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ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド - (2021/06/20 (日) 18:59:00) のソース

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*ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド
【どらごんくえすともんすたーず てりーのわんだーらんど】
|ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B00005OVGE)|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|発売元|エニックス|~|
|開発元|トーセ|~|
|発売日|1998年9月25日|~|
|定価|4,900円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズ]]''|
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**概要
『[[ドラゴンクエストVI 幻の大地]]』の登場人物・テリーを主人公にしたスピンオフ作品で、テリーの幼少時代の物語を描いている((テリーが主人公になった理由は「『VI』では出番が遅いうえに強くないから」と公式が過去に明言している。))。~
//『IV』のトルネコが『トルネコの大冒険』の主役になったように、不遇なキャラクターであることへの埋め合わせである。同じく『VII』で不遇な扱いを受けたキーファも『ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート』の主人公になった。
//テリー以外については明確な公式の言及があるのか?
『ポケットモンスター』の流行に対抗して育成要素を前面に出しながらも、「配合システム」を採用したことでポケモンとは違う「モンスターを作る」面白さを確立。ポケモンフォロワーの中でも抜群の人気を誇った。

**プロローグ
>2人で留守番することになったミレーユとテリー。~
いつまでも寝ようとしないテリーをミレーユが叱っていると、タンスから「ワルぼう」と名乗る魔物があらわれ、ミレーユを連れ去ってしまった。~
しばらくすると同じタンスから別の魔物があらわれた。~
「わたぼう」と名乗るその魔物は、テリーに「ミレーユの代わりにモンスターマスターになって欲しい」と言う。~
姉を助けるために、テリーはわたぼうの住むタイジュの国に向かった。~

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**ゲームの目的
タイジュの国のあちこちにある旅の扉で異世界(ダンジョン)に入り、扉の奥(最下層)にいるボスを倒していく。ただし、主人公(テリー)は直接戦わず、道中で仲間にしたモンスターでパーティを組み、彼らに指示を出したりアイテムでフォローをしたりする。ある程度異世界を攻略するとタイジュの国が成長して((タイジュはその名の通り「大樹の中に作られた国」という設定であり、成長するたびに国の規模が広がる。))行ける場所が増え、新たな旅の扉があらわれる。大会に出場できるようになってからは大会のランクを上げることもストーリーを進める条件になる。

-ストーリーの最終的な目標は、優勝者に1つだけ願いを叶えてくれる「ほしふりの大会」で優勝すること。
--「ほしふりの大会」は各国代表が参加する大会でもあり、決勝戦ではマルタの国の代表と戦うことになる。大会に優勝するとストーリークリアとなり、以降は最強モンスターの育成やモンスター図鑑の完成、クリア後に開放される旅の扉の攻略などのやりこみ要素がメインとなる。

**本作の特徴
***モンスターを仲間にして育成し、冒険する
テリーはモンスターマスターとして最大3体のモンスターを連れて歩くことが出来る。最初の相棒はスライム1匹だが、やがては''魔王すらも仲間として連れて歩くことができる''。
-モンスターを仲間にする基本は『V』『VI』と同様に、「戦って倒す」こと。すると戦闘終了後に一定確率で「なかまになりたそうに こちらをみ」てくる。
--本作ならではの特徴として、アイテムの「肉」を与えることで確率を増すことができる。しかし、仲間になるかどうかは戦闘が終わるまでわからない。
--このほか、イベントで人からもらったり、配合(後述)でなければ手に入れられないものもいる。
--なお、とあるボスを撃破後に王様から「ボスには肉など不要だ。肉をあげなくても仲間になるモンスターは仲間になる」と言われるが、実は後半に登場する一部ボスモンスターは肉をあげる事で仲間にできる場合がある為、謎の矛盾が生じている。

-連れ歩ける仲間は3匹まで。それ以外のモンスターは「牧場」に預けられる。戦闘で得た経験値は牧場に預けられているモンスターにも少しだけ分けられるが、モンスターを預けっぱなしにしていると「やせい」というステータス(後述)が上昇してしまう。経験値や「やせい」を上げたくなければモンスターを「とうみん」させることもできる。

