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ドラえもんカート2
【どらえもんかーとつー】
ジャンル
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レース
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対応機種
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ゲームボーイ&ゲームボーイカラー共通
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発売元
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エポック社
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開発元
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エム・ティー・オー 夏システム
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発売日
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1999年3月12日
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定価
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3,980円
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プレイ人数
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1人(対戦時2人)
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セーブデータ
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1個(バッテリーバックアップ)
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周辺機器
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通信ケーブル、スーパーゲームボーイ対応
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判定
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クソゲー
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ポイント
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初代と別ベクトルのバランス崩壊 爽快さのないイライラレース もはや苦痛レベルのやりこみ要素 世界観やストーリーは良好 まさかのスネ夫優遇ゲー ジャイアン「スネ夫~!お前の責任だぞ!」
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ドラえもんシリーズ
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概要
『ドラえもんカート』の続編。今回はゲームボーイカラーにも対応し、フルカラーでのプレイが可能となった。
今回はレースの世界に散らばってしまったひみつ道具を回収するため、ドラえもんとのび太に加えいつもの5人で世界を冒険する。
ストーリー
前作に引き続きレースをすることに夢中ののび太。もっとレースをしたいと言い、レースがいっぱいできる星を探すようドラえもんに頼む。
ドラえもんは渋々宇宙救命ボートを出し、のび太達5人はレースの星へ。
出迎えてくれた王様と早速レースをすることになるが、王様のあまりの速さにのび太は仰天。こっそりひみつ道具を使いズルをして勝ってしまう。
しかし王様はこれに気づき怒り、ドラえもんのひみつ道具を取り上げ星中にばらまいた上でのび太達を追い出してしまった。
のび太達5人は行く先々でひみつ道具を回収しつつ王様にもう一度会いに行く。
特徴
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前作と同じく「シナリオモード」「VSモード」「タイムアタック」の3つのゲームが遊べる。
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シナリオモードは前作から大きく変化し、マップを自在に行き来し現れた相手とレースして勝てば次のマップに進める、といった具合になった。
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戦う相手は猿や河童など動物の他、雲の妖精もいたりと個性豊か。そして中には何らかのひみつ道具を拾って持っているものもおり、レースに勝つとひみつ道具を返してくれる。
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この仕様上、本作のレースは全て1vs1のタイマンとなる。
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特定のひみつ道具を手に入れることで新たなマップに行けるようになり(たとえばジャック豆で雲の上など)、広大なマップを少しずつ進みながら王様の城を目指す。
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今回はレース毎に操作キャラクターを選ぶ仕様になり、いつでも好きなキャラでレースできるようになった。
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レース中は前作同様アイテムポイントを通るとひみつ道具を使用できるようになる。ここで入手できるひみつ道具は3種類だがいずれも各レースに固有のものであり、レースに勝利すると一定確率でそのひみつ道具を入手できる。
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また、自分でもひみつ道具を最大3つまで持ち込むことができ、それらもルーレット候補に追加される(3つ持ち込んだ場合は計6つの道具から選ばれることになる)。
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VSモードは通信ケーブルで対戦が出来る。CPUとの対戦は不可。
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タイムアタックは好きなキャラで好きなコースのタイムアタックが出来る。選べるコースはシナリオモードで出現したコースのみ。
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ひみつ道具の数は120個以上と多種多様。手に入れたひみつ道具は図鑑で説明文やイラストとともにみることができる。
問題点
前作より悪化したゲームバランス
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今作ではなんと路肩を踏むと大幅に減速し、かつ一定以上スピードを出しつつハンドルを切り続けるとスピンするようになった。アクセルべた踏みでカーブを曲がろうものならほぼ確実にスピンする。
