バンギラス

登録日:2010/07/16 Fri 00:53:07
更新日:2025/06/07 Sat 20:59:38
所要時間:約 16 分で読めます





自分のすみかをつくるために山を一つ崩してしまうほどの強いパワーを持つ。

戦う相手を求めて山をさまよう。



出典:ポケットモンスター XY&Z、37話『決勝戦!サトシ対アラン!!』、
2015年10月29日~2016年11月10日まで放送。
OLM Team Kato、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


ポケットモンスターシリーズに『金・銀』から登場するポケモン


■データ


全国図鑑No.248
分類:よろいポケモン
英語名:Tyranitar
高さ:2.0m
重さ:202.0kg
タマゴグループ:怪獣
性別比率:♂50♀50
タイプ:いわあく

特性
『すなおこし』
場に出た時天候を「すなあらし」に変える。この砂嵐は上書きされるまで永続。
…だったが、第六世代から特性による天候変化も5ターンの間に限定された。

隠れ特性
『きんちょうかん』
全ての相手は持たせたきのみを使用できなくなる。

種族値
HP:100
攻撃:134
防御:110
特攻:95
特防:100
素早さ:61
合計:600

努力値
攻撃+3

ヨーギラスがレベル30でサナギラスに進化。サナギラスがレベル55でバンギラスに進化する。



メガシンカ




凄まじいパワーを注入され背中が裂けてしまった。

ただただ破壊する本能のみで動く。



出典:ポケットモンスターXY、67話『最強メガシンカ~Act Ⅲ~』、
2013年10月17日~2015年10月29日まで放送。
OLM Team Kato、テレビ東京、MEDIANET、ShoPro、
©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokémon


[タイプ]
いわ/あく

[特性]
『すなおこし』

[種族値]
HP:100
攻撃:164
防御:150
特攻:95
特防:120
素早さ:71
合計:700


■概要


緑色の鎧のように強硬な皮膚を持つ怪獣型のポケモン。身体のところどころに黒い穴が空いている。

非常に好戦的かつ、ふてぶてしい性格。
周りを全然気にせず、「あらゆる攻撃にもビクともしない」頑丈な身体に任せてガンガン闘いを挑んでいく。……が、相手が格下だと無視して去っていくようだ。
片腕を動かしただけで山を破壊し、地響きを立てるほどの非常識なパワーを秘めている。

住処を作るために山を破壊し、川を埋め立てるなど、行動するたび地図を書き換えないといけない
挙げ句の果てに、強敵を求め山から山へさすらう習性を持つとのこと。もはや歩く天災というべき存在である。
その割には身体の大きさは2メートル程しかないが

また進化前のヨーギラス時代でも、進化するためのエネルギーを蓄えるために山一つ分の土を平らげる
サナギラス時代でも、あちこち飛び跳ね山を崩す
おまけに体内に貯めたガスを思い切り噴射して吹っ飛ぶことも可能。

まさに地形破壊のエキスパート。
こんなにポンポン山壊しまくってポケモンの世界は大丈夫なのだろうか?

任天堂のお気に入りポケモンなのか『ハートゴールド・ソウルシルバー』のCMではやたらとピックアップされたりしている。
更には『ブラック2・ホワイト2』のポケウッドでメカバンギラスとして登場したり、『X・Y』のポケパルレにも紹介されていた。

名前の由来は恐らく、大器晩成の"晩"とアンギラスという怪獣をかけていると思われる。見た目はゴジラである。
もしくは「バン」の部分は悪タイプなことから、「野蛮」などの暴力的な意味を持つ「蛮」から来ている可能性も高い。

メガシンカすると背中に6つのトゲ型のパーツが伸び、頭の角やの棘も長くなるなど、怪獣と言うかドラゴンっぽい見た目になる。長い角はヨーギラス、胸部にはサナギラスの目のような模様が現れており、全体的にバンギラス系統の特徴全てを併せ持った姿であるといえる。


■ゲームでのバンギラス


『金・銀』で出現するのはジョウトカントー全てのバッジ入手後に入る事の出来る最終ダンジョンの「シロガネやま」。
洞窟内全エリアにて5%という低確率で出現する。
おまけにシロガネ山に出現するポケモンの大半のレベルは40以上だが、ヨーギラスだけ15~20。
またバンギラスまで進化するにはカイリューと同じくレベル55まで上げないといけないという非常に手間がかかるレアポケである。
自力で「いわなだれ」「かみくだく」「じしん」*1など威力の高い技を覚えられたが、シナリオ攻略のお供にはならず、図鑑埋めや対戦向けのポケモンである。
進化する事でいわ/じめんタイプからいわ/あくタイプに変わる点に注意。

