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#contents() ---- *Batman: Arkham City 【ばっとまん あーかむしてぃ】 |ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B005FUOTUM)&amazon(B0056XATR0)|CENTER:&amazon(B007SRM5U6)&amazon(B007SRM5MO)| |対応機種|プレイステーション3&br()Xbox 360&br()Winsows XP/Vista/7|~|~| |メディア|【PS3】BD-ROM&br()【360】DVD-ROM 各1枚|~|~| |発売元|ワーナー・ホーム・ビデオ|~|~| |開発元|Rocksteady Studios|~|~| |発売日|2011年11月23日|~|~| |定価|7,980円|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |セーブデータ|4個|~|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~|~| |廉価版|WARNER THE BEST:2012年7月5日/2,980円|~|~| |備考|Game of the Year Editionは日本未発売|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|前作から更に大幅進化したアーカムシリーズ&br()海外評価サイトでは満点連発&br()ストーリーはやや雑になったか|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[バットマンシリーズ]]''| ---- ~ #center(){{ &big(){''アーカム・シティに逃げ道などない…''} }} ~ ---- **ストーリー 精神病院にして堅牢な監獄であったアーカム・アサイラムの所長であるクインシー・シャープ。~ ゴッサム・シティの新たな市長となった彼は、ゴッサムのスラム街をアーカム・シティという巨大な刑務所に生まれ変わらせた。~ そこには、閉鎖されてしまったアーカム・アサイラムに収監されていた犯罪者たちが入れられた。~ しかし、あまりにも広大な街ゆえに犯罪者達には“逃げ出しさえしなければ”という制限付きではあるものの、自由が与えられたのだった。~ そんな状況の中、多くの犯罪者たちがそれぞれの目的のために動き出していく…。 ---- **概要 世界一のキャラゲーとしてギネスに記録されたアクションゲーム『[[Batman: Arkham Asylum]]』の続編。精神病院を舞台にした一本道のアクションゲームだった前作から、本作は広大な街一つを舞台にしたオープンフィールドゲームへと進化し、システムも改良されている。 ---- **特徴 ***戦闘アクション(コンバット) -フリーフロー・コンバットという独自のシステムで、ダイナミックなアクションでコンボを繋げる事が出来る。 --左スティックを近くの敵の方へ傾けながら□(X)ボタンを押すと攻撃、ある程度は自動で敵を捉えてくれる。 ---一見するとよくあるシステムだが、3ヒット目からは捕捉される範囲が大幅に広がり、敵の間を飛び回るように攻撃できる。 --敵が攻撃しようとすると敵の頭上にマークが表示され、喰らうまでに△(Y)ボタンを入力すれば「カウンター」が発生して攻撃を受け止め、自動で反撃することができる。 --他にも敵を怯ませるスタン攻撃や敵を飛び越えるリダイレクトなどがあるが、どれも簡単なボタン入力で行える。 ---また、コンボを繋げていけば「スペシャル・コンボ・ムーブ」という必殺技が使えようになるが、こちらも二つのボタンを同時押しするだけで発動できる。 #region(参考動画) &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=N1epjQ_pJjk) #endregion ***ステルスアクション(プレデター) -敵のアジトには重火器を装備した敵が複数いるため、その場合は『[[メタルギアソリッド]]』のように身を潜めながら一人ずつ倒していく必要がある。 --高所にある足場や床格子の中を移動し、誰にも発見されずに敵に接近できれば「サイレント・テイクダウン」を発動させて一撃で気絶させられる。 --もし敵に存在を気づかれると緊張状態になり、発見されれば銃撃される。命中率が高い上に集中攻撃されるため、大ダメージは必至である。 ---敵を三人以下になるまで追い詰めると恐怖状態になり、発見されても銃撃されるのがワンテンポ遅れたりと楽になってくるが、人質を捕る場合もあるので注意が必要である。 ***ガジェット -本作で主人公の武器となるアイテムの総称である。それぞれ応用力が高く、戦闘・罠・謎解きと多岐に渡る使用法が存在する。 -前作で使用されたガジェットは殆んどが最初から使用可能だが、ほぼ全ての地形を踏破できる「ラインランチャー」は中盤から使用可能となり、前作で強力過ぎた「マルチ・バットラング」と「ウルトラ・バット・クロー」は削除された。 --バットラング((訳者の関係で一部原作邦訳本では「バッタラン」と呼ばれることもある武器。)) ---羽根を広げたコウモリのような形をした手裏剣のようなもので、投げると弧を描きながら飛んでいく。主に敵に当てたり。手の届かない場所にあるスイッチを押したりする。 ---自由に操作できるリモートバットラングは前作からブースト、ブレーキ、クイックターンといった操作が追加され、リチャージが不要になった。前作では空気だったのに対し、本作では道中やリドラーチャレンジの仕掛けを解いたり、ブースト状態で敵に命中させる事で気絶させる事が出来たりと活躍する。 ---本作ではマルチ・バットラングが削除された引き換えに、バットラングの連射速度が向上している。 --爆破ジェル ---ジェル状の爆薬を、スプレーから吹きつける。主に壁を破壊したり、敵の近くで起爆して吹き飛ばせる。前作アップグレードであったモーションセンサー起爆は削除された。 ---前作よりも爆破音が控えめになった。前作では音が大きすぎて敵に気付かれないのが不自然であった程なので、妥当と言えよう。 --スモークペレット ---本作から追加されたガジェットで、白い煙幕を発生させる。姿を隠したり、逆に敵に強引に攻め込んだりできる。 --リモート・エレクトリカル・チャージ ---本作から追加された、電気の塊を射出する銃の様な形状のガジェット。シャッターやエレベーターを作動させたり、敵の銃を暴発にさせたりできる。 -上記のほかにも様々なものが登場し、ゲームを進めるのに役立ってくれる。 --一部にはクイックファイアー・コマンドが存在し、構えることなく瞬時に使用できる他、コンボに組み込むことも可能。 ***捜査モード -前作にも登場した、本シリーズを代表するシステムの一つ。