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おそらく前作がアクセルべた踏みでも難なく攻略でき、レースゲームの意味を成していなかったことからの反省なのだろうが、今度は極端すぎである。
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では定期的にブレーキを使えば…と言いたいところだがブレーキも今ひとつ実感できないレベルの低性能で、そもそも相当速度を落とさないと曲がれない急カーブが多発するコースだとスピードそのものを出せない。スピードを出さなければスピンすることもないのだが、今度はレースゲームとしての爽快感に欠けてしまう。
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したがって、本作で速く走るためには「適度なエンジンブレーキとブレーキで減速しつつ、いかなるカーブがあっても常にコースの中央を走り、どうしても曲がれない時は定期的にハンドルを戻しアクセルを離しスピンしないよう気を使いながら路肩を使って曲がる」プレイングが要求される。もはやこれはレースではなくイライラ棒の類である。
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どうやらエリア(あるいはエリアごとに乗り換えているカート)毎にオフロード値が設定されているらしく、滑りやすいコースと滑りにくいコースが存在する。そしてあろうことか一番滑りやすいのは序盤の森エリアである。次の海エリアに進むとかなり強引なカーブを行ってもあまりスリップしなくなり拍子抜けした人は多いはず。
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序盤が一番難しいという滅茶苦茶な難易度設定である。
デザインを重視しすぎたコース
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一般的なレースゲームとは違い、本作は「レースの星」というファンタジー要素を出そうとしたのかほとんどのコースが何らかの絵を模したものとなっている。
つまり複雑な絵だとカーブやターンが激しくなりスピード感は消失する。
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コース一覧をみる限り実際に走った難易度は全く関係なく、エリア毎の雰囲気にあった絵を適当な順番で並べているだけのようである。
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最初のコースからして「ひょうたん」である。当然、直線はほとんどない。上記の通りカーブでスピンが多発する。しかも最初のステージであるにもかかわらず滑りやすい。1コース目から本気で殺しに来ている。
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いきなりまともに曲がれない謎のレースに挑まされ、心が折れたプレイヤーも多いのではないだろうか。
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後半につれて複雑なデザインは増える。デザインが複雑になれば当然輪郭やカーブも増え、コースも長くなる。爽快感は消えていく。
キャラクター間の性能格差がひどい
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上記の通り本作はカーブに特に気を使うゲームとなっているため、必然的にコーナリング性能に優れているキャラクターが有利になり、逆にコーナリングが悪いキャラを使用すると極端に難しくなる。
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使用キャラで最もコーナリング性能が良いのはスネ夫。スネ夫でプレイするとスピンすることがほとんどなくなるくらい歴然とした差がある。まさかのスネ夫ゲーである。
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逆にコーナリング性能が悪いのはジャイアン。ちょっとしたカーブですらスピンしてしまうため、もはや使用するのは縛りプレイの領域。
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一応最高速は高めに設定されているが、急カーブばかりでほとんど直線のない本作のコースにおいて彼の最高速が真価を発揮することは無いに等しい。おまけに加速性能も悪く設定されているので、「すぐスピンする上に立ち直りが悪い」ととことんゲームシステムに嫌われた性能となっている。
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のび太は加速重視であり、コーナリング性能こそ並だがカーブやスピンで減速した後の立て直しが早い。スネ夫ほどではないが本作のゲームシステムに向いているキャラといえる。
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しずかはバランス型であり、得意不得意はない。
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ドラえもんは性能が低い代わりに例によってひみつ道具使い放題なので最強キャラ…かと思いきやドラえもんですらある程度スピンする可能性が高く、しかも加速が悪いせいでスピンすると立て直せないなど初心者が真っ先に選んで出鼻をくじかれるケースが多い。
更に後述するひみつ道具のバランスの悪さが災いして、本作でのドラえもんの使い勝手は序盤に限ればはっきり言って悪い。
ひみつ道具のバランスが悪く、特定のひみつ道具で容易にゲームバランスが崩壊する
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今作ではひみつ道具を集めること自体をやりこみ要素としているため、その総数が大幅に増加。似たり寄ったりの効果のものも多いが、強弱がはっきりしているアイテムもある。
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レースで使用できるひみつ道具を3つまでは自分で選べるため、強力なひみつ道具を偏らせることで難易度を一気に低下させることが可能。
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特にスピードアップ系の中でも「グレードアップえき」や「スベールガス」は強力で、コーナリング性能がアップしなおかつスピンしなくなるという破格の効果。最高速でも急カーブを曲がれるようになってしまうため、適当に操作しているだけでライバルを一気に抜いてしまう。そのためスピードアップ系をそろえてひたすら使い続けるだけでほとんどのレースはアクセルべた踏みで勝ててしまう。ジャイアンでさえ。
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同様のアイテムに「さかみちレバー」「デンコーセッカ」が存在し、こちらはコーナリング据え置きで加速と最高速が上がる。さすがにスピンは防げないが、それを加味してもなおライバルを余裕で抜ける速さが手に入る。ジャイアンでさえ。
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しかもあろうことか本作のパワーアップ系アイテムは持続時間が異常に長い。1周40-45秒ほどかかるレースで30秒以上持続する。アイテムはコースに2カ所あるため、パワー系のアイテムを取り漏らさないようにしつつ順次使用すればライバルと半周差をつけてゴールすることも容易である。
