ハバタクカミ

登録日:2022/12/11 Sun 03:08:21
更新日:2025/04/28 Mon 00:17:26
所要時間:約 4 分で読めます





※『ポケモンSV』終盤のネタバレを含むため、未プレイの方は注意!※






























『ウンバ ウンバ!!』



とある 書物に 登場する

ハバタクカミという 生物と 似た 特徴を 持つ ポケモン。


オカルト雑誌で 取り上げられた

翼竜の 幽霊と 特徴だけは 似ているのだ。



ハバタクカミは『ポケットモンスター』シリーズで登場するポケモンの一種である。

■データ

全国図鑑№:987
分類:パラドックスポケモン
英語名: Flutter Mane
高さ:1.4m
重さ:4.0㎏
タマゴグループ:タマゴみはっけん
性別比率:ふめい


特性:こだいかっせい(ブーストエナジーを持たせるか天気が晴れのときのときいちばん高い能力が上がる。)

種族値
HP55
攻撃:55
防御:55
特攻:135
特防:135
素早さ:135

合計:570

基礎ポイント:特攻,特防,素早さ各+1


■概要

ハバタクカミとは「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」にて初登場したポケモンである。

ムウマの古代の姿と思われるパラドックスポケモンの一種。
しかしムウマの倍の大きさどころか、進化系のムウマージよりも巨大化している*1

名前の通り長い体毛をくねらせて浮遊しており、ゆらゆらと夜空を飛び回ると言われている。
また「月刊オーカルチャー:5月号」によると古代に生息した翼竜の魂から生まれたゴーストという説があると記載されており、実際、頭部にはの角やヒレを思わせる三本の赤い棘を生やし、真上から見ると竜の足のような形状をしている。でもタイプはドラゴンの天敵のフェアリーである。
その影響なのか気性が非常に荒く好戦的であるという。

色違いはムウマと同様に明るい緑基調となる。

なお、ハバタクカミの子孫と思われるムウマはスカーレット版では登場せずバイオレット版にしか登場しない。

名前の由来はそのまま「羽撃く髪」だろう。羽撃く紙ではない。「羽撃く神」でもない...が、後述の強さから「神」と呼ぶトレーナーも少なくない。

■ゲームでのハバタクカミ

スカーレット限定でエリアゼロの下層部に生息しており、クリア前でも入手することが可能となっている。

特攻と素早さの高さに加えてフェアリータイプの通りの良さから学園最強大会を利用した金策にも向いている。
スカーレット限定だが、隠れ特性持ちのニンフィアと違って手軽に入手できるのも長所。

シナリオではゼロラボのロックが解除された直後に襲撃してくるパラドックスポケモンの大群の中に登場する。
ペパーと一緒に戦うことになるのだが、この時「強そうなヤツ いくぜ!」と発言しており、登場したパラドックスポケモンの群れの中でもこのポケモンだけ一体しかいないことからパラドックスポケモンの中でも上位の位置にいるような描写となっている。

ちなみにバイオレットではこのポジションはサザンドラの未来の姿と思われるテツノコウベであり、合計種族値が435のムウマが現代種が600族のポケモンと同等の位置にまで大躍進を遂げたともいえる。
また、両者とも遠目で見ると元のポケモンとほぼ見分けがつかない点も共通している。
ラスボス戦でも登場し、高い素早さと特攻から放たれる特殊技は脅威。
…なのだが何故かタイプ一致のフェアリータイプの技は覚えていなかったりする。

■対戦でのハバタクカミ

能力配分はムウマ系統らしいバランスのまま、特攻・特防・素早さがガッツリ135まで引き上げられている。
この135という値はポケモンの中でトップクラスであり、特に特攻はゲンガー、素早さはサンダース以上の値。
この素早さ種族値はSV登場ポケモン(伝説除く)の中では同率7位と高く、ゴーストタイプの中ではドラパルトに次ぐ。

一方それ以外のHP・攻撃・防御はムウマ・ムウマージ以下と非常に極端な種族値の配分となっている。

タイプはミミッキュに続く2匹目のゴースト/フェアリー複合
ミミッキュが証明している通りタイプ一致技の一貫性が非常に高く、ゴースト技とフェアリー技の2つのみでカエンジシタギングルを除く全てのポケモンに等倍以上で攻撃することが可能
そのカエンジシとタギングルはSVの対戦環境においてはほぼ使われていないため、多くの相手に安定したダメージを与えることができるのである。

