スーパーロボット大戦UX

登録日:2013/04/03 Sun 19:07:20
更新日:2025/10/28 Tue 18:16:41NEW!
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2000年代・2010年代世代向けスパロボ 2013年 3DS Chiyoko SRW ごふっ すべての可能性が集う場所 やっぱり自重しない忍者 エーアイ クロスオーバー クロスオーバーの嵐 ゲーム スパロボ スパロボUX スーパーロボット大戦 スーパーロボット大戦UX スーパー対話大戦 セカイ系 デモンベインジョーイルート ニンテンドー3DS ネタの宝庫 ハザードレクイエム バンダイナムコ パロディの嵐 マークデスティニーのパイロット 三部構成 前日譚がやりたいスパロボ 可能性の集合 名作 呂布のファクター 命の意味を識るRPG 壮大なメタ発言 実は人間なSDガンダム達 対話 岸本みゆき 岸本みゆきの本気 必殺シリーズ 必殺仕事人 想像力の足りなさを痛感するゲーム 感動のラスト 携帯機スパロボ 泣きゲー 涙腺崩壊 聖戦士ショウ=コハ=ザマ 落語 西暦 違和感無くファフナー勢に混ざるSEED勢 集まりすぎな可能性 鬱燃展開


すべての可能性が、ここに集う。



スーパーロボット大戦シリーズ』のニンテンドー3DS用ソフト。
任天堂携帯機スパロボでは初のフルボイスが搭載された。

発売日は2013年3月14日


【概要】

基本的なシステムは『スーパーロボット大戦L』を踏襲しており、今作も強化パーツはない(が、参戦作品に登場する小道具がスキルパーツとして登場)。
機体ボーナスによるPUの強化・MAP上の編成といった『L』で好評だった箇所は継承された。
今作のエースボーナス取得は100機撃墜(Wエースだと200機)&機体の全パラメータ5段改造となっており、それに応じて機体のボーナスも強化させることができる。
アタックコンボが廃止された代わりに全体攻撃と連続攻撃が追加され、戦略に大きな幅が広がった。

精神コマンドの面では、『スーパーロボット大戦NEO』で猛威を振るった「追風」(指定ユニットに加速の効果を付ける)、初代『スーパーロボット大戦』以来の登場となる「正義」(1ターンの間ENを消費しない)、初登場の「理想」(1ユニット・隣接ユニットに闘志の効果)と「順応」(全地形対応がSになる)が加わった。

また、「戦術指揮/応援」の機能で指揮担当となるユニットを設定することで、自軍に特定の効果を得ることができる。
指揮効果もシナリオが進むにつれてレベルアップし、強力な効果をもたらしてくれる。(例:連続ターゲット補正無効、MAPクリア後にスキルパーツ取得)
発売当初は孔明の罠に見事に引っかかるプレイヤーも多かったとか


新規参戦作品(詳しくは後述)が多いからか、今作も戦闘アニメが良い。そして喋りまくる。
ボス敵へのトドメ演出が設定のON・OFF機能で変更可能になり、『L』の不満点が解消された。


また、シリーズ初のDLCにも対応しており、
スーパーロボット大戦J』以来の復活となるツメスパやキャンペーンマップをDLして遊ぶことができる。
ボイス採用に伴ってか任天堂携帯機シリーズで初めて中断メッセージが導入され、その数は過去最多の80種類。
条件も細かくなっており期間限定のもの、2周目以降限定のもの、隠しパイロットを仲間にしなければ見られないものなど様々。
力の入れようも凄まじく、中断メッセージ限定でボイスがあるキャラがいる。
特にテラ子安は他に演じる役がないにもかかわらずウィンフィールド役として収録に参加している。


【参戦作品(★は新規参戦作品)】



今回のシナリオは『スーパーロボット大戦IMPACT』以来となる三部構成となっており、話数もプロローグを入れて全53話とボリュームが多い。

メインはデモンベイン、ファフナー、00、マクロスF、ラインバレル。
サブで飛影、リーンの翼、HEROMAN、マジンカイザーSKL。
ダンクーガノヴァ、種運命、ダンバイン、三国伝は原作終了後。


