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*うたわれるもの 偽りの仮面
【うたわれるもの いつわりのかめん】
|ジャンル|アドベンチャー&br;シミュレーションRPG|&amazon(B00VR1L7VW)|
|対応機種|プレイステーション3&br;プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~|
|メディア|BD-ROM/PSVカード|~|
|発売・開発元|アクアプラス|~|
|発売日|2015年9月24日|~|
|定価|パッケージ版:6,800円&br;ダウンロード版:6,000円&br;プレミアムエディション:9,000円(全て税別)|~|
|備考|[[公式サイト>http://aquaplus.jp/uta/itsu/]]|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''賛否両論''|~|
|ポイント|続編ありきの物語構成&br;ネットや萌えを意識した作風&br;戦闘は発展途上でもあるが新要素が光る|~|
|>|>|CENTER:''[[Leaf/AQUAPLUS作品リンク>Leaf/AQUAPLUS作品]]''|
**概要
アクアプラス設立20周年記念として、『[[うたわれるもの 散りゆく者への子守唄]]』から13年を経て制作された続編にあたる。発売当初に前作を含めて3部作であり、本作では完結しないことは前もって知らされていたが、未消化な部分が多く非常に人を選ぶ作品となってしまった。
**あらすじ
青年がふと目覚めると見知らぬ世界が広がっていた。彼は自らが置かれている状況を理解できず、また目覚める前の記憶もなかった。しかし彼に考える暇も与えずに、巨大な蟲や大きな赤いナメクジのような生物「タタリ」が襲い掛かる。そこに助けに入ったのは美しい少女だった。
//**世界観
**システム
・アドベンチャーパートについて
-主人公ハクの目線に立ち、自由行動時間のうちにイベントを起こす場所をプレイヤーが選ぶことができる。
-イベントの順序や取捨選択が可能だが、キャラの好感度は実装されておらず根幹部分に影響はない。
・戦闘パートについて
-シナリオで挑めるステージ数は17。一周クリアすると「夢幻演武」と呼ばれる戦闘に挑める。こちらは難易度が高くステージ数は16。
-前作からの変更点
--難易度は常時変更、戦闘の巻き戻しが可能になった。一度クリアしたステージはいつでも挑戦が可能で、経験値稼ぎができる。
-シナリオ前半は襲ってくる獣や悪さをする賊の撃退といったものが多く、難易度調整が可能だがそれでも全体的に難易度は低め。
--隣接した味方との協撃は廃止、代わりに連撃システムは強化、敵の攻撃軽減および回避システムが新実装。
**評価点
-シナリオ
--本作からの新規キャラが多いので、前作の知識前提となる場面は少なく新規層にもとっつきやすい。それでいて前作との関連もそれなりに示唆されている。また主人公ハクは前作主人公と良い対比をなしている。
--主人公ハクが帝と出会い、世界の真実を知らされるまでの展開は上手に練られている。
--後半は鬱展開が多いが、それまでの殆どはゆるい展開であり楽な気持ちでプレイできる。
--板挟みに陥ったキャラクターの心理描写は秀逸。
-戦闘における新システム
--前作にはなかった連撃やキャラ技といった戦いの臨場感を高める斬新なシステムが存在する。
--キャラによっては飛び越えられる溝などのギミックを地形に組み込んである。
--クリア後に高難易度マップを導入しており、前作も抱えていたSRPGのボリュームの向上に成功している。
-演出
--背景やキャラ画、BGMは前作に劣らず好評価。
--SRPGパートは3Dマップで表現されるようになり、背景となる地形はかなり写実的に描かれている。また味方と敵のユニットを隣接させると交戦状態のモーションをとるといった細かい芸が見られる。
-プレイステーションストアと接続することで、プレイデータを別機種で共有できるクロスセーブ機能がある。
**賛否両論点
-偏ったシナリオ構成
--前作もそうだったが、前半中盤はキャラ紹介に重点を置いたノベルアドベンチャーのようなつくり。しかし本作のSRPGが本編を占める割合はかなり少ない。
--前半は非常にほんわかしているのだが、逆に終盤になると一気に物語が動きだし、謎を多く残したまま続編へ…という流れ。
---この幕切れに対して、いい余韻を残したという肯定的な見方もあれば話を不完全にしたまま続編に投げたとする否定的な見方もある。
---幕切れとは別に、前半の日常パートを楽しめないとSRPGパートの薄さも相まって、シナリオのボリュームを感じることができないと思われる。
---本作は3部作中の2作目であり完結しない事は周知されており、本作は本作に限らず続編の3部で活躍するであろう人物紹介の役目を兼ねていると考えられるのだが、ここのパートが冗長で蛇足感の否めない展開もで水増ししているといった意見も多い。