特殊攻撃技は一致技の他、ムウマ譲りの豊富な技を一通り習得できる。
上記の通り、メインとなるタイプ一致の「シャドーボール」「ムーンフォース」だけでほぼ全てのポケモンに等倍以上が取れ耐性で受けにくい。

さらに「マジカルフレイム」「パワージェム」「10まんボルト」「エナジーボール」「あくのはどう」「こごえるかぜ」などを習得。
ムウマやムウマージが覚える「サイコキネシス」や「くさむすび」などは習得できないなど、技範囲で若干劣る部分もあるが攻撃面では気にならないはず。

ちなみに「サイコキネシス」は覚えないのに「サイコショック」は覚える。
現状エスパー技を撃ちたい相手はドオーテツノドクガなど特殊防御が高い相手が多いが留意に越したことはない。

ムウマ譲りの搦め手もゴーストタイプらしく豊富。
積み技の「めいそう」を始め「ちょうはつ」「あまえる」「いたみわけ」「ほろびのうた」「あやしいひかり」「でんじは」「おきみやげ」「ふういん」「くろいまなざし」と妨害はお手の物。
「ねこだまし」無効に加え、足の速さから読まれにくい為「トリックルーム」の始動すらも平気でこなす。

ただし、ムウマとムウマージが覚える補助技のうちハバタクカミが使えないものも多い。
具体的には「おにび」「みちづれ」「わるだくみ」「のろい」をハバタクカミは覚えない。

特に素早さ種族値135からの高速「おにび」「みちづれ」は強すぎると判断されたのだろう。でも「みちづれ」はテツノブジンは許されているし、「おにび」は元々より素早いドラパルトは覚えるのだが


さらに特性としてハバタクカミは「こだいかっせい」を持ち、これは天候が晴れになっているときHP以外の最も高い能力を上昇させる特性である。
そして「ブーストエナジー」は消耗品だが「こだいかっせい」を発動させる持ち物であり、ハバタクカミの場合は素早さを伸ばすことが基本となる。

これがハバタクカミの強さを支える特性の一つで、素早さをアイテムでカバーすることで
素早さをある程度抑えることができ、その分だけ他の能力を調整する余地が生まれてしまうのである。


欠点は貧弱すぎる物理耐久。

どのくらい貧弱かというと(無振りでの)物理耐久指数9750
エイパムニューラメラルバと同等の物理耐久力になっており、物理方面の耐久力は進化前同等レベルの紙っぷり。まさにハバタク紙。

耐久無振りだと並の先制技ですら食らうと死にかけになるほど脆い。
ハバタクカミの弱点を突いてくる「かげうち」や「バレットパンチ」は言うまでもなく致命傷になる。

具体的には「いのちのたま」を持った特化ミミッキュの「かげうち」を撃たれると7割の確率で即死する。
特化パオジアンの「ふいうち」は耐える事ができず、ハッサムの「バレットパンチ」に至ってはHPに特化しても即死する。

とはいえ、タイプのおかげで「しんそく」と「マッハパンチ」が当たらないことだけは救いか。
特にノーマルテラスからの「しんそく」を撃つカイリューが一定数いる環境において「しんそく」無効は非常に美味しい。




…とこのように本来は物理耐久方面に穴がある。

しかし対戦考察が進んだ現在では、特攻と素早さが素で十分に高いのを活かして、大半の努力値をHPと防御に回して物理アタッカーと対面で殴り合う型も開発された。

「おにび」を覚えないため、物理アタッカーを完全に機能停止させることはできないが、
物理耐久に特化すれば並程度には改善される為、「あまえる」「いたみわけ」「ドレインキッス」を活かして対物理で立ち回る事自体は不可能ではない。

特に素早さは「ブーストエナジー」に任せることができるため、耐久面に努力値を振り分けやすいのが非常に大きいポイント。
素早さを上げて「あまえる」と「いたみわけ」を先手で撃つだけで大体の物理アタッカーは封殺してしまえる。