参戦作品リストから見て分かるように、新規参戦組が多いうえにそのジャンルがかの『COMPACT3』や『NEO』に匹敵するレベルでとにかく異色
  • スタン・リー原作のアメコミ風ヒーローアニメであり、一応ロボットとは言えるが巨大サイズでもない*1HEROMAN
  • ついに参戦した*2SDガンダムシリーズ、それも三国志モチーフの三国伝
  • カイザーSKL参戦。それ自体は意外ではないが、これによりマジンガーシリーズが「最古」と「最新」の参戦作品を持つシリーズに(2013年3月当時)
    • 一方でシリーズ皆勤賞である兜甲児マジンガーZが初の欠席、ゲッターシリーズは完全に不在
      • もっと言うと、2025年時点で本作が初にして唯一の欠席となっている
  • 単なる電脳戦記バーチャロンと初音ミクのコラボ機体であるフェイ・イェンHDが、それもバーチャロンの一部としてではなく機体単独で参戦
  • 全年齢対象のアニメ版名義とはいえ、エロゲ界の金字塔の一つデモンベインがとうとう参戦
  • 『L』ではアニメ版で参戦していたが、「原作漫画版」と銘打たれて「アニメ版の音声要素だけ拝借し、それ以外は原作漫画準拠」という異例の形態をとり、ついでに原作未完結の段階で参戦したラインバレル*3

と、どこもかしこもこれまでの常識を覆すものばかりでありスパロボユーザーを驚かせた。
驚かせ過ぎて某所に情報が流れてきた際「精巧な釣り画像」扱いされたとかなんとか。
「俺も想像力が足りなかったのか…」という加藤機関モブの撃墜台詞が、本作のなんたるかを象徴したフレーズとして発売前から発売後まで散々ネタにされることとなる。

なお、参戦した作品の大半が2000年代~2010年代に制作・展開された作品であり、若年層のユーザーを狙ったようなチョイスに。
逆にそれ以前の作品は1980年代に制作されたダンバインと飛影の2作品しかなく、70・90年代作品は皆無。新しさ以前にここまで年代が偏重したスパロボは他に類を見ない*4
いかにもなスーパーロボットが(SKLとダンクーガノヴァしか)おらず、アムロゲッターチームといった定番のメンバーだけでなく甲児とマジンガーZまでもが欠席もあって、高年齢層・スパロボの古参ユーザーには少々寂しいラインナップであろう。

メインシナリオライターは『L』に引き続き岸本みゆきが担当。
今回参戦しているアニメ版三国伝の脚本も手掛けていたため、いるだけ参戦で一見扱いづらそうな三国伝メンバーもシナリオ面でよく絡む。
特に孔明先生と司馬ビーは、寺生まれのDさんと共に世界の謎を解き明かす役割を担う。

岸本氏曰く、「今回は隠し要素を多く用意した」とのこと。色々な意味で可能性集まりすぎだろ…。
特にある人物の生存の経緯はプレイヤーの予想斜め上を行く展開となり、自身の想像力の足りなさを改めて痛感させられるだろう。
俺も想像力がry


ただし、今作のフラグ達成の条件はかなり厳しく、撃墜数100とかはザラにある。
また、何よりの問題が内部的には「この周で実際に撃破した数」だけカウントされ、ステータス画面の撃墜数と連動していないこと。
初期撃墜数および周回時の補正、分岐などでの離脱時に加算される撃墜数が内部的には全くカウントされず、逆に全滅すると表示上はリセットされるが内部的には加算されている……と非常にややこしいことになっており、ちゃんと達成しようとするとメモ必須。
なお、この仕様変更は『L』にて表示上の撃墜数の加算を生存フラグに用いた結果、周回してカンストすると確定で割れてしまう眼鏡の反省からではないかとも。

その分、一度隠し要素の条件…というか生存フラグの1個1個が蓄積されていき、次の周回ではそれを達成しなくても仲間にできる。
例えば「Aが○○までに100機撃墜、○○が××を倒すと生存」という2つのフラグが生存のトリガーであった場合、2周目で100機撃墜、3周目で××を倒しても生存トリガーが引かれ、それ以降の周回で後々戻ってきてくれる。
これが全フラグに関して働くため、最終的に全て生存となる。
キャッチコピーの通り「すべての可能性を集わせる」ことが可能なのだ。
そして全トリガーを引き終わると、最終話に特別なセリフが追加される。

逆に言うと、一度でもフラグを立てたらそのセーブデータでは絶対に生存するため離脱時のイベントはそのデータで二度と見られなくなる
原作再現にも力が入っており、そこでしか聞けないDVEなんかもあったりと名場面だったりするので一度は見ておきたい。
また、隠しユニットが仲間になるとボーナスとしてレアなスキルパーツが手に入る*5
このため
  • 1周目は見えている生存フラグですら叩き折って見殺しにしろ
  • 2周目に戻れるように、生存フラグを全部折ってある1周目クリアデータを保管しておけ
という異例のプレーが攻略サイトで推奨されるほど。


バーチャロン関連の監修や楽曲の歌詞は『スーパーロボット大戦K』に引き続き亙重郎が担当。
フェイの存在もシナリオの根幹に大きく関わってくる。


参戦前から話題になっていたフェストゥムELSバジュラの「スーパー対話大戦」が本作で遂に実現した。
肝心のファフナーは(初参戦時と違って)かなり濃密かつ丁寧に原作再現され、油断していると3DSの画面が涙で見えなくなるので注意。
あっちも問題だらけとはいえ力は入っていたのであっちだけが再現した要素であったり、こっちで何気にガッツリ改変されている部分なども無いわけではないが。
物語の都合でスポット参戦が続くということも無くなり序盤から使えるが、丁寧な再現の代償として劇場版組の登場は遅い。