ちなみにマイチェンの『クリスタル』ではタマムシゲームコーナーにてレベル40の個体が手に入るほか、シロガネやまでレッドがいるフロアに超低確率でサナギラスが出現する。
ただし、野生のヨーギラス(サナギラス)は朝と昼しか出現しなくなったので注意。

ポケモンスタジアム金銀」ではワタルが使用し、その縁で「ポケットモンスターSPECIAL」でも第3章にて彼の手持ちに加わっている。

金銀のリメイクである『HGSS』では新たに追加されたサファリゾーンに出現する。
比較的早めに入手可能なので、シナリオ攻略に連れて行くこともできなくはない。

ポケモンコロシアム』では、ダークポケモンの一匹として登場し、シャドーのボスであるワルダックが所持している。
彼曰く、「最強のダークポケモン
ラスボスの最後の捕獲対象なのでついついマスターボールを使いたくなるが、直前のジャキラメタグロスに使った方もいただろう。
ちなみに捕捉率は本編と異なり、今作ではメタグロスが15、このバンギラスは10に設定されている。
ダンバル系統をボールで捕獲するシチュエーションは今作が初。

初代のリメイクである『FRLG』では、7の島にある「しっぽうけいこく」に出現。
トレーナーでは『FRLG』の強化版グリーンがサイドンの代わりに使用し、『HGSS』でも強化版で使用する。

また『プラチナ』では強化版ヒョウタの切り札になっている。
このバンギラスはヒョウタの父であるトウガンボスゴドラよりも強いらしい。「じしん」も覚えてないのに勝てるのだろうか?

『ブラック2・ホワイト2』では強化後のチャレンジモードでギーマが使用。
たまに『きあいのハチマキ』で持ちこたえるので油断しないこと。

『ソード』では強化後のマクワが使用。ガラルスタートーナメントでも手持ちに入っている。なお、バンギラス系統が野生で登場するのは『シールド』のみ。


『X・Y』ではYバージョンにのみ出現。対となるのはボスゴドラ
さらにメガシンカをボスゴドラともども習得した。
しかし肝心のメガストーンが『X』バージョンでしか入手出来ないというイケズな仕様(ボスゴドラは『Y』限定)。

OR・AS』では片方のバージョンで両方のメガストーンが手に入るようになった。


…とまぁ、ここまで説明したが、シリーズを通してもシナリオクリアまでにおいては非常に影が薄く、シナリオクリアまでの間に重要人物が手持ちとして使うのはワルダックの例ぐらいなものである。初登場の『金・銀』では「あく」タイプ使いのカリン、「いわ」タイプ使いのタケシですら使わない始末だったが第9世代の『スカーレット・バイオレット』ではスカーレットバージョンにしか出現しないが、進め方にもよるが序盤で侵入できるエリアで出現するため、旅パとして連れ歩きが容易になった。


■対戦でのバンギラス


強力な能力値を持つ600族のうちの一匹。
圧倒的な攻撃力を持ちそれ以外の能力も非常に高い。しかし素早さだけはヒスイヌメルゴンに次ぐ600族ワースト2という典型的な重物理アタッカー。
それでも、素早さ61と60族をわずかに上回る絶妙な数値であり、鈍足ポケモンの素早さ調整で無振りバンギラスが意識されることがよくある。

その特性から砂パの主軸となる存在。
特性『すながくれ』持ちやじめん・いわ・はがねタイプとの相性がとても良く、
特に同じ600族のガブリアスやメタグロス等と組まれるともはや手がつけられない。
また特性のおかげで天候が書き換えられない限り自らの特防が自動的に1.5倍になるため、実はあのハピナスらに次ぐ圧倒的な特殊耐久を持ち弱点タイプ以外の特殊型のポケモンには滅法強い。これに『とつげきチョッキ』でも持たせれば……

しかし弱点が多く、しかもむしタイプ以外はメジャーなタイプばかりなのが最大の欠点。
特にかくとうタイプが四倍なのが非常に痛く、物理方面では数字程の耐久力は発揮しにくい。
さらに『DP』からはかくとうタイプが強化、『BW』から強力なかくとうタイプやむしタイプが追加されたのも痛い。
環境に居続けた期間が長く、サブウェポンとしてかくとうタイプの攻撃技の需要が高い理由の一端を担っていることは間違いない。
「インファイト」「ばかぢから」等ハイリスクな攻撃技が好まれるあたり尚更である。

