パゴス(ウルトラ怪獣)

登録日:2019/10/02 Wed 18:48:36
更新日:2024/10/02 Wed 07:29:06
所要時間:約 6 分で読めます





その花が咲けば災いのしるし。

つまりとんでもない悪い大事件が起こると、昔から言い伝えられているサザメダケ。

真っ白な花が咲いた時の話です。



パゴスとは、ウルトラシリーズに登場する怪獣である。初登場は『ウルトラQ』の第18話「虹の卵」。

【概要】

別名:地底怪獣
身長:30m
体重:2万t
出身地:地底

中生代のアジア大陸に生息した生物が、ウランをエネルギー源としたことで怪獣化したとされる原始動物。学名は「パゴストータス*1」。
ウランを常食としており、口からは金色の虹のような分子破壊光線を吐く。
かつては北京のウラン貯蔵施設を襲撃していたらしい。


【ウルトラQでの活躍】

サザメダケの花が咲いたある夜に出現し、筑波原子力発電所が立地する新産業都市へ濃縮ウランカプセルを運んでいたトラックを襲撃するも、肝心のウランカプセルを見失ってしまう。
その後は息を潜めていたが、偶然ウランカプセルを発見した子供達の前に再び出現。
子供たちを散々追い回すが結局見失い、代わりに近くの新産業都市と原発に狙いを変えて暴れまわるも、
待ち構えていた自衛隊のネオニュートロン液搭載ミサイルが命中し、全身が風化して倒された。

ちなみに、子供達がウランカプセルにこだわった理由は、それを願いをかなえてくれる御伽噺の「虹の卵」と勘違いしたから。
それを教えてくれたおばあちゃんの足の具合をよくしてもらおうとしたのだ。
そして偶然だと思われるが、パゴス撃破後におばあちゃんは歩けるようになっていた。

やっぱりこれ、虹の卵だったのよ!


漫画版『ウルトラQ』では鬼童譲二版と古城武司版に登場。
鬼童版が概ね映像作品のシナリオに沿った展開を見せているのに対し、古城版は全く別物のオリジナル展開が描かれており、
死神山のウラン鉱に潜む狂気に呑まれた老人の存在を主軸に、山奥の村に偶然迷い込んだレインジャー部隊が目覚めたパゴスを迎え撃つ内容となっている。


【余談】

  • シナリオ第1、2稿ではゴメスが再登場する予定だったが、既に東宝に返却されゴジラに戻されていたためパゴスが登場することになった。


  • デザインは成田亨。自身の画集で「東宝の怪獣を頭だけ変えたもの」とコメントしている。

  • 実はこの後のウルトラシリーズにも登場の予定があったらしいが、悉く出番を見送られていた。
    『ウルトラマン』では9話で登場予定だったが、ガボラへと改造されての登場となった。
    ウルトラセブン』ではカプセル怪獣として登場する案があったとのこと。
    ウルトラマンマックス』では『ウルトラQ』を意識した29話にて登場の予定だったが、パゴスに縁のあるネロンガを元ネタにした「ゲロンガ」に変更された。

  • 『総天然色ウルトラQ』では放送当時の少年誌に掲載されたカラーグラビアを参考にベージュ色に着色されている。


そして、登場から約半世紀が過ぎ……














見慣れない地上に、怯えてただけなのに…

【ウルトラマンタイガでの活躍】

ウルトラマンタイガ』第11話「星の魔法が消えた午後」に登場。
ウルトラQ』より実に53年ぶりの登場となり、初めてウルトラマンとの対決を実現させた。
体色は『総天然色ウルトラQ』準拠のベージュ色となっている。

初代同様口から分子破壊光線を吐く他、タイタスと互角のパワーとタイガのヘルスラッシュを弾くほどの防御力を誇る。
また、新技として頭部からドリル状の衝撃波を放つ技を使用、これで地中を掘り進んでいるらしい。
また、威力もタイタスの右足を負傷させるほど高い。

工藤ヒロユキが出会った魔法使いを自称するサラサ星人の少女・麻璃亜とゼラン星人オショロとのイザコザの最中、突如地中から出現。
すぐさまヒロユキはタイガに変身して応戦するも、パゴスは強靭な膂力と防御力でこれを圧倒。
次いで変身したタイタスとは互角の力比べを演じ、ドリルビームで負傷させる大暴れを見せた。
しかし、最後に現れたフーマにはことごとく攻撃をかわされ苦戦を強いられる。
最期は上空に飛び上がったフーマを見上げて露出した弱点の腹を切り裂かれ、石化して死亡した。

