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*CROSS†CHANNEL 【くろすちゃんねる】 |ジャンル|学園青春アドベンチャー|&amazon(B000A8SYNC)| |対応機種|Windows 98~XP|~| |発売・開発元|FlyingShine|~| |発売日|2003年9月26日|~| |定価|9,800円(税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |配信|DLsite:2019年5月31日/6,264円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ループもの&br血みどろスプラッタ&br''ロリコンは病気です''|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -群青学院放送部に所属する8人のキャラクターたちを中心に描かれた学園青春ADV。 -現代が舞台だが先天的、後天的に精神に異常を持つ少年少女が劇的に増え、人を襲うなど社会問題になっているという背景がある。 -群青学院はそんな心に問題を抱えた少年少女を精神治療を建前に隔離する施設となっている((少数ではあるが身体障害の受け入れもある。))。 -適応係数と呼ばれる試験によって一般社会との適応性を測定、百分率の数値で表され、数値が大きい程重篤とされる。 --30%を超えた場合は適応不可と判断され、学院へ入学することになる。 -ある日を境に何故か主人公たちを除いて人類が消失((実際は人類以外の生物も消えている。))し、1週間を繰り返す世界へと放り込まれたループもの。 **あらすじ 生きている人、いますか? 夏。学院の長い夏休み。崩壊しかかった放送部の面々は、個々のレベルにおいても崩れかかっていた。 初夏の合宿から戻ってきて以来、部員たちの結束はバラバラで。今や、まともに部活に参加しているのはただ一人という有様。 主人公は、放送部の一員。 夏休みの閑散とした学校、ぽつぽつと姿を見せる仲間たちと、主人公は触れ合っていく。 屋上に行けば、部長の宮澄見里が、大きな放送アンテナを組み立てている。 一人で。 それは夏休みの放送部としての『部活』であったし、完成させてラジオ放送することが課題にもなっていた。 以前は皆で携わっていた。一同が結束していた去年の夏。 今や、参加しているのは一名。 そんな二人を冷たく見つめるかつての仲間たち。 ともなって巻き起こる様々な対立。そして和解。 バラバラだった部員たちの心は、少しずつ寄り添っていく。 そして夏休み最後の日、送信装置は完成する――― 装置はメッセージを乗せて、世界へと――― 公式サイトより抜粋。 **登場人物 #region(ネタバレ含む。クリックで開閉) -黒須 太一(CV:なし) --本作の主人公。自称「エロ大王」で享楽的な性格。白髪と猫のようなタペタムを備えた目を持つ美少年だが、自身の容姿を醜いと思い込んでいる。 --適応係数84。学院で最も重篤な少年。過去の事件により人としての理性を完全に失っており、血を見ると本来の異常な凶暴性を表す。 ---現在の彼の人格は支倉曜子らによって後付されたものにすぎず、血を見る、敵意を向けられる等のきっかけで本性が出る。 --太一自身もそんな自分を嫌悪しており、「普通」に対して強い憧れを抱いている。 --タペタムを備えた目はストーリーが進むに連れて重要な意味を持ってくる。 -山辺 美希(CV:榎津まお) --ウェーブのかかった金髪と貧乳が特徴の太一の後輩(太一曰く「映画化された某有名ファンタジー小説のヒロインみたいな少女」)。 --太一のセクハラに動じない明るくノリのいい性格。 --佐倉 霧とは親友で二人で「FLOWER'S(お花ちゃんたち)」と呼ばれる。 --適応係数は自称40そこそこ。他人に対する共感が欠落しており、異常なまでの「自己愛」を抱えており、必要とあらば他人を躊躇なく切り捨てる冷酷さも秘めている。 --親友の霧もいざという時の「盾」であり、本編でもさり気なく彼女を誘導している。 --ループ世界に気づき、自己愛に従ってループの際の「初期化」を拒み、ある方法で「固有」を保ち続けていた。 -佐倉 霧(CV:中瀬ひな) --ボーイッシュな容姿の少女。美希とは親友だが、力関係では美希が上で頭が上がらない。 --群青学院には従兄の新川豊と共に転入してきた。