鳥の仕事があるが… ---50体倒して250Gしか渡さないというふざけた内容。先の大陸には100体倒せば1000Gと言ってくる仕事屋があるが達成すると900Gにまけろと減らされる。 ---後半の武器防具は1万G以上するためこれだけで稼ごうと思えば本当に作業ゲーである。 --実際には終盤はワープを駆使して5000Gで引き取ってもらうアイテムをループするほうが早い。 -面倒なだけの戦力システム。~ 新地球の王になるためにギルドの戦闘で名声を上げ、フィールドを歩く味方キャラを引き入れ軍を作り、それぞれの大陸を支配する城へ攻め込むのだが… --ギルドで戦う敵が強すぎる。触れてしまうと即死するので接近戦しかできない序盤でどうやって倒せばいいのか? ---''敵の飛び道具をわざと食らい点滅した無敵状態の時にすれ違い様に切りつける''、という驚きの方法。 ~ 序盤の経験値・装備からいってまともに戦って連打しても勝てないため、本当にこれが攻略法のようである。 --城へ攻め込むにはただ適当に味方を集めればいいわけではなく、特定の兵士ごとに決まった数以上が必要。~ その上、強い兵士ほど高い名声が必要になるため何度もギルド戦闘をしなくてはならない。 ~ 最終的に名声は100以上も必要になりギルド戦は1回50Gかかるので… --重要な仕様として''加入したギルドを途中で変更すると名声は0になる。'' 名声は本人ではなくギルドにあるというのか。 ---ギルドには剣術士、格闘士、魔術師の3つがありそれぞれ特徴が異なるのだがこのせいで名声が上がってくると気軽に変更できない。 --仲間にできる数はフィールド上の1人につき25人。上級兵士はそれぞれ上限が255人のためうまく捕まえられればすぐだが ~ 下級兵士はそれぞれ1000人以上も仲間にできるので仲間に引き入れるために延々同じ場所を歩き回る作業。 --各地域を繋ぐ関所を通るにはギルドで100Gで売っている消耗品の手形が必要なのだがここで更に仲間にした下級兵士まで''それぞれ1/8ほど徴収される。'' ~ まったくアナウンスがないためいつの間に減ったかわからないことが多い。尚、医師団が仲間にいれば徴収を防げるが仲間にできるのはゲーム後半。 --城に攻め込みボスを倒すと必ず「ぶかを はんぶん のこし…」というメッセージが出る。フィールドに戻って確認すると''自軍の全兵士が半分になっている。'' ---このため城をクリアするほど部下の数は減り、終盤の城ほど多数の種類の兵士が数多く必要になるためワープを駆使してかき集めなければならない。 -どこでもセーブできるがこれのせいで詰みやすい。~ RPG初のバッテリーバックアップ搭載を謳っているだけあってステータス画面で「おわる」を選べばどこででもセーブできる。のだが… --初心の館や惑いの宿はこのシステムを逆手にとって設置されたと邪推できなくもない。これらで即セーブする癖をつけてしまうと厄介なことになる。 ~ 脱出方法のわからない島でセーブしてしまってもフィールド上ではあれば最悪、帰還コマンドが使えるので安心、と思いきや… --洞窟や城など横向きアクションに変わった面でもセーブできる。洞窟はほぼすべて通路などで引き返すこともできるが ~ 城は一度攻め込んだら''クリアしないと脱出できない''。 また、横画面では''スタート地点への帰還コマンドも使用不可''。~ 死んだらセーブしたところからやり直すしかなく、セーブはいつでもできるため、クリアできない状態に陥ってセーブしてしまうと完全に詰む。 -BGMは驚きのタイトル、フィールド、横アクション時のたった3曲。 --特にフィールド曲は延々同じものを聞かされ続ける羽目になる。曲自体はそれなりに良いのだが荒廃した地球のイメージとはかけ離れている。 -エンディングはやる気のないグラフィックとエピローグが書かれた一画面のみ。 ~ その後、やはりやる気のないスタッフロールが流れる。尚、''エンディング曲はタイトルと同じ。'' **総評 文明が失われ荒廃した地球という設定や、名声を上げて軍を編成し城を落とすなどというアイディア自体はよかったと思うのだがそれを練り込む時間がなかったようだ。 ~ RPG初のバッテリーバックアップ搭載を売りに販売するつもりで開発を焦ったのだろうか?