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*ファイアーエムブレム 覚醒 【ふぁいあーえむぶれむ かくせい】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|&amazon(B006QGGOGQ)| //廉価版の画像は基本的に載せない |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|2Gbyte3DSカード|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|パッケージ/本体同梱:2012年4月19日&brダウンロード:2013年1月30日|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,800円&br本体同梱:19,800円(各税込)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |廉価版|ハッピープライスセレクション&br;2016年9月15日/2,700円|~| |判定|なし|~| |ポイント|FE再起のきっかけ&br;育成の自由度が高い&br;戦闘バランスがやや粗削り&br;UI、アニメーション、BGMは高評価&br;''任天堂初の課金コンテンツが存在''|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| //恋愛関連は、聖戦などでも割と大きくピックアップされており、本作独自とは思えなかったので削除。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ファイアーエムブレムシリーズの第13作目で、『[[暁の女神>ファイアーエムブレム 暁の女神]]』から実に5年ぶりとなる、久々の完全新作。~ 謳い文句は「超集大成」。22年間培ってきた様々なシステムや要素が盛り込まれている。 ---- **特徴 -本作は多くのFEシリーズのシステムを融合、またはアレンジして搭載している。 --『[[外伝>ファイアーエムブレム 外伝]]』『[[聖魔>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]』のフリーマップ、『[[聖戦>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の結婚システム、スキル、支援会話、錬成など。 -「絆」をテーマとした新システム、ストーリー構成 --キャラ同士を隣接させることで「''デュアル''」という特殊な支援効果が発生。従来のものに近いパラメーター増強に加えて、一定確率でデュアルアタック(反撃なし・射程不問の追撃)&デュアルガード(敵の攻撃のノーダメージ化)が発生するなどのサポートを受けられる。 --また、キャラを隣接させると「''ダブル''」というコマンドを使用出来る。これは隣接したキャラの後衛に付くことで、ダブルを受けたキャラのステータスを上昇させ、かつ常に「デュアル」を受けている状態にさせることができる。言い方を変えれば「あるキャラを使えなくする代わりに別のキャラのステータスを強化する」というもの。 ---従来でも「かつぐ」「救出」といったユニット同士の合流システムは存在したが、いずれも合流している間はステータスが下がるため戦闘面ではデメリットが大きかった。 -過去作と共有されている世界観。 --今作の舞台となるイーリス大陸、およびヴァルム大陸は、『[[暗黒竜>ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』『[[紋章>ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』のアカネイア大陸、『外伝』のバレンシア大陸と同じ形状をしており、同作の遥か未来を描いていると推測されている。 ---あくまで匂わせる程度であるうえ、今作のストーリー核心に深く関わるわけではないので、新規の感情移入を妨げるものではない。酷似した過去を持つパラレル設定と解釈しても特に問題はない。 ---他にも、『紋章』の主役である「マルス」を名乗るキャラや、『[[蒼炎>ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡]]』の主役「アイク」の末裔を名乗るキャラなど、過去作を知るプレイヤーへのアピールが随所に盛り込まれている。 ***DLCについて -任天堂作品としては初めて有料DLCが採用された。 --今作では過去作のキャラクターと戦ったり協力したりするマップ、資金を大量に得られるマップ、レアアイテムや有料DLC限定アイテム・クラス・スキルを入手できるマップなどを購入することができる。任天堂2012年3月期の予想売り上げ高が初の経営赤字をあげていたこともあってか、メディアからも非常に注目された。 --DLCは11月22日に完結。第一弾は異界の魔符シリーズ(7月26日に完結)、第二弾は神軍師への道シリーズ。 ---2023年3月28日にニンテンドーeショップが終了したため、現在は購入不可能となっている。 **その他 -本作の輸送隊には同一のアイテムの保管数上限が設定されていないらしく、表示上は99個でカンストするが、その気になれば金塊(小)や武器を数百、数千個単位で保管することが出来る。 内部で切り捨てられてしまうというようなことは無く、ちゃんとカウントされているため実際に預けた数だけ引き出せる。 -「おまかせ」という、設定しておけば全キャラをAI操作で戦わせることが出来る機能が搭載された。恐らく『外伝』『蒼炎』、『暁』などに存在していた「命令」が発展したシステムであろう。 今作の場合、育成が極まった状態で使用した場合はなかなか有用で、武器節約によって耐久無限と化したラグネルやスワンチカを引っさげた疾風迅雷軍団がDLC「金と銀」の敵を踏みつぶしていってくれるため、手動でやるより圧倒的に早くたくさんのお金を回収することが出来る。 ---- **評価点 -インターフェースの充実。 --DS2作とは反対に上画面がメイン画面となり、下画面にユニットのステータスなど情報が表示される形式になった。 --下画面のデータをタッチするとその項目の説明(例えば武器ならその性能)が表示される様になり、どの画面からでも素早く説明を観ることができる。 ---ただしこれによりタッチ操作オンリーでプレイすることはできなくなった。 --その他、全体的なUIは評価の高いDS作品を踏襲しており、非常に快適にプレイできる。 -やりこみ要素の充実。 --今作はフリーマップで自由に経験値やお金を稼げるため、それを利用したチェンジプルフを使ったクラスチェンジや、スキル収集、支援会話収集など、やりこみ要素が豊富。 --特に支援会話の数は歴代最多。結婚システムも相まってコンプリートを目指すとなると相当な周回プレイが必要となる。 ---FEの醍醐味の一つであるカップリングの自由度が非常に高く、特に主人公の一人「マイユニット」は自分の子供以外の''全ての異性と結婚が可能''。結婚時には専用の一枚絵まで用意されており、''別のジャンルのゲーム''かと見間違えるほど。 ---結婚をすると髪色やスキルなどに夫婦の特徴を備えた子が生まれ、そして未来からやってきた子と出会い、共に戦う事ができる。 ---また、支援会話によって各キャラの背景が明かされる事もあり、それを目的に支援を組むプレイヤーも多い。 ---しかしそういった、言わば世界観に深みが増す類の会話は僅かで、殆どはキャラ同士のたわいもない会話であるため従来のFEのような雰囲気を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。 --他にもすれちがい通信を行う事によって、他のプレイヤーと対戦したり物の売買を行う事も出来るなど、3DSならではの要素も。 -アニメーション、サウンドは高レベルで纏まっている。 --デザインは漫画家のコザキユースケ氏、サウンドは『大神』で知られるコンポーザーの近藤嶺氏、FEシリーズお馴染みの辻横由佳氏、初参加となる森下弘生氏の3人。 --サウンドは世界観の魅力を損ねることなく、高い評価を得ている。特にラスボス戦の曲「I~為」はシリーズ屈指の名曲と専らの評判である。 ---また任天堂のゲームでは数少ないサウンドトラックも発売されており、多くのファンから好評を博している。((当初は一部を選抜したバージョンがクラブニンテンドーの景品として出されたのだが、曲選に不満がある意見も多かったためか後に全曲収録版が発売された。)) --キャラクターデザインは概ね1~2作程度で頻繁に変わっているが、その延長として受け入れられるユーザーの割合は多かったと思われる。 ---しかし今作の鎧のデザインは特に今までよりも奇を衒ったものになっており、否定的な意見も多い。 --シリーズ初となる、会話や戦闘アニメにおけるボイス(会話はパートボイス制)を採用。これも好みによるところだが、声優陣の質はしっかりしており、環境設定でオフにできる配慮もされているので、特に問題点は無いと言える。 --ストーリー上で挿入されるムービーは、CGでありながら一枚絵に近いアニメ的な絵柄で描かれており、全体的なクオリティも高い。 --今作ではマップ上のユニットアイコンも、本編で参戦するキャラクターは描き分けられている。アイコンの顔部分が各キャラクターのものになっており、個性の表現のみならず見た目にも分かりやすく評価は高い。兵種変更してもある程度対応している。 -いつの間に通信では過去作キャラが配信。120人ものキャラを無料で使うことができる。 --配信キャラは支援会話が発生せず、支援効果の恩恵も受けられないが、基本性能や個人スキルなどで十分に戦力となりえる。 ---加えてロストしてもまた召喚すれば何度でも自軍に引き入れる事が出来るという利点があるため、救済措置の一つを担っている。 --彼らの3Dモデルはマイユニットからの使いまわし((「マルス王子(新・暗黒竜)」「マルス王(新・紋章)」「マルス(DLC)」の顔と、専用クラス「スターロード」のグラフィックは、本編に登場するあるキャラから流用されている。))で、ボイスや加入後のセリフもない。もっとも、いきなり120人(+DLC)全員に対して用意するのは酷であろう。当然、その弊害を大きく受けたキャラもいるのだが…(後述) -育成の自由度の高さ。 --''育成に重点の置かれた作り''になっているだけあって、ユニット育成の自由度はかなり高い。 --ゲームバランス面においてはステージ単位の短期的な戦略性が低い(詳しくは後述)のは否めないが、その一方で上述の支援・結婚システムやチェンジプルフによるクラスチェンジ、おそびそれらに伴うスキルの獲得・継承などの要素が絡み合い、ユニットをいかに効率よく、かつ強く育成するかという長期的な戦略性は高い。