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//「[[修正依頼]]」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。 //---- *ICO 【いこ】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B00005RIVU)&amazon(B0054I9ZM2)| |対応機種|プレイステーション2&br()プレイステーション3|~| |発売・開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |発売日|【PS2】2001年12月6日&br()【PS3】2011年9月22日|~| |定価|【PS2】6,090円&br()【PS3】3,980円(共に税込)|~| |廉価版|PlayStation2 the Best&br()2002年10月17日/3,150円&br()2004年8月5日/1,800円(共に税込)|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents ---- **概要 『[[ワンダと巨像]]』でもお馴染みのSCE上田チームのデビュー作。~ 発売前から当時のPS2では珍しい強い雰囲気を盛る新規タイトルとしてひっそりと話題になっていたが、年末商戦の最中に発売したことが災いしてか大きな話題・セールスには繋がらなかった。~ しかし、独特の雰囲気や多くを語らない(当時の大作ゲームへの)アンチテーゼ的な姿勢も含めユーザーからの根強い支持を獲得。口コミで評判が広まり最終的には約15万本程度の国内セールスを記録した。また、海外では『ワンダと巨像』と双璧をなす高い評価を受けており、数多くのゲームクリエイターに影響を与えている。 //ゲーム面においては高い評価を受けているが、その一方で「GPL違反」という負の面を抱えていたりもする。これについては余談の項目を参照のこと。 ---- **特徴 -生贄の少年『イコ』と囚われていた少女『ヨルダ』を、謎の閉ざされた古城『霧の城』から脱出させることが目的のアクションアドベンチャーゲーム。 --プレイヤーが操作できるのは身体能力の高いイコ。ヨルダは操作することができないうえに身体能力がかなり低い。ただしイコが『手をつなぐ』『呼ぶ』ことで誘導することができる。 -城の内部では敵が出現し、ヨルダを執拗に狙ってくる。 --敵にヨルダを連れ去られてしまったり、ヨルダとの別行動を長く行い続けてしまうとゲームオーバーとなる。敵はイコが武器をふるうことで撃退できる。 -道中には様々な仕掛けが満載。時々結界のような石像が現れて道を塞いでいるのだが、ここにヨルダを連れてくることで封印が解け先に進めるようになる。 --そのため、「イコが単独行動して道を切り開く→ヨルダの元に戻って誘導する」というのが大まかな流れとなる。前述した通り、ヨルダを長時間放置するとゲームオーバーになるため、限られた時間を有効に使わなくてはならない。 -本作における謎解きはかなり計算されて考えられている。 --とにかくMAPで迷いやすい事が取りざたされる3DAVGだが、本作は基本的に面クリアのアクションゲームのように移動できる場所がその都度限定されている。しかし1つ1つのエリア自体が広いため、「実は一本道である」という印象をプレイヤーは受けにくくなっている。 -謎解きに関しても、一見ノーヒントで放り出されているように見えるが、動ける範囲で試行錯誤していればそのうち謎は解ける作りとなっている。また、稀にヨルダがヒントをくれることもある。 雰囲気 -本作を語るうえで欠かせないのが、ゲーム内部を流れる『雰囲気』である。 --舞台である謎の古城『霧の城』は巨大でありながらも静かな佇まいであり、その雰囲気は圧倒的な『静』。『何もかもが止まった世界』『誰もいない』と不思議な空間を見事に作り上げている。 ---一方でビジュアル面は素晴らしく、ヨルダが囚われていた巨大な鳥かご、緑が多く存在する中庭、地下水路、闘技場など、探索欲をかき立てるものばかり。 ---敵もよくあるモンスターではなく謎の『影』であり、生物的な意匠ではなく暗さと静かさを表現している。 --雰囲気作りは徹底されており、通常時はUIは一切表示されていない。表示されるのは、ゲーム開始時・セーブ時・ゲームオーバー時といったやむをえない状況のみ。 -登場人物も非常に少ない。 --人物として登場するのは、OPを除けば『イコ』『ヨルダ』『城主』のみであり、生きているものは数えるほどしかない。~ また、イコとヨルダは互いの言葉が通じず、言葉を介したコミュニケーションをとることができない。