NieR Re[in]carnation ストーリー資料館

十章:第四夜 煌粒の章 『誰ガ為ノ戦イ』

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nier_rein

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九章 十章 十一章

キャラクター  グリフ



「臆病のレッテル」

戦争の続く国に
「臆病者」と呼ばれる
軍隊長がいました


撤退指示の多さや
弱腰な姿勢から 部下に
影でそう言われているのです


作戦出撃前の朝
彼は拠点を見回り
準備を呼びかけていました



[怒りっぽい兵士]
こいつ 昨晩俺の酒を飲みやがったんだ


[酒臭い兵士]
俺は 夜からずっと謝ってるじゃないか!


[隊長]
まあまあ 僕が後で買ってくるから



[サボり癖のある兵士]
昨日の作戦の内容を忘れてしまったよ


[真面目な兵士]
作戦準備はお前の仕事だろ!!


[隊長]
僕が代わりに準備をしておくよ



隊長は 血の気の多い
部下たちのいざこざの仲裁にも
日々頭を悩ませられましたが


決して
横柄に接することは
ありませんでした


[声の大きい兵士]
よぉ 臆病者の隊長さん?
目障りだから 死んでくれねえか?





拠点の巡回を終えると
隊は いっときの規律を
取り戻しました


[声の大きい兵士]
では 自分は作戦準備に戻ります


[体格のいい兵士]
隊長! あの問題児の姿が見当たりません!


昨日の軍会議
両親の仇討ちを理由に
攻撃部隊に志願した少年隊員


隊長は 彼の身を案じ
その申し出を却下しました


少年を案ずる隊長
作戦前の空に
黒い雲が立ち込めてきました......


「重なる面影」

ついに 作戦開始の時
隊長は複数の班を率いて
敵軍キャンプへ進軍します


目標は 敵軍の殲滅と......
少年隊員を見つけ出す事


[隊長]
A班 予定通りB地点へ移動
C班は敵キャンプ西方より敵総数を調査せよ


彼は 隊の安全を期す指示を
的確に出しながら進んでいきます


[逃げまどう男]
村はもうだめだ!


[焦った女]
今戻っても無駄よ!


[仲間を気遣う青年]
早く逃げろ!


[息子を探す母親]
坊やはどこ……坊や……坊や……


[隊長]
A班 まもなくD地点へ到達
これより報告を待って 突入準備を開始する





隊長の率いる班は
敵軍キャンプへと到達しました


仲間たちは作戦通り
陽動のための攻撃を開始します


隊長も警戒しながら
敵陣を進みます



そこには
敵の隊長らしき死体が
転がっていました


その胸に刺さっているのは
見覚えのある一振りの剣


仇討ちを謀る あの少年隊員が
隊長に突き付けた剣だったのです


周囲に少年隊員の姿は見えず
敵軍の最中で 彼が無事だとは
とても思えません


隊長は
うめき声を上げながら
呟きます


「僕は また間違えたのか?」
と......


「刻まれた言葉」

それは 臆病な隊長が まだ
一兵卒だった頃のことです


若い頃の彼は
自信家で 身勝手な
規律を乱す側の人間でした


激しい戦闘 壊滅した隊......
彼は生き残った仲間を
探して歩いていました



[青年]
あんたは......


最初に見つけた仲間の死体は
自分の指導役の先輩でした



[青年]
ッ......!


次に見つけたのは
よく衝突していた 隊の同期


彼らの死は
力を驕り 作戦を無視した自分が
隊を混乱させ招いた結果でした



諦めの中 最後に発見したのは
無能だと馬鹿にしていた上官


[上官]
ああ......生きていたのか
お前が助かってよかった......


上官は その一言だけ残して
眠るように 黒い息を吐きました





「お前が助かってよかった」


その言葉は
若き隊長への 呪いと
なり続けているのです


あの時の戦場から
八年......


仲間の死に対して 強い恐怖を
覚えるようになった彼は
それでも 軍人であり続けました


たとえ心が壊れたとしても
一人でも多くの仲間を守ること
それが彼にとっての償いなのです



物陰で
負傷して動けなくなっている
少年隊員を見つけました


うつむく彼を見ていると
過去の自分を見ているようで
胸が締め付けられます


何としても助ける


そう願う隊長の拳は
強く握りしめられていました


「手繰られた絆」

隊長は
負傷した少年隊員を背負い
拠点への帰還を目指します


少年隊員を守りながらの移動......
危険を伴う状況の中でも
隊長は 通信で指示を出し続けます


残るは 敵キャンプで戦う仲間に
的確な指示を与え
順次撤退させること


[隊長]
A班 敵軍武器庫を破壊ののち 撤退せよ


[隊長]
B班は捕虜をキャンプへ移送 C班帰還せよ


少年が背中から
呻くように話しかけてきます


勝手な単独行動をして負傷し
隊長に迷惑をかけたことを
彼は言葉少なに謝罪しました


[敵軍の遊撃兵]
ああああああッ!



少年をかばいながら 敵を排除
したものの 隊長自身も
怪我を負ってしまいました


また敵に見つかった時
次も 少年を守りきれる保証は
ありません......


一刻も早く
拠点にたどり着くことを祈り
歩き続けます




[仲間の亡霊]
またお前のせいで 仲間が死ぬぞ!


[グリフ]
過去の過ちは繰り返さない!
誰一人失わないよう導いてみせる!


[仲間の亡霊]
お前のその驕りが 仲間を殺すんだ!!


[グリフ]
あの頃の僕とは違うんだ!
二度と仲間を死なせたりしない!
僕の全てを......犠牲にしたとしても!



隊長の体力は
限界に近づいていました


隊長を突き動かしているもの
それは 一人として見捨てないという
無謀とも思える信念



再び 敵軍が現れ
行く手をふさぎます


隊長は 敵を睨み据え
自分を盾として
少年を庇いました......



現れたのは
隊の仲間たち


近距離での一触即発の
状況に 全員が息を飲みます


そして
しばらく睨み合いが続いたあと
敵軍は撤退していきました


作戦を終えた隊員たちが
隊長の応援に駆け付けたのでした


「本作戦における死者0名」
部下からの 奇跡のような報告


隊長は重い瞼を閉じながら
少年に伝えました......


「お前が助かってよかった......」



人格を捨ててまで築き上げた
家族のような仲間たちに
隊長は命を救われたのです


仲間たちは
歩けなくなった少年を担ぎ上げ
からかいます


少年は
今まで仲間に見せたことのない
苦笑いで返しました


荒れ果てた戦場の中心で
部隊の笑い声が
しばらく響いていました......


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