※当wikiで使用している画像、情報等の権利は、株式会社スクウェア・エニックスに帰属します。削除依頼等への速やかな対応のため、当wikiからの内容の複写および他サイトへの無断転載を禁止します。
※スマートフォンからの閲覧で表示が崩れる場合は、ページ最下部の「最新の情報をみる」または「PC表示に切り替える」ボタンでのリロードをお試しください。
※スマートフォンからの閲覧で表示が崩れる場合は、ページ最下部の「最新の情報をみる」または「PC表示に切り替える」ボタンでのリロードをお試しください。
一章 | 二章 | 三章 |
キャラクター | ![]() |

「緑の故郷」
水と緑の豊かな国に
美しい黒髪の姉妹がいました
美しい黒髪の姉妹がいました
二人は 森で狩りをしながら
助け合って暮らしていました
助け合って暮らしていました
[黒髪の妹]
お姉ちゃん 見てて!
今日は私一人で 獲物を仕留めるんだから!
お姉ちゃん 見てて!
今日は私一人で 獲物を仕留めるんだから!
亡き両親に代わって
姉娘は 妹に狩りを教えていました
姉娘は 妹に狩りを教えていました
森に生まれ 森で育った姉娘は
類まれな弓の使い手でした
類まれな弓の使い手でした
強く美しい姉娘に憧れている妹は
覚えたばかりの弓を試したくて
仕方ありません
覚えたばかりの弓を試したくて
仕方ありません
姉娘は 自分を慕う妹の成長を
温かく見守っていました
温かく見守っていました
[黒髪の妹]
……よーし!
……よーし!
[???]
グォォーーー!!!
グォォーーー!!!
妹が向かった先から
獣の雄叫びが轟きました
獣の雄叫びが轟きました
姉娘は妹を必死に探します
荒ぶった獣が 今にも
妹に襲い掛かろうとしていました
妹に襲い掛かろうとしていました
獣は
姉娘の矢を急所に受けて
逃げていきました
姉娘の矢を急所に受けて
逃げていきました
あんな巨大な獣を
妹が一人で狩ることなど
できるわけがありません
妹が一人で狩ることなど
できるわけがありません
[黒髪の妹]
お姉ちゃん 怖かったよう……!
お姉ちゃん 怖かったよう……!
怯える妹を見て
姉娘は 自分の髪飾りを外し
妹につけてあげました
姉娘は 自分の髪飾りを外し
妹につけてあげました
その美しい銀色の髪飾りは
母親の形見であり 妹が
ずっとほしがっていたものです
母親の形見であり 妹が
ずっとほしがっていたものです
妹の顔は たちまち晴れて
「今度は私がお姉ちゃんを守って
あげるね」というのでした
「今度は私がお姉ちゃんを守って
あげるね」というのでした
「姉妹の絆」
狩りを終えた黒髪の姉妹は
日が傾く前に
家へ戻ることにしました
日が傾く前に
家へ戻ることにしました
この日の獲物は
妹が 小さなウサギを1羽
姉娘が 大きなイノシシを1頭
妹が 小さなウサギを1羽
姉娘が 大きなイノシシを1頭
狩人の姉妹にとって
いつもどおりの成果
いつもと変わらない日常でした
いつもどおりの成果
いつもと変わらない日常でした
異変に気がついたのは
町を見下ろす丘へ出た時です
町を見下ろす丘へ出た時です
町には火の手が上がり
かすかに銃声が聞こえています
かすかに銃声が聞こえています
姉娘の頭をよぎったのは
隣国で起こっていた戦争のこと
隣国で起こっていた戦争のこと
姉娘は
妹にここにいるように言い置いて
町の様子を見に行く事にしました
妹にここにいるように言い置いて
町の様子を見に行く事にしました
[黒髪の妹]
気をつけてね お姉ちゃん……
気をつけてね お姉ちゃん……
火の海となった町は
妙に静まり返っていました
妙に静まり返っていました
煙が渦巻く中で 姉娘は
見たこともない凄惨な光景に
息を飲みました
見たこともない凄惨な光景に
息を飲みました
どちらを向いても あるのは
死体
死体
死体
死体
[王国兵]
まだ 生き残りがいたか!
まだ 生き残りがいたか!
兵士を倒した姉娘の耳に
声が聞こえます
声が聞こえます
走り寄ってきたのは
心配で追いかけてきた妹でした
心配で追いかけてきた妹でした
周囲では敵軍の兵士が
叫び声をあげています
叫び声をあげています
[王国兵]
あいつらを 捕らえろ!
あいつらを 捕らえろ!
[王国兵]
女が二人だ!
女が二人だ!
[王国兵]
我等が王国のために!
我等が王国のために!
[黒髪の妹]
お姉ちゃん! 逃げよう!
お姉ちゃん! 逃げよう!
姉娘が思った通り
隣国の戦争が ついにこの国にも
火の手を伸ばしていたのでした
隣国の戦争が ついにこの国にも
火の手を伸ばしていたのでした
獲物を狩るように
敵軍の兵士が取り囲みます
敵軍の兵士が取り囲みます
衝撃
熱さ 痛み
妹の叫び声
熱さ 痛み
妹の叫び声
途切れゆく意識の狭間で
兵士達の口から出た
ある言葉が耳に残ります
兵士達の口から出た
ある言葉が耳に残ります
それは
「選別」という言葉でした
「選別」という言葉でした
「負の現身」
黒髪の姉娘が気づくと
そこはモヤに包まれた世界
そこはモヤに包まれた世界
遠くから 声が聞こえます
[???]
