短期集中表紙連載(ONE PIECE)

登録日:2024/11/13 Wed 01:15:00
更新日:2025/04/19 Sat 20:01:09
所要時間:約 15 分で読めます




短期集中表紙連載とは漫画ONE PIECE』のサイドストーリーを扉絵(各話表紙のイラスト)で表現したものである。


【概要】

『ONE PIECE』において過去に登場したキャラクターの後日談を扉絵で表現したもので、『表紙連載』『扉絵連載』と読者から言われることもある。
基本的に感嘆符や疑問符などが用いられることはあるが、台詞が掲載されない*1のが大きな特徴といえる。

ここに主役として取り上げられたキャラクターは後に本筋に絡む可能性が高く*2、本編での重要な伏線が描かれていることも多い。
そのため、本編同様に注目している読者も少なくない。
一方、本筋には直接関わらない話なので目を通していなくても話がわからない、ということにはならない。
後に本編に関わる話の場合にも、その時にはちゃんと本編内で出来事を説明される。

ガープヒナ、ケイミー&パッパグ、ミルク売りのモーダ、プリンス・グルス、孔雀など後に本筋に関わることになるキャラクターが、この扉絵連載で先行登場しているケースもある。

連載期間は全40話以上と完結に一年前後かかったものもあれば、超新星編終盤の離散した麦わらの一味のその後を描いた2話完結のものなど、千差万別。

また、扉絵連載が連載される直前に麦わらの一味が関わった人物の後日談が『あの人は今』という番外編で描かれることもある。
第9弾『エネルのスペース大作戦』の直前にスカイピアの面々、第10弾『CP9の任務外報告』の直前にW7の面々の後日談が描かれた。

なお、アニメ版では扉絵連載の話が作られたのはごく一部のみで、大半は未だアニメ化されてないのが現状。
現在の日曜朝9時30分の枠に移行して以降、特番などによる放送休止が殆ど無くなった影響による原作への追い付きと慢性的な引き伸ばしが長年に渡って続き、更には時代の変化で完全新規のアニオリ制作も厳しくなっている中、「なぜ尺稼ぎにぴったりな扉絵連載をアニメ化しないのか」という声も少なくなく、ジャンゴやはっちゃんのようにアニメでは何の前触れもなく再登場となってしまった例もあるのだが、これは台詞が一切無い上に要点となるシーンしか描写されず説明も最小限なので、一部キャラの性格や話し方、細かい設定などがわからない以上、アニメ独自の解釈で下手にアニメ化できないというのが理由かもしれない。
事実、初期に扉絵連載がアニメ化された際には、後の原作の展開と矛盾するオリジナル描写*3が存在してしまっているのも大きいか。

【短期集中表紙連載一覧】

項目作成時点(2024年11月)では第26弾まで描かれている。

◇超新星編

1.『バギー一味冒険記』

(単行本4巻第35話~単行本9巻第75話)(全28話+番外編2話)

オレンジの町にてルフィに吹っ飛ばされたバギーと、バギー一味のその後を描いた後日談。
本編初登場時は醜女だったアルビダの美女化が判明し、アルビダとバギーがルフィ追跡という共通の目的により海賊同盟を結成、後に…。

2.『コビメッポ奮闘日記』

(単行本10巻第83話~単行本14巻第119話)(全30話)

シェルズタウンで海軍入りを志願したコビーとモーガンの失脚により後ろ盾を失ったヘルメッポの後日談。
モーガン護送の際にコビメッポは本部中将のガープと出会い、ガープの計らいで海軍本部に栄転することになる。

3.『ジャンゴのダンス天国』

(単行本14巻第126話~単行本19巻第172話)(全37話)

クロネコ海賊団に置き去りにされたジャンゴのその後を描いた後日談。
後に親友となるフルボディと出会い、紆余曲折を経て当時海軍本部大佐だった女性将校黒檻のヒナの下、海賊から海軍への転身を決意する。

