ダブルコストモンスター(遊戯王OCG)

登録日:2020/09/03 Thu 12:32:27
更新日:2025/04/30 Wed 10:45:19
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「ダブルコストモンスター」とは「遊戯王OCG」に登場するある共通効果を持つモンスター達の俗称である。


【概要】


モンスターをアドバンス召喚する際、このカードは2体分のリリースにできる。

これがこのモンスター達の共通効果であり、重い最上級モンスターの展開が少し楽になる。
当時としては多少重宝されたが、シンクロやエクシーズといった特殊召喚が増え、A召喚そのものが日陰に追いやられたことで必然的に存在感を失っていった。
それでも【】や【インヴェルズ】といったA召喚をメインとするデッキは少なからず存在するので、全く日の目を見ないわけではない。

基本的な難点として「これらのために召喚権を使えば、当然そのターンにはA召喚ができないというものが挙げられる。
大抵はステータスも平凡な下級モンスターにすぎず、工夫なしに出すのでは返しのターンで破壊されるだけの雑魚バニラに成り下がる。
リリース(生け贄)サポートがあまり充実していなかった時代でも《墓守の偵察者》や《素早いモモンガ》あたりの方が召喚補助として使いやすいことも多かった。

もちろん、自力でこの問題点を解決しているものも少なからずある。
というか維持や追加召喚権のために他のカードを費やすのでは、消費軽減の意味がないため、何かしらの追加効果が無ければ採用する意義は薄い。


ちなみに、表側表示だと《スキルドレイン》で2体リリース効果は無効にされる。裏側表示のままの場合は2体分のリリースに使える。
神獣王バルバロス》や三邪神などの効果(召喚条件)で3体のモンスターをリリースしてA召喚する場合、2体分として使用することができる。
しかし、《D-HERO Bloo-D》などのテキストにある「〇体リリースして特殊召喚」のリリースには2体分として使えない。

【ダブルコストモンスター一覧】

【属性指定ダブルコストモンスター】

  • カイザー・シーホース
光属性専用ダブルコストモンスター。
社長の嫁こと《青眼の白龍》召喚に使える。
しかし、どちらかといえば《ギルフォード・ザ・ライトニング》等との相性が良い。
最近では《フォトン・サンクチュアリ》という便利なサポートがあるので立場も相当危うい。
モデルは当然社長…というより社長をモデルにしたカリスマデュエリスト「カイザー海馬(うみうま)」だろう。
何のひねりもなく名前がまんまカイザー・シー(うみ)ホース(うま)であり、彼もまた社長を意識したデッキを使用していた。
アニメでの社長はデッキマスターとしてブルーアイズの召喚補助に使っている。
ちなみに初の水属性でない海竜族である。

  • ダブルコストン
闇属性専用のダブルコストモンスター。
当時から闇属性には最上級モンスターが多く存在し、そのサポートになる。
あの三邪神のリリースを軽減することもできる。
《終焉の焔》がライバルとも言えるが、アンデット族なのでサーチや特殊召喚の手段が豊富なのも利点。
《ピラミッドタートル》や《ミイラの呼び声》《生者の書-禁断の呪術-》に対応する分、当初から他のダブルコンストモンスターよりは使いやすかった。
なおダブルコストモンスターという俗称の由来となったカードではあるが元祖は上記の《カイザー・シーホース》でこのカードが初ではなかったりする。

  • トロイホース
地属性専用のダブルコストモンスター。
地属性は最上級モンスターが多いので使い所は多く、特に《神獣王バルバロス》との相性が良い。
…のだが、リクルートに対応せず、かつ戦闘でもイマイチ頼れない微妙な攻撃力がネック。
サンダー・ハンド》の召喚トリガーにはなれるが、本来の役割と全く噛み合わない。
アニメではクロノス先生が《古代の機械巨人》召喚のために使っている。

  • ヒゲアンコウ
水属性専用のダブルコストモンスター。
レベル7であれば《伝説の都 アトランティス》でもリリース軽減が可能であるため、
こちらは主に《ビッグ・ホエール》等レベル8以上のモンスターに使っていくことになる。