また進化レベルが55なためルールによっては使用に制限がかかる事がある(ただし『HG・SS』ではフラットルールが追加されたためその欠点は解消されている)。
特性のおかげで相手の使う『すながくれ』『すなかき』『すなのちから』を発動させ、負け筋にしてしまう可能性がある点も注意したい。

その弱点が多いタイプや低い素早さから場に居座り続けるのは難しいため『こだわりスカーフ』等を装備し有利な相手へ繰り出しながらの撃ち逃げで戦うのもアリ。
狙い目はラティオスサンダーサンダース等の弱点を突かれにくいor突かれても致命傷にならない特殊型のポケモン。
交代が多くなるので弱点を補う受けポケはしっかりと用意したい。
特に格闘タイプに強く『すながくれ』も活かせるグライオンとは非常に相性が良い。ただしみずタイプには注意。

持たせる道具によって型も変わってくるためカスタマイズ性が非常に高い。
その能力から砂パ以外でもPTでも投入する事も出来るが「すなあらし」で他のメンバーの邪魔にならないように注意しよう。

技は非常で豊富で
メインウェポンは
いわ技に「ストーンエッジ」「いわなだれ」
あく技に「かみくだく」「しっぺがえし」
サブウェポンでは
相性補完として優秀な「じしん」
四倍ピンポイント狙いの三色パンチ
役割破壊用の「ばかぢから」
補助技では
低い素早さを補う「でんじは」
強力な積み技「りゅうのまい」(ただし最速にしても一回で115族までしか抜けない)
相手の守りを崩す「いやなおと」
補助技対策の「ちょうはつ」
嫌がらせと襷潰しにピッタリの「ステルスロック」
等一通り揃っている。

またその特性や耐久の高さ故意外と積む機会があるので「ロックカット」で130族を抜いて暴れるロックカット型も存在する。
使いようによっては無双可能なスペックを持つが努力値を素早さに回す分耐久に不安が出やすく若干人気は低め。
ただし対面から先手が取れると有利になれる相手が多いせいか同じ素早さ重視の型でもスカーフ型は人気が高い。

「おいうち」もその交換を強要しやすい能力値や役割的にとても有用だが、
プラチナやHGSSでは「すなあらし」中に使うとバグが起こるため使うならダイパやバトレボ推奨。
BW以降ではちゃんと直っている。

何気に特攻もなかなか高く「あくのはどう」「10まんボルト」「れいとうビーム」「だいもんじ」等の特殊技も揃っているので、役割破壊目的の両刀や相性補完目的での特殊型もちらほら見かける。
必然的に特殊アタッカーが足りなくなりやすい砂パでは特殊型になる機会が多い。
SVでようやく「パワージェム」は習得したものの、相変わらず「メテオビーム」は覚えさせてもらえない。
万が一「メテオビーム」を習得してしまったら、特殊アタッカーとしても大きく開花して余計に対策が困難となってしまうため無理に習得させられないのではないかと思われる。

ちなみに同じく特性『すなおこし』を持つポケモンにカバルドンギガイアスがいる。
この2種に比べると砂嵐による特防補正とアタッカーとしての爆発力・撃ち逃げ性能を両立できるのが利点と言える。

隠れ特性は『きんちょうかん』。
きのみを潰せるなかなか有用な特性だが、ある意味バンギラスの強さの全てを支える根底とも言える『すなおこし』を捨ててまで欲しい効果か?と言われると、疑問符が付く。
砂パ以外でも採用の余地が出来たとはいえ、ぶっちゃけ実用性はかなり低め。
なお、下記のメガシンカ型ではたまに採用される事も。
ちなみに第七世代の公式大会「ポケモン危機一髪!」では半減実(と『じゃくてんほけん』)しか持てない都合上『きんちょうかん』の需要が高く、いわタイプの参戦率が物凄い事になっていた為普段と比べると『きんちょうかん』持ちバンギラスは数を増やしていたりする。要するに局地的なルールなら使える。
プテラは知らん