この点は長期的な育成が求められる『聖戦』に近いものがある。 ---その一方で、難易度ルナティック以上だと遭遇戦の敵を倒すのが厳しくなり、チェンジプルフを使用した際に蓄積する「内部レベル」の上限が異様に高く設定され、最終的にはどんな敵を倒してもまともに経験値が入らなくなる。終盤だと本編の敵を越えて全ステータスカンスト近くまで強化されるため事実上利用不能になる上、すれちがい・配信チームの敵から得られる経験値が1になるため、従来のように稼げる経験値や支援ポイントが実質有限になる。 ---ただし、DLCによって購入できる異界マップは難易度の影響をあまり受けないため、利用すれば無限に稼ぐことができる。また、実際にはシステム上、敵撃破経験値の最低値は1ではなく8が保証されている。これによって、結果的に高難易度でもDLCの敵を(種類問わず)13体倒せば必ずレベルを1上げられるため、ルナティックやルナティック+でやり込みデータを作りやすい(=強力な敵相手に戦う機会を自発的に作れる)というメリットにつながる。 -レベルアップの際に、キャラクターが喋るようになった。 --多くのステータスが上昇した際には喜びを露わにし、逆にほとんど伸びなかった場合は嘆くような意味合いのセリフが多い。~ さらに、多くの能力が限界に達すると、それを意識した発言なども聞くことが可能で、悲喜交々の発言を楽しむことができる。 -難易度が「カジュアル」の場合、戦術マップ上でセーブすることが可能になった。 --これによってリセットの手間が大きく省けるようになった。前2作のように回数制限は無く、いつでもなんどでもセーブ可能。 --ただし従来同様に乱数は保存されているので、攻撃が外れたからリセットしてあたるまでやり直すという手段は当然使えない。レベルアップによって得られるパラメータアップも同様((ただし、わざと攻撃されてターンを流したりするとその分乱数が動いて結果が変わる。『聖戦』の乱数とほぼ同じ方式。))。 -DLC「神軍師への道」シリーズに関して。 --3編に分かれている。大雑把に大別するとキャラクターの掘り下げや極限まで育てたユニット前提のマップ。 --「異界のリゾート編」は本編キャラがお祭りやビーチ、温泉に行くなど、世界観の枠にとらわれない内容となっている。本編のライトさを鑑みてもなおイメージ崩壊甚だしい代物だが、本編で不足していた同性同士の会話の増量はファンには概ね好評。戦闘BGMは(ある意味)必聴。 ---中でも「絆の夏」と「絆の秘湯」では、ファイアーエムブレムワールドで行われた人気投票の親世代・子世代の男女それぞれ上位2人ずつ、計8人に特別な一枚絵が用意された。 --「絶望の未来」編は『トラキア776』を髣髴とさせる子世代キャラ独自の展開が好評。本編とは別となる、断章の展開の延長線上といった絶望的な状況より始まり、専用のエンディングを迎える。これを本編に組み込んでほしかったという声も大きい。 --最後のDLC「最も強き者の名」は最後を飾るに相応しい凶悪な難易度を誇る。 ---5連戦となっており、''敵全員ステータスが限界値を遥かに越えているうえ、受けるダメージを半分にし滅殺とカウンターを無効化するラスボス固有スキル『邪竜の鱗』やルナティック+敵限定スキルである「絶対命中」''といった強力なスキルをもっている等敵がありえない程強い。育成をやりつくした人用のマップと言える。 ---- **賛否両論点 ***ゲームバランス面 -本作は聖戦の系譜などのようにだだっ広いマップが多い。さらに、敵の増援が出現したターンに突撃し、それに連動して他のユニットも突撃してくることから「いつの間にか大量の敵に囲まれている」という状況になることが多く、全方位からの物量で潰されて防御力の弱いユニットがロストする事態に陥りやすい。 --そのため今作では「''育てた強力なユニットをダブルで強化し敵陣に特攻させ、攻撃してくる大量の敵を反撃で一掃する''」という、通称「''地雷戦術''」が最も効率的な戦法とされる。これらの要素は、幸運×2の確率で武器の使用回数を消費しない「武器節約」や、敵のHPを吸収する「リザイア」、「太陽」と特に相性がいい。 ---この方法では反撃で敵を殲滅するため、遠近両距離から反撃可能な魔法や手槍・手斧が有効であり、逆に剣や弓の利用価値は薄くなってしまっている。高難易度では終盤になると大半の敵が何らかの間接攻撃を持っているため、間接攻撃用の武器がほとんど無い剣使いは純粋に前線に出しにくい。このため、ソードマスターやスナイパー、タグエルなど、遠近両方に攻撃できない職種は冷遇される傾向にある。 --なお、育成を極めた場合であっても「疾風迅雷で一方的に敵(特に危険なカウンターや奥義持ち)を倒しつつ敵陣の奥まで切り込み、カウンターを受けない場所で待ち構える」という地雷戦術が推奨される。 ---ただし序盤は限られた戦力でどう戦うかという戦略が問われる場面が比較的多く、外伝17((敵の全滅が勝利条件だが、登場するNPCをクリアまで生かしておかなければ仲間にならない。そのため複数の味方ユニットでNPCを囲んで壁を作る必要があり、強ユニット1体による地雷戦術が成立しない。))のようにバランスよく育てたユニットが多数いなければ攻略が難しいマップも一部存在する。 //重複している点がかなり多いため、統合。また、本作に限らない要素が多かったので、それらを排除しつつ要約しつつ賛否両論点に移動。 -スキルの強弱が激しい --今作ではスキルは兵種(クラス)にくっついており、どうやっても習得できないスキルがキャラクターの方にくっついているのはごく一部のみ(配信マップのキャラ及び魔符の一部)となっている。 --結果、やり込めばやり込むほどに強力なスキルを覚えられるクラスを持っているキャラと持っていないキャラの格差が広がっていくようになっていく。傭兵系列のクラスは「武器節約、太陽」といった今作屈指の強スキルを手に入れられるのに対し、不遇なキャラは奥義スキル((月光、太陽、流星などの確率発動し、特殊効果を付与する攻撃を行うスキル))すら全く取れない。 --特に強力なのが「疾風迅雷(装備したキャラが敵を倒すともう一度行動可能になる。後衛も覚えていれば3回行動可能になる本ゲーム屈指の強スキル)」や前述した「武器節約」で、育成が極まるとこれらが取れるクラスにつけるかどうかだけで一軍と二軍がはっきりと決まるほど。資質がなくても母親から引き継ぐことで使用できるが、飽くまで限定的な機能に留まっている。 ---一応、深刻な影響が出るのはルナティック+だけなのがせめてもの救いと言えるか。 ---ちなみにDLC含めてほぼ全てのマップで強制出撃キャラとなっているクロムは上記の武器節約も疾風迅雷も覚えられない。最強武器の「神剣ファルシオン」を無制限に使えるうえに、天空や王の器、デュアルアタック+など、有用なスキルを多く覚えるため弱くはないのだが、武器節約や疾風迅雷を所有するユニットには及ばない。 ***キャラクター面 -本作でも、主人公周りのキャラクターは個性あふれる面子が多く、敵ユニットに関しても、敵国の将軍ながら良識的な一面を持つムスタファーやレンハ、セルバンテスなどが人気を集めている。また、旧シリーズで人気を集めていたチキが大人になった姿として登場し、ファンを喜ばせた。 --一方で、ヤンデレ、厨二病、二重人格と言った良くも悪くも強烈な属性付けのキャラが多く、ノリが軽すぎるという批判意見も聞かれた。ただし「ヤンデレ」に該当するサーリャや「厨二病」に該当するウードなどは公式人気投票でも上位を獲得する人気キャラとして受け入れられている。 --また、今作では結婚(支援S)イベントの際に一枚絵が表示されるが、キャラが頬を染めたり背景がキラキラ輝いていたりとギャルゲー・乙女ゲー的な雰囲気のイラストのため、プレイヤーによっては好みが分かれる。 -子世代キャラについて --スキルの継承などを楽しむことができ、育成要素に貢献している一方で、ルキナを除く子世代のキャラは、DLC『絶望の未来』でしかストーリー上の活躍が見られない。 --子世代のユニットは両親から「両親のクラスすべて(固有のぞく)」「能力の個人上限値」と純粋に長所を受け継いでおり、早い話が親世代の完全上位互換になっているため、仲間にした時点で親世代は子世代のほぼ劣化となってしまう。 ---これに関しては、結婚を自由に行えるという売りの部分の弊害と言える。元になった『聖戦』の場合は子世代>親世代なのはそのままだが、彼我のステータスが上がる後半戦専用なので上のような問題は目立たなかった。 ---難易度をルナティックにすると、子世代キャラによってはマップに配置された敵が場違いに強すぎて加入は実質終盤になる、そもそも結婚(支援レベルS)を積極的に狙うのが困難((普通にプレイしていた場合、クロム以外の結婚イベントが起こらないままクリアしてしまうということも多い。))であったりと、共闘がやりこみ・おまけ的な要素になっている感がある。 ---なお、今作の子供キャラの出現条件は『聖戦の系譜』のどんな子供が生まれるか後半になるまでわからないという欠点を受けての任天堂側の発案である(ニンテンドードリーム2012年7月号のインタビューより)。 -マイユニットに関して --プレイヤーの分身としての主人公という事になってはいるが、今作ではその''マイユニットのキャラそのものに物語の核心にクリティカルに関わっている設定がある''ことから、主に終盤でクロムの立場が薄まっているという批判がある。 ---また終盤ではプレイヤーの与り知らぬところでシナリオに関わる重要アイテムを偽物にすり替えており、それによって難を逃れるシーンがある。所持している人間も承知の上で、それらに対する説明はあるが、その説明に対応した伏線は本編・外伝含め全く存在しないなど、本当の意味でのプレイヤーの分身なのに(核心部分はまだしも)物語上で種明かしされるまでプレイヤーすら把握できない情報が多々ある。 --「軍師」という立場をとっており、戦闘マップ上・イベント双方で軍師として指揮しているのだが、大局的な場面でとる策は奇策ばかりなうえ、どれもこれもシナリオの説明が少なすぎるせいで、シナリオをしっかり見て状況を考えておかないと無謀に見えてしまいがち。 --プレイヤーの選択による会話の変化など、分身であることをシナリオ面で生かしたアプローチも見当たらない。「プレイヤーの分身」と考えず「自分でキャラ設定出来る1人の登場人物」と捉え、『外伝』『聖魔』のようなクロムとのダブル主人公と考えるのが実情に合っているだろう。 --前作『新・紋章の謎』のマイユニットは、リメイク作品である都合上本編中に活躍を捻じ込むような事は無く、新規かつ別個に作られた外伝またはイベント内に活躍を集約させた、歴史に名を残さない近衛騎士と控えめなものであった為、分身キャラとしてはそこそこ自然に機能していた。 -「いつの間に通信」で配信される無料DLCである追加外伝マップの中に、『封印』『蒼炎』のトライアルマップや『聖魔』の敵対ユニット加入システムと同様に、''劇中で死亡したはずのキャラや敵キャラを仲間に加えることができるマップ''がある。 --過去作と同様にこのファンサービスを喜んだプレイヤーは多いが、変にメインストーリーとかみ合わせてしまったことから「蛇足」「ストーリーが安っぽくなった」という批判も見られた。 --特にある重要キャラの再登場は、前半の山場でありムービーまで使っている熱いシーンが台無しになってしまったという不満も多い((もっとも再会後のそのキャラは、言葉をほとんど喋れなくなってしまっている上に記憶も無くしているため、過去のそのキャラは「死んだ」と言っても良い状態ではあるが。))。 --また、この追加外伝キャラは本編の一部キャラ同様マイユニットとしか支援が組めず、血縁者や因縁のある人物との描写は外伝マップでの会話(発生は任意)と、みんなの部屋の会話だけで済ませている。 ---- **問題点 ***システム面 -最高難易度「ルナティック+(プラス)」の雑な調整 --ルナティック準拠の敵陣営に加え、「カウンター」「絶対命中(強制的に命中率が100%になる)」「すり抜け(自軍キャラを通過して移動できる)」「月光+(原則必ず発動する相手の守備・魔防を半分にする攻撃)」などのバランス崩壊レベルの強力なスキルが、全ての敵ユニットに''ランダム''に2個装着される。 ---この「ランダム」というのが曲者で、2章のハンマー持ち戦士に「絶対命中と月光+」などを筆頭に手出しできなくなるほど凶悪な組み合わせになる場合もある一方で「大盾(技%発動で剣、槍、斧、獣石の受けるダメージを半減)」と「大盾+(100%発動する大盾)」を同時に装着するなどの全く無意味な組み合わせになることまである。そのため''敵のスキルがあまり強くないようになるまでリセット''という、「敵吟味」が攻略上有効な方法になってしまっている。 ---難易度がシリーズ中最高水準に達するのは事実だが、その調整が非常に乱暴で、従来の評価の高いハード・ルナティックのような緻密な調整は皆無。高難易度を求めるプレイヤーからも評価は低い。 ---無論、遭遇戦も同じであり、本編以上の強さの敵がランダムにスキルを搭載しているため、例えフルカン育成をしていたとしても、疾風迅雷持ち以外は場合によっては戦う事すら許されない((開幕から月光+やカウンター持ちの集団が全員突撃してくるため、敵を倒した後他の敵の攻撃範囲内に残ってしまう非迅雷キャラは間違いなく死ぬ))。 -輸送隊で味方間での持ち物交換ができなくなった。また、同じ武器を預けると耐久度が自動で統合(例えば、1/50と12/50の鉄の剣を預けると、''強制的に''13/50の鉄の剣となる)されるようになってしまった。戦略上2本武器が必要なのに勝手に統合されてしまうと困るという状況にもなり得る。 -すれちがい通信で相手に送信できるメッセージの漢字入力が若干面倒。 --ひらがなから漢字に変換することができない。GBA時代の作品では出来た要素であるため、不親切さが目立っている。漢字は一覧から探す必要があるのだが、訓読みに対応していないため探すのに少々手間取る。技術的都合で出来なかったのかもしれないが…… --また、すれちがい通信で対戦が可能なのは前述のとおりだが、本編中に組み込まれているため&bold(){クラシックモードで敗北した場合、容赦なくロストする}。 ***シナリオ面 -シナリオ面のボリュームはやや少なめ、ストーリーも駆け足気味で唐突な展開が目立つ、とあまり評価は高くない。 --従来作品のように1つの大きな戦いを描いているというよりは、序盤・中盤・後半の3つの戦いがぶつ切りに展開されるといった感じで、スケールの割に壮大さは感じられない。 --特に中盤の「ヴァルム帝国編」に対しては、その必要性を疑問視する声もある。 ---ヴァルム大陸出身者が味方にいるにもかかわらずストーリーにほとんど関わってこない、大陸全土を巻き込んだ戦いなのにトントン拍子で戦局が進む、何よりヴァルム帝国そのものがラスボスを含む本筋とあまり関係ない、など。 --前述の件も含め、シナリオ全体の説明不足が目立つ。本編攻略中、クリア後等に言及されてはいるのだがその説明が極端に少なく、注意して読まないと見逃しがちになってしまう。シナリオを見返す機能も無いため、見逃してしまったら訳が分からないまま進むことになってしまう事も。 -世界観・設定が薄い --各国の文化や風土、王族や各勢力の細かな事情、本編で見られる因縁となった出来事、などの説明が本編のみでは不十分。 --過去作ではマップ攻略前にナレーションが入り、そこで様々な事情を説明することも多かった。今作は章前ナレーションが廃止されフリーマップ上で5行程度のあらすじを語るのみとなっている。 --また、攻略の中で世界観に深みを与える要素である村や民家、特殊イベント、章ごとの拠点会話などの消滅・激減も世界観の薄さに拍車をかけている。 --「百万の軍勢」などテキストでしか分からない説明不足な部分も多く、「南の街」や「北の街道」などと固有地名等による装飾も薄い。 -旧作とのつながりがあまり活かされていない --概要で述べた世界観を共有した要素の多くは、ストーリー上はほとんど存在する必要性が無い。新規ユーザーへの配慮としては頷けるものだが、発売前のいわゆる客寄せパンダ的な扱いに不満を述べる声も少なくなかった。 --また、前述の通り後に『蒼炎』の主人公・アイクの末裔を名乗るキャラが追加されたが、これに関しては『暗黒竜』の世界観と関係ないうえ、深掘りする要素も見られないため評価は芳しくない。 ---挙句「(クロム親子や配信されているアイクの技として)実装されているのに天空を覚えない」「モーションの使い回しのせいで、ラグネルの間接攻撃が衝撃波ではなく''投げつけ''」といった要素がネタにされる。 --同じく『蒼炎』からの類似要素であるタグエルやシリーズ恒例のマムクートに関しても、ストーリーに関わってくるどころか作中においてほとんど掘り下げられない。 ---特に本作新規の設定であるタグエルに関しては補完のしようもなく、「とりあえず出した」程度の存在となってしまっている。 --また『紋章』『聖戦』に登場した神器や、『烈火の剣』神将器、『蒼炎の軌跡』のラグネルと同名の武器が本編で敵ユニットの所持品として登場する。『紋章』に関しては、同じ大陸なので不自然ではないが、ほかの作品のものに関する説明も全くない。 --以上のようなストーリーに対する不満はスタッフも把握しているようで、[[「社長が訊く『ファイアーエムブレムif』」>https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/bfwj/vol1/index2.html]]でも言及されている。 ***その他 -支援関係 --主人公であるクロムは、11章クリア後に強制的に結婚することになため、相手の候補が少ない。 ---スミアと女性マイユニット以外はメインシナリオ中に恋愛フラグとなり得るような描写がなく、二人以外はいささか唐突な感じを受ける。 ---そのうちの一人であるオリヴィエにいたっては、オリヴィエの加入章終了時にクロムがもっとも支援ポイントの高い相手と結婚するため、クロムとオリヴィエを結婚させるなら「彼女以外の候補をすべて結婚させる」、もしくは「クロムとの支援ポイントを0にするため隣接・ダブル・回復の杖の使用などを使わない」といった戦略的に大きな制限のかかるプレイをすることとなる。普通にプレイしていてオリヴィエと結婚するというケースはかなり稀なので、半ば隠し要素として設定されている可能性もあるが、子供の性能は高いものの、前述したマイユニットやスミアほどではなく、隠し要素にした意味がないという声もある。 --スミアも結婚できる相手がマイユニ男含めて5人と少ない。全員他の女性キャラとくっつけてしまった場合、彼女の独身が確定してしまい、彼女の子供が仲間に出来なくなってしまう。この件に関しては救済措置は一切存在せず((同じく結婚相手が限られているクロムの場合は、モブの村娘と勝手に結婚する。))、自由な結婚やカップリングを推しているシステムと相反してしまっている。さらに、そのうちの二人であるフレデリクとガイアは、結婚相手としては不適当とされている。 ---一部の仲間になるキャラはマイユニットしか支援相手がいないなどクロムやスミア以上に悲惨。デュアルやダブルも使いづらく、冷遇される傾向にある。 --父親と子供の支援会話などは内容を使い回しているため、不自然になることが多い(10人以上いる父親候補全てに固有の会話を作れ、というのも作業量的に無理はあるが)。DLC「絶望の未来」シリーズでは父親ごとに会話の内容が変わるようになった。 ---支援会話の回数に制限がない弊害として、同じ話題の繰り返しで不自然になる点が目立っている。~ シャンブレーは戦いを怖がる気弱な性格で、支援レベルを上げる度に気弱さを克服して男を見せるという流れだが、当然別のキャラの支援レベルではその流れは反映されないので……と言った具合。 -DLC「異界の魔符シリーズ」に関して --限定アイテムを入手できるマップは槍玉に挙げられやすい。DLCで攻略に役立つ要素が追加されるのは当然なのだが、~ 本作の場合、シルバーカードや特効無効化アイテム、スキル書など、過去作品では普通に入手でき、今作の本編や無料配信の外伝にも組み込む事ができ得るアイテムが有料DLC限定となっている事には疑問、ないし不満の声が聞かれた。~ なお本作では、DLC限定の味方ユニットは存在せず、そういった要素が出てくるのは『Echose』以降となる。また、『風花雪月』では強力な装備アイテム一つと、パラメータ増加アイテム、クエスト、アクティビティの追加に絞られているなど、本作での反省が見て取れる。 //---「本編に影響するDLCは出さない」という発言もこの賛否に拍車をかけている。確かにストーリーには影響しないが、攻略には思いっきり影響してしまっているおかげで、この「攻略」を「本編に影響する」と見なすかどうかでも意見が割れる要因となっている。 //攻略が楽になるのは当たり前なのでCO。ただ、過去作では普通に入手できたアイテムがDLC限定になっているというのはポイントとなるので残し。飛行特攻無効化スキルも、スキル枠に入れる価値が十分にあるので削除。あと、DLCで攻略が楽になるのは当たり前、追加料金を払っても強くなれないほうが問題で、その強くなる度合いも女神転生のように極端なものではないので、過去作で普通に取れたものが取れなくなったことに絞りました。 //-経験値が多く入るという触れ込みの「マミーの楽園」は効率が悪い((敵は自発的に攻撃してこない、祈りでたまに生き残る、殺し系スキルで攻撃が当てにくい上にカウンター持ちの敵も出る、出撃人数が少ないため一度に多くのキャラを育てられない))ため地雷マップ扱いされている。