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*タイムギャル 【たいむぎゃる】 |ジャンル|LDゲーム|#image(ポスター.jpg,width=170,height=220)| |対応機種|アーケード&br()プレイステーション&br()セガサターン&br()メガCD&br()マッキントッシュ&br()VHD&br()iOS|~| |発売・開発元|【AC】【PS】【MLD】【PC】【iOS】タイトー&br()【SS】エグゼコ・デベロップメント&br()【MCD】ウルフチーム|~| |稼動開始日|1985年|~| |プレイ人数|1~2人(交代制)|~| |判定|なし|~| |ポイント|ミスシーンのギャグ演出とお色気は必見|~| ---- #contents ---- **概要 リアルタイムで流される映像内に発生する指示に従い、ボタンやレバーを操作して様々なシーンをクリアしてエンディングまで導いていくLD(レーザーディスク)ゲーム。((わかりやすく言えば、今で言う「''QTE''」で全編構成されたゲームである))~ 本作は日本国内で制作されたLDゲームの中でも知名度の高い作品で、『[[忍者ハヤテ]]』『宇宙戦艦ヤマト』に続くタイトーのLDゲームシリーズ第3弾として制作された。~ 映像制作は東映動画(現:東映アニメーション)。音楽は『ダライアス』シリーズで著名な元・ZUNTATAの小倉久佳が担当している。 全16シーン。二人交互プレイ対応。 **ストーリー タイムマシンによる時空間航行の技術が確立された30世紀初頭。~ 時間犯罪を未然に防ぐために創設された国際警察機構『歴史保安警察』の施設内部に保管されていた世界唯一のタイムマシンが、大悪党ルーダに強奪されてしまった。~ 歴史保安警察のエース・タイムギャルことレイカは、時空間航空服「タイムスーツ」の力を駆使し、時空の彼方に逃げ込んだルーダを追うべく様々な時代を駆け抜けていく。 **ゲーム内容 4方向レバーとボタンを使ってレイカを間接的に操作する。レバーはレイカのアクションの誘導とタイムストップ時の行動選択に用い、~ ボタンは武器による攻撃とタイムストップの発動及びタイムストップ時の選択決定に用いる。~ ボタン・レバー入力のミス、タイムストップイベントでの選択肢ミス・制限時間切れにより残機を失い、0になるとゲームオーバー。~ コンテニュー可能だが9回のみの回数制限付き。 シーンクリア後はボーナススコアが加算された上で次のシーンへ移行しする。~ 全クリア後は&bold(){残機数×5000P+クリアボーナス5000P}のボーナススコアが加算され、最終的なスコアが算出された上でゲーム終了となる。 &bold(){基本操作} -&bold(){レバー・ボタン入力} --リアルタイムに流れる映像内で発生する入力指示に従い、レバー及びボタンを入力する。 --具体的には、画面内の特定の箇所が光った瞬間に、光っている箇所に対応するデバイスを入力する。~ 光の発生の直前に矢印・ボタンアイコンによる指示が一瞬だけ表示されるようになっているが、ステージが先に進むにつれ、~ アイコンがランダムで「?」表示に変化して隠されようになる。~ 難易度MAXの場合は画面内の光のみを頼りに入力デバイスを判断しなくてはならず入力タイミングもより厳しくなる。 ---「忍者ハヤテ」では指示入力のかなり前の段階で光が発生し予め入力方向を察知できるようになっている個所もあったが、~ 本作では光の発生と入力指示アイコンの表示は終始ほぼ同タイミングであるため、より鋭い反射神経が必要となっている。 --正解ごとにスコアが加算され、一定点数毎にエクステンドが発生して残機が増える。 --指示発生から入力までの時間が短いほど高得点となり、入力指示と異なる入力が正解とし受け付けられる&bold(){隠し入力}によってスコアをより伸ばすことができる。((レバー入力よりボタン入力の方が得点が高く、レバー入力指示でもボタン入力が正解として受け付けられる箇所(もしくはその逆)が複数存在する。))。 --各シーンの内のいくつかはランダムで左右反転になるため、単純に覚えた通りに入力するだけとはいかない。(映像も反転するので判別は可能)。 -&bold(){タイムストップ} --ゲーム中の要所要所で、ボタン入力により「タイムストップ」を発動させ、危機回避のためレイカ以外の時間を一時的に停止させるというイベントが発生する。