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Portal - (2015/04/04 (土) 20:17:18) の編集履歴(バックアップ)


Portal

【ぽーたる】

ジャンル アクションパズルFPS
対応機種 Windows 2000/XP/Vista
Xbox360、プレイステーション3(PS3はOrange boxのみに収録)
開発元
現地版発売元
Valve Software
日本語版発売元 【Win】サイバーフロント
【360/PS3】エレクトロニック・アーツ
発売日 【Win】現地版:2007年10月10日、日本語版:2008年4月4日
定価 Steam版:980円
日本語版:3,675円(税込)
分類 良作


ストーリー

突然、謎の施設の中で主人公は目覚めた。
何時、どうやって、何故ここに来たのかわからないまま、突然室内に電子音声が響き、「テスト」の開始を告げる。

主人公はワープ銃「ポータルガン」を手に、出口を求めて命じられるがままにテストをクリアしていくことになる。しかし初めこそ単純なものだったテストは、徐々に狂気をはらんだものになっていく。
果たして主人公は無事施設を脱出することができるのか。


概要

FPSの名作『Half-Life(HL)』シリーズの制作元・valveが送るFPSパズルゲーム
それがどんなゲームか、口で語るのは少々難しいため、まずはこちらをご覧いただきたい。

  • このゲームがすぐわかるトレイラー

要するにポータルガンでA地点とB地点を撃ち、AとBをつなぐ穴「ポータル」を作って移動(ワープ)することで先に進んでいくのだ。
(以後の記事中でもこのA・Bの説明を使用するのでご了承願いたい)

なお、本作は『HL』とは世界観を共有しており、本筋と関係ないところに様々な小ネタが仕込まれている。本作をプレイするだけなら『HL』は未プレイであってもまったく問題ない。


基本システム

ポータルガンの操作

  • 左クリックで光弾を発射。光弾が壁面に当たるとポータルゲートが発生する。
  • 右クリックには何も割り当てられていないが、ゲームが進むにつれこちらでも光弾を撃てるようになる。
    入り口と出口をプレイヤーがほぼ任意の場所に作れるようになるため、自由度が飛躍的に上昇。ここからが本番である。

ステージ

  • Level00~Level19までの全20ステージ。最初は簡単だが、後半に行くほど頭を使うようになり一筋縄ではいかなくなる。
    • ステージの始点には道中にある障害がアイコン形式で表示されており、視覚的にわかりやすい。
  • ステージはいずれも密閉された空間で、壁面は白と黒のタイルだけの殺風景ながら清潔感のある空間。しかしステージが進むにつれ、その裏側を垣間見ることができる箇所が幾つか登場する。
    • 錆だらけの鉄筋や送風ファンがあるだけの殺伐とした場所で、タイルで統一された本編とはまったく違った印象を受ける。
    • そこには先の試験者が残した手書きのメッセージもある。内容は脱出経路の模索や実験の欺瞞を警告するもので、ここからテストは異常さをはらみだすようになる。

キャラクター

  • キャラと言っても、本作では人間の敵は存在しない。怪物の類もいない。機械だけが相手。
    会話する対象がいないためかその分いずれも個性的。Valveにも非生物を愛する 手遅れな 嗜好の人がいたのかもしれない。
    • タレット (turret)
      • 途中から敵として現れる自動銃座。転ばすだけで無力化できる。『HL2』にもいたコンバインのものと同じポジションだが、技術系列が違い、曲面で構成された滑らかなデザインに言葉を喋るという特徴を持つ。
      • 人間を問答無用で射殺するという物騒な行動原理をもちながら可愛いらしい音声で話すと言うギャップから、プレイヤーの人気が高いキャラ(?)である。
    • 加重コンパニオンキューブ
      • なんてことはない、見た目はただの箱。普通の加重キューブと違うのは、表面にハートマークがついていることだけ。
        しかしこれが出現するステージは、このコンパニオンキューブとともに進まねばならない構造が続くので、終わる頃にはなにやら愛着を抱くプレイヤーも多いはず。そして、ステージの最終段階で思わぬ展開が…。
    • アナウンス
      • 主人公を誘導する電子音声。プレイ中、何度となく主人公を評価したり、報酬を約束したりする。が、報酬というのがただのケーキ。そのくせテストの内容は生命に関わるものばかり。発言もどこかおかしく、一部が欠落していたりする。
+ ラスボス
  • GLaDOS
    • 本作のラスボスである、施設を管理する巨大AI。アナウンスの主。
    • テスト中にたびたび見せる冷血な発言、子どものような思考、可愛らしい機械音声という不安定さが独特の存在感を生み出している。
    • 先の加重コンパニオンキューブの顛末とラストバトルの攻略法は表裏一体をなしており、プレイヤーは以前受けた仕打ちをそのままお返しすることになるのだ。
    • ちなみにその最中にケーキのレシピを読み上げるパーツが登場するが、明らかに食用に適さないものが含まれているので…。