-モンスターの強さは【レベル】【能力値】【特技】【性格】【耐性】【+値】といった要素で決まる。
--【特技】はモンスターが使用できる呪文や技のこと。「メラ」「ホイミ」「レミラーマ」などシリーズ一般では「呪文」とされているものも、本作では「特技」として扱われている((呪文を跳ね返す「マホカンタ」等のために、分類としての呪文という区分は存在する。))。
---1つのモンスターにデフォルトで設定されている特技は3つだけだが、配合によって親が覚えていた特技も引き継がれる。さらに「ホイミ」→「ベホイミ」→「ベホマ」のように一定のレベルに達すると成長する特技や、複数の特技を組み合わせると「思いつく」特技もある。
---特技は基本的にレベルアップで覚えるが、それぞれの特技には覚えるのに必要な能力値が設定されており、これが足りないと条件を満たしても習得できない。
---モンスター1体が覚えられる特技は8種類までで、それ以上は忘れさせる必要がある。このため、モンスターごとの役割を考慮して特技を残さなければならない。
--【性格】は仲間にしたときや生まれたときに既に決まっているが、アイテムを使ったり戦闘でどの「さくせん」を選んだかによっても変わってくる。レベルが低いうちは性格が変わりやすい。
---性格によっては一定の確率で「かいしんのいちげき」相当の攻撃を出す、状態異常を必ず成功させる、MPを使わずに回復技を使うなど特殊な行動を起こしてくれることがある。『DQ3』と異なり、能力には影響しない。
---「ガンガンいこうぜ」「いろいろやろうぜ」「いのちをだいじに」の作戦を繰り返すことで、それぞれ攻撃・補助・回復の特技に適した性格になる。「めいれいさせろ」や「にげる」を多用するとやる気が下がり、積極的な行動を取らなくなる引き替えに攻撃を避けやすくなる。性格そのものに優劣はなくそれぞれ一長一短である。
--【耐性】は属性ごとに設定された抵抗力であり、不可視のパラメータとなっている。モンスターの種別ごとに基本値が決まっており、Lvアップでの成長もないが、配合によって親が持つ耐性をある程度は上乗せして継承させることができる。
--【+値】はモンスターの種族欄に「スライム+3」などと表記される数値のこと。仲間になったばかりの野生モンスターは0(表記なし)だが配合を重ねることで増え、子供にその数値が加算された状態で継承される。両親のうち高い方をベースに、レベルの合計次第で加算値が決まる。
---能力値・耐性の成長に大きく関係し、モンスターのレベルの成長上限を上げる効果も持つ。また、一部の配合では一定以上の+値が必要な場合がある。
--「やせい」というステータスが存在し、この数値が高いとモンスターがテリーの言う事を聞かずに何もしなかったり、性格に連動した自分勝手な行動を取ったりする。長く連れ歩いたり、肉を与えたりすることで数値が減少する。野生のモンスターを仲間にすると最初から高い値だが、卵から産まれたばかりのモンスターは0である。

***戦闘システム
戦闘中にテリーができるのは、「たたかう」「さくせん」「どうぐ」「にげる」の4つ。
-「さくせん」は攻撃重視の「ガンガンいこうぜ」、補助重視で特技を片っ端から使う「いろいろやろうぜ」、防御・回復重視の「いのちをだいじに」、行動をプレイヤー自身が決定する「めいれいさせろ」の4つがあり、モンスター1体ごとに別の「さくせん」を指示できる。戦闘前にどのような作戦で行動させるかを設定しておくことも可能。
--通信対戦では「どうぐ」が使えない。シナリオ中に出場することになる大会では「どうぐ」に加えて「めいれいさせろ」も封じられ、代わりに「とくぎつかうな」という通常攻撃のみを行う作戦が追加される。
//公式大会では命令禁止というルールでしたが、通常の通信対戦では普通に命令出来ます。

-「たたかう」ではあらかじめ設定した作戦・2ターン目以降は前のターンで指示された作戦に従って行動する。「めいれいさせろ」を選択していた場合は必ず通常攻撃を行う。

-「どうぐ」で使用できるのは基本的に回復アイテムや肉だが、杖を持っていれば魔法で攻撃することもできる。そのターン、モンスター達は「たたかう」選択時と同様の行動をとる。