ボタン入力でいつでも自由に発動できる。 --障害物をレントゲンのように透視することが可能で、壁の向こう側の敵の動きや装備の有無、精神状態まで表示される。 ---仕掛けられた罠や装置を発見できたり、特典の場面では指紋や血痕などを調べられるため、使用する機会は多い。 ---前作ではあまりに便利過ぎた為に、常時捜査モードでも全く問題ない程であった。しかし本作ではマップの広域化に伴い、捜査モードの不明瞭な視界では遠景まで見通すことが難しくなった。これにより通常視界も有用となっている。 ***ステージ -本作の舞台であるアーカム・シティは、スラム街を巨大刑務所として隔離したという設定のため、マップが前作の五倍以上広くなっている。 --その為、裁判所や博物館などの廃墟が敵のアジトとして登場し、ダンジョンとして機能している。 -オープンワールドの為、上記の場所以外はシームレスに移動できる。 --主人公のバットマンはマントで滑空できたり、高い場所もワイヤーを発射して数秒で移動できるのでスムーズに移動できる。 --前作の舞台は精神病院であった為、どうしても閉塞感が拭い切れなかった((もっとも、それが逆に「どこから敵が来るか分からない」恐怖を煽っている面もあった。))他、バットマンの特徴である「滑空」という行為がほとんど使用されないつくりとなっていた。本作はそれらの不満点を覆したと言える。 ---- **評価点 ***システム -戦闘システムは前作で完成されたのを更に改良しているため、簡単で爽快感のあるものになっている。 --だが、敵もシールドなどを装備してくるため、ボタン連打だけでは勝てないようになっている。 -ステルスアクションではガジェットによって戦略性が広がり、自分好みの作戦で進められる。 --敵のほうもストーリーが進むと装備が増え、捜査モードを使用不可能にするジャマーや、隠れているプレイヤーを見つけるサーマルビジョンなど駆使して追い詰めてくる。 -マップ上にマーカーを設置できるようになり、目的地上空にバットサインが出るようになったので次の目標が分かりやすくなった。 ***演出 -グラフィックはトップレベルであり、背景のデザインも相まって、荒廃した雰囲気がよく出ている。 -雑魚敵である囚人が仲間と会話していることがよくあり、中身は漫才のようなものからストーリーに関わるものまで様々。 --ストーリーの伏線が飛び足すこともあるため、攻撃を仕掛ける前にこっそり聞いてみるものいいだろう。 -ストーリーは前作から一部繋がっている部分もあるが、未プレイでも十分楽しめる。 -音楽も素晴らしく、ステルスアクションの時はちょっとした仕掛けがあったりと、印象に残りやすい。 -実は最序盤で操作可能になってからペンギンに遭遇するまでの間に複数のヴィランが登場している。 --列に並ぶよう指示された直後、右側を見るとブラックマスクが抵抗している。ちなみに、本作では彼の出番はDLCを除きココのみ。 --列に並んだ直後、指をピストルの形にしてウェインを煽っているのはデッドショット。「お前はリストに載っているぞ」という台詞も含めて、サイドミッションの伏線となっている。 --ジャック・ライダーと共にエレベーターを降りた直後、最初に襲い掛かってくる囚人二人を倒した後にその場を動かず前方右側の建物の屋根を見ると…? ***ボリューム -サイドミッションや隠しアイテムであるリドラートロフィー(総数400個)など、やりこみ要素が盛りだくさんである。 --チャレンジモードである「リドラーの復讐」では、20以上ステージが登場。どれも高難易度である。 -マップが広大になり、開けた場所が多くなったおかげでグライドを思う存分楽しめるようになった。 --瞬時に落下するグライドボムやグライド中でもグラップネルが使えるようになり、さらにグラップネルブーストなどの新アクションで自由自在に街中を飛びまわれるのは非常に爽快感がある。 -DLCを導入することでプレイヤーキャラにキャットウーマンやロビンが追加され、追加ストーリーを遊ぶことが出来る。 --キャットウーマン専用のリドラートロフィーが追加されたり、チャレンジモードでも彼らを使用できる。 --現在は全DLCを収録した『Game of the Year Editio』が出ているので、今からプレイするならこちら。ちなみに海外のみの販売となっているが、字幕・メニューともに日本語に完全対応している。 -リドラーチャレンジを一つクリアすると、コンセプトアートや劇中では語られなかった各キャラクターについて記された解説文が開放される。 ***徹底した原作愛 -そしてなんといっても一番の評価点は、原作に対するスタッフの溢れんばかりの愛である。 --登場キャラクターは人気の者からほぼ無名の者まで多岐に渡り、声優の名演がゲームを盛り上げている。 ---特に本作では前作に登場しなかったキャラクターにスポットが当てられており、人気がありながらも前作未登場であった「ペンギン」や「Mr.フリーズ」をはじめ、様々なキャラがバットマンの前に立ちはだかる。 --悪役だけでなくなく、バットマンのサイドキック(相棒)である「ロビン」や、声のみだが執事の「アルフレッド」も登場する。また、本編には登場しないがDLCで「ナイトウィング((初代ロビンだったヒーロー。本作で登場するロビンは3代目。ちなみに、2代目は次回作『アーカム・ナイト』にて「レッドフード」として登場する。))」がチャレンジモードにて使用可能になる。 ---他にも地名や看板、囚人の会話には、原作に登場した用語がびっしりと並べられている((「雪が止まないな…Mr.フリーズのせいか?」等、原作ファンならばニヤリとすること間違いなし。))。 ---- **問題点 -終盤のストーリーがやや超展開であり、ストーリーに関しては前作より評判が少し悪い。 --伏線などは序盤を皮切りにあちこにに存在しており、破綻はしていない。 --終盤に入るとストーリーが急速に展開してしまう事もあり、本作で初めてバットマンに触れるため各ヴィランの性格やバットマン及び他ヴィラン達の関係をよく知らないプレイヤーには、超展開と感じてしまうかも知れない。 ---中盤でのとあるヴィランの描写が、演出と思わせて実は最終戦の伏線であった等、評判の良い部分もある。 -オートセーブであり、データの複製も不可能なため、好きな場面だけを再度プレイするためにセーブデータを用意することができない。 --オープンワールドの宿命か、それなりの頻度でアプリケーションエラーによる強制終了が起こるのだが、その対策のために一旦保存する…というのが出来ないのは困りもの。 -日本語訳が前作よりはかなり良くなっているが、やはりファンからは違和感のあるものになっている。 -前作で使えた一部のガジェットが削除されているが、中でも数枚のバットラングを同時に投げるマルチバットラングが非常に便利だったため、削除されたのを残念に思う声もある。 -リドラーチャレンジの中には「150メートル以上飛べ(要約)」「50メートルの高さからダイブしろ(要約)」といった具合に距離や高さの指定があるのだが、その距離や高さを知る術がない。 -チャレンジモードのうち、キャンペーンモードはすこぶる不評。 --コンバットマップとプレデターマップのセットである3ステージをクリアし、そのスコアを競うのだが、これらは他のコンバットマップとプレデターマップの組み合わせでしかない。早い話が同じコンバットマップとプレデターマップを使いまわしているので、ただの二度手間で全く楽しくない。 --加えてこのチャレンジモードではバットマンが死亡した場合、リドラー((「謎」に執着するヴィランで、本作ではサイドミッションで戦うこととなる。また、本作のチャレンジモードは「リドラーの復讐」と名打たれている。))がプレイヤーを煽ってくる。 ---一度動画を見て頂けると分かり易いが、リドラーは「奇抜なファッション・長身痩躯で眼鏡を掛けた中年男性」といった風貌で、声質は高い。加えてリドラーは自分の知性に絶対の自信を持っている為、プレイヤーの知性を激しく見下している。この為リドラーに煽られると何ともイライラする。そのくせ、自分が劣勢になると「ズルをした!」とヒステリックな態度を取る。 ---本シリーズではゲームオーバーとなる度に、その原因となったヴィランがプレイヤーを煽ってくるのだが、リドラーの煽りはその中でもトップクラスに腹が立つと言われており、「何故チャレンジモードの煽りがよりによってコイツなんだ」とプレイヤーに恨まれている((トロフィー評価サイトでは「このモードの進行役にリドラーを起用した制作者は、「世界のてっぺん」からワイヤー無しレッジ・テイクダウンを喰らって欲しい」との声も。「世界のてっぺん」とはアーカムシティの最上部、ワンダー・タワー展望台のステージ名。レッジ・テイクダウンとは足場の縁にいる敵を引きずり落とし、ワイヤーで吊るすステルスアクション。))。 -リドラートロフィー集めが冗長に感じる --入手難度がかなり分かれる。適当に置かれてる物からデス&リトライを繰り返しながらかなり苦労して取れるものまで差が激しい。 --しかも数は''400を超える。''場所はリドラーの手下を脅して見つけ無くてならず、一人につき一度に吐く場所は数か所に限られる。これをひたすら繰り返さなくてはならず非常に面倒でダレる。 --トロフィーの中にはキャットウーマンしか取れない物もあるので、バットマンで見つけても一々特定の地点でキャラチェンジしに戻る手間も掛かる。 ---見つけたトロフィーはマップに登録する事が可能なので、場所が分からなくなって再度探す羽目になる…といった事がないのが救い。もちろん、登録し忘れなければの話。 --以降の作品では難易度も数も少なめに抑えられたが、『Arkham Knight』でも200程度と結構多い。 ---- **総評 前作から大幅なパワーアップを遂げ、全世界から絶賛されたキャラゲーの見本のようなタイトル。~ 爽快感のある戦闘や豊富な探索要素、チャレンジなど一ゲームとしてもクオリティが高いので原作ファンでなくても楽しめるゲームである。 ---- **余談 -前作に続き、本作でも次回作への伏線が隠されている。前作であまりに巧妙に隠し過ぎた為、スタッフが明かすまで誰も分からなかったということを受けてか、本作の伏線は「前作よりは」見付け易い。それでも「知っていなければ確実にクリアまで気づかない」というレベルではあるが。 -海外ではDLCを全収録した『Game of the Year Edition』が発売されている。海外版ながら日本語ローカライズされており、流石に日本語が完璧とまでは言えないが、普通にプレイする分には支障が無いレベル。今から本作に触れるのであれば、こちらをお薦めする。 -Win版は前作『Batman: Arkham Asylum』を含めDRMにGames for Windows LIVEを採用していたが、2013年10月のアップデートでSteamworksへの移行が行われ、これ以降にDL販売サイトで購入した場合はSteam版となるため、Steamクライアント及びアカウントが必要となる。尚、過去にSteamで購入している場合はアップデートにより自動適用されるが、他の販売プラットフォームで購入していた場合にはプロダクトキーをSteam上で有効化させる手順を踏む必要がある。 --当初は『Game of the Year Edition』を持ってる人のみが対象とされていたが、後に通常版を持ってる人も「通常版からGame of the Year Editionにアップデートする」形で同様の扱いになった。 ---- **その後の展開 -2015年7月16日にシリーズ完結編『Batman: Arkham Knight』がPS4((海外ではOne版も発売されている。なお、Steamで配信されているWin版は公式には日本語非対応だが、実際には日本語が収録されている。))で発売された。本作の5倍の広さを誇るゴッサムシティの中心部を舞台に、街をジャックしたスケアクロウとバットマンが「最後の戦い」を繰り広げる。 --シリーズで初めてバットマンモービルを自由に乗り回すことが出来、本作完全オリジナルとなる正体不明のヴィラン「アーカムナイト((ただし、原作を知っているファンならデザインで正体の予想がついてしまうのだが…。))」が登場する。日本語においては、シリーズ初の完全日本語吹き替えのフルローカライズとなっている。 ---発売当初は吹き替えのみだったが、後のアップデートで英語音声・日本語字幕にも対応した。 -2020年8月にRocksteady Studiosの新作『Suicide Squad: Kill the Justise League』が発表された。機械生命体「ブレイニアック」に支配されたメトロポリス((バットマンと同じDCコミックのヒーローであるスーパーマンの本拠地。本作の終盤ではとあるヴィランがこのメトロポリスについて言及するシーンがある。))を舞台に、特殊部隊「スーサイド・スクアッド」が暴走したヒーロー達と戦いを繰り広げるTPS視点のアクションアドベンチャーで、最大4人のオンラインCO-OPに対応しているとのこと。対応機種はPS5/XSX/Winで、2022年の発売を予定している。 ---- *Batman: Arkham City Armored Edition 【ばっとまん あーかむしてぃ あーまーどえでぃしょん】 |ジャンル|アクション|#amazon(B009URKXPQ)| |対応機種|Wii U|~| |発売元|ワーナー・ホーム・ビデオ|~| |開発元|WB Games Montreal|~| |発売日|2012年12月8日|~| |定価|パッケージ版:5,800円(税込)&br()ダウンロード版:5,480円|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|マルチ展開とは思えないほどWiiUにマッチした作り込み&br()Wii U GamePadの扱いが斬新過ぎたため賛否は別れた&br()使わないプレイも可能|~| ---- ~ #center(){{ &big(){''逃げ場のないアーカム・シティ''} }} ~ ---- **概要(AE) PS3/360で発売され、世界的に高い評価を得た『Batman: Arkham City』をWiiUに追加要素を加え移植した作品。