カルキュレーター
【かるきゅれーたー】
ジャンル
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実用ソフト
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対応機種
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Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード専売
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発売・開発元
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Sabec
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発売日
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2021年6月24日
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定価
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899円(税込)
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レーティング
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IARC:3+
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セーブデータ
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作成不可
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備考
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日本語非対応
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判定
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なし
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ポイント
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タイトル通りただの電卓 何故Switchで電卓を出した?
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概要
イギリスのロンドン西部にあるハウンズローに拠点を持つSabec LTDが開発・発売した実用ソフト。2021年5月12日に海外でSwitchのダウンロード専用ソフトとして配信。
その内容から海外ゲーマーの間で話題となり、各種海外メディアも取り上げるほどの大盛り上がりとなった。
そして、2021年6月24日に日本のニンテンドーeショップで同じくダウンロード専用ソフトとして配信された。
特徴
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正真正銘、普通の関数電卓である。
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決してジョークや比喩などではなく、本ソフトは関数電卓が使えるだけのソフトである。
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三角関数や双曲線関数など、関数電卓としての機能は一通り揃っている。
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ゲームが遊べるタイプの電卓も世の中には存在するが、本ソフトはそれすらない。
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操作方法
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コントローラーを使用する場合、スティックでポインターを操作し、Aでボタンを押すことができる。
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タッチ操作にも対応している。
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2000年代後半の頃なら携帯ゲーム機が実用品として使われていることもあったため、仮にその時代に本作がリリースされていたのであれば、そこまでおかしくはなかったであろう。
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しかし、本作の発売年は元号も令和となった2021年。
電卓アプリが標準搭載された「スマートフォン」が生活必需品として普及している時代
である。
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別の言い方をすれば、電卓が標準搭載されたスマートフォンやタブレット端末が普及している時代に仕事場や学校では普通は使用できないゲーム機であるNintendo Switchで電卓を有料販売したということである。
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どう見ても「誰得」のようにしか見えないが、発売・開発元のSabecは本ソフトをリリースした理由として、「Nintendo Switchを多機能デバイスにしたかった」と公式インタビューで述べている。
問題点
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関数電卓しか使えないのに899円という割高価格。
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前述した通り、電卓アプリは生活必需品として普及した大抵のスマホやタブレット端末に標準搭載されているため、それらを所持しているのであれば、わざわざ追加で900円近く払う価値は殆どない。
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「スマホの標準電卓は関数電卓じゃないので購入する価値はある」と思った人もいるかもしれないが、実はiPhoneでもAndroidでも横持ちすれば関数電卓が使用できるため、本作はそこまで高機能というわけではない。
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一部の機種の標準電卓は縦持ちでも「右端を左フリック(Xperia XZ2Compact)」「キー部分の上を下フリック(Zenfone8)」などで三角関数など、基本的な関数は呼び出せる物が多い。
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参考までにDSiでは、2009年に任天堂から『ニンテンドーDSi電卓』というDSiウェアが200DSiポイント(税5%込)で配信されていた。
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もっとも、『ニンテンドーDSi電卓』は本作と違い関数電卓ではなく、またDSiが現役だった時代はスマートフォンは普及していなかったため一概に単純比較はできないだろうが、本作の定価もこれくらい安くて良いはずである。
評価点
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電卓としてはちゃんと使える。
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タッチ操作に対応しているので、携帯モードでタッチ操作を使うのであれば、スマホやタブレット端末の電卓アプリと大差なく使用できる。
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「プラットフォームがゲーム機である」という難点に目をつぶれば、そこまで使い勝手が悪いわけではない。
総評
スマホが普及した2021年の時代でゲーム機でリリースしたという事実を抜きにすれば、電卓ソフトとしての破綻はなく、決して電卓として使えないわけではない。
なのだが、スマホやタブレット端末を持っていれば、それらの標準電卓で充分代用可能であるため、わざわざ本作を購入してSwitchで電卓を使いたいという需要は、非常に少ないであろう。
真面目に関数電卓が使いたければ、多少高くても市販の電卓を購入した方が、使用できる場面や機会が多い分使いやすいだろう。
これで定価が無料かワンコイン未満であればまだしも899円も取るので、余程の事情がない限り本作を買う必要性はないと思われる。
余談
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海外ゲーマーからの反応
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当然と言うべきか、海外で本作が配信されるや否や、「Switchで普通の電卓ソフトを配信する」という出オチっぷりから、海外ゲーマーからはあらゆるジョークが飛び出し、散々ネタにされることとなってしまった。
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その一例をここに挙げると、「このHDリマスターを待っていたんだ」「60fps出るのか?」「オンラインマルチプレイを追加してくれ」など、様々な弄られ方をされている。(参考)
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Sabecは本作とは別のソフトを日本向けに配信を検討していたが、CEROのレーティング審査に費用がかかるため、断念していた。
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が、日本のゲームニュースサイトAUTOMATONが海外での話題を元にSabecにインタビューした際に「無料でレーティングを取得できるIARCを通せば、日本でも配信可能」と
余計なことを伝えたため、結果的に本作が日本でも配信されることとなった。
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Sabecは過去に2019年KOTY次点受賞作品『ROBOX』をリリースしている。
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ちなみに、KOTYでは2021年7月以降に「CEROのレーティングを通したゲームのみを受賞対象とし、IARCを通したゲームは暫定的に対象外とする」と方針を変更した。
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そのため、前述した通りIARCを通して配信した本作(及びSabecが配信したSwitch向け実用ソフト)は幸か不幸か2021年KOTYの審議対象外となっている。
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奇遇にも本作発売から数ヶ月後の2021年8月5日にBlacksmith DoubleCircleから『激闘関数電卓』という関数電卓を題材としたゲームが本作と同じくSwitchで発売されている。
最終更新:2023年11月05日 11:38