劇場版マクロスFは初参戦作である『第2次スーパーロボット大戦Z』では機体のみの参戦だったが、本作で初めてシナリオが再現された。
そのため本作が事実上の初参戦とも言える。

デモンベインは黒歴史と名高いアニメ版からの参戦だが、アニメ版もあらすじは原作と大差ないのでさほど問題はなく、
しかも原作ゲーム版(ひいては続編や小説版)からのネタも組み込まれており満足度の高い仕上がり。
アメリカが舞台*6ということでHEROMANとのクロスオーバーが展開される。通称ジョーイルート
瑠璃の史上初のパンモロカットイン乳揺れに慣れ切ったプレイヤーに衝撃を与え、エロゲ原作は伊達ではないことを見せつけた。いや原作ゲームには無いアニメ版の再現なんですけどね……。
ちなみに「ニンテンドーダイレクト」にて、いわっちこと岩田社長の口からデモンベインの名が出た。
システム面では大導師マスターテリオンとの最終決戦でリベル・レギスの『シャイニング・トラペゾヘドロン』に対してデモンベインの『シャイニング・トラペゾヘドロン』で反撃すると、その瞬間に3DS本体もろともソフトがフリーズするというとんでもないバグが存在する。
普通に遊んでいて遭遇することも多いだろう危険なバグなのだが、設定と絶妙にマッチしている*7ため「原作再現バグ」としてネタにもされている。

ラインバレルは前述のように、内容は原作漫画版に準拠してキャストはアニメ版の声優というゲッターロボ形式を取っている(ただしジャックは代役)。
『L』はボイスが無かったため、アニメ版を差し置いて原作の方に声がつくという珍妙な状態に。特にキャラが違いすぎるミウミウ。
『L』ではデフォルト戦闘BGMはOP曲「鬼帝の剣」であったが、差別化のためか次回予告BGMの「linebarrel」を代わって採用している。
当時未完であったストーリーは、既刊ギリギリまで再現した上で原作者監修により原作ではまだ仄めかされていただけのキャラが先行登場してオリジナルの結末を迎えることになる。
また今回原作漫画版の参戦ということで、アニオリの五番隊隊長ことナタクのファクターは登場しない(代わりに呂布のファクターが登場)
あと、原作のちょっとした特徴であるカタカナを多用する文体もテキスト上でちゃんと再現されている。

三国伝については前述の通りだが、別の世界から呼ばれた彼らに対し、本編の舞台となる世界にはガンダムがいるし、現実と地続きの地球*8なので当然三国志の概念もある
その不自然な状況についても、物語の要素の一部としてしっかり踏まえられている。
前評判では特にガンダム馬鹿のリアクションが期待されたが、劇場版だからか特に動揺の色はなかった。


ダンバインの参戦は声付きでは『スーパーロボット大戦SC2』、
携帯機では『スーパーロボット大戦COMPACT3』以来で、原作最終話の再現から始まる。実質的には原作終了後参戦。
リーンの翼は忠実な再現と肉付けが施され、原作以上に熱血主人公した鈴木君や、総士九郎に次ぐDVEの多さのサコミズ王が時に熱く、時に哀しく盛り上げる。
またバイストン・ウェル作品である両者のクロスオーバーも見逃せない。

飛影は『IMPACT』から11年ぶりの参戦を果たし、イルボラの離反*9やカレンの登場など再現度が高くなった。
が、ハザードがクロスオーバーの恩恵を受けて原作を遥かに超えた悪事を働きまくるという意外すぎる要素が最大の話題に。
そして忍者は相変わらず自重しない


カイザーSKLは再現する原作自体が3話しかないながらも、地獄コンビのインパクトが強いため存在感が濃い。
舞台となる奇械島の設定が『Zシリーズ』のバードス島以上に便利(かつカオス)なことになっている。

種運命の原作終了後設定の参戦は、続編では『第2次スーパーロボット大戦Z』や『第3次スーパーロボット大戦Z』があるが、
単独作品としては今作が初。
(※ちなみにスパロボとも関係のある『Another Century's Episode R』も原作終了後の設定だったりする)
ファフナーと設定を一部共有し、濃密なクロスオーバーが展開される。
本当の哀しみを知った戦士マークデスティニーのパイロット一騎達を導いていく。
本作発売の11年後に公開された後日談劇場版との意外な共通点や差異もチラホラ…

