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十章 | 十一章 | 十二章 |
キャラクター | ![]() |
「くもりなきねがい」
ある国の ある街外れに
貧しい少女が 暮らしていました
貧しい少女が 暮らしていました
家の中では
両親はいつも言い争っています
原因は 職を失った父親でした
両親はいつも言い争っています
原因は 職を失った父親でした
少女は 両親のけんかが始まると
いつものように家を飛び出し
あてどなく歩いて過ごすのでした
いつものように家を飛び出し
あてどなく歩いて過ごすのでした
この国は
貴族に支配された
厳しい階級社会
貴族に支配された
厳しい階級社会
父親が 突然仕事を奪われたのも
貴族が作った法律が原因でした
貴族が作った法律が原因でした
[他人行儀な女]
まっ......『山羊』じゃないの
まっ......『山羊』じゃないの
『山羊の民』――それは
平民からの反発を抑制するために
作られた低い階級の呼び名
平民からの反発を抑制するために
作られた低い階級の呼び名
[横柄な男]
『山羊』め! こっちへくるな!
『山羊』め! こっちへくるな!
[こぎれいな女]
キャッ 近寄らないで!
キャッ 近寄らないで!
平民より下の身分を作り
彼らの人権や仕事を奪うことで
平民の溜飲を下げたのです
彼らの人権や仕事を奪うことで
平民の溜飲を下げたのです
[噂好きの女]
見て あの首輪......
見て あの首輪......
[いじわるな男]
やーい 『山羊』っ子!
やーい 『山羊』っ子!
少女が足を止めたのは
大きくて豪華な建物の前でした
大きくて豪華な建物の前でした
ここは「議会場」
民主主義とは名ばかりの
貴族に牛耳られた場所です
民主主義とは名ばかりの
貴族に牛耳られた場所です
「一生懸命に お願いすれば
パパは また仕事を
もらえるかもしれない」
パパは また仕事を
もらえるかもしれない」
子供ながらにそう考えた少女は
議会場へ 入っていきました
議会場へ 入っていきました
[神経質そうな貴族議員]
む?
む?
何を伝えよう?
[真面目そうな貴族議員]
なんだね?
なんだね?
何を伝えよう?
[短気そうな貴族議員]
うん?
うん?
何を伝えよう?
少女の訴えは
聞いてもらえるわけが
ありませんでした
聞いてもらえるわけが
ありませんでした
[議長]
誰だ? 我々の神聖な議会を乱す者は!
誰だ? 我々の神聖な議会を乱す者は!
少女につけられた首輪と手枷
それは『山羊の民』として
選別された者のしるしでした
それは『山羊の民』として
選別された者のしるしでした
「貧乏でもかまわないから
パパとママに
笑っていてほしい」
パパとママに
笑っていてほしい」
まだ 世の中を知らない少女が
願っているのは それだけでした
願っているのは それだけでした
「のざらしのこころ」
あくる日
少女の父親が出かけたきり
戻ってきませんでした
少女の父親が出かけたきり
戻ってきませんでした
心配になった少女は
父親を探しに行くことに
しました
父親を探しに行くことに
しました
少女の父親は
この街の衛兵として
働いていました
この街の衛兵として
働いていました
しかし
最下級身分『山羊の民』となり
仕事を奪われてしまったのです
最下級身分『山羊の民』となり
仕事を奪われてしまったのです
下働きでもかまわないから
また働かせてほしいと
願い出るために
また働かせてほしいと
願い出るために
[声の大きい男]
『山羊』の分際で街を歩くなよ!
『山羊』の分際で街を歩くなよ!
この日 意を決して
衛兵の駐屯所へと
申し出に向かったのでした
衛兵の駐屯所へと
申し出に向かったのでした
[物憂げな男]
俺らも議員になれたら 少しは世の中は......
俺らも議員になれたら 少しは世の中は......
[世話焼きな女]
奥さん 聞いた? また新しい法律が......
奥さん 聞いた? また新しい法律が......
[捨て鉢な女]
稼ぎの半分は貴族様に巻き上げられてるのさ
稼ぎの半分は貴族様に巻き上げられてるのさ
[悲観する女]
私たち平民は なんのために......
私たち平民は なんのために......
[すぐ手が出る男]
あー くさくさする 『山羊』でも殴るかな
あー くさくさする 『山羊』でも殴るかな
[酔っ払いの男]
............ヒック......
............ヒック......
少女は 衛兵の駐屯所へと
やってきました
やってきました
そこで 少女が見たのは
暴行を受けている父親でした
暴行を受けている父親でした
パパを助けなきゃ!
かつての仲間たちに暴行され
父親は絶命していました
父親は絶命していました
少女は 身の危険を感じ
その場を逃げ出します
その場を逃げ出します
早く母親に知らせなくては と
少女は 息せき切って
走り続けました
少女は 息せき切って
走り続けました
家の中で 母親は
知らない男の人と
抱き合っていました
知らない男の人と
抱き合っていました
少女は 混乱しましたが
父親が 殺されたことを
泣きながら 伝えました
父親が 殺されたことを
泣きながら 伝えました
[母親]
あら やだ そうなのね......
