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#contents() ---- *蒼穹紅蓮隊 【そうきゅうぐれんたい】 |ジャンル|縦スクロールシューティング|&image(TDja.jpg,http://www.amazon.co.jp/dp/B000069SGN,width=160)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3120&file=TDja.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3120&file=TDjb.jpg]]| |対応機種|アーケード(ST-V)|~| |販売元|エイティング|~| |開発元|ライジング|~| |稼働開始日|1996年9月|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| #clear **概要 -残機制縦スクロールSTG。ライジング開発、エイティング販売のSTG作品としては4作目。キャッチコピーは''「死角無し」''。 --「愚連隊」ではなく「紅蓮隊」。海外版のタイトルは「Terra Diver」 -''N.A.L.S.''(No blindspot All range Laser System:全方位照準固定システム)と銘打たれた広範囲ロックオンシステムが最大の特徴。 -『[[レイフォース]]』(タイトー)の系譜とも言える作品で、システムや背景の手法に強い影響を受けつつ独自の進化を遂げている。 -セガサターン互換のST-V基板を使用。なお、ST-Vロムカセットのラベルには「Terra Diver」のタイトル名も記載されているが、言語設定を変える事は出来ない。 **ストーリー >西暦2056年、生態系を取り巻く環境の悪化に伴い、人類は新たな居住地を求めて宇宙へと足を踏み出していた。~ 宇宙開発によって巨万の富を得た「企業」の影響力はときに国家をも凌ぐほどになり、こと火星開発に於いては「尽星」グループと「八福星間開発公司」の間で、どちらが主導権を得るかという争いが表面化しつつあった。~ プレイヤーは(株)尽星の私設自衛部隊、通称「蒼穹紅蓮隊」の一員となり、危険な任務を遂行することとなる。~ ~ ある日、所属不明の巨大な巡洋艦が、本社が置かれている東京府大田区の都市部へ向けて大気圏外から降下中であるとの情報が、高高度プラットフォーム「慶絡」より入った。~ 「慶絡」からは直ちに邀撃(ようげき)部隊が発進したが、降下速度の差からインターセプトは失敗、同部隊の本社到達は巡洋艦の6分後と算出された。~ 蒼穹紅蓮隊は本社ビルより緊急発進、敵と思しき巡洋艦迎撃に向かう。 **特徴 -縦スクロールSTGとしては珍しく横長の画面をフルに使った構成になっており、さらに自機の位置に応じて画面が横にある程度スクロールする。そのためか縦への強制スクロール速度は全体的に遅めになっている。 -操作はショット・ボム・ウェブ切り替えの3ボタン。ショットはセミオート(一回で数発発射)連射。 -ショットボタンを長押しする事で機体前方または全域にワイヤーフレーム状のウェブを展開。範囲内に入った敵を自動ロックオンし、ショットボタンを離す事でロックオンした敵に対して追尾攻撃を行なう。 --ウェブ切り替えボタンを押す事で、ウェブを&bold(){範囲が広い拡散型}と&bold(){範囲は狭まるが威力が高くなる集中型}に切り替える事ができる。 --敵のロックオン数によって入手スコアに倍率が掛かる様になっている。ロック数が3だと1倍、4で2倍…と増えていき、最高倍率はロック数8の6倍(機体により最大ロック数は異なる)。しかし、逆にロックオン数が1・2だとスコアが基本点の1/2に減らされてしまう。 -ボムはウェブ展開中だと範囲は小さいが多数発射される広域ボムに、ウェブを展開していないと前方に発射され効果時間も長い巨大な通常ボムに切り替わる。 --広域ボムはロックオンの有無で性能が変化する。敵をロックオンしていなければ広域ボムが自機の左上と右下から時計回りに敵の位置に関係なく発射、ロックしているとその敵目掛けて広域ボムが誘導される。つまり、実質的には計3種類のボムを使い分けることが可能。 --本作はどちらかと言えばボムを多用するゲームバランスとなっている。尚、ボムで敵を破壊すると入手スコアが基本点の1/4になる。 -高低差の概念があり、高空・低空の敵にはショットが当たらないが、立体的に展開するウェブの範囲内に収めることでロックオン攻撃が可能。 --同高度にいる小型の敵に接触するとミスになるが、中・大型の敵は押し戻されるだけでダメージを受けない。 ---- **機体とパイロット -自機は3種類から選択できる(PS版オリジナルモードのみ4種類)。それぞれ移動速度やショット、ウェブ範囲が異なる。 --S.O.Q-004「&ruby(トリュウ){屠竜}」[SWORDFISH] パイロット:八指多 薫 [KAORU]…バランス型。火力があり最も扱いやすい。ただし最大ロック数が6と最少で、後方への攻撃手段が無い。 ---拡散型ウェブ:半自立荷電曳導弾(EI-DOU)…前方半球状に展開する追尾型レーザー。射程・威力・速射性ともに平均的な性能。 ---集中型ウェブ:渦状磁界重粒子弾(PINPOINT)…自機の動きに合わせて前方円錐状に展開する拡散波動砲。捕捉範囲は狭いが射程と攻撃力に優れ、かなり強力。 --S.O.Q-010「&ruby(シデン){紫電}」[MACKEREL] パイロット:朏 良太[CARD]…スピード型。最大ロック数は中間の7。スピードとウェブ範囲に優れる一方、攻撃力に難がある。 ---拡散型ウェブ:全天熱光留照射機(ALLRANGE)…真球状に展開する直射型レーザー。後方や高空・低空の敵を捕捉しやすいが、連射性能や威力が低く殲滅力に欠ける。 ---集中型ウェブ:自己索識膨粒子弾(BOU-RYU)…前方半球状に展開する追尾型レーザー。威力は低めだが扱いやすい。 --S.O.Q-025「&ruby(ホウガ){鵬牙}」[SCALLOP]パイロット:国村 リカ[RUDY]…パワー型。スピードが遅い代わりに最大ロック数が8と最大。使いこなせれば面白いものの、非常に癖が強い機体。 ---拡散型ウェブ:無死角偏重粒子弾(RANDOM)…自機の動きと逆方向に円錐状に展開する拡散波動砲。全方向に展開可能で高威力だが、とにかく制御が難しい。 ---集中型ウェブ:索導粒荷無双砲弾(MU-SOU)…自機の動きに合わせて前方円錐状に展開する追尾型レーザー。