耶麻郡五目組鷲田村

陸奥国 耶麻郡 五目組 鷲田(わした)
大日本地誌大系第32巻 107コマ目

府城の西北に当り行程5里20町。
家数28軒、東西2町・南北2町32間。
また西の方30間余に1区あり柿本田(かきもとた)という。
家数5軒、東西1町・南北1町10間。
共に四方田畠にて東は山に近し。

東3町34間赤崎新田村の界に至る。その村まで9町20間余。
西3町20間半在家村の界に至る。その村は戌(西北西)に当り8町20間余。
南6町上三宮村の界に至る。その村は辰巳(南東)に当り11町40間余。
北5町38間五目村の界に至る。その村まで9町40間余。
また
丑(北北東)の方1町28間下谷地村の界に至る。その村まで6町20間余。
寅(東北東)の方2町56間根岸村の界に至る。その村まで7町30間余。
申(西南西)の方2町40間五分一村の界に至る。その村まで17町。

山川

濁川(にこりかわ)

村西5町にあり。
五目村の境内より来り、南に流るること11町余上三宮村の界に入る。
広10間余。

神社

稲荷神社

祭神 稲荷神?
相殿 稲荷神
   熊野宮
   諏訪神
   幸神
   若宮八幡
勧請 不明
村東1町にあり。
鳥居あり。上三宮村高村能登が司なり。

古蹟

勝徳寺跡

村南2町、畠中にあり。
浄土宗にて山號を鷲生山といいしとぞ。
正保中(1645年~1648年)に廃す。





余談。
幸神社についてあまり調べていなかったのですが、どうやら「さいのかみのやしろ」と読むようです。京都にある幸神社は日本最古の縁結びの神社と言われ、猿田彦命(さるたひこのみこと)が祭神として奉られています。この神社の由緒書きを見ると『天和2年、会津藩の奥村右京仲之を神主として復興する。』との記載もあり、何気に会津とも縁がある神社のようです。
「さいのかみ」の読みは塞の神や歳の神に通じるものがあります。塞の神は道祖神の事で厄除けの土地神様の事を指し、歳の神は年神様を送る祭の事で会津地方では新年に行うお炊き上げの事を指します(全国的にはどんど焼きと言うらしいです)。
古事記によれば大年神(おおとしのかみ)須佐之男命(すさのおのみこと)大山津見神(おおやまつみのかみ)の娘神大市比売(かむおおいちひめ)の子で穀物の神様とされ、兄弟に宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)(会津風土記では日本書記にある倉稲魂命と記載)という全国の稲荷神社で穀物神として奉られている方もいらっしゃいます。
さて。会津風土記によれば幸神社(祭神が明記されているのは会津郡楢原組倉谷村の幸神社)は猿田彦命が奉られているようですが、会津地方では縁結びだけではなく穀物神としての側面もあるように思えます。例えばこの地区にある幸神社は(クチコミによると)稲荷神社として奉られているようです。長い年月を経て信仰法が会津と中央(京都)とで異なってしまったのかもしれません。



最終更新:2020年08月07日 18:32