あら やだ そうなのね......
信じられないことに
母親は それを聞いて
喜んでいる様子でした
母親は それを聞いて
喜んでいる様子でした
[母親]
手間が省けたよ これでやっと......
手間が省けたよ これでやっと......
[知らない男]
じゃあ 明日にでも
じゃあ 明日にでも
翌朝
家の中に 母親の姿は
ありませんでした
家の中に 母親の姿は
ありませんでした
そして
どれだけ待っても
もう 帰ってきませんでした
どれだけ待っても
もう 帰ってきませんでした
「つみなきかじつ」
少女は
街をさまよっていました
街をさまよっていました
大人たちは
誰も助けてくれないことを
少女はもう 知っています
誰も助けてくれないことを
少女はもう 知っています
それでも 少女は
その現実を受け入れるには
まだとても幼く
その現実を受け入れるには
まだとても幼く
人のぬくもりを求めるように
あてどなく 歩き続けるのでした
あてどなく 歩き続けるのでした
前日から 何も食べずにいた少女は
露店のリンゴを見て
足を止めました
露店のリンゴを見て
足を止めました
がまんしよう......
[露天商]
ちょっと! あんた 盗もうとしただろう?
ちょっと! あんた 盗もうとしただろう?
+ | (「一個ぐらいなら......」を選択した場合) |
[露天商]
そんなに食いたきゃ 食えばいい
『山羊』にはこれがお似合いさ
そんなに食いたきゃ 食えばいい
『山羊』にはこれがお似合いさ
少女は
飢えと 恥ずかしさで
泣きたくなりました
飢えと 恥ずかしさで
泣きたくなりました
そこに 通りがかったのは
少女が昔から仲良くしていた
友達でした
少女が昔から仲良くしていた
友達でした
少女は 恥ずかしい気持ちと
助けてほしい気持ちに挟まれて
動けなくなりました
助けてほしい気持ちに挟まれて
動けなくなりました
[友達の母親]
なぁに この汚い山羊 あなたのお友達?
なぁに この汚い山羊 あなたのお友達?
[少女の友達]
......山羊の友達なんて一人もいないよ
ママ 早く行こう! バレエに遅れちゃう
......山羊の友達なんて一人もいないよ
ママ 早く行こう! バレエに遅れちゃう
少女は
思い知らされたのでした
思い知らされたのでした
理不尽な身分が
両親だけでなく
友達も奪っていった事を......
両親だけでなく
友達も奪っていった事を......
「いつかみたゆめ」
あくる日のこと
空腹に耐えていた少女は
家の外の大きな音に気づきました
空腹に耐えていた少女は
家の外の大きな音に気づきました
外には 役人たちが集まり
少女の家を 取り壊そうと
していたのです
少女の家を 取り壊そうと
していたのです
役人たちは
この場所を ごみの投棄所にする
と言いました
この場所を ごみの投棄所にする
と言いました
[役人]
『山羊』に人権はない 邪魔をするな!
『山羊』に人権はない 邪魔をするな!
少女は
着の身着のまま 家を
追い出されてしまいました
着の身着のまま 家を
追い出されてしまいました
せめて
雨風のしのげるところへ
雨風のしのげるところへ
無意識に 少女の足は
家からやや離れた場所にある
古い遺跡へと 向いていました
家からやや離れた場所にある
古い遺跡へと 向いていました
古びて汚い遺跡には
誰も近づこうとしませんでしたが
誰も近づこうとしませんでしたが
その静けさを気に入っていた
少女にとっては
秘密の遊び場だったのでした
少女にとっては
秘密の遊び場だったのでした
歩きながら
少女は考えます
少女は考えます
人は
自分より下だと思える相手が
いることで
自分より下だと思える相手が
いることで
どうして
とてもうれしい顔を
するんだろう? と
とてもうれしい顔を
するんだろう? と
そして
その時の誇らしい笑顔は
その時の誇らしい笑顔は
どうして
とても醜く見えるんだろう?
と
とても醜く見えるんだろう?
と
しかし 頭をひねっても
少女には 答えを見つけることが
できませんでした
少女には 答えを見つけることが
できませんでした
遺跡の奥には
三人の人影が見えました
三人の人影が見えました
[少女の友達]
ヤダ 汚い...... 近寄らないで?
ヤダ 汚い...... 近寄らないで?
[父親]
俺が何をしたってんだ 俺が......
俺が何をしたってんだ 俺が......
[母親]
ごめんね ママはもう無理なの......
ごめんね ママはもう無理なの......
もう この世界に
少女のことを 気にかける人間は
いません
少女のことを 気にかける人間は
いません
わたしはひとりぼっち?
どうしてこうなっちゃったの?
わたし死んじゃうのかな
パパは............
ママは............
誰カ助ケテ......
ナニカヲ忘レテル......?
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 悪夢
- 怪物
- 悪夢