「サラダの国のトマト姫」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

サラダの国のトマト姫 - (2013/12/08 (日) 10:55:25) の編集履歴(バックアップ)


サラダの国のトマト姫

【さらだのくにのとまとひめ】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売・開発元 ハドソン
発売日 1988年05月27日
定価 5,900円
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2010年1月19日/500Wiiポイント
【3DS】2012年9月19日/500円
分類 良作

概要

擬人化された野菜たちの住む星を舞台に繰り広げられるファンタジー風のアドベンチャーゲーム。クーデターを起こしオニオン王に代わって実権を握るカボチャ大王を懲らしめるべく、プレイヤーはキュウリ戦士となって王国とトマト姫を救うために様々な場所へ行き、仲間を助けながらストーリーを進めていく。

オリジナル版は1984年に8Bitパソコン版として発売された作品で、コマンド入力型*1だった。FCへの移植の際にオーソドックスなコマンド選択型のシステムに変更された他、シナリオも一新されている。

ストーリー

はるかむかしのことです。
あるところにヤサイたちのすむほしがありました。
この国のオニオン王のけらいのカボチャだいじんが王さまをうらぎってしまったのです。
だいじんはウツボさんみゃくのふもとのしろへ、トマトひめをさらっていきました。
王さまは、トマトひめをさらわれたショックと、かなしみのあまりなくなりました。
いま、国中の人がトマトひめのことをしんぱいしています。
さあ、あなたはゆうかんなキュウリせんしとなってひめを助け出してください。

特徴

  • コマンド選択型のアドベンチャーゲームとなっており、『ポートピア連続殺人事件』や『オホーツクに消ゆ』と似たシステム。*2
    • 物語の最初で助けることになる柿の男の子『柿ッ八』を助けると脇役としてお供する様をしてくれるようになる。様々な所でヒントになる発言をしたり、色々な活躍をしてくれる。
    • アドベンチャーパートに留まらず3Dダンジョンや戦闘モードがある。戦闘モードはとある場面で『たたかう』ことで起こる。コマンド式ではなく『あっち向いてホイ』で勝敗を決める。
    • パスワードで小節を挟む形になっており、全9章のシナリオを進めていく。
    • テキストがファミコン版にしては大きくて読みやすく(通常のフォントの4倍角の大きさ)、数少ない漢字フォントを使用しているゲームでもある。使用する漢字も小学1~2年生レベルのもので難しい漢字は使われていない。低学年でも満遍なく楽しめる。

長所

  • 非常に温もりのある個性的なキャラクターとグラフィック。
    • 各シーンに表示される一枚絵は丁寧に描かれており、風景画を思わせる。更にその中に擬人化された野菜たちが登場することでファンシーさをうまく表現しており、さながら絵本でも読んでいるような気分になる。
    • 登場する各キャラクターも子供向けの絵柄になっているがコミカルかつ、とても可愛い。一部はそれを超えるものがあり、サラダロアの酒屋の悩ましげな表情のフサ子や微笑みが美しいアップルリサに至っては美人クラス。また、キャラも個性的で擬人化された野菜以外にも『ノーミン族』といういわゆる人間にあたる種族も存在している。*3ちなみにアップルリサは名は果物の名前であるが姿は人間。これはノーミン族と野菜族のハーフという設定。*4
  • 練りこまれたストーリー・世界観。
    • オニオン王を裏切ったカボチャ大王の国が圧政を敷く中で、一般の町民の生活模様から国政から迫害され浮浪者として一生懸命に生きる者や、反乱軍を結成し対抗するレジスタンスの生き様など、いわゆる乱世状態に置かれた世界が描かれている。子供向けのイメージ漂う作品としてはシビアな世界情勢ではあるが、登場するキャラクター達がそれをフォローしてくれている為に不穏さすら感じさせない。敵との戦闘の勝敗が「あっちむいてホイ」で決まるあたり、至って平和で牧歌的である。
    • 舞台も町外れからはじまり、町、奉行所、パセリの森やウッピー洞窟といった3D迷路、キャロット高原を経て、最終的に本拠地のカボチャ大王の城へと舞台は様変わりに進んでいく。展開に応じてBGMも変わって行き、牧歌的で穏やかな曲調もあればノリノリな曲もあり、カボチャ大王の城ともなるとラストに相応しい曲調になったりする。
  • バトルシステム。
    • 随所敵と戦う場面があり、先述でも述べているように『あっちむいてホイ』で戦う。ポイント制であり、敵に勝つことでポイントは減っていき、全部無くなると勝利。逆に8ポイント以上になると負け。しかしラスボスを除いてはゲームオーバーにならず、戦う前の場面に戻る。各敵にはジャンケンで手を出す時や顔の向きに法則性があり、仲間などに会話することでヒントが出たりする為、しっかりとつかんでいればまず負けることは無い。誰もが知っている遊びをバトルシステムにしたあたり、低年齢層向けへの配慮が感じられる。
  • 救済キャラクター・オクトベリー。
    • ストーリー上どうしてもお金が必要になる場面があるが、そこで登場するのがオクトベリーという生き物。特定の条件になるとこいつが通るとかならずお金を落としてくれるので、行く先々詰みになりにくい、ありがたい存在である。
  • 隋所にパロディやネタが演出されている。とある住人を「たたく」とドラクエ風のダメージのメッセージが流れたり、モビルヤサイスーツとガンダムまんまの戦闘機があり、「たたかう」場面になるとアムロよろしく「いきまーす!」のセリフがあったりと、各所に散りばめられており子供のみならず、大人でもクスリとさせられる場面もある。

短所

  • 3Dダンジョンが迷いやすい。道中で方向ヤサイというコンパスを手に入れることで一応は位置が把握できるようになっているが、周りのグラフィックが似たりよったりのため、自分の位置が把握しづらい時がある。
    • ダンジョン内の配色は暗めでなおかつ恐怖感をあおるBGMが重なり、このゲームのダンジョンがトラウマになった子供が続出した。パセリックの森では化け物の形をした木があったりと演出も怖いところがある。
  • セーブ機能はなくパスワード制。しかもパスワードは章クリア毎にしか表示されないため、任意の場所から再開できない。

総評

温もりあるグラフィックとキャラクターのかわいらしさも相まって、低難易度や分かり易く明快なプレイ環境。そして笑みをも誘う織り交ぜられたネタとアドベンチャーの王道に域している本作の出来は当時の少女達からも広く支持を得ている。発売から20年余り経っているが今なお本作のファンは少なくは無い。
移植も販売されており、Windows版(現在は販売終了)やゲームボーイアドバンス『ハドソンベストコレクションVOL.4 謎解きコレクション』にも収録。*5携帯アプリ版やWii・3DSバーチャルコンソール*6で配信されている。興味のある方は楽しんでみるといいだろう。