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*エメラルドドラゴン 【えめらるどどらごん】 |ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)''写真はPCエンジン版''| |対応機種|PC-8801MkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()X68000、FM TOWNS、MSX2|~| |発売元|バショウハウス|~| |開発元|グローディア|~| |発売日|1989年11月|~| |定価|8,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ストーリー性、キャラクター性の色濃いRPG。PC88SRシリーズのゲームとして発売された。 今となってはストーリー性やキャラクター性が強いRPGは珍しくも無いが、発売当時は本作ほど強く出してるものはあまりなかった。またアニメ的要素も強い。キャラデザイン、演出にはそれが垣間見える。戦闘システムが独特なのも本作の特徴。 **ストーリー 太古の伝説の土地、イシュ・バーン。そこにはドラゴンと人間が平和に共存していた。外敵も入ってこないこの土地は、正に理想郷であった。~ しかしある時、イシュ・バーン全土に強力な呪いがかけられる。その呪いは、何故かドラゴンにしか効かないものだった。やがてドラゴン達は抵抗空しく、次々と倒れていく。そして残されたわずかなドラゴンは、この地から去っていった。~ それから2000年。ドラゴン達はドラゴン小国という土地で暮らしていた。そんなある日、一隻の難破船が流れ着く。ドラゴン達はその中から、唯一生き残っていた幼い女の子を助け出す。だがその女の子は、名前はもちろん、全ての記憶を失っていた。やがて長老である白龍にタムリンと名づけられた彼女は、年の近かった若いブルードラゴンのアトルシャンと共に暮す事になる。~ ドラゴン小国のでの平和な日々は続き、12年の年月が過ぎた。その日、年頃の美しい少女となったタムリンは、人間達の世界、イシュ・バーンに行くとアトルシャンに打ち明ける。。以前に白龍から、人間ならばやはり人間と共に暮す方がいいと勧められていたのだ。~ アトルシャンは最初こそ反対するが、決意が固いのを見ると、自らの角を折り、それで角笛を作って持っていくようにタムリンに言う。「もし危機があれば、この笛を吹くように。その笛の音がした時には、必ず駆けつける」~ それから3年後。イシュ・バーンは混乱の極みにあった。15年前、突如魔軍が現れ、人間に攻撃を開始したのだ。イシュ・バーンを治めていたエルバート王国は、対抗するため軍を差し向ける。しばらくは甲乙つけがたい持久戦が続いていた。~ だが魔将軍オストラコンの出現により、状況は一変する。エルバート軍は劣勢に立たされ、今となっては王城を残すのみとなっていた。~ そんな状況を見かねたタムリンは、魔軍と戦う事を決意する。そして思い出の角笛を吹くのだった。 **特徴 -グローディア製作の前作「[[サバッシュ]]」のスピンオフ作品である。(ストーリーに直接的な関連性はない) -映えるキャラクター達と、二転三転するストーリー。 --中心メンバーは、少年漫画やアニメのようにメリハリの利いた、「立った」キャラクター達。そしていぶし銀的な仲間達も多い。それらが世界観が複雑にからみあい、敵味方、仲間たちの間でドラマを織り成している。 --アニメ調のキャラデザインや多彩な演出、ストーリーなどにより内面を深く描いており、特に会話シーンの多さが際立っている。それを象徴する一つの要素として上がるのが「相談」コマンド。一応次に何をすればよいかのヒントを出してくれるコマンドに当たるが、むしろキャラ同士の「雑談」「掛け合い」に近い。内容も頻繁に変わるので新しい場面で会話を聞く面白みもあり、キャラクター性の確立に一役買っている。 --会話の時に顔をアップにしている。今では当たり前だが、RPGでこの演出方法は当時としては珍しかった。 --デモにアニメを多用。これも当時のRPGでは他には見られなかった。