このページでは、PS『Echo Night』と、その続編であるPS『Echo Night #2 眠りの支配者』を取り扱う。
Echo Night
【えこーないと】
ジャンル
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ホラーADV
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売・開発元
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フロム・ソフトウェア
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発売日
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1998年8月13日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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対象年齢
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CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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PlayStation the Best:1999年6月3日/2,800円 PS one Books:2001年11月15日/1,800円(共に税別)
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配信
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ゲームアーカイブス:2007年8月30日/600円
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判定
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良作
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概要
『KING'S FIELD』のシステムを流用して作られた一人称視点のホラーADV。
そのため、操作タイプにキングスフィールドタイプが用意されている。
プレイヤーは主人公リチャード・オズモンドとして豪華客船を舞台に成仏出来ない魂たちと触れ合い、謎を解いたりアイテムを使い、彼らの望みを叶えて昇天させる事で物語を進めていく。
あらすじ
1937年、アメリカ。
ある日、リチャード・オズモンドの元に奇妙な手紙が届けられた。差出人は父。中には小さな鍵が1つのみ。
思い悩むリチャードは父の家が火事にあったと警察から連絡を受け自らの故郷に向かう。
到着した時には既に家はほとんど焼け落ちており父の姿はない。
家の中を探索する内見つけた絵に触れた途端、リチャードは見知らぬ船の上へと飛ばされてしまう。それは24年前に行方不明になった豪華客船「オルフェウス号」だった。
リチャードはオルフェウス号を探索し、そこを彷徨う魂と触れあいながら、父とオルフェウス号の持ち主であるウィリアム・ロックウェルにまつわる因縁を解き明かしていく。
特徴
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一人称視点のホラーADV。船内を探索し謎を解き、死者達の望みを叶えることで先に進んでいく。
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死者たちは大抵この世に未練を残している。話しかけて死者の求めているものが何かを突き止め、船内で手に入れたアイテムなどを渡すことで魂を浄化する。
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主人公・リチャードがゲーム中で出会うのはほぼ全員が死者のため、直接的に交流することはない。彼らの過去を垣間見ながら、一種の傍観者視点で物語は進む。
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過去を垣間見る、というか実際には過去の時間へプレイヤーキャラは移動する事が出来、そこで情報を仕入れたり過去で行動を採って「介入する」事で現在の状況に反映し変えたりする事が出来る。
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浄化すると「アストラルピース」という宝石の様な物を落としていく。ある場所で回復アイテムと交換可能な他、EDに影響している。
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探索の途中、亡霊が襲ってくることがある。こちらからの攻撃手段は存在せず、灯りを点けて撃退するか部屋を移動するしか逃れる術はない。BGMと相まって焦燥感と恐怖を煽ってくる。
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特定の場所で道を塞いでいる他、暗い場所で一定時間経つと出現するので、部屋に入ったらまず明かりを点けるのが基本になる。
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当然全ての場所の電灯が点くわけではない。慌ててたどりついたスイッチが反応しなかったり、灯りが点いているからと安心していたら電球が破裂して真っ暗になってしまったり…と、光のある場所=安全という図式は暗い場所への恐怖感を高めている。
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亡霊には一人々々名前と年齢が設定されており、ゲーム進行に合わせてメモに記録されていく。ヒントになるだけでなくその人物の背景も分かる。
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時間の要素があり、甲板などに出た時に見える外の風景にも反映されている。特定の時間しか開かない部屋があるなど謎解きに絡んでいる。
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エンディングは3種類のマルチエンディングとなっており、クリア後にはプレイ内容がスコアで評価されるというやり込み要素もある。
評価点
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秀逸なストーリー
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スプラッターやグロテスクに代表されるおどろおどろしい恐怖ではなく、霊達の過去・未練を描いた静かで哀しい物語が特徴的。真相を知れば逆に同情してしまいたくなるストーリーが本作最大の魅力。
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名前や背景が設定されているのは、こちらを攻撃してくる亡霊も例外ではない。彼らがそうなってしまったのにも理由があり、生きていた頃の思い出の品を渡すことで浄化することができる。
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音声面の演出
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登場人物のほとんどの台詞は声付き。BGMも良質で音にこだわって作られている。
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"しゃがむ"ことで、立っていては出来ないアクションが可能になるという発想が謎解きの幅を広くしている。
問題点
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"とにかく酔う"
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3Dゲームの宿命とも言えるだろうが、一人称視点かつ探索のため上下左右にカメラをぐるぐる動かすことになる本作では特に顕著。
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グッドエンディングの条件が少々面倒