しかしこのゲームが発売されたのは''『たけ挑』の翌年''である。 ~ 伝説のクソゲーながらアクションとして今でも遊ぶことのできる『たけ挑』に比べ、『ジャーヴァス』はとにかく不親切な部分が目立ちネタとして楽しめる要素もほぼないタイプのクソゲーであることは否めない。ネットでの攻略情報が充実した現在ならクリアできなくもないが、プレイ時間の大半が金・経験値・仲間稼ぎの作業になるためネタとしてもオススメできない。クリアしたならそれ自体はネタにできるのだが。~ **余談 -初期のバッテリーバックアップ搭載ゲームということもあって、このゲームのカートリッジは分解することなく電池(CR2032)を交換できるようになっていた。~ もっとも電源を落とした状態で交換すればデータは消えるだろうから、それが実際に役に立ったという話はあまり聞かない。~ 結局のところ開発者が想定した以上に電池の持ちがよかったことや、「ターボファイル」などの外部バックアップ装置((といっても対応ソフトも少なく、あまり普及はしなかった))の登場もあり、この仕様はすぐに廃れてしまったようだ~ (ほんの数ヶ月後に発売される『[[ミネルバトンサーガ>ミネルバトンサーガ ラゴンの復活]]』で既に電池は基板直付けになっている)。 --更に余談だが現在では不揮発性のフラッシュメモリが普及したことで、バッテリーバックアップという保存方式そのものが過去のものとなっている。 -発売当時は徳間書店の『ファミリーコンピュータマガジン』の読者投稿で、~ ''「たった100円で買った。でも全然面白くないので分解してバッテリーバックアップの構造を調べるのに役立った」''などというネタもあったほどである。
*未来神話ジャーヴァス 【みらいしんわじゃーう゛ぁす】 |ジャンル|RPG|&amazon(B000068I2V)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2Mbit+64kRAMカートリッジ|~| |発売元|タイトー|~| |開発元|ノバ|~| |発売日|1987年6月30日|~| |価格|5,500円|~| |判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~| |ポイント|広大なマップに放り出されるプレイヤー&br()広大さに反して全体的にショボイ作業ゲー&br()全宇宙で一番ノロマな主人公&br()理不尽なアイテム探し&br()まともな攻撃手段が無い&br()セーブ機能がまさかの地雷に|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 「ファミコンのRPGとしては」初のバッテリーバックアップ搭載((他ジャンルまで含めるなら『森田将棋』、他機種を含めるならMSX2版『ハイドライドII』や『ザナドゥ』はこれよりも先に発売されている。))ソフト。パッケージでも2メガのバッテリーバックアップを前面に押し出している。~ 更に、響きの良さそうなタイトルと世紀末感のあるイラスト、目を惹くようなアイディアを盛り込んだシステムと期待がもてそうだが…。~ **ストーリー >新地球誕生にまつわる神話のうち、最も有名なものの1つに「ジャーヴァスの神話」がある。~ この神話の真相を、キミだけにお話ししよう。 > >昔、地球には高度な機械文明があった。その中心都市には、ニューヨークや東京などがあり、交通手段も発達していた。~ しかし、人口の増加から地球は手狭になり、人々は新しい居住世界をもとめ、高速宇宙船に乗り込み、未知の空間に飛び出していったのである。~ その中には宇宙探査船ジャーヴァス号の姿もあった。 > >このジャーヴァス号が数々の苦難を乗り越え、やっとの思いで地球に戻ったとき、乗組員は1人だけになっていた。~ 彼はなつかしい地球を視界にとらえると光速通信装置のスイッチを入れた。~ 「ケネディ宇宙空港、ケネディ宇宙空港、応答せよ。こちら、探査船ジャーヴァス号。応答せよ…応答せよ…」~ しかし、応答はなかった。 > 彼は、探査船をアメリカ大陸(らしきところ)に不時着させ、母なる大地を踏みしめた。~ だが、何かがおかしい。