~ 『Arkham City』はバットマンファンのみならず、ゲーマーからも高い評価を得た作品で、全世界で600万本を出荷した実績を誇る。~ WiiUに移植するにあたって、WiiUのWii U GamePadを生かした新機能や、『Arkham City』のDLCを最初から収録している。~ WiiUのロンチタイトルとして発売された本作は移植作品ではあるが完全版にふさわしい高い完成度を誇る。 ---- **特徴・追加要素 -Wii U GamePadオンリープレイ --WiiUに移植されたにあたってWiiUの特徴である「TVをつけずにパッドオンリーでのプレイ」が本作でも可能になった。 --パッドプレイへの切り替えはオプション画面で即座に可能。またパッドプレイの際は操作が一部変更される。 -バットコンピューター --TV画面でのプレイ時にはWii U GamePadが作中でもバットマンが身に着けている「バットコンピューター」として再現される。これが本作の一番の追加要素でもある。 --パッドに単純にマップが表示されるわけでは無く、下画面にタッチして一瞬でアイテムを切り替えたり、ジャイロセンサーを使ったアイテムとの連動が行われたりする。 ---アイテムがパッドでどのように機能するかというと、例えはバットマンの武器である「バットラング」をジャイロセンサーで操作したり、「爆破ジェル」で爆破する場所をジャイロセンサーを使って操作したり、暗号をタッチして解析したりする。 --またバットマンのキャラの音声がパッドから流れたり、プレイヤーがバットマンと一体になれるような工夫がなされている。 -B.A.T.モード --本作で追加された新要素。バットマン及びキャットウーマンの性能を向上することが出来る。 --具体的にどのようになるかというと攻撃力が上昇するほか、コンボをつなげやすくできる。 -DLC全収録 --『Arkham City』で配信されたDLCは全て本作では最初からすべて収録されている。 ---- **評価点(AE) -本作で追加された評価点のみ述べる。 -快適なWii U GamePadオンリープレイ --パッドオンリープレイが非常に快適。一瞬でTVプレイからの切り替えが可能。さらに画質もWii U GamePadによるプレイのために、TVプレイよりかはいくらか落ちるが十分に綺麗な画質で楽しめる。 --またボリュームの大きい本作をTVで腰をすえないで出来るのは大きい。 -操作性の大幅な向上 --Wii U GamePadにマップを表示したためにマップが見やすくなっている他に、アイテムの切り替えもタッチして一瞬で切り替えられるようになっている。 -バットコンピューターは好評。 --パッドのタッチ機能やジャイロセンサーを利用したアイテムの独自的な使い方が好評。 --またアイテムの切り替えをパッドに集中させたためにプレイヤーがバットコンピューターを利用している気分を味わえる。 -B.A.T.モードによる遊びやすさの向上 --B.A.T.モードの導入により初心者も楽しめるほか、純粋に強化を楽しむことが出来る。 --しかし、一部からは批判もある。後述にて記述。 -全てのDLCを収録 --他機種版のDLCを収録しているためボリュームが向上している。そのため最初から本作をフルに遊べる。 --他のストーリーが楽しめるのは原作ファンからしたら嬉しいところ。 -Miiverseとの連動 --本作の評価点とは言えないかもしれないが他機種版ではなかったWiiUのソーシャル機能である「Miiverse」のバットマンのコミュニティを利用でき、本作の攻略情報を他プレイヤーと共有できる。 --またゲーム内のプレイ画面をMiiverseに投稿できるため、他のプレイヤーとも盛り上がることが出来る。 ---- **賛否両論点(AE) -B.A.T.モード --この要素が好評だった一方、一部からは「緊張感のある戦闘の魅力が削れる」といった批判もある。 -バットコンピューターの一部の使い方 --好評だったバットコンピューターだが一部では使い方や操作に不満を持つ声も。アイテムを使うのにジャイロセンサーでの高度な操作が要求されたりと従来の操作を好むユーザーなどからは不満も出た。 --気付き難いかもしれないが、実はスティック操作も可能なので従来通りのプレイ感覚は損なわれていない。 ---- **問題点(AE) -バグ --ゲームに致命的な影響はないが、一部の敵キャラの動きが止まったりするバグなどが確認されている。 ---開発側も新ハードでの開発ということもあり、完全な移植は出来なかったのかもしれない。 -Wii U GamePad以外のコントローラーは非対応。 --本作はパッドのみしかコントローラーの対応はしていない。そのためWii U GamePad以外のWii U ProコントローラーやWiiリモコンとそれに関連したコントローラーは使用できない。 --もっとも、Wiiリモコン自体は前世代機のWiiでアーカムシリーズの作品が出ていない為、Wiiリモコン非対応は仕方がないとしても『アーカム・シティ』をプレイしたユーザーからは従来の操作に近いProコンでの操作対応もしてほしかったところか。 ---ただし、逆に考えると周辺機器は無しでプレイできるとも言える。そのためロンチソフトとしてはこれで正しい形なのかもしれない。 ---- **総評(AE) 移植元の作品であるアーカム・シティのゲーム性を大きく損なわず、WiiUの特色をうまく生かした作品である。~ 特にバットマンの世界にうまくWii U GamePadを取り込んだのは大きく評価できる。~ 日本ではあまり知名度の高いとは言えないバットマンのゲームではあるが、WiiUを購入しているかつ『Arkham City』を遊んだことのないユーザーがいるのなら購入しても損はない作品ではある。~ ---- **余談(AE) -Miiverseが過疎気味だった。 --確かにMiiverseとの連携は評価できるが、正直他のソフトやアプリのコミュニティと比べると過疎気味なのは少し悲しい。もっともこの背景にはバットマンのゲーム自体が日本では存在が知られておらず、そのためか本作もソフトの売り上げランキングでは集計圏外である。そのため投稿数が少なめなのだろう。 --一応幸いなことに本作の完成度の高さや、低年齢層が集まるようなゲームではないので本作のコミュニティはほとんど荒れておらず、快適なコミュニケーションは可能である。