以前の学校でいじめを受けており、潔癖症で気が強い。 --転入当初は豊と共に太一とも親しかったが、豊の自殺を機に太一をひどく憎むようになる。 --他者の悪意に敏感で特定の他者に依存する傾向が強く、ループ世界に入ってからは美希と共に他のメンバーとの交流を絶とうとする。 --エンディングで「健常化」が認められ、他校へ転校する。 -宮澄 見里(CV:鳩野比奈) --放送部部長。巨乳と眼鏡特徴。温厚で面倒見もよく、太一を放送部へ誘った張本人。通称みみ先輩(「みみみ」と呼ぶと何故か怒る)。 --島 友貴の実の姉だが、違う苗字を名乗っている。 --「規則」を守る事に因われており、守れない規則ばかりの世界は彼女に取ってストレスであり、自分を傷つけることで周囲を攻撃する重度の自傷癖の持ち主。 --普通でありたいと願う太一の心情を理解する、太一にとっての特別な存在。 --人類の消失した世界でなお、課題のアンテナ作りを行っているがそれが逃避行動であることは自覚している。 -桐原 冬子(CV:楠鈴音) --太一のクラスメイト。名家の娘で意地っ張り。太一曰く「反転属性付き勝気娘」。 --かつて太一と恋人関係にあったが、太一に捨てられ、以来太一を敵視している。 --群青学院に適応係数のペーパーテストひとつで転入させられたことに納得がいかず、私服登校でその意思表示をしている。 --適応係数は46。普段は高いプライドで孤立しているが、一度依存すると際限がなくなり独占しようとする。独占を保つために周囲との対立や自傷も厭わない。 ---太一と付き合っていた時も依存しすぎたため破綻。さらに太一の気を引くために自傷で重症を負い、太一を戦慄させた。 --ループ世界では高いプライド故に誰にも頼らず高確率で餓死する。 -支倉 曜子(CV:児玉さとみ) --長い黒髪と無表情が特徴の少女。太一よりひとつ年上。一人暮らしをしている。 --周囲に無関心だが太一には心を許し、盲信している。太一の幼なじみで「婚約者」。 --頭脳、身体能力共に常人を遥かに超え。高い戦闘能力と鋭い第六感を持つ。忍者のように気配を消し、神出鬼没である。 --太一とは過去の事件を共有しており、半身と呼べる間柄。 --超人的な能力によってループ世界において、ほぼ全てのループで世界の秘密に単独でたどり着く。 -島 友貴(CV:牛久京也) --放送部員で太一の友人。彼女はいるが童貞。 --群青学院では数少ない身体障害者枠。 --宮澄 見里の実弟だが、彼女が原因で複雑な家庭環境にあり、姉に対しては愛憎入り混じる複雑な感情を抱く。 --ループ世界では食料の調達を行う「生命維持活動部」を立ち上げるが、それが姉と同種の逃避行動であることは自覚していない。 -桜庭 浩(CV:十文字隼人) --放送部員で太一の友人。あだ名はラバ。実家は大富豪で月に50万の小遣いをもらっている。 --奇矯な言動が多く、味覚、金銭感覚など、常人に理解し得ない独自の感性の持ち主。学食で販売されている「カレーパン」をこよなく愛する。 --適応係数は15と一般人レベルだが、自ら希望して群青学院に入学。 --過去に女装した太一に一目惚れし、襲おうとして太一に反撃され左の聴覚を失っている。また、その際に何故か性欲も失っている。 --他人の心情を感覚的に察する鋭さがあり、太一の苦悩を理解していた節がある。他のメンバーと異なり他人と衝突することのない人物。 -七香(CV:理多) --謎のセーラー服少女。登場の度に自転車に乗って太一を突き飛ばす。 --群青学院の生徒ではなく、太一とも面識はないはずだが太一の事は何故かよく知っている。 --謎めいた発言をし、太一を導いていく。一方で曜子の事は毛嫌いしている。 --終盤に彼女の正体について触れられるが、それでも謎が多く、本編では明確に言及されることがない。 -堂島 遊紗(CV:鵜乃瀬朱香) --メガネっ娘で太一の近所に住む後輩。 --母親は群青学院の学食に勤務している豪快なおばちゃん。 --過去にいじめを受けた原因でストレスに非常に脆くなっている。太一に懐いていたが、ふとしたきっかけで凶暴性を表した太一に襲われ、精神に深い傷を負ってしまい、以後の消息は明らかになっていない。 ---作中では太一の回想のみに登場する。 -新川豊(CV:間寺司) --佐倉霧の従兄妹で共に群青学院に転入してきた。 --霧とは実の兄妹のように仲がよく、太一ともすぐに意気投合した。 --過去の事件で足が悪く、その事件前後からの記憶を失っている。