全日本プロレス
【ぜんにほんぷろれす】
ジャンル
|
スポーツ(プロレス)
|
|
対応機種
|
スーパーファミコン
|
メディア
|
16MbitROMカートリッジ
|
発売元
|
メサイヤ
|
開発元
|
ナツメ
|
発売日
|
1993年7月16日
|
プレイ人数
|
1~4人
|
定価
|
9,800円
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
日本の実在団体、レスラーが登場する初のプロレスゲーム 再現された豊富な技と迫力あるアクション ゲームとしてのボリュームはイマイチ不足気味
|
全日本プロレスシリーズ
|
概要
ジャイアント馬場氏によって創設された実在する団体「全日本プロレス」とコラボしたプロレスゲーム。
プロレス団体公認で実在のレスラーが登場するプロレスゲームはコンシューマゲームでは史上初である。
16名のレスラーとレフェリージョー樋口氏が登場する。
内容
登場人物
レスラー
-
ジャイアント馬場
-
ジャンボ鶴田
-
三沢光晴
-
川田利明
-
田上明
-
小橋建太
-
渕正信
-
小川良成
-
菊地毅
-
ラッシャー木村
-
スタン・ハンセン
-
テリー・ゴディ
-
ダニー・スパイビー
-
スティーブ・ウィリアムス
-
パトリオット
-
ジョニー・エース
レフェリー
試合のシステム
-
試合のルールはフォールして3カウントのピンフォール、または絞め技によるギブアップ、場外で10カウント経過によるリングアウト、又はコーナーポスト上で5カウントを取られての反則負け、時間切れ引き分けのいずれか。
-
どのモードでも試合時間は10分か20分かを選ぶことができる。難易度も「EASY」「NORMAL」「HARD」の3段階で選択可能。
-
技の出し方は当時最もメジャーだった組み合ってからコマンドを入力するのが主体。Yが「小技」Bが「中技」Aが「大技」となる。
-
中技や大技は相手の体力の残量次第で返されることもある。
-
他に「立った状態」「走りながら」「走ってくる相手に対してカウンター」「バックに回っての技」「場外に転落した相手(サイドのみ)に向かって走りながら」など当時のプロレスゲームの王道パターンを網羅している。
-
他のゲームで見られない新しいパターンとして、「立った状態」でAで、相手を掴むことができ、その状態でコマンド入力することで技がかけられる。
-
倒れた相手にかけるグラウンド系の技は勿論搭載されているが、本作では「倒れた状態」の他に「座った状態」と2通りある。
-
「倒れた状態」で「起こす」をすると「座った状態」になる。相手が「倒れた状態」ならば「ストンピング」や「片エビ固め」、「座った状態」ならば「スリーパーホールド」や「サッカーボールキック」などそれぞれでかけられる技が変わる。
体力が空になっても攻撃を繰り返すことで相手の体力回復量を落とす効果がある。
LやRボタンで選手がパフォーマンスできる(馬場と川田を除く、ハンセンのみ上と同時に押すことで違うアピールが出る)。
-
体力は画面上部のゲージで表示される。
-
体力がなくなると「青」→「緑」→「黄」→「赤」→「黒」と色が変わり、フォールを返しにくくなる。
-
体力は時間経過でジワジワ回復する。
ゲームモード
三冠ヘビー級選手権
-
シングルマッチによる勝ち抜き戦で、選んだレスラーで残る15人に勝てば優勝となりエンディング。
ヘビー級タッグ選手権
-
タッグマッチによる勝ち抜き戦で、選んだレスラーのタッグチームで残る7チームに勝てば優勝となりエンディング。
-
タッグは最初から決まっている固定のチームを使っても良いがEDITで自由に組むことも可能。
チャンピオン・カーニバル
世界最強タッグ決定リーグ戦
-
上記の「チャンピオン・カーニバル」のタッグ版。
-
このモードのみチームのEDITは不可で最初から決まっている固定8チームから選択。
ジャイアントシリーズ
鶴田軍VS超世代軍
-
「鶴田軍」小川・渕・田上・鶴田
-
「超世代軍」菊地・小橋・川田・三沢
-
4対4の団体戦を行う。
-
最初に出る順番「1人目」「2人目」「3人目」「4人目」を決める。
-
よくある「先鋒」「次鋒」「中堅」「副将」「大将」のような形式ではなくそれぞれ、2人ずつ出て、試合中にタッチも可能。
-
負けた選手は敗退となり、次の番の選手と交代(例えば「1人目」「2人目」で「2人目」がピンフォールなどで負けたら次は「1人目」と「3人目」が出る)。