***配合システム
モンスター同士の結婚のようなもので、オスとメスのモンスターを「配合」すると、組み合わせに応じて新たなモンスターがその子供として生まれる。オスとメスのカップルであればあらゆるモンスターを自由に配合可能。配合を終えると親はいなくなってしまうが、子供は両親の特技や能力値・耐性や「+値」を引き継ぎ、普通に仲間にするよりも強力なモンスターが入手できる。~
配合でしか入手できないモンスターもいるので、強いモンスターを手に入れるには計画的な育成が必要となる。

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**本作の魅力
***配合システムの奥深さ
-配合は「血統×相手」とあらわされ、原則として「血統」に選んだモンスターの系統のものが生まれる。例えば「スライム」を血統、「アントベア」を相手として配合すると、「スライム系×獣系」の配合となり、生まれる子どもはスライム系の「ぶちスライム」になる。
-配合の組み合わせは「悪魔系×獣系」のように該当する系統であればどんなモンスターでも成立するものから、特定の種族と特定の系統、あるいは特定の種族同士の配合でないと生まれないものもあり、自分で配合の組み合わせを発見していくことがこのゲームの醍醐味となっている。
-''親のモンスターはテリーの前から立ち去ってしまう''。また、卵から孵ったばかりのモンスターは一律でレベル1である。能力や特技を受け継ぐものの、不用意な配合を繰り返すと戦力低下してしまう。

-自分のモンスターだけでなく、ゲーム中の他のマスターが連れているモンスターや他のプレイヤーが連れているモンスターと配合(お見合い)することもできる。
--お見合いの場合は''自分の側のモンスターが血統になる''ため、自分と相手で生まれる子どもは異なる。このことを計算に入れておかないと、相手は珍しいモンスターを入手できたのに、自分はありふれたモンスターを入手してしまうことがある。また、通信プレイでのお見合いの場合はモンスターどうしの「性格」が合わないと配合できないので注意。

***旧作ファンを意識した演出
-ゲーム中に登場するモンスターは、有名どころを中心に当時の最新作である『VI』までからまんべんなく選ばれており、歴代の魔王も別形態のものを別モンスターとしてすべて網羅している。
--本作オリジナルのモンスターも多数登場。「ゴールデンスライム」「ローズバトラー」「にじくじゃく」など一部のモンスターは『[[VII>ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち]]』に逆輸入され、以降のシリーズにも顔を出している。

-''旅の扉のボス戦では旧作の名シーンが再現されており''、わたぼうの解説と相まって古参ユーザーを魅了する。
--「ローラ姫を持ち上げようとして失敗」といったパロディもあれば「未来の自分との戦い」という設定を上手く利用したクロスオーバーもある。また、クリア後の旅の扉では歴代作品の魔王がボスとしてプレイヤーを迎える。
--さらに''ボスのいる1つ前のフロアでは「地平の彼方へ」「さすらいのテーマ」など歴代作品のフィールド曲が流れる''。ボス戦前にどの作品が出典なのかが分かるこの演出もプレイヤーの胸を熱くした。どこかもの悲しさを感じさせる通常のフィールドBGMも、殺風景なグラフィックと相まって非常に印象深いものとなっている。

-発売当時、飲み会で大人たちが「お見合い」に興じたり子ども以上に大人がハマりこんだりしたといったエピソードがあるのも、こうした旧作ファンへの配慮あってこそである。また、本作がきっかけでドラクエシリーズに初めて触れた子どもたちも多く、GB版『I・II』『III』の発売にはこのソフトの影響があると思われる。