また先端恐怖症で、森の暗がりに恐怖を抱くなどの精神疾患を持っており、どこでも唐突に眠るなどの後遺症もある。 --実は過去の事件で太一と面識があり、本人はその事を忘却していたが、太一との交流の中でその事を思い出し、学院の屋上から飛び降り自殺をしてしまう。 #endregion **評価点 -よく練られたシナリオ --序盤は何気ない日常シーンがただ流れるだけの退屈な青春学院ADVを装っているが、オープニングが終わると一変、世界にたった8人だけになったメンバーの葛藤が描かれる。 ---1周目と呼ばれるこの序章は本編には直接繋がっておらず明らかに浮いている((本篇に入ると合宿は「失敗した」と語られるが、1周目では大成功に終わっている。))ので、どういうことなのかファンの間でも議論になる。 ---本編でも1周目の情報が断片的に現れるので「太一の妄想」「去年の話」などの説が出ている。 --巧妙に張られた伏線が物語が進むに連れて徐々に明らかになっていく。 ---最初は気づかないような普通の文章でも、後から「あれはそういうことだったのか」と気付き、驚かされる事が多い。 -メッセージ性の高さ --精神に障害を持った人物を中心に話を進めることで、人と人との関係や生きるとはといったメッセージを帯びている。 --いわゆる「泣きゲー」はまた違った感動が得られる。 -ADVの特徴を活かした「ループもの」 --概要で示した通り、何故か1週間を繰り返す世界へと迷いこむ。 --ADVでよくある選択肢や個別ルートも「ループのうちの可能性の1つ」ということにしてループをうまく利用している。 --ゲームオーバーもあるが、そのまま1週間経って「初期化」されたことになる。 --主人公たちがループを始めてから「何周」したかは不明で、何万周もした可能性があることが示唆されている。 -ギャグ要素 --主に主人公の太一がぶっ飛んでいるので序盤はギャグの嵐である。 --「ロリコンは病気です」「コミック力場」「10万15歳」といったものから「小僧から石を取り戻せ!」などオマージュも盛り沢山。 --突拍子過ぎて意味不明な太一の振る舞いにも太一なりの意図・願いが込められており、後半になるとその意味が明らかになる。 **賛否両論点 -出血・グロ描写 --狂気を持った太一はもちろん、太一を敵視する霧と太一を守る陽子など対立の末に殺人に至る場面がある。 --その他太一の過去の館での事件、冬子の自傷など本編を通して非常に血を見る事が多い -太一のギャグ、セクハラ発言 --評価点でもあるギャグだが、突き抜け過ぎて人を選ぶ。 -ラストがはっきり描写されないエンディング --幽霊(?)となった放送部員が太一にお別れを言いに来るが、そのセリフが本編中からは読み取れない描写のためかなり意味不明((「ループ世界の部員たちでは?」という考察がある。))。 --生物のいなくなった世界なのに最後に蝉の鳴き声が聞こえる(PC版のみ)ため、太一が元の世界に戻ったのでは?と言われるが明確な答えがない。 -答えの出ない謎 --ループ世界では何故、生物が消えていったのか((元住民の日記から本当に唐突に煙のように消えたような描写がある。))、そもそも何故ループしているのかといった疑問は解消されていない。 --七香は本編中で太一との関係は明らかになるが、何故ループ世界にいるのか、どういった存在なのかは不明なままとなっている。 --ループ世界から元の世界に戻った時、どの程度時間が過ぎているのかが不明。 ---祠に残されたノートが数年経ったようにボロボロになったものもあるのでリンクしていればかなりの年数行方不明になっていることに。 **難点 -Hシーン --数が少なく、キャラごとの絡みもあまりないのでエロゲーとしては使用価値は低い。 --しかしながらシナリオの一部として非常に深く関わってるシーンもあるのでシーンが削除された全年齢版は少々わかりづらくなってしまっている。 -群青学院の描写 --精神障害を患う少年少女を隔離・治療する施設という設定であるが、隔離施設としても治療施設としても機能しているとは言い難い。 --ふとしたきっかけで大量殺人を犯しかねない太一が自宅通学していたり、施設としてはお粗末な扱いである。 --飛び降り自殺があっても屋上は出入り自由になったりフェンスがあるだけと、措置がされていない。 ---学校を舞台にしたADVではありがちだが、普通の学校の大半は屋上はそもそも出入り禁止である。 --そもそも精神障害者を隔離するといった設定自体に嫌悪感を抱く人も。 -PS2/PSP『CROSS†CHANNEL ~To all people~』の問題点 --解像度が低い --文字の解像度が低く、識別が困難になることがある。 --特に''血''という文字が''皿''にしか見えなくなる。本作の重要なワードであることもあり残念。 --一部シナリオがわかりづらい --18禁シーンをカットしたため一部キャラの心情の変化など掴みづらい **その他 -没シナリオ「トモダチの塔」 --太一の狂気が最も顕著に現れたシナリオ。 --ループ世界がループを始める前の話で、本編にも繋がる謎が盛りだくさんとなっている。 --にも関わらず没になったのはグロすぎる内容からだと思われる。 ---解析や設定資料集のみで語られるシナリオだったが、PS3/PSV移植版からはこのシナリオが追加されている。 ---- **総評 発売当初は無名のメーカーの発売ということあって売上自体は振るわなかったものの、プレイヤーの口コミが広がり長く愛されたゲームである。~ どうしようもなく狂っていても必死で人であろうとする登場人物の姿とその結末には、きっと胸を打たれるであろう。~ 2003年発売であるが、10年経ってもその魅力は色あせていない。作風に抵抗がなければ是非、一度プレイしてもらいたい。 ---- **移植 -PS2/PSP『CROSS†CHANNEL ~To all people~』 --エロシーン削除版。特に追加シナリオはない。 -Xb360『CROSS†CHANNEL ~In memory of all people~』 --本編のシナリオ追加、アフターストーリー追加などがされている。 -Win『CROSS†CHANNEL 復刻版』 --オリジナルの解像度を変更したバージョン。 -PS3/PSV『CROSS†CHANNEL ~For all people~』 --XB360版にさらにヒロイン視点のシナリオなどが追加されている。 -Win『CROSS†CHANNEL ~FINAL COMPLETE~』 --今まで追加されたシナリオと18禁要素を備えた完全版。今からプレイするならこれ一択。2019年にダウンロード版も配信されたため購入しやすい。 **余談 -Flashゲーム「NANACA†CRASH!!」 --自転車に乗った七香が太一を突き飛ばし、タイミングよくクリックしながらその飛距離を競うゲーム。 --完成度が高く、Flashゲーム全盛期ということもあって非常に人気であった。恐らく本編よりも有名だったのではないだろうか。 --2014年5月16日になんと公式化。同時にAndroid/iOSアプリとしてもリリースされている。 -『[[Fateシリーズ]]』『月姫』で有名な奈須きのこ氏は、本作を「絶対に超えられない壁として君臨する作品」と評している。 -2007年、ケータイ小説文学賞「モバゲー小説大賞」第1回において優秀賞を受賞した『メビウスの輪』が本作の盗作ではないかと話題になった。 --ループ世界に閉じ込められ、最後の一人がラジオ放送をするなど、複数の類似点が認められ受賞を辞退、書籍化が中止になった。 -2019年6月19日に「(有)フライングシャイン」が東京地裁から破産開始決定を受けた。DL版販売から1ヶ月も経たないうちの発表である。([[参考リンク>https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20190626_01.html]]) --FlyingShine及び派生ブランドの公式サイトは消滅しているが、『CROSS†CHANNEL ~FINAL COMPLETE~』のサイトは現存している。~ これは発売元が「CROSS†CHANNEL」(作品名がブランド名なのでややこしいが、ウィルプラスのブランドの一つ)だからである。