前述のチェンジプルフ関係も痛い。経験値稼ぎをしたければ最終的には金策用マップ「金と銀」の方が向いている。 //地雷マップはさすがに言いすぎ。下級職を簡単に育てられるので個人的にはかなり重宝した。 -グラフィック面 --戦闘アニメなどで使われる3Dモデルはどのキャラも中途半端にデフォルメがかかっている。 ---具体的に言うと''腕が妙に大きく''、足を曲げなくても手先が膝の近くまで届くほど。さらに''つま先が異様に短く''、足首が地面に刺さっているような不自然な状態になっている。加えて走り方も不自然。 --ユニットの戦闘グラフィックの使い回しから一部のクラスは誰がなっても和風というミスマッチな格好となってしまったり((ソンシン出身のユニットは元々和風の姿をしているが、それとは関係なしにどの国のユニットでも和風の姿である。))、勇者やジェネラルは単純に奇妙なデザインだったりする。 ---これも自由なクラスチェンジの弊害ではあるが、もう少し汎用的に通るグラフィックにすべきであったとも言えるだろう。 --過去作キャラの3Dモデルがマイユニットと同じになっている影響で、衣装はもとより、髪型や配色が違和感が強いものになっているケースが多々ある。~ 特に漆黒の騎士は''素顔の上に黒くない''、持ち武器であった剣がジェネラルだと使えない(これはシステム上已むを得ないが)など、とにかく悲惨。&s(){いっそのこと漆黒の騎士としてではなく中の人の名義で出しておけば良かったのではないだろうか} ---なお、DLCで登場する「異界のリン」は後に『[[ファイアーエムブレム無双]]』において3D化され、実際に動かすことができるようになった。 -プレイヤー同士の手動対戦が出来ない。 --対戦要素はデュアルタッグとすれちがい通信があるが、両方ともプレイヤーが自軍を操作することができない自動的な対戦であり、DS2作にあったような自軍を操作する対戦モードはなくなってしまった。 //---対戦だけでなく、『聖魔』のラグドゥ遺跡のような育成しきったユニットを活かすような場面は殆どない。 //DLCがあるのでCO -テキストにおかしいところがある --「みんなの部屋」やマップ上の特殊ポイントで、経験値や武器レベルが上昇する場合がある。 ---しかし、その際に発せられる言葉が全体的におかしく、「武器の手入れをした」と言いつつ経験値が入ったり、「特訓してきた」といいつつ武器経験値が入るなど、ちぐはぐな面が散見される。 ---- **総評 長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「超集大成」と銘打ったことで非常に大きな期待を寄せられた一作。~ 新旧問わず多彩な要素を盛り込んだ結果として、やりごたえにあふれたボリュームや育成の奥深さ、キャラクター同士の掛け合いなどが支持された。~ 一方で、シリーズの核の一つであった「シンプルで奥深い戦術性」・攻略の面白さにかけては劣化したと言わざるを得ない形になった。また、「紋章の謎」や「外伝」との繋がりを含めた世界観の描写も不十分となり、そちらに期待していたシリーズファンの失望も誘発してしまった。 総じて長所と短所が混在するという結果に終わったものの、路線を変えたことによる新規開拓に成功したことから、結果的に崖っぷちであったシリーズの存続を決定づける((余談の項を参照。))一作となった。 ---- **余談 -本作仕様の3DSを同梱した「スペシャルパック」が発売されている。 --4月14日、任天堂オンラインショップでスペシャルパックの予約を受け付けていたが、販売開始時間が告知されず、九時頃には既にサーバーエラー。カートに入れる事が出来ても商品が消失したり、次のステップに進めないトラブルが発生し、十六時頃には前触れもなく販売が終了する大問題となった。 ---スペシャルパックだけあり、多数の転売屋が転売のために購入し、当日にはオークションサイトにこれが出品されているという事態も起きた。 --次の予約日は本作の発売日、4月19日だったのもある。 --このような事態が起きたのは、一度販売方法を変えると商品表示法に触れるためである。 -操作説明書のキャラに敵キャラのインバースを起用したのは任天堂が発案である(ニンテンドードリーム2012年8月号)。 -今作にも公式によるバックグラウンドのサイトが作られた。 --しかし、マップ攻略ページのキャラに何故か『蒼炎』の序盤ボスが起用されていたり、会話のノリなど本編同様の悪ノリが表出しているため好みが分かれる。 --それだけならまだしも、内容部分がゲーム内ですでに語られている内容が多かったり、ペレジアとの因縁の原因となる戦争や屍兵の正体など作中でさえ詳細不明の要素がそのままスルーされているものもある。それどころか一部キャラの描写が本編の設定と矛盾している箇所も見受けられる。((とあるキャラとの支援会話でサーリャというキャラの家族が生存していることが分かるが、バックグラウンドではいないことになっている)) -北米では2013年2月4日に発売。北米の情報サイト『IGN』の[[発売前レビュー>https://www.ign.com/articles/2013/01/30/fire-emblem-awakening-review]]でスコア9.6を、『[[Gamespot>https://www.gamespot.com/games/fire-emblem-awakening/]]』では8.5を獲得しているなど、発売前の評価は上々だった。 --2021年現在でも、メタスコアで92点をマークしているなど、高い評価を受けている。 -発売してからしばらく経ったのち、海外サイトに山上氏との対談インタビューが公開された。 --その内容は要約すると''FEの売り上げは年々低下していたため、任天堂のセールスマネージャーから「全世界でFE覚醒が25万本以上売れなければシリーズを終了させる」という宣告を受けた''という衝撃的なもの。 --シリーズの集大成として銘打たれたのも、こういった事情があったからなのだろう。なお、最終的に本作は全世界で125万本以上を売り上げるヒットを記録したため、シリーズ終了の難は逃れた。 --なお、FEシリーズと対を成すSRPGの代表作「[[スーパーロボット大戦シリーズ]]」も、一時期打ち切りの危機に瀕していたが「[[第3次スーパーロボット大戦]]」が高い人気を得たことから存続が決まったなど、本作と似たような経緯がある。 //--詳しい内容は[[こちら>http://kaigai-anime.com/?p=10428]](日本語訳サイト) //ドメイン切れのためCO -開発者へのインタビューによると、本作はそれなりに難産だったらしく、企画段階でいろいろと没になったアイデアがあった模様。 --没ネタの1つである『''和風ファイアーエムブレム''』に関しては次作である『[[ファイアーエムブレムif>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』に、『''ファイアーエムブレム2011''』なる現代戦がテーマとのアイデアは『[[幻影異聞録♯FE]]』に活かされたと考えられている。 --没ネタにはもう一つ『''ファイアーエムブレム火星''』なる、SF風のSRPGにするというものもある。これは『[[風花雪月>ファイアーエムブレム 風花雪月]]』にシャンバラと呼ばれるSFチックな施設が登場しており、そこに活かされたと見られている((ただし、火星の要素は存在しない。))。 ---- **他作品への出演 -後に[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]の一作『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にて本作よりルフレ((マイユニットのデフォルト名。キャラ外観もデフォルト準拠だが、カラバリ扱いで男女を選択することが出来る。))とルキナが参戦している。 --これについてはルフレは剣と魔法を両方使えるオールラウンダーキャラということで参戦、ルキナは開発中でこそマルスのカラバリ扱いだったが「マルスが持つ剣先の強判定が消え、威力が平均化された」ことにより別個のコンパチキャラとして隠し登場。一方でクロムは既存キャラのマルス・アイクに対する特色が少なく性能区別もしづらいため参戦見送りという理由が語られている。 --そのクロムはルフレの「最後の切りふだ」や勝利ポーズ等でスポット登場している。参戦発表動画での『''「俺の出番はないのか……」→※なくはないです。''』というやり取りはネタになり、クロム役の声優である杉田智和氏もあるイベントでこれにちなんだ発言をしている。 //---弄りネタとして面白がるユーザーがいる一方で「クロムが不当に貶められている」と感じ反発するユーザーも多い。不用意に場を荒らさないためにも、できる限り''スマッシュブラザーズに関係しない場所でこの話題を出すのは慎んだほうがいいだろう。'' --2015年7月31日には剣術Miiファイターの追加コスチュームとしてクロムセットが配信された。 --その後2015年11月12日に発売された『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』では任天堂からのゲストキャラとしてクロムとルキナが出演、さらに2015年12月26日に発売された『[[幻影異聞録♯FE]]』ではクロムが主人公の相棒を務めるなど、クロムの境遇については大分改善されてきている。ただし、2023年1月20日に発売された『[[ファイアーエムブレム エンゲージ]]』では、他の作品の主人公たちが「紋章士」という存在になって登場するのだが、クロムとルフレのみDLC限定という状況に甘んじてしまう。 --2018年12月7日発売の『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』ではとうとうファイターとしてクロムが参戦した。性能としては『[[封印の剣>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』のロイのダッシュファイター(マイナーチェンジ)となっているが、上必殺技が独自のものに変わっており使用感は別キャラレベルで異なる。 -次回作となる『[[ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』では、本作のキャラが数人ゲスト出演を果たしている。また、次々回作となる『[[ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王]]』では、クリア後の隠し要素として、ギムレーと関わりのある敵との戦闘が可能になっている。