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**賛否両論点
***配合をやり込むとモンスターの個性が消えていく
モンスターの個性であるパラメータや耐性、覚える特技などは配合で全て変更でき、能力値は種や木の実で上限まで上げられるため、愛があれば「HPの高いはぐれメタル」「オールMAX((ただし素早さは511、賢さは255までしか上がらない。次回作ではどちらも999まで上げることが出来る。))・最強特技満載のスライム」なんてのもできる。これは「自分の好きなモンスターを強くしていつまでも使える」という評価点でもあるのだが、やりこめばやりこむほど手持ちのモンスター全てが似通った性能になってしまう。
-強さを極めるとなると、スライムだろうがりゅうおうだろうがステータスオールMAX、最強特技満載で定まってしまう。耐性に関しては種族固有の値に上乗せする形なので限界があるが、オールMAXが前提ならば重要な耐性は限られる上、敵AI制御の観点から完全耐性がベストとも限らない。
//元々が強耐性じゃないと完全耐性にはならない。そのため、ほぼ完全耐性になるのはダークドレアム、デスタムーア(最終)、しんりゅうの3体のみ。しかも例に挙げたスライムはほとんどの耐性が弱体性までしか上げられない。
-そのため本格的に対戦する場合、強力な物理攻撃である「さみだれぎり」や、完全耐性を持てない大技「マダンテ」などをぶっ放す、それらをダメージを10分の1に抑える特技「だいぼうぎょ」で受けた上で反撃などで戦法が非常に限られるため非常に大味。バランスもへったくれもない。
--公式大会は「めいれいさせろ禁止」「マダンテは1発のみ使用可能(2回使うと反則負け)」というルールで行われた。
-一方で、お気に入りのモンスターを好きなように強化できるという意味では、シリーズファンへ向けたゲームとして評価することもできる。
-『[[ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー]]』以降はモンスターの強弱をはっきりさせ、ある程度対戦バランスを改善したのだが、「パーティの固定化を招く」という別の問題点を生み出してしまった。
--とはいっても対戦ゲームで本格的に勝ちを狙うとなると、ある程度キャラが固定化されるのはどのジャンルでもしかたがないことではある。むしろ「どのモンスターを選んでも性能は殆ど一緒なので好きなモンスターで戦える」という一周回ってしまった自由度を持つこのシリーズの方が異様である。

***バランスブレイカーのグリズリー
-前述の通り本作はどのモンスターでも際限なく強化可能だがメタル狩り解禁前でレベル上げの手段の乏しいゲームクリア前ではそうはいかず、ストーリー攻略では成長の早さやステータスの伸び率が重視される。
--そんな本作において特に強力とされているのがグリズリーであり、獣系と悪魔系の基本配合で簡単に生まれるにも拘わらず攻撃力上昇値はなんと全モンスター中3位((1位はダークドレアム、2位はデスタムーア(最終形態)、同率3位はギガンテスとなっている。))と歴代魔王よりも高く設定されており、適当にしっぷうづきを撃っているだけで敵を薙ぎ倒してしまう。まさに序盤のバランスブレイカーの筆頭である。
--攻撃力以外の能力は平均以下なので流石に中盤以降は物足りなくなるが、物質系と配合するとこれまた強力なキラーマシンが生まれる等配合素材としても優秀であり全く無駄がない。
---逆に敵として出現した場合は下手なボスよりも危険であり、旅の扉でグリズリーの出現する階層ではHP管理に細心の注意を払う必要がある。

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**問題点
***モンスターの育成が作業化しやすい
努力次第で能力値を限界にすることができ、また強力なモンスターほど必要な経験値の量も莫大になるため、クリア後は「配合→レベル上げ」の繰り返しに終始しやすい。
-クリア後に行けるある旅の扉に「はぐれメタル」が大量に出現するフロアがあり、やりこんでいるうちに「配合→このフロアではぐれ狩り」というルーチンワークになりがちである。
--基本的にはぐれメタル以外のモンスターでは経験値効率が悪すぎるというのも問題。続編ではやや改善されている。

-ガチ対戦の土俵に立つには前述の通り能力と耐性をカンストさせなくてはならないため、それはもうマゾい作業を強いられる。

-しかも、今作では♂♀を狙って出現させる方法が無い為に運任せになってしまうのでかなりきつい。余計に作業感を感じてしまう。次回作以降ではフェロモンという特技を使えば狙って出現させる事が可能な為、この問題はクリアされている。

