ハバタクカミ

登録日:2022/12/11 Sun 03:08:21
更新日:2025/02/02 Sun 19:17:13
所要時間:約 4 分で読めます





※『ポケモンSV』終盤のネタバレを含むため、未プレイの方は注意!※






























『ウンバ ウンバ!!』



とある 書物に 登場する

ハバタクカミという 生物と 似た 特徴を 持つ ポケモン。


オカルト雑誌で 取り上げられた

翼竜の 幽霊と 特徴だけは 似ているのだ。



ハバタクカミは『ポケットモンスター』シリーズで登場するポケモンの一種である。

■データ

全国図鑑№:987
分類:パラドックスポケモン
英語名: Flutter Mane
高さ:1.4m
重さ:4.0㎏
タマゴグループ:タマゴみはっけん
性別比率:ふめい


特性:こだいかっせい(ブーストエナジーを持たせるか天気が晴れのときのときいちばん高い能力が上がる。)

種族値
HP55
攻撃:55
防御:55
特攻:135
特防:135
素早さ:135

合計:570

基礎ポイント:特攻,特防,素早さ各+1


■概要

ハバタクカミとは「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」にて初登場したポケモンである。

ムウマの古代の姿と思われるパラドックスポケモンの一種。
しかしムウマの倍の大きさどころか、進化系のムウマージよりも巨大化している*1

名前の通り長い体毛をくねらせて浮遊しており、ゆらゆらと夜空を飛び回ると言われている。
また「月刊オーカルチャー:5月号」によると古代に生息した翼竜の魂から生まれたゴーストという説があると記載されており、実際、頭部にはの角やヒレを思わせる三本の赤い棘を生やし、真上から見ると竜の足のような形状をしている。でもタイプはドラゴンの天敵のフェアリーである。
その影響なのか気性が非常に荒く好戦的であるという。

色違いはムウマと同様に明るい緑基調となる。

なお、ハバタクカミの子孫と思われるムウマはスカーレット版では登場せずバイオレット版にしか登場しない。

名前の由来はそのまま「羽撃く髪」だろう。羽撃く紙ではない。「羽撃く神」でもない...が、後述の強さから「神」と呼ぶトレーナーも少なくない。

■ゲームでのハバタクカミ

スカーレット限定でエリアゼロの下層部に生息しており、クリア前でも入手することが可能となっている。

特攻と素早さの高さに加えてフェアリータイプの通りの良さから学園最強大会を利用した金策にも向いている。
スカーレット限定だが、隠れ特性持ちのニンフィアと違って手軽に入手できるのも長所。

シナリオではゼロラボのロックが解除された直後に襲撃してくるパラドックスポケモンの大群の中に登場する。
ペパーと一緒に戦うことになるのだが、この時「強そうなヤツ いくぜ!」と発言しており、登場したパラドックスポケモンの群れの中でもこのポケモンだけ一体しかいないことからパラドックスポケモンの中でも上位の位置にいるような描写となっている。

ちなみにバイオレットではこのポジションはサザンドラの未来の姿と思われるテツノコウベであり、合計種族値が435のムウマが現代種が600族のポケモンと同等の位置にまで大躍進を遂げたともいえる。
また、両者とも遠目で見ると元のポケモンとほぼ見分けがつかない点も共通している。
ラスボス戦でも登場し、高い素早さと特攻から放たれる特殊技は脅威。
…なのだが何故かタイプ一致のフェアリータイプの技は覚えていなかったりする。

■対戦でのハバタクカミ

能力配分はムウマ系統らしいバランスのまま、特攻・特防・素早さがガッツリ引き上げられている。
一方それ以外はムウマ・ムウマージ以下と非常に極端な種族値の配分となっている。
ちなみに素早さ種族値はSV登場ポケモン(伝説除く)の中では同率7位と高く、ゴーストタイプの中ではドラパルトに次ぐ。

タイプはミミッキュに続く2匹目のゴースト/フェアリー複合
ミミッキュが証明している通りタイプ一致技の一貫性が非常に高く、カエンジシタギングルを除く全てのポケモンに等倍以上で攻撃することが可能。

特殊技は一致技の他、ムウマ譲りの豊富な技を一通り習得できる。
上記の通り、メインとなるタイプ一致の「シャドーボール」「ムーンフォース」だけでほぼ全てのポケモンに等倍以上が取れ耐性で受けにくい。
さらに「マジカルフレイム」・「パワージェム」「10まんボルト」「エナジーボール」「あくのはどう」「こごえるかぜ」とサブウェポンには全く困らない。
しかし、ムウマやムウマージが覚える「サイコキネシス」を習得できず、エスパー技は「サイコショック」に頼る事になる。現状エスパー技を撃ちたい相手はドオーテツノドクガなど特殊防御が高い相手が多いが留意に越したことはない。

