NieR Re[in]carnation ストーリー資料館

ラルス

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nier_rein

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キャラクター  ラルス


STORY1

硝煙と血の匂いが交じり合う戦場の空気を、目一杯吸い込む。
先の作戦は成功し、部隊の仲間たちと共に帰還したが、
俺は間を置かず、自ら志願し、新たな任務へと赴いた。
俺にとって今や、戦場だけが生きた心地のする場所だった。


今まで俺の心を支えてきたのは、復讐。
ただそれだけだった。
それなのに......殺した復讐の相手が本物の父親?
大切にし続けてきた家族が、本当の敵だったって?
笑える。笑えるよ。笑える話だと思うよなあ、オイ!!


我に返ると、目の前には倒した敵兵の死体。
俺はその死体に剣を突き刺し続けていた。
肉を切り裂き、溢れる血の温もりを感じる瞬間、
そのときだけは、心を落ち着けることができた。


突然、爆音が地面を揺らす。近い。
音を追うように、炎を吸い込んだ空が赤く染まる。
深紅の空を眺めていたら、また心がざわざわとし始めた。
俺は不安を打ち消すために、また敵を探し始める。


STORY2

戦況は優勢だった。
大方の敵兵は死体になるか、そうでなければ撤退していた。
しかし、俺はまだまだ満足できていない......
生き残った敵が隠れていないか、
人影を見落とさないよう、注意深く戦場を進んでいく。 


崩れた家の陰に、人の気配を察知した。
思考回路が一瞬にして臨戦態勢に切り替わる。
ゆっくりと距離を縮め...... 一気に剣を振り上げる。
しかし、そこに居たのはうずくまる少女だった。


俺は内心がっかりした。 生存者は保護するのが規則。
面倒なことになったな......
そう思いながら、血に塗れた手で彼女の腕をつかんだ。


彼女は「ひゃっ」と小さな悲鳴をあげる。
俺はそれを無視したまま、腕を引いて歩き出した。
すると彼女は、そのまま前のめりに倒れる。
俺はやっと気が付く。彼女は目が見えていないことに。


STORY3

彼女は地面に座り込んだまま、
血のついた俺の手を握り返して言った。

「怪我を......しているんですか......?」

俺はびっくりして、その手を払いのける。
しばらく、気まずい沈黙が続いた。


俺は沈黙を払いのけるように、一言だけ呟いた。

「それは......俺の血じゃない」

そう言って手についた血を服で乱暴に拭い、
彼女の身を起こした。 


彼女の手は柔らかかった。
争いの中で、敵を殺すためだけに使われる俺の手。
いびつに歪んだそれと、同じものだとは思えなかった。


俺は仕方なく彼女を背負い、戦場を歩き出す。
背中から、彼女の体温が伝わってくる。
戦場が、妙に静かに感じた。
俺の耳には、自分の心臓の鼓動だけが響いていた。


STORY4

戦場から帰還した俺は、野戦病院を訪れた。
病室の窓から差し込む光、木々のざわめき。
ベッドに横たわる彼女は、窓の方に顔を向けている。
戦場で傷ついた彼女は、ここで療養をしていた。


俺は彼女に話しかける。
どうしてあんなところにうずくまっていたのかと。
彼女は言葉少なに語る。
親から疎まれ続けた短い人生の末、
ついには戦禍の中に置き去りにされたのだと。


しばらく黙っていた彼女は、呟くようにいった。

「いま......空はどんな色をしていますか......?」

窓の外を眺める。
その空は、戦場の空とは全く違う色をしていた。
俺は彼女に「青空、深い青色だ......」と答える。
彼女は見たことの無い「青」の色を、静かに想像する。


ここには、俺を不安にさせるものはなにもないはずだった。
それなのに、彼女の隣にいると、なぜか心がざわざわする。
それは、今までずっと感じてきた不快感とは何かが違った。
俺はその感覚がいったい何なのか考えながら、
彼女の心の中に広がる 空の色 を想像していた。
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