***セーブが不便
全体的にセーブシステムは妙な仕様が重なっていて、持ち運びながら遊ぶのに不便さを感じる人や、取り返しのつかない失敗をしてしまったというプレイヤーが後を絶たなかった(旅の扉内セーブと配合は次回作で改善された)。

-''旅の扉の中でセーブすることができない''ため、うっかり電源を切ってしまったり電池切れしたりすると全て1からやり直しになってしまう。バッテリー残量を示すランプが暗くなってきているのに扉の攻略中でセーブできない…という経験は誰でもあるはず。
--3階層ごとにランダムで登場するフロアのうち宝物庫(orミミック部屋)・教会・道具屋ではアイテムなしでセーブ可能だが、ランダムなので信頼性に欠ける。しかもこのランダムフロアの施設はセーブできないものの方が多い。
--「たびのしおり」があれば扉の中でもセーブできるが、一度使うとなくなってしまう。同一アイテムをまとめて持てない仕様上不便さを感じやすい。
---「たびのしおり」は道中で拾うことができず、買えるようになるのは「いかりのとびら」クリア後になる。そこまでの扉は10階層未満なので短時間で攻略できるが、以降はどんどん階層が増加していき長丁場になるのでほぼ必須アイテムと化す。特に上記「はぐれ狩り」を行うフロアは相当下の階層になるので、場合によっては二つ以上持ち込むことになるだろう((他国マスターの魔法使いに出会えれば20フロア下まで一気に飛べるので、それを利用するのが定石といわれている。))。
--全滅以外の脱出方法としては「キメラのつばさ」があるが、100Gする。ゴールドがろくに拾えない序盤だと結構な価格。
---「たびのしおり」と違い道中でも拾えるし、前述通り序盤ではそこまで攻略時間はかからないため購入するのはあまり効率がよくない。逆に中盤以降は「たびのしおり」と並ぶ必須アイテムと化すので、うっかり買い忘れて扉に入るとやや面倒。
//しかも、このアイテムが買えるようになるのは、なんとバトルレックス撃破後である中盤以降。なので、中盤まではすぐにセーブしてやめる為にはキメラのつばさを使うしかない。わざと全滅するという手を使うには時間がかかってしまう上にペナルティまでついてくるのでおすすめ出来ない。キメラのつばさも序盤で100Gという値段は結構高い。運良く道中で拾う事が出来れば良いのだが、なかなかそうはいかない。一応、3の倍数のフロアにランダムであらわれる道具屋や宝物庫では普通にセーブできるのだが、条件がランダムなため利用しにくい。先の「はぐれ狩り」のできるフロアがかなり下のほうにあり((他国マスターの魔法使いに出会えれば20フロア下まで一気に飛べるので、それを利用するのが定石といわれている))、プレイヤーが面倒くさがってノーセーブで行ってしまうのも、悲劇が起こりやすい一因である。これでは折角の携帯ゲームの長所が台無しである。これではスーパーゲームボーイやレトロフリーク等でテレビでプレイするか、アダプタを使って家でプレイするかになってしまう。これでは最早ゲームボーイのゲームとは呼びにくい。この点はそもそもゲームボーイ最初のRPGであるサガ1ですらクリアしていた問題である。ゲームボーイ版ドラクエⅠ、Ⅱでは中断の書機能を搭載したためこの問題はクリアされた。にも関わらず、次回作の2では何故か中断の書機能が無い。ドラクエⅠ、Ⅱよりも後なのに。一応、2は町の中でセーブ出来る為、セーブ出来る頻度が増えたのが救いではあるが...
//改行がなくて文章がくどいし、明らかに正確性と公平性に欠ける内容だったので変更

-逆に''配合をするときは強制的にセーブされてしまう''ため、モンスターの選択を間違えると取り返しのつかないことになる。
--一応どのモンスターが生まれるか教えてくれるのだが、レアかつ一度も仲間にしたことのないモンスターについては具体的に教えてくれない。

-牧場でモンスターの「とうみん」を行うと''説明も無しで強制的にセーブされてしまう''。
--セーブデータ領域に書き込むことで一時メモリを節約するための処理だと思われるが、事前にも事後にも説明は皆無。古くはファミコン版『DQ3』のルイーダの酒場でメンバー入れ替えのたびにセーブされるのと似たようなものだが、あちらははっきりと説明があった。

-「ぼうけんのしょ」が消えやすい上に、データを1つしか作れない。
--これは後のシリーズ作品にも受け継がれ、またナンバリング作品の『IX』も1つしか「ぼうけんのしょ」が作れないことから本シリーズになぞらえて批判されることがある。
---『IX』はこの他にも「ストーリーがあっさりしている」「クリアしてからのやりこみ要素の方がメインになっている」など、ナンバリング作品よりもモンスターズシリーズの特徴を多く持っている。