---主人公のお供が重大なシナリオに絡まないことはSRPGでも珍しい事ではないが、中盤は散々出番があったにもかかわらず、終盤では蚊帳の外になっているキャラもいる。
--総じて、終盤までのほんわかしている部分は、鬱と勇ましさがあった軍記ものとしての前作に対するギャップが大きく、~逆に後半はいままでののんびりした空気を急転させたことによるギャップが大きいので、新規・継続問わず混乱したプレイヤーがいる。
-SRPGのゲームバランス
--経験値稼ぎやターン巻き戻しが導入されたため難易度が大幅に易化した。
--ダメージ計算式がパラメータに大きく依存しており、結果としてレベルアップすればするほど戦いが有利になる。
---この仕様を考慮してかレベルアップ自体が起こりにくい。序盤こそ戦略性のある戦いを楽しめるが、後半になってくると使うキャラとそうでないキャラの戦力差が著しくなる。
---またシナリオ終盤に差し掛かると、連撃というシステムを上手に活かすことで敵味方ともに、相手ユニットをワンパン可能。出撃キャラの位置は固定されていたり、1フェイズで敵味方が接触するケースも珍しくないので、悪い意味で「やられる前にやれ」というスタンスを後押ししている。
---一応、それぞれ戦略性を楽しみたいプレイヤーは稼ぎを封印し、シナリオを楽しみたいプレイヤーはレベルを上げてごり押しという楽しみ方が可能。
--地形や天候の効果、キャラによってはZOCを無視するといったSRPGとしての奥深さがあるゆえ、特に本編でのこうしたバランス調整には勿体ないという意見も。
//--キャラの性能差はつけられているが、全体的に近接キャラが不遇というバランス。
//---ウルゥル・サラァナは打たれ弱いという弱点があるものの、遠距離から高威力の魔法を叩き込み、雑魚敵ユニットをワンパンできるといった作中でも最強クラスの性能。
//---ネコネも体力と攻撃力は弱く、回復スキルの範囲があまり広くないので扱いにくい。
//---前作にもこのような偏りは多少見られた。
-本作からの新規キャラの紹介に十分な力を割いていることが認められるが、前作をやっていないと分からない描写はそれなりに多い。
--クオンの生い立ち(特にエピローグ時の展開)や、それに関連する人物の説明はかなり不足している。
-登場人物のクセ
--あからさまにネット層に対する萌えを狙ったかのような表現やキャラ設定がある。もともと前作は恋愛アドベンチャーの属性もあったため一概に悪い事とは言えないのだが、本作の描写に発売当時のネット流行に乗っかる傾向があり、世界観をやや壊しているとの声も。
--どちらかといえば登場人物が原始的な生活を営んでいるはずの本作には、そこに似つかわしくないネットスラングが所々に登場する。
---本作の舞台となる世界は我々が住む現実世界との関連が示されてはいるものの、やはりここまで浸透させるのも無理がある。
--怠惰だが頭が切れていざという時に頼りになる主人公ハクと、周囲の女性陣との絡みは妙にどこか昨今の恋愛ラノベも彷彿とさせる。
//---もっともハクは男性キャラとの絡みもあるのだが、ハクを除いたキャラ同士の絡みがやや弱い。
//他キャラの絡みにハクが参加してはいけないというのはどうかと思う。それを言い出したらほとんどのADVは主人公が絡まないシーンなんて少ししかないし
---露骨な恋愛感情を寄せてきたり、ハクを信頼しながらも貶してくるヒロインの行動には賛否が分かれる。まただれかに恋心を抱くまでの過程があまり描かれていないので超展開に感じる場合もある。
**難点
-SRPGがメインシナリオを占める率が少ない。
--戦闘の合間に会話パートが30分ほど間に挟まる事もある。
--テンポの良さには貢献しているかもしれないが、SRPGとしては非常に難易度が低く、ADVパートにおけるプレイヤーの速読スキル次第では24時間以内にひととおりクリアできてしまう。
--SRPG好きなプレイヤーへ配慮した結果として夢幻演武というやりこみ要素があるため、一概にボリュームそのものが少ないとは言い切れない。
-わかりにくい仕様
--技の射程範囲を確認するにはいちいち技のリストを見る必要があるので、キャラ性能を覚えないうちは非常に面倒くさい。
--連撃システムが発動することで、この射程範囲が変化することもよくあるが、上記リストでその変化がどのように起こるのか説明されていない。
-Vita版の場合、字幕が小さくて見にくい。
-ムービー中にセーブするとそのデータをロードできなくなるバグが存在する。
**総評
ADVとSRPGを組み合わせた独特のゲーム構造、絶妙な心理描写は健在である。しかし前作とは傾向を変えたゆるい作風や、続編に大部分をゆだねた消化不良ともいえる物語の構成のために、評価はプレイする人次第で大幅に変化する結果となった。
**余談
-シナリオをやや改変してアニメ化された。アニメ化されるゲームは数多く存在するが、本作はかなり早い。