余談だが、伝説だらけのダブルバトル大会WCS2010では、一般ポケの中では最も使われた部類である。
鈍速ゆえの天候合戦・トリパへの強さや、ホウオウミュウツーに強く、シンオウの「りゅうせいぐん」を耐える点などが環境にマッチしていたからと思われる。


第二世代

初登場。
「いわなだれ」は元々の威力が低いため一致補正込みでも威力112と微妙かつ遅いので怯みの追加効果との相性も良くない、「かみくだく」は当時特殊攻撃なのでこちらも火力が微妙、とタイプ一致ワザの性能は微妙だった。
一方で攻撃力自体は高く様々な攻撃技を覚えられ、弱点を突けば幅広い相手にタイマンで勝利できるため、攻撃範囲を生かして(レベル的に強制的に)エースとして活用された。
「じばく」や「だいばくはつ」に強い上、パルシェンやナッシー、カビゴン、ハガネールなどを倒しやすいので、自爆技に頼ったパーティーに強い。
攻撃技は「いわなだれ」+「ばくれつパンチ」+「だいもんじ」+「じしん」などが定番で、流行やパーティーに合わせて「れいとうビーム」や「いやなおと」、「ねむる」、「10まんボルト」などが入ることも。

第三世代

特性『すなおこし』を取得したものの当時は砂嵐を活かした強力な特性や、いわタイプの特防強化の仕様がなく、
スリップダメージのせいでただ単に敵味方問わず邪魔にしかならなかった上、技の威力も半端なままのためマイナー気味であった。
ちなみに当時一番「りゅうのまい」を効率よく使えたポケモンだったりする。採用率?察しろ。
公式大会ではレベル50以下という制限がありフラットルールもなかったためカイリュー共々締め出しを食らった。

第四世代

「すなあらし」時にいわタイプの特防強化の効果等が追加され特性『すなおこし』の需要が増加。
さらに技も「かみくだく」などのあくタイプ技が物理化し、いわ技にも強力な「ストーンエッジ」が追加。
その攻撃力を存分に活かす事が可能になったため一気に活躍の場を増やす事になる。
砂ダメージのおかげでここから追加された『きあいのタスキ』にも強い。
というか第四世代後半以降ではトップメタと言われるまでに上り詰めた要注意ポケモン。全てのルールでトップクラスの強さを誇り、「バンギラスがマイナーなルールは存在しない」ということになる。まさに器用万能。
またフラットルールの導入により公式戦にも問題なく参戦できるようになった。

第五世代

他の天候の強化や砂パに有効なポケモンが増えた事から相変わらずトップメタ級の活躍を見せる。
この世代から参戦した強豪じめんタイプであるドリュウズランドロス等と組まれた日には悪夢。
しかしかくとうタイプ全盛期であったので、対策は要った。

第六世代

最大の天敵であるかくとうタイプがフェアリータイプやファイアロー等に徹底的にメタられた上に、
はがねタイプのあく耐性没収によるあく技の一貫性の増加等の追い風が吹いた。
一応自身もそのフェアリータイプに弱点を突かれるが、
四倍ではない上にかくとうタイプと比べるとややパワーとタフネスに不安が残るポケモンが多いため、かくとうタイプ程の天敵ではない。

さらにメガシンカも獲得。
攻撃は160を越え素早さも70族をギリギリ抜く数値に、自慢の特防もさらに磨きがかかる。
そして何より目を引くのが150という圧倒的な物理耐久。
これはあのガブリアスの「じしん」をタイプ一致にもかかわらずHP無振りでも確2に抑え込む物理耐久であり特殊だけでなく物理にもある程度対抗出来るようになった。
特防も上昇しているので砂嵐補正を含めた実質的な特防種族値は 無振りでも190 と化け物レベルになった。

このような強化から第六世代でも猛威を震う…と思いきや、
これ程まで強化されたにもかかわらず以前までの世代と比べると大幅に使用率は落ち着いてしまった。
その理由の一つが、それまで永続だった天候特性の5ターン制限化。
もっともバンギラス自体は場に長く居座るポケモンではないため単体での運用ではそれほど影響は無いが、それでも他の砂パ要員と連携がやりにくくなったのは痛い。

