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武田信玄 (FC) - (2016/11/07 (月) 16:56:34) のソース

*武田信玄
【たけだしんげん】
|ジャンル|シミュレーション|&amazon(B000068HIW)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|メディア|1.25MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|ホット・ビィ|~|
|発売日|1988年3月28日|~|
|価格|5,800円|~|
|分類|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|便乗クソゲー&br()理不尽なゲーム初期のバランス&br()''パスワードで全て解決''|~|

**概要
-[[AC で稼働したジャレコ作品>武田信玄 (ジャレコ)]]と同じく、同名の大河ドラマに便乗したものと思われるがこちらはシミュレーション。1541年、武田晴信(信玄)が父信虎を追放した年から始まる。~
ゲームの内容としては、第一部として、[[信長の野望]]のようなシステムで内政パートで富国強兵を行いながら、甲斐周辺の13国を制圧し、~
第二部では上杉謙信との戦い、第三部で織田信長との戦いがあり、それをクリアして全国を統一するのが目的、第二部、三部は戦争のみとなり、内政パートは無い。~
内政パートではコマンドを一回実行する度に一月が経過するので、「[[信長の野望 全国版]]」に近い。
**特徴
-レベル制
--各大名にはレベルが設定され、戦争での兵の強さに影響する。最大で20。~
北条氏康や、今川義元といった大大名は最初から高レベルかつ軍備が整っているため、非常に手強い。~
このゲームに訓練コマンドはなく、戦争を繰り返す事によって経験値を得て、レベルアップしていく。~
しかし、徴兵するとそのレベルの最低値まで経験値が落ちてしまう為、高レベルになるにつれて損害を出さない戦い方が求められる。~
第二部、第三部でも影響がある為、第一部でレベルをあげておく事は非常に重要。~
なお、プレイヤーの担当する信玄のレベルはなんと驚愕の''0''。当然、周辺国の中でもぶっちぎりの最下位なので、序盤は周辺の豪族にすら歯がたたないという状況からスタートする事になる。
---オープニングでは''甲斐は豊かではないが、治める大名は強かった…''や、''武田軍の怒涛の侵略が始まった''といった勇ましいテロップが流れるが、あんまりな数値である。

-パスワード制
--歴史シミュレーションゲームというジャンルにおいて珍しくパスワードによる中断を行う。~
しかもパスワードは''15文字''という異例の短さなのだが…~
''保存されるパラメーターは直轄地の兵力とレベル、占領した領地のみ''~
''お金や領地の発展度合いといった超重要パラメーターですら全て初期値に戻ってしまう''のである。~
つまり、戦争や内政でお金を2500まで増やしたのに、パスワードをとって再開すると金が50になるという事が平気で起こる。~
また、あと一歩で倒せそうな国や、他国に滅ぼされた国もゾンビのごとく復活するので中断のタイミングには注意する必要がある~
パスワード制ゲームではパスワードの字数を減らす為に重要性の低いパラメータが再現されないという事はよくある話だが、これはいくらなんでも削減し過ぎである。~
なお、中断する際に、何故か信玄は「仕方のないやつだ。パスワードをおしえてやろう。''悪用するでないぞ!''」と釘を差してくる。~

-パーセント制
--コマンドを実行する際はそれをどれだけの割合で行うかパーセントで決める事が出来る。~
割合を増やせばより多くの資金を使い、大きな効果が得られるが、ケチると''金を消費した上に何も起こらない''という最悪の事態を招いてしまう。~
最初は物資が少ないので大盤振る舞いが出来ず、試行錯誤をしている間に攻められてゲームオーバーになりやすい。~
なお、徴兵の際もパーセントで決めるので''民を100%徴兵する''事が可能。冗談ではなく、やり尽くすと100%にしても兵士が一人も増えなくなり、''領民を徴兵し尽くした''事になる。
---実際には徴兵で裕福度が下がり過ぎると徴兵が出来なくなるものであり、裕福度を回復するには多くの金を農民援助しなければならない。でもそんな事をするよりは…(後述)

-戦争
--他国へ出兵するか攻められると戦争になる。「野戦」と「籠城戦」の2種類があり、状況に応じてどちらになるかが決まる。戦場マップが異なる他、最終的に「籠城戦」に勝つ事で領土を奪うことが出来る。
---戦闘では「足軽」「弓」「騎馬」「鉄砲」「槍隊」それぞれの兵科に一日に1度、命令することが出来る(騎馬隊のみ、2回命令可能)
---「いどう」:部隊を動かす
---「たたかう」:攻撃をしかける。「弓」と「鉄砲」は遠距離の射撃が可能。(鉄砲の方が1マス多く飛ぶ)
---「きあい」:部隊がその場で気合を入れる。%%単なる待機%%
---「にげる」:選ぶと''全軍撤退''。当然、その戦は敗北する。
--戦争に勝つと大量の金と米が得られる上に、レベルを上げる為の経験値も得られる為に攻略に欠かせないものになる。%%ケチな内政が必要なくなるぐらい%%。「籠城戦」へ持ち込まずに退散し、何度も「野戦」に持ち込むのが基本戦術となる。
--なお、第一部では20ターンを経過すると引き分けになる。(第二部以降は30ターン)その時にどれだけやられていようが、全滅していなければ引き分けになる。