かって((原文ママ))の文明の形跡はどこにもないのだ。住人も違っている。~ &bold(){ハンバーガーもない。}そして、あの巨大都市ニューヨークもない!~ 一体地球はどうなってしまったのだ。~ やがて彼は旅立った、昔の地球を探すため、大変化の原因をさぐるため。そして、自分の生きる道を見いだすために。 > 彼のその後の行動そのものが、「ジャーヴァスの神話」と呼ばれている。~ そして、その神話を作るのはキミ。ジャーヴァス号のパイロットこそ、キミにほかならないのだ。 > >(説明書より) //実際の説明書に基づく表記に修正。 //-「神話の真相を君にだけ教えよう」と言っておきながら、いつの間にかジャーヴァスのパイロットにされているプレイヤー。一体、誰に聞かせようとしているのか。 //読者に神話として伝えながら、最後に「その神話を作るのはプレイヤーは君だ」っていうドがつくテンプレストーリーだよ。TVゲームに限らず良くある手法 **システム -基礎システムは育成要素のあるアクションRPG --町の外は『ゼルダの伝説』のようなタイプで、雑魚モンスターがうろついている。 ---Aボタンで武器を振り、飛び道具を買うことでBボタンで間接攻撃もできるようになる。 --ギルドの試合や城攻めの際には横スクロールアクションになる。 -金は依頼の達成で入手する。 --町では「マップ上の特定の場所に落ちているアイテムを持ってくる」「特定の敵を一定数倒す」といった依頼を受けることができ、これを達成し報告する事で金を入手できる。 --ただモンスターを撃破するだけでは金は入手できず、経験値のみの入手となる。 -ギルドに所属する事で各職業に就くことができる。 --「けんじゅつし」は全ての武具を装備できる。 --「かくとうし」は他に比べ体力が高い。 --「まじゅつし」は唯一魔法が使える職業。 ---本作にはMPにあたるステータスがない事もあり、魔法を使う際には経験値を消費する。 -城攻めのための仲間集め --フィールドマップにはモンスター以外にも「アマゾネス」や「グルカ兵」等の仲間にする事ができるユニットも歩いており、名声値が条件に達していれば彼らに対して「なかま」コマンドを使用する事で仲間にすることができる。 ---仲間とは言っても実際の戦闘では使用できないので、「所属の兵力」といった扱い。城攻めには各兵力が一定数必要。つまり侵攻用の鍵扱い。 -各種移動手段 --町にある「船小屋」から各地の島へ移動可能。 --「初心の館」ではゲーム開始地点へ戻される。 --「惑いの宿」ではいくつかのポイントのうちランダムで選ばれた先へと飛ばされる。 --物語が進むと、マップ上のオブジェクトに触れる事でワープが可能になる。 -付属の地図の通り、陸地の地形はおおむね現在の地球に沿っている。 --例えば城のある地域で言えば、北米→ユース、南米→ラタニア、アフリカ→リカントス、西欧→エウロン、ロシア→キネラシア、オーストラリア→オシーランド、南極→タクティカ、といった具合。 --もちろん激変している部分もある。日本も存続している陸地はホッカ島(北海道)のみ。 ---- **問題点 ***非常に淡々とした作業ゲー -金稼ぎが非常に面倒 --「装備や回復アイテムの購入」「関所を越えるための手形の購入」「名声獲得のためのギルド戦への挑戦料」と結構な金が必要なゲームなのだが、それに対して入手量が非常に少ない。 ---ゲーム開始時点で受けられる依頼で一度アイテムを持って来る毎に得られる報酬が200Gだが、それに対して唯一の回復手段と言っていい薬は1つで体力50回復で65Gと下手にダメージを受けるとそれだけで資金繰りが厳しい。他にも手形は使い捨てで一つ100G。((ゲーム内では、通貨の『単位』が存在しない。「手形は1枚100じゃ」とか「報酬で金800をあげよう」とか言っている。)) --依頼自体にも難があり、2つ3つ先の大陸に落ちているアイテムが平然と依頼リストにある。仮に取ってこられたとしても仕事屋がある大陸を基準にされるため報酬は安い。 ---最悪なのが最初に受けられる依頼2つのうちの1つ「どくろばな」である。ゲームをある程度進めた後でようやく可能なワープ先にあるため、この依頼を受けた時点で達成不可能であり、詰んでしまう。 ---経験値稼ぎにもなる雑魚モンスターの討伐依頼も50体倒して250Gと資金面では役に立たない。先の大陸には100体倒せば1000Gと言ってくる仕事屋があるが達成すると900Gにまけろと減らされる始末。 --こんな資金繰りでありながら後半の武器防具は1万G以上する。 ---最終的にはワープを駆使して5000Gで引き取ってもらうアイテムを収集する方法もあるが、ゲーム全体においては常に入手量に対して消費量がきつい資金不足が続く。 -名声稼ぎも非常に手間 --ギルドの試合の挑戦料は50Gとそれだけなら普通かと思いきや、勝っても名声が1しか上がらず、負けると名声は下がる。その上で最終的には名声が100以上必要。 --加えてギルドで戦う敵が強すぎる。 ---''触れてしまうだけで即死''するのでわざと飛び道具を食らって無敵時間に攻撃するという事を繰り返すしかない。~ かなりレベルを上げた上で先の町で飛び道具を使えるようにすればそれだけで倒すことも可能になるが、そこまでするのもかなりの作業が必要である。 --また、''加入したギルドを途中で変更すると名声は0になる。''  ---このため名声が上がってくると気軽に職業の変更もできない。 -戦力集めも面倒 --仲間にできる数はフィールド上の1人につき25人。 ---上級兵士はそれぞれ上限が255人のためうまく捕まえられればすぐだが、下級兵士はそれぞれ1000人以上も仲間にできるので仲間に引き入れるために延々同じ場所を歩き回る作業が必要になる。((下級兵士の上限はそれぞれ65535人。ワープによるバグで、いきなり万単位の兵士が増えることもある。)) --関所の通過の際にはアナウンスもなしに下級兵士が1/8ほど減らされる。 ---医師団が仲間にいれば徴収を防げるが、上級兵士であるため仲間にできるのはゲーム後半。 --城に攻め込みボスを倒すと''占領のために自軍の全兵士を半分残す事になる。'' ---このため城をクリアするほど部下の数は減り、終盤の城ほど多数の種類の兵士が数多く必要になるためワープを駆使してかき集めなければならない。 -マップは新地球の王になるという目的のためか地球の広さを表すように無駄に広い。2メガというだけはある。 --一見、怪しげに見えて何もない場所がほとんどだが、この広い世界のどこかにゲームクリアに必要なアイテムがいくつか落ちており、 ほとんどノーヒントで「たんさく」を使用し見つけ出さなくてはならない。 --画面スクロールのもったり感から余計に広く感じるため歩いているだけで疲れる。 -マップの広さに反して移動手段や通行手段はことごとく不親切。 --移動の際には''事前の確認が一切不可能''。 ---「船小屋」「初心の館」「惑いの宿」は入ったら話しかけて移動するしかない。町の建物に看板等はなく、どこが何の店かも不明なので、入ってしまったら移動するしかない。「船小屋」は行き先を教えてくれるが、教えてくれるだけで拒否権等はないし、「初心の館」や「惑いの宿」は町中のトラップでしかない。 --ゲームの中盤以降に出来るようになる各種ワープは''当然のように目印も無ければ行き先もわからない。'' ---必須ルート上にあるワープは小さい島にしかないが、移動を楽にするためのワープは広い世界で延々とオブジェクトを触り、行き先も自分で把握しなければならない。 ---ワープ習得前に到達すると脱出手段がないために詰む島があったりする。 --これら移動手段は共通して''すべて一方通行''であり、到着した場所の周りには何もないことがほとんど。 ---先へ進むにも元の場所へ戻るにもまた別のルートを探さなければならない。 --街にはまれに店主の後ろに扉があり、(一部は条件付きで)そこから先へ進める建物があるが''建物の裏に出ると戻れなくなる。''先へ進めず、帰る道もなければそこで詰む。 --これら移動手段による詰み防止のためか、IIコンで「上上下下ABAB」と入力すると、どこにいようがスタート地点に一瞬で帰ることができる。 ---一応、裏技扱いにはなっているが街の情報屋から聞くことができる。 -探索も面倒 --フィールドに落ちているアイテムは換金アイテム以外には目印もなく、ヒントを元に一歩一歩探索コマンドを行って地道に探すしかない。 --ヒントの中には「さばくに いちばん ちかい かいがんから きたへ''8びょう''」なんてものもある。 ---「砂漠に一番近い海岸」も分かりにくいし、北へまっすぐ歩いていくと確実にいやらしい形で敵が出現して襲ってくるので8秒きっかりを数えるのはかなり難しい。重要アイテムなのでわざと難しくしてあるのだとは思うが、まともに入手させる気がないとしか思えない。 ***アクションゲームとしての問題 -移動速度が遅い。 --歩く速度自体はアクションゲームとしては普通のレベルだが、敵、味方になるキャラ、街の人すべてが主人公より早く動き回る 。 ---しかも4方向にしか動けない主人公に対してそれ以外のキャラは8方向に縦横無尽に動く。 ---敵・味方・町人は特定の場所を通過すると画面端から出現する仕様のため、フィールドや街中で情報を集めようとしても、出てきたと思っても''画面外へ逃げられて消える''ということが多発する。(画面外に出たキャラクターは消失するので追いかける事は出来ず、また特定の場所を通過する所からやり直す必要がある)~ やっとの思いで捕まえたと思ったら「いい てんきですね」等、不要なものも多い。 --また、画面スクロールが主人公中心に動かず画面の端から外に向かって移動することで徐々にスクロールしていく方式のため余計に歩く速度が遅く感じられてしまう。 -ストレスのたまる戦闘システム。 --''武器のリーチが短すぎる上に、武器を変えてもリーチは変わらない。''リーチは主人公を三頭身とすると一頭身ぐらいしかない。 ---主人公の図体がやたら大きいため食らい判定も大きく、基本的な戦い方は攻撃を当てたら一瞬敵がひるんで点滅する間に連打して敵を倒すことである。 --主人公の攻撃は上下左右4方向にしかできないが、敵は自由に動き回り斜めから体当たりしてくるのはザラ。 --飛び道具の使用とアイテム使用は共通でBボタンを使うため、コマンド画面を開いて切り替える必要がある。 ---スコープを使わなければ敵が見えない後半の城などは、画面が切り替わる度にアイテムを使用しなければならず、更に飛び道具を使うなら毎回コマンド画面でBボタン設定をする必要がある。 --また、飛び道具は''画面に一発ずつしか撃てない。'' ---通常攻撃のように、つい連打したくなるが画面上に飛び道具があると発射音だけが響くのでシュールである。 ---この仕様は敵も同様だが8方向に動き回り2、3体で湧いてくるので敵はそこまでデメリットになっていない。 -横スクロールアクション画面のジャンプにあまり意味がない。 --アクション画面に''「穴があるので飛び越える」「段差があるので乗り越える」などのシーンが存在しない''ため、基本的にジャンプする意味がない。 --ジャンプすると敵を無駄に出現させてしまったり、高さが足りないため敵を飛び越えられない、敵の飛び道具もまず回避できない(ほぼ落下中の足に当たる)。 ---ジャンプが有効に働くのは、''全編において1、2回しか出てこない敵の「地を這う飛び道具」を回避する時だけ''と言っていい。 --飛び道具のスピードやジャンプの高さが調整されていればよかったのだろうが、見せかけだけのアクション要素になっている。 ***その他の問題点 -詰んだ状態でセーブできてしまう --ゲーム開始時の状態で最初の町で「どくろばな」の依頼を受けるとほぼ詰み。 ---入手できる場所が100Gで買う手形を使って通る関所の先だが、ゲーム開始時は80Gしか持っていないため購入できない。しかも、仕事のキャンセルや同時受注は不可能。 ---手形を持っていない時に特定ポイントを調べると手形を1枚入手できる救済措置があるため厳密には詰みではないが、救済措置があることも調べるべきポイントもノーヒントであるため、現実的な手段とは言い難い。 --横スクロールアクション画面は装備やレベルによっては実質クリア不可能。しかも帰還コマンドも使用できないので、弱い状態でセーブしてしまうと実質詰み。 --厳密には詰みではないが、最後の手段である帰還コマンドの存在に気づかないとどうしようもない状況も存在する。 ---ワープ以外の移動手段が用意されていない島もあり、ワープ条件を満たしていないと帰還コマンドでの脱出以外はどうしようもない。 -武器や防具を買ってもステータスの攻撃・防御の表示が変動しない。 --装備を変えればしっかりダメージが増減するので意味はあるのだが、誤解を招きやすい。 -BGMはタイトル、フィールド、横アクション時のたった''3曲。'' --特にフィールド曲は延々同じものを聞かされ続ける羽目になる。曲自体はそれなりに良いのだが荒廃した地球のイメージとはかけ離れている。 -少々適当なストーリー --ゲーム自体の目的は''「世界に君臨する7人の暴君を討ち滅ぼして、新地球の新たな王様になることです」''と説明書にあるが、ストーリー概要で語られた「地球の大変化の原因を探る」というテーマは最後まで完全放置されている。 -エンディングはやる気のないグラフィックとエピローグが書かれた一画面のみ。 --その後、やはりやる気のないスタッフロールが流れる。尚、''エンディング曲はタイトルと同じ。'' **評価点 -''「ファミコンRPGとしては」初のバッテリーバックアップ搭載ソフト''であること。 --パスワードをいちいち書き写す手間や、パスワードを書き写し間違えてやり直すといった問題が起こらなくなった。 --いち早く他のソフトよりも先駆けていただけに、逆にこれによって詰みやすくなってしまっているという問題が新たに発生してしまっている点が惜しいのだが。 -文明崩壊後の地球を探索するというストーリーのアイデアは悪くない。 -「大目的のみ提示して過程はプレイヤーに委ねるデザイン」「フリーローミング制の広大な世界」「繰り返し受注できるクエスト」「プレイヤージョブの切り替え」等、数十年後にはビデオゲームに一般的なものとなる要素を多く含んでおり、先取性がある。 --肝心のゲーム部分があまりにお粗末だったことでクソゲー史上に名を残す一本となったが、後世から見るとき、こうした先進的なアイデアや仕様は評価し得るだろう。リアルタイムで遊んだプレイヤーにはお気の毒と言うほかないが。 ---- **総評 とにかく広大なフィールドに、文明が失われ荒廃した地球という設定や、名声を上げて軍を編成し城を落とすなどというアイディア自体は、現在オープンワールドのゲームの人気が高まっているのを見るに悪いものではなかったと言える。~ しかし残念な事に開発にはそれを練り込む時間と技術がなかったようだ。~ ---- **余談 -初期のバッテリーバックアップ搭載ゲームということもあって、このゲームのカートリッジは分解することなく電池(CR2032)を交換できるようになっていた。 --もっとも電源を落とした状態で交換すればデータは消えるだろうから、それが実際に役に立ったという話はあまり聞かない。 --結局のところ開発者が想定した以上に電池の持ちがよかったことや、「ターボファイル」などの外部バックアップ装置((といっても対応ソフトも少なく、あまり普及はしなかった))の登場もあり、この仕様はすぐに廃れてしまったようだ(ほんの数ヶ月後に発売される『[[ミネルバトンサーガ>ミネルバトンサーガ ラゴンの復活]]』で既に電池は基板直付けになっている)。 ---更に余談だが現在では不揮発性のフラッシュメモリが普及したことで、バッテリーバックアップという保存方式そのものが過去のものとなっている。 -発売当時は徳間書店の『ファミリーコンピュータマガジン』の読者投稿で、''「たった100円で買った。でも全然面白くないので分解してバッテリーバックアップの構造を調べるのに役立った」''などというネタもあったほどである。 -ゲームブックが2種類発売されている。ストーリーはどちらもゲーム本編の後日談。 --双葉社版は「世界を救うためジャーヴァス号の部品を集めて復元させる」というもの。''ゲーム本編よりよっぽどストーリーにジャーヴァス号が関わっている''。 --勁文社版は「突如エウロンを襲った反乱軍の謎を探る」というもの。こちらは公式設定かどうかは不明だが、「地球の大変化の原因」や七人の王の正体が判明する。~ なお、こちらでは主人公の名前がジャーヴァスとなっている。コミックなので項目数は少ない。

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