だが直後にギマイラが出現し、ヒロユキ達はダメージを癒す間もなく戦う羽目になってしまう。


ギマイラの前座ポジながらトライスクワッド3人がかりでようやく撃破するほどの強さを見せつける等、
シリーズ最古参の『Q』出身怪獣も後年のウルトラ怪獣に匹敵する強さを持つことが証明されたともいえる。

また、ギマイラ出現直後に現れたため、「元は別の生物ではないのか?」という疑念*2も視聴者の間であったようだが、
12話にて「住処をギマイラに荒らされて地上に逃亡し、見慣れない世界に怯えて暴れていた」ことが明らかにされた。
更にはギマイラの起こしていた触手騒ぎの犯人にも勘違いされ(タイガもこのことは否定しきれていなかった)、
ウルトラマン達に倒されてしまった身の上には、ヒロユキ達にも同情され、追悼されていた。


ウルトラマンZでの活躍】

第18話「2020年の再挑戦」に登場。
冒頭にて地面を盛大に盛り上げ出現し、ストレイジの特空機キングジョー ストレイジカスタムウインダムと交戦。
分子構造破壊光線を放ちウインダムにダメージを与えたが、突如消滅
ケムール人が出す特殊な電磁波に引き寄せられ地上に出てきてしまったらしく、消されたのも計画の邪魔になるからだったようだ。
そのまま終盤まで出てこないが、終盤ではケムール人が倒されたことにより戻ってくることができた。
そしてあたりを「ここどこ!?」と言わんばかりにキョロキョロ見回すと、慌てたように地中に戻っていった。またもや被害者である。
ちなみにネットでは「パゴスなのに透明になった」というような内容のコメントが多かった。スーツ繋がり

第23話「悪夢へのプレリュード」でも再登場。18話の個体と同一個体かどうかは不明。
D4レイを搭載したウルトロイドゼロの起動に呼応して出現し、デマーガゴメスと共にD4レイを排除する為に襲いかかるが、D4レイにてまとめて消滅させられてしまう。
この時の個体は、これまでの個体が見せなかった口から火球を吐く能力も見せている。
これは、異常な興奮によって生まれたエネルギーによるものとのこと。

本作では18話、23話の個体共に身長52m、体重3万6千tと、他の作品に登場する個体よりも大型の設定がされている。
着ぐるみは変わらないので、あくまで設定だけであるが、他の怪獣に合わせる形になったのであろう。
これ以降の作品では従来の身長・体重に戻っている。


ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGAでの活躍】

第24話「闇の支配者」でモブ怪獣として登場。3タテ。
カルミラが変化したメガロゾーアの出現に伴い、ゴモラテレスドンアーストロンと共に血相を変えて逃げ出した
どうやら本能的にメガロゾーアの闇の恐怖を察知した模様。

その後、劇場版『エピソードZ』でも登場したが、同一個体かどうかは不明。
紆余曲折を経て、GUTS-SELECTと二回交戦。諸事情でウルトラマントリガーを欠いたGUTS-SELECTを苦しめるが、時空を超えて突如ウルトラマンゼットが登場。
アルファチェインエッジからのゼスティウム光線を受けて撃破された。
上記の通り、『Z』本編でも二回登場しているがゼットとの交戦は地味にこれが初めてである。

ウルトラマンデッカーでの活躍】

第6話「地底怪獣現わる! 現わる!」に登場。4タテ。
『エピソードZ』のとは別個体。
住処としていたソラフネシティの地底を人間が乱開発し、サザメダケが咲き、空に銀色の虹が浮かぶというそりゃパゴス出てくるわという役満の状態から出現。
地底エネルギー採掘所を襲いエネルギータンクの超臨界メタルを食い荒らしていた。(恐らくご時世的に原子力施設を怪獣が襲うのはまずかったのだろう)
更にこの開発でパゴスが活発化したことにより他の地底怪獣も狂暴化しており、3度目の出現の際にはグドンも出現。ウルトラマンデッカーを地面に引きずり込み、地下3200mの鉱脈内にて息の合ったコンビネーションでデッカーを苦しめる。
だが、リュウモン ソウマの撃ったニュートリノマーカー弾が首に命中し、それを頼りに空中から放たれたナースデッセイ号のネオマキシマナースキャノンで厚さ3200mの岩盤ごと貫かれて爆死した。ついでにツインテールの群れもこんがり焼けた。