そして何より様々な環境変化によりラティオスを筆頭とした御客様な特殊アタッカーが軒並み環境から姿を消した事が大きい。
元より『苦手な相手はとことん苦手だが得意な相手に対しては確実に仕事をする』というスタンスのポケモンだっただけに、
『得意な相手がいなくなる』というのは彼にとって死活問題である。
メガシンカも強力っちゃ強力なのだがタイプも特性も変わらず純粋な種族値の強化に留まるため他の強力なメガ枠の影に隠れがちだった。
特にメガガルーラからは四倍弱点の「グロウパンチ」を『おやこあい』で2度撃ちされ相手のボーナスにしてしまう。

第七世代

フェアリーの蔓延に加え、新たな天候要員(『すなおこし』ギガイアス等)の追加もあり、バンギラスも勢いを失ってマイナーポケモンに落ちぶれてしまう。
一時期あくタイプが実質全滅状態だったのだが、バンギラスも否応なしに巻き込まれる結果となった。

しかしここでトレーナーはあるアイテムに目を向けた。そう、メガストーンである。
1ターンでも確実に天候をもぎ取れる・火力上昇・耐久上昇をアイテム一つで解決するメガストーンは、環境に生き残るにはうってつけだったのだ。
しかし『サン・ムーン』ではバンギラスが出現しない都合上、本格的な復帰はメガストーン解禁を待つ事になった。

解禁後は勢いを取り戻し、『US・UM』ではガブリアスを超える採用率を誇っている。あちらが勝手に凋落しただけだが
但し同じ600族でメガ枠にもなれるメタグロスも幅を利かせている状態なので過信は禁物である。
また、今までの環境よりもメガストーン所有率が高く若干行動が読まれやすくなっている点にも注意。そこは多彩な技範囲でカバーしたい。

第八世代

大幅な環境の刷新によりメガシンカを失ったものの特殊方面への強さは据え置き、カプ系を筆頭とする天敵であったフェアリータイプ、かくとうタイプのポケモンが激減するなど数々の相対的な強化を受けた。
新要素のダイマックスとは一致技の追加効果が微妙*2なこと以外は非常に相性がいい。
まずバンギラス最大のネックであった一致技の威力・命中率が改善される、
実質的に耐久力が倍増することにより弱点を突かれても余裕で耐える硬さを得るなどバンギラスにとって最大限にプラスに働く要素が多い。
努力値の調整次第ではなんと一致かくとう技も耐えてくるほど。
さらに弱点の多さを逆手に取り、
じゃくてんほけん』を持たせることで平然と耐えたうえでローリスクで火力を上げてくるというとんでもない立ち回りをすることも可能であり、
付いた渾名は「保険金詐欺」。
結果メガシンカを失ったにもかかわらず使用率は10位以内にまで上がることとなり、完全にかつての勢いを取り戻した。

だがリベロエースバーンの登場により数を減らしていき、ウーラオスの登場で弱保型は激減した…と思いきや案外残っている。

その後もそこそこな順位をキープし続け、禁伝環境では使用率トップ10を維持し続けていた。

第九世代

無事続投。
テラスタルによってかくとう弱点を消すなど面白い立ち回りが出来るようになった一方、
いわタイプ以外になると特防1.5倍の恩恵を失い、更にいわ・はがね・じめんタイプ以外になると自分の起こした砂でダメージを受けるようになってしまうので注意。
どこからともなくかくとうテラバーストが飛んでくる可能性も含めて、少し考えて動かす必要が出てきたと言える。
……身もふたもないことを言ってしまうといわ以外にテラスタルすると性能がガタ落ちしてしまうため、テラスタルとの相性はお世辞にもよろしくない。

さらに加えると、第9世代のバンギラスは(特にシングルバトルでは)今までと打って変わって厳しいと言わざるを得ない。
テラスタルとの相性の悪さもそうだが、SVの環境は第6世代以上に物理環境であり、役割対象が激減しているのである。
更にいわタイプの新顔として追加されたキョジオーンが、強種族値・強技・強特性でその立場を脅かす。
更に更に、技マシンの削除により「ばかぢから」を没収されるという憂き目に遭う、はがねテラスタルの流行によるいわタイプの地位低下、砂パの相棒ドリュウズのリストラなどなど、逆風が吹きまくっている状況である。
あく物理として見ても、新たに台頭したドドゲザンがより環境に適しており、そのドドゲザン対策のかくとう技であっさり落とされかねないのが困りもの。
そのせいで「きあいだま」を持っていないサザンドラ相手が関の山と言う、時代を築いた600族とは思えぬ凋落を起こしてしまった。

