ディンルー

登録日:2022/12/09 Fri 13:24:29
更新日:2025/06/04 Wed 12:19:19
所要時間:約 4 分で読めます





ソ……ゲ……

ソソゲー!!



古の儀式で使われた器に注がれた恐怖が

土石をまといポケモンとなった。

とても重たい頭をゆっくり振り下ろし、

深さ50メートルの長大な地割れを引き起こす。



ディンルーとは、『ポケットモンスター』シリーズで登場するポケモンの一種である。


■データ

全国図鑑№:1003
分類:さいやくポケモン
英語名: Ting-Lu
高さ:2.7m
重さ:699.7㎏
タマゴグループ:タマゴ未発見
性別比率:不明

タイプ:あく/ じめん

特性:わざわいのうつわ(災厄を呼ぶ器の力で自分以外の特攻が弱くなる。)

種族値
HP:155
攻撃:110
防御:125
特攻:55
特防:80
素早さ:45

合計:570

努力値:防御+3


■概要

スカーレット・バイオレット』にて初登場した伝説のポケモンである。

かつてパルデアにいた異国の宝が大好きな王様が、東の国(おそらく中国と思われる)から来た商人から購入した四つの災いの宝のうちの「ウツワ」に当たる。
古の儀式で使われた器に注がれた恐怖が周りの土石を纏うことで誕生したという。

姿は巨大な青銅の器が角となり、土石で出来た赤い目をしたヘラジカやのような姿をしている。中国名が「鼎鹿」であることから器+シカがモチーフと思われる。
また器自体にも角を模した装飾と目を模した模様があることから、アカデミーの歴史教師のレホールは信仰の対象である神自身が器の形をしているのではないかと推測している。

王の手に渡る前から様々な人間の手に渡ってその都度人間の欲望や呪いを宿していたようであり、王の欲望に当てられることで他の三匹と共に遂に災いとなって暴れ始め、一夜にして王の城を崩壊させた。
その後は高名なポケモン使いとの激闘の末に封印されたという。
その巨大な器が乗った頭をゆっくりと振り下ろすだけで、深さ50メートルにも及ぶ長大な地割れを引き起こしてしまうほどの力を秘めている。


■ゲームでのディンルー

前述の通り現在は封印されており、封印を解くにはパルデア地方北西部に散らばる8つの緑色の杭を引き抜くことで開放させることが出来る。
祠の場所はレホールとの絆イベントをこなすとマップに記載してくれ、その四つの祠のうちの「塵土の祠」にいる。
ちなみに一度訪れると「そらをとぶ」でそこに瞬時に移動できるようになる。

杭を全て抜いた状態で祠に行って触れると出てきてバトルになるため、そこでゲットすることが出来る。


■対戦でのディンルー

ワルビアル以来のあく・じめん複合タイプ
弱点は6つと多いが耐性も6つと多い。後述のように物理特殊共に圧倒的な耐久力を誇り4倍弱点もないため恐ろしく硬い。

なんとあのギラティナを上回るHP155・防御125と言うとんでもない物理耐久を誇る。
物理耐久指数は全ポケモンの中で最も物理耐久が高いクレベースを僅かに下回る程度と、物理方面は非常に強固。
1000を超えるポケモンの内、メガシンカなどの特殊な形態を除くと5本の指に入るほどの物理耐久となっている。

具体的にはディンルーがHPと防御の物理耐久に特化した場合、あのガブリアスの攻撃特化「げきりん」で確定4発、つまり3発は耐えてしまう。
オボンのみ」や「たべのこし」など回復できる持ち物を持てば更にズレることになる。

物理面がここまで硬いとディンルーの弱点を物理技で突いても余裕で耐えてしまう。
無振りですら同じ災厄のポケモンであり今作最高レベルの攻撃能力を持つパオジアンの「つららおとし」を弱点であるにも関わらず確定で耐える
物理耐久に特化していればパオジアンが「こだわりハチマキ」+こおりテラスタルまで持ち出してでようやく乱数1発
もちろんこれはパオジアンの特性で防御が3/4になっている前提なので、並のポケモンの火力ではまず一撃での突破は不可能と言う要塞ぶり。