~ そのため『手をつなぐ』などのしぐさで互いの意思を取り合っており、前述した「ヨルダのヒント」は、『怪しい場所を指さす』などの仕草で表現している。 ---会話がほぼ無いためゲーム中に言葉が出ることは少なく、城の中に響く互いを呼び合う声は『静』の空気をさらに強めている。 ---- **評価点 -巨大でありながら静謐に包まれた城を、ほぼ無言で進むイコとヨルダの姿は、寂しさや二人の絆の強さを連想させ、本作独特の雰囲気を作り出している。 --キャッチコピーの''『この手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。』''とパッケージのイメージイラストは、このゲームの雰囲気を見事に伝えている。また、終盤の『正門から脱出』~EDまでの展開は、多くのプレイヤーに何とも言えない『寂しさ』を感じさせた。 -取扱説明書も徹底して雰囲気作りに徹している。 --三人称による「ですます口調」の語り口と手描きの挿絵による絵本調の表現でゲームシステムを伝える構成をとっており、ゲーム画面の写真や事務的な説明などは一切ない。 --ところどころ、スティックや□ボタンなどのゲーム用語が差し挟まれている辺りは説明のためとはいえ少々シュールだが、本作の世界観を大事にするスタッフのこだわりも感じられる。 -雰囲気重視のBGM --PS2初期のゲームであることを鑑みても、BGMは16曲と少ない方だが、少ないながらも的確に本作の世界観を表現した楽曲群はプレイヤーの心に強烈に訴えかけてくる。~ 特に音楽担当・大島ミチル氏の手によるエンディングテーマ『ICO -You were there-』は正に''名曲''であり、演出も秀逸な相まってプレイヤーに涙を流させた。 -本作には一般的なゲームのような「BGMでプレイヤーを盛り上げる」ような演出は皆無であり、足音・キャラクターの息遣い・風切り音・鳥の鳴き声等の環境音的な音使いによって『場の雰囲気』を印象付けている。 ---- **賛否両輪点 -キャラクターが多くの言葉を話さないため、背景にあるストーリーはプレイヤー側で読み取る必要がある。 --ほとんどがプレイヤーの想像力に委ねられているため、少ない情報を想像で補完するのが好きなプレイヤーとそうでないプレイヤーの間でやや評価は分かれる。ゲーム内容やゲームの雰囲気含め、やや人を選ぶ作風であるといえる。 ---- **問題点 -ゲーム自体のプレイ時間が10時間前後と短い。 -カメラが固定のため、一部の場所では操作がしづらいことがある。 --雰囲気重視のためかアクション自体ももったりした操作性であり、アスレチック的な攻略を要求される場所では思わぬミスが発生する事もしばしば。 -ボス戦らしいボス戦はラストバトル以外なく、やや展開の盛り上がりに欠けるかもしれない。 -セーブが一人だとできない。 --セーブはヨルダと二人でするのだが後半ヨルダと離れ離れになるためセーブが出来ない状態が続いてしまう。 -ヨルダを一人にしてると黒い影にさらわれてしまう。 --その為ただでさえ難しアクションに時間制限を加担されることになり、難易度が上がってしまう。 --舞台設定やグラフィック表現が素晴らしいだけに、時間制限ゆえにのんびりと散策できないのも残念な点である。 -説明書内の説明不足。 --絵本調の語り口で書かれているためか、操作方法については極基本的な動作の説明に留まっており、一部のアクションの説明が不足している。 ---- **総評 多くを語らないアンチテーゼ的な姿勢のオリジナルティ溢れるゲーム。~ 「手をつなぐ」というアクションで没入感を増し、他に見ない特殊な設定、独特の雰囲気は多くのファンを生んだ。~ 「無人の古城を2人っきりで探索する」「過度に主張しない雰囲気にあったBGM」など美しい世界観を存分に堪能できるように設計されており評価は高い。雰囲気ゲーとしても最高峰の出来といえる。 ---- **余談 -2011年9月22日に、PS3にてHDリマスター版が発売された。『ワンダと巨像』とセットになったリミテッドボックスも同時発売している。 --解像度1080p・プラチナトロフィー対応・3D立体視対応・LinearPCM7.1chに対応した至れり尽くせりの完全版。~ 『ゴッドオブウォー3』や『リトルビッグプラネット2』と同様にMLAAを採用し、十数年前のゲームながらジャギのない美しいグラフィックを実現している。音響面も大きく改良されており、より『ICO』の世界に没頭する事ができるだろう。 --後のアップデートでPSvitaでのリモートプレイに対応。ラグもなくスムーズに携帯機でプレイできるようになった。 -直木賞作家にしてヘビーゲーマーでもある宮部みゆき女史は本作の大ファンであることを公言しており、後に自身がノベライズを手がけた。 -前述の通り海外での評価が極めて高く、数多くの海外クリエイターが本作へのリスペクトを公言するほか、海外サイトが行う各種「ベストゲームランキング」などでは、日本製ゲームとしては数少ない常連でもある。 -GNU General Public License(GPL)違反 --「GPL」とは、簡単に言えば『自由に利用してもいいが、その派生物を作って配布する場合、それも自由に利用できるようにしなければならない』という約束事があるプログラムの事。 --そのため、GPLを使って作ったプログラムには、他の人がその中身を調べたり改変できるようにするために、実行ファイルのみならず、「製法」や「設計図」にあたる「ソースコード」までも公開する義務が生じる。 --ICOはGPLにライセンスされている「libarc」のライブラリを利用して作られた事がファンによるディスアセンブルで発覚したのだが、ソースコードの公開はしていなかった。そのためGPL違反となっている。 --そしてSCEは2007年12月に「ICOがGPL違反に該当するのか現在確認中」とのコメントを発表したが、その結果報告をする事なく、発売からわずか6年後の2008年2月にICOの生産終了及び廃盤を決定。「ライセンス違反にシカトを決め込む」というゲームメーカーの態度が大問題となった。 --この事件の影響で、現在PS2版を新品で入手するのはほぼ不可能となっている。特にこだわりが無ければ上記のPS3版を推奨する。 ----
*ICO 【いこ】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|CENTER:&amazon(B00005RIVU)&amazon(B0054I9ZM2)| |対応機種|プレイステーション2&br;プレイステーション3|~| |発売元|Sony Computer Entertainment|~| |開発元|【PS2】Sony Computer Entertainment&br;【PS3】Bluepoint Games|~| |発売日|【PS2】2001年12月6日&br;【PS3】2011年9月22日|~| |定価(税込)|【PS2】6,090円&br;【PS3】3,980円|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~| |廉価版(税込)|PlayStation 2 the Best&br;2002年10月17日/3,150円&br;2004年8月5日/1,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''上田文人作品''&br()''ICO'' - [[ワンダと巨像]] - [[人喰いの大鷲トリコ]]| |>|>|CENTER:''[[SIEワールドワイド・スタジオ作品]]''| ---- #contents(fromhere) ---- ~ #center(){{ &big(){''この人の手を離さない。&br;僕の魂ごと離してしまう気がするから。''} }} ~ ---- **概要 『[[ワンダと巨像]]』でもお馴染みのSCE上田チームのデビュー作。~ 発売前から当時のPS2では珍しい強い雰囲気を誇る新規タイトルとしてひっそりと話題になっていたが、年末商戦の最中に発売したことが災いしてか大きな話題・セールスには繋がらなかった。~ しかし、独特の雰囲気や多くを語らない(当時の大作ゲームへの)アンチテーゼ的な姿勢も含めユーザーからの根強い支持を獲得。口コミで評判が広まり最終的には約15万本の国内セールスを記録した。また、海外では『ワンダと巨像』と双璧をなす高い評価を受けており、数多くのゲームクリエイターに影響を与えている。 ---- **ゲーム内容 -生贄の少年「イコ((正確には"ICO"は作品名であり少年は名無し。だが名無しでは不便なためかファンの間ではすっかりイコ呼びで定着している。また海外版では「主人公に名前がないなんてありえない」と言われたとのことで正式に名前がicoとなっている。『ICO 公式ガイドブック』より))」と囚われていた少女「ヨルダ」を、謎の閉ざされた古城「霧の城」から脱出させることが目的のアクションアドベンチャーゲーム。 --プレイヤーが操作できるのは身体能力の高いイコ。ヨルダは操作することができないうえに身体能力がかなり低い。ただしイコが「手をつなぐ」「呼ぶ」ことで誘導することができる。 -城の内部では敵が出現し、ヨルダを執拗に狙ってくる。 --敵にヨルダを連れ去られてしまったり、ヨルダとの別行動を長く行い続けてしまうとゲームオーバーとなる。敵はイコが武器をふるうことで撃退できる。 -道中には様々な仕掛けが満載。時々結界のような石像が現れて道を塞いでいるのだが、ここにヨルダを連れてくることで封印が解け先に進めるようになる。 --そのため、「イコが単独行動して道を切り開く→ヨルダの元に戻って誘導する」というのが大まかな流れとなる。