登録日:2022/09/17 Sat 13:33:28
更新日:2025/04/20 Sun 16:24:01
所要時間:約 50 分で読めます
「追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。」とは、
小説家になろうにて2021年より連載されているWeb小説である。
概要
正式なタイトルは「追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~」。長すぎる。
ファンからの通称は「チート付与」「チー付与」「ちいふよ」等。後述するコミカライズ版は作画担当の名義から「チート餅」とも。
作者は六志麻あさ。
2022年にKラノベブックスにて書籍化、前年にはマガジンRにてコミカライズ版の連載も開始している。
書籍版の挿絵・キャラデザはkisui、コミカライズ版の作画は業務用餅による。
「役立たずと見做されて仲間から追放された主人公が隠れた才能を開花させて大成していき、その一方で追放した側は没落していく」という、いわゆる「追放もの」の作品。
やたらと長いタイトルで示されていたり、公式の宣伝文句で「やりすぎ感溢れる」と謳われたりしている通り、主人公・レインは物語が始まった時点で莫大な付与ポイントを保持しており、その力でもって見る間に冒険者として名を上げていく。
小難しいことのない、単純明快な冒険譚にして成功譚と言えるだろう。
……原作の方は。
概要(漫画版)
コミカライズ版は「主人公が所属ギルドを追放され、その後身を寄せた小規模なギルドで冒険者として成長していく」という大筋こそ変わらないものの、
マガジン系列の小説家になろうコミカライズの例に漏れず、大雑把な舞台設定やキャラ設定を除いて
大幅な改変が加えられており、
業務用餅氏のゆるい画風や独特のセンスもあいまって「
魔法陣グルグル」や「
この素晴らしい世界に祝福を!」のような
シュールギャグファンタジー漫画に仕上がっている。
誰が呼んだか「穴久保版なろう」
当初は原作をアレンジしたストーリーの合間にギャグが挟まっているような形になっていたが、話が進むにつれて世界観そのものにまでギャグが侵食してきており、
- 通貨として金貨と日本円が混在している
- 民宿やペットホテル、パチンコ屋などの施設が存在する
- 一部ギルドの描写が現代日本のブラック企業のそれにしか見えない
- グアムとアメリカと東京が存在する
- ドラゴンがウージー短機関銃を隠し持っている
など、ファンタジー世界にあるまじき描写が目白押しとなっている。劇中のマーガレットの言葉を借りると「悪趣味な冗談でできたイカれた肥溜めみたいなもの」。
一方でギャグのみならずメインのストーリー展開にも多くのアレンジが加えられている……
というかガドレーザ編以降は当初辛うじてなぞられてはいた原作のストーリーをほぼ完全にほっぽり出しており、原作既読者にすら先の展開が全く読めないという凄まじい状況に発展。
原作にないシーンが跳梁跋扈するやりたい放題過ぎる内容に一部読者からは「コミカライズとは何だったのか」「無をコミカライズしている」などネタにされた。
頻繁に挟まれるギャグシーンや混沌とした世界観、崩しまくった作画などから生み出されるシュールで緩い雰囲気とは裏腹に、
その世界観は
ダークな方向でも現代日本とファンタジー世界が入り混ざったような世知辛くハードなもので、
冒険者達が命を落としたり、挫折してひどく落ちぶれたり、
ギルドという枷を失って反社会集団化し無法を働きだしたりといった重い現実も容赦なく描かれる。
ギルドから追放された主人公のレインはもちろん、劇中の登場人物達の多くはそんな辛い世の中で一度はつまづきながらも続く人生を懸命に生きようとする。
強烈なギャグにまず目が行きがちだが、タイトルにもある「
セカンドライフ」に焦点を当てた人々の物語としても楽しめる内容となっているのだ。
話が進むにつれてこういった傾向はより強まっており、はっちゃけたギャグ描写は残しつつ「
『青の水晶』・半グレ・暗殺者ギルド、そして国家権力たる王宮の4者の思惑が入り乱れるアウトレイジめいた裏社会抗争もの」「
それぞれの冒険者固有の魔法による駆け引きを描いたHUNTER×HUNTERや呪術廻戦を彷彿とさせる能力バトルもの」等
例によって原作には一切ないストーリーを
斜め上の方向に盛り上げる要素が次々に生えてきている。
半グレ編終盤あたりからは明らかに画風含めてハンタの影響が強まってきており、人類を脅かす人型化した怪物の討伐と王位継承を賭けての王子達の政治戦を交えた殺し合いが同時並行で進められたりしている
戦闘シーンに関してもだいたい「付与魔術による無双」で済まされていたものが仲間との連携を絡めて展開されるようになっており、より読み応えが増している。ただチートがあるだけでは足りず、
高い応用能力を持っていることが前提でギリギリの命の取り合いが繰り広げられており、
とても「残った人たち大丈夫?」とか言っている余裕はない。
また、上述したように電気や車が存在し、市民もある程度銃器を所持できる現代社会に
ファンタジー的な前近代が入り混じったような世界では当然出てくるだろう
- なぜ原始的な武器や馬車を使う冒険者ギルドが必要とされるか
- お金かかるけど銃や弾に付与魔法使えば楽なのでは?
- 一般人は魔法使えないの?
等の疑問は作中である程度説明される。
元々はそれほど注目されてはいなかったが、ニコニコ静画で期間限定無料公開された事がきっかけになり、「安易なパロネタに走らない独自色のあるもの凄い勢いのギャグ」「異様に立ちまくったキャラ達」「ギャグマンガぽくしているが立ち絵や戦闘シーンから伝わる画力の高さ」「これらを兼ね備えながらこれまで全く名前を聞いた事の無い作者の正体」などがSNSで話題となり、爆発的に知名度が広まった。
また筆が非常に速い事も注目されている。
隔週の金曜日でweb連載がされているのだが、だいたい40ページ前後か、多いときは50ページ前後の時もある。
54話の最終ページでは単行本作業のための休載が告知されたのだが、その一月後には80ページという異常なページ数が掲載され、ファンからは「本当に休んだのか?」という心配の声が上がった。
なおマガポケでは約20ページ単位で分割されているため、一つのエピソードが四分割される滅多にない対応がされた。その際にマガポケの仕様の問題で55話-①が最新話と見なされず更新日に無料公開される事態となりこれも話題となった。
このような状態なので原作者の六志麻あさ氏の心を心配する声もあるが、編集と六志麻氏のネームチェックを通過した上で描かれており、六志麻氏自ら「漫画で面白い部分は、だいたい原作にない箇所ですw」「※小説版と漫画版で内容が99割程度違うので、ご注意ください。」とネタにしている。
また業務用餅氏がSNSを利用していないためか六志麻氏が積極的に宣伝をしており、今のところは関係者達の関係は良好の様子。
業務用餅氏はその絵柄や妙に濃密なチンピラ描写から『絶望集落』の白山一也氏や『C.F<カワイイフィーバー>』の奥田雄太氏の別ペンネームでは?という指摘もあるが、なにせ名義が異なるため確定はしていない。あまり言い立てると注意が飛んでくるため、気をつけよう。
本作の題が「~セカンドライフを謳歌する。」のため、この業務用餅氏も
セカンドライフとして別業種から漫画家に転身して本作を描いているのではないか
(つまり本作がデビュー作)という推測もある。荒唐無稽なものだが、本作の徹底した「セカンドライフ」の描き方からここまで徹底されていても不思議ではない凄みもある。
なお昨今のインターネットではいわゆる「なろう系」の創作物は不当に軽視される傾向にあり、SNS等でも原作や原作者を貶めるコメントが時折見られる。
本作の自由すぎる作風は原作者の懐の広さが無ければ実現できないものであり、それを抜きにしても常識的に考えて原作を軽視するような言動は決してしないようにしよう。
あらすじ
大手冒険者ギルド「王獣の牙」で働いていた強化付与魔術師・レインは、ある日突然「もう十分に強力な武器と防具が揃った」という理由でギルドマスターのバリオスから追放を言い渡されてしまう。
仲間と信じていた冒険者たちにも嘲笑われ手ひどく追い出されたレインは、報復としてこれまで付与してきた強化ポイントを全て回収。
さらに集めた強化ポイントを手持ちの装備に移してみたところ、最大で+10000というとんでもない数値まで強化が可能だと発覚する。
レインはこれを機に自由に暮らすことを決意。小規模ギルド「青の水晶」に身を寄せ、そこで出会った仲間達とともに冒険者として大成していく。
一方、これまでレインの強化した武器に頼りきりだった「王獣の牙」は、その恩恵を失ったことで一気に凋落。
そしてこの非常事態に焦り、レインへの私怨に取り憑かれたバリオスも、大きく道を見誤って没落の一途を辿っていく……
用語
強化付与魔術
この世界に存在する魔術の一種。
特殊な魔力「強化ポイント」を武器や防具に込めることで性能を高める術である。
ただし対象の耐久力は据え置きであり例えば刀剣に強化付与を行っても上昇するのは攻撃力のみ。安い銅剣等に過剰な強化ポイントを付与しても、一度や二度振るうだけで壊れてしまう。
当然と言えば当然だが、防具を強化しても覆われていない部分の防御力までは上がらない。
魔術の性質上、基本的に前線で戦う冒険者には不向き。安全な場所で腰を据えて武器の強化を行う後方支援職である。
付与魔術師としての力量は「大量の強化ポイントを付与できること」よりも「武器の質に合った適切な数値の強化ポイントを付与できること」が重視されるようだ。
燐光竜帝剣
東の竜王国ガドレーザ、その王都近郊にある最難度
ダンジョン「光竜の遺跡」の最下層に存在する伝説級の剣。燐光を発し竜の力を秘めるという強大な剣。
噂はそれなりに知られているが、上級ドラゴンの守護を受けているため500年間誰も到達できていない。
単純に武器としてもレインの強化付与を受け止められる程の上物だが、燐光竜帝剣には攻撃の意志に反応して使用者と周囲を発光させ、光を浴びた物質の防御力を落とす効果が付属している。
冒険者
基本的には一般的な意味と相違無いが、漫画版においては「便利な生活や娯楽を捨て、国の発展のために危険を冒す者」という意味合いが強い。
もともと冒険者が持ち帰る戦果によって回っているゼルージュ王国ではこの事も加味して特権階級のように扱われており、職質や事情聴取はされるものの、逮捕監禁はまず無い模様。
モンスターの脅威が身近にあることも手伝い、民衆からも頼られ公に受け入れられている存在ではあるものの、ぶっちゃけると表社会に居場所のない荒くれ者や逸れ者の受け皿にもなっている、「王宮公認のヤクザ」としての色合いもかなり濃い存在。それはそれとして普通のヤクザもいる。
「王獣の牙」のような事実上ならず者の集まりのようになってしまっている連中はもちろん、主人公陣営である「青の水晶」ですらその例外とは言い難い。所謂「街を守るいいヤクザ」みたいなもの。
これは町の治安や民度が薄氷の上に存在することも意味している。冒険者は普段は町の外で活動しているため目立ったトラブルは起きないが、「半グレ」が町に燻るようになってからは暴力団や暗殺ギルドも交えた裏社会の者達の乱戦が繰り広げられる事となる。
青の水晶
「王獣の牙」追放後にレインが身を置くことになった小規模冒険者ギルド。
ギルドマスターはエルシー・ゾラ。
漫画版では自分の師匠が辿った顛末を見たエルシーが挫折した冒険者が立ち直るための手助けがしたいという夢を叶えるために冒険者を辞めて設立したという経緯がある。
しかし甘すぎる運営方針が祟り、諸事情から一時的に「青の水晶」に所属する冒険者はいてもすぐ他のギルドに移籍されてしまうということが相次ぎ、レインがその門を叩くまでは所属している冒険者は療養中のリリィ1人という有様であった。
加えてトップのエルシーからして何事も1人で抱え込もうとするという悪癖があり、レイン達も仲間や依頼者を思うあまりに本心を隠して独断で動いてしまう傾向があるなど、情報共有の面でもお人好しの集まりであるがゆえの難を抱えている。
とはいえ、いち冒険者としてはトップクラスの実力を持つエルシーをはじめ、「チート付与魔術」の使い手であるレイン、ブランクが大きいとはいえS級冒険者のリリィ、大手ギルドの有望株だった
マーガレット、一流の暗殺者として名を轟かせていたミラベル……と、頭数こそ極端に少ないもののメンバーの能力は軒並み高く、ただの吹けば飛ぶような弱小ギルド
というわけでもない。
エルシーの良くも悪くも腹の据わった立ち回りもあり、半グレや暗殺者ギルドとの対立が本格化して以降も危うい状況ながら辛うじて存続することができている。
王獣の牙
レインが当初所属していた冒険者ギルドであり、大陸5大ギルド「ビッグ5」の一角。
ギルドマスターはバリオス。優秀な冒険者を多数抱え、本来凡庸たるB級C級の冒険者もレインの強化付与によって充分な戦力となっていたため量・質共に高水準。
だがバリオスが軽い気持ちでレインを追放した結果、報復としてそれまでに付与した強化ポイントを全て回収されてしまい、それをきっかけに崩壊の一途を辿ることになってしまう。