-
相手側の3人を破れば(2人出られなくすれば)勝ち。
馬場のプロレス道場
-
馬場が技のかけ方を教えてくれる練習モード。
-
当然だが、馬場だけ選べない。
-
練習できるのはボディスラムのみ。組んでから技をかけるタイミングを覚えるモードと言ってもいい。
評価点
-
レスラーの再現度が非常に高い。
-
グラフィックも各レスラーの特徴がちゃんと掴めている。
-
顔グラフィックも粗い部分があるが、全体的には本人の顔がちゃんと再現できている。
-
それぞれの持ち技が、細かい所まで表現できている。
-
また試合中に各レスラーのテーマもしっかり聴けるのも嬉しいファンサービス。
-
三沢の「スパルタンX」などの曲の権利が他所にあるものは別の曲に差し替えられている。
-
サウンドの担当は『Shatterhand(特救指令ソルブレイン)』で知られる水谷郁氏。
-
ダウン状態が「倒れている」と「座っている(半分ダウン)」の2段階を採用している。
-
それぞれの状態でかけられる技が変化するので、技の幅が広がると同時にリアル要素を強めている。
-
また、技を喰らった時に強い技なら「倒れ」になり、弱い技なら「座り」になるなど、技の威力を演出する幅も広げている。
-
超リアルプロレスゲームと謳っている通り、レスラーの動きはリアルでしかも滑らか。
-
レスラーのキャラ自体も大きいので迫力がある。
-
馬場のような鈍いレスラーは鈍く、三沢など中型レスラーは非常にスピーディーで個性や特徴が出ている。
-
上記の通り、各レスラーの技の再現度も高く、それらがダイナミックに決まる展開は当時としては最高峰クラスの出来栄えと言っても過言ではない。
-
フォールのカウントが絶妙。
-
「2(ツー)」「3(スリー)」の間に「2.5」「2.9」が入る。
-
体力や、その回復量を度合いで2で返せたものが2.5や2.9でやっと返したり3カウント奪われたりの境目を感じやすくなっている。
問題点
-
全体的なボリューム不足。
-
上記の通りシングルでも15戦、タッグなら7戦でエンディングでは、今一つやりごたえに欠ける。
-
達成感が今一つ感じられない。
-
上記に加えて、リーグ戦も優勝しようが最下位だろうが単に順位(勝ち点)の発表のみでは今一つ物足りない。
-
鶴田軍VS超世代軍の団体戦も、特別なコメントがないので終わり方も消化不良気味。
-
「バックに回る」がやりにくい。
-
後ろから技をかけるには、相手の影に触れず後ろに回らなければならないが、これがちょっとでも触れてしまうと組んでしまう。後ろに回った場合でも、対象のボタンを押す前に相手に触れると組んでしまう。しかもその有効距離もかなりシビア。
-
走っても、相手にぶつかるとショルダータックルのカウンターを喰ってしまう。
-
相手の体力をかなり減らさないと、バックに回る前にグロッキー状態が解けて動けるようになってしまう。
-
一部不自然な場外転落がある。
-
例えば馬場の「ココナッツクラッシュ」やハンセン、パトリオットの「投げ捨てパワーボム」などは、ロープ際でかけるとそのまま相手を場外に飛ばしてしまう。
-
元々の用途がそのような技ではなく、実際には起こりえないものだったのでこの点に関しては不自然。
総評
超リアルという謳い文句に恥じず、特徴をよく捉えたグラフィック、そして彼らのファイトスタイルを再現できている技、更にはそれぞれのテーマもBGMに取り入れられ全日本プロレスファンなら納得の仕上り。
一部不自然な場外転落などが見られるがプロレスゲームとして大事なスピーディで滑らかな動きなども網羅できており、アクション性に関しては文句のないレベル。
ボリューム不足に関しては残念だが、ファン向けのゲームとしては満足できるものと言えるだろう。
その後の展開
余談
-
当時全日本プロレスは「四天王プロレス」時代であり本作でも上記の通り「鶴田軍VS超世代軍」というモードがある。
-
しかし「鶴田軍」は前年末に首領の鶴田が離脱し、超世代軍の川田が「三沢越え」を掲げて鶴田軍に移籍。肝心な鶴田が不在となり川田・田上が2トップを組んだことで名前も「聖鬼軍」に改名していた。よって、本作の「鶴田軍」「超世代軍」の形は発売された時点で存続していなかった。
-
そのため、続編の「世界最強タッグ」ではこのモード自体なくなっている。
最終更新:2022年04月01日 17:53