ただし動画ではなく、CGをアニメのように見せているだけで、gifアニメの感じに近い。 //サイズも小さかった。 --ストーリーは複雑に変化し意外な展開を見せる。本作には全世界マップが存在しない為、残りの未踏破地域からどの程度話が進んだかを予想する事ができないからだ。そろそろ終わるかと思わせて、実は…という話の進め方ができるのである。 --OPはプロローグをうまくまとめ、そのOPテーマと合わせて、印象深く評価が高い。 -戦闘はシステムは独特のもの。 --敵との遭遇はボスなどを除いて、エンカウント制。 --タクティカルなシステム。戦闘になると、ある程度の広さに味方、敵キャラを配置したものをトップビュー(上から見下ろし)で見るスタイル。味方の配置は、事前に設定したフォーメーションを取る事になる。 --純粋に細かい指示を出し動かせるのは主人公のみ。他のパーティのメンバーはAIで勝手に動く((システム的に前作といえる「サバッシュ」では主人公もオートだった。))。プレイヤーが他のキャラにできる事は、目標を指示する事と、アイテムを使う事くらい。~ だがAIにまかせっきりという訳にもいかない。パーティの中で一人でもHPが0になるとゲームオーバーなので、不用意な行動は避けねばならないからだ。手段は少ないながらも、他のメンバーに働きかける事は必要。 --攻撃はキャラが敵キャラまで近づくことで行われる。 --行動はターン性。順番が回ってきたキャラクターには、行動ポイントが与えられている。そのポイント内で、移動、攻撃、魔法を行う。プレイヤーが動かせるのは主人公だけであるが。 --各キャラクターのレベルアップも独特で、主人公とヒロインの二人しかレベルアップしない。他のキャラはパラメーターが固定されている。そのため強化は、基本的には装備交換でなんとかするしかない。~ これでは「先に進むうちに行き詰ってしまう」と思うかも知れないが、そうはならない。敵が強くなり主人公とヒロイン以外のキャラが厳しくなってくる辺りで、話の展開によってパーティーから抜けていくのだ。そしてより強い新たなキャラが加わるという形になる。抜けたキャラの中には、再びパーティに加わるキャラもおり、その時には格段にパラメーターが上昇した状態で加わる。本作のストーリー性を象徴する一面といえよう。 **難点 -ストーリー性重視のため、攻略に自由度はない。せいぜいいくつかあるサブシナリオを、やるかどうかくらい。 -MAP上での移動手段は「徒歩」のみ。今では当たり前の走ることが出来ない。そもそも単純に歩くのが遅い。 --乗り物による移動手段は当時少ないというのもあったが、そのために目的地までの移動に時間がかかる。 --数少ないが複雑な地形をしたダンジョンとフィールド上の森があり、走れないために結構苦労させられる。 -AIが攻撃寄りに作られており、あまり賢くない。回復魔法をかけて欲しいような状況でも攻撃ばかりしてメンバーを見殺しにしたり、強敵にむやみに突撃して死んでしまうなどの困った現象が起こる。一人でもHP0になるとゲームオーバーなので、敵によってはイマイチなAIキャラをどう誘導するかに頭を悩ませる事に。 --特にヒロインであるタムリンは、最強攻撃魔法であるレイヴァースを習得するとこれを狂ったように連発するようになってしまい、それまでは使ってくれていた回復魔法をまるで使わなくなる。レイヴァースはそのグラフィックから「タムリンレーザー」と呼ばれ(主にプレイヤーを)恐怖に陥れた。 ---この原因はプログラム設計にあり、実はAIキャラは魔法を4つまでしか認識できないのである。そのため新しい魔法を覚える度に、古い魔法を「忘れて」いく仕様となっているのだが、タムリンは「レイヴァース」を覚えると回復魔法の「ヒール」を忘れてしまうのだ。これでは回復してくれるはずもない…。 ---PCE以降の移植版ではAI改善が図られて、ちゃんと回復してくれるようにはなった。 --最終メンバーの前衛型AIキャラが主人公に比べて打たれ弱い。強化イベントはあるがそれでも突撃死しやすい。 -主役、ヒロイン以外が厳しくなると、ストーリー上から入れ替えが発生するのは特徴で説明した通り。しかしストーリー展開によってはそれがやや遅く、苦しい戦闘が続く場合もある。 -上記の理由から、RPGとしては難易度がやや高め。 -一部機種でゲームの進行が不可になるバグが存在する。 --PC-88版では、とある洞窟にいるボスを倒したあと、手に入れるべき重要アイテムを取らずに外に出ると、ストーリーを進めることができなくなる。 --PC-98版では、とあるサブシナリオ内で手に入る強化イベント付きの武器を、後に加入するとあるキャラに装備させると、終盤のイベントでエラーが出て先に進めなくなる。このバグが発生するとデバッグメッセージの「コマンド エラー このバグはE・JUN((シナリオ、ゲームデザイン担当の飯淳(いい・あつし)氏の事。))の責任です。」が表示される((このサブシナリオ中だけ仲間になるキャラに装備させて戦闘しても、同じメッセージが表示されて進行できなくなるバグが存在する。ただし、こちらは発生したセーブデータでも進行可能な対処方法がある))。 //バグは重いのでゲームを推奨するならこの辺「とある」と隠さない方がいいのでは? **総評 まさにストーリー重視の一本道RPG。レベルアップするのが、主人公とヒロインだけという点もあり、ストーリーを強調するためのRPG部分とすら言える。~ キャラ、ストーリー重視でアニメ要素が強い話が見たいプレイヤーからすれば、十分楽しめる作品だろう。一方で一部の複雑なダンジョンや、AIの貧弱さなどのバランス的に問題もあるのは残念な所。ただこれらは、ゲームに大きな支障のでるほどのものではない。~ 今ではストーリー重視のRPGは数多くでてるが、その黎明期を代表する作品の一つとも言える。 -本作は様々な機種に移植された。移植されたのはPC-9801VM/UV以降、X68000、MSX2、FM TOWNS、PCエンジン(日本電気ホームエレクトロニクス)、スーパーファミコン(メディアワークス)。この中で傑作と評されているのがPCE版である。詳細は後述する。 -製作ソフトハウスがPC誌「ポプコム」と密接な関係であった為、PC版の情報は「ポプコム」が宣伝を兼ねた特集が毎号組まれていた。結果として発売前にライバル誌の商品宣伝となりうるのを嫌ってかゲームの人気とは裏腹に他誌に一切の情報が載らない独占した状態となっていた。だが発売後に他誌「コンプティーク」で特集コーナーが設けられ、最終回間際には投稿者の一部に非売品のスペシャルディスク((未使用のイベントCGを使ったミュージックディスク。))をプレゼントする企画などもあった。 ---- **PCE版 |ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2|~| |発売元|日本電気ホームエレクトロニクス|~| |移植元|アルファ・システム|~| |発売日|1994年1月28日|~| |定価|9,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **特徴と88版との違い PCEの移植版では、いくつもの傑作を産み出してきた岩崎啓眞氏と桝田省治氏が制作に関わっており、移動の遅さや複雑なダンジョン、貧弱なAIが解消されている。また木村明広氏の手によるハイクオリティなビジュアルシーン、会話シーンの増加、さらにデモシーンは増加の上、全画面表示でボイス付き。またサブシナリオも増加している。とまあ、かなりのボリュームアップである。一方で、ゲームとしての難易度は下がり遊びやすくなっている。あえて難点を言うなら、評価の高かったOPに手を加えたせいで、逆に評価を落としたくらいだろうか。 -PCEには「メモリーベース128」(以下128。光栄から同等製品の「セーブくん」も発売された)という大容量記憶媒体があったが、対応ソフトでしか利用できなかった。エメラルドドラゴンには本体内のセーブデータを128に移動するユーティリティが内蔵されており、PCEユーザーに歓迎された。 -本作品はスーパーCD-ROM2専用ソフトであるが、実はアーケードカードにも対応している。ロード回数を大幅に減らすことが出来る優れた仕様だったのだ。 -ちなみに当時PCEをバッシングしていたファミコン通信のクロスレビューでは「6・5・6・5」という異常な低得点が付けられていた。