漫画版では原作よりも構成員達のモラルの低さが強調されており、国の外で外道な振舞いをしていたコーネリアスを見たレインが「あいつらが外でこんなことをしていたなんて知らなかった」と苦い顔で吐き捨てたほど。
またレインの行動に対してグレンダが徹底的な報復を選択し、コーネリアスも「やられっぱなしでは舐められたまま」という理由でレイン達の暗殺を狙うなど、全体的に面子を重視するような気風が目立つ。やっぱりヤクザじゃないか。
その一方、トップのバリオスは彼らのような荒くれ者を従えられるとは思えないような弱腰かつ穏健な人物で、組織としては事実上グレンダに率いられていた節もあり、かなり歪な力関係が存在していたことが窺える。
半グレ
漫画版オリジナル勢力。
レイン追放後、諸々の問題に対して優柔不断な態度を取っていたバリオスへの失望と怒りから「王獣の牙」を離れた『半分』と呼ばれる元冒険者によって構成された反社会集団。
呼び名の由来は「
グレンダを慕っていた『
半分』が率いるグループ」であることから。
漫画が
致命的なまでに原作と乖離していった象徴とも言えるエピソード「半グレ編」のメインとなる組織だが、ピカレスクロマン溢れる設定や物語展開から読者間での人気も高い。
まさか「グレンダ」の名前から思いついたダジャレみたいな組織がここまでの存在になるとは誰が予想できただろうか。
詳細は
個別記事参照。
ゼルージュ王国
物語の主な舞台になる国。
冒険者を優遇していることで有名だが、同時に国王はその冒険者達を抑えられる強大な権力を持つことでも知られている。
言ってしまえば「半グレ」も「暗殺の母」も生かしておく得と潰す際のリスクを天秤にかけて今は見逃されているだけである。
王の剣たる「国王軍」は少なくとも王国内においては疑う余地なく最強の武力組織。さらに国王の勅命によって各ギルドにも応援を要請できるため、早い話が「国への叛意あり」と一度認められればそれが虚であれ実であれそいつは死ぬ。仮に他国への亡命を試みようとゼルージュ王国と敵対したい国はまず存在しないので受け入れられず確実に死ぬ。
科学
パック詰めされた精肉やウージー
機関銃や
パチンコ屋が登場する世界観を放り投げたナンセンスギャグが散見されたが、後にしっかりと意味のある描写と判明した。
全て判明しているわけではないが科学技術に関しては現代レベルであり、動画の記録・再生媒体や
自動車や化学繊維等が確認されてる。
これらの科学の産物は「機械や銃器やプラスチック等の科学技術で作られた物を使うと魔力を大きく消耗し、科学側も魔力に触れると著しく劣化・破損する」という性質がある。つまり異世界ファンタジーのように見えていたのは
魔力を使う冒険者に科学は厳禁なので身の回りに置いてないだけだった。
またエルシーは本人いわく「かなり(魔力が)落ちる方」との事で、半グレとの戦いに備えてパチンコを止めている。科学による魔力の減衰には個人差があり、また禁欲による回復も可能らしい。
研究者や専門家達は魔力と科学の両立
「魔科両立」を目指し研究を続けているが未だに成果は無く、これが実現した場合世界の法則が変わると言われている。
なお、この最重要設定は原作に全く存在しない。
モンスターと魔物
基本的にドラゴンやスライムといったファンタジーRPGに現れる敵キャラのような異形の怪物であり、人口の少ない場所を根倉として出没する。
冒険者が出向くのは得てしてこういった怪物の棲みつく辺境であるため、冒険者にとってメインとなる敵であり、開拓地の最前線や田舎に出現した際の駆除も冒険者に依頼されることが多い。
当初はモンスターも魔物も表記揺れの範疇で同じようなものと括られていたが、半グレ編後から明確に区別され始める。
まず前提としてこの世界におけるモンスターの性質は邪悪である。
一部モンスターは人の真似をして人語を介するが、全て人を欺き陥れ虐げるために使われるため、その言葉は非常に乱暴。
そして言葉に続いて
人間の容姿を真似るモンスターを魔物と呼ぶ。最終的に魔物はほぼ人間と同じ姿を取るのだが、その姿になった魔物は村や町に住む人間を皆殺しにしてそこで生活をするようになる。
種族によってやり方や過程は異なるとされるが、基本的に方向性は同じで
魔物は本物の人間に取って変わろうとする。
ただし魔物が出現する確率は低いらしく、現在では目撃例もなく100年以上前の記録や文献に残る程度。
しかし、一度現れれば少なくとも村や町一つが壊滅し、その後の討伐でも多数の犠牲者が出る程の猛威を振るう。ゼルージュ王国ではマンドラゴラの魔物が多大な被害をもたらした記録が残っている。
中でもドラゴンが人型となった魔物である竜族は1000年前に人類を滅亡寸前にまで追い込み、神話として伝わるほどの恐ろしい存在として認識されているため、出現の報告がされれば国を挙げての討伐事業となる。
その性質上、魔物はモンスターとは比較にならないほどに「おそれるべき悪」であり、共存は絶対に不可能とされている。
登場人物
レインとその仲間たち
レイン・ガーランド
本作の主人公である付与魔術師の青年。
大陸5大ギルド「ビッグ5」のひとつに数えられる「王獣の牙」に所属し、地道に強化ポイントを確保しつつ仲間達の武器や防具を強化し続けていたが、用済み扱いされ追放されたことをきっかけに自身も冒険者に転身。
それまで本人も自覚はしていなかった付与魔術師としての類稀な才能を活かし、あっと言う間に名を上げていく。
性格は前向きであまり悩まないタイプ。追放の際には強い怒りと虚無感を感じてためらいなく報復を行なったものの、その後はすぐに気持ちを切り替えて冒険者を志している。
また謙虚な一面もあり、戦闘経験が浅く冒険者としての実力もほぼ付与魔術に依存していることには自覚的。そのため周囲からその力を称賛されても「付与魔術が強いだけ」と謙遜することが多い。
戦闘の際には武器に大量の強化ポイントを付与し、聖剣並みに威力を強化した上でのゴリ押し戦法を取る。
その威力は安物の銅の剣ですら一振りで建物を吹き飛ばせるほどであり、最上級モンスターであるドラゴンですらまともに受ければ瞬殺されてしまう。
その代わり弱い武器だと威力に耐えられず使用後に壊れてしまうという欠点もあるのだが、その点は後に伝説の剣「燐光竜帝剣」を入手したことで克服している。
また戦いの中で付与魔術そのものも成長しており、武器強化以外にも
といった能力を披露している。
「ギャヒ」
「おいおいどうしたんだよカッコつけてポーズなんか取っちゃって〜! 中学生かよハハハハッ! そろそろそういうの卒業したらどうなんだ!? 中2のあのアツい夏からもう何年目だよ! あっ思い出したらアツくなってきたとめどない地球温暖化の進行」
「カチャカチャ ジィーッ カチャカチャ ジィーッ」
経歴等は概ね原作と同じなのだが、どういうわけか
- 外だろうが人前だろうが異性の前だろうが素っ裸になることに全く抵抗がない
- 興奮した時のリアクションや笑顔が気持ち悪い
- たまにヒロイン達にセクハラをはたらく
- 駆け出し冒険者を狙ったぼったくりに引っかかりめちゃくちゃダサい鎧を買ってしまう
- ジッパー音の声帯模写をして遊ぶ
といった奇行を繰り返す
ものすごいアホかつ変人と化している。
追放した理由として列挙され、仲間も言い返せず誤魔化すくらいに。
付与魔術師としての実力は本物なのだが、こんな性格のため仲間たちからの扱いは原作とは対照的にぞんざいであり、ダンジョン攻略の感動で興奮してる時すら
「ポケットに缶ビールでも隠しててバレへんようにチビチビ飲んでんのかな」
「最初っからずっと目ェ開けながら寝てて四六時中寝言コキながらフラフラしてるだけ」などと評されている(単行本版ではカット)。
本人も「冗談ばかり言って人生と向き合うのを避けている」という自覚はあるようだが、
根本的におバカなので真面目にやろうとしても上手くいかなかったりする。
また、こんなんでも追放された経験はしっかり
トラウマになっており、「付与魔術で役に立てなくなったら、自分はまた追放されてしまうのではないか」という強迫観念を抱えていた。
ただしアホなだけではなく
強い善性も備えており、冒険の際には
「皆で帰ってくる」ことを何よりも優先し、大事な場面では
ボケは多々挟みつつも真剣に考えた上で行動している。
リリィとマーガレットが過去の
トラウマを乗り越えて打ち解けられるように苦心したり、自分の命を狙ってきたミラベルの苦悩にすら寄り添うなど、
どんな相手であっても、危険を顧みずに助けることができる根っからのお人好しである。
前述の通りマーガレットの家の前で全裸になっていたのも、マーガレットの飼い犬が噛みついてきた場合、強化された布の服のせいで大けがをしてはいけないから、という彼なりの優しさと思いやり(?)によるもの。
そのため仲間からはことあるごとに呆れられながらも、根っこの部分では信頼されており、気兼ねなくバカをやれる悪友のような関係となっている。
冒険者としては原作に比べて「付与魔術頼りのルーキー」という点が強調されており、状況判断や戦闘中の立ち回り、強化された装備の扱いなどに関する未熟さ・脇の甘さから敵に付け入る隙を与えてしまうことがしばしばある。
また長らく裏方に徹していたこともあり非力かつ体力不足気味で、走り回ったり重いものを抱えているとすぐにバテてしまうというのも大きな弱点。
知恵の回る一部のモンスターや高ランクの冒険者たちを相手にするには、いかに「チート付与魔術」といえどそれだけでは頼りなく、そのあたりはリリィをはじめとする実戦経験豊富な仲間達の助力や助言を受けることでカバーしている。
また今のところ原作に登場した第二術式・第三術式は使用していない。
本人はその事にあまり自覚的ではないが、彼の付与魔術の規格外の強さは「半グレ」のような悪辣な連中に知られれば身を狙われかねない、彼自身や「青の水晶」そのものが危険に晒されるリスクと隣り合わせの代物でもあり、上で軽く触れたようにエルシーからもギルド外では使わないようにと釘を刺されている。
なまじ「チート付与魔術」を身につけているがゆえに「気ままなセカンドライフ」を脅かされてしまうという身の上に置かれているのはなかなか皮肉なことかもしれない。
実際、半グレ編以降は
- 「青の水晶」・半グレ・暗殺者ギルドの組織間抗争の中心人物になってしまった上、一時期は国王軍の監視下での行動を余儀なくされる
- 半グレとの戦いの最中にとったある行動が原因で一時的に強化付与能力を使えなくなる
- 半グレ壊滅後も王国側から付与魔術の行使に制限をかけられる
- ゼルージュ国王の崩御に伴う王権争いに巻き込まれて命を狙われる立場になったため、王国を離れ正体を隠して行動せざるを得なくなる
と、主に付与魔術が原因で一向に気ままなセカンドライフを謳歌させてもらえないでいる。
元々修行と禁欲、そして師匠からの強化ポイントの継承により膨大なポイントを有しており、付与術師としては規格外の能力を持っていたが、第30話において彼の付与魔術の真に「チート」な点が明かされた。
それは強化ポイントの付与対象に一切の制限がない、ということ。
先に述べた通り、作中世界における「科学」と「魔術」は基本的に相容れないものであり、それは付与魔術も例外ではない。
通常の付与魔術であれば機械類や銃・爆弾等の現代兵器、化学繊維といった科学の産物に対して強化ポイントを付与することはできず、付与しようとした対象が壊れるだけで終わってしまう。
だが、レインだけはそういった科学の産物にも本来あり得ない魔術による強化を施すことができてしまう。
仮にレインが発電機を強化すれば国中の電気を賄うことができるし、ただの手榴弾でも都市を完全に破壊できるほどの威力を発揮する。
まさしく世界の法則を覆す存在、「武器だけでなくあらゆるものに強化ポイントを付与できるチート付与魔術師」がレイン・ガーランドなのである。
タイトル回収がクッソ雑に済まされたと思ったら、思わぬ角度から攻められ驚愕した読者も多かった模様
ただしレイン本人の経験不足からかまだ完全なものではないようで、初めて車を強化した際はその車は完全に破壊され、反動で数日間昏睡状態となり暫く強化付与能力を喪失してしまっていた。
実は本人も気付かないままこの能力は持っていたらしく、以前に村で住人の服に+100の強化をした際に化繊入りの衣類を強化していたようである。ただしそれらの服はレイン達が村を発って間もなく著しく劣化しボロボロになってしまっていた。
このように知らず知らずのうちに科学の産物への強化付与を行っており、それが積もり積もって能力の喪失に繋がったようである。
ニーナ
「よかった……私、レインさんがここから出ていくのかと思って」
ギルド「青の水晶」の受付嬢。黒髪を長く伸ばした清楚な美少女。原作では
メインヒロインと言っていいポジションにある。
追放後、冒険者となるためにやってきたレインを温かく受け入れた。
その際折り悪く恫喝にやってきたガラの悪い冒険者から助けてもらったためか、彼には好意を寄せている。
(こんな犬の散歩みたいな格好でドラゴン討伐? 冗談でしょ…)
「ただ私たちは もっと情報を共有しないといけないんだよ」
基本的なキャラ設定は原作同様だが、若干気さくかつ強気な性格になっておりレインにもタメ口で接する。
原作と違い特にレインに恋愛感情を抱いている様子はなく、むしろ彼の常識外れかつハチャメチャな言動に困惑させられている場面が多め。