前述した通り、ヨルダを長時間放置するとゲームオーバーになるため、限られた時間を有効に使わなくてはならない。 -セーブポイント「椅子」 --マップ内に設置されている「椅子」がセーブポイントとなっており、椅子に腰掛けることでセーブできる。 --ただし、「ヨルダと二人で座る」という条件が付くため、別行動中はセーブできない。 -1周目をクリアすると特典が開放される。 --特典の数はそこまで多くはないが、ヨルダのセリフに字幕が追加されセリフの内容がわかるようになるといったものや、エンディングシーンにちょっとした追加シーンが追加されるなどの要素もある。 ---- **雰囲気 -本作を語るうえで欠かせないのが、ゲーム内部を流れる「雰囲気」である。 --舞台である謎の古城「霧の城」は巨大でありながらも静かな佇まい、その雰囲気は圧倒的な「静」である。「何もかもが止まった世界」「誰もいない」と不思議な空間を見事に作り上げている。 ---一方でビジュアル面は素晴らしく、ヨルダが囚われていた巨大な鳥かご、緑が多く存在する中庭、地下水路、闘技場など、探索欲をかき立てるものばかり。 ---敵もよくあるモンスターではなく謎の「影」であり、生物的な意匠ではなく暗さと静かさを表現している。 --雰囲気作りは徹底されており、通常時はUIは一切表示されていない。表示されるのは、ゲーム開始時・セーブ時・ゲームオーバー時といったやむをえない状況のみ。 --フレームレートは意図的に30fpsに抑えられている。公式ガイドブックによれば「60fpsでは手をつなぐ動作が生々しかったから」とのこと。このおかげでヨルダの幻想的な雰囲気が損なわれずにすんでいる。 -登場人物も非常に少ない。 --人物として登場するのは、OPを除けば「イコ」「ヨルダ」「城主」のみであり、生きているものは数えるほどしかない。~ また、イコとヨルダは互いの言葉が通じず、言葉を介したコミュニケーションをとることができない。~ そのため「手をつなぐ」などのしぐさで互いの意思を取り合っており、前述した「ヨルダのヒント」は、「怪しい場所を指さす」などの仕草で表現している。 ---会話がほぼ無いためゲーム中に言葉が出ることは少なく、城の中に響く互いを呼び合う声は「静」の空気をさらに強めている。 -徹底して雰囲気作りに徹した説明書。 --三人称による「ですます口調」の語り口と手描きの挿絵による絵本調の表現でゲームシステムを伝える構成をとっており、ゲーム画面の写真や事務的な説明などは一切ない。 --ところどころ、スティックやボタンなどのゲーム用語が差し挟まれている辺りは説明のためとはいえ少々シュールだが、本作の世界観を大事にするスタッフのこだわりも感じられる。 ---- **評価点 -緻密な計算の上で構成された謎解き。 --とにかくMAPで迷いやすい事が問題視され易い3D AVGだが、本作は基本的に面クリアのアクションゲームのように移動できる場所がその都度限定されている。しかし個々のエリア自体が広いため、「実は一本道である」という印象をプレイヤーは受けにくくなっている。 --謎解きに関しても、一見ノーヒントで放り出されているように見えるが、動ける範囲で試行錯誤していればその内に解法に気づける作りになっている。また、稀にヨルダがヒントをくれることもある。 -巨大でありながら静謐に包まれた城を、ほぼ無言で進むイコとヨルダの姿は、寂しさや二人の絆の強さを連想させ、本作独特の雰囲気を作り出している。 --キャッチコピーの「''この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。''」とパッケージのイメージイラストは、このゲームの雰囲気を見事に伝えている。また、終盤の「正門から脱出」からEDまでの展開は、多くのプレイヤーに何とも言えない「寂しさ」を感じさせた。 -雰囲気重視のBGM --PS2初期のゲームであることを鑑みても、BGMは16曲と少ない方だが、少ないながらも的確に本作の世界観を表現した楽曲群はプレイヤーの心に強烈に訴えかけてくる。~ 特に音楽担当・大島ミチル氏の手によるエンディングテーマ『ICO -You were there-』は正に''名曲''であり、秀逸な演出も相まってプレイヤーに涙を流させた。 --本作には一般的なゲームのような「BGMでプレイヤーを盛り上げる」ような演出は皆無であり、足音・キャラクターの息遣い・風切り音・鳥の鳴き声等の環境音的な音使いによって「場の雰囲気」を印象付けている。 ---- **賛否両輪点 -キャラクターが多くの言葉を話さないため、背景にあるストーリーはプレイヤー側で読み取る必要がある。 --ほとんどがプレイヤーの想像に委ねられているため、少ない情報を想像で補完するのが好きなプレイヤーとそうでないプレイヤーの間でやや評価は分かれる。