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そしてドラえもんはひみつ道具が使い放題であるため、パワーアップが切れる→すぐ次のパワーアップアイテムが補充される→切れる→補充…という永久機関状態に。パワーアップアイテムを手に入れたら最後、ドラえもんはやはりゲームバランスを崩壊させる最強キャラに変貌する。
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一方で、効果が微妙なひみつ道具も多い。
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無敵になれるぼうぎょ系は実感がわかず、ダウン系や設置タイプのこうげき系アイテムはそもそも1vs1で広大なレース場を走っている状況ではあまりにも無力。カーブの終わり際に置けば割と当たってはくれるが速効性はない。
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相手の場所を問わずスピンさせる「わすれろぐさ」や「こけおどしてなげだん」ならある程度の効果は期待できるが、自分が速く走った方が(クリアまでに感じる苦痛時間の軽減的な意味でも)手っ取り早いことに変わりはない。…そもそも本作はレースゲームなのだが。
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前方に発射する「アタールガン」や「くうきほう」はライバルにある程度差をつけられるとそもそもライバルが見えなくなるので当てられるわけがない。前作同様ほぼ死にアイテムである。
ひみつ道具のバランスが悪いにもかかわらず、狙ったひみつ道具を手に入れにくい
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ひみつ道具はそれぞれのコースにおいてライバルが所持しているが、どうすれば特定のアイテムが手に入れられるかは作中で明言されていない。
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「アイテムを使わないでレースに勝つ」「同じコースで連勝する」などヒントは聞けるが、具体的にどのアイテムなのかはわからない。プレイヤーは総当たりすることになる。
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アイテムの総数はこうげき系が最も多い。つまり上記の通り半分以上が役に立たないハズレアイテムである。実質いかにパワー系を引けるかにかかっているため、この仕様は向かい風となってしまっている。
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恐ろしいことにひみつ道具にはダブりが存在するため、プレイヤーによって同じような走りをすると特定のひみつ道具が偏って集まってくる傾向がある。
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ゲーム開始時はひみつ道具がないため、コースの固有アイテムにパワーアップ系アイテムが混じっているかいないかでそのコースの難易度が決まるという意味のわからない仕様に悩まされることになる。
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序盤のドラえもんが全くお勧めできない理由の1つであり、道具がそろわないうちはスネ夫で丁寧に走った方がよほどスムーズに攻略できるだろう。
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パワーアップ系アイテムが1つきたところで…と思うかもしれないが、1つだけ持ち込めば実質1/4でパワーアップアイテムを引ける。十分過ぎるプラス要素である。
相変わらずSEはほとんどない
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かろうじてレース開始時の信号のカウント音は鳴るようになったが、後はアイテム使用中のSEが複数ある程度。抜いた抜かされたで音は鳴らない。
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一応、タイトル画面にあるオプション設定にてレース中のBGMをオフにすると、代わりに走行中のカートのSEが流れるようになる。が、そのSEの質も、後述するBGMをわざわざ切るまでのものとは言えないのが現実。
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前述のひみつ道具もあってかゲーム後半は非常に単調な試合になるため、プレイしていると眠くなること必至である。
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負けた時のSEはあるのに勝った時のSEがない。無音で喜ぶキャラの表情と「YOU WIN」の文字が出てくるためかなりシュール。
BGMはドラえもんらしくない
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ノリノリのBGMが流れるがドラえもんのゲームらしさはあまりない。そしてループが短い上に最後まで2曲だけ(ボスキャラクター用BGMとかラスボス用BGMとかそういったものは一切ない)なので、頭に残りやすいがすぐに慣れて飽きてしまうだろう。
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ちなみに2曲のうちの1つは本作の前年に発売されたGB用ソフト『本格将棋 将棋王』に使われている曲と全く同じものである。
背景は単調、ゲームも単調
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今回はカラーになったことで色鮮やかな風景が見られる…が、さすがに2分以上見続けると飽きてしまう。
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しかもエリア毎にほとんど同じ背景であり、コースに至っては明確な描写すらない。
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そして今作は常に1vs1であり、次々とライバルを抜いていく爽快感はない。
パワー系ひみつ道具を使うとスピンすら気にしなくていいため、一度抜いたら後は一人で黙々とハンドルを切るだけの作業と化す。
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BGMの短いループと鳴らないSEもあって、続けてプレイすると間違いなく眠くなるだろう。
賛否両論点
シナリオが長い
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普通に考えれば評価点だが、要は「クリアまでに苦痛を感じる時間が長い」のである。
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一気にプレイするのはオススメできない。少しずつ休みをとりながらプレイすることを勧める。
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もちろん、シナリオが長いと言うことはじっくり遊べるということであり、遊びごたえは(楽しいかどうかをおいて)十分である。