またエルシーに対しても何かと危ない橋を渡りがちな彼女の行動に引いたり呆れたりしていることが多く、総じてヒロインというよりは苦労人のツッコミ役という印象。
というか原作よりもレインの冒険者としての活動に焦点が当てられている関係上出番がかなり減っており、メインヒロインのポジションもリリィに持って行かれているためぶっちゃけ影が薄い。その分比較的マトモなままで済んでるとも言えるが……
リリィ・フラムベル
「こいつは──あたしたちだけで戦うしかなさそうですね」
ギルド「星帝の盾」に所属する聖騎士。金髪を後ろでまとめた、凛とした美少女。
「7歳で低級ドラゴン5体を討伐、12歳で中級ドラゴンを屈服させ乗りこなし、現在では上級ドラゴンを単独で撃破するほどの実力者」という輝かしい経歴の持ち主で、史上最年少でS級冒険者の称号を獲得している。
「『王獣の牙』の腕利きの付与魔術師」の噂を聞きつけてレインのもとを訪れ、装備を強化してもらった返礼も兼ねて彼を「燐光竜帝剣」の在処であるガドレーザの遺跡へ案内して以来縁ができ、彼の冒険に同行することが多くなる。
その名声とは裏腹に腰が低く礼儀正しい性格で、レインに対しては基本的に遜った態度で接する。
「あ〜! バカバカバカ うるさいうるさいうるさ〜い!」
「気をつけて! そいつは胸や尻を触ってくる」 「触ってねえよ!」
「あたしは狂犬 狂犬リリィよ!!」
こちらでは「青の水晶」所属の冒険者。笑い声は「ギャー!」。
原作同様の経歴でS級冒険者となったものの、ガドレーザでの冒険で人生初の失敗を味わい、さらに同行した仲間を全員失ったトラウマから2年間引きこもっていたという重い過去を持ち、全体的に原作から反転させたようなキャラ設定になっている。
戦う度に震えが止まらなくなるほどの精神状態でありながら、ギルドの仲間に対しては何もできないことに強い引け目を感じており、レインの初クエストに「S級冒険者の自分がついていれば最悪2人とも死んでもギルドの名誉は守られる」と半ば捨て鉢な気持ちで同行するも、
その真意を見抜いたうえで自分を守ろうとするレインの姿を前にして奮起。
付与魔術頼りで戦闘経験のない彼に的確な助言を与えて無事にクエストを成功させ、以降は冒険者としての再起を目指して彼のパートナーとなる。
その後もしばらくは剣を持って戦うことができなかったが、ガドレーザでの燐光竜との再戦を経てトラウマを乗り越えたことで戦線復帰を果たしている。
基本的に腰が低かった原作とは対照的に、割と鼻っ柱の強い性格。
過去の経験から当初はやや精神的な脆さと荒れた言動が目立っていたが、本来は経歴相応の自信と責任感を持ったしっかり者。
当初はレインのアホっぷりに常々振り回されており、彼の奇行に容赦なくツッコミを入れていた……
のだが、付き合いが長くなるうちに彼のノリに染まってしまったらしく、現在では彼やマーガレットと一緒になってボケ倒すことが多くなっている。
また、ファッションセンスは絶望的で女児のようなダサい私服を好む。
普段は女口調だが根はかなり血の気の多い性格のようで、状況が悪化したり追い詰められたりすると途端に口調が荒くなるのも特徴。半グレ編では口癖のように「クソが」と言ってる気がする。
能力は「魔力の着火・燃焼」。
38話にて判明した能力。
魔力を燃料に炎を燃やすシンプルな能力で、作中ではさらに斬撃に乗せて火炎弾を飛ばしていた。
この能力の真骨頂は、自分以外の魔力も燃やせる点にある。
他者の魔力に干渉するのは簡単な事ではないものの、集中すれば「魔力の薄い部分」を見定める事ができ、そこに自身の魔力を差し込むことで延焼が可能。
こうなった場合、敵は魔力のガードを解いて一瞬とはいえ完全な無防備になるか、魔力を維持したまま焼け死ぬかの二択が迫られる事となる。
全力で魔力を解放すれば延焼は防げるものの、その場合は大量に魔力を消費するため持久力が大幅に低下する。
総じて相手のリソース管理を乱し戦闘の主導権を握る事ができる対人戦に特化した能力であり、常に全身から強い魔力を発しているドラゴンには効果が薄い。全盛期のリリィが加入していたメンバーが燐光竜に壊滅させられたのも、リリィの相性の悪さが関係しているのかもしれない。
マーガレット・エルス
「へへ、すぐにA級……そしてリリィ先輩と同じS級になってみせるぜ」
ギルド「星帝の盾」所属のB級冒険者でリリィの後輩。リリィに似た赤い鎧を身につけた
ツインテールの少女。
『
加速』の魔法による高速剣技の使い手。
快活で男勝りな性格の俺っ娘で、リリィをよく慕っている。
レインとはA級冒険者への昇格試験で知り合い、以降は彼を
ライバルとして意識しつつも度々冒険に同行している。
「リリィ やっと あなたもガドレーザで死ぬ時が来たわけですね……」
「いっつもキモいんだよ!!! 土色の服なんか着やがってーーッ おばあちゃんに買ってもらったのか!?」
「ゴボゴボゴボ… ブクブクブクゥ〜〜ッ」
ギルド「皇帝の盾」に所属するB級冒険者。
全体的に原作とは正反対の性格になっており、
外見以外は原作とほぼ別人。外見も顔つきが全く違っているためかなり印象が変わって見える。
しかもセクシーポーズを取りながら自分で「SEXY」と口走って相手をおちょくったりする。笑い声は
「ワァ~!」。
リリィのガドレーザでの冒険に同行していた冒険者の妹で、リリィを慕うどころか
彼女が姉を見捨てて一人で逃げ出したと思い込み強く憎んでいた。
姉の死後自身も冒険者となり
復讐の機会を窺っていたところ、リリィがレインと共に再びガドレーザの遺跡に向かおうとしていることを知り二人に同行。
レインの
暗殺を狙うコーネリアスと裏で手を組み、リリィが姉を見捨てたという証拠を確保し突き付けた上で彼女を殺そうとした。
しかし本心を隠してレイン達と行動を共にする中で、二人の仲間を真摯に思う気持ち
とレインのシリアスな空気をぶち壊す奇行に少しずつ絆されていき、
最終的にはコーネリアスが偽の証拠を用意するなどの離間工作を行なっていたと知ったことで、自身の間違いを察しこれまでの裏切り行為を二人に明かす。
それでも責めることなく受け入れてくれた二人に心を開き、改めて仲間となった。
ガドレーザからの帰還後は「皇帝の盾」を辞めて「青の水晶」に移籍することを考えるも、他人を信じきれない性分はまだ直っていなかったらしく、
エルシーの借金に関する些細な誤解からまたレイン達に心を閉ざしそうになってしまう。
しかしそのことを気に掛けたある人物に強く背中を押され、「青の水晶」に入ることを決めた。
性格は快活で蓮っ葉だった原作とは対照的に慇懃無礼な皮肉屋。だいたい常にチベットスナギツネを彷彿とさせる死んだ目をしているが、ツインテールを解くとキラッキラの美少女顔になる。
ツインテールにしているせいで顔の筋肉と皮膚が上に引っ張られてチベスナ顔になっているのかも知れない。
癖なのかわざとやっているのか、信用していない相手と会話する際には本心を隠すように糸目になり間延びした口調で話す。
また好戦的な一面もあるようで、戦いとなると凶悪な笑みを浮かべ、かなり荒々しい立ち回りを見せる。
「青の水晶」への移籍以降はリリィ同様レインに影響されたのかふざけた言動も多くなっており、唐突に強烈なボケをかまして周囲をドン引きさせてしまうことがある。
リリィとのわだかまりも既になく、レインたちと行動している時はもちろん、彼女と2人でクエストに向かった先でもふざけ倒す姿を見せている。
割とイタズラ好きらしく、寝坊したレインの枕元に自分の髪の毛を切ってばら撒いて抜け毛に見せかけたり、リリィ共々わざわざ自分たちにそっくりなおばあさんを連れてきて「気絶している間に50年も経ってしまった」とレインに吹き込もうとしたりと、時々やたら手の込んだドッキリを仕掛けることがある。
その「モブ顔」とも揶揄されているチベスナ顔とSEXY()な身体つきというギャップでメインヒロインであるニーナリリィを差し置いて高い読者人気を獲得しており、ファンアートも多く描かれている。
漫画版
オリジナルキャラクター。マーガレットが飼っている犬。
元々はマーガレットの姉の愛犬で、彼女の死後も形見として大事に世話をされていた。
犬に対しても敬語を使うマーガレットには心の距離を感じていたようだが、レイン達との冒険を経て心を開いてからは無邪気な姿を見せるようになっている。
ちなみにマーガレットとの心の距離は
主に作画に表れており、当初はピットブルのような厳つい中型犬の姿で描かれていたのが、お互いに気を許し合ってからは
まるでラクガキのような姿に常時なっている。
漫画本編外の活躍(?)では、X上に作られた『月間少年マガジン』のPR用アカウント
「漫画をオススメする犬」(@getsumaga_PR)の
プロフィール画像がどう見てもどんぐりである。
基本的に
「ワウッ」などの鳴き声の後に()付きで漫画の内容をX用に端的に紹介し、試し読み分の漫画を貼っていくアカウントなのだが、当初は人語を解していた上にそもそも開幕一言目が
「やさしいHな個人授業スタート!」である。
たまに実家もオススメする。
ミラベル
「私の名前はミラベル。依頼主の名前を話せばいい? 他にも何か話せばいい? 好みの男性のタイプでもスリーサイズでも何でも話すから聞いて聞いて」
「暗殺者ギルド」に所属していた小柄な青髪の少女。
バリオスの依頼を受けてレインを暗殺しようとしたが失敗し、彼に憲兵に引き渡されそうになったため依頼の詳細を暴露。
その後「依頼主を裏切った以上暗殺者ギルドにはいられない」としてあっさり転職を決め、「青の水晶」所属の冒険者となった。
性格は非常にマイペースで、切り替えが早く言うことがころころ変わる。奇妙な言動で周囲を困惑させるギャグキャラの色が濃い。
生まれつき暗殺者として育てられてきたため殺しへの抵抗感は薄い。でも職業意識は低い。
他人に背後に立たれるのは嫌いだが、他人の背後に立つのはいつでも殺せる安心感があるので好き。
「武器を構えろ 間抜け」
「怯えるなコーネリアス 私は強い…!!」
「いいことをしようっていう皆と いいことができるのが嬉しい…!」
コーネリアスに雇われレイン達の身を狙った暗殺者。
完全に気配を消せる一級の暗殺者としてその名を知られており、リリィはマーガレットから「青い髪で子供のように小柄」と聞かされただけで警戒心を露わにしている。
原作ではマイペースな言動でコメディリリーフ的な立ち位置にあったのと対照的に、こちらではギャグ要素の少ないシリアスなキャラとして描かれている。
どう見ても日本人の薄汚いおばはんにしか見えない「ママ」こと暗殺の母から「
人間には価値がない」と
虐待や
洗脳まがいの方法で教育されており、彼女の言葉に従って暗殺を繰り返していた。
しかしレイン達の身を狙っていたところ燐光竜を相手に彼らと一時共闘することになり、
その際彼に「
価値のない人なんていない、ミラベルにも価値はある」と諭されたことで考えが揺らぐ。
そして「レイン達を殺せ」と煽るコーネリアスに対し、自分のために
文字通り血を吐く勢いで「人間に価値はある」と大声で叫びまくるレインの姿を見て彼の思いに触れ、自分にも価値はあるのだと思い直し暗殺者をやめることを決意。
ママに自ら「もう殺しはしない」という意思を伝え、その後
あるいざこざを経つつも「青の水晶」に入り正式にレイン達の仲間となった。
当初は標的を何の躊躇いもなく殺せる冷徹な性格の持ち主だったが、それはママからの教育によるもの。
本来は歳相応に純粋な心の持ち主であり、暗殺者として活動していた頃も「ママに愛されたい」という思いのもとに行動していた。
レインの説得を受けて仲間になってからはそういった本来の純真さが表に出るようになっており、彼らのアホな言動がツボに入って笑いが止まらなくなったり、これまで数多くの殺人を犯してきたことへの良心の呵責に苦しんだりと、感情豊かな姿を見せている。
一方で暗殺者らしく心の内を読ませない振る舞いもでき、レインの付与魔術の強力さが露見しそうになった際には一時「青の水晶」を抜け、あえて半グレに取り入ることで彼への注意を逸らそうとしたことも。
凄腕の暗殺者として知られているだけあり、燐光竜を相手に単身でそれなりに渡り合うなど戦闘能力は非常に高い。
巨大な石柱を軽々と持ち上げ、さらに振り回しただけで襲い掛かる
ゴブリンの群れを全滅させてしまうなど、小柄な見た目に似合わない怪力の持ち主。
先述の通り過酷な立ち位置であるためか、画廊の存在自体を知らなかったり、他のメンバーのノリからはワンテンポ遅れる受け身の姿勢で会話に混ざっているため、今の所ギャグに振り切る様子は無い。
リリィやマーガレットがレインに感化されてアホになっていく中で、一歩引いて素朴な感性のままで発言することも多いのですごくまともな美少女として読者人気も高い。
半グレ編では率先してレインら大切な仲間を守るために危険に飛び込んでいくメインヒロインのような立ち回りも見せた。
良心の呵責からモンスターも含めて殺傷行為自体が出来なくなってしまったことで、これ以上は冒険者を続けても仲間を危険に晒すだけとして、半グレ討伐後は冒険者を離れて服屋の弟子となるセカンドライフを迎えることになる。
なお暗殺の母を含む全員から「ミラベル」と呼ばれていたが、王国の表彰では「ミラ・ベル」の表記になっており、どうやらミラが名前でベルが苗字だったらしい。兄弟の名前が「ミラタロウ」や「ミラきち」だったのに!?