*CROSS†CHANNEL 【くろすちゃんねる】 |ジャンル|学園青春アドベンチャー|&amazon(B000A8SYNC)| |対応機種|Windows 98~XP|~| |発売・開発元|FlyingShine|~| |発売日|2003年9月26日|~| |定価|9,800円(税別)|~| |レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~| |配信|DLsite:2019年5月31日/6,264円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|明るい青春劇に萌えも完備&br本編内の移り行く雰囲気&brテーマは普遍にして重い|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 -群青学院放送部に所属する8人を中心に描かれた青春劇ADV。 -シナリオライター・田中ロミオによる初作品でもある。 **あらすじ 生きている人、いますか? 夏。学院の長い夏休み。崩壊しかかった放送部の面々は、個々のレベルにおいても崩れかかっていた。 初夏の合宿から戻ってきて以来、部員たちの結束はバラバラで。今や、まともに部活に参加しているのはただ一人という有様。 主人公は、放送部の一員。 夏休みの閑散とした学校、ぽつぽつと姿を見せる仲間たちと、主人公は触れ合っていく。 屋上に行けば、部長の宮澄見里が、大きな放送アンテナを組み立てている。 一人で。 それは夏休みの放送部としての『部活』であったし、完成させてラジオ放送することが課題にもなっていた。 以前は皆で携わっていた。一同が結束していた去年の夏。 今や、参加しているのは一名。 そんな二人を冷たく見つめるかつての仲間たち。 ともなって巻き起こる様々な対立。そして和解。 バラバラだった部員たちの心は、少しずつ寄り添っていく。 そして夏休み最後の日、送信装置は完成する――― 装置はメッセージを乗せて、世界へと――― 公式サイトより抜粋。 **登場人物 CVは左側が18禁版、右側が全年齢版 -黒須 太一 (CV:なし) --本作の主人公で群青学院二年生。地毛の白髪が目を引く美少年だが、自身の容姿を醜いと思い込んでいる。 --その独特な感性や言動から、普段は学院の問題児として有名。 -山辺 美希 (CV:榎津まお / 野中カオリ) --ウェーブがかった金髪と慎ましい胸元が特徴の一年生。無邪気で明るく、太一のノリについていける数少ない人物。 --太一からは、親友の佐倉 霧と共に「FLOWER'S(お花ちゃんたち)」と命名されている。 -佐倉 霧 (CV:中瀬ひな / 沢野冷果((PS3/Vita版なかせひな名義))) --大人しく無口で、中性的な容姿の一年生。普段は控えめな性格ながら、時に頑固な面や辛辣さを持ち合わせている。親友の美希とは頼ったり頼られたりで、頭が上がらない。 -宮澄 見里 (CV:鳩野比奈 / 及川ひとみ) --巨乳と眼鏡が特徴の三年生。温厚で面倒見もよく、太一を放送部へ誘った張本人。通称みみ先輩(「みみみ」と呼ぶと何故か怒る)。 -桐原 冬子 (CV:楠鈴音 / 鳴海エリカ) --太一のクラスメイト。名家の娘で意地っ張り。太一曰く「反転属性付き勝気娘」。 -支倉 曜子 (CV:児玉さとみ) --長い黒髪と無表情が特徴の三年生。一人暮らしをしている。 --周囲に無関心だが、太一には心を許している。その様は常軌を逸しており、彼の「姉的存在」「婚約者」で「一心同体」と称している。 -島 友貴 (CV:牛久京也 / 山口勝平) --放送部部員で太一の友人。機械知識に明るく、放送部で扱う機材もお手の物。 --ある事故をきっかけに足を患っている。 -桜庭 浩 (CV:十文字隼人 / 山崎たくみ) --放送部員で太一の友人。あだ名はラバ。実家は大富豪でその出自や感性故か、普段は太一以上に奇矯な言動が多い。 -七香 (CV:理多 / 平井理子) --ある時を境に出会う謎の少女。明るくノリのいい性格で、太一とも意気投合する。 --出会いの度に意味深なことを口走る。 -堂島 遊紗 (CV:鵜乃瀬朱香 / 東風たまこ) --太一の近所に住む後輩。 --母親は群青学院の学食に勤務している豪快なおばちゃん。 -新川 豊 (CV:間寺司 / 堀川りょう) --佐倉霧の従兄妹。実の兄妹のように仲がよく、二人揃って群青学院に転入してきた経緯を持つ。 --太一とは出会い頭から、強く結び合っていく。 **評価点 -よく練られたシナリオ --明るく騒がしい学園モノとして始まる本作だが、これは前置きに過ぎない。~ その最後に明かされる衝撃的な事実で、世界は一変する。 --その事実とは群青学院放送部部員を除いた人類が消失した世界((それ以外の生物も消失してしまっている。))が、現在の舞台であること。 この事実は公式において伏せられており((そもそも説明書やパッケージなどで、核心に触れる記述が一切無い。))、当初とは違った面を覗かせていく。 --さらに物語が進行すると、同じ一週間を繰り返すループ現象が起きていることも明かされる。 ---この構造はプロット段階で構想が書かれている。~ ループものの問題点として、2周目以降に飽きが出てしまう。それに対しての強い引きとして、計算されたものである。その為に1周目は時間軸を往き来しながら、物語が構成されている。人類消失世界のネタばれ防止の措置である。 ---さらにループ現象はプレイヤーに気づかせつつも、太一が知るのは2周目以降となっている。これによって謎解き要素も帯びてくる。また、太一の目的が明確化されていく。 --このように1、2周目から凝った構成が、全編通して発揮されている。巧妙に張られた伏線も、徐々に回収されていく。何気ない文章でも後から真実に気づき、驚かされる事が多い。 -メッセージ性の高さ --群青学院放送部の面々によって織りされる物語は、青春劇には普遍的なことがテーマである。普遍的が故に、プレイヤーの深い共感を呼び、本作の人気や評価に繋がっている。 -ADVの特徴を活かした「ループもの」 --従来のループ作品との違いとして、個別ルートを経る度にループ世界に影響を及ぼす仕掛けとなっている。これも、繰り返しプレイの飽き対策である。 ---この世界への影響が本作独自の終末感、寂寞感の一助になっている。 --ADVでお馴染みの選択肢や個別ルートも「ループ世界の可能性の1つ」として、組み込んでいる。作中でもプレイヤーの見ることの無い展開、結末を迎えた世界線の存在が示唆されている。 ---一週間を満了することなく終了することもあるが「初期化」され、無かったことになる。これもプレイヤーは誤選択したことを理解し、正解ルートに戻れる作りを活かしている。 -ギャグ要素 --主に主人公の太一がぶっ飛んでいるので、全編通してもギャグの数は多い。パロディも盛りだくさん。 **賛否両論点 -一部の過激な描写 --物語の展開によって、こういった場面が起こることがある。 --立ち絵や一枚絵にも描写が出てくるが、表現そのものは比較的控えめ。 ---しかし不可避なものとして出てくることもあるので、嫌悪感を抱く人もいるだろう。 -太一のギャグ、セクハラ発言 --評価点でもあるギャグだが、突き抜け過ぎていて人を選ぶ面がある。特に女の子へのセクハラは、不快に思う人もいるだろう。 -作中に出てくる曖昧な描写 --明確に解答される謎がある一方、説明不足を感じる部分がある。示唆だけで終わったものに関して、はっきりと決着や描写があることを望む声もある。 --一方で、その考察を楽しむ者もいる。ゲーム外にはなるが、本作の公式設定資料集((原画や用語集、ショートショートが所蔵された副読本。本作を補完するものとして、ファン必見の内容となっている。しかし現在ではプレミア化している。))が発売されている。この中で提示された手がかりもあり、考察が盛んに行われている。また、この考察要素に本作たらしめる魅力を感じる者もいる。 **難点 -答えの出ない謎 --評価点に挙げた巧妙な伏線回収や賛否両論点に挙げた手がかりも無く、そのまま残されてしまった謎の数々がある。一部の人物の存在、所在が明かされていない問題も残っている。 //賛成意見がないので移動 -Hシーン --成人向けとして期待される要素であるが、シーン自体が少ない。 --一方でシナリオに深く関わってるものもあるので、削除・修正された家庭版では解りにくい部分が出来てしまった。 -群青学院の描写 --一般校とは違う成り立ちを持っているという設定。しかし、その役目が果たせているかと問われると、疑問符がつく。((太一の独白でも、その部分にはつっこみがされており、狙った設定であることは窺える。)) --舞台である上見坂市は「都会」と言われる区域と、丘という言葉に騙された人が、ハイキング気分で行くと遭難するほどの山を越えた区域に分かれている。~ 群青学院があり、関係者が住んでいるのは後者。その役目・目的の為、同一市内であることを建前としている。~ 区域内に発電所が設置されていたり、資材に乏しいなど、舞台設定自体に整合性は取れている。 --そもそもの設定に難色を示す声もある。 -PS2/PSP『CROSS†CHANNEL ~To all people~』の問題点 --ハード由来の部分でもあるが、解像度が低い。 ---文字が潰れやすく、漢字の識別がしにくいことも。特に「血」という文字は「皿」に見える。 --難点に挙げた削除・修正されたシーンにより、解りにくい部分がある。