蒲原郡上條組芹田村

越後国 蒲原郡 上條組 芹田(せりた)
大日本地誌大系第34巻 49コマ目

府城の西に当り行程14里13町。
家数23軒、東西2町・南北3町。
西は山に傍ひ東は川に近く、南北少しく田圃(たんぼ)あり。

東6町30間太田村に界ひ室谷川を限りとす。その村まで9町50間。
未申(南西)の方2町20間小杉村の界に至る。その村は南に当り4町40間。
辰巳(南東)の方11町45間小山村の界に至る。その村まで16町余。
北16町九島村の山に界ふ。

山川

室谷川

村南3町にあり。
小杉村の境内より来り、東に流れ北に折れまた東に転じ太田村の界に入る。
境内を経ること15町計。

水利

堤2

一は村西2町にあり。周140間、元禄年中(1688年~1704年)に築く。
一は村より巳(南南東)の方11町にあり。周70間。

神社

熊野宮

祭神 熊野宮?
相殿 伊勢宮
   若宮
   稲荷神 2座
   山神
   白山神
鎮座 不明
村北1町10間、山麓にあり。
寛文中(1661年~1673年)まで延文2年(1357年)及び文明元年(1469年)修理せし時の棟札あり。今は失う。
鳥居あり。九島村齋藤丹後これを司る。

相殿 若宮

村老の説に、昔いるの頃にか吉見御所という貴人ここに暫く住せし故、村名を中屋村といいしとぞ。彼人住居の地を神慮(しんりょ)に任せんとて、神主式部大夫朝日神子というものに命じ阿氣淵(あけふち)という所にて(この淵もと室谷川にあり。その迹高出村の境内にありて小沼の如し。何の頃川の流れ()えりしか知らず)神託を下さしめ、その告に従い高出村に移住せり。土人尊んで月見御所と称す。後にこの人を祭り若宮と(あが)めしといい伝う(高出村の条下と照らし見るべし)。

寺院

阿弥陀寺

村中にあり。
山號を正覺山という。津川町新善光寺の末山浄土宗なり。
文明2年(1470年)三輪豊後某というもの開基し、常州より長尊という僧を招き開山とす。
天正中(1573年~1593年)火災にかかり宗心という僧再興せり。
本尊弥陀客殿に安ず。

墳墓

八人塚

村より辰巳(南東)の方4町計にあり。
高3尺・周8間。共に来由しれず。
この辺の字を強力沢(かうりきさは)という。何の頃にか盗賊多く萃居し所なりとぞ。



最終更新:2020年10月21日 21:16