威力は平凡。 --S.O.Q-026「&ruby(オウブ){黄武}」…PS版のみに登場する機体。パイロット:下新居田哲生。全ての面が優れたバランス無視性能。最大ロック数は9。 ---拡散型ウェブ:正式名称不明(HO-SEN)…真球状に展開する追尾型レーザー。火力の低さを克服したALLRANGEといったところ。 ---集中型ウェブ:正式名称不明(OUKA)…前方半球状に展開する直射型レーザー。使い勝手が良い上に瞬間火力が異様に高い。 ---- **評価点 -難易度は比較的高めだが、ボムの使い分け方を把握してしまえば一気に世界が広がる。簡単にロックオンできて見た目も楽しいウェブ一辺倒でもそれなりに進められるため、初心者もゲームに入りやすい。 -ウェブ操作とメインショットの使い分けを駆使する事でより戦略的な進め方が可能。 --広域の敵を同時に捕捉し、一掃できるウェブレーザーは非常に強力・爽快だが、連続展開に時間がかかる(ものによっては発射から着弾までにも時間がかかる)、ロックオンできない対象があるなど万能ではない。 --小さなザコや破壊可能敵ホーミングミサイルや遠くの敵などはメインショット、堅い敵や違う高度の敵などはウェブ、と使い分けると吉。~ 特に素早いザコをウェブで落とし損ねると懐に入られピンチになりやすいので、ショットで隙間を埋めることも重要になる。 --2人同時プレイでは、お互いの機体との距離が横に広く離れると画面がズームアウトし、広く使う事が出来る上に自機が小さく見えるので、視覚と感覚的にも弾除けがしやすくなる。2人同時プレイでもボムの所持数を制限される要素は無く、たくさん使えるし、ロックオンの撃ち漏らしを補い合うなど、お互いをサポートしながら進んでいける楽しさがある。アイテムの取り合い譲り合いがそれほど重要ではないので、シューティングゲーム全般における2人同時プレイ独特のグダグダな足の引っ張り合いには比較的なりにくい。 -重厚かつテンポの良い進行でゲームの空気に絶妙にマッチしたBGM・ポリゴンと2Dを融合させたハイセンスなグラフィック。 --BGMは『[[タクティクスオウガ]]』、『[[ファイナルファンタジータクティクス]]』、『[[レイディアントシルバーガン]]』などで数々の名曲を手掛けている崎元仁氏、効果音はSTGファンにはお馴染みの「さんたるる」こと並木学氏という豪華なタッグ。 --グラフィックだけでなく演出面も光っており、特に「戦車部隊を追って超高度から降下していく」という3面は、雲海から次々と現れる戦闘機群、雲海の切れ目から地上を走るボスを見下ろす場面、雲海を抜け地上に降りると現れる戦車部隊との高速スクロールによる戦闘、そして場面とシンクロした重厚なBGMなど、本作の見所として特に人気が高い。 --「敵弾が見辛い」という3D描画の2Dシューにありがちな問題点がほとんど気にならないのもポイント。 -緻密な設定のもとに繰り広げられる魅力的なハードSF世界。 --近未来を舞台に日本の宇宙開発企業が私設部隊を以て業務を妨害するライバル企業やテロリストを実力排除する、という独自のストーリーを表現するため、様々な演出が光る。その演出の数々がとても濃い。 ---スコアが「賞与(単位はNY:New Yen)」表記、敵味方に詳細に設定された兵器名、SS版の取扱説明書が「入社案内書」、戦闘が新聞やニュースで報道される移植版の中間ムービー(事実はしっかり隠蔽済み)などなど、目に見える演出から裏設定まで、隅々に作品の雰囲気作りが徹底されている。 #region(一例:「入社案内」) >''俺たち危険代行部隊。 敵迎撃が会社の業務さ!'' > >弊社「(株)尽星」は、各種衛星打ち上げの業務を担って日夜成長しつづける&br()世界有数の優良企業でございます。 > >創立当初は宇宙開発事業団の協力企業として各種業務を行ってまいりましたが、&br()その後の社内経営の合理化、効率的な機器運用などの徹底により、&br()宇宙開発関連事業を営む会社としては異例の速さで一部上場を成し遂げました。 > >弊社はその後も航空会社事業・実験機器製造事業・電子部品開発製造事業など&br()あらゆる分野への進出を果たし、20年余の輝ける実績を残してまいりました。 > >この急成長の推進力は、弊社会長ミアマの献身的な企業努力、そして創造力溢れる&br()未来世界への理想追求といった、他の企業には無い希望ある経営手腕によるものでございます。 > >弊社往還機業務のパイロット出身という現場主義の企業理念は、私たち従業員の&br()誇りであると同時に、輝ける未来を創造するために必要不可欠な姿勢と方向を指針する&br()頼れる人材として世界が注目しております。&br()現在その権力こそ後継者に譲り、会長としての職務に従事しておりますが、&br()ときには自ら往還機を操縦し地上と軌道上を往来するなど、精力的にその業務を&br()全うしております。 > >今回皆さんに所属いただく「蒼穹紅蓮隊」とは、弊社の私設自衛隊「JDF」の通称でございます。&br()紅蓮隊といった俗称で呼ばれておりますが、その業務内容はお得意様からの要請業務の&br()代行という弊社業務の第一線で活躍していただける部署でございます。 > >テクノロジーを駆使した最新鋭戦闘機のパイロットとして、弊社業務の重要な一端を&br()担っていただけますよう、心よりお待ち申し上げております。 #endregion 参考:[[蒼穹紅蓮隊 用語辞典(公式HP)>http://www.8ing.net/prd/soq/soq3.html]] --デカデカと表示される明朝体の文字による登場演出があったり、よく分からないがスゴそうな肩書きと識別名を持っていたり、全てのボスが専用のBGMを持っていたりと、ボスの存在感が際立つ。 #region(ボス名一覧) -並びは登場順。 --全翼型爆装機「&ruby(コクベツ){黒瞥}」[GAMBITER] --対宙対地上攻撃衛星「&ruby(シンセン){深閃}」[PERILDAWN] --大型戦術格闘攻撃機「&ruby(ドンリュウ){呑竜}」[DESCENTER] --汎用戦術戦闘宇宙機「&ruby(アキタカ){秋嵩}」[VICTIMIZER] --極地戦略輸送攻撃機「&ruby(カイホウ){海鳳}」[G-OMEN] --高高度中継滞空攻撃機「&ruby(バクザン){爆懺}」[ZODIAN] --全翼型戦闘爆装機「&ruby(コクベツ){黒瞥}・改」[GAMBITER2] --(PS版限定)光帯照射砲装備模擬戦艦「&ruby(ムソウ){霧葬}」 -これらの名は全て制式名ではなく、主人公側が付けたコードネームという設定。