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ラブクエスト - (2017/11/19 (日) 11:42:35) のソース

「[[修正依頼]]」が出ています。評価点・問題点を追記できる方はご協力をお願いします。
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*ラブクエスト
【らぶくえすと】
|ジャンル|パロディRPG|&ref(http://www.famicom.biz/all/catalogue/6800000014786u.jpg,,height=160)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|徳間書店インターメディア|~|
|開発元|徳間書店インターメディア 仙台(元版)&br;シーラボ(SFC版)|~|
|発売日|1995年3月17日|~|
|価格|9,800円(税抜)|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|キャラクターデザインに弓月光が関わっている&br;ゲームとしては若干悪い出来&br;''だがバカ要素が突き抜け過ぎ''&br;任天堂チェックで蹴られたネタ多数|~|
//どなたかSFC版開発元の情報ソースを提供してください。
//↑スタッフロールとかhttp://gdri.smspower.org/wiki/index.php/Company:C-lab.とか。あとゲーム内のフォントやデザインも他のシーラボゲーとそっくりだよ。徳間との関わりはSFC版東尾修からかと思われ
#contents(fromhere)
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**概要
徳間インターメディアが''突然''出した、恋愛をテーマにした現代RPG。現在も活躍する青年漫画家の弓月光氏がキャラクターデザインに関わっている。~
結婚式の途中で煙のように消えてしまったフィアンセを追い、マザコン青年な主人公が東京中を駆けずり回るという物語。~
フィールドが存在せず、実在する日本の都市(下北沢、新宿など)を中心にゲームが進行していく体裁をとっているが、寄り道スポットは殆ど存在しない一本道。

RPGとしてみれば戦闘バランスはそこまで崩壊しているわけでもなく、意味不明な謎解きもない。行けといわれた所に行けばなんとかなることが多い。~
操作性がやや悪めの凡作といった出来栄えである。~

しかし、システム、セリフ、シナリオの全てから漂うバカさ加減、しかも笑いを取りに行くというよりはひたすらアナーキーぶった類のバカさにより、後年「がっぷ獅子丸の悪趣味ゲーム紀行」などゲーム雑誌のバカゲーコーナーにて紹介されたことにより知名度が上がり、ソフトの価格がプレミア価格並みに跳ね上がるという稀有な作品となった

**ゲームシステム&馬鹿な点
''戦闘システム''~
-何と敵は「''欲求不満の女の子''」であり、ランダムエンカウントでいきなり(複数で)絡んできては誘惑したり愚痴ったりして主人公のLP(体力)を削っていく。
--そんな女の子たちから身を守るために、主人公は口説いたりおさわりしたりして彼女らの不満を解消しなくてはならない。
--女の子の攻撃力は「口数」、防御力は「警戒心」と置き換えられており、女の子達を倒すと「ハートでみたされた」と表現されつつ''ヘンな声(ボイスつき)''をあげる。気持ちよくなって出たボイスだと思われるが中には「''おぺろぺろ~ん''」だの「''シュババババ''」だのという意味不明な代物が。アニメ「[[北斗の拳>北斗の拳シリーズ]]」の悪ノリ断末魔より酷い。
-そんな戦闘なので、防具は街のブティックで買える服や靴だが、武器は女の子を口説くための「''クチ''」である。
--もちろんそんな物を扱う店など存在しないのだが、何故かイベントでNPCがくれる。どうやって持ち運んだり装備しているのかは全くの謎。イベントに合わせて口説きのテクが巧くなる、ということなのだろうか。

-直接女の子を口説くのは主人公だけだが、頼めば仲間の女の子が敵のアプローチ(攻撃)の効果を半減させたり、主人公を応援してLPを回復させたりしてくれる。ただし戦闘に参加するたびに機嫌が悪くなるが。
--ちなみに、仲間の女の子はイベントなどで会話するたびに約2画面分の全身ビジュアルが表示される。