マルチナ・ジーラ
ウラリス王国出身の貴族令嬢であり、次期勇者の最有力候補とされる
女騎士。レインより少し年上のオレンジ髪ストレートヘアの女性。
やんごとなき出自に反して気さくなお姉さんめいた性格をしている。
レインの手に入れた「
燐光竜帝剣」、リリィの持つ「
紅鳳の剣」と並び称される伝説の剣「
蒼天牙」の継承者で、かつて世界の8割を滅ぼしたという古の最強竜「光竜王ディグ・ファ・ローゼ」を再封印することを使命としており、レイン達にもその協力を要請する。
「誰にも認められないからっ 嘘ついて認めさせようとしてきたんです! ずっと!」
「まあ!レイン様は野球少年でしたの!?」
出自は原作と同じだが、こちらでは勇者候補ではなく王選の冒険者という設定。また、過去に「青の水晶」に在籍していた時期もあったらしい。
ジーラ家は高名な冒険者を多数輩出してきたと言われる名門だが、彼女だけは才能に恵まれず冒険者ランクはC級止まりであり、その事に強いコンプレックスを抱いていた。
そんな中である村へサイクロプス討伐のために派遣されることになるものの、名家の出身であることから村人達に強い期待の目を向けられ、その重圧に負けて自分はA級冒険者であると詐称を行ってしまう。
心から自分を慕ってくれる村人達を騙し続ける事に罪悪感を覚え塞ぎ込みがちになっていたところ、同じくサイクロプス討伐の依頼を受けて村にやってきたレイン達と出会う。
様々な誤解からレイン達と村人の関係が悪化する火種となってしまったが、彼の叱咤激励を受けて自分が家名など関係なく村人達から必要とされている身であること、そしてそんな村人達を守るために戦うべきだということを自覚。
勇気を出して村人達の前で自ら誤解を解き、改めてレイン達と共同戦線を張ることとなった。
もはやお約束のようなものだが原作とは違い、名家の御令嬢らしくお淑やかで丁寧な喋り方が特徴。コンプレックスから反射的に詐称行為に出てしまったものの本来はとても誠実かつ心優しい性格で、冒険者としては無力ながら村人達のために精一杯の力添えを続けていた。
またかなり分析力・洞察力に優れる一面があるようで、集めてきた情報からサイクロプスの正体を正確に見抜くことでレイン達の戦いにも大きく貢献している。
ちなみに漫画版に彼女が登場するより前、マーガレットの回想の中に彼女とそっくりの服装をした女冒険者が登場していたが、彼女はマルチナの姉だった模様。
マーガレットの言葉を信じるなら彼女は既に死んでいるか、生きていたとしても自分の失敗が原因で仲間を2人死なせているようだが……
エルシー
「お、我がギルドの双璧、レインとバーナードさんがそろっているな」
「青の水晶」のギルドマスターを務める三十歳前後の女性。
やや男勝りな口調の気風のいい人物で、ギルドメンバーたちからも慕われている。
ニーナ曰く彼女がギルドに入って以来の付き合いであり、当時は副ギルドマスターだったとのこと。
「エルシーさんはきみの相談をなんでも聞いてあげるぞ!」
「うちみたいなギルドがあってもいいじゃんか 皆に優しい家族的なギルドが」
「おいコラァ〜… ガキィイイイ〜 これくらいお前らに全部食い散らかされるよりずっとマシだろーがあ〜」
おおまかなキャラ設定は原作同様だが、全体的に出番が増え詳細な描写も多くなっている。
常識的に言えば明らかに分不相応なドラゴン退治クエストにレインを送り出すなど一見いい加減なようだが、
実際は陰ながら彼の初クエストを見守っていたり、二年間引きこもり状態になっていたリリィを見捨てることなく世話をしていたりと、とても面倒見のいい人物。
かつてはS級冒険者として名を馳せていたものの、師事していたある熟練冒険者が
病気で引退を余儀なくされ、その後浮浪者にまで落ちぶれてしまっていた事を知り若くして現役を引退。
挫折した冒険者達の拠り所として「青の水晶」を立ち上げたものの、優しすぎる運営方針が祟り経営に困窮している。
大手ギルド「皇帝の盾」の
CEOギルドマスターとは現役時代からの旧知の仲であり、ギルドの維持のため彼から
5億円もの
借金をしている。
以上の経歴からギルドのメンバーを守る事を第一目的としており、そのためならば多少えげつない手段も厭わない。
半グレとの敵対が確定的になった際には暗殺者ギルドとの共倒れを狙って単身裏工作を行い、それに失敗すると今度はあえて王宮への虚偽報告を自らバラすことでギルドごと監視下に入り両者が手出しできない状況を作り出すなど、清濁併せ呑んだ立ち回りで「青の水晶」を守り抜いている。
この辺りの言動は完全にヤクザの女親分のそれ。こういった面は人相にも現れており、初期は柔和な顔立ちをしていたのが話が進むにつれていかにも食えない雰囲気の悪人面に変わってきている。とはいえ半グレ編後でも日常シーンでは今まで通りの大らかな態度を取っており、キャラクターが改変されたわけではない。
一方、その情深い性格は全面的にプラスに働いているわけではなく、「ギルドメンバーを守る」ことに固執するあまり、自分「だけ」が泥を被ろうとして、共有が必要な情報を抱えたまま独断で動いてしまうという、組織人としては無視できない欠点も抱えている。
この悪癖に関しては付き合いの長いニーナやリリィからも度々指摘されており、CEO「皇帝の盾」ギルドマスターの「冒険者としては一流だが経営には向いていない」という評はかなり的を射たものと言える。
一時期
パチンコを趣味にしていたが、本人曰く「好きではない」らしく、「皇帝の盾」のギルドマスターに付き合ってやっていた様子。
結局その後自分もギルドのために戦う必要があると感じたため、魔力の低下を防ぐためにすっぱりとやめてしまっている。
現役時代の異名は「黒い三叉」。
手に持った星形の三叉が由来であり、伸縮自在のそれを用いて能力を行使する。
現役から降りて久しい今も冒険者としての実力は極めて高く、元「王獣の牙」の精鋭である半グレ複数人を相手にしても互角以上に渡り合えるほど。
とはいえブランクの影響は小さくなく、パチンコ等の科学文明に触れた際の魔力の減衰量も人より大きいらしく、半分らトップクラスのメンバーとの戦いでは常に疲弊している。
能力は「電気」。
手にした三叉を媒体に雷を発生させ、敵を痺れさせたり一瞬で黒焦げにしたりするのが主な戦闘スタイル。
三叉を巨大化してから雷撃を飛ばしているがこれはブラフ。実際は小さいままでも力を行使できるようで、掌サイズに縮小した状態から強力な雷撃を放つ奇襲技を隠し玉にしている。
三叉の巨大化には魔力を使っているらしく、縮小していた方が巨大化させない分の魔力が雷に宿るため、実は「星」が小さい方が威力は強い。本人もうっかりそのことを失念しており手加減を誤ったりしている。
電気は自然界にも溢れているため、静電気等の周囲で発生した電気を接収することで能力の回復に繋げることもできる。
エルシーの格闘術は(半分評で)大したことがないとされるが、自分の身体に直に電気を送ることで強引に筋肉を動かした奇襲で半分に一撃を入れることにも成功している。
この技を使うことで体力切れを起こしても無理矢理継戦することも可能であり、エルシーの「最後まで諦めない私にピッタリ」という言葉通りの能力となっている。
ラス
「そういうことなら、俺もお供しますよ、レインさん」
ギルド「青の水晶」に所属する剣士。小柄な金髪の少年。
年齢相応に純粋な性格で、レインをよく慕っている。
「おいらレインさんにやさしい声をかけていただいただ おいらはそういうレインさんについていきたいだ」
半グレ討伐後、急激に名声を得た「青の水晶」にやってきた冒険者の1人。
他の原作キャラとは違い外見すら原作とまるっきり違うという大胆すぎる改変が加えられている。原型をとどめているのは名前と性別と「レインを慕う後輩ポジション」であることくらい。
非常に大柄な体格とボサボサの黒髪が特徴的な、朴訥な雰囲気の青年。強い訛りのある口調で話す。
外見とは裏腹に気弱で流されやすい性格をしており、「青の水晶」に来るまでは冒険者としての経験もなかったらしく、周囲からはバカにされていた。
しかしクエスト前緊張していたところに優しく声をかけてくれたレインに心動かされたようで、他の冒険者たちが「英雄」らしく振る舞えなかったレイン達に幻滅して去っていく中、ただ1人引き返して「青の水晶」に加わった。
前述した通り、これまで性格面はともかく容姿はかろうじて原作に近い要素を残していた他の「青の水晶」メンバーに比べ変化が著しいものの、漫画版における冒険者の世界はどこか後ろ暗い部分のあるはみ出し者の巣窟であるため、原作ラスのような美ショタよりもむしろこちらの方が自然だという意見もある。
主人公側に女顔の美形が置かれがちな「なろう系」作品においては異質な存在だが、レインに通じる善性の滲み出た言動から独特の愛嬌を感じ取る者もいる。
実はなろう掲載版においては「黒髪の少年剣士」と書かれているため、原作からはかけ離れているが原作の原作の要素を部分的に再現しているという非常にややこしい存在である。
後に初めての友達であるレイン達への想いからトレーニングを行い、急ごしらえだがある程度実戦で戦える戦闘スタイルを確立した。
その際に編み出した技は、カウンター系の打撃技「触雷」。ついに剣士ですらなくなってしまった。
バーナード・ゾラ
「お節介で悪いな、レイン。ただ放っておけなくてよ」
ギルド「青の水晶」の序列一位だった魔法使い。大柄な体格の中年男性。
豪放磊落で面倒見のいい好人物。レインの初陣となったドラゴン退治のクエストに同行し、実力を目の当たりにしたことで彼に快くギルドのエースの座を渡した。
以降もレインに次ぐ「青の水晶」の筆頭格として活躍しており、彼の成長を楽しみに見守っている。
原作においては貴重な味方側の男性キャラなのだが、漫画版では現在のところ未登場。
レインを支える先輩冒険者のポジションはリリィに譲った形になる。
ちなみに漫画版のエルシーは彼と同じ「ゾラ」姓となっている。
ギルド「王獣の牙」
バリオス
「あり得ない……くそっ、全部……全部、レインのせいだ……全部……全部……全部ぅっ……!」
「王獣の牙」のギルドマスター。十分な装備品を揃え、用無しになったと判断したレインを追放したところ、それまでに付与した強化ポイントを全て解除されるというとんでもない報復を受けてしまう。
もとより装備品の充実度がギルドの売りのひとつだったということもあり名声はあっという間に地に落ち、
さらにこんな事態を引き起こしたレインへの逆恨みから彼の暗殺を企てた結果失敗して投獄され、
挙句の果てにはハニートラップに引っかかって権利書を手放してしまい、ギルドを売りに出されてしまう……とひたすらに転落人生を辿っていく。
「よっしゃそれじゃウチも一人! 追放するかあ!!」
「くそっ…まさかあのバカ1人追放しただけでこんなことになるなんて〜!」
「最近流行ってるから」という理由で安易にレインを追放したところ彼にポイントを回収され以下同文。
一人で暴走してドツボにハマっていく原作に比べると、よく言えば冷静で穏健な、悪く言えば弱腰で日和見主義な性格。
レインに対する逆恨みの感情はあまり見せず、ギルドの立て直しを最優先に行動しており、
レインの拉致計画を主導していたグレンダの失踪後には彼に頭を下げて戻ってきてもらおうとする姿勢も見せた。
しかし血気盛んで面子にこだわる冒険者達からはそんな優柔不断ぶりに愛想を尽かされ、結局は原作同様ギルドメンバーの大量離脱という事態に見舞われることとなってしまった。
追放したくなる程レインの人格に問題があることを知っている読者としてはちょっと気の毒な気がしないでもない。
レインたちがガドレーザでの冒険を終えて帰ってきた後、バリオスは自ら「青の水晶」へと赴きレインに謝罪。
「王獣の牙」の窮状を打ち明け、「基本給90万、強化付与1件につき金貨1枚」という好待遇を約束して彼に戻ってくるよう懇願する。
しかしそれを直接断られ、さらに稀に見る強引さのタイトル回収彼が「青の水晶」の仲間に受け入れられて楽しくやっている姿を目の当たりにし、
なんと潔く壊滅状態の「王獣の牙」を解散してやり直すことを決意。
レインともお互いに和解し、笑顔で去っていった。
きっかけこそ大いに問題ではあったものの、レインを追放しようと思った根本的な理由に関しては「奇行が度を越してウザかったから」というリリィやマーガレットや読者目線からしても割と納得のいくものであった。
また、解散を決意するまでは「再建のためなら命を捨てたっていい」と語るなど「王獣の牙」の運営に関しては熱意を持って真剣にやっていた様子。
さらにちょっとした誤解から再び仲間に心を閉ざしそうになっていたマーガレットに対しては、別れ際に自分なりのアドバイスとエールを送っている。
徹底的に無能で我欲しか頭にない俗物として描かれていた原作に比べ、流されやすさという大きな欠点はあれど割と真っ当な人物になっており、
末路もギルドの解散という点は同じながら前向きにやり直すという爽やかな形で落ち着いた。
ある意味一番コミカライズの恩恵を受けている人物と言えるかもしれない。
その後は自由気ままな暮らしを目指してなんと単身アメリカンドッグのキッチンカーを開業。お前がセカンドライフを謳歌するのか……
謝罪の一件以来マーガレットとは縁ができ、毒舌な彼女に何かと皮肉を言われたりからかわれたりしながらも、誤解から「青の水晶」への移籍を諦めかけていた彼女のことを気にかけてやっていた。
どんぐりの散歩からの帰り道、マーガレットは何者かに襲われ激しく炎上するキッチンカーと、その側に深手を追って倒れ込んでいるバリオスを目撃する。
慌てて駆けつけるマーガレットに、バリオスは「通りすがりの若者が助けを呼んでくれた」と言って安心させつつも、彼女になお「『青の水晶』に入れ」と訴え続けた。
これにはさすがに根負けして「青の水晶」に入ることを決め、「入るの見届けてくださいね!」と要求するマーガレットだったが、バリオスは「どうもそこまではできそうにない」と答える。
バリオスは致命傷を負っており、自分がもう助からないことに気付いていた。
人生の最期、彼は死にたくないともがくこともせず、マーガレットが自分のために復讐に走ることもよしとせず、ただマーガレットが後悔しないよう背中を押すことに残り短い命を捧げたのだった。