実を言うと単純に環境に嫌われているだけであって、バンギラス自体に直接的な弱体化は一切施されていない。そもそもバンギラス自体特性「すなおこし」、高い種族値とカスタマイズ性、あくタイプ特有の「いたずらごころ」耐性等元々の強さは健在であり、あくまでもテラスタルとの相性が致命的に悪いところと役割対象がいても他のポケモンで代用されやすいのが原因なだけである。
なお、これは第7世代当時のガブリアスにも同様のことが言える。

一応、パラドックスポケモンが解禁されたシリーズ2以降は役割対象がある程度増え、前世代までのようなバリバリのトップメタの一角とはいかないまでもある程度は環境に顔を出すようになってはいる。
シリーズCでは四災が解禁され、特に特殊火力に優れたイーユイに有利というメリットがあるものの、四災全員がトップメタ~準トップメタに入った結果かくとう技(とむし技)の需要が上がったという逆風を受けてしまい結局伸びなかった。

その後は現在に至るまでレギュレーションGでは50位前後、レギュレーションHでは30位前後(いずれもシングルの使用率)をウロウロしており、今までの活躍ぶりを考えるとかなり大人しい位置にある。
「碧の仮面」でなんと「はたきおとす」を習得可能になり、加えて「藍の円盤」でドリュウズが帰還したのだが
そもそもいわタイプが受けとしてきつすぎる*3環境にもかかわらず、耐性変更狙いのテラスタルが活用できないという点がかなり大きく響いていると言える。


一方ダブルバトルではコノヨザルヘイラッシャイダイナキバテツノカイナなどの新顔を苦手とするものの、
ダイマックスが無くなった事で「いわなだれ」を振り回して怯ませる戦法が復権しており、「すなかき」持ちの昼ルガルガンと組んだ『バンギルガン』構築が一定数結果を残している。
グレンアルマテツノドクガヤミカラスコータスなどの役割対象にも困らない、ハカドッグの「おはかまいり」がさらに威力を増す点からシングルと比べて動きやすいだろう。
こちらでもドドゲザンに若干劣る順位ではあるがほぼ同等と言えるレベルなので、悪枠を狙うライバルとし鎬を削っている状況である。


バンギラス「某怪獣王とは一切関係はありません」



■進化前 サナギラス


体内でつくりだしたガスを圧縮して勢いよく噴射することで飛んでいく。鋼鉄にぶつかっても平気なボディだ。


全国図鑑No.247
分類:だんがんポケモン
英語名:Pupitar
高さ:1.2m
重さ:152.0kg
タイプ:いわ/じめん

[特性]
『だっぴ』
ターン終了時に30%の確率で状態異常が回復する。

隠れ特性
『だっぴ』
何と通常特性と同じである。
同じ600族の進化前で『だっぴ』持ちのハクリューには『ふしぎなうろこ』が追加されたのだが…

[種族値]
HP:70
攻撃:84
防御:70
特攻:65
特防:70
素早さ:51
合計:410

[努力値]
攻撃+2

4倍:くさ/みず
2倍:こおり/かくとう/じめん/はがね
1/2:ノーマル/ほのお/ひこう/いわ
1/4:どく
無効:でんき


進化前。岩盤のような硬い殻で全身を覆った状態。内部では既に脚が形成されている。
サナギのような外見に反して気性が激しく、圧縮したガスを噴射して自由に飛び回る。
本体の強い力と鉄鋼にぶつかっても壊れない殻の頑丈さにより、山をも崩してしまう。

サナギ型の癖にそこいらの序盤虫の中間進化は元より下手したら最終進化形より強いような…

進化後のバンギラスとはタイプと特性が異なるのが特徴。
じめんタイプのため「じしん」の威力は進化後を上回り、「でんじは」「ボルトチェンジ」等も無効。
ドサイドンゴローニャとは『だっぴ』や「りゅうのまい」、『しんかのきせき』等で差別化したい。
物理アタッカーの天敵である「おにび」に強く、不安定ではあるが「ねむる」による全回復も狙える。
なお、最速で「りゅうのまい」を1度積んだ際の素早さはガブリアスと同等である。

名前に「サナギ」とついているからかポケモンスタジアム金銀では、ジムリーダーの城(表)にてツクシの手持ちポケモンに抜擢されている。
そのタイプ上、むしタイプとの相性補完に優れており、舐めてかかると痛い目を見る。