~ この際には、制限時間内に表示される選択肢の中から適切なものをレバーとボタンで選ばなくてはならない。~ 選択肢を間違うもしくは時間切れで1ミス。時間切れの場合、正解にカーソルを合わせていてもミスとなる。 --選択肢は常に3つで正解は1つのみ。イベントの内容と正解は常に固定なので運の要素はない。 これらの操作の繰り返しによってレイカに次々と襲い掛かるアクシデントを切り抜けさせ、次のシーンへと導くのがゲームの流れの全てである。~ **シーン一覧 初期筐体設定では、紀元前(7000万~B.C.1年)、中世~現代(A.D.1~2000年)、未来(A.D.2001年~4000年)の3つの年代の中から好きな時代を選ぶ事ができ、~ それぞれの年代毎に各シーンがランダム出現していく仕様になっている。 エンディングを迎えるには16シーン全てをクリアする必要があり、最終ステージはその他の全てのステージをクリアしないと到達できない。 #region |CENTER:過去|CENTER:紀元前|B.C.70,000,000| |~|~|B.C.65,000,000| |~|~|B.C.30,000| |~|~|B.C.16,000| |~|~|B.C.44| |~|CENTER:中世|A.D.500| |~|~|A.D.666| |>|CENTER:現代|A.D.1588| |~|~|A.D.1941| |~|~|A.D.1990| |>|CENTER:未来|A.D.2001| |~|~|A.D.2010| |~|~|A.D.3001| |~|~|A.D.3999| |~|~|A.D.4000| |~|~|A.D.4001| #endregion **キャラクター -&bold(){レイカ (CV:山本百合子)} --タイムマシン開発者の娘で、時間犯罪阻止のために創設された警察機構「歴史保安警察」のエース。人呼んで「タイムギャル」。~ 幼少時より父の研究の被験者としてタイムトラベルを繰り返していた経験を買われてルーダ追跡の適任者として選出され、~ ルーダに奪われたタイムマシンを取り戻すべく、タイムスーツの力を駆使して過去から未来を駆け抜けていく。((公式バックストーリーより)) --LDゲームの主人公の宿命として様々なアクシデントに遭遇し、美少女ヒロインにも拘らずミスする度にこっ酷い目に合わされて多種多様なギャグリアクションを取らされる難儀な御仁である。~ 「普通にしていれば正統派の主人公なのにミスした途端に三枚目化する」という点では、『忍者ハヤテ』の系統を継いでいるといえなくも無い。 -&bold(){ルーダ} --タイムマシンを強奪した30世紀最大の大悪党。レイカの追跡に気づいて歴史のゆく先々に罠を仕掛けており、ラストシーンでレイカを待ち受けている。 --操作ミスしてレイカが災難に見舞われる度に高笑いして嘲り笑うシーンがお約束のように挿入される。 **短所 -LDゲームゆえにやる事のと単調さは相変わらず --デバイス入力受付時間の短さと要所要所で正しい選択肢を選ばせるという初見殺しの要素も相まってやや難易度はシビアだが、~ 結局はパターンとタイミングの暗記が全てなのでゲームとしては底が浅い。 -デバイス入力受付時間の短さ --『忍者ハヤテ』では入力受付時間は比較的余裕があったが本作ではかなり短く、入力のタイミング自体もかなりシビア。~ そのため、パターンがわかっているのに入力が間に合わなくてミスということが起きがち。ミス演出も楽しみのひとつではあるが、慣れないと延々と同じ個所で足止めされてしまう。 -映像上のストーリー性は希薄 --立ちはだかる敵はあれど、ラスボスのルーダは最終エリアまで姿を見せず、それまでひたすらアクシデントから逃げ回るだけなので、ストーリー性は薄い。 ---もっとも、だいたいのLDゲーム自体がそんな感じであり、このゲームにとってはストーリー云々よりもレイカの魅力を堪能することが全てといっていいようなものなので、たいした問題ではなかったりするが。 **評価点 ''キャラクターの魅力を押し出した作風'' -ヒロイン・レイカの魅力 --本作の世界観や舞台設定は80年代当時のアニメファン層を意識したSFもののOVA((オリジナルビデオアニメーション。レンタル専売もしくは劇場公開向けに制作されたオリジナルアニメ作品のこと。))的なテイスト。