*ファイアーエムブレム 覚醒 【ふぁいあーえむぶれむ かくせい】 |ジャンル|ロールプレイングシミュレーション|&amazon(B006QGGOGQ)| //廉価版の画像は基本的に載せない |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |メディア|2Gbyte3DSカード|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|パッケージ/本体同梱:2012年4月19日&brダウンロード:2013年1月30日|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,800円&br本体同梱:19,800円(各税込)|~| |レーティング|CERO:B(12歳以上対象)|~| |廉価版|ハッピープライスセレクション&br;2016年9月15日/2,700円|~| |判定|なし|~| |ポイント|FE再起のきっかけ&br;育成の自由度が高い&br;戦闘バランスがやや粗削り&br;UI、アニメーション、BGMは高評価&br;''任天堂初の課金コンテンツが存在''|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| //恋愛関連は、聖戦などでも割と大きくピックアップされており、本作独自とは思えなかったので削除。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ファイアーエムブレムシリーズの第13作目で、『[[暁の女神>ファイアーエムブレム 暁の女神]]』から実に5年ぶりとなる、久々の完全新作。~ 謳い文句は「超集大成」。22年間培ってきた様々なシステムや要素が盛り込まれている。 ---- **特徴 -本作は多くのFEシリーズのシステムを融合、またはアレンジして搭載している。 --『[[外伝>ファイアーエムブレム 外伝]]』『[[聖魔>ファイアーエムブレム 聖魔の光石]]』のフリーマップ、『[[聖戦>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]』の結婚システム、スキル、支援会話、錬成など。 -「絆」をテーマとした新システム、ストーリー構成 --キャラ同士を隣接させることで「''デュアル''」という特殊な支援効果が発生。従来のものに近いパラメーター増強に加えて、一定確率でデュアルアタック(反撃なし・射程不問の追撃)&デュアルガード(敵の攻撃のノーダメージ化)が発生するなどのサポートを受けられる。 --また、キャラを隣接させると「''ダブル''」というコマンドを使用出来る。これは隣接したキャラの後衛に付くことで、ダブルを受けたキャラのステータスを上昇させ、かつ常に「デュアル」を受けている状態にさせることができる。言い方を変えれば「あるキャラを使えなくする代わりに別のキャラのステータスを強化する」というもの。 ---従来でも「かつぐ」「救出」といったユニット同士の合流システムは存在したが、いずれも合流している間はステータスが下がるため戦闘面ではデメリットが大きかった。 -過去作と共有されている世界観。 --今作の舞台となるイーリス大陸、およびヴァルム大陸は、『[[暗黒竜>ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』『[[紋章>ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』のアカネイア大陸、『外伝』のバレンシア大陸と同じ形状をしており、同作の遥か未来を描いていると推測されている。 ---あくまで匂わせる程度であるうえ、今作のストーリー核心に深く関わるわけではないので、新規の感情移入を妨げるものではない。酷似した過去を持つパラレル設定と解釈しても特に問題はない。 ---他にも、『紋章』の主役である「マルス」を名乗るキャラや、『[[蒼炎>ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡]]』の主役「アイク」の末裔を名乗るキャラなど、過去作を知るプレイヤーへのアピールが随所に盛り込まれている。 ***DLCについて -任天堂作品としては初めて有料DLCが採用された。 --今作では過去作のキャラクターと戦ったり協力したりするマップ、資金を大量に得られるマップ、レアアイテムや有料DLC限定アイテム・クラス・スキルを入手できるマップなどを購入することができる。任天堂2012年3月期の予想売り上げ高が初の経営赤字をあげていたこともあってか、メディアからも非常に注目された。 --DLCは11月22日に完結。第一弾は異界の魔符シリーズ(7月26日に完結)、第二弾は神軍師への道シリーズ。 ---2023年3月28日にニンテンドーeショップが終了したため、現在は購入不可能となっている。 **その他 -本作の輸送隊には同一のアイテムの保管数上限が設定されていないらしく、表示上は99個でカンストするが、その気になれば金塊(小)や武器を数百、数千個単位で保管することが出来る。 内部で切り捨てられてしまうというようなことは無く、ちゃんとカウントされているため実際に預けた数だけ引き出せる。 -「おまかせ」という、設定しておけば全キャラをAI操作で戦わせることが出来る機能が搭載された。恐らく『外伝』『蒼炎』、『暁』などに存在していた「命令」が発展したシステムであろう。 今作の場合、育成が極まった状態で使用した場合はなかなか有用で、武器節約によって耐久無限と化したラグネルやスワンチカを引っさげた疾風迅雷軍団がDLC「金と銀」の敵を踏みつぶしていってくれるため、手動でやるより圧倒的に早くたくさんのお金を回収することが出来る。 ---- **評価点 -インターフェースの充実。 --DS2作とは反対に上画面がメイン画面となり、下画面にユニットのステータスなど情報が表示される形式になった。 --下画面のデータをタッチするとその項目の説明(例えば武器ならその性能)が表示される様になり、どの画面からでも素早く説明を観ることができる。 ---ただしこれによりタッチ操作オンリーでプレイすることはできなくなった。 --その他、全体的なUIは評価の高いDS作品を踏襲しており、非常に快適にプレイできる。 -やりこみ要素の充実。 --今作はフリーマップで自由に経験値やお金を稼げるため、それを利用したチェンジプルフを使ったクラスチェンジや、スキル収集、支援会話収集など、やりこみ要素が豊富。 --特に支援会話の数は歴代最多。結婚システムも相まってコンプリートを目指すとなると相当な周回プレイが必要となる。 ---FEの醍醐味の一つであるカップリングの自由度が非常に高く、特に主人公の一人「マイユニット」は自分の子供以外の''全ての異性と結婚が可能''。結婚時には専用の一枚絵まで用意されており、''別のジャンルのゲーム''かと見間違えるほど。 ---結婚をすると髪色やスキルなどに夫婦の特徴を備えた子が生まれ、そして未来からやってきた子と出会い、共に戦う事ができる。 ---また、支援会話によって各キャラの背景が明かされる事もあり、それを目的に支援を組むプレイヤーも多い。 ---しかしそういった、言わば世界観に深みが増す類の会話は僅かで、殆どはキャラ同士のたわいもない会話であるため従来のFEのような雰囲気を期待すると肩透かしを食らうかもしれない。 --他にもすれちがい通信を行う事によって、他のプレイヤーと対戦したり物の売買を行う事も出来るなど、3DSならではの要素も。 -アニメーション、サウンドは高レベルで纏まっている。 --デザインは漫画家のコザキユースケ氏、サウンドは『大神』で知られるコンポーザーの近藤嶺氏、FEシリーズお馴染みの辻横由佳氏、初参加となる森下弘生氏の3人。 --サウンドは世界観の魅力を損ねることなく、高い評価を得ている。特にラスボス戦の曲「I~為」はシリーズ屈指の名曲と専らの評判である。 ---また任天堂のゲームでは数少ないサウンドトラックも発売されており、多くのファンから好評を博している。((当初は一部を選抜したバージョンがクラブニンテンドーの景品として出されたのだが、曲選に不満がある意見も多かったためか後に全曲収録版が発売された。)) --キャラクターデザインは概ね1~2作程度で頻繁に変わっているが、その延長として受け入れられるユーザーの割合は多かったと思われる。 ---しかし今作の鎧のデザインは特に今までよりも奇を衒ったものになっており、否定的な意見も多い。 --シリーズ初となる、会話や戦闘アニメにおけるボイス(会話はパートボイス制)を採用。これも好みによるところだが、声優陣の質はしっかりしており、環境設定でオフにできる配慮もされているので、特に問題点は無いと言える。 --ストーリー上で挿入されるムービーは、CGでありながら一枚絵に近いアニメ的な絵柄で描かれており、全体的なクオリティも高い。 --今作ではマップ上のユニットアイコンも、本編で参戦するキャラクターは描き分けられている。アイコンの顔部分が各キャラクターのものになっており、個性の表現のみならず見た目にも分かりやすく評価は高い。兵種変更してもある程度対応している。 -いつの間に通信では過去作キャラが配信。120人ものキャラを無料で使うことができる。 --配信キャラは支援会話が発生せず、支援効果の恩恵も受けられないが、基本性能や個人スキルなどで十分に戦力となりえる。 ---加えてロストしてもまた召喚すれば何度でも自軍に引き入れる事が出来るという利点があるため、救済措置の一つを担っている。 --彼らの3Dモデルはマイユニットからの使いまわし((「マルス王子(新・暗黒竜)」「マルス王(新・紋章)」「マルス(DLC)」の顔と、専用クラス「スターロード」のグラフィックは、本編に登場するあるキャラから流用されている。))で、ボイスや加入後のセリフもない。もっとも、いきなり120人(+DLC)全員に対して用意するのは酷であろう。当然、その弊害を大きく受けたキャラもいるのだが…(後述) -育成の自由度の高さ。 --''育成に重点の置かれた作り''になっているだけあって、ユニット育成の自由度はかなり高い。 --ゲームバランス面においてはステージ単位の短期的な戦略性が低い(詳しくは後述)のは否めないが、その一方で上述の支援・結婚システムやチェンジプルフによるクラスチェンジ、おそびそれらに伴うスキルの獲得・継承などの要素が絡み合い、ユニットをいかに効率よく、かつ強く育成するかという長期的な戦略性は高い。この点は長期的な育成が求められる『聖戦』に近いものがある。 ---その一方で、難易度ルナティック以上だと遭遇戦の敵を倒すのが厳しくなり、チェンジプルフを使用した際に蓄積する「内部レベル」の上限が異様に高く設定され、最終的にはどんな敵を倒してもまともに経験値が入らなくなる。