なおハバタクカミのHP自体は低いが特防の数値は135と高い為、特殊防御面はそこそこ硬い。
HPに努力値を回したハバタクカミはおおよそ、耐久に振っていないカビゴンの8割程度の特殊耐久と同等である。

結果として物理でも特殊でも突破も難しいため、物理特殊両方に強く出ることができてしまう。


また弱点と呼べるほどではないが、特殊技も威力100を超える一致技がないため、
特攻の高さに反して火力補強がない状態での火力は突き抜けているわけではない。

一応「でんじは」+「たたりめ」を単体で行う事は可能なのだが、先述の通り物理耐久が低く技スペースも取る為、他のポケモンのサポートが欲しいところ。
もっとも、通りの良い一致範囲に火力を与えたらぶっ壊れもいいところなのでこの点は仕方ないと言えるが。

持ち物は素早さを伸ばすための「ブーストエナジー」が主流。
次いで物理耐久の低さを補う「きあいのタスキ」、火力や素早さを補強するための「こだわりメガネ」「こだわりスカーフ」を持つことが多い。

総評して、ハバタクカミは

  • 通りのいい一致技を高い火力で押し付けるアタッカーとしての適性
  • 豊富な変化技を高速で撃つことで負担をかけられる搦め手を扱う適性
  • 攻撃技も補助技を安定して先手で撃てるようになる「ブーストエナジー」による加速

の3つに優れており、オマケに何をしてくるか初見では読めない点がランクバトルなどのガチ対戦において評価されている。

前述の通りただでさえ速いのに「ブーストエナジー」による加速でより素早くなるため、
多くの相手に対し上から何かしらのアクションを起こせることから安定したパフォーマンスを叩き出すことができてしまう。

シングルバトルの初期環境では突撃チョッキで特殊相手に対抗するセグレイブ、物理相手にはヘイラッシャで対応して隙をついてハバタクカミで駆逐する「セグカミラッシャ」という構築が流行。

ダブルバトルでは先攻「こごえるかぜ」の素早さ操作、耐性を活かした「トリックルーム」の始動及び「ふういん」によるメタ、「しんそく」無効でカイリューに強く「マジカルシャイン」のスイープ性能を活かしたアタッカー等攻防共に隙が少なく、採用パーティに合わせた自在なカスタム性能で役割が非常に読み辛い。
有力な相方として特性で全体の特防を下げられるイーユイがいるのも大きく、「マジカルシャイン」と「ねっぷう」を連打するだけで勝てることも。

最終的に解禁となったシーズン3における使用率はシングル・ダブル共に1位の座に君臨した。
両部門とも1位はランドロスザシアンサーフゴーぐらいという偉業。
優等生揃いのパラドックスポケモンの中でも屈指の強豪という評価になっている。

ハバタクカミ(とテツノツツミ)の活躍によって、マスカーニャドラパルト、サザンドラなどといったポケモンたちの使用率が落ちており、
相手の1匹にこちらも1匹で戦わなければならないシングルバトルでは物理耐久の脆弱さによる先制技への弱さからハッサムミミッキュがハバタクカミ対策に増加。
総じて前シーズンにおいては素早さやフェアリータイプの少なさをウリにしていたポケモンが露骨に影響を受けている。

シーズン4以降でも高使用率は続いており、シングルでは1~3位程度、ダブルに至っては解禁から伝ポケ解禁のレギュGまで1シーズンを除き1位を独占*2というとんでもない大活躍を見せている。
ミミッキュといいザシアンといいこいつといいフェアリーが複数世代連続で大暴れしている。おそらくハバタクカミも第10世代でナーフが入るかもしれない

ただしハバタクカミはこれまでのフェアリーポケモンと異なる点があり、第9世代はガチ対戦でも通用するフェアリータイプがこいつくらいしか居ないほど選択肢が狭い状態なのである。*3

その上本作ではドラゴンタイプの禁止伝説であるミライドン&コライドン、悪タイプの準伝説4匹とフェアリー技で突破したい強力なポケモンが多数追加されており、強いとか以前に使わざるを得ない状況カプ一族やゼルネアスが入国すれば改善されただろうが、結局解禁されず。一部ではゲーフリの接待なのでは?との陰謀論まで出ているとか…

