大沼郡野尻組小野川村

陸奥国 大沼郡 野尻組 小野川(おのかは)
大日本地誌大系第33巻 66コマ目

府城の西南に当り行程9里15町。
南北2区に住し、その間1町余を隔つ。
南を上坪(うはつほ)という。家数9軒、東西20間・南北2町13間。
北を下坪(しもつほ)という。家数11軒、東西19間・南北2町23間。
山中に住し西南北に田圃(たんぼ)を開く。

下坪の村中に官より令せらるる掟条目の制札あり。

東1里7町冑組下谷地村に界ひ博士峠を限りとす。その村は辰(東南東)に当り2里31町。
西15町飱丸村の山界に至る。その村まで1里3町20間余。
南31町両原村の山界に至る。その村は未申(南西)に当り1里5町。
北24町大谷組琵琶首村の界に至る。その村まで1里23町。

端村

大岐(おほまた)

本村より亥(北北西)の方18町にあり。
家数7軒、東西27間・南北1町20間。
山中に住し東は六沢川に傍ふ。

木地小屋

岩下(いはのした)

本村の戌(西北西)の方12町にあり。
家数3軒、東西町27間・南北9間。
山中に住す。東北は六沢川に傍ふ。

山川

博士峠(はかせとうげ)

村端より東に登ること1里7町にして頂に至る。
下谷地村にゆく道なり。

六沢川(むさはかわ)

村西2町にあり。
博士山の中朝日森(あさひがもり)という所より流れ出、北に流るること1里30町琵琶首村の界に入り中川となる。
広7間。

原野

辻原(つしはら)

村西5町にあり。
東西6町・南北2町10間。
この村の秣場なり。

楢布原(ならふはら)

村より戌(西北西)の方13町にあり。
東西8町・南北4町。

関梁

村西2町六沢川に架す。
長7間、隣村の通路、丸木橋なり。

神社

三島神社

祭神 三島神?
相殿 稲荷神
   若宮八幡
   山神
鎮座 不明
上坪の東にあり。
石鳥居拝殿あり。小中津川村束原石見が司なり。

雷神社

祭神 雷神?
相殿 山神
勧請 不明
下坪より寅(東北東)の方30間余にあり。
鳥居あり。束原石見これを司る。

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
上坪の東1里6町、博士峠にあり。
村民の持なり。

寺院

大乗寺

上坪より寅(東北東)の方20間余にあり。
冑組尾岐窪村龍門寺の末山曹洞宗なり。
旧は地蔵堂にて、天文22年(1553年)に創建す。
その後法華の徒じゅうして妙典山大乗寺と名く。
寛文中(1661年~1673年)龍門寺4世黙岑を請て開山とし、それより龍門寺に属すという。
本尊地蔵客殿に安ず。


最終更新:2020年05月16日 13:11