終盤だと本編の敵を越えて全ステータスカンスト近くまで強化されるため事実上利用不能になる上、すれちがい・配信チームの敵から得られる経験値が1になるため、従来のように稼げる経験値や支援ポイントが実質有限になる。 ---ただし、DLCによって購入できる異界マップは難易度の影響をあまり受けないため、利用すれば無限に稼ぐことができる。また、実際にはシステム上、敵撃破経験値の最低値は1ではなく8が保証されている。これによって、結果的に高難易度でもDLCの敵を(種類問わず)13体倒せば必ずレベルを1上げられるため、ルナティックやルナティック+でやり込みデータを作りやすい(=強力な敵相手に戦う機会を自発的に作れる)というメリットにつながる。 -レベルアップの際に、キャラクターが喋るようになった。 --多くのステータスが上昇した際には喜びを露わにし、逆にほとんど伸びなかった場合は嘆くような意味合いのセリフが多い。~ さらに、多くの能力が限界に達すると、それを意識した発言なども聞くことが可能で、悲喜交々の発言を楽しむことができる。 -難易度が「カジュアル」の場合、戦術マップ上でセーブすることが可能になった。 --これによってリセットの手間が大きく省けるようになった。前2作のように回数制限は無く、いつでもなんどでもセーブ可能。 --ただし従来同様に乱数は保存されているので、攻撃が外れたからリセットしてあたるまでやり直すという手段は当然使えない。レベルアップによって得られるパラメータアップも同様((ただし、わざと攻撃されてターンを流したりするとその分乱数が動いて結果が変わる。『聖戦』の乱数とほぼ同じ方式。))。 -DLC「神軍師への道」シリーズに関して。 --3編に分かれている。大雑把に大別するとキャラクターの掘り下げや極限まで育てたユニット前提のマップ。 --「異界のリゾート編」は本編キャラがお祭りやビーチ、温泉に行くなど、世界観の枠にとらわれない内容となっている。本編のライトさを鑑みてもなおイメージ崩壊甚だしい代物だが、本編で不足していた同性同士の会話の増量はファンには概ね好評。戦闘BGMは(ある意味)必聴。 ---中でも「絆の夏」と「絆の秘湯」では、ファイアーエムブレムワールドで行われた人気投票の親世代・子世代の男女それぞれ上位2人ずつ、計8人に特別な一枚絵が用意された。 --「絶望の未来」編は『トラキア776』を髣髴とさせる子世代キャラ独自の展開が好評。本編とは別となる、断章の展開の延長線上といった絶望的な状況より始まり、専用のエンディングを迎える。これを本編に組み込んでほしかったという声も大きい。 --最後のDLC「最も強き者の名」は最後を飾るに相応しい凶悪な難易度を誇る。 ---5連戦となっており、''敵全員ステータスが限界値を遥かに越えているうえ、受けるダメージを半分にし滅殺とカウンターを無効化するラスボス固有スキル『邪竜の鱗』やルナティック+敵限定スキルである「絶対命中」''といった強力なスキルをもっている等敵がありえない程強い。育成をやりつくした人用のマップと言える。 ---- **賛否両論点 ***ゲームバランス面 -本作は聖戦の系譜などのようにだだっ広いマップが多い。さらに、敵の増援が出現したターンに突撃し、それに連動して他のユニットも突撃してくることから「いつの間にか大量の敵に囲まれている」という状況になることが多く、全方位からの物量で潰されて防御力の弱いユニットがロストする事態に陥りやすい。 --そのため今作では「''育てた強力なユニットをダブルで強化し敵陣に特攻させ、攻撃してくる大量の敵を反撃で一掃する''」という、通称「''地雷戦術''」が最も効率的な戦法とされる。これらの要素は、幸運×2の確率で武器の使用回数を消費しない「武器節約」や、敵のHPを吸収する「リザイア」、「太陽」と特に相性がいい。 ---この方法では反撃で敵を殲滅するため、遠近両距離から反撃可能な魔法や手槍・手斧が有効であり、逆に剣や弓の利用価値は薄くなってしまっている。高難易度では終盤になると大半の敵が何らかの間接攻撃を持っているため、間接攻撃用の武器がほとんど無い剣使いは純粋に前線に出しにくい。このため、ソードマスターやスナイパー、タグエルなど、遠近両方に攻撃できない職種は冷遇される傾向にある。 --なお、育成を極めた場合であっても「疾風迅雷で一方的に敵(特に危険なカウンターや奥義持ち)を倒しつつ敵陣の奥まで切り込み、カウンターを受けない場所で待ち構える」という地雷戦術が推奨される。 ---ただし序盤は限られた戦力でどう戦うかという戦略が問われる場面が比較的多く、外伝17((敵の全滅が勝利条件だが、登場するNPCをクリアまで生かしておかなければ仲間にならない。そのため複数の味方ユニットでNPCを囲んで壁を作る必要があり、強ユニット1体による地雷戦術が成立しない。))のようにバランスよく育てたユニットが多数いなければ攻略が難しいマップも一部存在する。 //重複している点がかなり多いため、統合。また、本作に限らない要素が多かったので、それらを排除しつつ要約しつつ賛否両論点に移動。 -スキルの強弱が激しい --今作ではスキルは兵種(クラス)にくっついており、どうやっても習得できないスキルがキャラクターの方にくっついているのはごく一部のみ(配信マップのキャラ及び魔符の一部)となっている。 --結果、やり込めばやり込むほどに強力なスキルを覚えられるクラスを持っているキャラと持っていないキャラの格差が広がっていくようになっていく。傭兵系列のクラスは「武器節約、太陽」といった今作屈指の強スキルを手に入れられるのに対し、不遇なキャラは奥義スキル((月光、太陽、流星などの確率発動し、特殊効果を付与する攻撃を行うスキル))すら全く取れない。 --特に強力なのが「疾風迅雷(装備したキャラが敵を倒すともう一度行動可能になる。後衛も覚えていれば3回行動可能になる本ゲーム屈指の強スキル)」や前述した「武器節約」で、育成が極まるとこれらが取れるクラスにつけるかどうかだけで一軍と二軍がはっきりと決まるほど。資質がなくても母親から引き継ぐことで使用できるが、飽くまで限定的な機能に留まっている。 ---一応、深刻な影響が出るのはルナティック+だけなのがせめてもの救いと言えるか。 ---ちなみにDLC含めてほぼ全てのマップで強制出撃キャラとなっているクロムは上記の武器節約も疾風迅雷も覚えられない。最強武器の「神剣ファルシオン」を無制限に使えるうえに、天空や王の器、デュアルアタック+など、有用なスキルを多く覚えるため弱くはないのだが、武器節約や疾風迅雷を所有するユニットには及ばない。 ***キャラクター面 -本作でも、主人公周りのキャラクターは個性あふれる面子が多く、敵ユニットに関しても、敵国の将軍ながら良識的な一面を持つムスタファーやレンハ、セルバンテスなどが人気を集めている。また、旧シリーズで人気を集めていたチキが大人になった姿として登場し、ファンを喜ばせた。 --一方で、ヤンデレ、厨二病、二重人格と言った良くも悪くも強烈な属性付けのキャラが多く、ノリが軽すぎるという批判意見も聞かれた。ただし「ヤンデレ」に該当するサーリャや「厨二病」に該当するウードなどは公式人気投票でも上位を獲得する人気キャラとして受け入れられている。 --また、今作では結婚(支援S)イベントの際に一枚絵が表示されるが、キャラが頬を染めたり背景がキラキラ輝いていたりとギャルゲー・乙女ゲー的な雰囲気のイラストのため、プレイヤーによっては好みが分かれる。 -子世代キャラについて --スキルの継承などを楽しむことができ、育成要素に貢献している一方で、ルキナを除く子世代のキャラは、DLC『絶望の未来』でしかストーリー上の活躍が見られない。 --子世代のユニットは両親から「両親のクラスすべて(固有のぞく)」「能力の個人上限値」と純粋に長所を受け継いでおり、早い話が親世代の完全上位互換になっているため、仲間にした時点で親世代は子世代のほぼ劣化となってしまう。 ---これに関しては、結婚を自由に行えるという売りの部分の弊害と言える。元になった『聖戦』の場合は子世代>親世代なのはそのままだが、彼我のステータスが上がる後半戦専用なので上のような問題は目立たなかった。 ---難易度をルナティックにすると、子世代キャラによってはマップに配置された敵が場違いに強すぎて加入は実質終盤になる、そもそも結婚(支援レベルS)を積極的に狙うのが困難((普通にプレイしていた場合、クロム以外の結婚イベントが起こらないままクリアしてしまうということも多い。))であったりと、共闘がやりこみ・おまけ的な要素になっている感がある。 ---なお、今作の子供キャラの出現条件は『聖戦の系譜』のどんな子供が生まれるか後半になるまでわからないという欠点を受けての任天堂側の発案である(ニンテンドードリーム2012年7月号のインタビューより)。 -マイユニットに関して --プレイヤーの分身としての主人公という事になってはいるが、今作ではその''マイユニットのキャラそのものに物語の核心にクリティカルに関わっている設定がある''ことから、主に終盤でクロムの立場が薄まっているという批判がある。 ---また終盤ではプレイヤーの与り知らぬところでシナリオに関わる重要アイテムを偽物にすり替えており、それによって難を逃れるシーンがある。所持している人間も承知の上で、それらに対する説明はあるが、その説明に対応した伏線は本編・外伝含め全く存在しないなど、本当の意味でのプレイヤーの分身なのに(核心部分はまだしも)物語上で種明かしされるまでプレイヤーすら把握できない情報が多々ある。 --「軍師」という立場をとっており、戦闘マップ上・イベント双方で軍師として指揮しているのだが、大局的な場面でとる策は奇策ばかりなうえ、どれもこれもシナリオの説明が少なすぎるせいで、シナリオをしっかり見て状況を考えておかないと無謀に見えてしまいがち。 --プレイヤーの選択による会話の変化など、分身であることをシナリオ面で生かしたアプローチも見当たらない。「プレイヤーの分身」と考えず「自分でキャラ設定出来る1人の登場人物」と捉え、『外伝』『聖魔』のようなクロムとのダブル主人公と考えるのが実情に合っているだろう。 --前作『新・紋章の謎』のマイユニットは、リメイク作品である都合上本編中に活躍を捻じ込むような事は無く、新規かつ別個に作られた外伝またはイベント内に活躍を集約させた、歴史に名を残さない近衛騎士と控えめなものであった為、分身キャラとしてはそこそこ自然に機能していた。 -「いつの間に通信」で配信される無料DLCである追加外伝マップの中に、『封印』『蒼炎』のトライアルマップや『聖魔』の敵対ユニット加入システムと同様に、''劇中で死亡したはずのキャラや敵キャラを仲間に加えることができるマップ''がある。 --過去作と同様にこのファンサービスを喜んだプレイヤーは多いが、変にメインストーリーとかみ合わせてしまったことから「蛇足」「ストーリーが安っぽくなった」という批判も見られた。 --特にある重要キャラの再登場は、前半の山場でありムービーまで使っている熱いシーンが台無しになってしまったという不満も多い((もっとも再会後のそのキャラは、言葉をほとんど喋れなくなってしまっている上に記憶も無くしているため、過去のそのキャラは「死んだ」と言っても良い状態ではあるが。))。 --また、この追加外伝キャラは本編の一部キャラ同様マイユニットとしか支援が組めず、血縁者や因縁のある人物との描写は外伝マップでの会話(発生は任意)と、みんなの部屋の会話だけで済ませている。 ---- **問題点 ***システム面 -最高難易度「ルナティック+(プラス)」の雑な調整 --ルナティック準拠の敵陣営に加え、「カウンター」「絶対命中(強制的に命中率が100%になる)」「すり抜け(自軍キャラを通過して移動できる)」「月光+(原則必ず発動する相手の守備・魔防を半分にする攻撃)」などのバランス崩壊レベルの強力なスキルが、全ての敵ユニットに''ランダム''に2個装着される。 ---この「ランダム」というのが曲者で、2章のハンマー持ち戦士に「絶対命中と月光+」などを筆頭に手出しできなくなるほど凶悪な組み合わせになる場合もある一方で「大盾(技%発動で剣、槍、斧、獣石の受けるダメージを半減)」と「大盾+(100%発動する大盾)」を同時に装着するなどの全く無意味な組み合わせになることまである。そのため''敵のスキルがあまり強くないようになるまでリセット''という、「敵吟味」が攻略上有効な方法になってしまっている。 ---難易度がシリーズ中最高水準に達するのは事実だが、その調整が非常に乱暴で、従来の評価の高いハード・ルナティックのような緻密な調整は皆無。高難易度を求めるプレイヤーからも評価は低い。 ---無論、遭遇戦も同じであり、本編以上の強さの敵がランダムにスキルを搭載しているため、例えフルカン育成をしていたとしても、疾風迅雷持ち以外は場合によっては戦う事すら許されない((開幕から月光+やカウンター持ちの集団が全員突撃してくるため、敵を倒した後他の敵の攻撃範囲内に残ってしまう非迅雷キャラは間違いなく死ぬ))。 -輸送隊で味方間での持ち物交換ができなくなった。また、同じ武器を預けると耐久度が自動で統合(例えば、1/50と12/50の鉄の剣を預けると、''強制的に''13/50の鉄の剣となる)されるようになってしまった。戦略上2本武器が必要なのに勝手に統合されてしまうと困るという状況にもなり得る。 -すれちがい通信で相手に送信できるメッセージの漢字入力が若干面倒。 --ひらがなから漢字に変換することができない。GBA時代の作品では出来た要素であるため、不親切さが目立っている。漢字は一覧から探す必要があるのだが、訓読みに対応していないため探すのに少々手間取る。技術的都合で出来なかったのかもしれないが…… --また、すれちがい通信で対戦が可能なのは前述のとおりだが、本編中に組み込まれているため&bold(){クラシックモードで敗北した場合、容赦なくロストする}。 ***シナリオ面 -シナリオ面のボリュームはやや少なめで、ストーリーも駆け足気味で唐突な展開が目立つ。 --序盤・中盤・後半の3つの戦いがぶつ切りに展開される。シナリオの進行に応じて大きく舞台が変わるのは「[[聖戦>ファイアーエムブレム 聖戦の系譜]]」や「[[風花雪月>ファイアーエムブレム 風花雪月]]」と同じだが、これらと異なりスケールの割に壮大さが感じられない。 --序盤はそれなりに評価されているのだが、それ以降は不評。特に中盤の「ヴァルム帝国編」に対しては、その必要性を疑問視する声もある。 ---ヴァルム大陸出身者が味方にいるにもかかわらずストーリーにほとんど関わってこない、大陸全土を巻き込んだ戦いなのにトントン拍子で戦局が進む、何よりヴァルム帝国そのものがラスボスを含む本筋とあまり関係ない、など。 --前述の件も含め、シナリオ全体の説明不足が目立つ。本編攻略中、クリア後等に言及されてはいるのだがその説明が極端に少なく、注意して読まないと見逃しがちになってしまう。シナリオを見返す機能も無いため、見逃してしまったら訳が分からないまま進むことになってしまう事も。 -世界観・設定が薄い --各国の文化や風土、王族や各勢力の細かな事情、本編で見られる因縁となった出来事、などの説明が本編のみでは不十分。 --過去作ではマップ攻略前にナレーションが入り、そこで様々な事情を説明することも多かった。今作は章前ナレーションが廃止されフリーマップ上で5行程度のあらすじを語るのみとなっている。 --また、攻略の中で世界観に深みを与える要素である村や民家、特殊イベント、章ごとの拠点会話などの消滅・激減も世界観の薄さに拍車をかけている。 --「百万の軍勢」などテキストでしか分からない説明不足な部分も多く、「南の街」や「北の街道」などと固有地名等による装飾も薄い。 -旧作とのつながりがあまり活かされていない --概要で述べた世界観を共有した要素の多くは、ストーリー上はほとんど存在する必要性が無い。新規ユーザーへの配慮としては頷けるものだが、発売前のいわゆる客寄せパンダ的な扱いに不満を述べる声も少なくなかった。 --また、前述の通り後に『蒼炎』の主人公・アイクの末裔を名乗るキャラが追加されたが、これに関しては『暗黒竜』の世界観と関係ないうえ、深掘りする要素も見られないため評価は芳しくない。 ---挙句「(クロム親子や配信されているアイクの技として)実装されているのに天空を覚えない」「モーションの使い回しのせいで、ラグネルの間接攻撃が衝撃波ではなく''投げつけ''」といった要素がネタにされる。 --同じく『蒼炎』からの類似要素であるタグエルやシリーズ恒例のマムクートに関しても、ストーリーに関わってくるどころか作中においてほとんど掘り下げられない。 ---特に本作新規の設定であるタグエルに関しては補完のしようもなく、「とりあえず出した」程度の存在となってしまっている。 --また『紋章』『聖戦』に登場した神器や、『烈火の剣』神将器、『蒼炎の軌跡』のラグネルと同名の武器が本編で敵ユニットの所持品として登場する。『紋章』に関しては、同じ大陸なので不自然ではないが、ほかの作品のものに関する説明も全くない。 --以上のようなストーリーに対する不満はスタッフも把握しているようで、[[「社長が訊く『ファイアーエムブレムif』」>https://www.nintendo.co.jp/3ds/interview/bfwj/vol1/index2.html]]でも言及されている。 ***その他 -支援関係 --主人公であるクロムは、11章クリア後に強制的に結婚することになため、相手の候補が少ない。 ---スミアと女性マイユニット以外はメインシナリオ中に恋愛フラグとなり得るような描写がなく、二人以外はいささか唐突な感じを受ける。 ---そのうちの一人であるオリヴィエにいたっては、オリヴィエの加入章終了時にクロムがもっとも支援ポイントの高い相手と結婚するため、クロムとオリヴィエを結婚させるなら「彼女以外の候補をすべて結婚させる」、もしくは「クロムとの支援ポイントを0にするため隣接・ダブル・回復の杖の使用などを使わない」といった戦略的に大きな制限のかかるプレイをすることとなる。普通にプレイしていてオリヴィエと結婚するというケースはかなり稀なので、半ば隠し要素として設定されている可能性もあるが、子供の性能は高いものの、前述したマイユニットやスミアほどではなく、隠し要素にした意味がないという声もある。 --スミアも結婚できる相手がマイユニ男含めて5人と少ない。全員他の女性キャラとくっつけてしまった場合、彼女の独身が確定してしまい、彼女の子供が仲間に出来なくなってしまう。この件に関しては救済措置は一切存在せず((同じく結婚相手が限られているクロムの場合は、モブの村娘と勝手に結婚する。))、自由な結婚やカップリングを推しているシステムと相反してしまっている。さらに、そのうちの二人であるフレデリクとガイアは、結婚相手としては不適当とされている。 ---ヴァルム帝国編以降に仲間になるキャラは、マイユニットしか支援相手がいないなどクロムやスミア以上に悲惨((チキは例外的にマイユニット以外とも支援が組めるが、たった3人なのでやはり冷遇されている部類に入る。))。デュアルやダブルも使いづらく、冷遇される傾向にある。 --父親と子供の支援会話などは内容を使い回しているため、不自然になることが多い(10人以上いる父親候補全てに固有の会話を作れ、というのも作業量的に無理はあるが)。DLC「絶望の未来」シリーズでは父親ごとに会話の内容が変わるようになった。 ---支援会話の回数に制限がない弊害として、同じ話題の繰り返しで不自然になる点が目立っている。~ シャンブレーは戦いを怖がる気弱な性格で、支援レベルを上げる度に気弱さを克服して男を見せるという流れだが、当然別のキャラの支援レベルではその流れは反映されないので……と言った具合。 -DLC「異界の魔符シリーズ」に関して --限定アイテムを入手できるマップは槍玉に挙げられやすい。DLCで攻略に役立つ要素が追加されるのは当然なのだが、~ 本作の場合、シルバーカードや特効無効化アイテム、スキル書など、過去作品では普通に入手でき、今作の本編や無料配信の外伝にも組み込む事ができ得るアイテムが有料DLC限定となっている事には疑問、ないし不満の声が聞かれた。~ なお本作では、DLC限定の味方ユニットは存在せず、そういった要素が出てくるのは『Echose』以降となる。また、『風花雪月』では強力な装備アイテム一つと、パラメータ増加アイテム、クエスト、アクティビティの追加に絞られているなど、本作での反省が見て取れる。 //---「本編に影響するDLCは出さない」という発言もこの賛否に拍車をかけている。確かにストーリーには影響しないが、攻略には思いっきり影響してしまっているおかげで、この「攻略」を「本編に影響する」と見なすかどうかでも意見が割れる要因となっている。 //攻略が楽になるのは当たり前なのでCO。ただ、過去作では普通に入手できたアイテムがDLC限定になっているというのはポイントとなるので残し。飛行特攻無効化スキルも、スキル枠に入れる価値が十分にあるので削除。あと、DLCで攻略が楽になるのは当たり前、追加料金を払っても強くなれないほうが問題で、その強くなる度合いも女神転生のように極端なものではないので、過去作で普通に取れたものが取れなくなったことに絞りました。 //-経験値が多く入るという触れ込みの「マミーの楽園」は効率が悪い((敵は自発的に攻撃してこない、祈りでたまに生き残る、殺し系スキルで攻撃が当てにくい上にカウンター持ちの敵も出る、出撃人数が少ないため一度に多くのキャラを育てられない))ため地雷マップ扱いされている。