ヒロインであるレイカのルックスも露出度の高い衣装にロングヘアーとわかりやすいデザイン。 ---加えて、LDゲームのキャラクターには珍しく大量のボイスが用意されており、担当声優・山本百合子((当時ではアニメ版『北斗の拳』のユリア役、ゲームでは本作の後年に出た脱衣麻雀「スーパーリアル麻雀PII」のショウコ役で有名なベテラン女性声優。ちなみに、本作のミスリアクションにさりげなく北斗の断末魔ネタが入っている(笑)))のはつらつとしたアドリブ演技による~ 底抜けに明るく元気なイメージの性格付けもあって、際立った個性を持っており、太ももを露にして元気いっぱいに飛び回るその姿で(主に男性)プレイヤーのハートをがっちりと掴んだ。 ---キャラクター人気も高く、一時期、タイトーの看板キャラとして扱われていたほど。 -コミカルかつ多彩なミスリアクションの数々。 --ミスリアクションこそこのゲームの全てと言ってもよい程で、頭身の低いデフォルメキャラに変化して見せる80年代のギャグアニメ的なノリのオーバーなリアクションと、担当声優の巧みなアドリブ演技によるギャグ演出が好評を呼んだ。 --一部、ミスリアクションを取る間もなくガチで死亡してしまう場合もあったりするが、基本的にコミカルなギャグ調に統一されており、恐竜にお尻をかじられたり天使になって昇天したりと、その種類は実に豊富。同じパターンのセリフ違いを除いただけでも有に60種類近くある。 ---中でも『ジャンプした瞬間にパンツを恐竜に食い千切られ、赤面してしゃがみこむ』というちょっぴりエッチなリアクションが大きな話題となった。~ 開発スタッフも「そこが本作最大の見せ場」と豪語した程。そこでわざとミスして楽しむ御仁も多かったとか。~ これらの演出面での熱の入ったこだわりのおかげでインカム面でもかなりの好影響を及ぼしたそうである。 --「ミスリアクションがコミカル」という作風のLDゲームは、オリジナル作品としての前作に当たる「[[忍者ハヤテ]]」の他、国外のLDゲームや国産の他メーカーの作品にも存在しているが、「むしろ単調なゲーム性だからこそキャラと演出に拘った」と言っても過言ではないと思えるほどの力の入れっぷりが伺えるのは本作くらいのものだろう。~ 結果的に「''わざとミスしてリアクションを楽しむ''」というLDゲームにあるまじき珍現象を生み、本作は多くの熱狂的なファンを獲得することになった。 ''アニメーションの質の高さ'' -大手アニメ会社の制作だけあってアニメーションの質は非常に高く、&bold(){総枚数1万枚以上のフルアニメーション}という贅沢な作りもあって、~ 昨今のアニメ作品ではなかなかお目にかかれないほどに突出した躍動感でよく動く。 //PS版のジャケット裏の解説では「合計1時間、総枚数5万枚のフルアニメーション」とあるが、どっちがどのくらいの枚数を使ってるのかはっきり書いてないので、1万枚以上としておく。 ミスリアクションはもちろん、様々なアクシデントを華麗に切り抜けていくレイカの活き活きとしたアクションも本作の見どころの1つである。 --また、前述のように、LDゲームのキャラクターには基本的にセリフらしいセリフはないのが普通であるが、本作では通常アニメーション時ですらもレイカが様々なアクシデントから逃げ回りつつ余裕で喋りまくっているので非常に賑やか。((ミス時も含め、全て台本なしのアドリブである。))~ これにより、キャラクターの個性と共に、純粋なアニメーション作品としての魅力も強く押し出されており、映像作品としてのエンターテイメント性においては「[[忍者ハヤテ]]」同様、完成度が非常に高い。 -''演出面'' --本作ではランクイン時のネームエントリーで制限時間0になるまで待つかボタンを押して入力を終了すると、スタッフロールが流れる。~ また、ネームエントリーBGMが用意されており、中途ゲームオーバーでのランクイン時には途中まで、全クリア後のランクイン時に制限時間0になるまで待つとそのまま最後まで流れ、ボタンを押すといったんBGMが切れた後、スタッフロールの表示と同時にBGMのショート版が流れるようになっている。 ---『[[忍者ハヤテ]]』では全クリア時に短いデモが流れクリア達成のメッセージが表示された後にGAMEOVER表示で終了、BGMのない無音状態でネームエントリーと言う簡素な演出であった他、OPデモも非常に短いダイジェスト映像的なものだった。