VC版第二世代の対戦では『しんかのきせき』や特性システムがないにもかかわらず割りと真剣に議論されている。
いわ/じめん複合タイプ中では明らかに対戦向きではないイワークに次いで素早いこと、ゴローニャやサイドンとは技範囲が異なること等が理由と思われる。

■アニメのバンギラス一族


見た目に違わずというべきか、悪役として登場する頻度が多い。
特に映画『時を超えた遭遇』のビシャスやAG編ロケット団アーボックマタドガスお別れ回に登場したポケモンハンター・リョウの個体の暴れっぷりを連想する人も多いだろう。
一方で、強力なポケモンだけあってヒロシ*4アランシゲルらライバルキャラの手持ちとしての登場機会も多い。

また、金銀編後半にサトシ達が保護したタマゴから孵ったヨーギラスが一時期旅に同行していた。(CVは伊東みやこ)
まだタマゴだった時に密猟者達によって無理矢理母親のバンギラスから引き離され、その後も保護されるまで恐ろしい目にあったことで人間不信となり生きる意志を失くしていた。
はじめはサトシにしか心を開かなかったが、様々な体験を経て成長していき、最後には因縁の密猟者達から母親を救い出し、故郷のシロガネ山に帰っていった。
ゲットしたわけではないためサトシの正式な手持ちではないが、OPにも何度か登場したほか、新無印編でピカチュウが見たサトシの歴代の仲間のポケモン達の回想の中にも姿がある。

■その他


ポケモンGOでは金銀組の実装に伴い追加された。
カイリューをも凌駕する3800超えのCPを持ち、当時の一般ポケモンとしては最大のCPを誇った*5
上限解放要素のアメXLの実装以降はその最大CPは4335にまで跳ね上がっている。
2023年7月に解禁されたメガシンカにもなると最大CP6045と、他メガシンカ組はおろか伝説クラスすら軽く凌駕する圧倒的な数値に。

しかし、その破格の戦闘力とは裏腹にジムにおいてはかくとうタイプに弱すぎること、弱点が多すぎて他のついでに狩られやすいことが仇となり絶望的なほど防衛には向いていない。
ジムではハピナスを筆頭とした超耐久を持つノーマルポケモンが跋扈しており、それらを対策できるかくとうタイプの需要が非常に高いためである。
バンギラスに限らずカビゴン、ボスゴドラ、ドサイドン等のゲーム本編で素早さを抑えてその分を他のステータスに振った所謂重戦車型ポケモンはCPが高くなりがちで、加えてそれらは悉くタイプがいわ、はがね、ノーマルなどかくとうタイプが一貫している。
CPが高いからと無計画に使うと他チームのおやつになりがちなので、ハピナス系統、カビゴン、ガチグマ以外かくとうタイプに弱いポケモンをジムに置くのはやめておくべきである。同じ高CPのあくタイプにジム防衛をさせたいなら、それこそどく/あく複合のアローラベトベトンの方が適任なのは言うまでもないだろう。素直にジムやレイドバトル、GOロケット団の攻略に専念させてあげよう。

その一方で、レイドバトルに伝説のポケモンが実装されるとバンギラスは「伝説キラー」と呼ばれ、その需要が急増することになる。
伝説には三鳥を始め、ミュウツールギアホウオウレックウザギラティナなど禁止伝説級を含めても凡そ大半のポケモンに対していわタイプとあくタイプの組み合わせで弱点をつくことができ、持ち前の耐久性とエスパー、ほのお、ひこう、ゴーストなどへの耐性面でも有利。
レイドバトルに参加したトレーナーが全員一匹目にバンギラスを繰り出す、という光景も珍しいことでは無かった。
とは言ってもこれらのポケモンに対して無双できるわけではなく、ミュウツーやレジアイスは「きあいだま」、ルギアは「ハイドロポンプ」、ホウオウは「ソーラービーム」など、伝説側がこちらに有効打を持っている場合もあるので、気を付けないとこちらのHPが一撃で消し飛ばされてしまうこともある。これもあるため、スワイプして技回避することは普段からできるようにしよう。技回避できれば受けるダメージを軽減できるため、プレイヤースキルの向上にもなる。
もちろん、スイクンレジスチルコバルオン等バンギラスが苦手なポケモンもいるためそれらを相手にする時はバンギラスの使用は厳禁。まぁあれだけ有利不利がはっきりしているから当然っちゃ当然だが。
要するに、適材適所である(これはバンギラスに限らずすべてのポケモンに言えることだが)。