なお虹に関しては「パゴスが地面を荒らすことで地磁気が乱れて生じる現象である」という説明がなされた。
オスがメスを引き付けるための求愛行動も兼ねているらしい。なんて迷惑なんだ。

ウルトラマンアークでの活躍】

第9話「さよならリン」に登場。
惜しくもブレーザーでの登場は逃したが、やはり令和ウルトラシリーズ常連の顔である。

今作では以前に採取された細胞から、ネロンガ、マグラー、ガボラとは祖先が共通であるとの推測が、初めて映像作品本編で語られた。
しかし、そのそのネロンガとは仲が悪いらしく、縄張り争いでネロンガを追いやっていた。
公式X(旧Twitter)でのツッピー(SKIP大阪支部に配備されているユピーの同型機)の解説によると、ネロンガとパゴスはお互いのビーム(暴君電撃と分子構造破壊光線)が嫌いでよく喧嘩するとのこと。

SKIPにより一度は撃破されたかに見えたネロンガが活動を再開すると、お馴染みの金色の虹を伴いながら出現。
本作では、金色の虹は「パゴスが地中で分子構造破壊光線を吐くことによって発生する」と言われている。
ネロンガと激突するも、アークが登場すると一時休戦し、地中に隠れてこまめに動き回りながら分子構造破壊光線を吐き、透明化したネロンガとともにアークを翻弄するが、アークがソリスアーマーを身に纏って両者の光線を受け止めるようになると形勢逆転。
ネロンガと共に体当たりを仕掛けるが、上空に飛び上がったアークに躱されてしまい、アークアイソードにルーナキューブを装着して放ったルーナソードクレセントを受けてネロンガと抱き合うようにまとめて両断されて倒された。

【シン・ウルトラマンでの活躍?】

アバンのダイジェストで禍威獣第6号として描写されている。別名は「放射性物質捕食禍威獣」。
禍特対の活躍で討伐されたが口から放つ放射能を含んだ「激ヤバ光線」で甚大な被害を出し、死後も放射性物質の拡散により事後処理の長期化・大規模化を招いたとされている。
頭部がガボラ、胴体はネロンガと同一の形状となっており、さながらエリの無いガボラといった趣きだが、これには理由があり……。
+ 本編微ネタバレ注意
これは本作における「禍威獣」がかつて外星人(=宇宙人)によって持ち込まれた人造の生物兵器であるため。
ネロンガも含め、パゴス系の禍威獣は「同じ素体に用途別に異なるパーツを付けてバリエーションを増やす」という構造のために同じ見た目をしている、という訳である。
劇中でも船縁が原作におけるスーツの流用を思わせる説明をしており、一種のメタネタと見る事もできる。


【余談2】

  • 『タイガ』以降使用されているパゴスの着ぐるみは、前作『R/B』に登場したネロンガの着ぐるみの改造……ではなく全くの新造と公表されている。
    初代パゴスの着ぐるみが散々改造を繰り返したこと、上記のゲロンガの着ぐるみがネロンガ→マグラーと改造された事、『R/B』版ネロンガと肌の質感が似ている事などから、多くのファンはてっきりネロンガの改造と思いこんでおり、この発表は驚きを持って迎えられた。
    これにより、今後バラゴンボディ怪獣同士の対決や、バラゴンタッグとウルトラマンの対決が実現するかも?と多くのファンから期待されており、『アーク』にてついに実現した。

  • 『タイガ』で登場以降、出番の多さにもかかわらずソフビ人形「ウルトラ怪獣シリーズ」はなかなか発売されなかったが、『デッカー』への登場に併せて発売。
    ネロンガのソフビが2足歩行のため、金型は流用されておらず完全新規の4足歩行体形になっている。
    また、『シン』版のソフビもムービーモンスターシリーズからまさかの一般販売で発売された。
    こちらは劇中設定通りガボラの金型を流用している。




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最終更新:2024年10月02日 07:29

*1 資料によっては「パゴトータス」と表記。

*2ウルトラマン80』に登場したギマイラは、生物を怪獣化させる能力を持っていた