一般的なポケモンであれば弱点を突いても2発で倒せないことすら起こり得てしまう。
具体的には「いのちのたま」を持ったミミッキュの「じゃれつく」すら2発は耐えてしまう。
ディンルーが「ヘビーボンバー」を持っていた場合、単純な殴り合いならタイプ相性を覆してディンルーが勝ってしまうのである。

一方で特防の数値は並だが、高いHPのおかげで実際の特殊耐久は高め。
その上で、専用特性の「わざわいのうつわ」により自分以外のポケモンの特攻を3/4にしてしまう。

これは言い換えるとディンルーの特殊防御を4/3倍にする特性であり、ただでさえ下手なポケモンより特殊耐久が高いのに更に硬くなってしまう。
結果として実質の特防種族値は無振りで113相当、極振りだと124相当になり、高いHPも相まって特殊耐久指数は砂下バンギラスに迫る
弱点であるにも関わらず特攻種族値135のハバタクカミの「ムーンフォース」を無振りですら余裕で耐えてしまう。
やはりディンルー側が耐久に振っていた場合、単純な殴り合いであればタイプ相性を覆してディンルー側が勝ってしまう。

総合的な耐久力は耐久要塞で名高いクレセリアや「しんかのきせき」を持った ポリゴン2 以上である。
HPと防御に極振りする条件であれば同条件のクレセリアと比較して物理面は1.25倍、特殊方面は1.1倍程度となる。

耐久面に続いて攻撃面も見てみよう。攻撃種族値は110で特攻種族値は55となっている、特攻が低く技も揃っていないため物理技で戦うことになる。
純アタッカーとして見ると攻撃種族値110はやや控えめであるが、ここまで硬いポケモンが出せる火力としては十二分である。

素早さ種族値こそ45と鈍足ではあるが、鈍足で有名なヘイラッシャキョジオーンモロバレルなどよりは素で速く、
若干調整すればマリルリドドゲザンなど強豪も多い50族などを抜くことができるかなり絶妙な素早さになっている。

ステータスを総評すると、ステータスの内、使わない特攻を切り詰め、最低限の素早さを確保しつつ、耐久と攻撃力に回すことで狂ったような耐久力を実現している。
SVのメインとなるパルデア地方のポケモンはステータスに無駄がないと言われることが多いが、その代表例がこのディンルーといっても過言ではない。

攻撃技に関してはタイプ一致の「じしん」を始めとしたじめん技を一通り覚えてくれる。
意外な事にあく物理技は「じごくづき」「しっぺがえし」「うっぷんばらし」のみ。「かみくだく」どころか「かみつく」も覚えない。牙が無いのだろうか?

サブウェポンは重たい体重(699.7kg)を活かせる「へビ-ボンバー」や高い防御と相性のいい「ボディプレス」、
じめん技が効かない飛行タイプに通る「がんせきふうじ」「いわなだれ」「ストーンエッジ」などを習得可能。
その他、「しねんのずつき」「すてみタックル」を覚えるが使う機会は少ないだろう。

その他、専用技かつ特殊な攻撃技として「カタストロフィ」を習得する、相手の現HPを半分にする技となっている。
また一撃必殺技として「じわれ」も習得する、ここまで硬いと試行回数も多くなるため相性は悪くない。

基本的に技範囲は狭いが、最低限揃っているため十分に戦うことが可能。
じめんタイプと噛み合いの良いフェアリータイプの「テラバースト」を採用する場合もあるようだ。

一方で補助技も「ステルスロック」「まきびし」「ちょうはつ」に加えて「ふきとばし」や「くろいまなざし」、「おきみやげ」まで覚える。
数は少ないが役に立つ物が揃っている。

技に関して総評するとレパートリーは少ないが、良いものが揃っていると言ってよいだろう。


さてポケモンというゲームに置いて防御力が高いポケモンは攻撃力が低く、相手を倒すのに時間がかかる(負担をかけられない)という弱点を持つものが多い。

そのため、耐久型を相手にする場合は、
  • 隙をついて 積み技 で能力(主に攻撃力)を上げて突破する。
  • 耐久型のポケモンは補助技に依存することが多いので「ちょうはつ」で補助技を使用不可にする。
  • 耐久型のポケモンの多くは火力が低いので「みがわり」で攻撃と補助技を防ぐ。
といった対策が定石の一つである。

