NieR Re[in]carnation ストーリー資料館

一章:風砂の章 『荒野の三人』

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nier_rein

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プロローグ 一章 二章

キャラクター  リオン



「杖の少年」

広大な荒野を二人は歩いていた


育ちの良さそうな少年と
後ろを歩く寡黙な男


何かに追われているのだろうか


周囲を気にして歩く
少年の足取りには不安が見えた


砂塵の中から寂れた街が姿を現す


少し休憩しようと提案する少年に
男は静かに頷いた


旅の疲れを癒す為
二人は食堂へ向かう事にする


食堂前に屯する賞金稼ぎ達
その一人が少年達を呼び止めた


値踏みするように少年を睨み
賞金稼ぎは言う


お前 王族か と


深い怒気の籠もった声


俯く少年は口を閉ざしたまま


それが癪に障ったのか
賞金稼ぎはいきなり銃を構える





賞金稼ぎを退けた男は
息一つ乱さず少年へと声をかける


お怪我は有りませんか 王子 と


少年は大丈夫と答え もう
王子じゃないよと笑顔を見せた


そして男へ
残念だけど街を出ようと提案する


男は静かに頷いて
少年の顔を見つめていた


「義肢の女」

往々にして
酒場や食堂は情報の集積地となる


人の集まる場所には
それだけ多くの声が集まるからだ


機械の手足を持つ彼女も
それを求め この店を訪れた


賞金稼ぎとして標的の手掛かりを
探さなければならない


[噂好きな男]
近頃 賞金稼ぎが何人か襲われてるんだ
君も賞金稼ぎだろう? 気を付けた方が良いよ


[身綺麗な女]
夫が森で 謎の男に撃たれたらしいわ
追っては来なかったそうだけど 怖いわね


[泥酔した男]
俺も若い頃は銃の腕で有名だったんだぞぉ?
機械兵にも劣らない! なんて言われたもんさ


客から得られる情報は
漠然としている


だが女は 獲物の匂いを
確かに嗅ぎ取っていた


女は獲物を追い 店を後にする



彼女の前方に
一人の賞金稼ぎが立ち塞がる


荒い息遣い ぎらついた瞳


その賞金稼ぎは女を睨みつけ
有り金を渡せと吼えた





勝負は一瞬で終わった


女の溜息が砂塵に絡む


彼女の力の源は復讐心だ
生半な者では到底敵わないだろう


探していた標的を求めて
女は森へと向かった


「射手の男」

朽ちた教会が佇む森の中


男は周囲を見渡している


どうやら男は
食物を探しているようだ


包帯に覆われた表情には
心無しか翳りが見える


草木が揺れ 音を立てる


食料を求めているのは
男だけではない


獣達もまた
飢えて彷徨っているのだ


そして
貴重な食料を巡り
当然のように争いは起こった





無事に食物を手に入れた男は
教会へ戻ることにした


朽ちた礼拝堂に革靴の音が響く


教会の奥には
少年が憔悴した顔で
横たわっていた


男は少年に寄り添い
集めた食料を差し出す


少年は受け取ろうと
身じろぎしたが


弱りきった体では
食料を受け取る事すら出来ない


少年は誤魔化すように
笑ってみせる


男は黙ったまま
少年の顔を見つめていた


「旅路の果て」

街を出た女は
やがて 荒れた森に辿り着いた


朽ち果てた教会が
ひっそりと建っている


壁は最早用を為さず
天井は崩れ落ちている



教会の奥で女が見たのは


古びた機械兵と


少年の遺骸だった


女が近付こうとすると
突然 機械兵が立ち上がる


蘇った機械兵は
女へ銃口を向け 唸り声を上げた






賞金稼ぎの女は
倒した機械兵の記録を確認する



かつて王子であった少年は
王国を追われた身だった


共に旅をしていた男は
彼の友であり
護衛であった機械兵


しかし少年は病魔に冒され
旅路の半ば その命を落とす


独り残された男は
少年の遺骸を守ろうと


近づく者全てを殺すようになった


少年の死から百年


機械の体は錆付き 意識は薄れ
王国さえ滅んだが


男はずっと
自らの主を守り続けていた



女は二人を弔う墓を立てると
静かに森を立ち去った


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