//''後半になると迷惑な大臣''
//-旅の扉からタイジュの国へ戻る(扉を攻略、全滅、キメラの翼での帰還など)と、大臣が薬草を1つくれる。回復特技・呪文が少ない序盤~前半は非常に助かるのだが、後半になると薬草はほぼいらない道具になるため、一転してありがた迷惑な代物になる。当時の『4コママンガ劇場』でもたびたびネタにされていた。
//--さすがに道具を持てないときには渡さないが、何度も扉をクリアするうちにいつの間にか薬草が手持ちいっぱいになることもしばしば。売るにしても本作では道具のまとめ売りができず持て余してしまう。
//使えばいいだけでは…漫画にネタにされてはいるもののひと手間変わるだけだしネタのために取り上げてるともいえますし

***仲間にできるモンスターが少ない
-牧場に19匹、冬眠枠を利用してさらに19匹、計38匹のモンスターしか預けることができない。モンスターは野性・イベント問わずどんどん仲間になるので、配合を保留したりするとあっという間に上限に達してしまう。
-初代『ポケモン』ですら240匹を預けられるので、比較対照として余計に少なく感じてしまう。
-通常枠と冬眠枠は一括で入れ替えるのみ。異なる枠に移し替えるには一旦手持ちを経由する必要があり、管理が煩雑になる。

***テトのゴールデンゴーレム詐欺
-ゲームを進めていくと同じマスターのテトからひょうがまじんとのお見合いを申し込まれるイベントが発生する。
-この時彼は「むりとは おもいますが ようがんまじんとなら さいこうなんです!」という発言をする。これはようがんまじんとひょうがまじんを配合すると物質系最強のゴールデンゴーレムが生まれる事を示唆している。
--しかしこの発言には裏があり、ゴールデンゴーレムが生まれるのはひょうがまじんを血統にした場合のみ、つまり得をするのはテト側だけで、主人公側はようがんまじんが返ってくるだけというとんだ茶番であり、素直にテトの言葉に従ったプレイヤーは泣きを見ることになる。
---尤も、この時点でようがんまじんを入手する手段は非常に限られており、実際に被害に遭ったプレイヤーは少ないと思われる。
---この件は四コマアンソロジーでも直球でネタにされていた((テトの言葉にカチンと来たテリーが頑張ってようがんまじんを入手するが、前述の結果に「騙されたー!」と怒るもの。))が、恐ろしいのはこれが漫画限定のギャグではなく''事実''である事である。
--ちなみに鳥系のモンスターとお見合いすると強力なホークブリザードが生まれるので、基本的にそちらの方が無難。

***通信対戦のペナルティ
-通信対戦の勝者は、敗者のモンスターを1匹奪うことができる(キャンセルは可能)。特に子供同士の場合、事前に取り決めておかないとトラブルになる恐れがある。
--なお、モンスターを別のセーブデータに移動させる唯一の手段でもあり、意図的な受け渡しのために使う手もある(お見合いの効率化など)。しかしその目的であれば、対戦とは別に通信交換システムを実装すれば済む話である。

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**総評
当時大ブームを起こしていたポケットモンスターのフォロワー作品ながら、国民的RPGであるドラゴンクエストシリーズのキャラクターを使用し、モンスターの性格や配合等システム面でも徹底的な差別化を図った事で大成功を収めた一作。~
本作のヒットにより「ドラゴンクエストモンスターズ」シリーズとして独立し、以降もシステムをマイナーチェンジしながらシリーズが続いている。

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**その後の展開
-2001年、本作の続編『[[ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵 ルカの旅立ち/イルの冒険]]』が発売された。通信お見合いで本作との連動も可能。

-2002年にはPlayStationで『ドラゴンクエストモンスターズ1・2 星降りの勇者と牧場の仲間たち』として移植された。続編『マルタのふしぎな鍵』とのカップリングであり、『マルタのふしぎな鍵』のモンスター・特技が使えるようになっている。

-2012年にはニンテンドー3DSで『[[ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D]]』の題でリメイクされた。新ストーリー・イベントが追加されているほか、基本システムが『ジョーカー』のものになり、4匹パーティやスカウトアタック、フィールド上のパーティ連れ歩きの廃止、ランダムエンカウントからシンボルエンカウントへの変更、『J2P』に登場したモンスターと「特性」の追加といった違いがある。