即興ってレベルじゃねーぞ。 --なお古くは『[[ゼビウス]]』でも「ゼビ語」と「地球側コードネーム」の2種類の名前がつけられている(例:「トーロイド(ゼビ語)=コイン(地球側コードネーム)」「バキュラ=フライングボード」等)。尤も地球側コードネームを知るプレイヤーは少ないが。 -特に4面ボスの秋嵩はその親しみやすい(?)識別名やフォルムから人気があり、「アキタカ君」「ノイエジール((『機動戦士ガンダム0083』に登場したモビルアーマーの名前))」などと呼ばれる。ちなみに専用BGM名も「突撃秋嵩君」だったりする。 - #endregion ---- **問題点 -本作は横画面の縦シューなのだが、敵弾の弾速が速いため難易度が高い。 --敵弾の速さに加え、同社の『[[バトルガレッガ]]』程では無いが、弾の量も多めなためノーボムでのプレイは相当に厳しい。 --ボムの出現頻度が高いため、ボムありきの難易度調整だと思われるが、無限には使えないのでボムに頼り切る事も出来ない。 --横画面の縦シューは必然的に敵と自機の距離が近くなるため、本作のような「高速弾・高頻度な攻撃」のシステムでは敵の攻撃を回避しにくくなり、難易度が上がるため相性が悪く、この事も本作が一般受けしなかった要因の一つと考えられる。 -「パワーアップレベルが低い程、アイテムが出現する周期が縮まる」という、整合性に欠けた仕様。 --パワーアップで強化されるのはショットのみで、主力のウェブやボムには影響がない。ショットの使用目的やスコア稼ぎ、ランク調整を考えると、パワーアップする利点が見当たらない。 --わざと初期状態で進行すると、道中だろうがボス戦だろうがかなりのペースでアイテムキャリアー(撃つと必ずアイテムを落とす雑魚)が出現し続ける。一定確率で出るボムをきっちり貯めていけば、ボスも比較的簡単にゴリ押しできてしまう。特に最終ボスは有無を言わさずボム連打で瞬殺する無慈悲な攻略法が定着してしまった。 ---また、アイテムは「小型パワーアップ」(複数取り溜めることでパワーレベルが1段階上昇)が多数ばら撒かれる中に、「大型パワーアップ」(1つ取ればパワーレベルが1段階上昇)と「ボム」が混じっている形になっている。目当てのボム以外は邪魔でしかないので、結果として避けなければならない弾が増えるのと同じである。パワーアップを避けようとして敵の弾に当たってしまうという本末転倒な事態もしばしば。 ---パワーアップの存在意義が少ないというのはある意味ライジングシューのお約束だが、それにしても少々味気ない。逆に言えば初期装備で十分なので、ミスからの復帰が容易という利点もあるのだが…(ちなみに本作はミスしてもパワーレベルは1段階下がるのみという点を見ても、復帰に関しては十分に配慮されている)。 -ボムの最大ストック数は7個で、それ以上重ね取りすると8個目が1000点、9個目が4000点、10個目が16000点…とスコアボーナスが入っていく。ここまでなら良いのだが、11個目以降は唐突に''65万5371点''という桁を1つ間違えたとしか思えないとんでもない高得点になる(法則通り×4なら64000点となり妥当な線。ちなみにステージ全敵破壊ボーナスですら50万点)。 --ボムを使ったりミスするとリセットされるため、ボム多用を前提としたバランスのこのゲームでは、稼ぎを突き詰めると悪い意味で神経をすり減らすようなプレイになってしまう。 --さらにアイテムキャリアーの中身は完全にランダムなため、ボムがどれだけ出るかは運次第。つまり「スコアを競う」というシューティングの遊び方の中でも大きな部分のひとつが運ゲーと化してしまう。運良く65万がポンポン入ったときの脳汁は凄まじいが…。 ---なお、ボムの得点はPS版では修正されている模様。しかしSS版ではAC同様65万点が入る。 -追尾型のレーザーは、敵の動きによっては発射から着弾までに大幅な時間差が生じる場合がある。このため、倒したと思ったザコにぶつかる凡ミスを犯しやすい。 --ただし予測が可能な範囲ではあるので、慣れれば特に問題はなくなる。 -自機の性能差がやや目立つ。具体的には屠竜が使いやすい上に高火力で最もクリアしやすいと言われている。逆に紫電は火力不足と射程の短さが目立ち、機動力の高さがあまり重要でないゲーム性ということもあって厳しい。~ 鵬牙はスペックは高いものの、とかく拡散ウェブが暴走しやすいクセモノ。PS版追加機の黄武に至っては完全に初心者救済用。 -紫電はショットを上げることで範囲及び誘導ミサイルがつき、鵬牙には敵に向けて曲がる誘導弾が追加される。この二機でのクリアには必要になる。…が、これまた稼ぎプレイをする上では完全に邪魔もの~ しかし上記にもある通りパワーアップはデメリットが有る、パワー最大まであげるには個数がいるため2段階(小型6個分)まで上げあとは屠竜同様避けに徹するのが効果的である。紫電に至ってはパワーアップアイテム全よけという事態も… -処理落ちの優先順位が不可解。処理が重くなるに従い、「敵弾表示」「プレイヤーのボタン入力」などが順次スキップされてしまう。敵が近く敵弾が速い本作でこれは非常にきつい。 -やり込みプレイに際して問題になる仕様・バグが多い。前述のボムストック11個めボーナスは言うに及ばず、稼ぎプレイにおいて問題になる仕様が数々ある。 --例えば紫電の集中型・屠竜の拡散型ウェブ共通の曲折誘導レーザー。着弾点から一定の範囲に攻撃判定が広がる仕様になっているがこれが問題で、ターゲット以外にもダメージを与えてしまう。ロックオン数でスコアに倍率がかかる本作でこれは致命的で、例えば1面ボスの両翼のロケットランチャーを均等に破壊する事が不可能。 --6面前哨戦ボス「爆懺」には、ロックオン数に関係なく獲得スコアが1/4(ボムによる撃破時相当)に落とされるというバグがあった。戦闘中にボムを使ってしまった場合、その倍率を最後まで保持してしまうらしい。本体が800000点のため、標準的なプレイだと5ロック(3倍)の所を2200000点(!)も落とされてしまう。 ---- **総評 -STGとして抑えるべき点は全て抑えてあり、キャッチコピーの「死角無し」の通り、死角の埋め方やボムの使い方を学ぶ事で一気にその世界に浸る事ができる。 -やや詰めが甘い部分は見受けられるが全体的な完成度は高く、とっつきやすさや洗練された演出など随所に光る点が見られる。 -だが、問題は本作がバトルガレッガの後だった事だった。ガレッガのゲームバランスはある意味偶然の産物と言える極めて危ういギリギリのものだったが、アーケードSTGプレイヤーはそれと同等のSTGエクスタシーをライジングに要求し、当然そうはいかなかった。 -エヴァやレイストームと時期が重なってしまったがために正当な評価を受けられず、続編も出せなかったことが非常に悔やまれる。 ---- **余談 -本作は悲劇の名作と呼ぶべきである。明朝体によるテロップや敵機体等が当時人気であった『新世紀エヴァンゲリオン』に酷似しているとして、パクリ扱いされ散々な評価を受けていた。 --偏見無しで見てみると明朝体テロップはともかく、機体は欠片も似ていない((精々(主人公側に)全翼型輸送機が登場したぐらいである。))。ボスのフォルムやギミックはむしろ『[[ストライカーズ1945]]』などの彩京シューを彷彿させる。 --&bold(){そもそも開発時期を考えればパクる事自体不可能な話である}(本作のロケテストの段階ではエヴァは未公開で、エヴァの「エ」すらも公になっていない。)。また、明朝体テロップに関しても映画版『金田一耕介シリーズ』等で知られる映画監督・市川昆氏の演出を元ネタとしている((これはエヴァの監督である庵野秀明氏も「市川崑監督の表現手法に対してのオマージュ」であることを公言しているので本作を「エヴァのパクリ」呼ばわりすること自体、元から愚か且つおかしな話である。))。%%逆に『[[金田一少年の事件簿シリーズ]]』では使わなかった。%% ---ただし開発中にエヴァの放送が開始され、類似性はスタッフも認識していたようで企画兼プログラマーの外山雄一氏は「[[パクったと思われるのが嫌で似ないように気を使った>http://www.asahi-net.or.jp/~IH9K-YNMT/KODO/creator2.html]]」と発言している。((更に「エヴァ語そのものやそれを想起させる言葉は禁止」「例の文字列を折り曲げるレイアウトは絶対禁止とした」と述べている。)) -同年発売だった『[[レイストーム]]』とはよく比較の対象にされた。 --ともにレイフォースの系譜にして3D描写を大胆に取り入れたという共通点がありながら、演出表現やゲーム性が全く別の方向に進んでいるのは興味深い。特に追尾レーザーの表現においてはレイストームが「瞬間的に収束する」のに対し、本作は「時間差で分散する」形を取っており、使用感にかなりの違いがある。 -登場人物というか、パイロットの背景設定にクセが強い。 --バツ1女性、その同僚の左遷された女性(しかも先述のバツ1女性に対し、百合的願望を密かに持っている)、会長の隠し子…と。PS版追加パイロットも角刈りのゴツいおっさん。 --この頃のSTGプレイ層は会社帰りの社会人も多かったため、そこをターゲットにしたのではないかと思われる。 -全ての業務妨害を仕向けていたライバル企業の名は「八福星間開発''公司''」と、モロにあの国な設定。もし本作が世界的ヒット作になってたらリアル企業問題に発展していたかもしれない。まあ、主人公サイドの「尽星」も同レベルに黒い企業なのだが。 -主人公機「屠龍」は「シューティングゲームヒストリカ」第三弾でフィギュア化された。 -セガサターンマガジン誌で小説が連載されていた。ゲームの世界観を忠実に再現しながらも、小説オリジナルのキャラクター(主人公の同僚やライバル会社の社員など)や機体が登場する独自の展開も。 ---3面の発進時の高高度中継滞空機「&ruby(ケイラク){慶絡}」の海外名は[E-QUATERM] ---- *移植 ||CENTER:BGCOLOR(crimson):COLOR(white):''『蒼穹紅蓮隊』''|CENTER:BGCOLOR(goldenrod):COLOR(white):''『蒼穹紅蓮隊 黄武出撃』''| |対応機種|セガサターン|プレイステーション| |発売元|エレクトロニック・アーツ・ビクター|データイースト| |開発元|ライジング|アウトバック| |発売日|1997年2月7日|1997年12月25日| |定価|>|5,800円| |廉価版|御徳用:1997年12月18日/2,940円|MajorWaveシリーズ アーケードヒッツ:&br()2003年5月22日/1,575円| -SS版は元が互換基板のST-Vなだけあって良移植と評判。累計スコアもしくは起動時間に応じて様々な追加オプションが解禁されるようになっており((詳しい条件は公式サイトに記載されている。))、同社の『魔法大作戦』『疾風魔法大作戦』『[[バトルガレッガ]]』の全BGMを聴ける((これも所定の累計スコアもしくは起動時間を満たすと「特別視聴」というオプションが解禁される。))というファンには嬉しい特典も収録されている。 --パッケージに大きく『御徳用』と書かれた廉価版が同じくEAVから出ている。こちらは『[[バトルガレッガ]]』の体験版も収録。 --余り知られていないが、SS版は難易度をランク5(AC標準難度)以外に変更すると、OPBGMがCD音源から内蔵音源へ切り替わる。 --本編のテロップで表示される日時が内蔵時計と連動している。 -PS版は『黄武出撃』のサブタイトルが付加されたものとなり、自機とステージの追加・オペレータボイス挿入と大幅なリニューアルが施された。しかしロード時間と処理落ちが激しい影響で音楽と演出のタイミングが全く合わない事や、操作感も悪化。 -追加機体「黄武」の性能がチート寸前、サターン版にあったBGM特典がないなど、賛否が分かれている。追加ステージ(最終ステージ)も、いきなりトンデモ兵器が登場する超展開なわりには、実質ただの背景的なモノにすぎず手抜きなため批判を受けやすい。 --オペレータのCVはエヴァンゲリオンの伊吹マヤと同じ長沢美樹氏。開き直ったのだろうか。 ---サターンとPSではハードの性能差で、どうしても移植度が違ってしまうため、そのままではただの劣化移植になってしまうのでオマケ要素をたくさん追加したという点は評価しても良いだろう。 ---販売はデータイースト、移植はアウトバック((伊藤忠商事系列のデベロッパーで、過去には『らんま1/2 奥義邪暗拳(SFC/PC98)』、『クマのプー太郎(PS)』などの開発やIBM-PC/MAC用の海外ゲームの輸入販売も手掛けていた。尚、会社組織は既に解散しており現存していない。))が行っており、オリジナルのスタッフはあまり関与していなかった模様(追加パイロットのデザインのみ?)。尚、廉価版『MajorWaveシリーズ アーケードヒッツ 蒼穹紅蓮隊』はハムスターより発売された。