-バトル及びこの冒険でレギュラーキャラとなるのがデパートガールの「はるか」とフリーターの「れいこ」の二人。
--ただし扱いの差がかなり大きく、はるかは途中でコスチュームチェンジ(ついでにごきげん度の最大値上昇)がある((一応、デパートガールの格好でうろうろすることにNPCからイチャモンつけられた、という理由。))のにれいこにはナシ。~
れいこはLP回復のごきげん度消費が高くダメージ半減の消費が低い、という差別化は図られているものの、半減の効果は敵一人にしか効かず、回復に比べて役に立つとは言い難い。

これが本作の戦闘システム、通称「''ラブアタック''」である。~
ただし見てくれこそぶっ飛んでいるがやってることはただの戦闘であり、一部を除いてスーファミ前後のドラクエ並にシンプルにまとまっている。~
ある意味『[[ラサール石井のチャイルズクエスト]]』での戦闘に当たる「営業」と似たようなもの。孤独な戦いではない分チャイルズよりマシと言えるが。~
戦闘バランスは敵が複数でこちらが一人という都合上、一見やや厳しいのだが、主人公一人で攻撃技、攻撃力低下、防御力低下を単体攻撃、全体攻撃を問わず全部覚え、中でも攻撃力低下技が強力過ぎるので、結局はこっち有利になりやすい。~
また、エンカウント率はまちまちで、2,3回連続して敵が出てくることもあれば通りをぐるぐる回っても人っ子一人いないこともある。
//主人公のレベルが高いと出現率が下がるっぽいが未確定情報。
//↑レベル99の裏技が有って実行した後だと確かに殆ど出てこない

このゲームにおける通貨は「円」なのだが、ゲーム中の最小単位は「1万円」であり、貨幣価値が暴落しすぎている。ゲームとしてみても物価のバランスは少しおかしく、回復アイテムのコストパフォーマンスは上位のものになるほど極端に悪くなる傾向がある。あと不用品を買い取ってくれる人はいない。

''セリフ・テキスト''~
簡単に言えば、''メタと無秩序とお下劣と自虐の嵐。''真面目にテキストを追うと間違いなく疲れる。~

以下詳細を列挙。

#region
-子供曰く「昨日パパとママが合体した」とか、妙齢のOLがいかがわしい悲鳴をあげながら肩もみを要求するとか普通に出て来る。

-「ここでのレベル上げは禁止になりました」と語る下北沢の住人。実際最初の街である下北沢に通常ザコはいない。

-「キミどこかで村人として出てなかった?」と問いかける人。メタな会話をするのは止めて。

-「こんなセリフ言うのかったるい」「セリフ忘れちゃった」「オレ本当はあんな物欲しくないんだよね」など、役者としての本音を漏らすモブがあちこちにいる。

-「このセリフは非常にワイセツなものなのでカットになりました」「このセリフは警察の方に注意されました」と、中の人のお詫び文だけを話すNPCがいる。
--本当に用意していたブラックネタの半分以上が任天堂からNGを出されたらしい(『悪趣味ゲーム紀行』単行本より)。
--お詫びには他にも「この人おかしいので気にしないでください」だの「病気で長くないのでほっといてください」だの意味のないものも多い。
-ゲーム本編の展開とは無関係に「某社の社長がカツラ」「某社のヤツはライバル会社の回し者」など、業界の裏話っぽいのが垂れ流される、表参道にある会社「オスキー」。真偽は不明である。
-そしてひたすら自分『ラブクエスト』を卑下する奴ら。
--駅前にいるオタクの口を借り、自分で自分の戦闘システムを「結局ただの戦闘じゃん、つまんないの」
--占い師の呪文が「ラブラブーーっ、クエストーーーーっ、クソゲーーーーっ!!」
--あるイベントの後「シナリオライターのせいでこのゲームがつまらなくなってごめんなさい」とテロップ。
--トイレの紙がなくて困ってる人に『ラブクエスト』のチラシを投げ入れる。
--某ゲーム雑誌のレビュー風に本作を批評し、2点とか1点とか非現実的な点をつけていく雑誌編集員たち。&br;
//ちなみに本誌でのレビューは6444で、一部を除いて最低に近い評価だった。
//↑この話のソースがないのでCOしておきます。誰かクロスレビューのバックナンバー持ってる人いないでしょうか。

