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二章 | 三章 | 四章 |
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「つめたい孤独」
とある王城の地下倉庫
ガラクタに紛れ
機械の兵士が眠っている
ガラクタに紛れ
機械の兵士が眠っている
この部屋の中で
彼の時間は止まっていた
彼の時間は止まっていた
その日
ある少年と出会うまでは
ある少年と出会うまでは
[王国兵]
お前はここで大人しくしていろ
お前はここで大人しくしていろ
少年はぐったりとして
起き上がる気力もないようだった
起き上がる気力もないようだった
少年は消え入りそうな声で呟く
「休ませてくれ......」と
「休ませてくれ......」と
見かねた男は
休む場所を作ろうと
ガラクタを漁ることにした
休む場所を作ろうと
ガラクタを漁ることにした
ガラクタを漁っていると
突然 廃棄された兵器が
動きはじめた......
突然 廃棄された兵器が
動きはじめた......
男は集めたガラクタで
不格好なベッドをこしらえた
不格好なベッドをこしらえた
男の助けを借りて
少年はベッドへと向かう
少年はベッドへと向かう
少年はお礼を言うと 男を見つめ
いくつか質問を投げかけた
いくつか質問を投げかけた
名前は? なぜここに? と問われた
+ | 名前を答える |
+ | ここにいる理由を答える |
「僕たち似たもの同士だね」と
少年は悲しそうに微笑んだ
少年は悲しそうに微笑んだ
しゃべり疲れたのか
やがて少年は眠りに落ちる
やがて少年は眠りに落ちる
安心した顔を横目に
男はただ そこに座り続けた
男はただ そこに座り続けた
「あたたかな歌」
寒さが体に障ったのか
少年の体調は徐々に悪化した
少年の体調は徐々に悪化した
部屋を見回すと ガラクタの奥に
薬瓶らしきものが見える
薬瓶らしきものが見える
瓶を手にとってラベルを見ると
中身は猛毒のガス兵器だった......
中身は猛毒のガス兵器だった......
男は少年のために薬探しを続ける
壁際に散乱するガラクタの先にも
倉庫が広がっているようだ
倉庫が広がっているようだ
棚に並ぶ瓶を手に取り
少年が待つベッドへと戻る
少年が待つベッドへと戻る
受け取った薬瓶を見て
少年がクスクスと笑う
少年がクスクスと笑う
「空の瓶じゃ 病気は治らないよ」
男はキョトンとした顔をする
男はキョトンとした顔をする
「そうだ」と声をあげ
何かを思いついたように
少年が立ち上がる
何かを思いついたように
少年が立ち上がる
少年は瓶の中にロウソクを入れ
ランプに変身させた
ランプに変身させた
そして 小さな声で
ある歌を歌い始めた......
ある歌を歌い始めた......
「勇者は剣を抜く
己の意志の力で」
己の意志の力で」
「世界に満ちる暗黒が
行く手を阻もうとも」
行く手を阻もうとも」
「恐怖に支配された民を
救いの光で導くために」
救いの光で導くために」
それは 勇者が民を想い
魔王に挑む歌......
魔王に挑む歌......
暖かに揺らぐランプの灯
男は じっと考えている
男は じっと考えている
「ありがとう」
男の中にあるはずもない
言葉があふれた
言葉があふれた
キョトンとした少年の顔が
一生分と思える笑顔に変わる
一生分と思える笑顔に変わる
凍えるような部屋の片隅で
彼らは今 同じ体温を感じていた
彼らは今 同じ体温を感じていた
「ふたつの心」
[王国兵]
また戦争か 次はどこの国だ?
また戦争か 次はどこの国だ?
聞こえてくる兵士たちの噂話
王国がまた開戦を宣言したらしい
王国がまた開戦を宣言したらしい
少年は男の目を見据え
自らの気持ちを言葉にする
自らの気持ちを言葉にする
父王に怯え 言いなりとなって
戦争に加担してしまった後悔を
戦争に加担してしまった後悔を
戦争から民を守るために
父王を止めたいのだと
父王を止めたいのだと
強い意志が
少年の瞳に灯っていた
少年の瞳に灯っていた
男が扉を破壊すると
少年も後に続く
少年も後に続く
[王子]
玉座の間はこの先だ 急ごう!
玉座の間はこの先だ 急ごう!
[王国兵]
この先には行かせん!
この先には行かせん!
[王子]
あと少しで玉座の間だ 進もう!
あと少しで玉座の間だ 進もう!
神々しいまでの光を背に
王国の君主が二人を睨んだ
王国の君主が二人を睨んだ
少年は王と対峙し
堂々たる声で説得を試みる
堂々たる声で説得を試みる
「第一王子の名のもとに
終戦を進言する!」
終戦を進言する!」
王に立ち向かう姿は まるで
歌に出てきた勇者のようだった
歌に出てきた勇者のようだった
王は下卑た笑みを浮かべながら
機械兵に命を下す
機械兵に命を下す
[王]
出来損ないの王子を今すぐ殺せ!
出来損ないの王子を今すぐ殺せ!
男の体が硬直する
支配者ではある王に逆らえない......
そうプログラムされていた
支配者ではある王に逆らえない......
そうプログラムされていた
男は震えながら
銃を構える
銃を構える
ダメだ......この少年を殺す......なんてッ......
男は命令に抗えず
引鉄を引く指に力が入る......
引鉄を引く指に力が入る......
追い詰められた男は
自身の運動神経回路を遮断した
自身の運動神経回路を遮断した
指が引鉄からほどけ
少年の前で跪く
少年の前で跪く
彼を守るため 男は初めて
己の意志で王の命令に背いた
己の意志で王の命令に背いた
王は獣のような叫び声を上げると
二人の反逆者の前で立ち上がる
二人の反逆者の前で立ち上がる
王の怒号で機械兵が集結する
反逆者を八つ裂きにせよと
反逆者を八つ裂きにせよと
男は少年の手をとり
王城から逃げ出そうとする
王城から逃げ出そうとする
それは 男が初めて持った
自らの「意志」だった
自らの「意志」だった
「はじまりの夜」
王城を脱し 辿り着いたのは
開戦宣言で混乱した城下町
開戦宣言で混乱した城下町
[王子]
はぁ......はぁ......僕は大丈夫!行こう!
はぁ......はぁ......僕は大丈夫!行こう!
[国民]
あのガキ 王族の者だぞ!
あのガキ 王族の者だぞ!
[国民]
国民は戦争の道具じゃない!
国民は戦争の道具じゃない!
[国民]
もう私たちから何も奪わないで!
もう私たちから何も奪わないで!
[国民]
あいつらを捕まえろ!
あいつらを捕まえろ!
[王国兵]
反逆者どもめ! ここで死ね!!
反逆者どもめ! ここで死ね!!

二人は手を取り合い
なんとか国の外へ逃げ延びた
なんとか国の外へ逃げ延びた
二度と帰れぬ故郷を眺め
各々が決意を口にする
各々が決意を口にする
少年は 王族として国を巡り
戦争を終戦へ導きたいと
戦争を終戦へ導きたいと
男は この身が滅ぶまで
少年を守り続けると......
少年を守り続けると......
王国が張り巡らせた傀儡の糸
その呪縛に抗った二人
その呪縛に抗った二人
それぞれの決意を胸に
未来への一歩を踏み出した
未来への一歩を踏み出した
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