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パペッティア - (2022/02/21 (月) 02:21:09) のソース

*パペッティア
【ぱぺってぃあ】
|ジャンル|アクション|&amazon(B00DN3U23G)|~|
|対応機種|プレイステーション3|~|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|~|
|開発元|SCEジャパンスタジオ|~|~|
|発売日|2013年9月5日|~|~|
|定価|ディスク版:5,980円&br()ダウンロード版:4,900円(共に税込)|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[SIEワールドワイド・スタジオ作品]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
劇場をモチーフとした独特な世界観のアクションゲーム。~
ゲーム自体は比較的オーソドックスな2Dアクションだが、劇場を意識した作り込まれた舞台演出と、小ネタ満載の物語が特徴。~
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**あらすじ
月の女神に可愛がられていたリトルベアはある日突然、女神の『ムーンストーン』と魔法のはさみ『カリバス』を強奪し反乱、ムーンベアキングと名乗り女神を撃退する。~
そして、ムーンベアキングが王位を簒奪して以後、月は闇の世界へと変貌を遂げてしまう。~
それから3年、ムーンベアキングは地球から子供の魂を攫っては自身の部下である闇の軍勢へと変えていた。~
主人公クウタロウは同じように地球から攫われ、魂を人形に入れられた上、頭をもぎ取られてしまう。~
どうしようもないクウタロウは『カリバス』と『ムーンストーン』を狙う月の魔女に拾われ、彼女の手引きで『カリバス』を盗み出す。~
そしてその際、ムーンベアキングに捕らわれていた太陽の妖精ピカリナを助け出したクウタロウは地球へ帰るため、彼女とともに打倒ムーンベアキングの冒険へ旅立つのであった。~
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**特徴・評価点
***システム
-本作のアクションは、聖なるはさみ『カリバス』を使ったカットアクションが特徴となっている。
--ステージ内にはカットすることができるモノが多数配置されており、これらを切ることで進んでいく。
--ジャンプ中にカリバスを使うと「エアカット」となり一時的に浮遊することができ、また何かを切り続けている限り飛び続けられる。
---後半のステージではほとんどこれのみで進行する構成のステージも存在する。
--また、「レールカット」という、縫い目のような点線に沿って自動で切り進むアクションもある。

-次いで特徴的なのが、『ヘッド』。
--本来のヘッドを失ったクウタロウは、冒険の最中様々なヘッドを入手し自分の頭として使っていくことになる。
---新たなヘッドは、ステージ内の特定の場所を調べたり、イベントなどの際に入手できる。また、ステージ内に浮遊する「ヘッドポット」からはすでに入手したことのあるヘッドをランダムで入手できる。
---ヘッドの数は100に上り、収集要素としての側面も持っている。
--ヘッドごとに違う能力が備わっているということはないが、それぞれ固有のヘッドアクションがあり、特定の場所で特定のヘッドのアクションを行うことで、様々なギミックが発動する。
---ボーナスステージへ行く、大量のムンピー(マリオのコインのようなもの)を入手できる、別ルートやショートカットの出現、ボス戦で楽ができる等々。
--ヘッドは3つまでストックでき、ストック3つの状態で新たなヘッドに触れると、その段階で装備していたヘッドに上書きされる。
---アクションポイントで必要なヘッドを潰してしまうこともあるので、ヘッドを取るか、取るなら何を潰すか等状況によって取捨選択をしていくことも大事。
---とはいってもアクションできなかったからと言って重大な問題が生じるわけでもないが。
--ダメージを受けるとヘッドは体から飛んで行ってしまい、3秒以内に拾えないと失ってしまう。穴に落ちたりしても1つ失ってしまう。ヘッドが1つもない状態になると1ミスとなる。
---この仕様のためライフを失うことはあまりない。そのライフも初期値が多めな上、普通にプレイしているとみるみる増えていく。もっともそれ故ヌルゲーというわけではなく、それだけダメージを受ける機会が多いとも言える。
--ヘッドには付け替えていくものの他に、ストーリー進行で入手する「ヒーローヘッド」という特殊なものもある。
---攻略上重要なアクションが行えるようになるもので、全てで4つあり、ヘッド交換の必要がなくいつでも使えるものである。