4.『はっちゃんの海底散歩』

(単行本20巻第182話~単行本25巻第228話)(全40話)

麦わらの一味に敗北後、海軍に拿捕されたアーロン一味だったが幹部の一人はっちゃんは護送船から脱出することに成功した、はっちゃんの後日談。
人魚のケイミーやヒトデのパッパグに出会い、最終的に海賊を廃業したこ焼き屋へと転身することになる。

マクロ一味はここが初登場。
ただし、本編での関わりは端役でしかないが。

5.『ワポルの雑食バンザイ』

(単行本25巻第236話~単行本28巻第262話)(全23話)

ドラム島でルフィにぶっ飛ばされたワポルの後日談。
故郷から遠く離れた南の海のとある土地で地位を無くしホームレス生活を強いられるワポルだったが、自身の能力で玩具を発明して日銭稼ぎをした際に新合金『ワポメタル』を編み出していた。新素材のおかげでワポルは一気に大金持ちになり、ミス・ユニバースのキンデレラと結婚するまでに至る。

新世界編ではワポルが立ち上げた王国が、世界政府加盟国の一つとして認められるまで成り上がり、世界会議への参加権を獲得するまでに至る。

6.『エース黒ひげ大捜査線』

(単行本29巻第272話~単行本32巻第305話)(全29話)

アラバスタでルフィと別れたエースの後日談。
仲間殺しの大罪人ティーチの情報を入手するためにエースは海軍基地に潜入、どうにか黒ひげの情報を入手することに成功する。

後に革命軍の一員となるミルク売りのモーダはこの連載で初登場している。

7.『ゲダツのうっかり青海暮らし』

(単行本33巻第314話~単行本37巻第348話)(全32話)

スカイピアにてチョッパーとの戦闘後に青海に落下したことでエネルからの粛清、並びに雲流しの刑を免れたゲダツの後日談。
アラバスタ近辺の島に落ち、反乱軍のリーダーだったコーザの親戚・ゴローと出会う。温泉を探しているゴローに協力し、出会った仲間の協力を得て見事掘り当てた。建設後の温泉施設で温泉番長番頭となった。

8.『ミスG.Wの作戦名ミーツバロック』

(単行本38巻第359話~単行本43巻第413話)(全42話+番外編1話)

リトルガーデンにてMr.3に置き去りにされたミスゴールデンウィークらの後日談。
新聞でBW壊滅を知ったことで、ゴールデンウィークらは監獄にかつての仲間を救出に行くことを決め、最終的に一部の仲間を救出、脱獄組と喫茶店「NEWスパイダーズカフェ」を開業する。
だが、ボスのクロコダイルMr.1は脱獄を拒否し監獄に留まる。

後にMr.2ボン・クレーとMr.3も新たに投獄され、Mr.0~Mr.3までの4人はインペルダウン行きと旧BW幹部のその後は完全に二分されることになる。
投獄組は後にエース救出のためインペルダウンに乗り込んできたルフィと再び深く関わることになり、やむなくインペルダウンに残ったボン・クレー以外は頂上戦争を経てそこからまた二分されることになるが…

9.『エネルのスペース大作戦』

(単行本44巻第428話~単行本第49巻第474話)(全38話)

スカイピアにてルフィとの戦闘で敗北したエネルの後日談。
ボロボロの状態でそれでも独りマクシムを起動させ旅立ったエネルは、先祖がいたという限りない大地(フェアリーヴァーズ)こと、へ到達する。だったら余計な空島の破壊活動なぞ行わず出ていけばよかったのでは…
月面で宇宙海賊を殲滅したことで謎のロボットスぺーシーに勝手に忠誠を誓われたエネルは謎の遺跡を発見、古代のロボットを自身の能力で攻撃した所、ロボットが復活。復活したロボットもスペーシーと同じくエネルに恩を感じたのか、エネルに忠誠を誓いエネル軍団が結成されるのであった。

10.『CP9の任務外報告』

(単行本50巻第491話~単行本54巻第528話)(全33話)

