蒲原郡下條組石間村

越後国 蒲原郡 下條組 石間(いしま)
大日本地誌大系第34巻 68コマ目

府城の西北に当り行程19里。
家数41軒、東西2町42間・南北1町7間。
東北は山に傍ひ西南は揚川に近し。

新潟に行く径路にて、村中に官より令せらるる掟条目の制札あり。

東10町熊渡村の界に至る。その村まで13町余。
西は小松村の山に隣り境界分明ならず。その村まで10町10間余。
南1里20町余、公領本郡小山田村の山に界ふ。
北1里20町余、公領本郡保田村の山に界ふ。
また
未申(南西)の方25間佐取村に界ひ揚川を限りとす。その村まで8町余。

この村の郷頭古山仁兵衛というもの、家に古文書2通を伝ふ。その文如左。
  掟
當はやしきりとるましき事 自然少の木なり共きり候はゝ まさかりには五十文 なたは廿文 かまニは拾文くわ銭あるへき者也
 慶長拾四年十月一日  岡金介 吉次(花押)
※慶長14年:1609年

  請取申手形数之事
一 九枚者         下舟指紙
一 卅五艘者        下舟之帳
一 六枚者  材木役折数役 指紙
右者数之儀貴殿御符候まゝ請取候間 則於若松御奉行衆へ相渡可申者也 仍如件
 慶長十九       福永與兵衛 判
  十二月廿六日    安倍現作内 判
    石間兵衛殿参る

端村

釣浜(つりはま)

本村の東7町余にあり。
家数18軒、東西1町10間・南北1町6間。
山中に住し西は揚川に臨む。

山川

宝珠山(はうしゆやま)

村北1里計にあり。
頂まで1里余。
雑木多し。

次狩嶽(すかりがたけ)

村南20町余にあり。
頂まで1里余。
西は佐取村に界ふ。

鍋倉山(なへくらやま)

村の丑寅(北東)の方1里計にあり。
頂まで1里余。
雑木多し。

盲峠(めくらとうげ)

村西8町、揚川の北畔にあり。
ここを越て小松村に行く。
上下共に9町。難所なり。

揚川

村南1町にあり。
熊渡村の境内より来り、前沢(まへさわ)下沢(しものさわ)の2流を受け、西に流るること28町計小松村の界に入る。
広2町。

関梁

釣浜口

端村釣浜にあり。
ここより新潟に達す。
旧は本村の東にあり。寛政7年(1795年)ここに移す。
木戸門を設け番戍(ばんじゅ)を置き往来を察せしむ。
西の方に揚川の渡場あり。

水利

端村釣浜の辰巳(南東)の方5町にあり。
東西80間余・南北100間計。
袖沢堤(そてさはつつみ)という。

神社

白山神社

祭神 白山神?
相殿 諏訪神
鎮座 不明
村北にあり。
鳥居幣殿拝殿あり。五十島村渡部奥頭が司なり。

相殿 諏訪神

本村より移す。
小田切弾正某というもの信濃国より移し祭といい伝う。
何の頃ということを詳にせず。

寺院

松壽寺

村東にあり。
寶珠山と號す。新潟瑞光寺の末山曹洞宗なり。
開基詳ならず。
旧は村西3町計六堂沢(ろくたうさわ)という所にありて巨宏の道場なり。(しばしば)水災に逢い佛閣衰廃(すいはい)せり。
康暦の頃(1379年~1381年)葦名直盛の臣小田切弾正、石間・岡沢・焼山・太田・古岐5邑の領主たりしに、佛法帰依のものにて寺をここに移し曹洞の徒關鶏といえるを請て開山とす。この時田地佛具等の寄付も多かりしとぞ。弾正死せしとき關鶏その導師を勤め、『透綱院殿前霜臺天宗全洞居士』と諡す。
その後、文明元年(1469年)瑞光寺2世一鶏という僧中興すという。

客殿

8間半に6間、南向き。
本尊正観音

寶物

面壁達磨画像 1軸。筆者知らず。小田切弾正寄付なりという。

古蹟

館跡3

一は村北1町にあり。東西50間・南北50間、堀の迹あり。小田切弾正住すという。
一は村北にあり。32間四方。小田切豊前某というもの住すという。
一は村の丑寅(北東)の方7町計山上にあり。周6町計。これも豊前が住せし所にて、天正19年(1591年)に築くという。舊事雑考に、天正14年(1586年)8月13日小澤和泉が内応に因て越後の賊兵小川荘に入んとす。故に谷沢・石間の諸士多く集て防ぎ戦い賊を討、とあるはこの小田切等がことなるべし。



余談:神社について。
神社明細帳を見ると、小石取(石間・佐取・小松の旧地名)には白山神社は1社のみ登録があります(地名が岩田になっていますが)。その中を見てみると相殿の諏訪神の記載がありません。一体どこへ…。
※越後佐渡デジタルライブラリー『神社明細帳 阿賀町』No.68より

また釣浜にも神社があったようで、稲荷神社と白鬚神社が登録されていました。稲荷神社は現存していますが白髭神社はどこに行ってしまったのでしょう。
※越後佐渡デジタルライブラリー『神社明細帳 阿賀町』No.66,67より


余談:城館跡。
県が発表している『新潟県埋蔵文化財包蔵地一覧表』(PDF)にある石間の城館跡の住所を下にピックアップしてみます。平成17年の合併後に住所が変わっているので、今だと何処になるのかわかりませんが…。
No. 種別 名称 所在地
144 城館跡 石間館跡 石間字上城
150 城館跡 石間城跡 石間字霜ノ沢
最終更新:2020年11月14日 20:11