#contents() ---- *蒼穹紅蓮隊 【そうきゅうぐれんたい】 |ジャンル|縦スクロールシューティング|&image(TDja.jpg,http://www.amazon.co.jp/dp/B000069SGN,width=160)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3120&file=TDja.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=3120&file=TDjb.jpg]]| |対応機種|アーケード(ST-V)|~| |販売元|エイティング|~| |開発元|ライジング|~| |稼働開始日|1996年9月|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| #clear **概要 -残機制縦スクロールSTG。ライジング開発、エイティング販売のSTG作品としては4作目。キャッチコピーは''「死角無し」''。 --「愚連隊」ではなく「紅蓮隊」。海外版のタイトルは「Terra Diver」 -''N.A.L.S.''(No blindspot All range Laser System:全方位照準固定システム)と銘打たれた広範囲ロックオンシステムが最大の特徴。 -『[[レイフォース]]』(タイトー)の系譜とも言える作品で、システムや背景の手法に強い影響を受けつつ独自の進化を遂げている。 -セガサターン互換のST-V基板を使用。なお、ST-Vロムカセットのラベルには「Terra Diver」のタイトル名も記載されているが、言語設定を変える事は出来ない。 **ストーリー >西暦2056年、生態系を取り巻く環境の悪化に伴い、人類は新たな居住地を求めて宇宙へと足を踏み出していた。~ 宇宙開発によって巨万の富を得た「企業」の影響力はときに国家をも凌ぐほどになり、こと火星開発に於いては「尽星」グループと「八福星間開発公司」の間で、どちらが主導権を得るかという争いが表面化しつつあった。~ プレイヤーは(株)尽星の私設自衛部隊、通称「蒼穹紅蓮隊」の一員となり、危険な任務を遂行することとなる。~ ~ ある日、所属不明の巨大な巡洋艦が、本社が置かれている東京府大田区の都市部へ向けて大気圏外から降下中であるとの情報が、高高度プラットフォーム「慶絡」より入った。~ 「慶絡」からは直ちに邀撃(ようげき)部隊が発進したが、降下速度の差からインターセプトは失敗、同部隊の本社到達は巡洋艦の6分後と算出された。~ 蒼穹紅蓮隊は本社ビルより緊急発進、敵と思しき巡洋艦迎撃に向かう。 **特徴 -縦スクロールSTGとしては珍しく横長の画面をフルに使った構成になっており、さらに自機の位置に応じて画面が横にある程度スクロールする。そのためか縦への強制スクロール速度は全体的に遅めになっている。 -操作はショット・ボム・ウェブ切り替えの3ボタン。ショットはセミオート(一回で数発発射)連射。 -ショットボタンを長押しする事で機体前方または全域にワイヤーフレーム状のウェブを展開。範囲内に入った敵を自動ロックオンし、ショットボタンを離す事でロックオンした敵に対して追尾攻撃を行なう。 --ウェブ切り替えボタンを押す事で、ウェブを&bold(){範囲が広い拡散型}と&bold(){範囲は狭まるが威力が高くなる集中型}に切り替える事ができる。 --敵のロックオン数によって入手スコアに倍率が掛かる様になっている。ロック数が3だと1倍、4で2倍…と増えていき、最高倍率はロック数8の6倍(機体により最大ロック数は異なる)。しかし、逆にロックオン数が1・2だとスコアが基本点の1/2に減らされてしまう。 -ボムはウェブ展開中だと範囲は小さいが多数発射される広域ボムに、ウェブを展開していないと前方に発射され効果時間も長い巨大な通常ボムに切り替わる。 --広域ボムはロックオンの有無で性能が変化する。敵をロックオンしていなければ広域ボムが自機の左上と右下から時計回りに敵の位置に関係なく発射、ロックしているとその敵目掛けて広域ボムが誘導される。つまり、実質的には計3種類のボムを使い分けることが可能。 --本作はどちらかと言えばボムを多用するゲームバランスとなっている。尚、ボムで敵を破壊すると入手スコアが基本点の1/4になる。 -高低差の概念があり、高空・低空の敵にはショットが当たらないが、立体的に展開するウェブの範囲内に収めることでロックオン攻撃が可能。 --同高度にいる小型の敵に接触するとミスになるが、中・大型の敵は押し戻されるだけでダメージを受けない。 ---- **機体とパイロット -自機は3種類から選択できる(PS版オリジナルモードのみ4種類)。それぞれ移動速度やショット、ウェブ範囲が異なる。 --S.O.Q-004「&ruby(トリュウ){屠竜}」[SWORDFISH] パイロット:八指多 薫 [KAORU]…バランス型。火力があり最も扱いやすい。ただし最大ロック数が6と最少で、後方への攻撃手段が無い。 ---拡散型ウェブ:半自立荷電曳導弾(EI-DOU)…前方半球状に展開する追尾型レーザー。射程・威力・速射性ともに平均的な性能。 ---集中型ウェブ:渦状磁界重粒子弾(PINPOINT)…自機の動きに合わせて前方円錐状に展開する拡散波動砲。捕捉範囲は狭いが射程と攻撃力に優れ、かなり強力。 --S.O.Q-010「&ruby(シデン){紫電}」[MACKEREL] パイロット:朏 良太[CARD]…スピード型。最大ロック数は中間の7。スピードとウェブ範囲に優れる一方、攻撃力に難がある。 ---拡散型ウェブ:全天熱光留照射機(ALLRANGE)…真球状に展開する直射型レーザー。後方や高空・低空の敵を捕捉しやすいが、連射性能や威力が低く殲滅力に欠ける。 ---集中型ウェブ:自己索識膨粒子弾(BOU-RYU)…前方半球状に展開する追尾型レーザー。威力は低めだが扱いやすい。 --S.O.Q-025「&ruby(ホウガ){鵬牙}」[SCALLOP]パイロット:国村 リカ[RUDY]…パワー型。スピードが遅い代わりに最大ロック数が8と最大。使いこなせれば面白いものの、非常に癖が強い機体。 ---拡散型ウェブ:無死角偏重粒子弾(RANDOM)…自機の動きと逆方向に円錐状に展開する拡散波動砲。全方向に展開可能で高威力だが、とにかく制御が難しい。 ---集中型ウェブ:索導粒荷無双砲弾(MU-SOU)…自機の動きに合わせて前方円錐状に展開する追尾型レーザー。威力は平凡。 --S.O.Q-026「&ruby(オウブ){黄武}」…PS版のみに登場する機体。パイロット:下新居田哲生。全ての面が優れたバランス無視性能。最大ロック数は9。 ---拡散型ウェブ:正式名称不明(HO-SEN)…真球状に展開する追尾型レーザー。