*エメラルドドラゴン 【えめらるどどらごん】 |ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)''写真はPCエンジン版''| |対応機種|PC-8801MkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、&br()X68000、FM TOWNS、MSX2|~| |発売元|バショウハウス|~| |開発元|グローディア|~| |発売日|1989年11月|~| |定価|8,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ストーリー性、キャラクター性の色濃いRPG。PC88SRシリーズのゲームとして発売された。 今となってはストーリー性やキャラクター性が強いRPGは珍しくも無いが、発売当時は本作ほど強く出してるものはあまりなかった。またアニメ的要素も強い。キャラデザイン、演出にはそれが垣間見える。戦闘システムが独特なのも本作の特徴。 **ストーリー 太古の伝説の土地、イシュ・バーン。そこにはドラゴンと人間が平和に共存していた。外敵も入ってこないこの土地は、正に理想郷であった。~ しかしある時、イシュ・バーン全土に強力な呪いがかけられる。その呪いは、何故かドラゴンにしか効かないものだった。やがてドラゴン達は抵抗空しく、次々と倒れていく。そして残されたわずかなドラゴンは、この地から去っていった。~ それから2000年。ドラゴン達はドラゴン小国という土地で暮らしていた。そんなある日、一隻の難破船が流れ着く。ドラゴン達はその中から、唯一生き残っていた幼い女の子を助け出す。だがその女の子は、名前はもちろん、全ての記憶を失っていた。やがて長老である白龍にタムリンと名づけられた彼女は、年の近かった若いブルードラゴンのアトルシャンと共に暮す事になる。~ ドラゴン小国のでの平和な日々は続き、12年の年月が過ぎた。その日、年頃の美しい少女となったタムリンは、人間達の世界、イシュ・バーンに行くとアトルシャンに打ち明ける。以前に白龍から、人間ならばやはり人間と共に暮す方がいいと勧められていたのだ。~ アトルシャンは最初こそ反対するが、決意が固いのを見ると、自らの角を折り、それで角笛を作って持っていくようにタムリンに言う。「もし危機があれば、この笛を吹くように。その笛の音がした時には、必ず駆けつける」~ それから3年後。イシュ・バーンは混乱の極みにあった。15年前、突如魔軍が現れ、人間に攻撃を開始したのだ。イシュ・バーンを治めていたエルバート王国は、対抗するため軍を差し向ける。しばらくは甲乙つけがたい持久戦が続いていた。~ だが魔将軍オストラコンの出現により、状況は一変する。エルバート軍は劣勢に立たされ、今となっては王城を残すのみとなっていた。~ そんな状況を見かねたタムリンは、魔軍と戦う事を決意する。そして思い出の角笛を吹くのだった。 **特徴 -グローディア製作の前作「[[サバッシュ]]」のスピンオフ作品である。(ストーリーに直接的な関連性はない) -映えるキャラクター達と、二転三転するストーリー。 --中心メンバーは、少年漫画やアニメのようにメリハリの利いた、「立った」キャラクター達。そしていぶし銀的な仲間達も多い。それらが世界観が複雑にからみあい、敵味方、仲間たちの間でドラマを織り成している。 --アニメ調のキャラデザインや多彩な演出、ストーリーなどにより内面を深く描いており、特に会話シーンの多さが際立っている。それを象徴する一つの要素として上がるのが「相談」コマンド。一応次に何をすればよいかのヒントを出してくれるコマンドに当たるが、むしろキャラ同士の「雑談」「掛け合い」に近い。内容も頻繁に変わるので新しい場面で会話を聞く面白みもあり、キャラクター性の確立に一役買っている。 --会話の時に顔をアップにしている。今では当たり前だが、RPGでこの演出方法は当時としては珍しかった。 --デモにアニメを多用。これも当時のRPGでは他には見られなかった。ただし動画ではなく、CGをアニメのように見せているだけで、gifアニメの感じに近い。 //サイズも小さかった。 --ストーリーは複雑に変化し意外な展開を見せる。