-ゲーム中ではクウタロウ以外にサポートキャラも操作することになる。最序盤のみ猫のインヤン、以降は太陽の妖精ピカリナとなる。
--サポートキャラは無敵かつ画面内を縦横無尽に飛ぶことができ、ステージ内に多数仕込まれているギミックを捜索する役目を担う。
--2Pプレイの場合、2Pがサポートキャラを操作することになる。1Pプレイ時は画面内の捜索程度しかできないが、2Pプレイ時は、敵への攻撃やヘッドの回収、障害物の排除など行えることが大幅に増加する。
---これにより、2Pプレイでは大幅に難易度が低下する。しかし、仕込まれたギミックの多さから、あれやこれやと二人でワイワイ盛り上がりながら進めるという、1Pプレイとは少々趣の違ったプレイができる。
---また、2Pのやれることが多いため、メインとサポートという形態ながら、2Pが暇になることは少ない。
--ちなみに、サポート以外にもクウタロウからヘッドをもぎ取ったり、回収したヘッドを投げ捨てたりと、一種の妨害も可能。
---顔が見える距離だから面白いが''顔が見えないと感じが悪すぎる''という理由でオンラインプレイは断念された。

-ボス戦では、とどめの際などにQTEが挿入される。あまり良い印象を持たれないQTEだが、ネガティブな面を極力抑える努力がなされている。
--失敗するとダメージ判定となるが、ボタンが表示されるとスローになるため意外と余裕があり、その時間制限も分かるようになっているなど、取り立てて厳しいものではない。
--また、唐突にQTEイベントが始まるのではなく、プレイヤーのタイミングでイベントを開始させるようになっている。
--また、QTEイベントではクウタロウとボスのダイナミックな立ち回りが繰り広げられており、没入間を高め飽きさせないものになっている。

-難易度設定はなく、1Pプレイではそこそこ歯ごたえのあるアクションゲームとなる。
--上述の通り2Pプレイでは難易度は優しくなる。

-SCEファーストタイトルなので3Dテレビ・PSmoveにも対応している。
--舞台劇(下記参照)という設定で、且つムービーやカットシーンでダイナミックに動きまくる本作は、3D表示と抜群にマッチしている。
--PSmoveも同様で、ピカリナの操作とmoveとの親和性は非常に高い。

***世界観・演出
-本作は劇場をモチーフとしており、ゲームの物語自体が''劇場で公演されている演劇''であるという設定である。登場キャラクターも''演劇に出演している演者''であり、メタ的な発言も多い。
--タイトル画面ではナレーションによる劇場案内や諸注意が流れる。何パターンかあり、放置しているといろいろ聞ける。
---また、ステージセレクト画面でも、放置しているとナレーションによるガイダンスや出演を待つ舞台裏のキャラクター達の会話が流れる。こちらは''5分程度放置している必要があり''、普通にやっていたら恐らく気付かない。
--後でもう少し詳細に語るヘッドストーリーでは、劇中の''役''ではなく''演者''としての設定が語られる楽屋ネタも多い。
--物語上では相当数の小ネタが仕込まれており、''「私の魂の名前がそんな俗っぽいはずがない」「わふー!」「ビックウェーブに!」''といったパロディネタも豊富。
---中には''ディ○ニー''を意図したようなかなり危ないものもある。

-演出面でも劇場は強く意識されており、画面は常に観客席から舞台を見る視点で固定されている。
--2Dアクションだがスクロールはせず、舞台装置が転換してステージが進んでいく。
--ムービーシーンでも舞台装置の転換によりアングル変更が行われる。
-ライティングなどの演出や紙吹雪などで表現される効果などは本物の舞台を参考にしており、リアリティがある。また、舞台上のセットはあえて作り物としての手作り感が意識されて表現されている。
--ムービーシーンでは、個々のリアリティは維持しつつ、ゲームならではの現実ではあり得ないダイナミックな動きをする舞台装置も見られる。
--転換して新たなセットが登場する際は、全ての小道具がちゃんとそれぞれ揺れ動いており、細かなところまで作り込まれているのがよく分かる。こういう細かいところに注視してプレイしてみるのも面白いかもしれない。
-作中では狂言回しのナレーションの他、要所要所では観客からの歓声や笑い声も入り、本当に劇場で劇を見ているような没入間を味わえる。
-ステージ開始と終了時、またはステージ中にムービーが挟まれるのだが、このムービーは大作IPや大作CGアニメも真っ青なくらい、とにかく洒落にならないほど動きまくる。そのクオリティは何度見ても飽きないほどにずば抜けて高い。
-使用されているBGMは、「メリダとおそろしの森」や「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」等を手掛けた作曲家、パトリック・ドイルによるもので、捨てる曲が全くないほどの名曲揃いである。
--サウンドトラックを望む声も多いが、残念ながら2017年現在未だ発売されていない。