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グッドエンディングを見る条件は「アストラルピース」を全て手に入れること。
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ここで問題になるのがカジノに居る3人の亡霊。スロットorルーレットでチップを100枚稼ぐ→ブラックジャックで200枚稼ぐという二段階の手順を踏まなければならない。100枚稼ぐまではセーブ&ロードで地道に貯めることができるがブラックジャックは途中でやめられない。運が悪いとかなり時間がかかってしまう。
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一応船内を探索することでチップ20枚と引き換えられる券が計5枚拾えるので、これが救済措置となる。
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ちなみにチップを全て使い切ってしまっても元手を数枚くれるので詰むことはない。
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セーブポイントが少ない
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死んでから対策するゲームなので、小マメなセーブが必要なのだが…。
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まず、最初のセーブポイントまでが長い。ある程度探索しないとセーブポイントを見つけられないので、探索中に死ぬとNew Gameから始めることになる。
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とある施設に探索に入るとセーブポイントに戻るためのドアがロックされて長期間セーブできなくなるが、本ゲーム中屈指の難関があることや、謎解きに必要なitemが手元にない可能性もあるため凶悪。
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一部の謎解きの難易度が高い。
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ある機械の操作方法について、壁に貼られた紙にヒントが書かれているが、一部が「文字が濡れて読めない」ため、該当部分は総当りで試すこととなる。
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凶器と狂気を併せ持った生きた人間(明るくても存在できる)に攻撃を受けながらの謎解きなんて、初見では無理。
総評
亡霊を敵として倒すのではなく、思い残した願いを叶えることで物語を進めていくという、静かで悲しいホラーADV『Echo Night』シリーズの第1作。
現在は第2作の『Echo Night #2 眠りの支配者』と合わせてゲームアーカイブスで配信されているのでADVが好きだったり敵と戦ったりするホラーゲームは苦手という人はプレイしてみてはいかがだろうか。
Echo Night #2 眠りの支配者
【えこーないとつー ねむりのしはいしゃ】
ジャンル
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ホラーADV
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対応機種
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プレイステーション
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メディア
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CD-ROM 1枚
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発売・開発元
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フロム・ソフトウェア
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発売日
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1999年8月5日
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定価
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5,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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PS one Books:2001年11月29日/1,800円(税別)
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配信
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ゲームアーカイブス:2007年10月10日/600円
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判定
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良作
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概要(#2)
『Echo Night』シリーズの第2作。
設定上は前作と繋がっているものの、ストーリー的には完全に独立している。
主人公の名前は前作と同じだが同一人物ではなく(いわゆるスターシステムに近い)、前作の登場人物は霊能力者以外登場しない。
システムやゲームの雰囲気、亡霊の弱点などは前作そのままで、違和感なくプレーできる。
あらすじ(#2)
リチャード・オズモンドは、3ヶ月近く前に突如として姿を消してしまった恋人、クリスティーナ・コリンズの身を案じていた。
一向に進展を見せない警察の捜査に業を煮やしたリチャードは、ある夜、クリスティーナがいなくなった前日に立ち寄ったという図書館へ車を走らせる。
職員である旧友の手引きで夜の図書館に潜入したリチャードは、貸し出し名簿を元に彼女の調べていた一冊の色褪せた本を見つけた。
その中には恋人とそっくりな女性の姿が写っていた。
ジェシカ・クランシー。資産家として名高いクランシー家当主の妻。
孤児として育ったクリスティーナは、この女性の存在に自分の過去に関わる何かを感じ取ったに違いない。そう推理したリチャードは深い森の中にあるという、クランシー家の館に向かった。
評価点(#2)
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昇天させられる霊の数が30と、前作に比べ大幅に増加。
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かくれんぼしている子供を探すという難問が出現したり、イベントが進まないと救済できない霊の昇天し忘れに注意が必要となった。
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また、イベントを正規の手順で勧めなければ昇天させられなくなってしまう霊も複数登場し、イベントの流れや複数の霊の関係性を考慮しながら攻略を進めなければならない場面も増えた。
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湖でのボート移動が追加され、探索範囲も広大に。
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電話機(セーブポイント)が増え、より安全になった。
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最初の敵と遭遇するまでにセーブ出来るようになった。
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ラストダンジョン手前にも電話機があるが、あんなところにあるのは逆に不自然では?