ちなみに原作のバリオスは散々な転落人生を歩むことになりながらも一応まだ死んではいない。
あまりにも衝撃的な彼の死を読者は悼みつつ、やっぱりこれも全部原作にないエピソードだったという事実に戦慄するしかないのであった。
グレンダ
「あいつに頭を下げてでも、今の状況をなんとかしてもらわないと──」
「王獣の牙」の副ギルドマスターの1人である中年女剣士。曰く「強気すぎるほど強気な女」らしい。
バリオスよりはいくらか状況を冷静に見ており、暴走を重ねる彼を見限ってレインに頭を下げにいくものの、結局彼からは拒絶されてしまう。
その後は他の副ギルドマスター達共々自ら野に下って再就職を図っているが、「王獣の牙」が汚名まみれになってしまったためにうまくいかず、3人揃って路頭に迷いかかるほど落ちぶれてしまった。
「さあじゃねえだろ お優しいギルドマスターは本当はお怒りだぞ」
原作同様「王獣の牙」の副ギルドマスター。冒険者達をアゴで使う女傑。
コーネリアスが一般ギルドメンバーに格下げされており、ゲイルに至っては存在すら消されているため、実質バリオスの側近のようなポジションになっている。
装備の弱体化が発覚してからはレインへの報復も兼ね、彼を拉致して強制的にギルドの装備を再強化させようとしていたが、
密かに彼の暗殺を企てていたコーネリアスの差し金でミラベルに殺害されてしまった。
その際居合わせていたマーガレットの言から察するに冒険者としての実力は高かった様子。
はっきりとした描写は少ないが、早々にバリオスに見切りをつけ保身に走った原作とは対照的に最後までギルドの面子を保つために行動しており、バリオスの側も彼女の失踪後は「あのグレンダもどっか行っちまったからなぁ」と不安げな反応を見せている。
弱腰なバリオスにとってはトップとして信頼の置ける相手だったのかもしれない。
……どころか「半分」を筆頭とした半グレの面々の実力と悪漢ぶりが明らかになっていく中、彼らを「いちギルドの精鋭」の範疇で抑えられていたグレンダの株は死後も天井知らずで上がり続けていたりする。
コーネリアス
「急にみんながここを離れるって、おかしいだろ、おい!」
「王獣の牙」副ギルドマスターの1人である野生的な風貌の男。だいたいグレンダ・ゲイルと一纏めの扱いを受けている。
「それよりレインとリリィを殺さなきゃいけねぇ そうしないと俺はこの業界でなめられたままなんだよ…!!」
「お前らの飼ってるペットも全員 犯してやるからな!」
「じゃあレインがお前とこれから仲良くしてくれると思うのか!?ウィークエンドに一緒にボウリングする友人になってくれると思うのか!?」
原作とは違い副ギルドマスターではなく「王獣の牙」の(恐らく)いち構成員。とはいえ「コーネリアス隊は3本の指に入る」と称されているので隊長格ではある様子。
原作におけるバリオスの役割を一部兼ねているため、大幅に出番が増えている。
他ギルドの冒険者を平然といたぶり殺すなど、粗暴で残忍な性格の持ち主。リリィに危害を加えるような素振りを見せたこともあり、レインからは面と向かって「うんこ」呼ばわりされている。
まごう事なき外道の類なのだが、妙に口が達者だったり負けて犬のようにワンワン吠えたりリリィから「クソみたいな特殊性癖」を持っている疑惑をかけられたりとこの漫画のキャラらしくコミカルな面を見せることも多々ある。
レインとリリィには一度敗走させられて以来恨みを持っており、ギルドの方針に反して2人の暗殺をミラベルに依頼するも失敗。
さらに燐光竜との戦闘中に遺跡の崩落に巻き込まれて身動きが取れなくなってしまうも、危ないところでミラベルに救出された。
その後、ミラベルにグレンダを殺させたことを話して回ったために「半分」たちに命を狙われて捕まえられた。
ミラベルが半グレに潜入してきた際には、「グレンダを殺したのはミラベル」を半分が知らない事を活用しつつ立ち回ろうと目論むも悉く裏目に出てしまい立場が危うくなる。
最終的にコーネリアスよりもミラベルを信用した半分により拳銃で射殺される最期を迎えることとなる。
ゲイル
「ふむ。一つ、我らで先回りしてレインに知らせに行くか。恩を売るのだ」
「王獣の牙」の副ギルドマスターの1人である老僧侶。
僧侶のくせに神に悪態をついたりする生臭坊主。
グレンダ・コーネリアスとは概ね一纏めの扱いを受けている。
漫画版では今のところ未登場。
半グレ
半分
「だから俺も同じようにしてる 孤独な奴の手は俺が取る」
元「王獣の牙」所属の冒険者。漫画版オリジナルキャラクター。
逆立った金髪が特徴的な若い男。
グレンダを親のように慕っており、彼女の存命時から実力はとっくに超えていたが、親の顔を立てたかったのか部下のままでい続けていた。
本名は不明。「俺の半分はグレンダでできている」と口癖のように言っていたために皆から『半分』と呼ばれていた。
かつて孤独だったところをグレンダに救われた過去があるらしく、恩義や信頼を重んじる一面を持っており、半グレの仲間たちとの結束力は強い。
冒険者としての力量も非常に高く、コーネリアスをして(なんだよこのバカでけえ魔力は…!?)と言わしめるほど。
グレンダ行方不明後に消極的になるバリオスに見切りを付けて仲間と共にギルドを脱退。そのまま「半グレ」を結成した。
ギルド「星帝(皇帝)の盾」
「皇帝の盾」ギルドマスター
「マーガレット! ギルドマスターと呼べと いつも言ってるだろう!」
「エルシーお前経営向いてねえよ 冒険者としては一流なんだから素直に冒険者に戻ればいいんだよ」
大規模ギルド「皇帝の盾」のCEOギルドマスターでマーガレットの上司。漫画版オリジナルキャラクター。
ツーブロックにワイシャツといかにも日本のベンチャー企業の管理職のような風体をしている。
日本人みたいな名前の死んだ目をした多数の冒険者を従えており、ブラック企業のような運営をする等「青の水晶」とは対極の関係。
旧知の仲であるエルシーには5億円を貸しており、残り3ヶ月のうちに返済できなければ「青の水晶」を解散して冒険者に戻り「皇帝の盾」に入るという約束をさせている。
悪役じみた登場の仕方ではあったが、後の話で金を貸した時エルシーは「青の水晶」を解散するつもりであったこと、無利子無利息でその場で五億を貸していたこと、言動があまりにも恋する童貞なことなどが分かり株が上がってきている。
かつては自らも冒険に行っていたようだが現在はパチンコや電子タバコを平気で嗜み完全に冒険者からは降りた状態。エルシー曰く「向いてなかった」らしい。
「暗殺者ギルド」
ママ/暗殺の母
「きっちり標的を殺して帰ってくるミラベル… ママはそんなミラベルが大好きさ…」
「『あたしが殺します』だ!! 『あたしも』じゃあないっ!!」
漫画版オリジナルキャラクター。初登場はコミックス3巻のミラベルの回想から。
「暗殺します」「人殺しの里」「TAXFREE免税」といった看板を堂々と掲げ「暗殺者ギルド」を運営する女性。身内からは「ママ」、それ以外の人物からは「暗殺の母」と呼ばれている。本名は「房枝」と名前だけ判明している。
コーネリアスからのレイン暗殺の依頼を受けてミラベルを派遣した。
「ママ」と名乗るが作中でも自分の「子供」を殺したり追い出したりしているため、実の親ではないだろう。むしろそうであった方が怖い
自称「X級暗殺熟女戦士」。昭和のマンガから出てきたような、日本人の主婦みたいな恰好をしたパンチパーマの中年おばさんで会話時のテンションが高い。誰得なパンモロもあるぞ
外見や言動はいつもの一発ネタキャラのそれそのものだが、同時に妙にリアルな毒親臭を漂わせる不穏な面も……。
常にハイテンションで喋る喧しいババァと見せかけ、その本性はプライドが高く損得勘定で動く狡猾な女。
エルシーとは過去に交戦歴があったのか「戦ったら面倒な相手」として一目を置いており、レインが彼女の名を出した途端に冷静になり、『エルシーとの交戦の報酬がミラベル一人では割に合わない』とミラベルをあっさりと捨てた。
「私が殺します」看板もギャグ描写かと思いきや「殺しのビジネスを独占し、同業者は容赦なく叩き潰す」という警告も兼ねた恐ろしい意味を持つ物であり、半グレが暗殺業を始めたと聞いた際には激しく激怒して人力装甲車「サックマイファッキンディックメリークリスマス号」でアジトに突っ込んだ。
実力面も作中では最上位クラス。
服に強化付与を施したレイン本人にダメージは与えられなかったもののパンチ一発で空の彼方まで吹き飛ばし、更に殴った反動も皆無(血は出たので多少の怪我はしたようだが翌日には完治していた)。
ミラベルに暗殺技能を仕込んだのも彼女であり、作中の描写からすると体技に関してはほぼミラベルの上位互換。
さらに現代的な服を着ていることから化学繊維の衣類の可能性があり、その場合は魔力もほぼ使っていないため真の実力は未だ未知数。
その上で国王には忠誠を誓っており暗殺稼業も王国軍に目を付けられないギリギリの部分で活動しているなど危機管理能力も高い。
「知性と暴力を兼ね備えた突き抜けた悪役」としての人気が出始め、パワーワードだらけの暴言もあってある意味本作を象徴する名キャラクターとなった。
長らく固有能力らしい能力を見せておらず、単なるパンチや回避行動に「ウルトラライトニングサンダー」だの「エマージェンシーウルトラライトニングバック」だのやたら長くてダサいカタカナの名前を付けているくらいだったが、作中最強格の保持者との戦いで遂に奥の手として披露。
その能力は「忍術」という本当に魔法なのかも疑わしいものであった。
使用時には指で印を切る必要があるが、連続して切ることで術の重ね掛けも可能。
術の種類も多様な上、誓約が印を切るくらいな割にどれも汎用性が高い上に性能も強く、異質ながらかなりのチート能力であった。
しかしこれでも保有者戦の当初は全盛期には遠く及ばないほど衰えてしまっていることが指摘されている。逆に言うと衰えている状態で半グレの一部やミラベルを圧倒できるほど強かったのである。
「隠遁の術」とも。暗殺の母は自称「本邦最高峰の使い手」らしい。
呼吸や心音などの全ての気配を消すことができ、存在感を極限まで消すことができる。
どうやら印を綺麗に結べるか否かで効力が変わってくるらしく、完全に気配を消せた場合は印を解除して背後を取ったとしても気取られないレベル。
正に暗殺の母の名に相応しい奥の手である。
印を切ることで身体を硬質化できる。
その効果は保持者の恐らくは作中最強クラスの攻撃を食らってもある程度までは耐えきることができるほどで、保持者も驚嘆している。
さらに暗殺の母はこの極限の戦いで人生史上最強状態に到達したことで、印すら結ばずに術を使用することが可能となった。
周辺にいる対象人物と自分の位置を入れ替えることができる。
特に人数指定などはないらしく、暗殺の母は息子のミラのりとミラきちの2人を交戦中に助けもせずに物陰から見ていたことへの罰として敵の攻撃の対象として入れ替えて犠牲にした。
レインに出会った際彼に向けて放った台詞が偶然時事ネタの風刺ネタと取れるような内容になってしまったため、単行本収録時にその台詞の大半が差し替えられるという憂き目に遭った人物。
その際、業務用餅氏がその差し替えに関する長めの説明文を掲載したが、この説明文はコミカライズ版の製作背景に切り込んだ無駄に読み応えのあるものとなっており、最後は「原作から離れていく一方のコミカライズ版を今後ともよろしくお願いします」(要約)とあまり見ないタイプの挨拶で締められた。
なお、謝罪文のページには差し替え前のコマがデカデカと貼り付けられているほか、差し替え後のセリフは全方位に皮肉を浴びせるような、差し替え前よりむしろ過激に見えなくもないものになっていたりする。
重ね重ね言っておくがコミカライズ版の製作背景からして偶然重なってしまっただけである。業務用餅氏に風刺の意図は無かったことは確実であり、その点は認識しておこう。
暗殺兄弟
暗殺の母が面倒を見て育てている子供暗殺者。ミラベルにとっては弟のような存在。
全員が元孤児であるらしく血の繋がりはない。
暗殺の曾祖母曰く「房枝がどっかで拾って適当に世話してたガキ共」。
悪い言い方だが
孤児の寄せ集めであるため、頻繁に人数が上下する。半グレ討伐戦時には一気に93人も増やされ
暗殺の母を含めて100人体制になったことも。
なお所属する全員が
「ミラ+何某」という規則で命名されており、名前が判明しているメンバーは
ミラタロウ、ミラキチ、ミラスケ、ミラノリ、ミラゾウ、ミラジロウの6人。
なお、後期加入の93人の名前は軒並み
「ミラあ」「ミラい」「ミラう」「ミラララララララララ」といった具合で
明からさまにネーミングにやる気がなく、使い捨てる気満々であった(そして実際全員自爆特攻等で雑に使い捨てられた)。
名前は大体一緒くたに呼ばれるため、顔と名前が合致する兄弟の数が少ない。
以下、判別がつく兄弟を紹介する。
- ミラタロウ…赤系のモヒカンで右目下に涙型のタトゥーを入れた少年。論文を査読に通るレベルで書ける。なので暗殺の母を模した操縦式ロボットも量産できる。
「なに言うてんねんこのハナタレ!査読形式の論文とロボ制作能力は別モンやろ!」
- ミラノリ…金髪ドレッドヘアを垂らした少年。保持者戦を黙って観ていた「罰」として変わり身の術の対象とされてしまい死亡。
- ミラキチ…色黒で後ろに撫でつけた長い金髪の少年。保持者戦を黙って観ていた「罰」として変わり身の術の対象とされてしまい死亡。
何故か市井にもその存在は広く認知されており、一般市民からは裏社会の人間として恐れられている。
あれだけ堂々と広告を打っていたら知っていて当然かもしれないが。
「暗殺兄弟」という呼ばれ方からして「
チャウシェスクの子どもたち」たちみたいな扱いなのかもしれない。
生育環境がアレなだけに全員非常にガラが悪く、言葉も乱暴。正にチビッ子半グレといった感じ。
反面、家族仲の良さは本物であり、特に家から抜け出したミラベルを今も慕っているなど情も深い。
殺伐とした会話も彼らなりのコミュニケーションの一環であり、総じてあの母親に育てられたとは思えぬ程に根は素朴で善良。
忍者一族
暗殺の曾祖母
漫画版オリジナルキャラクター。久野市子第36世で、暗殺の母の祖母にあたる人物。
そのため彼女が「暗殺の母」と名乗るようになってからは暗殺の曾祖母と呼ばれるようになった。誰目線の話なん!?なあ!?