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**余談
-ポケモンを意識してか、旅の扉の世界にはときおり「他国マスター」と呼ばれるモンスターマスターが現れ、彼らに話しかけると戦闘になる。
--勝つとマスターの職業に応じてアイテムをもらえたり回復させてくれたりするが、彼らの真の存在意義はつれているモンスターにある。なんと、野生のものと同じく肉をあげることで''戦闘後に仲間にすることができる''。「人のものを盗むのはどろぼう!」どころか、ゲーム中でも普通に推奨されている。
--さらに他国マスターがつれているモンスターは普通では覚えられないはずの特技を覚えており、それらを手に入れるのにはもってこいである(代表的なのは''マダンテを覚えている「しにがみきぞく」'')。
--この仕様は『マルタのふしぎな鍵』や『ジョーカー』でも採用されており、『ジョーカー』では逆にこちらのモンスターを引き抜こうとする者もいる(必ず失敗するが)。
--後に「他国マスターにコキ使われて、忠誠心が薄いモンスターも多い」ということが分かっている。

-ドラクエシリーズおなじみの『4コママンガ劇場』のほか、『ドラゴンクエストモンスターズ+』(吉崎観音著)というストーリーマンガがある。
--『ドラゴンクエストモンスターズ+』は本作の後日談であり、主人公テリーを悪役に据えた異色作。DQシリーズ本編をリスペクトした内容で、やや矛盾したところもあるが、展開の上手さや魅力的なキャラクターがファンから高い評価を受けている。残念なことに打ち切り同然の最終回を迎えてしまったが、今でも連載再開を望む声が多い作品である。
--吉崎氏はその後、少年エースに移籍して『ケロロ軍曹』で大ブレイク。このことでエニックスは地団駄踏んで悔しがったとかなんとか。よほど心残りだったのか、3DSでのリメイクに伴って、2012年6月~8月にかけて新装版全5巻が発売され、同年7月発売の『月刊ガンガンJOKER』にて後日談的な話を描いた新作読切が掲載された。
//エピローグにあるシリーズのパッケージに見立てた本の描写からすると、ロト編に限らずシリーズ全体をなぞる予定だったと思われる

-実は、本作は''最初のゲームボーイカラー対応ソフト''である。当時はまだゲームボーイカラー自体が発売されておらず(約1か月後に発売)、同時期の他のソフトがカラー非対応だったことを考えるとかなり珍しい例といえる((後に合併するスクウェアもワンダースワンカラー発売前にカラーに対応したソフト『はたらくチョコボ』を発売したことがあり、「メーカーが売りにしているRPGのスピンオフ」という共通点がある。))。
--このため本作は発売時期によってカートリッジの色が異なり、初期は普通のゲームボーイ用ソフトと同じ灰色のカートリッジ、ゲームボーイカラー発売後はカラー対応ソフトであることを示すために黒いカートリッジになっている。
--カラー対応自体が後から決まったことなのか、発売前の雑誌や初期の攻略本ではモノクロの画面写真も使用されている。

-本作には''「99階まで潜れるダンジョンがある。ボスはダークドレアムで、倒すと仲間になる」''という都市伝説がある。もちろんデマなのだが、データ上は「敵としてのダークドレアム」が存在する。初期LV70で必ず仲間になるなどきちんとデータが設定されており、開発中にはそういう構想があったのかもしれない。
--この噂が広まったのはダークドレアムを配合するのに「1データに1体しか仲間に出来ない激レアモンスターを使う」というのが理由であろう(次作では別のモンスターでも配合できるようになっている)。

-テリーは主人公という事で作中では台詞が無い。その為、四コマアンソロジーなど大半のメディアでは子供らしい口調として描かれていた。
--しかし『マルタのふしぎな鍵』にて、子供の頃から『VI』時代と殆ど同じ口調だった事が判明している。続編までの間に変わって行った訳ではなく、[[PS版公式サイト>http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/psdqm12/top.html]]を見る限り、本作の時点で既にこういう言葉遣いだった模様(流石に後年ほど捻くれてはいないが)。