司法の塔の決戦で麦わらの一味に敗北したCP9の後日談。
ブルーノのドアドアの能力によりCP9の7人全員辛くも難を逃れるが、ロブ・ルッチはルフィとの死闘により意識不明の重体であった。更にスパンダムが任務失敗の責任を押し付けたことでメンバーは政府から追われる身になってしまい、CP9メンバーはエニエス・ロビーから脱出、海列車のレールを歩いてセント・ポプラという町に辿りつく。
そこで6人が治療費を稼いだことでルッチは治療を受け、無事に意識を取り戻した。
ルッチの意識回復後に町を襲撃した海賊団を撃退し、撃退した海賊団から船を奪って故郷に帰還するが、帰還後すぐに海軍や政府の追手が故郷に来襲するもCP9メンバーは追手を容易に撃退して海軍の軍艦を奪いどこかへと姿を消した。

新世界編ではメンバー7人全員と一応スパンダムもCP0へと昇格している。

11.~18.(各2話)

  • 11.サンジの地獄よりお気を確かに』(単行本56巻第543話・第544話)
  • 12.ロビンのひどい事するわ』(第545話・第546話)
  • 13.フランキーの今週のおれダメだ』(第548話・第549話)
  • 14.ウソップの一人じゃ死ぬ病』(第550話・第551話)
  • 15.チョッパーの食いモンじゃねェぞ コノヤロー』(単行本57巻第552話・第554話)
  • 16.ナミのウェザーリポート』(第555話・第556話)
  • 17.ブルックの一宿一パンツのご恩返し』(第557話・第558話)
  • 18.ゾロのあいつらどこだ世話がやける』(第559話・第560話)
これら8つのシリーズはシャボンディ諸島にてくまにより離散した麦わらの一味8人のその後を描いた後日談。
一人2話ずつ掲載された。
第11弾~第14弾までは単行本56巻に、第15弾~第18弾までは単行本57巻に収録されている。
この第18弾までが超新星編で描かれた短期集中表紙連載である。
アニメ版ではオリジナルストーリーも交えて1人ずつ1話で描かれた。


◇新世界編

19.『世界の甲板から』

(単行本62巻第613話~単行本68巻668話)(全48話)

超新星編で麦わらの一味が関わった作中登場人物の2年後の様子を描いた扉絵連載。

20.『カリブーの新世界でケヒヒヒヒ』

(単行本68巻第674話~単行本73巻第731話)(全46話)

魚人島に残されたカリブーの後日談。
懲りずに人魚を攫おうとするもジンベエに成敗され、紆余曲折を経てとある島へ辿り着く。島で圧政を敷いていたスコッチを倒して島の英雄となるが、突如現れたX・ドレークにカリブーは連行されてしまう。
連行されたカリブーは後にワノ国の囚人採掘場にてルフィと再会している。

21.『ジンベエの海侠一人旅』

(単行本75巻第751話~単行本78巻第785話)(全28話)

魚人島で麦わらの一味と別れたジンベエの後日談。
魚人島で人魚を誘拐しようとしていたカリブーを成敗し、海軍に引き渡した後は、ワダツミの引き起こした騒動を解決したことで歴史の本文を発見。
当時、ビッグ・マムの傘下であったジンベエは発見した歴史の本文をビッグ・マムに献上することになる。

22.『世界の甲板から 5億の男編』

(単行本80巻第805話~単行本83巻第838話)(全25話)

ドレスローザにてドンキホーテ・ドフラミンゴを討伐して5億の賞金首になったルフィや麦わらの一味に対する周囲の反応を描いた扉絵連載。
第19弾のドレスローザ編終了版だと言える。

23.『押しかけ麦わら大船団物語』

(単行本86巻第864話~単行本91巻第919話)(全46話)