ムウマ譲りの搦め手もゴーストタイプらしく豊富。
積み技の「めいそう」を始め「ちょうはつ」「あまえる」「いたみわけ」「ほろびのうた」「あやしいひかり」「でんじは」「おきみやげ」「ふういん」と妨害はお手の物。
「ねこだまし」無効に加え、足の速さから読まれにくい為「トリックルーム」の始動すらも平気でこなす。
ただ、こちらも「おにび」「みちづれ」を覚えない。
さすがに素早さ種族値135からの高速「おにび」「みちづれ」は強すぎると判断されたのだろう。でも「みちづれ」はテツノブジンは許されているし、「おにび」は元々より素早いドラパルトは覚えるのだが


欠点は貧弱すぎる物理耐久。
どのくらい貧弱かというと(無振りでの)物理耐久指数9750
エイパムニューラメラルバと同等の物理耐久力になっており、物理方面の耐久力は進化前同等レベルの紙っぷり。
耐久無振りだと並の先制技ですら食らうと死にかけになるほど脆く、パオジアンの「ふいうち」やハバタクカミの弱点を突いてくる「かげうち」や「バレットパンチ」は言うまでもなく致命傷になる。
タイプのおかげで「しんそく」と「マッハパンチ」が当たらないことだけは救いか。

前述の通り「おにび」を覚えないため、基本的に物理アタッカーの相手はさせるのは不得手。
一応特化すれば並程度には改善される為、「あまえる」「いたみわけ」「ドレインキッス」を活かして対物理で立ち回る事自体は不可能ではなく、実際強引に物理も耐える型まで誕生してしまっている。

…とこのように本来は物理耐久方面に穴があるはずなのだが、対戦考察が進んだ現在では、特攻と素早さが素で非常に高いのを活かしてそちらの努力値はほどほどにして持ち物での補強に頼り、大半の努力値をHPと防御に回して物理アタッカーと対面で殴り合う育成が主流になっている。
それでも全振りして平均よりは少し硬め程度なので過信はできないが、素早さをブーストエナジー任せにして「あまえる」を先手で撃つだけで大体の物理アタッカーは流してしまえる。

また特殊技も威力100を超える一致技がないため、特攻の高さに反して火力補強がない状態での火力は意外と突き抜けていない。
この辺りは積み技が無いと火力が不安定なミミッキュに似ている。
一応「でんじは」+「たたりめ」を単体で行う事は可能なのだが、先述の通り物理耐久が低く技スペースも取る為、他のポケモンのサポートが欲しいところ。
もっとも、この通りの良い一致範囲に火力を与えたらぶっ壊れもいいところなのでこの弱点は仕方ないと言えるが。

持ち物は素早さを極めるための「ブーストエナジー」が主。
次いで物理耐久の低さを補う「きあいのタスキ」、火力と素早さを補強するための「こだわりメガネ」「こだわりスカーフ」が主。

ランクバトルではどんな相手にも通りのいい一致技と豊富な変化技で負担をかけられる安定したパフォーマンスの高さを評価されている。
シングルバトルでは解禁してからしばらくして突撃チョッキで特殊相手に対抗するセグレイブ、物理相手にはヘイラッシャで対応して隙をついてハバタクカミで駆逐する「セグカミラッシャ」という構築が流行。
ダブルバトルでは先攻「こごえるかぜ」の素早さ操作、耐性を活かした「トリックルーム」の始動及び「ふういん」によるメタ、「しんそく」無効でカイリューに強く「マジカルシャイン」のスイープ性能を活かしたアタッカー等攻防共に隙が少なく、
採用パーティに合わせた自在なカスタム性能で役割が非常に読み辛い。
有力な相方として特性で全体の特防を下げられるイーユイがいるのも大きく、マジカルシャインとねっぷうを連打するだけで勝てることも。

最終的に解禁となったシーズン3における使用率はシングル・ダブル共に1位の座に君臨した。
両部門とも1位はランドロスザシアンサーフゴーぐらいという偉業。
優等生揃いのパラドックスポケモンの中でも屈指の強豪という評価になっている。

ハバタクカミ(とテツノツツミ)の活躍によって、マスカーニャドラパルト、サザンドラなどといったポケモンたちの使用率が落ちており、
相手の1匹にこちらも1匹で戦わなければならないシングルバトルでは物理耐久の脆弱さによる先制技への弱さからハッサムミミッキュがハバタクカミ対策に増加。
総じて前シーズンにおいては素早さやフェアリータイプの少なさをウリにしていたポケモンが露骨に影響を受けている。