かなり老いさらばえているがミラタロウの作ったロボットによる攻撃をもろに喰らってもなお全くこたえた様子がないあたり、今なお相応の実力を持つと思われる。
なお性格的には最も暗殺の母に似ている。
暗殺の祖母
「やめてえなぁお母ちゃん あんな子でも小さい時は可愛かったンやからァ!!」
「あたしなんて『暗殺の祖母』やでお母ちゃん! 誰目線の話なん!?なあ!?」
漫画版オリジナルキャラクター。暗殺の母の実母。直接言及はされていないが、彼女の母に当たる暗殺の曾祖母が久野市子36世、娘である暗殺の美人叔母が38世なので恐らく彼女が久野市子37世であると思われる。
他ふたりとは違い一応実子である暗殺の母への情はあるらしい。
暗殺の曾祖母や暗殺の母とは異なり比較的穏やかな性格をしている。
暗殺の美人叔母
漫画版オリジナルキャラクター。暗殺の母の実妹。久野市子38世。昭和のオバハンを体現したような存在である姉に対し、小奇麗なマダムといった感じの風貌をしている。また、暗殺の母を落ちこぼれ呼ばわりしているため作中でもトップクラスの実力者である可能性が高い。
なお性格に関してはどちらかと言えば暗殺の祖母よりである。
実姉である暗殺の母には全く情がないらしく、彼女の死を「ウチの方が優秀やし死んでもええやんあんな女」と一刀両断。その遺産しか眼中にない。
どうやら既に子供がいるらしい。
ゼルージュ王国
ゼルージュ国王
「冒険者の命がけの働きでゼルージュは繫栄しておる…冒険者への寛容は今後も変わらぬ」
レインたちが住む国の王。見た目は壮年の男性で、服装は冒険者たちのそれに近い。
ただし顔の一部しか映らなかったり、影で覆われていたりと半グレ編では容姿が完全に映ることはなかった。
作中の言及によると儀式や演説を毎日何時間もしているようで、魔法的な権威を有していることがうかがえる。
専制君主としての権力は非常に強大。「暗殺の母」や「半グレ」のような作中最強格の「ならずもの」も、あくまで王政から見逃されて活動できているだけに過ぎないという背景があるほど。
「半グレ」集団が冒険者活動を止め、自国内で暴れている事に対しては過去の功績(と対処した時の損害の大きさ)もあって静観していた。
だが、連中が自身への忠誠心に欠けた発言をすると激怒し、反逆者として討伐するよう国中に命令を出す。
また国家存亡に関わるレインの扱いについても、冷徹に利害を計算した上で半グレ討伐の餌に使ったり、王宮から一生出さない判断も辞さないなど、国を背負う者として時に非情な判断を下すこともある。
しかし、冒険者の未来の為に命を賭けてまで奔走する大臣の動きを見てレインを開放したりと、決して情がないワケではない清濁併せ呑む大人物として描写されている。
エリカ
「私は監視対象のお前らと友達になりたいわけじゃない 馴れ馴れしくする必要などないっ!」
「な なんだそのおもんないボケは…」
「お前は!今!どう考えても!!邪魔っ…!!!」
漫画版オリジナルキャラクター。初登場は第27話、コミックス7巻から。
よく鼻筋の作画が省略されるような淡泊気味な顔立ちの猫目の女性。
レインたちが活動の主な拠点としている冒険者の国ゼルージュ王国の軍で若くして隊長を務める。
王国へ虚偽のギルド活動報告をしたエルシーを捕らえるために国王軍を率いて登場。以降捜査のためとして「青の水晶」のメンバー(主にレイン担当)の監視と保護をする形でレギュラー入りする。
服装は武骨なプレートアーマーとフルフェイスの国王軍標準装備に近く体つきが見えにくいが、よく見ると女性用の専用鎧を装備しておりまた隊長ということか兜は顔を見えるようにしている。
装備する武器は剣だがレインらの監視と保護だけが目的のためいまだ直接的な戦闘は無い。ただし他の隊長は半グレらと戦えるレベルであるため同等程度の力は有していると思われる。あと実はかなりロリ巨乳体形である。
鎧を脱いだ髪型は頭頂とサイドが寝ぐせのように跳ねた形容し難いボブカット。
国王が圧倒的な権力を持っているゼルージュ王国では国王軍も冒険者や暗殺の母すら逆らえない存在であり、そこの隊長というだけあってか非常に真面目でシュールギャグ含めふざけることをほぼしないこの漫画では珍しい100%常識人。
そのためレインの数々のふざけた態度を許せず怒りながらツッコミを入れることが多い。
というか今やリリィ達が時に無視したり脳内で呆れたり一緒にボケ倒すことも多くなったレインのボケをほぼ全て即座に拾い切り、一緒にふざける犬のどんぐりにすら全力でつっこむ作中最強のツッコミ師としての地位を確固たるものにしている。
もっとも堅物だが情を理解しないわけではなく、レインの懇願に根負けしてどんぐりの散歩に付き合ったり、任務優先のため一般人をリンチする半グレを見過ごそうとするもそれを介入するレインを止めなかったり(そしてレインを守るという任務のために半グレを止めることになる)、問題が起きそうな時はそれとなく忠告をしたりと一定の距離を置きつつも優しい面が見え隠れしている。
部外者である来来軒次郎やフラックにもそれとなく忠告したり、相談に乗ったりするなどぶっきらぼうに見えて面倒見もかなり良い。
レインら冒険者がゼルージュ王国で特権を持ち行動を尊重されていることを差し引いてもかなり融通が利く好人物と言えるだろう。
半グレとの抗争が終結した後も“英雄”であるレインお付きの護衛を表向きの理由として「青の水晶」と行動を共にしている。
態度はやや軟化しており、鎧を脱いで青の水晶と海での休暇を楽しんだり、レインのボケに笑いを噛み殺すなどかなり打ち解けている。
最も貴重な常識人枠であることに変わりはなく、放っておくとボケ通しまくる青の水晶の狂気と混沌に必要不可欠なツッコミ役兼ストッパー係として欠かせない存在になっている。
保持者
「お主ら卑しき者どもはわらわの力を見ることしかできずあらがうことも真似ることもできぬのにどうしてかいつも思想や倫理は見通せると思うておる──」
「愚かなことじゃ」
ゼルージュ王国所属の冒険者の女性。
「別格冒険者」の別称通りの存在で、見るからに威圧的なオーラを放っており、国王の演説の際には傍に侍るなど地位も高い。
一人称は「わらわ」で語尾に「~じゃ」をつけるような古風な言葉遣いで喋るなど、明らかに他とは一線を画す雰囲気を放つ。
外見はウルフヘアの美女だが目深に被ったローブもあって表情を確認することは難しい。
またローブの下の格好はほとんど下着と言っても過言ではない痴女スタイルである。
かなりの特権を持つ冒険者の中でもさらに自由裁量が認められているらしく、劇中でも半グレ討伐中にふいに現れたかと思えば、討伐対象を無言で一捻りして生死判別すらせずにまた去っていくというように気まぐれな行動が目立つ。
冒険者の中でも上澄みの筈の半グレメンバーすら虫を潰すかの如く蹴散らすなど、その戦闘能力は規格外。ただしその力には「一日一殺」の縛りがあるらしく、より強い相手との戦いを求めて彷徨っている。
あまりの強さと行動の読めなさから、国王軍ですら無礼があれば殺されてもおかしくないと言う程に恐れ敬われている。
エリカ曰く「あれはただの人間ではない」。
実際、国王からお目こぼしを受けている暗殺の母ですら自己判断で討伐対象として粛清に及ぼうとする辺り、完全に自分の中の世界に浸って動いている。
一応これでもゼルージュ国王に対する忠誠心はかなり強い。暗殺の母に関しては「陛下の治世の汚点」と見做しており、無断抹殺も彼女なりの諫言の一環らしく、涙を流しながらその理を語っている。さらに事後承諾で国王の不興を買うことがあれば、自らの命を投げ出すことも厭わないなど、その忠誠心は半ば狂信の域に達している。
漫画版オリジナルキャラクターでも屈指の人気を誇る暗殺の母の殺害を目論みだしたため、読者の間では「ぽっと出の原作キャラ」という何もかもが歪んだ呼称で呼ばれることも。
「暗殺の母 お前っ おっ おまえ 強いんだなあ!?」
「だから今私が興奮してるのもわかるだろ!全力を出せるって幸せだなあ!」ハアハアハア
「がんばれ!がんばれがんばれがんばれがんばれがんばれ!がんばれがんばれがんばれ」
明らかに出る作品を間違えているかのような設定の彼女だが、一皮剥けばチー付与(漫画版)の世界観にマッチしたテンション高い痴女だった。
その本性は強者との戦いを好む戦闘狂であり、絶対的な戦闘能力を持つ自分と対等に渡り合える相手が現れれば古風なキャラ付けを完全に捨てて発情し始める。
能力は「波」。
主に両手を媒体に地面に波を立てることで相手を攻撃する。
波は普通の魔術・魔法では出せない規格外のパワーを持っており、巻き込まれれば一瞬で体を引き千切られ、地盤の捻じれに呑まれようものならひとたまりもなく圧死する。
一応、波自体の動きはシンプルなため、波に乗ることで回避することも可能らしいが、保持者は両手で別個の種類の波を発生させているため対処が難しくなっている。
他にも応用技術として地面や手を波立てる形で運動エネルギーを相殺し、相手の回避・逃走行動や物理攻撃を無効化することも可能。
また「生命の波動」という言葉を発して死亡確認もしていることから、地面に埋まった相手の生死も能力を使って察知できるようだ。
総じてシンプルだがそれ故に強力で、なおかつ汎用性も高いチート能力である。
暗殺の母はその異常な出力から「手のひら限定で能力を発動できる」「一日一殺という縛りを源泉とした呪詛系魔術」と考察していたが……
「私は手だけじゃなく身体のどこからでも波を出せるんだ♡」
「だって全身で波出すと相手すぐ死ぬから!だから縛り作ってたんだ」
「両手だけル~~~~~~~ル!!!」
何と波は全身から発せられる。
常に身体全体に波を発しているようで、暗殺の母が死角から完全に気取られることなく頸動脈を斬りつけた際も、その衝撃を全て波に変換して無効化した。
一応、物理攻撃の類を完全に無効化できるわけではないらしく、暗殺の母の渾身のパンチを顔面に受けた際にはダメージが通っているが、すぐさまカウンターの波が暗殺の母の拳を伝って腕全体を崩壊させている。
能力の正体は「天の遺産」と呼ばれる強力なもの。
この能力は特に制約や制限なく強い力を行使することができるため、暗殺の母の「強い能力の代償として一日一殺の縛りを設けている」の考察も的外れであり、両手だけルールと同様に保持者自身が課したいつ破っても構わない自分ルールに過ぎない。
「保持者」とは単なる称号ではなく、この「天の遺産」を保持する者を指しているらしく、ゼルージュ王国には最低あと1人国王に直接仕える該当者がいる上、レインもその保持者である可能性が示唆されている。
「ぽっと出の原作キャラ」というあまりにもあんまりな名称で呼ばれる彼女だが、実のところ彼女が原作キャラかと言うとちょっと微妙な立ち位置にある。
というのも原作にも「天の遺産」の設定はあるし、その保持者も大勢いるのだが、その中でこの保持者と完全に一致する人物は存在しない。
一応、ディータと呼ばれる女性がその痴女ファッション特徴的な外見が完全に一致するため、彼女がその「原作キャラ」にあたるのだろうが、例によって豹変前後のどちらとも性格が全く異なる。
ただまあそれを言い出すと、そもそもレインもリリィもマーガレットもミラベルも全員別人ということになってしまうのだが……
また、ディータの「天の遺産」は「破壊」であるため、そこにも差異がある。
大臣
「冒険者は乱暴なくらいでないと未開をひらけぬ まだお分かりでないか!?」
「…私も気弱になっている場合ではないな 覚悟を決めるか…」
ハゲ頭で立派な口髭を生やした初老の男。
職務としては主に冒険者担当であり、冒険者の勧誘や面談も行っている。
エルシーとも顔見知りであり、半グレ討伐の際には裏でお互いに協力して事に当たっている。
冒険者は乱暴なくらいではないと務まらないという持論を持ち、半グレの存在も当初は許容していた。
しかし、色々ありながらも真っ直ぐ立ち上がるレインを「勇気ある若者」と称し、半ば幽閉状態だった彼を解放するために自らの命も賭けて動いてもいる。
そのため、本質は人間の善性を尊びそれを守るために自分を犠牲にすることも厭わない善人にして忠臣である。
国の繁栄の為ならば清濁併せ呑む部分もあれど、受け入れた冒険者に対して最後まで責任を持つ姿勢に感化されて冒険者となることを了承する者もいる。
ラツメ
大臣の側近。
非常にガタイが良く、黒髪をヘアバンドでまとめた眼鏡の女性。
大臣の「冒険者は乱暴者や素行不良者でなければつとまらない」という信条にも賛同しており、常に彼の意向を汲んで動いている。
強さは不明だが有事の際は戦闘も出来る模様。
国王軍隊長
「仲間にも自分にも楽な死に方をさせてやったらどうだ」
国王軍に所属している壮年の男性。細いカイゼル髭が特徴的。
半グレの各拠点を急襲して殲滅させているが、その代償として兵士側に23人の死傷者を出してしまっている。
そのため、急襲時のセリフとは裏腹に半グレのことは要警戒していたが、エンディら上位層と相対した時には、コージの能力の術中に嵌って取り逃がしてしまった。
強化付与魔術の先生たち
「確かに人というものは…不可能に挑戦してこそだ…レインくんぜひ君の治療やらせてくれ!」
レインの規格外の強化付与魔術を調べるために集められたゼルージュ王国中の魔法学者たち。