  • 炎を支配する者(フレイム・ルーラー)
炎属性専用のダブルコストモンスター。
当時炎属性はマイナーだったので地味。
せめて守備力200だったらと思うと惜しい所である。

  • 暴風小僧
風属性専用のダブルコストモンスター。
風属性も当時マイナーで、《神鳥シムルグ》くらいしか有効な対象がいない。

  • 始原の帝王
指定した属性となり、同じ属性の最上級モンスターのダブルコストモンスターとして使える罠モンスター
後年に生み出された「帝王」系カードの一つ。
上述全てのダブルコストモンスターの効果を備え、罠モンスターなので召喚権も行使しない便利なモンスター。


【属性・通常モンスター指定ダブルコストモンスター】

特定の属性の通常最上級モンスターのリリースを軽減するモンスター。
上述のモンスター達でも対応できるため出番はあまりない。
語り草になっているのは《ウィンドフレーム》で、何と登場当時から約3ヶ月にわたり対応するモンスターが存在しないという不遇どころではない立ち位置に置かれていた。
登場から16年経った12期現在でも対応しているのは手札でバニラ化する《始祖神鳥シムルグ》と、公式使用不可の《輝銀の天空船-レオ号-》のみという有様。
そのシムルグもカテゴリ化に伴い召喚権利の追加やコスト軽減、自己再生する下級モンスターなどサポートが充実したので、このカードを採用する意義は無いも同然である。


【属性・種族を指定するダブルコストモンスター】

  • ジェルエンデュオ
光属性・天使族専用のダブルコストモンスター。
天使族は最上級モンスターが多く、さらに戦闘破壊耐性があることから
「セットして壁、生き残ったら次のターンでリリース」という非常にわかりやすい運用ができる、
シンクロ以前の第5期生まれにしては優秀なダブルコストモンスター。
大天使クリスティア》で特殊召喚封印中でも使えるのも強み。


【種族を指定するダブルコストモンスター】

  • 暗黒騎士ガイアオリジン
戦士族限定のダブルコストモンスター。
特殊召喚効果も備えているので出しやすい。
名前の通り《暗黒騎士ガイア》シリーズをサポートするためのカードでもある。

  • 先史遺産(オーパーツ)マヤン・マシーン
機械族専用のダブルコストモンスター。
特殊召喚できない《古代の機械巨人》に使いたいが、他にサポートが豊富なのが痛いか。
何と「先史遺産」にはこれに対応するモンスターが存在しない。

  • 幻奏の音女セレナ
天使族専用のダブルコストモンスター。
《ジェルエンデュオ》と違い堕天使モンスターにも使えるのが強み。
更に特殊召喚すると幻奏モンスターを追加召喚できるオマケつき。
「通常召喚すると即座に使えない」という根本的な問題は解決していないが、特殊召喚手段は十分あるので深刻な問題ではない。

  • 超重武者ビッグワラ-G
機械族専用ダブルコストモンスター。
こちらは特殊召喚効果を備えているので少々使いやすい。

ドラゴン族限定のダブルコストモンスター。
自己再生効果を備え、《竜の渓谷》等墓地に落とす手段も豊富なので扱いやすい。

  • 輪廻竜サンサーラ
ドラゴン族限定のダブルコストモンスター。
墓地に行ってもドラゴン族サルベージ効果が使え、さらにそのモンスターをA召喚できる。
これだけだとちょいと生かしづらいか。

  • 霊廟の守護者
ドラゴン族限定のダブルコストモンスター。
こちらも特殊召喚効果を備え、一定条件で墓地のドラゴン族通常モンスターをサルベージできる。
ちなみにこいつと《竜の霊廟》があれば、《竜の霊廟》で《輪廻竜サンサーラ》とバニラの上級ドラゴンを墓地へ→このカードを召喚→《輪廻竜サンサーラ》の効果で上級ドラゴンをサルベージし、こいつをリリースしてA召喚というコンボが使える。

  • ローズ・ウィッチ
植物族限定のダブルコストモンスター。
しかし《ローンファイア・ブロッサム》があるので肩身が狭い。
向こうは準制限カードなので使い切った後なら出番はあるかもしれない。