~ 本作では同様にダイジェスト映像ながらテーマ曲を交えた1分弱の長い映像になっており、まさにOP映像と言うにふさわしい趣になっている。この点はささやかな演出の進化ともいえる。 上述の通り、他のLDゲーム作品とは一風異なった独特な魅力を内包していた本作であったが、LDゲームそのものの短命性に加え初期料金設定が200円と高かったために全国規模で筐体の早期撤去が相次いでしまい、残念ながら稼働期間は非常に短かった。~ 一方で、上述に挙げた評価点の数々により、衰退速度が著しかったLDゲームの中に置いて、かなりの知名度を誇る作品となると共に、キャラクター人気も高い作品になった。~ 一時期、レイカがタイトーのマスコットキャラクターとして扱われていたため、ゲームの事は知らなくてもキャラクターの事は知っている、といゲームファンも多くいたほどである。 **総評 機種としては極めて短命に終わってしまった本作ではあったが、ジャンル由来の単調なゲーム性をキャラクターの魅力で補ったことによりLDゲームの中でも知名度の高い人気作となった。~ 単調なシステム故ゆえゲーム性そのものに見るべきところはないが、多彩でコミカルなミスリアクションとアニメ映像そのものの活き活きとした躍動感は必見に値する。これだけでも十分、見る価値はあると言えよう。~ PSやSSでリリースされた移植版も今ではプレミアもので実際に遊ぶのは難しく、システム面の単調さからも今の時代に遊ぶには厳しいものはあるが、映像だけなら動画サイトなどでも見られるので、興味が湧いたらぜひ、見てみて欲しい。 **移植版 -&bold(){『タイムギャル』- VHDpc INTER ACTION版} --MSX、シャープX1などパーソナルコンピュータに外付けユニットであるVHDpcマーク付きプレイヤー、VHDインターフェイスユニットを組み合わせることで遊べる、独自規格のビデオディスク向け移植。 -&bold(){『タイムギャル』- メガCD版(ウルフチーム、1992年11月13日発売/7,800円)} --インターフェースが再構築されており、スコアは右画面下に表示、映像は画面中央のウィンドウ内に表示されるようになり、画面内に表示されていた操作指示は映像ウィンドウ内の左右上下にあるタイムボールの点滅による指示に置き換わっている。~ 画面右下にはレイカの顔グラフィックが表示され、アクションの成否の度に表情が変化するようになっている。 --元画像を圧縮し1枚1枚手作業で修正を施すことでグラフィックを再現しているため、画質は元に比べると大幅に劣化している。~ OPムービーとスタッフロールの映像と曲がオリジナルのものに差し替えられ、OPにオリジナル主題歌「時空を超えて」が挿入されている。((歌唱はレイカを演じた山本百合子。FULLバージョンを収録した非売品のシングルCDが購入者に配布された。海外版のOPではインストバージョンに差し替えられている。)) --アニメショーンそのものの質はオリジナル版と比して遜色なくプレイ感覚共に忠実な移植を実現しており、OPにフルボイスのボーカル曲を挿入するなどウルフチームらしい技術力の高さがいかんなく発揮されている。 ---また本作描き下ろしのビジュアルもあり、HARDモードクリア後のおまけビジュアルも用意されている。 -&bold(){『タイムギャル』- Mac版(タイトー、1994年発売/8,800円)} --パソコン版移植。デバイス入力は全てマウスのクリックで行う。 -&bold(){『タイムギャル』- メガLD版(タイトー、1995年3月発売/9,800円)} --パイオニア、NECホームエレクトロニクス(OEM)より発売されたレーザーディスクプレイヤー「レーザーアクティヴ」向けの移植で、レーザーディスクとCD-ROMの機能を組み合わせた新規格LD-ROM(LD-ROM2、MEGA-LD)専用ソフト。 --ゲーセン並みの高画質で遊べる点で支持を得たが、本体・ソフト共に定価が高額ゆえにプレイ環境が希少なこともあり、ハード本体はもちろんソフト単品にもかなりのプレミアがついているため、プレイ環境を今から整えるのは非常に困難。 -&bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- プレイステーション版(タイトー、1996年7月5日発売/6,800円)}~ &bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- セガサターン版(エグゼコ・デベロップメント、1997年1月17日発売/5,800円)} --両者とも『タイムギャル』と『[[忍者ハヤテ]]』の2本を収録したオムニバスソフト。