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キャラクター | ![]() |

第1話
彼女は知っていました。
自らが向かうべき場所がある事を。
しかし、彼女は知りませんでした。
その場所がどこにあるかを。
自らが向かうべき場所がある事を。
しかし、彼女は知りませんでした。
その場所がどこにあるかを。
必要なのは目的地に辿り着く為の「情報」。
手がかりも何もない情報を求め、
廃墟となった都市をあてもなく彷徨う日々。
手がかりも何もない情報を求め、
廃墟となった都市をあてもなく彷徨う日々。
ある日少女が拾ったのは、一冊の古びた本。
ここがどこかも分からない無人の地では、
本は貴重な情報源になります。
ここがどこかも分からない無人の地では、
本は貴重な情報源になります。
しかし、長らく風雨に晒されていたためか、
字も挿絵も、掠れて読む事ができません。
字も挿絵も、掠れて読む事ができません。
少女が、仕方なくその本を閉じようとした時――
一羽の小鳥が、
樹の上から落ちてきました。
樹の上から落ちてきました。
怪我をしているのでしょうか。
その両翼は不揃いで、
羽毛の剥げた箇所には血が滲んでいました。
その両翼は不揃いで、
羽毛の剥げた箇所には血が滲んでいました。
草葉の上でもがく小鳥は、
傷付いた翼で何度も羽ばたこうとします。
傷付いた翼で何度も羽ばたこうとします。
苦しそうに、それでも必死に足掻く小さな羽。
少女は、小鳥へと声をかけました。
「......どこか、行きたい所があるの?」
小鳥は問いかけに答えるように、小さな声で鳴きました。
第2話
旅の途中で出会った、怪我をした小鳥。
少女の手の上で、
小鳥は一方をじっと見つめ続けています。
さらに、その方角に向かって、羽ばたこうとすらしました。
小鳥は一方をじっと見つめ続けています。
さらに、その方角に向かって、羽ばたこうとすらしました。
強い意志でどこかを目指そうとしている小鳥。
少女は服の裾を破り、羽を固定するように巻いてやりました。
少女は服の裾を破り、羽を固定するように巻いてやりました。
幸い軽傷だったので、
数日、安静にしていれば回復するはずです。
数日、安静にしていれば回復するはずです。
そして少女は、小鳥を頭の上に乗せました。
彼女の旅の目的地、
その手掛かりはまだ見つかっていません。
探すあてもないのなら、と
少女は小鳥の旅を手伝う事にしたのです。
その手掛かりはまだ見つかっていません。
探すあてもないのなら、と
少女は小鳥の旅を手伝う事にしたのです。
少女が立ち上がると、
突如、小鳥が激しく鳴き始めます。
突如、小鳥が激しく鳴き始めます。
何かに慌てているのでしょうか。
小鳥に急かされるように、少女が足を速めた、
直後、背後で轟音が鳴り響きました。
直後、背後で轟音が鳴り響きました。
風化したビルが崩落し、少女と小鳥の居た木陰は、
瞬く間に瓦礫の下敷きになってしまいました。
瞬く間に瓦礫の下敷きになってしまいました。
「......助けてくれたの?」
答えるようにピィ、と鳴いた小鳥の声が、
少女には少し得意げに聞こえました。
少女には少し得意げに聞こえました。
第3話
少女と小鳥の旅は続きます。
少女には何でもないこの都市も、
飛べない小鳥にとっては捕食者の巣窟。
ある日、飢えた獣が彼女達の前に立ちはだかりました。
飛べない小鳥にとっては捕食者の巣窟。
ある日、飢えた獣が彼女達の前に立ちはだかりました。
今度は自分が小鳥を助ける番、
少女はそう考えて、静かに槍を構えます。
少女はそう考えて、静かに槍を構えます。
彼女が素早く襲い掛かる素振りを見せると――
驚いた獣は、一目散にその場から逃げていきました。
しかしその時、少女の頭上から布が落ちてきます。
小鳥に巻いた、裾の切れ端。
彼女はすぐに違和感に気付きました。
小鳥に巻いた、裾の切れ端。
彼女はすぐに違和感に気付きました。
頭の上の、微かな重みが消えています。
小鳥がいません。
周辺を探す少女の目に、
ひとつの建物に向かって飛ぶ小鳥の姿が映りました。
ひとつの建物に向かって飛ぶ小鳥の姿が映りました。
まだ怪我は治っていないはずなのに、
その羽ばたきは力に満ち溢れています。
その羽ばたきは力に満ち溢れています。
きっとあそこに行きたかったんだ。
少女は小鳥の後を追いかけます。
壊れた扉を潜り抜け、建物の中へと......
壊れた扉を潜り抜け、建物の中へと......
第4話
力強く羽ばたく背中を追いかけ、
少女はついに小鳥の目的地を見つけました。
少女はついに小鳥の目的地を見つけました。
静まり返った空間に響く鳴き声。
そこにあったのは、小さな鳥の巣。
そこにあったのは、小さな鳥の巣。
小鳥が目指していたのは、
我が家だったのです。
我が家だったのです。
少女の胸を、微かな痛みが襲いました。
孤独に旅を続ける少女には、
家族も、帰るべき自身の家もありません。
家族も、帰るべき自身の家もありません。
巣で親鳥達と鳴きあう小鳥を見ていると、
痛みが少しずつ大きくなっていく気がします。
痛みが少しずつ大きくなっていく気がします。
もう行こう。私も、目的地を探さなければ。
少女は小鳥に向かって小さく手を振り、
歩み出そうとします......
歩み出そうとします......
その時、彼女はやっと気付きました。
壁に並ぶ無数の本棚に。
ここが図書館である事に。
ここが図書館である事に。
ようやく見つけた、読む事の出来る文字。
この地で使われた言語が分かれば、
現在地を知る手掛かりになるはずです。
この地で使われた言語が分かれば、
現在地を知る手掛かりになるはずです。
それが自身の『行きたい場所』に繋がると信じて、
少女は本を手に取りました。
少女は本を手に取りました。
つかの間の旅の友がくれた、素敵な贈り物。
大切そうに本を開く少女の口元は、
少しだけ、綻んでいるように見えました。
少しだけ、綻んでいるように見えました。