前述のチェンジプルフ関係も痛い。経験値稼ぎをしたければ最終的には金策用マップ「金と銀」の方が向いている。 //地雷マップはさすがに言いすぎ。下級職を簡単に育てられるので個人的にはかなり重宝した。 -グラフィック面 --戦闘アニメなどで使われる3Dモデルはどのキャラも中途半端にデフォルメがかかっている。 ---具体的に言うと''腕が妙に大きく''、足を曲げなくても手先が膝の近くまで届くほど。さらに''つま先が異様に短く''、足首が地面に刺さっているような不自然な状態になっている。加えて走り方も不自然。 --ユニットの戦闘グラフィックの使い回しから一部のクラスは誰がなっても和風というミスマッチな格好となってしまったり((ソンシン出身のユニットは元々和風の姿をしているが、それとは関係なしにどの国のユニットでも和風の姿である。))、勇者やジェネラルは単純に奇妙なデザインだったりする。 ---これも自由なクラスチェンジの弊害ではあるが、もう少し汎用的に通るグラフィックにすべきであったとも言えるだろう。 --過去作キャラの3Dモデルがマイユニットと同じになっている影響で、衣装はもとより、髪型や配色が違和感が強いものになっているケースが多々ある。~ 特に漆黒の騎士は''素顔の上に黒くない''、持ち武器であった剣がジェネラルだと使えない(これはシステム上已むを得ないが)など、とにかく悲惨。&s(){いっそのこと漆黒の騎士としてではなく中の人の名義で出しておけば良かったのではないだろうか} ---なお、DLCで登場する「異界のリン」は後に『[[ファイアーエムブレム無双]]』において3D化され、実際に動かすことができるようになった。 -プレイヤー同士の手動対戦が出来ない。 --対戦要素はデュアルタッグとすれちがい通信があるが、両方ともプレイヤーが自軍を操作することができない自動的な対戦であり、DS2作にあったような自軍を操作する対戦モードはなくなってしまった。 //---対戦だけでなく、『聖魔』のラグドゥ遺跡のような育成しきったユニットを活かすような場面は殆どない。 //DLCがあるのでCO -テキストにおかしいところがある --「みんなの部屋」やマップ上の特殊ポイントで、経験値や武器レベルが上昇する場合がある。 ---しかし、その際に発せられる言葉が全体的におかしく、「武器の手入れをした」と言いつつ経験値が入ったり、「特訓してきた」といいつつ武器経験値が入るなど、ちぐはぐな面が散見される。 ---- **総評 長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「超集大成」と銘打ったことで非常に大きな期待を寄せられた一作。~ 新旧問わず多彩な要素を盛り込んだ結果として、やりごたえにあふれたボリュームや育成の奥深さ、キャラクター同士の掛け合いなどが支持された。~ 一方で、シリーズの核の一つであった「シンプルで奥深い戦術性」・攻略の面白さにかけては劣化したと言わざるを得ない形になった。また、「紋章の謎」や「外伝」との繋がりを含めた世界観の描写も不十分となり、そちらに期待していたシリーズファンの失望も誘発してしまった。 総じて長所と短所が混在するという結果に終わったものの、路線を変えたことによる新規開拓に成功したことから、結果的に崖っぷちであったシリーズの存続を決定づける((余談の項を参照。))一作となった。 ---- **余談 -本作仕様の3DSを同梱した「スペシャルパック」が発売されている。 --4月14日、任天堂オンラインショップでスペシャルパックの予約を受け付けていたが、販売開始時間が告知されず、九時頃には既にサーバーエラー。カートに入れる事が出来ても商品が消失したり、次のステップに進めないトラブルが発生し、十六時頃には前触れもなく販売が終了する大問題となった。 ---スペシャルパックだけあり、多数の転売屋が転売のために購入し、当日にはオークションサイトにこれが出品されているという事態も起きた。 --次の予約日は本作の発売日、4月19日だったのもある。 --このような事態が起きたのは、一度販売方法を変えると商品表示法に触れるためである。 -操作説明書のキャラに敵キャラのインバースを起用したのは任天堂が発案である(ニンテンドードリーム2012年8月号)。 -今作にも公式によるバックグラウンドのサイトが作られた。 --しかし、マップ攻略ページのキャラに何故か『蒼炎』の序盤ボスが起用されていたり、会話のノリなど本編同様の悪ノリが表出しているため好みが分かれる。 --それだけならまだしも、内容部分がゲーム内ですでに語られている内容が多かったり、ペレジアとの因縁の原因となる戦争や屍兵の正体など作中でさえ詳細不明の要素がそのままスルーされているものもある。それどころか一部キャラの描写が本編の設定と矛盾している箇所も見受けられる。((とあるキャラとの支援会話でサーリャというキャラの家族が生存していることが分かるが、バックグラウンドではいないことになっている)) -北米では2013年2月4日に発売。北米の情報サイト『IGN』の[[発売前レビュー>https://www.ign.com/articles/2013/01/30/fire-emblem-awakening-review]]でスコア9.6を、『[[Gamespot>https://www.gamespot.com/games/fire-emblem-awakening/]]』では8.5を獲得しているなど、発売前の評価は上々だった。 --2021年現在でも、メタスコアで92点をマークしているなど、高い評価を受けている。 -発売してからしばらく経ったのち、海外サイトに山上氏との対談インタビューが公開された。 --その内容は要約すると''FEの売り上げは年々低下していたため、任天堂のセールスマネージャーから「全世界でFE覚醒が25万本以上売れなければシリーズを終了させる」という宣告を受けた''という衝撃的なもの。 --シリーズの集大成として銘打たれたのも、こういった事情があったからなのだろう。なお、最終的に本作は全世界で125万本以上を売り上げるヒットを記録したため、シリーズ終了の難は逃れた。 --なお、FEシリーズと対を成すSRPGの代表作「[[スーパーロボット大戦シリーズ]]」も、一時期打ち切りの危機に瀕していたが「[[第3次スーパーロボット大戦]]」が高い人気を得たことから存続が決まったなど、本作と似たような経緯がある。 //--詳しい内容は[[こちら>http://kaigai-anime.com/?p=10428]](日本語訳サイト) //ドメイン切れのためCO -開発者へのインタビューによると、本作はそれなりに難産だったらしく、企画段階でいろいろと没になったアイデアがあった模様。 --没ネタの1つである『''和風ファイアーエムブレム''』に関しては次作である『[[ファイアーエムブレムif>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』に、『''ファイアーエムブレム2011''』なる現代戦がテーマとのアイデアは『[[幻影異聞録♯FE]]』に活かされたと考えられている。 --没ネタにはもう一つ『''ファイアーエムブレム火星''』なる、SF風のSRPGにするというものもある。これは『風花雪月』にシャンバラと呼ばれるSFチックな施設が登場しており、そこに活かされたと見られている((ただし、火星の要素は存在しない。))。 ---- **他作品への出演 -後に[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]の一作『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』にて本作よりルフレ((マイユニットのデフォルト名。キャラ外観もデフォルト準拠だが、カラバリ扱いで男女を選択することが出来る。))とルキナが参戦している。 --これについてはルフレは剣と魔法を両方使えるオールラウンダーキャラということで参戦、ルキナは開発中でこそマルスのカラバリ扱いだったが「マルスが持つ剣先の強判定が消え、威力が平均化された」ことにより別個のコンパチキャラとして隠し登場。一方でクロムは既存キャラのマルス・アイクに対する特色が少なく性能区別もしづらいため参戦見送りという理由が語られている。 --そのクロムはルフレの「最後の切りふだ」や勝利ポーズ等でスポット登場している。参戦発表動画での『''「俺の出番はないのか……」→※なくはないです。''』というやり取りはネタになり、クロム役の声優である杉田智和氏もあるイベントでこれにちなんだ発言をしている。 //---弄りネタとして面白がるユーザーがいる一方で「クロムが不当に貶められている」と感じ反発するユーザーも多い。不用意に場を荒らさないためにも、できる限り''スマッシュブラザーズに関係しない場所でこの話題を出すのは慎んだほうがいいだろう。'' --2015年7月31日には剣術Miiファイターの追加コスチュームとしてクロムセットが配信された。 --その後2015年11月12日に発売された『[[PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD]]』では任天堂からのゲストキャラとしてクロムとルキナが出演、さらに2015年12月26日に発売された『[[幻影異聞録♯FE]]』ではクロムが主人公の相棒を務めるなど、クロムの境遇については大分改善されてきている。ただし、2023年1月20日に発売された『[[ファイアーエムブレム エンゲージ]]』では、他の作品の主人公たちが「紋章士」という存在になって登場するのだが、クロムとルフレのみDLC限定という状況に甘んじてしまう。 --2018年12月7日発売の『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』ではとうとうファイターとしてクロムが参戦した。性能としては『[[封印の剣>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』のロイのダッシュファイター(マイナーチェンジ)となっているが、上必殺技が独自のものに変わっており使用感は別キャラレベルで異なる。 -次回作となる『[[ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』では、本作のキャラが数人ゲスト出演を果たしている。また、次々回作となる『[[ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王]]』では、クリア後の隠し要素として、ギムレーと関わりのある敵との戦闘が可能になっている。

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