本作には全世界マップが存在しない為、残りの未踏破地域からどの程度話が進んだかを予想する事ができないからだ。そろそろ終わるかと思わせて、実は…という話の進め方ができるのである。 --OPはプロローグをうまくまとめ、そのOPテーマと合わせて、印象深く評価が高い。 -戦闘はシステムは独特のもの。 --敵との遭遇はボスなどを除いて、エンカウント制。 --タクティカルなシステム。戦闘になると、ある程度の広さに味方、敵キャラを配置したものをトップビュー(上から見下ろし)で見るスタイル。味方の配置は、事前に設定したフォーメーションを取る事になる。 --純粋に細かい指示を出し動かせるのは主人公のみ。他のパーティのメンバーはAIで勝手に動く((システム的に前作といえる「サバッシュ」では主人公もオートだった。))。プレイヤーが他のキャラにできる事は、目標を指示する事と、アイテムを使う事くらい。~ だがAIにまかせっきりという訳にもいかない。パーティの中で一人でもHPが0になるとゲームオーバーなので、不用意な行動は避けねばならないからだ。手段は少ないながらも、他のメンバーに働きかける事は必要。 --攻撃はキャラが敵キャラまで近づくことで行われる。 --行動はターン性。順番が回ってきたキャラクターには、行動ポイントが与えられている。そのポイント内で、移動、攻撃、魔法を行う。プレイヤーが動かせるのは主人公だけであるが。 --各キャラクターのレベルアップも独特で、主人公とヒロインの二人しかレベルアップしない。他のキャラはパラメーターが固定されている。そのため強化は、基本的には装備交換でなんとかするしかない。~ これでは「先に進むうちに行き詰ってしまう」と思うかも知れないが、そうはならない。敵が強くなり主人公とヒロイン以外のキャラが厳しくなってくる辺りで、話の展開によってパーティーから抜けていくのだ。そしてより強い新たなキャラが加わるという形になる。抜けたキャラの中には、再びパーティに加わるキャラもおり、その時には格段にパラメーターが上昇した状態で加わる。本作のストーリー性を象徴する一面といえよう。 **難点 -ストーリー性重視のため、攻略に自由度はない。せいぜいいくつかあるサブシナリオを、やるかどうかくらい。 -MAP上での移動手段は「徒歩」のみ。今では当たり前の走ることが出来ない。そもそも単純に歩くのが遅い。 --乗り物による移動手段は当時少ないというのもあったが、そのために目的地までの移動に時間がかかる。 --数少ないが複雑な地形をしたダンジョンとフィールド上の森があり、走れないために結構苦労させられる。 -AIが攻撃寄りに作られており、あまり賢くない。回復魔法をかけて欲しいような状況でも攻撃ばかりしてメンバーを見殺しにしたり、強敵にむやみに突撃して死んでしまうなどの困った現象が起こる。一人でもHP0になるとゲームオーバーなので、敵によってはイマイチなAIキャラをどう誘導するかに頭を悩ませる事に。 --特にヒロインであるタムリンは、最強攻撃魔法であるレイヴァースを習得するとこれを狂ったように連発するようになってしまい、それまでは使ってくれていた回復魔法をまるで使わなくなる。レイヴァースはそのグラフィックから「タムリンレーザー」と呼ばれ(主にプレイヤーを)恐怖に陥れた。 ---この原因はプログラム設計にあり、実はAIキャラは魔法を4つまでしか認識できないのである。そのため新しい魔法を覚える度に、古い魔法を「忘れて」いく仕様となっているのだが、タムリンは「レイヴァース」を覚えると回復魔法の「ヒール」を忘れてしまうのだ。これでは回復してくれるはずもない…。 ---PCE以降の移植版ではAI改善が図られて、ちゃんと回復してくれるようにはなった。 --最終メンバーの前衛型AIキャラが主人公に比べて打たれ弱い。強化イベントはあるがそれでも突撃死しやすい。 -主役、ヒロイン以外が厳しくなると、ストーリー上から入れ替えが発生するのは特徴で説明した通り。しかしストーリー展開によってはそれがやや遅く、苦しい戦闘が続く場合もある。 -上記の理由から、RPGとしては難易度がやや高め。 -一部機種でゲームの進行が不可になるバグが存在する。 --PC-88版では、とある洞窟にいるボスを倒したあと、手に入れるべき重要アイテムを取らずに外に出ると、ストーリーを進めることができなくなる。 --PC-98版では、とあるサブシナリオ内で手に入る強化イベント付きの武器を、後に加入するとあるキャラに装備させると、終盤のイベントでエラーが出て先に進めなくなる。このバグが発生するとデバッグメッセージの「コマンド エラー このバグはE・JUN((シナリオ、ゲームデザイン担当の飯淳(いい・あつし)氏の事。))の責任です。」が表示される((このサブシナリオ中だけ仲間になるキャラに装備させて戦闘しても、同じメッセージが表示されて進行できなくなるバグが存在する。ただし、こちらは発生したセーブデータでも進行可能な対処方法がある))。 //バグは重いのでゲームを推奨するならこの辺「とある」と隠さない方がいいのでは? **総評 まさにストーリー重視の一本道RPG。レベルアップするのが、主人公とヒロインだけという点もあり、ストーリーを強調するためのRPG部分とすら言える。~ キャラ、ストーリー重視でアニメ要素が強い話が見たいプレイヤーからすれば、十分楽しめる作品だろう。一方で一部の複雑なダンジョンや、AIの貧弱さなどのバランス的に問題もあるのは残念な所。ただこれらは、ゲームに大きな支障のでるほどのものではない。~ 今ではストーリー重視のRPGは数多くでてるが、その黎明期を代表する作品の一つとも言える。 -本作は様々な機種に移植された。移植されたのはPC-9801VM/UV以降、X68000、MSX2、FM TOWNS、PCエンジン(日本電気ホームエレクトロニクス)、スーパーファミコン(メディアワークス)。この中で傑作と評されているのがPCE版である。詳細は後述する。 -製作ソフトハウスがPC誌「ポプコム」と密接な関係であった為、PC版の情報は「ポプコム」が宣伝を兼ねた特集が毎号組まれていた。結果として発売前にライバル誌の商品宣伝となりうるのを嫌ってかゲームの人気とは裏腹に他誌に一切の情報が載らない独占した状態となっていた。だが発売後に他誌「コンプティーク」で特集コーナーが設けられ、最終回間際には投稿者の一部に非売品のスペシャルディスク((未使用のイベントCGを使ったミュージックディスク。))をプレゼントする企画などもあった。 ---- **PCE版 |ジャンル|RPG|&amazon(B0000ZPLVI)| |対応機種|PCエンジン スーパーCD-ROM2|~| |発売元|日本電気ホームエレクトロニクス|~| |移植元|アルファ・システム|~| |発売日|1994年1月28日|~| |定価|9,800円|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| **特徴と88版との違い PCEの移植版では、いくつもの傑作を産み出してきた岩崎啓眞氏と桝田省治氏が制作に関わっており、移動の遅さや複雑なダンジョン、貧弱なAIが解消されている。また木村明広氏の手によるハイクオリティなビジュアルシーン、会話シーンの増加、さらにデモシーンは増加の上、全画面表示でボイス付き。またサブシナリオも増加している。とまあ、かなりのボリュームアップである。一方で、ゲームとしての難易度は下がり遊びやすくなっている。あえて難点を言うなら、評価の高かったOPに手を加えたせいで、逆に評価を落としたくらいだろうか。 -PCEには「メモリーベース128」(以下128。光栄から同等製品の「セーブくん」も発売された)という大容量記憶媒体があったが、対応ソフトでしか利用できなかった。エメラルドドラゴンには本体内のセーブデータを128に移動するユーティリティが内蔵されており、PCEユーザーに歓迎された。 -本作品はスーパーCD-ROM2専用ソフトであるが、実はアーケードカードにも対応している。ロード回数を大幅に減らすことが出来る優れた仕様だったのだ。 -ちなみに当時PCEをバッシングしていたファミコン通信のクロスレビューでは「6・5・6・5」という異常な低得点が付けられていた。

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