火力の低さを克服したALLRANGEといったところ。 ---集中型ウェブ:正式名称不明(OUKA)…前方半球状に展開する直射型レーザー。使い勝手が良い上に瞬間火力が異様に高い。 ---- **評価点 -難易度は比較的高めだが、ボムの使い分け方を把握してしまえば一気に世界が広がる。簡単にロックオンできて見た目も楽しいウェブ一辺倒でもそれなりに進められるため、初心者もゲームに入りやすい。 -ウェブ操作とメインショットの使い分けを駆使する事でより戦略的な進め方が可能。 --広域の敵を同時に捕捉し、一掃できるウェブレーザーは非常に強力・爽快だが、連続展開に時間がかかる(ものによっては発射から着弾までにも時間がかかる)、ロックオンできない対象があるなど万能ではない。 --小さなザコや破壊可能敵ホーミングミサイルや遠くの敵などはメインショット、堅い敵や違う高度の敵などはウェブ、と使い分けると吉。~ 特に素早いザコをウェブで落とし損ねると懐に入られピンチになりやすいので、ショットで隙間を埋めることも重要になる。 --2人同時プレイでは、お互いの機体との距離が横に広く離れると画面がズームアウトし、広く使う事が出来る上に自機が小さく見えるので、視覚と感覚的にも弾除けがしやすくなる。2人同時プレイでもボムの所持数を制限される要素は無く、たくさん使えるし、ロックオンの撃ち漏らしを補い合うなど、お互いをサポートしながら進んでいける楽しさがある。アイテムの取り合い譲り合いがそれほど重要ではないので、シューティングゲーム全般における2人同時プレイ独特のグダグダな足の引っ張り合いには比較的なりにくい。 -重厚かつテンポの良い進行でゲームの空気に絶妙にマッチしたBGM・ポリゴンと2Dを融合させたハイセンスなグラフィック。 --BGMは『[[タクティクスオウガ]]』、『[[ファイナルファンタジータクティクス]]』、『[[レイディアントシルバーガン]]』などで数々の名曲を手掛けている崎元仁氏、効果音はSTGファンにはお馴染みの「さんたるる」こと並木学氏という豪華なタッグ。 --グラフィックだけでなく演出面も光っており、特に「戦車部隊を追って超高度から降下していく」という3面は、雲海から次々と現れる戦闘機群、雲海の切れ目から地上を走るボスを見下ろす場面、雲海を抜け地上に降りると現れる戦車部隊との高速スクロールによる戦闘、そして場面とシンクロした重厚なBGMなど、本作の見所として特に人気が高い。 --「敵弾が見辛い」という3D描画の2Dシューにありがちな問題点がほとんど気にならないのもポイント。 -緻密な設定のもとに繰り広げられる魅力的なハードSF世界。 --近未来を舞台に日本の宇宙開発企業が私設部隊を以て業務を妨害するライバル企業やテロリストを実力排除する、という独自のストーリーを表現するため、様々な演出が光る。その演出の数々がとても濃い。 ---スコアが「賞与(単位はNY:New Yen)」表記、敵味方に詳細に設定された兵器名、SS版の取扱説明書が「入社案内書」、戦闘が新聞やニュースで報道される移植版の中間ムービー(事実はしっかり隠蔽済み)などなど、目に見える演出から裏設定まで、隅々に作品の雰囲気作りが徹底されている。 #region(一例:「入社案内」) >''俺たち危険代行部隊。 敵迎撃が会社の業務さ!'' > >弊社「(株)尽星」は、各種衛星打ち上げの業務を担って日夜成長しつづける&br()世界有数の優良企業でございます。 > >創立当初は宇宙開発事業団の協力企業として各種業務を行ってまいりましたが、&br()その後の社内経営の合理化、効率的な機器運用などの徹底により、&br()宇宙開発関連事業を営む会社としては異例の速さで一部上場を成し遂げました。 > >弊社はその後も航空会社事業・実験機器製造事業・電子部品開発製造事業など&br()あらゆる分野への進出を果たし、20年余の輝ける実績を残してまいりました。 > >この急成長の推進力は、弊社会長ミアマの献身的な企業努力、そして創造力溢れる&br()未来世界への理想追求といった、他の企業には無い希望ある経営手腕によるものでございます。 > >弊社往還機業務のパイロット出身という現場主義の企業理念は、私たち従業員の&br()誇りであると同時に、輝ける未来を創造するために必要不可欠な姿勢と方向を指針する&br()頼れる人材として世界が注目しております。&br()現在その権力こそ後継者に譲り、会長としての職務に従事しておりますが、&br()ときには自ら往還機を操縦し地上と軌道上を往来するなど、精力的にその業務を&br()全うしております。 > >今回皆さんに所属いただく「蒼穹紅蓮隊」とは、弊社の私設自衛隊「JDF」の通称でございます。&br()紅蓮隊といった俗称で呼ばれておりますが、その業務内容はお得意様からの要請業務の&br()代行という弊社業務の第一線で活躍していただける部署でございます。 > >テクノロジーを駆使した最新鋭戦闘機のパイロットとして、弊社業務の重要な一端を&br()担っていただけますよう、心よりお待ち申し上げております。 #endregion 参考:[[蒼穹紅蓮隊 用語辞典(公式HP)>http://www.8ing.net/prd/soq/soq3.html]] --デカデカと表示される明朝体の文字による登場演出があったり、よく分からないがスゴそうな肩書きと識別名を持っていたり、全てのボスが専用のBGMを持っていたりと、ボスの存在感が際立つ。 #region(ボス名一覧) -並びは登場順。 --全翼型爆装機「&ruby(コクベツ){黒瞥}」[GAMBITER] --対宙対地上攻撃衛星「&ruby(シンセン){深閃}」[PERILDAWN] --大型戦術格闘攻撃機「&ruby(ドンリュウ){呑竜}」[DESCENTER] --汎用戦術戦闘宇宙機「&ruby(アキタカ){秋嵩}」[VICTIMIZER] --極地戦略輸送攻撃機「&ruby(カイホウ){海鳳}」[G-OMEN] --高高度中継滞空攻撃機「&ruby(バクザン){爆懺}」[ZODIAN] --全翼型戦闘爆装機「&ruby(コクベツ){黒瞥}・改」[GAMBITER2] --(PS版限定)光帯照射砲装備模擬戦艦「&ruby(ムソウ){霧葬}」 -これらの名は全て制式名ではなく、主人公側が付けたコードネームという設定。即興ってレベルじゃねーぞ。 --なお古くは『[[ゼビウス]]』でも「ゼビ語」と「地球側コードネーム」の2種類の名前がつけられている(例:「トーロイド(ゼビ語)=コイン(地球側コードネーム)」「バキュラ=フライングボード」等)。尤も地球側コードネームを知るプレイヤーは少ないが。 -特に4面ボスの秋嵩はその親しみやすい(?)識別名やフォルムから人気があり、「アキタカ君」「ノイエジール((『機動戦士ガンダム0083』に登場したモビルアーマーの名前))」などと呼ばれる。ちなみに専用BGM名も「突撃秋嵩君」だったりする。 - #endregion ---- **問題点 -本作は横画面の縦シューなのだが、敵弾の弾速が速いため難易度が高い。 --敵弾の速さに加え、同社の『[[バトルガレッガ]]』程では無いが、弾の量も多めなためノーボムでのプレイは相当に厳しい。 --ボムの出現頻度が高いため、ボムありきの難易度調整だと思われるが、無限には使えないのでボムに頼り切る事も出来ない。 --横画面の縦シューは必然的に敵と自機の距離が近くなるため、本作のような「高速弾・高頻度な攻撃」のシステムでは敵の攻撃を回避しにくくなり、難易度が上がるため相性が悪く、この事も本作が一般受けしなかった要因の一つと考えられる。 -「パワーアップレベルが低い程、アイテムが出現する周期が縮まる」という、整合性に欠けた仕様。 --パワーアップで強化されるのはショットのみで、主力のウェブやボムには影響がない。ショットの使用目的やスコア稼ぎ、ランク調整を考えると、パワーアップする利点が見当たらない。 --わざと初期状態で進行すると、道中だろうがボス戦だろうがかなりのペースでアイテムキャリアー(撃つと必ずアイテムを落とす雑魚)が出現し続ける。一定確率で出るボムをきっちり貯めていけば、ボスも比較的簡単にゴリ押しできてしまう。特に最終ボスは有無を言わさずボム連打で瞬殺する無慈悲な攻略法が定着してしまった。 ---また、アイテムは「小型パワーアップ」(複数取り溜めることでパワーレベルが1段階上昇)が多数ばら撒かれる中に、「大型パワーアップ」(1つ取ればパワーレベルが1段階上昇)と「ボム」が混じっている形になっている。目当てのボム以外は邪魔でしかないので、結果として避けなければならない弾が増えるのと同じである。パワーアップを避けようとして敵の弾に当たってしまうという本末転倒な事態もしばしば。 ---パワーアップの存在意義が少ないというのはある意味ライジングシューのお約束だが、それにしても少々味気ない。逆に言えば初期装備で十分なので、ミスからの復帰が容易という利点もあるのだが…(ちなみに本作はミスしてもパワーレベルは1段階下がるのみという点を見ても、復帰に関しては十分に配慮されている)。 -ボムの最大ストック数は7個で、それ以上重ね取りすると8個目が1000点、9個目が4000点、10個目が16000点…とスコアボーナスが入っていく。ここまでなら良いのだが、11個目以降は唐突に''65万5371点''という桁を1つ間違えたとしか思えないとんでもない高得点になる(法則通り×4なら64000点となり妥当な線。ちなみにステージ全敵破壊ボーナスですら50万点)。 --ボムを使ったりミスするとリセットされるため、ボム多用を前提としたバランスのこのゲームでは、稼ぎを突き詰めると悪い意味で神経をすり減らすようなプレイになってしまう。 --さらにアイテムキャリアーの中身は完全にランダムなため、ボムがどれだけ出るかは運次第。つまり「スコアを競う」というシューティングの遊び方の中でも大きな部分のひとつが運ゲーと化してしまう。運良く65万がポンポン入ったときの脳汁は凄まじいが…。 ---なお、ボムの得点はPS版では修正されている模様。しかしSS版ではAC同様65万点が入る。 -追尾型のレーザーは、敵の動きによっては発射から着弾までに大幅な時間差が生じる場合がある。このため、倒したと思ったザコにぶつかる凡ミスを犯しやすい。 --ただし予測が可能な範囲ではあるので、慣れれば特に問題はなくなる。 -自機の性能差がやや目立つ。具体的には屠竜が使いやすい上に高火力で最もクリアしやすいと言われている。逆に紫電は火力不足と射程の短さが目立ち、機動力の高さがあまり重要でないゲーム性ということもあって厳しい。~ 鵬牙はスペックは高いものの、とかく拡散ウェブが暴走しやすいクセモノ。PS版追加機の黄武に至っては完全に初心者救済用。 -紫電はショットを上げることで範囲及び誘導ミサイルがつき、鵬牙には敵に向けて曲がる誘導弾が追加される。この二機でのクリアには必要になる。…が、これまた稼ぎプレイをする上では完全に邪魔もの~ しかし上記にもある通りパワーアップはデメリットが有る、パワー最大まであげるには個数がいるため2段階(小型6個分)まで上げあとは屠竜同様避けに徹するのが効果的である。紫電に至ってはパワーアップアイテム全よけという事態も… -処理落ちの優先順位が不可解。処理が重くなるに従い、「敵弾表示」「プレイヤーのボタン入力」などが順次スキップされてしまう。敵が近く敵弾が速い本作でこれは非常にきつい。 -やり込みプレイに際して問題になる仕様・バグが多い。前述のボムストック11個めボーナスは言うに及ばず、稼ぎプレイにおいて問題になる仕様が数々ある。 --例えば紫電の集中型・屠竜の拡散型ウェブ共通の曲折誘導レーザー。着弾点から一定の範囲に攻撃判定が広がる仕様になっているがこれが問題で、ターゲット以外にもダメージを与えてしまう。ロックオン数でスコアに倍率がかかる本作でこれは致命的で、例えば1面ボスの両翼のロケットランチャーを均等に破壊する事が不可能。 --6面前哨戦ボス「爆懺」には、ロックオン数に関係なく獲得スコアが1/4(ボムによる撃破時相当)に落とされるというバグがあった。戦闘中にボムを使ってしまった場合、その倍率を最後まで保持してしまうらしい。本体が800000点のため、標準的なプレイだと5ロック(3倍)の所を2200000点(!)も落とされてしまう。 ---- **総評 -STGとして抑えるべき点は全て抑えてあり、キャッチコピーの「死角無し」の通り、死角の埋め方やボムの使い方を学ぶ事で一気にその世界に浸る事ができる。 -やや詰めが甘い部分は見受けられるが全体的な完成度は高く、とっつきやすさや洗練された演出など随所に光る点が見られる。 -だが、問題は本作がバトルガレッガの後だった事だった。ガレッガのゲームバランスはある意味偶然の産物と言える極めて危ういギリギリのものだったが、アーケードSTGプレイヤーはそれと同等のSTGエクスタシーをライジングに要求し、当然そうはいかなかった。 -エヴァやレイストームと時期が重なってしまったがために正当な評価を受けられず、続編も出せなかったことが非常に悔やまれる。 ---- **余談 -本作は悲劇の名作と呼ぶべきである。