#contents ---- *Batman: Arkham City 【ばっとまん あーかむしてぃ】 |ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B005FUOTUM)&amazon(B007SRM5U6)|CENTER:&amazon(B0056XATR0)&amazon(B007SRM5MO)| |対応機種|プレイステーション3&br()Xbox 360&br()Winsows XP/Vista/7|~|~| |メディア|【PS3】BD-ROM&br()【360】DVD-ROM 各1枚|~|~| |発売元|ワーナー・ホーム・ビデオ|~|~| |開発元|Rocksteady Studios|~|~| |発売日|2011年11月23日|~|~| |定価|7,980円|~|~| |プレイ人数|1人|~|~| |セーブデータ|4個|~|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~|~| |廉価版|WARNER THE BEST:2012年7月5日/2,980円|~|~| |備考|Game of the Year Editionは日本未発売|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|前作からさらに進化したアーカムシリーズ&br()海外評価サイトでは満点連発&br()ストーリーはやや雑になったか|~|~| |>|>|>|CENTER:''[[バットマンシリーズ]]''| ---- ~ #center(){{ &big(){''アーカム・シティに逃げ道などない…''} }} ~ ---- **ストーリー 精神病院にして堅牢な監獄であったアーカム・アサイラムの所長であるクインシー・シャープ。~ ゴッサム・シティの新たな市長となった彼は、ゴッサムのスラム街をアーカム・シティという巨大な刑務所に生まれ変わらせた。~ そこには、閉鎖されてしまったアーカム・アサイラムに収監されていた犯罪者たちが入れられた。~ しかし、あまりにも広大な街ゆえに犯罪者達には“逃げ出しさえしなければ”という制限付きではあるものの、自由が与えられたのだった。~ そんな状況の中、多くの犯罪者たちがそれぞれの目的のために動き出していく…。 ---- **概要 世界一のキャラゲーとしてギネスに記録されたアクションゲーム『[[バットマン:アーカム・アサイラム>Batman: Arkham Asylum]]』の続編。精神病院を舞台にした一本道のアクションゲームだった前作から、本作は広大な街一つを舞台にしたオープンフィールドゲームへと進化し、システムも改良されている。 ---- **特徴 ***戦闘アクション(コンバット) -フリーフロー・コンバットという独自のシステムで、ダイナミックなアクションでコンボを繋げる事が出来る。 --左スティックを近くの敵の方へ傾けながら□(X)ボタンを押すと攻撃、ある程度は自動で敵を捉えてくれる。 ---一見するとよくあるシステムだが、3ヒット目からは捕捉される範囲が大幅に広がり、敵の間を飛び回るように攻撃できる。 --敵が攻撃しようとすると敵の頭上にマークが表示され、喰らうまでに△(Y)ボタンを入力すれば「カウンター」が発生して攻撃を受け止め、自動で反撃することができる。 --他にも敵を怯ませるスタン攻撃や敵を飛び越えるリダイレクトなどがあるが、どれも簡単なボタン入力で行える。 ---また、コンボを繋げていけば「スペシャル・コンボ・ムーブ」という必殺技が使えようになるが、こちらも2つのボタンを同時押しするだけで発動できる。 #region(参考動画) #video(https://www.youtube.com/watch?v=N1epjQ_pJjk) #endregion ***ステルスアクション(プレデター) -敵のアジトには重火器を装備した敵が複数いるため、その場合は『[[メタルギアソリッド]]』のように身を潜めながら1人ずつ倒していく必要がある。 --高所にある足場や床格子の中を移動し、誰にも発見されずに敵に接近できれば「サイレント・テイクダウン」を発動させて一撃で気絶させられる。 --もし敵に存在を気づかれると緊張状態になり、発見されれば銃撃される。命中率が高い上に集中攻撃されるため、大ダメージは必至である。 ---敵を3人以下になるまで追い詰めると恐怖状態になり、発見されても銃撃されるのがワンテンポ遅れたりと楽になってくるが、人質を捕る場合もあるので注意が必要である。 ***ガジェット -本作で主人公の武器となるアイテムの総称である。それぞれ応用力が高く、戦闘・罠・謎解きと多岐に渡る使用法が存在する。 -前作で使用されたガジェットは殆んどが最初から使用可能だが、ほぼ全ての地形を踏破できる「ラインランチャー」は中盤から使用可能となり、前作で強力過ぎた「マルチ・バットラング」と「ウルトラ・バット・クロー」は削除された。 --バットラング((訳者の関係で一部原作邦訳本では「バッタラン」と呼ばれることもある武器。)) ---羽根を広げたコウモリのような形をした手裏剣のようなもので、投げると弧を描きながら飛んでいく。主に敵に当てたり。手の届かない場所にあるスイッチを押したりする。 ---自由に操作できるリモートバットラングは前作からブースト、ブレーキ、クイックターンといった操作が追加され、リチャージが不要になった。前作では空気だったのに対し、本作では道中やリドラーチャレンジの仕掛けを解いたり、ブースト状態で敵に命中させる事で気絶させる事が出来たりと活躍する。 ---本作ではマルチ・バットラングが削除された引き換えに、バットラングの連射速度が向上している。 --爆破ジェル ---ジェル状の爆薬を、スプレーから吹きつける。主に壁を破壊したり、敵の近くで起爆して吹き飛ばせる。前作アップグレードであったモーションセンサー起爆は削除された。 ---前作よりも爆破音が控えめになった。前作では音が大きすぎて敵に気付かれないのが不自然であった程なので、妥当と言えよう。 --スモークペレット ---本作から追加されたガジェットで、白い煙幕を発生させる。姿を隠したり、逆に敵に強引に攻め込んだりできる。 --リモート・エレクトリカル・チャージ ---本作から追加された、電気の塊を射出する銃の様な形状のガジェット。シャッターやエレベーターを作動させたり、敵の銃を暴発にさせたりできる。 -上記のほかにも様々なものが登場し、ゲームを進めるのに役立ってくれる。 --一部にはクイックファイアー・コマンドが存在し、構えることなく瞬時に使用できる他、コンボに組み込むことも可能。 ***捜査モード -前作にも登場した、本シリーズを代表するシステムの一つ。ボタン入力でいつでも自由に発動できる。 --障害物をレントゲンのように透視することが可能で、壁の向こう側の敵の動きや装備の有無、精神状態まで表示される。 ---仕掛けられた罠や装置を発見できたり、特典の場面では指紋や血痕などを調べられるため、使用する機会は多い。 ---前作ではあまりに便利過ぎたために、常時捜査モードでも全く問題ない程であった。しかし本作ではマップの広域化に伴い、捜査モードの不明瞭な視界では遠景まで見通すことが難しくなった。これにより通常視界も有用となっている。 ***ステージ -本作の舞台であるアーカム・シティは、スラム街を巨大刑務所として隔離したという設定のため、マップが前作の5倍以上広くなっている。 --そのため、裁判所や博物館などの廃墟が敵のアジトとして登場し、ダンジョンとして機能している。 -オープンワールドのため、上記の場所以外はシームレスに移動できる。 --主人公のバットマンはマントで滑空できたり、高い場所もワイヤーを発射して数秒で移動できるのでスムーズに移動できる。 --前作の舞台は精神病院であったため、どうしても閉塞感が拭い切れなかった((もっとも、それが逆に「どこから敵が来るか分からない」恐怖を煽っている面もあった。))他、バットマンの特徴である「滑空」という行為がほとんど使用されないつくりとなっていた。本作はそれらの不満点を覆したと言える。 ---- **評価点 ***システム -戦闘システムは前作で完成されたのを更に改良しているため、簡単で爽快感のあるものになっている。 --だが、敵もシールドなどを装備してくるため、ボタン連打だけでは勝てないようになっている。 -ステルスアクションではガジェットによって戦略性が広がり、自分好みの作戦で進められる。 --敵のほうもストーリーが進むと装備が増え、捜査モードを使用不可能にするジャマーや、隠れているプレイヤーを見つけるサーマルビジョンなど駆使して追い詰めてくる。 -マップ上にマーカーを設置できるようになり、目的地上空にバットサインが出るようになったので次の目標が分かりやすくなった。 ***演出 -グラフィックはトップレベルであり、背景のデザインも相まって、荒廃した雰囲気がよく出ている。 -雑魚敵である囚人が仲間と会話していることがよくあり、中身は漫才のようなものからストーリーに関わるものまで様々。 --ストーリーの伏線が飛び足すこともあるため、攻撃を仕掛ける前にこっそり聞いてみるものいいだろう。 -ストーリーは前作から一部繋がっている部分もあるが、未プレイでも充分に楽しめる。 -音楽も素晴らしく、ステルスアクションの時はちょっとした仕掛けがあったりと、印象に残りやすい。 -実は最序盤で操作可能になってからペンギンに遭遇するまでの間に複数のヴィランが登場している。 --列に並ぶよう指示された直後、右側を見るとブラックマスクが抵抗している。ちなみに、本作では彼の出番はDLCを除きココのみ。 --列に並んだ直後、指をピストルの形にしてウェインを煽っているのはデッドショット。「お前はリストに載っているぞ」という台詞も含めて、サイドミッションの伏線となっている。 --ジャック・ライダーと共にエレベーターを降りた直後、最初に襲い掛かってくる囚人2人を倒した後にその場を動かず前方右側の建物の屋根を見ると…? ***ボリューム -サイドミッションや隠しアイテムであるリドラートロフィー(総数400個)など、やりこみ要素が盛りだくさんである。 --チャレンジモードである「リドラーの復讐」では、20以上ステージが登場。どれも高難易度である。 -マップが広大になり、開けた場所が多くなったおかげでグライドを思う存分楽しめるようになった。 --瞬時に落下するグライドボムやグライド中でもグラップネルが使えるようになり、さらにグラップネルブーストなどの新アクションで自由自在に街中を飛びまわれるのは非常に爽快感がある。 -DLCを導入することでプレイヤーキャラにキャットウーマンやロビンが追加され、追加ストーリーを遊ぶことができる。 --キャットウーマン専用のリドラートロフィーが追加されたり、チャレンジモードでも彼らを使用できる。 --現在は全DLCを収録した『Game of the Year Editio』が出ているので、今からプレイするならこちら。ちなみに海外のみの販売となっているが、字幕・メニューともに日本語に完全対応している。 -リドラーチャレンジを一つクリアすると、コンセプトアートや劇中では語られなかった各キャラクターについて記された解説文が開放される。 ***徹底した原作愛 -そしてなんといっても一番の評価点は、原作に対するスタッフの溢れんばかりの愛である。 --登場キャラクターは人気の者からほぼ無名の者まで多岐に渡り、声優の名演がゲームを盛り上げている。 ---特に本作では前作に登場しなかったキャラクターにスポットが当てられており、人気がありながらも前作未登場であった「ペンギン」や「Mr.フリーズ」をはじめ、様々なキャラがバットマンの前に立ちはだかる。 --悪役だけでなくなく、バットマンのサイドキック(相棒)である「ロビン」や、声のみだが執事の「アルフレッド」も登場する。また、本編には登場しないがDLCで「ナイトウィング((初代ロビンだったヒーロー。本作で登場するロビンは3代目。ちなみに、2代目は次回作『アーカム・ナイト』にて「レッドフード」として登場する。))」がチャレンジモードにて使用可能になる。 ---他にも地名や看板、囚人の会話には、原作に登場した用語がびっしりと並べられている((「雪が止まないな…Mr.フリーズのせいか?」など、原作ファンならばニヤリとすること間違いなし。))。 ---- **問題点 -終盤のストーリーがやや超展開であり、ストーリーに関しては前作より評判が少し悪い。 --伏線などは序盤を皮切りにあちこちに存在しており、破綻はしていない。 --終盤に入るとストーリーが急速に展開してしまう事もあり、本作で初めてバットマンに触れるため各ヴィランの性格やバットマン及び他ヴィラン達の関係をよく知らないプレイヤーには、超展開と感じてしまうかも知れない。 ---中盤でのとあるヴィランの描写が、演出と思わせて実は最終戦の伏線であった等、評判の良い部分もある。 -オートセーブであり、データの複製も不可能なため、好きな場面だけを再度プレイするためにセーブデータを用意することができない。 --オープンワールドの宿命か、それなりの頻度でアプリケーションエラーによる強制終了が起こるのだが、その対策のために一旦保存する…というのができないのは困りもの。 -日本語訳が前作よりはかなり良くなっているが、やはりファンからは違和感のあるものになっている。 -前作で使えた一部のガジェットが削除されているが、中でも数枚のバットラングを同時に投げるマルチバットラングが非常に便利だったため、削除されたのを残念に思う声もある。 -リドラーチャレンジの中には「150メートル以上飛べ(要約)」「50メートルの高さからダイブしろ(要約)」といった具合に距離や高さの指定があるのだが、その距離や高さを知る術がない。 -チャレンジモードのうち、キャンペーンモードはすこぶる不評。 --コンバットマップとプレデターマップのセットである3ステージをクリアし、そのスコアを競うのだが、これらは他のコンバットマップとプレデターマップの組み合わせでしかない。早い話が同じコンバットマップとプレデターマップを使いまわしているので、ただの二度手間で全く楽しくない。 --加えてこのチャレンジモードではバットマンが死亡した場合、リドラー((「謎」に執着するヴィランで、本作ではサイドミッションで戦うこととなる。