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船着場で野ざらしの電話機もある。
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一部アイテム持ち越しによる周回プレイが可能に。
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謎解きに使うアイテムは無理だが、回復アイテムやいくつかの防御アイテムを次回プレイに持ち越せる。
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一部の防御アイテムはラストダンジョン前のある場所でアストラルピースの規定数と交換という周回プレイ前提の物になっている。
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分電盤システム
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前作同様、霊の攻撃から身を守るためには灯りを点けるのが効果的だが、今作は分電盤を復旧させないと、そのエリアの電気が通電しないという設定。
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しかし、序盤の数カ所の分電盤はそのエリアのほぼ最奥に位置している。
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さらに、分電盤を起動するアイテム『分電盤の鍵』はゲームを通じて2個しか無く、エリア移動の際は泣く泣く分電盤をOFFにする必要が出てくる。
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屋敷全体の電源を管理する総分電盤が後半に登場するが他の分電盤と違い鍵を二つ使い他の分電盤より操作の手間が掛かりしかも最初に操作する際亡霊に攻撃される可能性が高い。
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新たに明かりを持ち歩ける「手持ちランプ(カンテラ)」「ロウソク」が追加された。
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カンテラは明かりを灯すと灯油が減っていくため特定の地点で給油する必要があり、ロウソクは燭台がないと使えないなど何かしら欠点があるので上手く使い分ける必要がある。
賛否両論点(#2)
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大方の人間が死んでいる中、よりによって生き残っていたのが本作の登場人物中で一番マヌケな者である点。
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前作では霊たちが客船に乗る前の出来事へアクセスしたためにイベント専用MAPがあったが、今作はほとんどが屋敷内で起こるという閉鎖的な設定に。
問題点(#2)
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やはり謎解きの難易度が高い
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序盤から楽譜に音符を記入する(音楽の知識が無いと解けない)高難易度の謎解きがある。この謎解きには別の解法もあるが、そちらを行ってしまうと音楽教師とバーテンダーの霊が昇天できなくなり結果全亡霊の昇天ができなくなるという罠もある。
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他にも館内の各所でかくれんぼしている子供の探索は本当に難しい。ダニエルなどはまだ見つけやすいが一番難しいのが手持ちランプがないと見つけられない小屋にいるジェフ、ジムにいるカートで特にカートに至っては彼がいるロッカーは夜にならないと絶対に開かないため忘れがち。
また執事の昇天方法がヒントがほとんどなく引っ掛けでセリフをよく聞かないで直さないままバイオリンを渡してしまうと執事、メイド長、召使い、ダニエル、赤子、先代館主夫人、先代館主の6人が消えなくなる。
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生きた人間(明るくても存在する)の凶器が銃になり、離れていても攻撃を受けるようになった。
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ラストダンジョンは謎解きではなく、急にアクションゲームになる。
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なお、クリア後の評価には特定のアイテムが落下する前にキャッチするといったアクション的な要素による加点も存在する。
総評(#2)
探索範囲も広がり、登場する霊の数も増えて全体的に大幅にボリュームアップし、その分難易度も上がった。
アクション要素が要求される場面が増えたことに賛否両論あり、絶対音感がないと難しい謎解きもあるが、深刻な問題点ではなく、1作目の雰囲気をうまく受け継いだ正統進化な2作目である。
最終更新:2021年08月31日 21:21