ラスボスが強い
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なんと場所を問わずスピンさせるひみつ道具を乱用してくる。まともに戦うとしょっちゅうスピンさせられてかなり手強い。
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ゲームバランスが不安定なことに定評のある本作だが、ラスボスの難易度が高いというお約束は一応守っているようだ。
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もちろん、パワー系ひみつ道具を大量に持ち込んだドラえもんを使用すればラスボスにすら半周差をつけて勝てるので安心してほしい。
改善されたちらつき
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前作と違い本作はレース開始後はほとんど画面のちらつきがない。カラーなのも相まって見やすさは明らかに向上している。
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しかしそれは「5人レースだとちらつくので2人レースだけにした」だけである。爽快感の減少につながっているのでこれを是とするか非とするかはプレイヤー次第であろう。
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前作はちらつきこそあったが複数人で抜きつつ抜かれつつのデッドヒートを体験できたため、人によっては前作の方が良かったという声もある。
評価点
ひみつ道具による効果はバリエーション豊か
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単にこうげき系といっても「わすれろぐさ」を使われるとハンドルが切れなくなる(おそらく自分がレースをしていることを忘れてしまうのだろう)、「ころばしや」を使われるとちゃんと転ぶ、「しゅんかんせっちゃくざい」を踏んでしまうと本当にそこでぴたりと止まってしまう、など。
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ひみつ道具を使われた時のバリエーションは前作以上にパワーアップしている。敵に当てた瞬間を眺めていられるかはおいといて。
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なお、前作では「アタールガン」命中時に専用のやられグラフィックがあったが、今作は置きアイテムが命中しても同じやられグラフィックを見ることができるため、色んなキャラのやられグラフィックを見やすくなった。
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前作はのび太達5人のみであったが、本作は星の住人たちもライバルとしてグラフィックが表示されるため、その総数は大幅に増加している。
ひみつ道具を集めるやりこみ要素と図鑑
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本作はなんと129種類+αとドラえもんゲーム全体でみてもかなり多くのひみつ道具が登場する。
1度きりしか使われたことのないマイナーな道具も含まれているため、プレイヤーの知らない道具が手に入る場面も多い。
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そんなひみつ道具は簡単な説明つきでいつでも「ずかんモード」で閲覧できる。
ただし、上記のノーヒントさのおかげでひみつ道具を集めようと思えるかといえばノーであるが…。
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本編クリア後、条件を満たすと3人の隠しキャラを使用できるになる。
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隠しキャラネタバレ
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隠しキャラは前作同様のドラミちゃんに加え、ドラゲーとして珍しく出木杉君、そしてまさかのラーメン大好き小池さんの3人となっている。
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ドラミちゃんはドラえもんのひみつ道具補充能力を持ち基本能力も高いという、ドラえもんの上位互換的存在。
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出木杉君は出木杉君らしく、すべての能力がトップ。
ある意味原作再現。
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カラーにより世界観の演出は良い
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海中、氷河、雲の上など様々な場所でレースをする今作の雰囲気作りに一役買っており、ここはドラえもんらしさがうかがえる。
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また、登場する住人も原作を意識していたりのび太達にどこか似ていたりとドラえもんらしさが出ている。
会話シーンが多彩
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本作は常に5人で移動し、出会った住人と会話したり5人の中で会話しながら話が進んでいくため、シナリオは見ていて楽しい。
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時には励まし合い、時には喧嘩しあい。ジャイアンリサイタルを全力で止めるのび太達や雲の妖精にデレデレするのび太をみてそっぽをむくしずかちゃんなど原作ファンならにやりとしてしまう展開も満載。
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上記の通り特定のひみつ道具がないと進めない謎解き要素もあるため、プレイヤーはドラえもん達の話から次の道を模索する必要がある。
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場所によっては時間をおいてから訪れると別の会話が発生するところもあり、凝っている。
総評
華やかさも無く作業感も強く、とにかくゲーム全編に渡って満遍なくゲームバランスが悪い…これに尽きるだろう。
最初は勝てずに神経を使いまくる事は必至。かと言ってゲームを進めて勝てるようになったら一転して何も考えず大差で勝てるためつまらなくなるゲームへと化す。
しかもシナリオ・コースは無駄に多く、苦痛や退屈を感じる時間までもが非常に長い。原作付きゲームとして本来利点になりうる要素も悉く裏目に出てしまうと言う、本末転倒な結果となってしまった。
結果的にプレイが苦痛になるゲームになってしまい、その度合いも初代『ドラえもんカート』より苦痛を伴う程になってしまった。
故にシナリオや世界観自体はドラえもんらしくて良好であるため、ひとえに「メイン要素であるレースをしていて楽しくない」ことが本作最大の問題点と言って良い。
やりこみ要素も発想は良いが、肝心のプレイヤーへのアシストが皆無であり、むしろこれですら苦痛を感じる要素になってしまった。
果たしてひみつ道具コンプリートまでやりこんだプレイヤーがどれほどいるのか、余計なお世話ながらも気になるところである。
最終更新:2024年06月26日 13:24