たすけ........................ケテ......
たすけ........................ケテ......
その声は 聞きなれた妹のものに
よく似ているのに 聞きなれない
奇妙な音が混ざっていました
よく似ているのに 聞きなれない
奇妙な音が混ざっていました
そうだ
妹を助けないと
妹を助けないと
おぼろげだった記憶が
徐々に焦燥感へと
変わっていきます
徐々に焦燥感へと
変わっていきます
妹をかばって受けた剣
戦場に一人残してきた妹の叫び
そして 王国の兵士たちの言葉
戦場に一人残してきた妹の叫び
そして 王国の兵士たちの言葉
たった一人の妹
たった一人の家族
どうか どうか......
たった一人の家族
どうか どうか......
やがて姉娘は
白い光に包まれていき......
白い光に包まれていき......
目覚めた時
黒髪の姉娘は 見知らぬ牢獄に
横たわっていました
黒髪の姉娘は 見知らぬ牢獄に
横たわっていました
姉娘は違和感を覚えます
そして 自分の手足を眺め
愕然としました
愕然としました
自分の片腕 片足が
機械になっており
機械になっており
黒くつややかだった髪が
真っ白になっていたのです
真っ白になっていたのです
......妹は!?
姉娘は妹を探す為に
薄暗い牢獄を駆け出します
薄暗い牢獄を駆け出します
いとも容易く扉を蹴破り
音を聞きつけて現れた兵士をも
ひと蹴りで倒してしまいました
音を聞きつけて現れた兵士をも
ひと蹴りで倒してしまいました
そして
自分の身体に何が起きたのか
ようやく気づきます
自分の身体に何が起きたのか
ようやく気づきます
恐ろしい兵器となった姿を
闇が包んでいきました......
闇が包んでいきました......
まだ息のあった兵士に
妹の事を問い詰めると
笑いながら全てを語り始めました
妹の事を問い詰めると
笑いながら全てを語り始めました
それは
他国への侵略を続ける この王国の
恐ろしい計画
他国への侵略を続ける この王国の
恐ろしい計画
捕らえた人間を
殺戮用の機械兵とするための
人体改造実験――――
殺戮用の機械兵とするための
人体改造実験――――
「選別」
を行っているということ
を行っているということ
[王国兵]
お前は失敗作だ......
お前は失敗作だ......
そう言って
兵士は息絶えました
兵士は息絶えました
姉娘は駆け出します
考えてはいけない
考えてはいけない
考えてはいけない
考えてはいけない
考えてはいけない
そう つぶやきながら
最悪の未来を
振り払うように......
最悪の未来を
振り払うように......
「悲憤の牢」
薄暗い牢獄を脱出した
義肢の娘が見たのは
炎と血で赤く染まった町
義肢の娘が見たのは
炎と血で赤く染まった町
そこは見たことがない
外国の地でした
外国の地でした
妹を探さなくては
無我夢中で
義肢の娘は走り続けます
義肢の娘は走り続けます
[王国兵]
その体……失敗作が逃げ出したか!?
その体……失敗作が逃げ出したか!?
[???]
アアアアアア!
アアアアアア!
子供の叫び声のような音
それを聞いた義肢の娘は
駆け出しました
駆け出しました
[???]
キャハハハハハッ!
キャハハハハハッ!
[???]
ウフッ タノシイ……
ウフッ タノシイ……
そこにいたのは
「選別」を経て
面影を失った妹
面影を失った妹
[妹]
アハッ! モット殺シテミタイ!
アハッ! モット殺シテミタイ!
[妹]
オネ……え…………ちゃ……ん
オネ……え…………ちゃ……ん
変わり果てた妹が
何かを思い出そうとするように
震えていました
何かを思い出そうとするように
震えていました
[王国兵]
こっちに 失敗作が二体いるぞ!
こっちに 失敗作が二体いるぞ!
目の前で
愛する妹を殺された義肢の娘は
我を失いました
愛する妹を殺された義肢の娘は
我を失いました
王国兵が 原形を留めない
肉塊となってもなお 義肢の娘は
自分を止められませんでした
肉塊となってもなお 義肢の娘は
自分を止められませんでした

姉娘は
妹を大切に抱き上げ
血に濡れた顔を見つめました
妹を大切に抱き上げ
血に濡れた顔を見つめました
お揃いだった自慢の
美しい黒髪は
二人とも白くなり果てました
美しい黒髪は
二人とも白くなり果てました
しかし
妹の髪には 娘がつけてやった
髪飾りがまだ光っていました
妹の髪には 娘がつけてやった
髪飾りがまだ光っていました
戻らない時間に
独り取り残された義肢の娘は
妹のために誓います
独り取り残された義肢の娘は
妹のために誓います
王国の血が絶えるまで
復讐の火を燃やし続けると
復讐の火を燃やし続けると
一章 | 二章 | 三章 |