【カテゴリを指定するダブルコストモンスター】

  • アルカナフォースⅥ-THE LOVES
正位置の効果(表)でアルカナフォースの最上級モンスター限定のダブルコストモンスターとして使える。
だがアルカナフォースの常として効果に確実性がなく、リスクに対するメリットが薄いため、天使族全般に対応する上記の《ジェルエンデュオ》や《幻奏の音女セレナ》で十分な場合がほとんどという不遇のカード。

  • インヴェルズ万能態
インヴェルズ専用のダブルコストモンスター。
ただし主力となる《インヴェルズ・グラファ》は自前でリリース軽減効果を持つため、主に《インヴェルズ・ホーン》や《インヴェルズ・ガザス》を主軸とする構築で使用される。
ヴェルズ/インヴェルズサポートは勿論、《ダークバースト》や《悪夢再び》で何度も使い回せる。

  • EMレビュー・ダンサー
EM専用のダブルコストモンスター。
特殊召喚効果を持ち、P召喚では対応しきれない場合には有効。

  • 時械巫女
時械神モンスター専用のダブルコストモンスター。
時械神はリリースなしでも召喚できるが、その条件を満たせない場合の緊急措置として使用できる。
特殊召喚効果や時械神サーチ効果、時械神蘇生効果も持ち合わせている。

  • EMウィム・ウィッチ
ペンデュラムモンスター限定のダブルコストモンスター。
P召喚でもレベル8以上は狙いにくいので、それらを召喚する場合には使える。
自身をPゾーンから特殊召喚する効果も持っている。


【指定なし】

  • 星遺物-『星櫃(せいひつ)
全ての最上級モンスターに対し、2体分のリリースとして使えるモンスター。
このカード自身も最上級モンスターなのがネックだが、手札から捨てることで効果破壊されたモンスターを蘇生させる効果や、
相手がEXデッキからモンスターを特殊召喚召喚した時にデッキからモンスターを墓地に送れる効果を持っている。

【3体分のリリースとして扱えるモンスター】

  • 機殻の凍結(クリフォートダウン)
アポクリフォートモンスター限定で3体分のリリースに使える罠モンスター
特殊召喚したターンにクリフォート魔法・罠カードを破壊から守る効果を持つ。

3体リリースが必要なモンスターに対し3体分のリリースとして使うことができる、
原作にも登場した融合モンスター。

詳細は項目にて。


【ダブルコストモンスターに関連するカード】

  • 再臨の帝王
攻撃力2400または2800で守備力1000のモンスターを蘇生させて装備し、
そのモンスターをダブルコストモンスターにする装備魔法。
主にデッキで後続を召喚するために使う。

  • 機殻の生贄(サクリフォート)
クリフォート専用の装備魔法で、装備したモンスターをダブルコストモンスターにする。
他にも墓地に送られた時のサーチ効果も持っている。

  • 地縛地上絵
Sモンスターを地縛神限定のダブルコストモンスターにするフィールド魔法。
破壊耐性を持つため地縛神維持にも有効で、サーチ効果も備える。


【余談】

  • 原作では融合モンスターはデュエルディスク上では複数のモンスターとして扱われるため、生贄にする場合その数だけ生贄にすることができる。他にも《聖獣セルケト》のような戦闘破壊したモンスターを体内に蓄えられるモンスターも同じように扱える。

  • アニメ遊戯王ZEXALでは「1体で2体分のエクシーズ素材として扱う」カードが多数登場していた。しかしOCG化に伴い「デッキから同名モンスターを特殊召喚」する効果などに置き換えられ、そのままOCG化したものは一つもない。恐らく「リアルカードで2枚目のエクシーズ素材を代用する手段がない」「普通に便利、強力過ぎる」辺りが原因だろうか。

  • アニメ遊戯王ARC-Vの《EMディスカバー・ヒッポ》は《星遺物-星櫃》と同じく2体分のリリースとして使えたが、OCG化の際に別の効果になっていた。もしアニメ版のままならヒッポをデッキから特殊召喚する《超カバーカーニバル》があるのでダブルコストモンスター最強になってたかもしれない。

  • リンク2以上のLモンスターは後続のLモンスターのL素材になる際、そのリンク数までのL素材として扱えるため、これもある意味ではダブルコストモンスターと呼べるかもしれない。


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最終更新:2025年04月30日 10:45