ゲーム内容やゲームの雰囲気含め、やや人を選ぶ作風であるといえる。 ---- **問題点 -ゲーム自体のプレイ時間が10時間前後と短い。 --二周目特典の存在があるものの、「ヨルダの台詞に日本語字幕が付く」「隠し武器入手」「条件を満たすとエンディングが僅かに変化」くらいしか無く、またアクションがもっさりしていてミスをしやすい、ゲームオーバーの仕様上実質的な制限時間を課されるゲーム性、一本道で二周目からは違うルートを選ぶといったものも無い、「ゲーム内で多くを語らない」という悪く言えばあっさりとした内容・ゲーム展開もあり、周回プレイへの意欲は促され難い。 -カメラが固定のため、一部の場所では操作がしづらいことがある。 --物を投げたり、アスレチック的な攻略を要求される場所では思わぬミスが発生する事もしばしば。 -ボス戦らしいボス戦はラストバトル以外なく、やや展開の盛り上がりに欠けるかもしれない。 -セーブの制限 --前述の通り別行動中にセーブができないほか、終盤からエンディングにかけてストーリーの都合上ヨルダと離れ離れになるためセーブができなくなる。 -ヨルダを1人にしていると黒い影にさらわれてしまう。 --その為ただでさえ難しいアクションに時間制限を加算されることになり、難易度が上がってしまう。 -敵の出ない散策モードのような物がない --舞台設定やグラフィック表現が素晴らしいだけに、クリア後のおまけででも敵が出ない状態でのんびりと散策をしたかったという声は多い。 -説明書内の説明不足。 --絵本調の語り口で書かれているためか、操作方法については極基本的な動作の説明に留まっており、一部のアクションの説明が不足している。 ---- **総評 多くを語らないアンチテーゼ的な姿勢を貫徹して作られたオリジナルティ溢れるゲーム。~ 「手をつなぐ」というアクションで没入感を増し、他に見ない特殊な設定、独特の雰囲気は多くのファンを生んだ。~ 「無人の古城を2人っきりで探索する」「過度に主張しない雰囲気にあったBGM」など美しい世界観を存分に堪能できるように設計されており、雰囲気ゲーとしても最高峰の出来といえよう。 ---- **余談 -直木賞作家にしてヘビーゲーマーでもある宮部みゆきは本作の大ファンであることを公言しており、後に自身がノベライズを手がけた。 -前述の通り海外での評価が極めて高く、数多くの海外クリエイターが本作へのリスペクトを公言するほか、海外サイトが行う各種「ベストゲームランキング」などでは、日本製ゲームとしては数少ない常連でもある。 -GNU General Public License (GPL)違反 --「GPL」とは、簡単に言えば『自由に利用してもいいが、その派生物を作って配布する場合、それ自体も自由に利用できるようにしなければならない』という約束事があるプログラムの事。 --そのため、GPLを使って作ったプログラムには、他の人がその中身を調べたり改変できるようにするために、実行ファイルのみならず、「製法」や「設計図」にあたる「ソースコード」までも公開する義務((厳密には実行ファイルを入手した人でソースコードを要求した人に渡すだけでもよいが。))が生じる。 --ICOはGPLにライセンスされている「libarc」のライブラリを利用して作られた事がファンによるディスアセンブルで発覚したのだが、ソースコードの公開はしていなかった。そのためGPL違反となっている。 --そしてSCEは2007年12月に「『ICO』がGPL違反に該当するのか現在確認中」とのコメントを発表したが、その結果報告をする事なく、発売からわずか6年後の2008年2月に『ICO』の生産終了及び廃盤を決定。「ライセンス違反にシカトを決め込む」というゲームメーカーの態度が大問題となった。 --この事件の影響で、現在PS2版を新品で入手するのはほぼ不可能となっている。特にこだわりが無ければ下記のPS3版を推奨する。 ---- **その後の展開 -2011年9月22日に、PS3にてHDリマスター版が発売された。『ワンダと巨像』とセットになったリミテッドボックスも同時発売している。 --解像度1080p・プラチナトロフィー対応・3D立体視対応・LinearPCM7.1chに対応した至れり尽くせりの完全版。~ 『[[ゴッド・オブ・ウォーIII]]』や『リトルビッグプラネット2』と同様にMLAAを採用し、10数年前のゲームながらジャギのない美しいグラフィックを実現している。音響面も大きく改良されており、より『ICO』の世界に没頭する事ができるだろう。 ---後のアップデートでPSVでのリモートプレイに対応。ラグもなくスムーズに携帯機でプレイできるようになった。

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