シーズン4以降でも高使用率は続いており、シングルでは1~3位程度、ダブルに至っては解禁から伝ポケ解禁のレギュGまで1シーズンを除き1位を独占*2というとんでもない大活躍を見せている。
ミミッキュといいザシアンといいこいつといいフェアリーが複数世代連続で大暴れしている。おそらくハバタクカミも第10世代でナーフが入るかもしれない

ただしハバタクカミはこれまでのフェアリーポケモンと異なる点があり、第9世代はガチ対戦でも通用するフェアリータイプがこいつくらいしか居ないほど選択肢が狭い状態なのである。*3
その上本作ではドラゴンタイプの禁止伝説であるミライドン&コライドン、悪タイプの準伝説4匹とフェアリー技で突破したい強力なポケモンが多数追加されており、強いとか以前に使わざるを得ない状況カプ一族やゼルネアスが入国すれば改善されただろうが、結局解禁されず。一部ではゲーフリの接待なのでは?との陰謀論まで出ているとか…
幸い後にアシレーヌやアローラキュウコンといった有力なフェアリータイプのポケモンが解禁され、ハバタクカミしか選択肢がない状況は改善された。
しかし伝説ポケモンが解禁されたレギュGでは、炎テラスが当たり前かつ天候を晴れに変えるコライドンに振り回されることが多く向かい風。逆にハバタクカミは晴れに便乗して特性を発動できるという点が強力。

禁止伝説戦を1匹まで編成できるレギュレーションGにおいても、シングルバトルに限れば使用率は余裕の一位(ちなみに2~3位はパオジアンとカイリューが争っている)
S135からのこだいかっせいのおかげでコライドンやミライドン、ザシアンなどの高速アタッカーの更に上を取れることが評価されている。
なお、禁止伝説環境ではでんきタイプのミライドンやほのおテラスを切るコライドンとザシアンに一貫して通る地面テラス型もやや増えている。
一方ダブルバトルの方ではここにきてシーズンごとに使用率を落としていくまさかの事態が発生。
ハバタクカミ以上に高速・高火力・範囲打点持ちゴーストアタッカーとしてバドレックス(こくばじょうのすがた)が環境に進出した結果、制圧要員として役割が被り気味なハバタクカミ自体が役割を追われてしまう。
それだけではなく「アストラルビット」の一貫を切る為にガオガエンイエッサンなど歴代の強豪は勿論の事、テラパゴスリキキリンといった新顔も含めた包囲網に巻き込まれてシーズンを追うごとに採用数が減衰。
最後まで使用率10位内はなんとか保ったとはいえ意外な結果となった。
「こだいかっせい」に便乗出来る筈のコライドンがシングル程使用率の面で奮っていないのも大きいだろう。S操作手段や隣のポケモンの先制技で制圧対策が可能なダブルバトルならではの話である。



韓国大会優勝者のA05V個体が公式から配布されているくらい、本作の環境で重要な存在なのは間違いない。ボールの時点でS31なのがバレて扱い難いと感じたのは筆者だけではないだろう

■余談

  • オーカルチャーの「翼竜の魂から生まれたゴースト」という説は、一見ドラゴンタイプのないハバタクカミとは関係なさそうに見えるが、現実の翼竜の中には「トゥプクスアラ」、「タペジャラ」、「ケツァルコアトルス」のように、霊や神などの超常的な存在に関連付けられた学名を持つものが存在する。*4

  • デザインを手がけたのは漫画家でキャラデザイナーのありがひとし氏。過去作でもポケモンのデザインを何度か担当しているが、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」では他にもキョジオーン族クエスパトラを担当していることを自身のTwitterで公開している。

    実はありがひとし氏の最推しポケモンはムウマであるらしい。自身のサインにムウマのイラストが添えられていたり、紙粘土でムウマを作ったりしている様子がTwitterにアップロードされており、実績的にもムウマのポケモンカードのデザインを担当されていたことがあるため、ハバタクカミのデザインも推しの縁で担当されたのかもしれない。




追記・修正はハバタクカミと一緒に「こだいかっせい」しながらお願いします。

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最終更新:2025年02月02日 19:17

*1 体重はムウマージの方が4.4㎏とわずかに勝る。

*2 シーズン11でのみオーガポンに抜かれたが、それでも2位を維持している。

*3 なんとザシアンやミミッキュすら環境ポケモンに押され気味という始末。

*4 トゥプクスアラとタペジャラはブラジル先住民トゥピ族の言葉で「精霊(使い魔)」と「古き存在(年寄り)」、ケツァルコアトルスはアステカ神話に登場する有翼の蛇神を意味する。