ダンクーガノヴァも同様に近年出ずっぱりだったのもあってか原作終了後。参戦は第一部クライマックスと遅くシナリオにもそれほど絡むわけでもないがキッチリと盛り上げてくれる。
むしろシナリオ・機体性能面から言っても参戦したのは『獣装機攻R-ダイガン』だった。肝心のエイーダに新録ないけど、それは仕方のない事である*10*11
チームD視点なら『獣装機攻ダンクーガSUPER NOVA』


オリジナル勢は『L』と違ってそれほど薄くはなく、かと言って濃密というわけでもないそこそこの位置。
しかし『OGシリーズ』に参戦すればメインになりそうな程、かなりスケールが大きい設定となっている。
また、岸本氏の趣味により別の意味で凄い事になった。


【オリジナルの登場人物】

アニエス・ベルジュ(アーニー)
CV:鈴木千尋
『SC2』のケイジ以来となる一人称が「僕」の主人公。
天涯孤独の身で育った地球軍少尉。
良くも悪くも生真面目かつ天然で、とことん影響されやすい。
ロックオンでもスットコドッコイでもニーサンでもない。


サヤ・クルーガー
CV:小林愛
非合法傭兵組織「アンノウン・エクストライカーズ(UX)」に所属する女性。
プロの傭兵だが、感情の表現が苦手。残念ながら揺れない。
よろしくピース。


リチャード・クルーガー
CV:小杉十郎太
サヤの父親であるUXの指揮官。
地獄を見てきたらしいが、その真意は…。
極楽亭リチャード。


ジン・スペンサー
CV:松風雅也
アーニーの親友で同じく孤児。ワカメ。
上昇志向が強かったが、あることをきっかけに宗教(違)に目覚める。


ノーヴル・ディラン
CV:ゆかな
アーニーとジンにライオットシリーズを与えた博士。
中の人は乳牛姫と同じ。


アユル・ディラン
CV:野中藍
ノーヴル博士の娘で、ジンを宗教(違)に目覚めさせた張本人。
サヤと何か関わりがあるようだが…?



【オリジナルメカ】

ライオットB
主人公機。誰が何と言おうと主人公機。
格闘戦に優れたアーニーの乗機。陽子ジェネレータを動力にしている。
恒例の機体名変更がなかったことに「?」となったプレイヤー、貴方は正しい。


ライオットA
射撃戦に優れたジンの乗機。こちらも陽子ジェネレータを搭載している。
キャンペーンマップ・ツメスパで大活躍。


オルフェス
リチャードの乗機で、レプトン・ベクトラーを動力機関として搭載している。
見た目は一見普通だが技もBGMもまんま必殺仕事人という衝撃の出オチ機体。
名前の由来はギリシャ神話吟遊詩人オルフェウスから。
途中からある事情によりアーニーが乗ることに。つまり真の主人公機。ライオットェ…


ライラス
オルフェスの支援機にしてサヤの乗機。
名前の由来は琴座(ライラ)。
こちらもレプトン・ベクトラー搭載。
オルフェスとの合体攻撃「ヘル・ストリンガー」が使用できるが、難しい上にリチャードの身体に負担をかけている。
『L』のビルドエンジェルの後継者。



追記・修正はすべての可能性を集めてからお願いします。

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最終更新:2025年10月28日 18:16

*1 ヒーローマンの身長は3m。作中でヒーローマンが巨大化する描写はあるが、あくまで必殺技の1つであり恒常的にでかくなっているわけではない。

*2 一応、初代スパロボのガンダム勢もSDガンダム的な存在と言えなくもないが。

*3 もっとも上の表の通り、ラインバレルは公式に新規参戦扱いではない。アニメ版が参戦してるからか、あるいは『L』でも原作設定を使った箇所(きれいな宗美さん)があったためという説も。

*4 NEOもかなりのスーパー90年代大戦だが、新規が90年代偏重な一方でそれ以外はそこそこバラけていた。

*5 例:ガンバリ屋、修理装置、補給装置

*6 と言っても実は地域が東西真逆で、HEROMAN側に合わせる形でアーカムシティもインスマウスも西海岸にあることになっている。

*7 2つのシャイニング・トラペゾヘドロンが激突すると、端的にいうと邪神が目覚めて世界が滅ぶという設定である

*8 特にWW2という過去が不可欠であるリーンの翼の存在が大きい。

*9 ただしイルボラが離反した理由は、原作とは大いに異なっていたりする

*10 当時エイーダ役の後藤邑子氏は持病の悪化により療養中であったため。このため中断メッセージ内でもチームDが登場するパターンでは毎回「エイーダはどうしても外せない用事がある」と言及されている。

*11 アブソリュートハリケーン関係の新規ボイスがあるが、そもそも第2次ZのR-ダイガンの武器にアブソリュートハリケーンがなかったので、元々録ってたのをここで使った可能性が濃厚。