**評価点
--甲斐の国の貧弱さや、信玄堤といった、武田信玄の雰囲気をシミュレーションしようはしている。~
レベル制やコマンド実行時のパーセンテージの割り振りといった、面白さの土台はあり、次回作への布石にはなっている。
--甲斐の国の城(躑躅ヶ崎館)が攻めやすく、北信濃の城(砥石城)や相模の城(小田原城)が攻めにくいなど当時の城塞の評価を一応マップに反映している。また、野戦のマップも地方によって河原だったり沼地だったりとある程度だが特色を出すようにはしている。
--エンディング後のエピローグは史実の江戸幕府の描写に割と忠実。また、スタッフロールは遊びがあって好みは分かれるだろうが見ものではある。
--パスワード式のために現在でも問題なく実機でプレイ可能。
--ステージクリア式のシミュレーションという点も独特である。第一部最後の戦いで生き残った兵士が第二部の援軍に振り分けられるといった独自要素も見逃せない。

**問題点
-いくら山国とはいえ、本拠地の甲斐の国力が低過ぎて役に立たない。
--国力が低い上に物資も雀の涙ほどしか無い。内政を行うにも軍備を整えようにもあっという間に金を使い果たしてジリ貧になる。~
大名のレベルも前述のとおり0で、兵力も(騎馬:1 弓:1 鉄砲:0 槍:2 足軽:2)という''家臣の人数で構成してるんじゃないのか''と思うぐらいに貧弱。%%武田騎馬隊なんかなかったんや…%%~
なお、北条(レベル20)、今川(レベル18)といった最強の国が最初から周辺に配置されている。
---もちろん甲相駿三国同盟なんてものはなく、今川も北条も容赦なく攻めてくるので気をつけなければいけない。
--また、どうやら土地によって強さが決められているらしく、''「敵は弱い国をとったので、敵は弱くなった」''と言う事態もありうる。~

-ランダム性がキツい
--物資の取引などは商人が国に来ている時しか行えないが、来る確率は全くのランダム。~
取引も一度、売買を行うとその時点で終了となる為、軍備を整えづらい。~
しかも商売のレートが一定ではなく、''買いたいときに高く売りつけられ、売りたいときに安く買い叩かれる''というのが日常茶飯事。~
また、''ランダムで敵が攻めてくるので開始直後に攻められると数ターンでゲームオーバー''である。~
一応、籠城すれば何もせずに引き上げてくれる事もあるが、下手に迎撃したり、本当に攻め込まれるとそのままゲームオーバーへ直行することになる。

-パスワードでリセットされる数値。
--貧弱な国力でもやりくりして…金と米を貯めても、石高をあげても、信玄堤を作っても、これらはパスワードで全部初期値に戻るため、''内政はほとんど意味が無い。''~
むしろ、レベル上げや、戦争による報酬が主な収入源となる為、[[国民皆兵(徴兵率100%)、隣国を侵略しまくるプレイ>信長の野望 天翔記]]がクリアに近い。~
お金がパスワードを使用すると初期値にリセットされてしまうので、~
''徴兵後にパスワードを取ってやり直すことでタダで徴兵できる''というテクニックが裏技として紹介されていた。~
即ち、徴兵や戦争で軍事力が整ったが国力が荒廃したところをパスワードで国力は元通りに…''信玄「悪用するでないぞ!」''

-動いているのか謎なパラメーター
--米や服従度というパラメーターがあるが、米は俸禄で支払われている様子もなければ、戦争で消費している様子も見られない為、換金用のパラメーターになっている。~
服従度は民の忠誠を示すと思われるが、善政を敷いて最大の100にした状態でも''一揆が発生する''

**総評
-完成度に問題があり、SLGの体裁を整えているように見えるが、初期値が厳しすぎる為、開始時はとにかく攻めこまれてゲームオーバーになりやすく、~
内政も効果を感じにくい(''効果を感じる前に物資が尽きるか、攻め殺される'')ので攻略は極めて難しい。~
全くパラメーターが再現されないコンティニューのおかげで、攻略に有効なコマンドが''パスワードを取る事''というのが目につく作品となっている。
--パスワードを使わない場合でも、米を全て売り払う。敵がこちらの兵力にあわせて迎撃してくるのを見通して、~
弓兵(鉄砲兵)1で敵を攻めて射撃で勝って大量の物資を手に入れる…といったシステムの穴をつかなければ攻略は非常に難しい
-史実に忠実なゲームを作ろうと努力した形跡が随所にみられ、それが災いして無茶なバランスになってしまったという側面はある((信玄が継いだ直後の武田家は信濃の諸豪族とようやく肩を並べられるかどうかといった程度の勢力で、甲斐国内にもいつでも主家にとって代われるような家臣が何人もいた。さらに大した産業はないうえ内乱直後でいつ滅ぼされてもかしくないというこのゲームさながらのひどい状態だった。))。そのため、もう少し作りこみがきちんとしていれば面白いゲームになったのではないかと想像できてしまう。この点、同じ開発元の[[星をみるひと]]と共通する残念な点である。

**余談
-便乗ゲームのわりには[[続編>武田信玄2]]まで出た。

-なんと『[[たけしの挑戦状]]』、『[[未来神話ジャーヴァス]]』と制作スタッフが同じという[[噂>http://gdri.smspower.org/wiki/index.php/GDRI-005]]がある。
--よくみると使用されている特徴あるフォントが上記二作品と全く同じ。発売メーカーが違うのにこれは…。