ドレスローザにて勝手に麦わらの一味の傘下宣言をした海賊達(+傘下にはならなかったが一応ルフィのビブルカードを貰ったベラミー)のその後を描いた後日談。
だが、そのうちの一人であるルフィの狂信者はとある島でその島を縄張りとしている四皇旗を燃やすというとんでもないことをしでかしていた。
結果、後にその四皇にケジメをつけさせられる羽目に……。

24.『“ギャング”ベッジのオーマイファミリー』

(単行本94巻第948話~単行本98巻第998話)(全37話)

万国編で麦わらの一味と同盟を組んだカポネ・ベッジ率いるファイアタンク海賊団の後日談。
ベッジの妻シフォンが妹のローラとの再会を希望し、ファイアタンク海賊団はスリラーバークに向かおうとする。
しかし、偉大なる航路前半に位置するスリラーバークに行くためには赤い土の大陸を越える必要があったが、世界会議開催中により警備が厳しい赤い土の大陸を越えるのは困難で、やむを得ず(食糧の補給も兼ねて)ドレスローザに上陸。
そのドレスローザでローラが訪れているという情報を入手したシフォンたちは海軍と一騒動あったものの、無事にローラたちと再会。ローラは自身を助けてくれたペッジの部下・ゴッディに惚れ求婚、ゴッディも承諾したことで二人は夫婦となった。

また、グリーンビット近海に漂流していたパウンドがトンタッタ族に発見・救助される形で娘たちと再会。一度は信じてもらえず逃げられるものの、海軍の砲撃の中をバタフライで泳ぎながら、証拠となる写真を提示した事で、ようやく娘たちからは父親と信じてもらえた。
そして海軍からの砲撃を祝砲代わりに船上でローラとゴッティの結婚式を挙げ、新しい家族(ファミリー)として結成されたファイアタンク海賊団は航海を再開したのだった。

尚、SWORD所属のプリンス・グルスと孔雀はこの扉絵連載に本編に先がけて登場している。

25.『ジェルマ66のあゝ無感情海遊記』

(単行本102巻1035話~単行本107巻第1078話)(全33話)

万国編で麦わらの一味と深く関わったジェルマ66の後日談。
ジャッジ、イチジ、レイジュの3人はなんとか脱出に成功するが、ニジとヨンジは万国にて囚われの身となってしまう。
レイジュとイチジはビッグ・マム海賊団残党を振り切り、なんとか弟2人の救出に成功するが、そこで逃げそびれたシーザーとも出くわし、シーザーもジェルマと行動を共にすることになる。
ジェルマに帰還後、因縁のあったジャッジとシーザーは当然口論になるが、揉めていた原因がベガパンクだったと思い出して和解、『NEO MADS』を結成した。

ジェルマの救出劇の裏側では、ビッグ・マム海賊団側から見た、黒ひげ海賊団との小競り合いも描かれ、プリンが拉致され、その後すぐに本編で拉致られた後が描かれるなどワプワプの実の便利さスピーディーさも際立った。
尚、クザンが黒ひげ海賊団の正式メンバーだと判明したのはこの扉絵連載である。

26.『鬼の子ヤマトの金稲荷代参』

(単行本109巻第1109話~連載中)

カイドウを討伐し、麦わらの一味が出航した後のワノ国の様子を描いた後日談。
ヤマトは自身の憧れであるおでんと同じようにワノ国を漫遊しようとする。



追記、修正は扉絵連載が画期的な発明だと思う方にお願いします。

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最終更新:2025年04月19日 20:01

*1 タイトル表記の際に鍵括弧の中でキャラが台詞を発したり、単発的な台詞は英語のアルファベットで表記されたりする事はある。

*2 超新星編以前で扉絵連載の対象となったキャラで現時点で本編に登場していないのはゲダツとエネルの空島組だけである。

*3 海を自由に行き来できる海軍の船がリヴァースマウンテンから偉大なる航路に入ったり、ルフィが祖父ガープの新聞記事を見ても反応を示さないなど。もっとも、当時はこれらの設定は原作で明かされてなかったことは留意