幸い後にアシレーヌやアローラキュウコンといった有力なフェアリータイプのポケモンが解禁され、ハバタクカミしか選択肢がない状況は改善された。
しかし伝説ポケモンが解禁されたレギュGでは、炎テラスが当たり前かつ天候を晴れに変えるコライドンに振り回されることが多く向かい風。逆にハバタクカミは晴れに便乗して特性を発動できるという点が強力。

禁止伝説戦を1匹まで編成できるレギュレーションGにおいても、シングルバトルに限れば使用率は余裕の一位(ちなみに2~3位はパオジアンとカイリューが争っている)
S135からの「こだいかっせい」のおかげでトップメタであるコライドンやミライドン、バドレックス(こくばじょうのすがた)などの高速アタッカーの更に上を取り一致技で弱点を突くことができる点で大きく評価されている。
なお禁止伝説環境に合わせて、でんきタイプのミライドンやほのおテラスを切るコライドン、ザシアンに一貫して通る地面テラス型もやや増えている。

更にトップメタであるコライドンは天候を晴れにし自分を強化する特性「ひひいろのこどう」を持つため、
ハバタクカミの「こだいかっせい」を「ブーストエナジー」に頼らず安定して発動させることができるため持ち物に自由度が生まれることになる。
結果としてコライドンと組むハバタクカミと、相手のコライドンの晴れを逆利用するためのハバタクカミが増加することになった。


一方ダブルバトルの方ではここにきてシーズンごとに使用率を落としていくまさかの事態が発生。

ハバタクカミ以上に高速・高火力・範囲打点持ちゴーストアタッカーとしてバドレックス(こくばじょうのすがた)が環境に進出した結果、制圧要員として役割が被り気味なハバタクカミ自体が役割を追われてしまう。
それだけではなく「アストラルビット」の一貫を切る為にガオガエンイエッサンなど歴代の強豪は勿論の事、テラパゴスリキキリンといった新顔も含めた包囲網に巻き込まれてシーズンを追うごとに採用数が減衰。
最後まで使用率10位内はなんとか保ったとはいえ意外な結果となった。
「こだいかっせい」に便乗出来る筈のコライドンがシングル程使用率の面で奮っていないのも大きいだろう。S操作手段や隣のポケモンの先制技で制圧対策が可能なダブルバトルならではの話である。



韓国大会優勝者のA05V個体が公式から配布されているくらい、本作の環境で重要な存在なのは間違いない。ボールの時点でS31なのがバレて扱い難いと感じたのは筆者だけではないだろう

■余談

  • オーカルチャーの「翼竜の魂から生まれたゴースト」という説は、一見ドラゴンタイプのないハバタクカミとは関係なさそうに見えるが、現実の翼竜の中には「トゥプクスアラ」、「タペジャラ」、「ケツァルコアトルス」のように、霊や神などの超常的な存在に関連付けられた学名を持つものが存在する。*4

  • デザインを手がけたのは漫画家でキャラデザイナーのありがひとし氏。過去作でもポケモンのデザインを何度か担当しているが、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」では他にもキョジオーン族クエスパトラを担当していることを自身のTwitterで公開している。

    実はありがひとし氏の最推しポケモンはムウマであるらしい。自身のサインにムウマのイラストが添えられていたり、紙粘土でムウマを作ったりしている様子がTwitterにアップロードされており、実績的にもムウマのポケモンカードのデザインを担当されていたことがあるため、ハバタクカミのデザインも推しの縁で担当されたのかもしれない。




追記・修正はハバタクカミと一緒に「こだいかっせい」しながらお願いします。

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最終更新:2025年04月28日 00:17

*1 体重はムウマージの方が4.4㎏とわずかに勝る。

*2 シーズン11でのみオーガポンに抜かれたが、それでも2位を維持している。

*3 なんとザシアンやミミッキュすら環境ポケモンに押され気味という始末。

*4 トゥプクスアラとタペジャラはブラジル先住民トゥピ族の言葉で「精霊(使い魔)」と「古き存在(年寄り)」、ケツァルコアトルスはアステカ神話に登場する有翼の蛇神を意味する。