-ストーリー自体は月を舞台としたファンタジーである。
--本作における月は生命溢れる世界であり、森や海、荒野や町など様々なステージを進むことになる。ロボットや工場、宇宙のようなSF色の強いステージもある。
-ちなみに、コメディ的な演出や満載の小ネタからコミカルな作品だが、世界観の本質はダークファンタジー寄り。冷静に見てみると実はエグイ描写も多い。
--お笑い要素もブラックジョークは少なくない。

***キャラクター
-本作は各キャラクターもよく作られており、個性豊かな面々がひしめいている。

-本作を語るうえで欠かせないのは、劇場支配人で本作の案内人としてナレーションを務める、藤原啓治演じる''ミスターG''だろう。
--ストーリー進行に伴う物語の語りの他にも、ギミックやステージに関連はしていても物語的にはどうでもいいことを語り始めることも多い。むしろそちらの方が熱が入り、おかしなテンションになっていることもある。
--ボーナスステージでは特に顕著である。おかしな語りに耳を貸しすぎてタイムアップなんてこともある。
---狂言回しの域を超えて劇中へツッコむことも。
--ちなみに、本作は海外版が先に収録されており、そちらではダンディな感じだったらしいのだが、日本語では同じ雰囲気ではイメージに合わなかったため、藤原啓治が起用され軽薄さもあるキャラクターとなったとのこと。

-もう一人欠かせないのが、クウタロウのサポートキャラクターとして冒険に随伴する、松岡由貴が演じる''ピカリナ''。
--関西弁で話し、ギミックを動かしたりして画面内に動きがあるとことあるごとによく喋り、よくツッコむ。
--ナレーションにツッコんだり言い合いをしたりと、最もメタ的な発言の多いキャラでもあり、プレイヤーの間ではカワイイと評判。
--ちなみに声優の松岡由貴は関西出身である。

-この二人が特に凄まじくセリフ量が多いが、他のキャラクターもステージ中なにかと喋る。
--月の魔女エズマー・ポッツ、魔女の飼い猫インヤン、ムーンベアキング、その部下の12人の将軍、その他ステージ毎の脇役などキャラ数は地味に多いがそれぞれしっかりキャラ立ちしている。
---特に月の魔女は''チュートリアルの度にコスプレする''等いちいち芸が細かい。チュートリアル中にR2で触ったり攻撃したりすると、専用のリアクションを取ってプレイヤーを大笑いさせてくれる。
--他に特徴的なキャラクターなのが、雑魚敵である「デク」。蒸気機関にあくせく石炭をくべたり、クウタロウを攻撃するための仕掛けに自分が巻き込まれたり、タコの人形に頬ずりしたり、自分が作った雪玉に巻き込まれて転がったりと、画面の何気ない部分でコミカル且つ微笑ましい動きをし、プレイヤーを和ませてくれる。

-ちなみに、主人公クウタロウは本来のヘッドを失い、様々なヘッドを代用しながら進んでいくため、一切セリフはない。
--ただし、コミカルに動き回り感情を豊かに表現しているため、個性的な面々に囲まれながらも埋もれてしまってはいない。

-参加している声優は実力派の方々で、その演技も演劇的なものになっている。

***オマケ・やり込み要素
-ステージ開始時には、回収したヘッドの数、助けた子供の魂の数、ボーナスステージの発見およびクリアについてが表示される。

-上述の通りヘッドは100種類あり、ヘッドコレクションで入手したヘッドを閲覧することができる。
--ここではヘッドストーリーという、各ヘッドにまつわるちょっとした話を読むことができる。
---キャラの裏話や楽屋ネタ、月の生物の変な生態等々、全体的にネタに満ちたくだらなくも面白い話が並んでいる。
--しかるべき場所でヘッドアクションをしたかどうかも表示されており、集めるだけでなく実際に使用するというやり込みもある。
--入手できていないヘッドについては、ここで入手法についてのヒントを見ることができる。

-子供の魂は、ザコ敵のデクや中ボス的な存在のボロには子供の魂が詰め込まれており、これらからすべての魂を開放できたかどうかというものである。
--ボスであるボロはともかく、ザコであるデクは分かりづらい場所にいたり、ギミックをしっかり発動させていく必要があったりと見落とすことも多い。
---また、攻撃した反動でうっかり穴などに落としてしまうと魂の開放ができなくなってしまうため、足場が悪い場所では上手いこと攻撃する必要がある。

-発見したボーナスステージがプレイできるボーナスチャレンジもある。
--ストーリー上では発見したもののクリアできなかったものも、こちらでクリアできればクリア扱いとなる。
---ボーナス内でヘッドアクションがあるステージも多いが、ボーナスチャレンジでは必要なヘッドを装備した状態で開始でき、加えてヘッドアクションもこちらで初発動でもしっかり登録される。