レインの身柄が半グレに狙われている際に要塞に呼び出された学者達で、レインが魔科両立の反動で付与魔術を使えなくなっても冷静にその回復を目標に切り替えるなど、全員親身になって寄り添ってくれている。
そのうちの一人は眼鏡にそばかすでダウナー気味という
どこぞの漫画家の性癖の塊のような妙齢の女性。
常に気だるげだが、真面目な話をしている最中にレインが執拗に挟み込んでくる小ボケにいちいち反応して突っ込んで面白がったり、逆にボケたりとかなりノリが良い。
なお、パーティーピーポーというのはあくまでレインが付けた勝手な設定に過ぎず、眼鏡の先生も否定していたが、後日本当に先生たち全員が屋上で酒を飲んで夜通しどんちゃん騒ぎしていることが発覚した。
ゼルージュ王国王子とその側近
全員漫画版オリジナルキャラクター。
ゼルージュ国王の子供達で、それぞれ政治家や討伐隊長などの立場から王国の為に尽くしている。
王位継承を巡ってか一部王子の間では諍いもあるらしい。
なお本編前に第四王子は病没している。
ハーキーン
「先ほど下女を怖がらせた 父上によく言われたものだ 王は思慮深くあるべきだ──王の振る舞いを身につけろと──と」
第一王子。
常に不遜な笑みを浮かべる褐色で黒髪のオールバックのイケメン。隻眼なのか、左目は常に白目を剥いている。
頻繁にモンスターの討伐や旅に出向く他の王子と比べて政治家向きの資質を持っており、常に父王の側に控えて大臣らとも討議を行っている。
性格は自身が王になることを疑わぬ傲岸不遜さを持ち、また内に残忍さを秘めた冷血漢。
下女や大臣に対しても、ちょっとした粗相や失言で本人やその関係者の命を奪うことを示唆する冷酷な言葉を投げかけている。
だが、その一方で自身の残忍な性質を「思慮に欠ける」と省みて律する側面も持つ複雑な男。
実際、その露悪趣味は身内には知れ渡っており、頻繁に注意されてはその都度素直に謝罪もしている。
(あなたがそうならばおれもおれの思うままに振る舞おう)
これら全ては父親であるゼルージュ国王に認められたいという一心で努力してきたもの。
父王のことは本気で愛していたからこそ、彼から再三注意されてきた元来の残忍な性質を「至らぬ部分」として矯正しつつ、よい王になろうと試みてきたのだ。
しかし、父王が死の間際に彼に告げた王位継承者は第二王子のドゥーラだった。
その事実に一度は激昂しながらも、父王が息を引き取るまでは平静さを保っていたハーキーンだったが、崩御後は態度を一変。
これまで必死で律してきた自分は死んだとして、自身が王位を継承するため残忍さを露わにする。
ブカー
「覚悟を決めろ!あの女を殺せば俺たち全員がハーキーン王のもとで領主様だ!」
ハーキーンの部下。名前が適当すぎる
ツーブロックの辮髪めいた髪型で立派な顎ヒゲを蓄えた強面の男。
ハーキーンの命令であれば大臣の暗殺すら躊躇しない。
その忠誠心は強く、例え命令が無くとも現場の判断で他の王子の暗殺を決行するほど。
詳細は不明だが対象の頭上に無数の短剣を出現させて飛ばす能力を持つ。
短剣は屋内においても気が付いた瞬間には頭上に出現しているため、無から湧き出るものと思われる。
攻撃時に現場からある程度離れており、対象を目視していない状態でも問題なく行使できる辺り、暗殺に持ってこいの能力。
しかも並の障害物であれば破壊して標的を貫通するレベルに力も強い。
ドゥーラ
「余はこの人生を王国に捧げたからの 死ぬまで王国に奉仕するのじゃ」
「余の身体も時間もぜんぶ王国のものじゃがの髪だけは余のため余の好きにしておる」
「余は首を刎ねられるかもしれぬがそれでかまわぬ 王国が良いなら…それでかまわぬではないか」
第二王子。女性。
二段エアインテークで地面に付くほどに長く美しい金髪が特徴。
この髪を伸ばすことを唯一の愉しみと称しており、普段は休みもロクに取らないままモンスター討伐に赴くワーカホリックさである。
むしろ「余の身体も時間も王国のため」と称するように過剰なまでに自己犠牲的。
性格は明朗快活。冒険者や領民にも気楽に接しており、古風な喋り方に反して親しみやすい人柄を持つ。
何故女性なのに王子と呼ばれているかについては、第一王子ハーキーンが、彼女が「第一王女」と自分と同格のように呼ばれるのを渋ったからとされる。
マヨイ
「ドゥーラ様はいままでずっと王国のために生きてこられたではありませんか」
「ですから今だけは!ご自身のためは髪だけなどという──そのような生き方はおやめになってください!!!」
ドゥーラの側近。褐色肌の色々とデカイ女性。
こちらも無造作に跳ねた黒髪を地面に垂らさんばかりに伸ばした長髪の持ち主。
お付きの者としては、ドゥーラの長すぎる髪を地面に付かないよう常に持ちながら行動している。
ドゥーラのワーカホリックさを心配して頻繁に休むように諫言するなど、彼女の自己犠牲精神を心配する忠臣。
テール
「一個上の兄が死んでね それで旅に出たのだ 人生が何か知りたいと思ってね」
「面白い話ではないが知っておいた方がいい話はある…」
第五王子。
オールバックの金髪でダリ髭を生やした半目の物静かそうな男。
エルシーとは以前から懇意にしており「青の水晶」が半グレに付け狙われるようになった際に隠れ家を提供したのも彼である。
特に野心も持たず王国においては補佐役を自認している上、人柄も非常に良いため他の兄弟との仲も良好。
普段はお供を連れて冒険者のように旅をしており、そこでも身分を隠して旅人達と気ままに話をすることを楽しみとしている。
その行動範囲や顔の広さから情報通でもあり「青の水晶」を尋ねた際には都市部に現れた竜族の話を伝えている。
ウラリス王国
フラック・ゼンナー
「いいさ レイン 名前は簡単には覚えられないよな」
「俺は昔からこの体だ 冒険者だったことはないさ」
漫画版オリジナルキャラクター。ウラリス王国一の刀剣研究者と称される、義足と眼帯をつけた黒髪の女性。男勝りな口調で話し、一人称は「俺」。
表向きはレインが持つ「燐光竜帝剣」の運用指南役として、実際は「燐光竜帝剣」とレインを監視下に置くためのお目付け役も兼ねて彼のもとへ派遣された。
一見した印象とはやや異なり、出会って間もないレイン達に話しかけられて快く会話に応じるなど気さくな人物。
一方、マーガレットは初対面の際から何かに気づいたような素振りを見せ、その後も何かと腹の底を探るような物言いをしていたが…
「すごいよね〜〜!! 360度どこからでもマウント取るもんね!? どこからでもマウント!全方位3次元対応最強マウント女! 一度謝らせてもまだまだ足りない無限謝罪要求欲張り女!イタダキ謝罪の億万長者!!暴走機関車被害者号!!!敵に些細な欠点あらば全力猛攻撃!重箱の隅ツツキ!揚げ足欠点汚点狙いのハゲタカバケモノ女!謝罪が好物の大怪獣ワガマママーガレット」
「お前の言う通り俺は冒険者のメリッサ・ジーラだった 冒険で失敗して大怪我して他人も死なせた… 俺の人生の… お… 汚点なんだ…」
その正体は以前から存在が示唆されていた以前マーガレットとパーティを共にして冒険に失敗したマルチナの姉であり、本名は「メリッサ・ジーラ」。
件の失敗の際には命こそ落とさなかったものの片足と片目を欠損するほどの怪我を負い、さらには仲間を死なせてしまったという事実に耐えられなかったらしく、名前・外見・口調といった「失敗した人間」としての過去を全て捨て、刀剣研究者としての第二の人生を送っているところだった。
「メリッサ」だった頃の彼女は「火炎凍結の女王」の二つ名を持つ高名な冒険者であり、同時に家名と実力を鼻にかけたとんでもないワガママ娘でもあった。
件の失敗の際にも会食に加わらなかったマーガレットの悪口を大声で言い散らかしたり、先に進むか引き返すかを決める際に口論になったことが失敗の発端になったらしかったりと、色々と問題の多い言動をしていた様子。
それもあってマーガレットとの相性は端的に言って最悪であり、彼女に正体を見抜かれた際には盛大なマウントの取り合いと悪口合戦の末に土下座してまで過去を触れ回らないでほしいと懇願することになってしまった。
マーガレットがかなり度を越したひねくれ者なのも事実なので、これに関しては一概にメリッサが悪いとも言いきれないが。
以降はレインを監視するというウラリス王国からの命令と外様の彼女を関わらせたくないゼルージュ王国側の思惑、そして弱みを握ったのをいいことに隙を見てはいびって遊ぼうとしてくるマーガレットの3者の板挟みにされるハメになる。
反面、現在のフラックはメリッサ時代の言動について深く反省しており、マーガレットにも当時のことを素直に謝罪している。マーガレットがしつこく掘り返そうとしたことには逆ギレもしているが。
監視役も兼ねた立場ではあるものの、(マーガレット含め)レイン達とは良好な関係を築いている。
得意とする魔法は「エネルギーの転換」。
メリッサ時代は「火炎凍結」の名の通り、「敵の運動エネルギーを熱エネルギーに変え、動きを封じると同時に燃え上がらせる」という形で行使していた。
だがそれはあくまで運用法のひとつにすぎず、ゼルージュ王国軍に半グレ討伐への協力を依頼された際には逆に「炎の熱・光エネルギーを運動エネルギーに変え、地形を隆起させる」という形で披露。
あくまでメリッサ・ジーラではない「フラック・ゼンナー」としてレイン達との協力をとりつけることに成功している。
ペロンチョ
「私にお任せください!この私が燐光竜帝剣を入手してみせましょう…!」ペロリンチョ
レインが持つ「燐光竜帝剣」をウラリス王国が手に入れる為の交渉の特使に立候補した男。
一人だけ明らかに画風がカートゥン調で浮いており、名前通り常に舌をペロリと出しては「ペロリンチョ」の擬音を発生させている。
レイン曰く「まるでコミックの悪役」のような風貌だが、実際に性格は狡猾かつ冷徹。
ウラリス王国出身の来来軒に接近し、断るようなら逮捕するという強権を振りかざしながら燐光竜帝剣をレインから盗むよう要請した。
エリカの見立てによると、ペロンチョのこの要請の肝は特権的存在である冒険者の剣を表向きは関係ない民間人の来来軒に盗ませることで国家間の争いを回避するもの。
結局来来軒はレインの剣を盗むことはなかったため失敗に終わったが、もし盗んでいた場合、来来軒は口封じのため半グレに殺されていたと言う。
ウラリス王国内でもこのペロンチョの行動はモラルに反したものと判断され、そのやり口を知った大使に叱責され更迭された。
市井の人々
レインの師匠
「まあ お前はそれ以外にも越えねばならん壁がある」
「今はわからんでもいつかわかる日がくる……いつかはな…そしていずれは…」
ローブ姿で杖を持ち、白く長い白髪と髭を蓄えたいかにも魔法使いといった面持ちの老人。
レインに強化付与魔術師としての全てを教えて引退しており、彼の本質についても何か見抜いていたようだが言葉を濁しているので詳細は不明。
常識人であり、何かにつけて犬の物真似を挟む奇行を取るレインに対してキレたりツッコミながら根気強く教えていた。
一応、師弟で軽口を叩き合ったりと仲は良好で、レインは今でも師の教えを守りながら支えにしている。
原作では特にレインの師匠は登場も言及もされていなかったが、コミカライズ版が連載されてしばらく経ってからなろう版の方で登場。
なんと女魔術師である。
レインが7歳の時に彼が住む町に派遣されてきた魔術師であり、付与魔術の素質があるレインに親身になって一通りのことを教えた。
レインが「王獣の牙」に入ったのも彼女の紹介によるものらしい。
エルシーの師匠/ナントカ
「いい根性だ 冒険者にならないか」
「俺が特別に不幸ってわけじゃない… こんなのありふれた…当たり前のことだよ……」
元熟練冒険者。逞しいヒゲ面の熊のような男。
エルシーの父親と懇意にしていたらしく、父親を亡くして浮浪児になっていたエルシーを引き取って冒険者として育て上げた。
エルシーがS級冒険者に昇級した頃にはドラゴンにやられて冒険者を引退してしまう。
それどころかドラゴン経由で感染症にかかり治療費で稼ぎの全てが消えた上に妻にも逃げられ、ホームレスに身をやつすほどに没落してしまっていた。
そんな師匠のような冒険者を出さない社会を作ることがエルシーの目標となった。
色々と物事をボカして話すため口癖は「ナントカ」だが、後にこれが本名だと判明した。
松川
「この指も…犬に食われてな…」
「悪い…悪さしてた時の癖で…ひどい冗談を言ってしまうんだ」
塩湖地方にある村『南の十字』の住人。
サイクロプス討伐のためやってきたレイン一行を迎えた人物。
腕に派手な刺青がある。
東京で散々イキがってた頃があるらしく、小指を自分で切り落としている。
今でもひどい冗談を言ってしまうのが癖だが、モンスター被害で家を失った友人一家6人を文句を言いながらも自宅に受け入れたり、レイン一向にも素直に感謝の言葉を口にしたりと根は優しい性格。
全てにおいて異世界漫画の登場人物とは思えない
来来軒次郎
「こっ…怖くなかったとしてもっ…そもそも…っ なんにもいえないんだよ私は~~~~~!!!」
「他の皆は断るってことができるんだよ!言いたいことが言えるんだよ!でもそんな皆でもあんたたち半グレになにも言えない!」