明朝体によるテロップや敵機体等が当時人気であった『新世紀エヴァンゲリオン』に酷似しているとして、パクリ扱いされ散々な評価を受けていた。 --偏見無しで見てみると明朝体テロップはともかく、機体は欠片も似ていない((精々(主人公側に)全翼型輸送機が登場したぐらいである。))。ボスのフォルムやギミックはむしろ『[[ストライカーズ1945]]』などの彩京シューを彷彿させる。 --&bold(){そもそも開発時期を考えればパクる事自体不可能な話である}(本作のロケテストの段階ではエヴァは未公開で、エヴァの「エ」すらも公になっていない。)。また、明朝体テロップに関しても映画版『金田一耕介シリーズ』等で知られる映画監督・市川昆氏の演出を元ネタとしている((これはエヴァの監督である庵野秀明氏も「市川崑監督の表現手法に対してのオマージュ」であることを公言しているので本作を「エヴァのパクリ」呼ばわりすること自体、元から愚か且つおかしな話である。))。%%逆に『[[金田一少年の事件簿シリーズ]]』では使わなかった。%% ---ただし開発中にエヴァの放送が開始され、類似性はスタッフも認識していたようで企画兼プログラマーの外山雄一氏は「[[パクったと思われるのが嫌で似ないように気を使った>http://www.asahi-net.or.jp/~IH9K-YNMT/KODO/creator2.html]]」と発言している。((更に「エヴァ語そのものやそれを想起させる言葉は禁止」「例の文字列を折り曲げるレイアウトは絶対禁止とした」と述べている。)) -同年発売だった『[[レイストーム]]』とはよく比較の対象にされた。 --ともにレイフォースの系譜にして3D描写を大胆に取り入れたという共通点がありながら、演出表現やゲーム性が全く別の方向に進んでいるのは興味深い。特に追尾レーザーの表現においてはレイストームが「瞬間的に収束する」のに対し、本作は「時間差で分散する」形を取っており、使用感にかなりの違いがある。 -登場人物というか、パイロットの背景設定にクセが強い。 --バツ1女性、その同僚の左遷された女性(しかも先述のバツ1女性に対し、百合的願望を密かに持っている)、会長の隠し子…と。PS版追加パイロットも角刈りのゴツいおっさん。 --この頃のSTGプレイ層は会社帰りの社会人も多かったため、そこをターゲットにしたのではないかと思われる。 -全ての業務妨害を仕向けていたライバル企業の名は「八福星間開発''公司''」と、モロにあの国な設定。もし本作が世界的ヒット作になってたらリアル企業問題に発展していたかもしれない。まあ、主人公サイドの「尽星」も同レベルに黒い企業なのだが。 -主人公機「屠龍」は「シューティングゲームヒストリカ」第三弾でフィギュア化された。 -セガサターンマガジン誌で小説が連載されていた。ゲームの世界観を忠実に再現しながらも、小説オリジナルのキャラクター(主人公の同僚やライバル会社の社員など)や機体が登場する独自の展開も。 --3面の発進時の高高度中継滞空機「&ruby(ケイラク){慶絡}」の海外名は[E-QUATERM] -サントラについてはAC版稼働当時に発売されたものと2011年にベイシスケイプ((本作のBGMを手掛けた崎元氏が代表取締役を務める音楽制作会社))から発売されたものと2種類あるが、後者はSS版で追加された1曲とベイシスケイプのメンバーによるリミックスアレンジが4曲(うち1曲は「Hyper Game Music Event 2007」で演奏されたもの)が追加収録されている。 ---- *移植 ||CENTER:BGCOLOR(crimson):COLOR(white):''『蒼穹紅蓮隊』''|CENTER:BGCOLOR(goldenrod):COLOR(white):''『蒼穹紅蓮隊 黄武出撃』''| |対応機種|セガサターン|プレイステーション| |発売元|エレクトロニック・アーツ・ビクター|データイースト| |開発元|ライジング|アウトバック| |発売日|1997年2月7日|1997年12月25日| |定価|>|5,800円| |廉価版|御徳用:1997年12月18日/2,940円|MajorWaveシリーズ アーケードヒッツ:&br()2003年5月22日/1,575円| -SS版は元が互換基板のST-Vなだけあって良移植と評判。累計スコアもしくは起動時間に応じて様々な追加オプションが解禁されるようになっており((詳しい条件は公式サイトに記載されている。))、同社の『魔法大作戦』『疾風魔法大作戦』『[[バトルガレッガ]]』の全BGMを聴ける((これも所定の累計スコアもしくは起動時間を満たすと「特別視聴」というオプションが解禁される。))というファンには嬉しい特典も収録されている。 --パッケージに大きく『御徳用』と書かれた廉価版が同じくEAVから出ている。こちらは『[[バトルガレッガ]]』の体験版も収録。 --余り知られていないが、SS版は難易度をランク5(AC標準難度)以外に変更すると、OPBGMがCD音源から内蔵音源へ切り替わる。 --本編のテロップで表示される日時が内蔵時計と連動している。 -PS版は『黄武出撃』のサブタイトルが付加されたものとなり、自機とステージの追加・オペレータボイス挿入と大幅なリニューアルが施された。しかしロード時間と処理落ちが激しい影響で音楽と演出のタイミングが全く合わない事や、操作感も悪化。 -追加機体「黄武」の性能がチート寸前、サターン版にあったBGM特典がないなど、賛否が分かれている。追加ステージ(最終ステージ)も、いきなりトンデモ兵器が登場する超展開なわりには、実質ただの背景的なモノにすぎず手抜きなため批判を受けやすい。 --オペレータのCVはエヴァンゲリオンの伊吹マヤと同じ長沢美樹氏。開き直ったのだろうか。 ---サターンとPSではハードの性能差で、どうしても移植度が違ってしまうため、そのままではただの劣化移植になってしまうのでオマケ要素をたくさん追加したという点は評価しても良いだろう。 ---販売はデータイースト、移植はアウトバック((伊藤忠商事系列のデベロッパーで、過去には『らんま1/2 奥義邪暗拳(SFC/PC98)』、『クマのプー太郎(PS)』などの開発やIBM-PC/MAC用の海外ゲームの輸入販売も手掛けていた。尚、会社組織は既に解散しており現存していない。))が行っており、オリジナルのスタッフはあまり関与していなかった模様(追加パイロットのデザインのみ?)。尚、廉価版『MajorWaveシリーズ アーケードヒッツ 蒼穹紅蓮隊』はハムスターより発売された。

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