NieR Re[in]carnation ストーリー資料館

九章:第三夜 炎砂の章 『血の復讐』

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nier_rein

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八章 九章 十章

キャラクター  ラルス



「幼き日の記憶」

少年の住む国では
長い長い戦争が続いていました


夜の闇に響く銃声が
少年の不安をかき立てます


怯えた少年は両親のいる
リビングルームへ向かいました


[ラジオ]
敵軍の侵攻作戦により…………
当地にも甚大な被害が…………


[父親]
どうした 寝付けないのか?


[母親]
また不安げな顔して……


母親は
いつも決まって 笑顔で
少年を元気づけました


[母親]
大丈夫よ……
強い軍人さんが守ってくれるわ


少年は臆病でしたが
大好きな母親のために


「ぼくが 軍人になって
 お母さんを守るね」
と言い


それを聞いた母親は
嬉しそうににっこりと
ほほえみました


その時 突然
玄関の方から大きな音が
聞こえました


[父親]
なんだ……?
見てこよう


[母親]
クローゼットの中に隠れていなさい



[父親]
急いであの子を逃がせ!


[母親]
キャアアッ!


部屋の向こうから
両親の悲鳴が聞こえ


すぐに途切れました


[敵軍隊長]
どこにいるんだ!?





敵国の軍人は
隠れた少年に気づくことなく
去っていきました


少年は悲鳴の聞こえた廊下の方へ
恐る恐る向かいました


その後少年が見たものは
剣を突き立てられて冷たくなった
両親の姿でした


亡骸に突き刺さった剣には


特徴的な「エンブレム」が
施されていました


少年はその場に崩れ落ちます
無力で 情けなくて
泣くことしかできませんでした


クローゼットの隙間から見た
敵兵士の顔を思い出すと
今でも震えてしまいます


少年は
隠れていることしかできなかった
自分の臆病さを呪いました


「苦界の日々」

両親を失った少年は
数年後 兵士になっていました


[浅黒い肌の兵士]
おい 交代の時間だ 向こうを見てきてくれ


兵士になった目的はただ一つ
親を殺した敵国の男を
その手で殺すこと


少年は復讐に
憑りつかれていました


[体格のいい兵士]
おいチビ どこに行くんだよ
今から「教育」してやるよ……





愛想のない少年は
周りの兵隊に目をつけられていました


少年は
目の前の兵士を睨みつけます


臆病だった頃の面影は
もう残っていませんでした


[体格のいい兵士]
イイ泣き声を聞かせてくれよ?


[隊長]
君たち!
お願いだからケンカはやめてくれよ


[体格のいい兵士]
……
……興覚めだぜ


諍いを治めたのは
軍の隊長でした


少年は隊長から目をそらします


いつも軟弱な態度をとる
隊長を見ていると


昔の自分を見ているようで
むしずが走るからです


少年は
気にかける隊長を無視して
去っていきました


[隊長]
……


「絶望と希望」

あくる日の軍会議で
次の作戦について
説明が始まりました


集まった兵士たちに
作戦の資料が配られます


その資料を見た少年の
表情が険しくなります


殺された両親に刺さっていた剣
そこに刻まれたエンブレムと
同じ模様が記載されていたのです


復讐を望む仇が
敵部隊に含まれている......


少年は 煮えたぎる
血の熱を感じていました


意を決し
隊長の元へ向かいます


[隊長]
どうしたんだ?


標的の軍に親の仇がいる
俺はあの時から奴を殺すために
そのためだけに生きてきた


少年は隊長に思いの丈を伝え
攻撃部隊への参加を志願しました


[隊長]
気持ちはわかるが……それは許可できない


その返答に激高した少年は
あろうことか隊長に剣を向け
詰め寄りました


隊長は少年の凄みに押され
腰が引けていましたが
それでも首を縦に振りません


少年の怒りは収まらず
弱腰の隊長に暴言を吐きながら
その部屋を去りました



兵士たちが寝静まるころ
少年は静かに身を起こしました


認められないなら一人でも構わない
少年の決意は既に固まっていました



[体格のいい兵士]
おうチビ野郎 何している
丁度いい……今なら邪魔も入らねぇ





見張りをしていたのは
いつも因縁をつけてくる
体格のいい兵士でした


巡回を交代しにきたんだ


少年は嘘をつきました


[体格のいい兵士]
ようやくかよ……遅えんだよ
しっかりやれ! じゃあな


+ (「昼間のことを謝りにきたんだ」を選択した場合)
昼間のことを謝りにきたんだ


少年は嘘をつきました


[体格のいい兵士]
礼儀ってもんがわかってきたな
お前は俺に従ってればいいんだよ


いつもなら鼻につく兵士のことも
今や眼中になく


少年はただ復讐の相手だけを
考えていました


想像の中で 何度も何度も
殺し続けていたのです......


「朝の来ない夜」

少年が敵軍キャンプに
潜入したのは
夜明け前でした


沢山並んだテントは
暁の影の中で静まり返っています


奥のテントに灯りがともり
敵の気配がしました


[敵軍の兵士]
オイ! 誰かいるのか!?





[敵軍の兵士]
ぐあっ……!



[敵軍の兵士]
敵襲だッ!


少年の目の前に現れた軍人は
両親を殺した男でした


全ての憎しみを飲み込み
少年は敵に襲い掛かります


[敵軍の兵士A]
敵兵を殺せ!


[敵軍の兵士B]
排除しろ!


[敵軍隊長]
お前は……


[敵軍の兵士A]
手ごわいぞ……


[敵軍の兵士B]
ちくしょう!


[敵軍隊長]
くそっ……



[敵軍隊長]
……!?
お前は……まさか……!


仇の軍人は
少年の瞳を
真っすぐ見つめました


そして
震える声で
何かを呟いています


敵軍の隊長は
血の混じる声を振り絞り
少年に語り始めました。


[敵軍隊長]
そうか……
すまなかった……
俺は……お前を救えなかった……


敵軍の男は
死の間際に語りました


あの時
少年を助けようとしていたこと


自分が少年の
本当の父親であること


あの時殺した両親は
幼い少年を拉致した犯罪者
であること


男は震える手で
少年に手帳を渡し
そして 息を引き取りました



その手帳に記されていたのは
少年の育った国がおこなった
乳幼児を狙う拉致計画の概要


そこには少年を育てた
両親の写真も
貼り付けられていました


両親の罪 紛い物の過去
少年が人生を賭して
叶えたことの意味




静まり返った戦場は
虚ろな朝を迎えていました......


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