また、本作のチャレンジモードは「リドラーの復讐」と名打たれている。))がプレイヤーを煽ってくる。 ---一度動画を見て頂けると分かり易いが、リドラーは「奇抜なファッション・長身痩躯で眼鏡を掛けた中年男性」といった風貌で、声質は高い。 ---加えてリドラーは自分の知性に絶対の自信を持っているので、プレイヤーの知性を激しく見下しているため、リドラーに煽られると何ともイライラする。そのくせ、自分が劣勢になると「ズルをした!」とヒステリックな態度を取る。 ---本シリーズではゲームオーバーとなる度に、その原因となったヴィランがプレイヤーを煽ってくるのだが、リドラーの煽りはその中でもトップクラスに腹が立つと言われており、「何故チャレンジモードの煽りがよりによってコイツなんだ」とプレイヤーに恨まれている((トロフィー評価サイトでは「このモードの進行役にリドラーを起用した制作者は、「世界のてっぺん」からワイヤー無しレッジ・テイクダウンを喰らって欲しい」との声も。「世界のてっぺん」とはアーカムシティの最上部、ワンダー・タワー展望台のステージ名。レッジ・テイクダウンとは足場の縁にいる敵を引きずり落とし、ワイヤーで吊るすステルスアクション。))。 -リドラートロフィー集めが冗長に感じる --入手難度がかなり分かれる。適当に置かれている物からデス&リトライを繰り返しながらかなり苦労して取れるものまで差が激しい。 --しかも数は''400を超える。''場所はリドラーの手下を脅して見つけなくてはならず、1人につき一度に吐く場所は数か所に限られる。これをひたすら繰り返さなくてはならず非常に面倒でダレる。 --トロフィーの中にはキャットウーマンしか取れない物もあるので、バットマンで見つけても一々特定の地点でキャラチェンジしに戻る手間も掛かる。 ---見つけたトロフィーはマップに登録することが可能なので、場所が分からなくなって再度探す羽目になる…といったことがないのが救い。もちろん、登録し忘れなければの話。 --以降の作品では難易度も数も少なめに抑えられたが、『アーカム・ナイト』でも200程度と結構多い。 ---- **総評 前作から大幅なパワーアップを遂げ、全世界から絶賛されたキャラゲーの見本のようなタイトル。~ 爽快感のある戦闘や豊富な探索要素、チャレンジなど一ゲームとしてもクオリティが高いので原作ファンでなくても楽しめるゲームである。 ---- **余談 -前作に続き、本作でも次回作への伏線が隠されている。前作であまりに巧妙に隠し過ぎたため、スタッフが明かすまで誰も分からなかったということを受けてか、本作の伏線は「前作よりは」見付け易い。それでも「知っていなければ確実にクリアまで気づかない」というレベルではあるが。 -海外ではDLCを全収録した『Game of the Year Edition』が発売されている。海外版ながら日本語ローカライズされており、流石に日本語が完璧とまでは言えないが、普通にプレイする分には支障が無いレベル。今から本作に触れるのであれば、こちらをお薦めする。 -Win版は前作『アサイラム』を含めDRMにGames for Windows LIVEを採用していたが、2013年10月のアップデートでSteamworksへの移行が行われ、これ以降にDL販売サイトで購入した場合はSteam版となるため、Steamクライアント及びアカウントが必要となる。 --なお、過去にSteamで購入している場合はアップデートにより自動適用されるが、他の販売プラットフォームで購入していた場合にはプロダクトキーをSteam上で有効化させる手順を踏む必要がある。 --当初は『Game of the Year Edition』を持っている人のみが対象とされていたが、後に通常版を持っている人も「通常版からGame of the Year Editionにアップデートする」形で同様の扱いになった。 -本作と同じワーナーから発売されているオープンワールドアクションRPG『シャドウ・オブ・モルドール』とその続編『シャドウ・オブ・ウォー』は、開発元こそ違うが本作のシステムが流用されている。 ---- **その後の展開 -2015年7月16日にシリーズ完結編『バットマン:アーカム・ナイト』がPS4((海外ではOne版も発売されている。なお、Steamで配信されているWin版は公式には日本語非対応だが、実際には日本語が収録されている。))で発売された。本作の5倍の広さを誇るゴッサムシティの中心部を舞台に、街をジャックしたスケアクロウとバットマンが「最後の戦い」を繰り広げる。 --シリーズで初めてバットマンモービルを自由に乗り回すことができ、本作完全オリジナルとなる正体不明のヴィラン「アーカムナイト((ただし、原作を知っているファンならデザインで正体の予想がついてしまうのだが…。))」が登場する。 --日本語においては、シリーズ初の完全日本語吹き替えのフルローカライズとなっている。発売当初は吹き替えのみだったが、後のアップデートで英語音声・日本語字幕にも対応した((アップデートでの追加であるためか、ゲームを完全にインストールした状態でないと英語音声に切り替えることができない。なお、後に発売されたSwitch版はアップデートの内容が収録済みなので、初めから英語音声を選択することが可能。))。 -2024年2月2日にRocksteady Studiosの新作『Suicide Squad: Kill the Justise League』がPS5/XSX/Winで発売された。 --機械生命体「ブレイニアック」に支配されたメトロポリス((バットマンと同じDCコミックのヒーローであるスーパーマンの本拠地。本作の終盤ではとあるヴィランがこのメトロポリスについて言及するシーンがある。加えて、続編の『アーカム・ナイト』ではとあるNPCの敵がアーカムシリーズの世界にもスーパーマンが存在していることを示唆する発言をしている。))を舞台に、特殊部隊「スーサイド・スクワッド」が暴走したヒーロー達と戦いを繰り広げるTPSで、最大4人のオンラインCO-OPに対応している。 --また、同作は『アーカム・ナイト』の5年後を舞台としており、(暴走し敵対した状態ではあるものの)アーカムシリーズのバットマンも登場する。 --さらに、アーカムシリーズでバットマンを演じファンからお馴染みのケビン・コンロイ氏が2022年11月に死去したため、同作に登場するバットマンが氏の演じる「''最後のバットマン''」となる。 ---- *Batman: Arkham City Armored Edition 【ばっとまん あーかむしてぃ あーまーどえでぃしょん】 |ジャンル|アクション|#amazon(B009URKXPQ)| |対応機種|Wii U|~| |発売元|ワーナー・ホーム・ビデオ|~| |開発元|WB Games Montreal|~| |発売日|2012年12月8日|~| |定価|パッケージ版:5,800円(税込)&br()ダウンロード版:5,480円|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|マルチ展開とは思えないほどWiiUにマッチした作り込み&br()Wii U GamePadの扱いが斬新過ぎたため賛否は分かれた&br()使わないプレイも可能|~| ---- ~ #center(){{ &big(){''逃げ場のないアーカム・シティ''} }} ~ ---- **概要(AE) PS3/360で発売され、世界的に高い評価を得た『アーカム・シティ』をWiiUに追加要素を加え移植した作品。~ 『シティ』はバットマンファンのみならず、ゲーマーからも高い評価を得た作品で、全世界で600万本を出荷した実績を誇る。~ WiiUに移植するにあたって、WiiUのWii U GamePadを生かした新機能や、『シティ』のDLCを最初から収録している。~ WiiUのロンチタイトルとして発売された本作は移植作品ではあるが完全版にふさわしい高い完成度を誇る。 ---- **特徴・追加要素 -Wii U GamePadオンリープレイ --WiiUに移植されたにあたってWiiUの特徴である「TVをつけずにパッドオンリーでのプレイ」が本作でも可能になった。 --パッドプレイへの切り替えはオプション画面で即座に可能。またパッドプレイの際は操作が一部変更される。 -バットコンピューター --TV画面でのプレイ時にはWii U GamePadが作中でもバットマンが身に着けている「バットコンピューター」として再現される。これが本作の一番の追加要素でもある。 --パッドに単純にマップが表示されるわけでは無く、下画面にタッチして一瞬でアイテムを切り替えたり、ジャイロセンサーを使ったアイテムとの連動が行われたりする。 ---アイテムがパッドでどのように機能するかというと、例えはバットマンの武器である「バットラング」をジャイロセンサーで操作したり、「爆破ジェル」で爆破する場所をジャイロセンサーを使って操作したり、暗号をタッチして解析したりする。 --またバットマンのキャラの音声がパッドから流れたり、プレイヤーがバットマンと一体になれるような工夫がなされている。 -B.A.T.モード --本作で追加された新要素。バットマン及びキャットウーマンの性能を向上することができる。 --具体的にどのようになるかというと攻撃力が上昇するほか、コンボをつなげやすくできる。 -DLC全収録 --『シティ』で配信されたDLCは全て本作では最初からすべて収録されている。 ---- **評価点(AE) -本作で追加された評価点のみ述べる。 -快適なWii U GamePadオンリープレイ --パッドオンリープレイが非常に快適。一瞬でTVプレイからの切り替えが可能。さらに画質もWii U GamePadによるプレイのために、TVプレイよりかはいくらか落ちるが十分に綺麗な画質で楽しめる。 --またボリュームの大きい本作をTVで腰をすえないで出来るのは大きい。 -操作性の大幅な向上 --Wii U GamePadにマップを表示したためにマップが見やすくなっている他に、アイテムの切り替えもタッチして一瞬で切り替えられるようになっている。 -バットコンピューターは好評。 --パッドのタッチ機能やジャイロセンサーを利用したアイテムの独自的な使い方が好評。 --またアイテムの切り替えをパッドに集中させたためにプレイヤーがバットコンピューターを利用している気分を味わえる。 -B.A.T.モードによる遊びやすさの向上 --B.A.T.モードの導入により初心者も楽しめるほか、純粋に強化を楽しむことが出来る。 --しかし、一部からは批判もある。後述にて記述。 -全てのDLCを収録 --他機種版のDLCを収録しているためボリュームが向上している。そのため最初から本作をフルに遊べる。 --他のストーリーが楽しめるのは原作ファンからしたら嬉しいところ。 -Miiverseとの連動 --本作の評価点とは言えないかもしれないが他機種版ではなかったWiiUのソーシャル機能である「Miiverse」のバットマンのコミュニティを利用でき、本作の攻略情報を他プレイヤーと共有できる。 --またゲーム内のプレイ画面をMiiverseに投稿できるため、他のプレイヤーとも盛り上がることが出来る。 ---- **賛否両論点(AE) -B.A.T.モード --この要素が好評だった一方、一部からは「緊張感のある戦闘の魅力が削れる」といった批判もある。 -バットコンピューターの一部の使い方 --好評だったバットコンピューターだが一部では使い方や操作に不満を持つ声も。アイテムを使うのにジャイロセンサーでの高度な操作が要求されたりと従来の操作を好むユーザーなどからは不満も出た。 --気付き難いかもしれないが、実はスティック操作も可能なので従来通りのプレイ感覚は損なわれていない。 ---- **問題点(AE) -バグ --ゲームに致命的な影響はないが、一部の敵キャラの動きが止まったりするバグなどが確認されている。 ---開発側も新ハードでの開発ということもあり、完全な移植は出来なかったのかもしれない。 -Wii U GamePad以外のコントローラーは非対応。 --本作はパッドのみしかコントローラーの対応はしていない。そのためWii U GamePad以外のWii U ProコントローラーやWiiリモコンとそれに関連したコントローラーは使用できない。 --もっとも、Wiiリモコン自体は前世代機のWiiでアーカムシリーズの作品が出ていないため、Wiiリモコン非対応は仕方がないとしても『シティ』をプレイしたユーザーからは従来の操作に近いProコンでの操作対応もしてほしかったところか。 ---ただし、逆に考えると周辺機器は無しでプレイできるとも言える。そのためロンチソフトとしてはこれで正しい形なのかもしれない。 ---- **総評(AE) 移植元の作品であるアーカム・シティのゲーム性を大きく損なわず、WiiUの特色をうまく生かした作品である。~ 特にバットマンの世界にうまくWii U GamePadを取り込んだのは大きく評価できる。~ 日本ではあまり知名度の高いとは言えないバットマンのゲームではあるが、WiiUを購入しているかつ『シティ』を遊んだことのないユーザーがいるのなら購入しても損はない作品ではある。~ ---- **余談(AE) -Miiverseが過疎気味だった。 --確かにMiiverseとの連携は評価できるが、正直他のソフトやアプリのコミュニティと比べると過疎気味なのは少し悲しい。 --もっとも、この背景にはバットマンのゲームが日本での認知度が低く、本作もソフトの売り上げランキングでは集計圏外であるという事情がある。投稿数自体が少なめなのだろう。 --一応幸いなことに本作の完成度の高さや、低年齢層が集まるようなゲームではないので本作のコミュニティはほとんど荒れておらず、快適なコミュニケーションは可能である。

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