#endregion

……もう全編こんな感じである。

''シナリオ・イベント(ネタバレ注意)''
テキストがこうもズレているのだからゲーム展開がおかしくないはずもない。イワタカヅト氏が手がけたシナリオは無秩序、非常識な展開の連続である。

#region
-オープニングイベントで「婚約者を捜しに行くか」という問いかけを4回拒否すると、(ゲームオーバーではなく)スタッフロールつきのエンディングになる。類似ネタのある[[ギガゾンビの逆襲>ドラえもん ギガゾンビの逆襲]]もびっくりである(あちらはスタッフロールが流れない)。
--しかもその内容が「開始5分でクリアして売りに来た客が多すぎて、本作の中古価格が暴落した」という自虐極まりないもの。実際は作中程の低価格(200円)買い取りにはなった事は少なく、現在でもスーパーファミコンのソフトの割りに高めである。

-最初にラブアタックする相手が、ダンナの浮気のせいで怒り心頭に発してるオバハン。フィアンセと同じ名前なので会いに行ったら八つ当たりされた。

-新宿で「ゲームの裏技を教える」と騙され、ボッタクリバーで全財産と婚約指輪を奪われた上に「返して欲しければ500万円出せ」と言われ、ラブアタックで500万貯めることを強要される。
--しかも服も没収されてパンツ一丁のため、店が利用できない。
--最初に500万以上持っていても没収されてさらに500万円稼がなければならない。
--さらに何の有益な情報も得られず今後の伏線にもなりえない(ボッタクリ店のホステスと忘れた頃に出会うぐらい)、ほぼただの足止めイベント。
-仲間になってくれる女の子の重い肩凝りを治すために、浪越ならぬ''もみこし''氏に指圧の技を師事するが、もみこし氏は技を授けると力尽きて白骨化する。
--でも白骨化したくせに後ほどカラオケ屋で見かけたりする。

-「月で挙式する」という無謀極まりない夢のために極端な地上げで周辺住民を苦しめる女不動産屋とそんなヤツに一生ついて行くと断言している彼氏。
--最終的には紙で出来た満月を手に本当に月へと旅立ち、そして死ぬ。しかも、いよいよフィアンセのもとに乗り込むという直前のこの展開でなんともシラけさせてくれる。

-外国人と遊んだ女の子が車型の怪物「''イエローキャブ''」となって襲い掛かってくる狂気の六本木。
--当時家田荘子氏が、アメリカの日本人女子留学生を描いたルポを『イエローキャブ』と命名したことで微妙な問題が発生していた。~
だが一番マズいのは、その誤解をかなり露骨にネタ化した本作かもしれない。
--ちなみに「イエローキャブ」というタクシー会社がアメリカに存在する。
--その六本木で助けた人がたまたまトキオタワー(東京タワー?)のオーナーでタワーその物を貰えてしまうのだが、税金やら電気代やらの名目でどんどんと所持金が奪われていく呪いのアイテムである。

-「たま」と「かぎ」を取られた江戸っ子が「やー、やー」としか言えないフヌケと化したため、花火大会が出来なくなった浅草。
--説明すると花火を打ち上げる時の有名な掛け声が「たま屋」「かぎ屋」で、「たま」「かぎ」が取られたせいで掛け声を上げられなくなった、ということ。
--花火に反対しているのは浅草の婦人会だが、彼女たちはどうあっても花火を阻止すべく、''自分の排泄物で浅草一高いビルを占拠する''という最終手段に出てしまう。しかもその巨大排泄物がダンジョン化していて、主人公は人助けのため潜り込むことに…。
--天辺にお供え物の福神漬けが置いてあるわ、六本木で出会ったカレーばかり食べてるインド人が紛れてるわ、敵対している婦人会長に毒入りカレーを食わされそうになるわ…。これがカットされないのだから、削除されたセリフはどれだけワイセツだったのやら。

