魚沼郡小千谷組東吉谷村

越後国 魚沼郡 小千谷組 東吉谷(ひかしよしたに)村・西吉谷(にしよしたに)
大日本地誌大系第34巻 90コマ目

この両村はもと1村なり。應安2年(1369年)より別村となる。因て田圃(たんぼ)相交わり民家雑居す。

小千谷陣屋の西南に当り行程32町余。
東吉谷村、家数74軒。西吉谷村、家数72軒。
東西3町・南北12町20間。
西南は山に傍ふ。

東7町30間谷内村の界に至る。その村まで11町40間。
西35町、公領刈羽郡桐沢村の山に界ふ。
南1里4町、公領刈羽郡小国沢村の山に界ふ。
北9町20間小千谷村に界ふ。
また
辰(東南東)の方7町30間四子村の界に至る。その村まで10町20間。
戌(西北西)の方2町13間時水村の界に至る。その村まで10町10間。
亥(北北西)の方2町10間薮川村の界に至る。その村まで4町余。

東吉谷村 枝村

高畑(たかはたけ)

本村の東7町30間にあり。
家数8軒、東西30間・南北50間、四方田圃なり。

千谷郷(ちやかう)

本村の巳(南南東)の方5町30間にあり。
家数20軒、東西1町20間・南北2町、山間に住す。

西吉谷村 枝村

二又(ふたまた)

本村の巳(南南東)の方11町にあり。
家数39軒、東西2町・南北2町、山間に住す。

仁頃(にころ)

二又の巳(南南東)の方2町30間にあり。
家数32軒、東西2町・南北2町、山間に住す。

山川

郡池

村南20町、山中にあり。
2町四方。
昔郡代の妻蛇身となりこの池に棲しといい伝う。
下流小川となり、千谷郷川と唱え田地の養水となり、土川・小千谷・東西千谷川・千谷の村々を経て信濃川に入る。

神社

八幡宮

祭神 八幡宮
創立
村中にあり。
村民の持なり。

山王神社

祭神 山王神?
勧請 不明
村中にあり。
村民の持なり。

寺院

圓満寺

村南にあり。
大雄山と號す。曹洞宗、市野宮村吉蔵寺の末寺なり。
大永中(1521年~1528年)本寺第3世大通という僧剏建(そうけん)しその後衰廃し、天正中(1573年~1593年)本寺第7世月岑という僧再興すという。

客殿

12間に8間、丑寅(北東)の方に向う。
本尊釈迦。
鐘1口あり。径2尺4寸、『寛政十二庚申年六月祥旦十三世大容榮泉代再鑄焉』と彫付けあり(寛正12年:1800年)。銘あれども煩わしければ略す。

観音堂

村中にあり。
草創の年月を伝えず。
圓満寺これを司る。

薬師堂

村中にあり。
何れの頃建立すということをしらず。
村民の持なり。

十王堂

村中にあり。
創立の年代詳ならず。
村民の持なり。

観音堂

枝村千谷郷にあり。
建立の年代しれず。
村民の持なり。


現在の住所を見ると、東吉谷を南北に挟み込むように西吉谷があります。風土記の頃の西吉谷は北側の方を指しているのではないかと思われいます。



余談:神社について。
神社明細帳(請求記号19-1)を見ると、東吉谷と西吉谷にはいくつかの神社の登録があります。
No. 神社名 祭神 住所
38 宇佐八幡宮 誉田別尊(ほむたわけのみこと) 吉谷村大字東吉谷字宮ノ下 風土記本文に記載あり
39 白山社 白山比賣命(しらやまひめのみこと) 吉谷村大字東吉谷字茶郷
40 白山神社 菊理比賣命(くくりひめのみこと)(、大山咋命(おおやまくいのみこと) 吉谷村大字東吉谷字城ノ入 大正3年4月21日に日吉神社を合併
41 白山神社 菊理比賣命(くくりひめのみこと) 吉谷村大字西吉谷字郡又
42 五社神社 菊理比賣命(くくりひめのみこと) 吉谷村大字西吉谷字五社
43 日吉神社 大山咋命 吉谷村大字西吉谷字鍋屋敷 No.40白山神社へ合祀


余談:寺院について
寺院明細帳(請求記号52-3)よりこの地にある寺院をまとめます。
No. 寺院名 本尊 住所
37 観世音堂 観世音菩薩 吉谷村大字東吉谷字茶郷
38 観世音堂 観世音菩薩 吉谷村大字東吉谷字鍋屋敷 圓満寺境内へ移転
39 十王堂 閻魔王 吉谷村大字西吉谷字前田 明治13年6月に円満寺境内へ移転
40 阿弥陀堂 阿弥陀佛 吉谷村大字西吉谷字郡又
41 薬師堂 薬師如来 吉谷村大字西吉谷字鍋屋敷
42 観音堂 観世音菩薩 吉谷村大字西吉谷字二頃
最終更新:2020年12月09日 20:04