要は「ちょうはつ」や「みがわり」で耐久型のポケモンの補助技を封じてしまえば
貧弱な火力のポケモンが残るので後は煮るなり焼くなり好きに出来るのである。

しかしディンルーは最低限の火力を持ち、さらに一撃技の「じわれ」、
相手のHPを問答無用で半減させる専用技の「カタストロフィ」、
悠長に積んでいる相手を交代させるなどで積みによる突破を防ぐ「ふきとばし」などの対抗策を習得できてしまう。

ディンルーに小細工をさせないために「ちょうはつ」を撃っても、攻撃技のため封じる事のできない「じわれ」と「カタストロフィ」によって削られてしまい。
かといって能力を上げたり「みがわり」を貼っても、「ふきとばし」で交代させられてしまい能力上昇をリセットさせられてしまうなど対策が非常に難しい。

総じて伝説のポケモンに相応しい非常に強力なポケモンと言えるが、もちろん弱点も存在する。

まず、あく・じめんタイプとタイプのかみ合わせは微妙で弱点6耐性6と単純なぶつかり合いの相手は選ぶ。
弱点は、みず・くさ・こおり・フェアリー・かくとう・むしの6タイプであり多くがメジャーなタイプである。

とはいえ、弱点を突かれても1発は耐えるような耐久力のおかげで最低限の仕事が可能であり、弱点は多いが耐性も多い為、殴り合える範囲自体も広め。

また、鈍足耐久型として完成した種族値を持つとはいえ回復技は「ねむる」のみ、能力を上げる積み技の類も一切ない為
居座って戦うことはそこまで得意な方ではない。さすがにこの耐久力で回復技に積み技まであったら詰ませ性能が跳ね上がるので仕方がないと言えば仕方がないのだが……。

その為本領はサイクル戦。
ふざけた耐久力と「ふきとばし」による場のリセット能力の高さのおかげで不利な対面からの交代先、クッションとしての性能がべらぼうに高いのである。

有利不利がはっきりしているポケモンである為、受け回すだけで単純に相手の行動を制限させやすい。覚える「ステルスロック」と「まきびし」も相性が良い。
多弱点多耐性のポケモンなのでテラスタルとの相性も良いが、漫然と切ると言うよりここぞと言う時に切った方が戦果が期待できる。
ちなみに、受けにおいては滅茶苦茶な性能を持ち火力も必要十分にある事から某論理でも非常に期待が持たれているとかなんとか。

また、場作り性能を活かした先発適性も高い。
その耐久任せに「ステルスロック」や「まきびし」を撒き、「カタストロフィ」「ふきとばし」で削っていく戦法は単純ながら強力。
例え「ちょうはつ」されても「カタストロフィ」や「じわれ」を連打することで相手に負荷をかけられる点が魅力。
ただ、この型の場合残りの枠はほぼ確実に「じしん」である為動きが読まれやすいのが欠点か。

テラスタイプは弱点が少ないフェアリーやどくが主。
特にフェアリー+地面の並びは非常に通りが良いため「テラバースト」を採用する型も存在する。

持ち物は「オボンのみ」が多い。HPが高すぎるため回復量が洒落にならない。
他は「たべのこし」「とつげきチョッキ」が多く、全体的に強みを伸ばす持ち物が多め。


その性能の高さからシングルバトルでの使用率も高く、出禁であった時期を除いてシングルバトルでの使用率トップ30以内をキープし続けている。
その耐性を活かすことで一部の禁止伝説ポケモンにも強く、禁止伝説ポケモンが解禁されようと使用率上位をキープし続けていた。

インフレした火力を持つ禁止伝説と殴り合えるインフレした耐久力を持ち、サポートする技も持つことから
相手の禁止伝説ポケモンに対するストッパーや、「ステルスロック」などによる味方の禁止伝説ポケモンサポートとして活躍することになる。
特に禁止伝説ポケモンが2体まで採用可能となったレギュレーションI、シーズン30ではあのハバタクカミすら抜いて使用率1位を達成した。


■余談

パルデア地方はスペインをモデルにしているのだが、ディンルーを含めた四匹の伝説のポケモンは元々パルデア地方の外からやってきたポケモンであることからか、名前や外見、果てには戦闘BGMにまで中華要素が含まれた異質なポケモンとなっている。
またデザインと設定から中国の伝承の四凶や四罪(特に饕餮)をモチーフだと言われている。



追記・修正はディンルーを封印から解き放ってからお願いします。

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最終更新:2025年06月04日 12:19