-「絵本」というキャラクターのバックストーリーが読めるオマケ要素もある。各章クリア後に追加されていく。
--全編が藤原の朗読である。男も女も問わず藤原が様々な声色で演じている。故に若干シュールな場面も。
--しかし、内容自体は全体的にシリアスな雰囲気のお話である。
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**難点
-ムービーは多め。プレイヤーが操作できないパートは比較的多く挿入される。
--画面が固定のため没入していると違和感も少ないが、テンポを崩していると感じる人もいるだろう。
--また、やり直しの際などは特に煩わしさを感じることがある。
---一応細かくスキップすることができる。

-ヘッドは数が多いが、結局のところ収集要素でしかなくなっている面が強い。

-ゲーム自体はオーソドックスな2Dアクション。
--綺麗なグラフィックと独特の演出でそこに留まらない作品となっているが、ゲームプレイ自体は、良くも悪くも無難。
--ボス戦も演出はバリエーション豊かで大いに楽しませてくれるが、プレイヤーがやること自体に大した差はない。
---世界観に入り込めなかったりアクション優先だと、飽きが早いかもしれない。

-敵の少なさ。
--上述の通り、主にザコ敵はデクのみであり、その上ステージによってはろくに出てこない。
--敵と戦うことに重きがある作品ではないが、その面でのバリエーションの乏しさは目につく。
---一応狂暴化した動物といったものもでてくるが、1Pプレイでは避けるしかない障害物であることが主。

-ゲーム内で示されるやり込み要素は1Pプレイでも問題なく埋められるが、トロフィーとなると2Pプレイヤーが条件となるものもあり、一人でやり込むと面倒くさい。
--一度エンディングを見た後に入手可能になるヘッドのヘッドアクションでサポートキャラを2P仕様にすることができ、それでトロフィー回収もできるので、コントローラーを2つ用意する必要はない。ただし、そのヘッドを装備し続ける必要があり、また一度紛失すると取り直すのが面倒なのでやり辛さは残る。

//-全年齢対象で、子供を対象にしたゲームと思われるが、上述の通り内容的には子供向けというには疑問符のつく要素が濃すぎる。
//--そのため一見すると売りたい対象が散漫な印象もあり、その割に宣伝も薄かったため、売り上げは芳しくない結果に終わってしまった。
//--そもそもキャラクターデザイン自体日本人受けしにくく、日本市場での売り上げは最初から期待していないものと思われる。実際に海外では(でも)かなり高い評価を得ていた。
//憶測で語らないように。
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**総評
劇場をモチーフとした今までに類を見なかったゲームデザインが最大の特徴で、その表現・作り込みに対して尽きる事のないスタッフの愛が感じられる作品。~
その完成度は極めて高く、ストーリー・BGM・グラフィック・アクション性・ゲームバランス・キャラクター・設定、更にはネイティブフルハイビジョン対応・高く安定したフレームレート・皆無に近い不具合・3D立体視対応・PSmove対応と殆ど非の打ちどころが無い。~
あなたがこの世界観にのめり込めるなら、そのプレイ体験は素晴らしいものになるだろう。さぁあなたも魔法劇場へ!!~
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**その他
-PSNでは体験版の他にリハーサル版というものも配信されている。
--これは、「本番(製品)」に向けて準備中のステージやキャラクターを見ることができるというもので、専用のボイス・演出などを伴って進行する特殊なものである。
--制作側はプレイできるトレイラーのようなものと表現していた。
--これをベースに以下のようなものも制作されている。

-2013年8月30日にニコニコ生放送で放送された「電人☆ゲッチャ!」にてこれの為のみ「高橋名人ヘッド」が製作された。
--専用のヘッドアクションもある他、ボイスもこれ用に撮り下ろしている謎の力の入れようであった。
--期間限定で一時的に、名人仕様のリハーサル版が配信されていた。

-2013年11月8日に同じくニコニコ生放送で放送された「NGC『SIREN』10周年記念特別生放送」では、『[[SIREN]]』シリーズ10周年を記念して制作された「SIREN 10周年記念バージョン」が公開された。
--SIRENの主人公須田恭也のヘッドや屍人のビジュアルのザコ敵などが用意された。ヘッドアクションももちろん完備。
---元々身内で行われた記念イベント用に制作されたもののため、声はさすがにキャスト本人ではないが、専用のセリフも用意されており、SIRENファンがニヤリとできる要素も。
--こちらは、SIRENシリーズの制作に関わったスタッフが、今作にも多く携わっていることから実現したものである。
--配信を望む声も多いが、音沙汰はない。