ジム攻略では、ジムによくいるギャラドスソーナンス、メタグロス、トゲキッス等といった高耐久や高CPの強豪にタイプ一致で弱点を突けるためやはり需要は大きい。もちろん弱点が多いため技の回避は普段からできるようにしておこう。特に「ハイドロポンプ」、「ばかぢから」、「コメットパンチ」、「はどうだん」、「マジカルシャイン」は直撃したらほぼ確実に返り討ちにされる。

その戦闘力の高さはGOロケット団も目をつけており、違法なプログラムで強化したシャドウポケモンとして立ち塞がったバンギラスはただでさえ高いステータスがさらに高くなり、有利を取れなければこちらが落とされる確率が高い。
特にリーダー クリフの切り札の個体はシャドウポケモンでありながら耐久力も大幅に上がっており簡単には落とせなくなっている。当然火力も馬鹿にならないので、カイリキー等かくとうタイプを使い短期決戦で決着をつけよう。

ちなみにシャドウバンギラスは特定のGOロケット団員および幹部からシャドウヨーギラスをゲット、育成することでプレイヤー側も使用可能。ただし出現期間はシーズンごとに変化し、現在は入手不可能。
シャドウポケモンの性質上厳選難易度は通常バンギラスより高く、育成コストも割高、一致スペシャル技の入手にも一手間がかかると育成はかなり大変だが、防御低下を代償として元から高かった技の威力が更に強力になっており、その戦闘力の高さは一級品。伝説レイドやロケット団戦などで、強化された攻撃力を存分に発揮しよう。
ただし、シャドウポケモンはメガシンカできないという難点があり、シャドウ個体とメガシンカ個体はそれぞれ分けて育成する必要がある。

かつてはヨーギラスがシャドウポケモンとして恒常的に登場していた*6関係上、ピックアップ出現等がない状況では全ての600族のポケモンの中で最も入手難易度が低いポケモンだった。
しかし2022年11月、シャドウポケモンの枠変更によりヨーギラスの枠がイワークに差し替えられてしまい、次回の枠変更により再浮上する可能性もなくはないとはいえ現在は一からの厳選難易度は他の600族同様上がってしまっている。

現在はいわタイプとしてはドサイドンやテラキオン、あくタイプとしてはサザンドラといったより素の状態のバンギラスより高い火力を出せるライバルが増えているものの、バンギラスは高い耐久性と汎用性、艦隊*7の作りやすさでライバルとの差別化はできる。
2023年6月のアップデートで最強クラスのあくタイプ技「ぶんまわす」を習得しており、火力・耐久共にあくタイプとして最高峰のポケモンへ上り詰めている。
素の状態でも非常に強い上にサザンドラと違って「ぶんまわす」を通常習得可能なのがうれしいが*8、ここにメガシンカorシャドウポケモン補正を加えると、文句なしの最強火力のあくタイプと化す。

星3レイドボスとしてバンギラスが登場することもあるのでそちらで狙うのもあり。ただしこちらは協力者がいないと少し難易度が高いが、元々バンギラス自体高個体やアメなどの需要が高いので参加者は出やすい方。格闘タイプをしっかり育てていれば2人や3人、極めればソロでも討伐可能。

総じて有利不利が明確でありタイプ相性を学ぶのにうってつけなので、そういった意味でも初心者おすすめポケモンの1匹とも言える。




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最終更新:2025年06月07日 20:59

*1 当時の「じしん」習得レベルは61と高く、当時はフラットルールもなかったため、対戦に出場可能なレベル55までに覚えさせたい場合は進化キャンセルをしてヨーギラスをレベル50まで育てるかタマゴ技化が必要

*2 岩技の「ダイロック」は元からある砂起こし効果、悪技の「ダイアーク」は特防ダウンと物理型では意味がない

*3 耐性がピンポイントな割に弱点がメジャーだらけ。これが原因で同じいわタイプの強豪であるドサイドンは採用率圏外を突き進んでしまっている

*4 サナギラス止まりでニックネームはクルーズ。

*5 現在はケッキング、ガブリアス、ガチグマに次ぐ4位

*6 ミニリュウもシャドウポケモンとして恒常的に登場するが、ドラゴンタイプのしたっぱ自体出現率が低い

*7 同じポケモンを6匹揃えたPTのこと、あくまでも非公式の呼称

*8 特に通常個体で比較してもサザンドラとの火力差はほぼ誤差レベル