「怖いからだよ!あんたたちはそうやって人を黙らせてる おかしいだろそんなの!!」
ゼルージュ王国でラーメン屋「来来軒」を営む男。
店を営業しようとしてまいと常に黒い頭巾やエプロンを身に纏っている。
なお「来来軒」は屋号ではなく苗字。
非常に優柔不断な性格で流されやすく、勧められたら実は犬嫌いなことすら言い出せないまま犬と戯れてしまうほど。
奥さんにもその性格が原因で愛想を尽かされ、国に帰られてしまったらしい。
店を構える商店街で半グレ追放運動のリーダーを務めているが、これも誰もやりたがらない役目を断りきれなかっただけで、実際半グレを前にして萎縮してしまっている。
半グレから執拗に嫌がらせを受けていることもあって故郷のウラリス王国に帰ろうとしており、その護衛を半グレから彼を庇ったレインが引き受けることになる。
国に帰るにあたってレインの持つ「燐光竜帝剣」を巡る国家間の陰謀に巻き込まれかけたりと災難が続くが、それらの経験を経て精神的に成長。
迷惑行為を続ける半グレに直接相対して言いたいことを言う勇気を持つに至った。
最後に漢を見せたことで商店街の人達もこれまで役割を押し付けたことを謝罪しながら団結し爽やかに別れを告げた。
その後は「青の水晶」の尽力で半グレから守り抜かれウラリス王国へ無事帰国した。
来来軒チャーシュー
「レイン!めちゃくちゃバカ!ばーか!キャハハハハ!」
「が…がんばれ…」
次郎の一人娘。ランドセルを背負っていることから恐らく小学生。
一見クールで口を開けば憎まれ口を叩くような生意気さだが、その実は明るく優しい性格。
当初は護衛を務めるレインに対して壁を張っていたが、彼のおふざけ交じりの接し方で徐々に心を開いていくようになった。
父親の優柔不断さには失望しているが、それでも優しくていい人として尊敬している。
劇中では苗字と違って全く突っ込まれてないが、いくらラーメン屋の子供だからって娘の名前に「チャーシュー」ってどうなんだ……
モンスター
上級ドラゴン(燐光竜)
「ば、馬鹿な……お前の力は人間に許された領域を……こ、超えている……神や魔王の領域に……ぐうっ……」
竜王国ガドレーザの遺跡で伝説の
剣・「
燐光竜帝剣」を守っていた双頭のドラゴン。
単独で上級ドラゴンをも倒すと言われているリリィを
尻尾の一撃で容易く退ける力の持ち主だが、
レインが彼女の技を強化して習得した「虹帝斬竜閃」の一撃を受けてあっさり倒された。
「いでえ…いでえよお…」
「右のほうはころしていいからっ 左のおれはころさないでくれぇ〜っ」
原作では「上級ドラゴン」とだけ呼ばれていたが、こちらでは「燐光竜」という個体名で呼ばれている。
かつてガドレーザでマーガレットの姉を含めたリリィの仲間達を皆殺しにした因縁の相手。
仲間を守るべく単身挑んできたリリィを返り討ちにした上、
彼女の恐怖心を残して記憶を消し、その上で1人だけ生き残らせるという残酷な仕打ちをし、
リリィにトラウマを植え付けただけでなくマーガレットが誤解から復讐心に囚われる原因を作っていた。
S級冒険者であるリリィとその一行ですら一度はなすすべもなく全滅させられたほどの強敵であり、その強固な鱗には剣も歯が立たない。
序盤に倒されてしまったものの、
レイン追放前の全盛期の「王獣の牙」でさえ手出ししていなかったあたり、おそらくモンスターの範疇では
最強クラスの個体だったものと思われる。
しかし右の頭に比べて左の頭の成長が遅
く、頭も悪かったことから心臓の位置をリリィに見抜かれてしまい、
レインの剣を警戒して逃げようとするものの、動いた際に出来た鱗の隙間をリリィとマーガレットに狙われ、神経に達する深さまで剣を突き立てられて左右どちらの首も身動きが取れなくなってしまう。
それでも2人を実質
人質に取ることでレインを懐まで誘き寄せて尻尾で打ち据えるも、
それを読んでいたレインに強化付与した剣を心臓に投げつけられ、ついに倒された。
ちなみに左の頭は心臓を破壊されてもかろうじて息があり、リリィ達に泣き落としをかけつつ隠し持っていたウージー短機関銃で不意打ちをしようとしたが、
結局2人に見抜かれて失敗し、踏む・蹴るの暴行を受けて息絶えた。どこに隠しててどうやって撃つつもりだったんだ
ギャグ描写と思われていたが、後に明かされた魔力の設定からすると相当高度なことをやっている可能性がある。これも作者の掌の上なのだろうか。
ゴブリン
「ハァ ハァ ハァ」
「えっ」
「ああーっ!」
「あああー!」
「あ──!」
ガドレーザにいたゴブリン。
遺跡の崩落に巻き込まれ、逃走中のレインたちの方に走ってきたため、レインのナイフで「しね」されて腹が裂けたところを、落ちてきた岩に潰されて死亡した。
上にあるのが彼?の全セリフである。この間2ページ。
モブキャラとは思えない丁寧な死に様の描写に、作品内外から「どうでもよくないそんなやつ!?」「注視する必要もないですよね!?」と突っ込まれるのであった。
腕にBCGワクチンの注射跡があるのも突っ込みどころ。
サイクロプス
「お前ら…手貸せよ 一緒に楽しもうや 人間殺し」
「人の体の上でゴチャゴチャと…何が強化付与だよ」
「お おいっ…シーッ!デカい声で強化付与って言うな!」
「強化付与強化付与強化付与」
「きょ」「お」「か」「ふ」「よ」
一つ目の巨人。
塩湖地方に出現したモンスターで、討伐に出向いた冒険者たちが全滅し、村一つを皆殺しにするなど極めて強く残虐。
加えて知能が非常に高く、前の村をすぐに壊滅させたことを「反省」して次の標的に定めた村『南の十字』をジワジワ嬲り殺しにしようと試みるなど強い悪意を持っている。
これまでの冒険者との戦いでは一切傷付いていなかったらしく、S級のリリィの渾身の一撃でやっと怪我を負うレベルだが、それすら1日で治すなど回復力も早い。
サイクロプス遭遇経験のあるリリィからしても異常な個体らしく、四足歩行と二足歩行を使い分けるなど動きにも不自然さがある。
「あー…俺は家でたまーに四足歩行してみるがー…」
「ふざけてんのか?」
その正体は突然変異で巨大化したスライム。
スライムであるため体の作りが観念的で曖昧であり、体を自在に変形させることで攻撃を回避することも可能。
サイクロプスではなくスライムである以上、当然目も2つあるのだが、その片方の目は地下を通して監視地点へと伸ばしており、死角からの攻撃への対応や距離感を掴んだ上での投石攻撃も可能としている。
さらに通常サイズのスライムたちを手下として従え村中に潜ませてひと声で村人を殺せるような準備を整えているなど、やはり狡猾な知恵が働いている。
反面、正体が割れてからは言動にもコミカルさを滲ませるようになっており、レインとかなり幼稚な煽り合戦を繰り広げたりもしている。
劇中では投石によって監視点に伸ばした片目を潰された後も、マーガレットが魔力切れを起こすまで粘り続けて(自分自身もヘロヘロになったため)膠着状態に持ち込むなど異様なしぶとさを見せる。
しかし土壇場でトラウマを克服したミラベルの特攻と、レインの巧みな言葉によるミスリードと思われたただのバカ発言、レインが咄嗟にミラベルの短剣に施した強化付与、そして不平等な時間の流れによって弱点の頭部を両断されて討伐された。
なお元々スライムで液状なのだが血もブシャーと出る上に肉片もある。
スライム
「ハアッ…ハア…!驚かせて恐怖させて翻弄して早く殺してくれと言わせてやるぜ…ハアッ…ハアッ」
「へッ…へッ…底なし沼に引きずりこんでジワジワ溺れ殺してやる…へッ…へーッ…」
「ヒヒッ…ヒヒ…ッ 火の海で囲んで逃げ道も空気も奪って焼き殺してやる…ヒヒヒーッ」
見た目は楕円形の体に点で出来た目がついた簡素で可愛らしい顔をしているが、本性は他のモンスター同様邪悪かつ狂暴。
冒険者にとっては雑魚ではあるが、一般人にとってはマムシや猪以上の脅威であることに変わりはない。マルチナ曰く「大型のクマみたいなもの」。
特に脅威なのは数に任せて攻め込んできた時で、熟練の冒険者でも殲滅は困難を極める。
塩湖地方に現れた個体は上記のサイクロプスの指揮下にあったからか、経験豊富なリリィも困惑するほどの邪悪さを見せていた。
魔物
七竜騎
かつて世界の8割を滅ぼしたとされ人類の脅威となったが、今では封印され長い眠りにつく『光竜王』の忠実な配下たち。
竜の姿と人間形態の両方の姿を取る竜族であり、主君たる光竜王の復活を望んで暗躍している。
原作序盤のメインとなる敵ではあるのだが、物語が天の遺産保持者との戦いに移行するにあたってまとめて消化された感が否めず、七竜騎の内の3騎は名前すら判明しないまま復活した光竜王と共に滅ぼされてしまっている。
原作同様に光竜王の忠実な側近であり、その封印を解くために暗躍するのも同じ…と珍しく原作とそこまで相違がない存在。
もっとも魔物の設定が根本から異なるので、そういう意味ではあちこち微妙に差異があるのだが……
レドグフ
「人間に、これほどの使い手がいるとはな」
「五百年くらい前に勇者と戦ったとき以来だ……ヘヘヘ、ゾクゾクするぜ。強い奴と戦うのは!」
七竜騎が一騎。
竜の頭に人の体を持つ竜人形態の異形で身長は4メートルに及ぶ。
ウラリス王国にある光翼の遺跡に出現し、リリィとマルチナを相手に交戦した。
本気を出すと太い四肢を持つ体長5メートルの完全な「竜体」となる。
他にも牙に魔力を込めて抜くことで竜人姿の不死の兵を生み出す「竜牙兵作成」の特殊スキルを持つ。
「なぜこの俺レドグフ様がここにいるか…!?」
「無為な日々を送り100年後を待つよりも奔走して100年後に来る未来を1日でも早くこちら側にたぐり寄せるためだ」
こちらではちゃんとした人間形態を取っており、3メートルほどの長身で筋肉質な人間に竜の翼が生えた容貌。
逆立てた短髪と眉が無く鋭い眼光が特徴的。上半身は常にはだけている。
見た目に違わず好戦的で直情的な性格で、魔力を集めるために都市部で冒険者狩りを行っていた。
これでいて一応目上に対する礼儀等はしっかりしており、ガージェスのことは「先輩」と呼んでいる。
光竜王への忠誠心も深く、王を思って涙するような一面も。
ガージェス
光竜王の配下。
ウラリス王国に潜伏しており、マルチェロ内務大臣に化けて国の中枢にまで潜り込んでいた。
光竜王の再封印計画を阻止しようと正体を現し、そのままレイン一行との戦闘となった。
本体は体長10メートル程の竜であり、ドラゴンブレスを得意とする。
ちなみに原作では竜族ではあるが七竜騎ではない。
「我々が生きればどうしても死ぬ人間が出ます ですからせめてその命に敬意を払ってやるのです」
原作と違いこちらでは七竜騎に昇格している。
金色の長髪を垂らし眉が無い垂れ目。左目には傷のようなものが見える。
レドグフより年嵩らしく、彼からは先輩等と呼ばれている。
レドグフに無用な殺人を慎むよう諫言するなど、命に対する「敬意」を重んじる性格。
とはいえその「敬意」もあくまで捕食者・異種族目線のものであり、本人にとって「敬意を払った上での必要な殺戮」に関しては躊躇いを見せない、やはり根本的に人間とは相容れない存在。
モブ
パン屋
「ここパン屋だぜ? とりあえずなんか買ってくれよ」
「さあ…知らね」
追放されたてのレインに近くのギルドについて尋ねられたパン屋。
何も知らなかったがレインにクロワッサンを売り付けた。
レインはこの要領で様々な品物を買わされ、最終的に帽子と風船とお面とフランスパンとペロペロキャンディーを抱えてアメリカンドッグを齧りながら歩く羽目になった。
定型が便利すぎる
ヤクザ
「なめとんちゃうぞガキコラァ~!」
「半グレ半グレいうて好き勝手しくさってよォ~!」
レインの住む街にいる組織。見た目・言動は現代日本におけるヤクザそのもの。
半グレに喧嘩を売られ、その復讐として半分を黒塗りの高級車十数台と機関銃で武装して襲撃した。
しかし半分及び半グレの実力の高さの前にボコボコにされることに。
その際組長のペースメーカーが半分の魔力に晒され破壊、若頭も乱入した暗殺の母に(直接描かれていないので推測だが)頭部を踏み潰され殺害された。
一から十まで何もかもおかしい存在だが、漫画版においてこれまで台詞でしか語られていなかった「魔力と科学技術の干渉」がどういうものか明確に示した存在でもある。
後に半グレが討伐対象にされた際にも要所要所で登場し、人員と重火器の物量攻めにより半グレに多大なダメージを与えている。この組織が上記のヤクザと同一のものかは今のところ不明。
黒い服の男
「今後は適当な口実をつけて特権を剥奪するのが普通になるんじゃないか」
第48話に登場。新人冒険者としてスカウトされていた人物。
話は良いところまで進んでいたようだが、冒険者特権の有効性に疑問を感じて辞退した。
このあとレインは王国の騒動に巻き込まれて命を狙われるようになるので、未来を予言していたともいえる。
小太りの中年
「神様は見ててくれたにちげぇねぇ!」
「持ってけ 俺よりあんたに必要そうだ! へへッ!」
傑作と名高い第47話に登場。腹を下したタケを医者のもとまで送り届けた。
その際タケに聖書を渡しており、彼のセカンドライフの方向性を決めたともいえる人物である。
うるさいな いいから追記・修正やらさせられてやってくれよ!
最終更新:2025年04月20日 16:24