((Xb360版以降から一部描写がPC版寄りになり、改善されている部分もある。)) **その他 -没シナリオ「トモダチの塔」 --公式設定資料集などで明かされた没シナリオ。 --ループ現象が始める前の話で、本編にも繋がる謎が盛りだくさんとなっている。にもかかわらず没になったのは、過激な内容故と思われる。 ---PS3/PSV移植版以降は、このシナリオが追加されている。 ---- **総評 発売当初は無名のメーカー((FlyingShineとしては、本作以前からゲーム開発を担っていたものの、自社ブランド販売としては初であった。))の発売ということもあって、売上は振るわなかったものの、プレイヤーの口コミが広がり長く愛されたゲームである。~ 思春期の障害や葛藤、恋愛を通して描かれる物語とその結末には、きっと胸を打たれることだろう。~ 2003年発売であるが、現在もその魅力は色褪せていない。作風に抵抗がなければ是非、一度プレイしてもらいたい。 ---- **移植の変更点 -Win『CROSS†CHANNEL』 --オリジナル。 -PS2/PSP『CROSS†CHANNEL ~To all people~』 --家庭用に修正された部分は、田中ロミオ自身が担当。 -Xb360『CROSS†CHANNEL ~In memory of all people~』 --公式設定資料集から起こされた本編エピソード、アフターストーリー、新作カット追加などがされた家庭用増補版。 -Win『CROSS†CHANNEL 復刻版』 --オリジナルの解像度を改訂したもの。 -PS3/PSV/Switch『CROSS†CHANNEL ~For all people~』 --Xbox360版にヒロイン視点のシナリオなどが追加されている。 -Win『CROSS†CHANNEL -FINAL COMPLETE-』 --増補された家庭用に成人向け表現も備えた完全版。2019年にDLsiteでダウンロード版も配信。2021年にはFANZAでも配信された。 **余談 -『NANACA†CRASH!!』 --自転車に乗った七香が太一を突き飛ばし、タイミングよくクリックし、その飛距離を競うFrashゲーム。 --完成度が高く、Flashゲーム全盛期ということもあって非常に人気であった。 --二次創作物なのだが、2014年5月16日には公式化。同時にAndroid/iOSアプリとしてもリリースされている。 -シナリオライターの田中ロミオの初作品なのだが、「田中ロミオ」とは『加奈 ~いもうと~』や『家族計画』を手掛けた山田一の別名義であり、新人ライターのデビュー作という訳ではない。 --当初から両名を同一人物と類推する情報が出ており、現在では同一人物であると公表している。 -『[[月姫>月姫 -A piece of blue glass moon-]]』『[[Fateシリーズ]]』で有名な奈須きのこは、本作を「絶対に超えられない壁として君臨する作品」と評している。 -2007年、ケータイ小説文学賞「モバゲー小説大賞」第1回において、優秀賞を受賞した『メビウスの輪』が本作の盗作ではないかと話題になった。 --複数の類似点が認められ受賞を辞退、書籍化が中止になった。 -田中は眼鏡っ娘好きを公言しており、本作にはメインキャラに一人、中盤までそれなりに登場するキャラに一人、序盤で退場するキャラに一人と、計三人登場させている。少数の登場人物で展開する作品としては多めと言えるだろう。 -2019年6月19日に「(有)フライングシャイン」が、東京地裁から破産開始決定を受けた。DL版販売から1ヶ月も経たない内の発表である。([[参考リンク>https://www.tsr-net.co.jp/news/tsr/20190626_01.html]]) --FlyingShine及び派生ブランドの公式サイトは消滅しているが、『CROSS†CHANNEL -FINAL COMPLETE―』のサイトは現存している。((それは販売がウィルプラスに変更されているからである。メーカー表記が「WillPlus/CROSS†CHANNEL」と解りにくいが、作品名をブランド名として残している為である。)) --田中は自身が関わったブランドや会社が、いくつも解散している事を自虐ネタにした事がある。それが本件で、また一例を作ってしまった。

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