BGM

  • 基本的に無音。だが、かえってそれが無機質な世界観の統一に貢献している。
    • 例外として盛り上がる場面でのみBGMが挿入され、ゲームへの没入度を深める。『HL2』に引き続き、BGMの使い方が秀逸。
  • EDテーマである“still alive”は穏やかな曲調の名曲としてプレイヤーの間で人気が高い。
    • 同社の別タイトル『LEFT 4 DEAD 2』にもこっそり収録されており、ジュークボックスを調べると低確率で流れる。

評価点

「ポータル」という斬新なゲームシステム

  • Valveらしい丁寧なゲームデザインと、「まずシンプルなチュートリアルをクリアさせ、本編でその応用を課す」という基本に忠実なスタンスは健在。段階的に攻略を考える知識を身に着けていくことが出来、クリアできたときの快感も大きくなる。
  • 重要なのは、ポータルは単なるプレイヤーのワープ穴に留まらない事。パズルらしく、実に多くの活用法が存在する。
    1. 道をふさいでいて通れないタレットをポータルに放り込んで転がす。
    2. タレットの頭上にBポータルを開け、Aポータルから投げ込んだ箱をぶつけて転がす。
    3. 足元にAポータルを作り、高所から飛び降りてAポータルをくぐると、Bポータルから落下した分加速して飛び出す。
      この際Bポータルが壁面に作られていれば、普段よりも遠くへジャンプすることができる。(この一連の行動は公式に「フリング (flinging)」 と通称されている)。imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。
  • こうしたテクニックを組み合わせてプレイヤーは先に進んでいくことになる。
    • 意図的にやらないかぎりまず起きないが、ポータルを駆使して時限式の扉に自ら閉じ込められてしまうことも可能。
      しかもこの「詰んだ場合」の認識・処置とメッセージすら用意されており、特例として脱出専用の扉が開いたりする。
  • うまくポータルの位置を調整することで、FPSではあり得ない自分の姿を自分自身で視認することもできる。
    • これを見るかぎりプレイヤーはアジア系ないしアフリカ系の女性であることがわかる。ただしその正体はゲームをクリアしても一切不明。
  • 謎解きの自由度自体も高く、一見しただけでは思いつかないような常識外れな解法まで行える。
  • やりこみ要素も豊富に用意されている。
    • クリア後は最も少ないポータル数でクリアする「最少ポータル」、最も少ない歩数でクリアする「最少歩数」、短時間でクリアする「最短タイム」など、豊富なチャレンジに挑戦できる。歯ごたえは十分。
    • 実績も用意されており、ゲームをクリアすると自動的に取得するものから、「一回も着地せずに30000フィートを落下する」「一回も着地せずに300フィートをジャンプする」といった変わったものも。
    • ユーザーが独自に作成したマップをネット上で配布し、プレイすることも可能。HL2と同じSourceエンジン故に、熟達者に対するMOD制作の間口もある。

無いようで実はあるストーリー

  • ネタバレになるため詳しい言及は避けるが、「無機質な部屋、唯一聞こえるのはロボット声のアナウンス」というミニマム環境ながら先に進むにつれてストーリーが進行していく。
    • 「ご褒美にケーキをあげましょう」は有名なセリフとなった。

難点

  • ボリュームが非常に薄く、大抵4時間でクリア可能。
    • 上記のカスタムマップを導入すれば長く遊べるには遊べるが、ユーザー任せとも言える。
  • 基本的に画面上にはポータルガンと目の前の光景しか写らず、作中にはポータルガンを使わない操作はほとんど語られないのでFPS未経験者にはつらいと思われる。
    • 自由にポータルを作れるが、こちらと向こうでは重力の向きが違っていたということもしょっちゅうなので頭が混乱しやすい。
    • 作中では高速移動中に、正確な位置にポータルを発生させ素早く飛び込むというシーンもいくつかあり、FPSの操作・性質に慣れていないときついものがある。
  • 翻訳に一部怪しい部分があるため、意味を理解しにくい文章がある。
  • FPSの宿命である「3D酔い」。フリングでの高速移動などもあり本作は特に酔いやすい。

総評

シンプルながら移動の楽しさと、ワープ装置を交えた数多くのギミックにより奥深いゲーム性を獲得したゲーム。やってみればわかる「百聞は一見にしかず」を体現した作品である。


余談

  • このゲームは有志作成の2d版FLASH版があり、細かい感覚は違うがその内容が手軽に体感できる内容になっている。購入前に遊んでみるのもいいだろう。
  • 360版はタイトルを『Portal: Still Alive』に変更し、Xbox Live Arcadeでオンライン配信された。
    • Orange box収録版とは、日本語字幕が収録されていない、実績が別、14の追加ステージ、チートコードが使用できないといった違いがある。
  • 2011年に続編『Portal 2』が発売された。ストーリー性の強化・協力プレイモードやインゲームマップエディタが搭載されている他、本作ですでにあった要素も遊びやすく変更されている。。