-ラスボスが「本来のネタが没になったせいでポッと出キャラになってしまった」と身の上話してから戦闘してくださいと懇願してくる(ついでにキャラデザの弓月氏が弁解してくる)。
--その際の戦闘BGMはなかなか格好良いのだが、この戦闘以外にも使用されるため、ますますラスボスの不遇感がかき立てられる。しかも最後に花嫁とのラブアタックが控えているせいで、実はラスボスですらないという…。
--なお、ここまで来るとレギュラーメンバーのはるかとれいこのうち、一人しか連れて行くことが出来ず、どちらと最終局面に乗り込むかでエンディングが変化する。

-なぜ、花嫁が主人公の前から姿を消したのかと言うと、(反転)「&color(white){自分が失踪して捜してくれる前の主人公は経験値もお金もなくて、一緒にやっていけるか不安だったから}」。
--これは膝を打つべきなのかふざけんなと言うべきなのか。

だが、一見ふざけたイベントのオンパレードに見えても、失踪した花嫁を追ううちに彼女の真意に少しずつ迫っていく、最初「好きなタレントはママ」と自己紹介するくらいマザコンだった主人公が最終的には彼女の制止を振り切って最終局面へ向かう、といったシナリオの骨組の部分は決して破綻しておらず、それなりに燃えさせてくれる(ヒドい茶々が入るが)。&br;エンディングも皮肉が利いており、そこら辺のRPGよりも含蓄あるオチとなっている。

#endregion

#region(close,ネタバレの上夢も希望もないので隠し)
花嫁の言葉にショックを受けた主人公は経験値とお金とアイテムを全て捨ててしまう。そして最後までついてきてくれた女の子と結婚する。~
しかし経験値を捨てたために失職して再就職の目がなく、お金を捨てたために財布がスッカラカン、結局新生活は1ヶ月で破綻する…というもので、「最後は愛」だと思わせておいてあっさり否定する二段オチである。
#endregion

''グラフィック面''~
テキスト面とは異なりナチュラルに無軌道。ザコキャラのグラフィックは『クレヨンしんちゃん』風の微妙にヘタな絵、街中にいるNPCはハナミズがたれてたり無意味に逆立ちしてパンモロしてたり、果ては頭が辛うじて人で体が亀な謎の生物や寝そべるマッチョマンを一発書きしたようなのまでいる。&br;それに弓月氏のデザインしたビジュアルつきのキャラが混じって、何がなにやら。

**総評
自虐ネタと奇をてらい過ぎた展開に目が回りそうになるものの、グラフィックが寂しいところを除けばゲームそのものだけは無難な完成度に収まっている。&br;これでテキストも無難だったらスーファミの数ある凡作としてソフトカタログでしか見かけない名前になっていたところを、上記のありようのためにスーファミ製バカゲーの一等星として語り継がれる一本となった。&br;下請けが「やっちゃった」部分と、シナリオ担当の「やってやった」部分とが互いに殺し合うことなく妙な味を発揮している、稀なバカゲーでもある。

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**発売までの経緯
元はファミコン用で社内開発をしていたが、ファミコン最末期(1994年)にまで制作がズレ込んだことなどを理由にマスターロムまで上がりながら開発打ち切りが決まり、元開発チームの解散後どこかの下請けに丸投げにされる形でスーパーファミコンに移植された。~
結果、『[[クロノ・トリガー]]』から6日後の1995年3月17日に発売されたが、明らかに胡散臭いこのタイトルが売れるわけもなく見事に爆死した。
//参考証言の載ったサイトはリンク切れでした
//下請けに相当やる気がなかったようで、グラフィックはファミコンのマリオ3並の時代遅れっぷりを発揮している(が、非戦闘時のチビキャラグラフィック時の際の仕草表現は意外と多い)。&br;
//ファミコン並みってのは言いすぎ