各ハード共にCD-ROM2枚組みで、各ディスクに作品が一つづつ収録される形となっている。~ 両機種共に、CD-ROMメディアゆえに画質はそこそこながらほぼ完全移植でプレイ感覚も再現されている。データのセーブ機能には対応していないが、アニメシーンだけを鑑賞できるモードが搭載されており、純粋なアニメ作品としても楽しめる様になっている。 --PS版は「DIP MODE」による難易度、残機数、ステージ進行順変更などの内部設定変更機能と、サウンドテストモード・残機無制限の裏技が仕込まれている。 --両機種共に、元々の発売本数が極端に少ない事情もあって、中古価格にプレミアが発生しやすい傾向にあるため、入手し難い。 -&bold(){『タイムギャル』(iOS版 / 配信開始日:2017年4月1日)} --タイトーの往年の懐かし名作ゲームをアプリ配信するプロジェクト「タイトークラシックス」の第1段タイトルとして配信された。 --クリア済みのシーンを自由に閲覧できる『シアターモード』搭載の他、追加コンテンツとして『入力デバイス事前告知』と『開発資料閲覧コーナー』を有料で購入できる。 **余談 -本作がリリースされた80年代中期は、まだ今でいう「萌え」や「オタク」といった概念が明確に確立しておらず、そうした言葉も一般的ではなかった時期であったが、当時、既にゲームセンターにはそういった層が集まる傾向があった。~ 女性が主人公のゲームが多く作られ、またそれらのゲームに熱烈なファンが多く発生し始めたのも、ちょうどこの頃である。 --特に80年代に制作されるようになったゲーム作品の中には、当時のアニメ業界で流行っていたOVAの作風に影響を受けたものが多く、アニメファンを中心とするマニア層をTVゲームに惹きつける大きな要因となった。 --衰退速度の著しかったLDゲームの中にあって稼動期間も非常に短かった本作が熱狂的な指示を獲得し、知名度の高い作品となった背景にはこういった事情が挙げられ、当時のOVAの定番ジャンルであった「美少女ヒロインが活躍するSFもののOVA」的な世界観とキャラクターの魅力でアニメファンを中心とするマニア層のニーズに大きく訴求した結果であった。そういう意味では、本作は「オタク黎明期を象徴する作品」と言えよう。 --アニメーション映像により描かれる女性キャラクターの魅力を存分にアピールした作風は、後のギャルゲーと呼ばれるジャンルに大きな影響を与えており、86年代以降に制作された女性主人公の有名作などとも合わせ、ギャルゲーの始祖とも言われている。 -ヒロインのレイカはその人気ぶりから一時期タイトーのマスコットキャラとして扱われるようになり、1990年頃の業界展示会や直営店舗の開店イベントにおいてコンパニオンにレイカの衣装を着せてキャンペーンを行ったり((メガCD版発売の際には、飯島愛がレイカのコスプレをしてプロモーションを行った。))、『トップランディング』の販促宣伝のためにスチュワーデス姿の等身大ポップを飾られたり(そして盗まれもした)、当時のタイトーのコーポレート・アイデンティティ用ポスターのイメージキャラクターに抜擢されたり、PCエンジン版「パズニック」のクリア後の1枚絵に出たりと、ゲーム内外含めて露出は多く、当時のタイトーの顔となっていたことが伺える。~ 1991年発売のクイズゲーム「クイズ地球防衛軍」では、2P側の操作キャラがもろ彼女を意識した緑髪の「レイカ」というキャラクターだったりもする。 --2011年に発売されたPS3配信専売タイトル「エレベーターアクション デラックス」で追加配信キャラとして再登場するなど、その知名度の高さは今も健在。 -本作が他作品に与えた影響も地味に大きく、同社製作のシューティングゲーム『[[奇々怪界]]』のやられパターンの多彩さは、本作がミスリアクションの多彩さで人を惹きつけ~ インカムを伸ばした実績にあやかってのことだったことを、製作スタッフが同人誌『ゲームクロニクル1 奇々怪界』のインタビューで明かしている。 --また、アルファシステム製作・タイトー販売の縦スクロールシューティングゲーム『式神の城III』((『~III』の実開発は韓国のスコーネック))には、レイカをモチーフにしたキャラ「霧島零香」(しかもコードネームが「タイムギャル」)が登場している。 -稼動期間が短かったことに加え、LD媒体ゆえに筺体自体の寿命も極めて短かったため、国内には稼働可能な状態で現存している筐体はもう残っていないという。 --1995年のメガCD移植の際に、ウルフチームが全国のゲームセンターと連絡を取り合って探したものの、ついに見つからなかったことが当時のメガドライブFAN及びBEEPメガドライブの両誌で語られており、タイトーに残されていたサンプル用のLD媒体が移植に使用されたという。 -2005年発売の複数メーカーの合同アルバム「レジェンド オブ ゲームミュージック ~プレミアムボックス」に本作のBGMも収録された。音源化はこのアルバムが初。 --その他、ドコモのdメニュー向けゲームポータルサイト「タイトーステーション」で配信中のカードゲーム「大富豪パーティー」のBGMにタイトーの往年レトロアーケードゲームBGMのアレンジが用いられており、本作のメインテーマも「&bold(){Time Gal -Future Queen MIX-}」のタイトルでアレンジされている。i-Tunesストアでサウンドトラックが発売されており、購入が可能。 -本作はLDゲーム版『ドラゴンズレア』の続編に当たるLDゲーム「スペースエース」を参考にして作られており、SF冒険活劇的世界観やシステムの土台を当作品から取り入れている。(A.D.4000のシューティングステージは本作のシューティングステージを流用した前作「宇宙戦艦ヤマト」を基にしている) -本作に『忍者ハヤテ』の主人公ハヤテがカメオ出演しているシーンが1か所だけある。 **参考動画 #region(サムネイルは件のしゃがみこむシーン) &nicovideo2(sm915337)~ #endregion
*タイムギャル 【たいむぎゃる】 |ジャンル|LDゲーム|#image(ポスター.jpg,width=170,height=220)| |対応機種|アーケード&br()プレイステーション&br()セガサターン&br()メガCD&br()マッキントッシュ&br()VHD&br()iOS&br()Android|~| |発売・開発元|【AC/PS/MLD/PC/iOS】タイトー&br()【SS】エグゼコ・デベロップメント&br()【MCD】ウルフチーム|~| |稼動開始日|1985年10月|~| |プレイ人数|1~2人(交代制)|~| |備考|AC版以外の発売日と価格は&link_anchor(conversion){移植版}を参照|~| |判定|なし|~| |ポイント|ミスシーンのギャグ演出とお色気は必見&br;LDゲームゆえの単調さは変わらず|~| ---- #contents ---- **概要 リアルタイムで流される映像内に発生する指示に従い、ボタンやレバーを操作して様々なシーンをクリアしてエンディングまで導いていくLD(レーザーディスク)ゲーム。~ わかりやすく言えば今で言う「“QTE”」で全編構成されたゲーム。 本作は日本国内で制作されたLDゲームの中でも特に知名度の高い作品で、『[[忍者ハヤテ]]』『宇宙戦艦ヤマト』に続くタイトーのLDアニメーションゲームシリーズ第3弾として制作された。~ 映像制作は東映動画(現:東映アニメーション)。 //「音楽は元ZUNTATAの小倉久佳氏が担当している」という内容については本人が否定しているので削除。 全16シーン。二人交互プレイ対応。 ---- **ストーリー >タイムマシンによる時空間航行の技術が確立された30世紀初頭。~ 時間犯罪を未然に防ぐために創設された国際警察機構『歴史保安警察』の施設内部に保管されていた世界唯一のタイムマシンが、大悪党ルーダに強奪されてしまった。~ 歴史保安警察のエース・タイムギャルことレイカは、時空間航空服「タイムスーツ」の力を駆使し、時空の彼方に逃げ込んだルーダを追うべく様々な時代を駆け抜けていく。 ---- **ゲーム内容 4方向レバーとボタンを使ってレイカを間接的に操作する。 レバーはレイカのアクションの誘導とタイムストップ時の行動選択に用い、ボタンは武器による攻撃とタイムストップの発動及びタイムストップ時の選択決定に用いる。~ ボタン・レバー入力のミス、タイムストップイベントでの選択肢ミス・制限時間切れにより残機を失い、0になるとゲームオーバー。~ シーンクリア後はボーナススコアが加算された上で次のシーンへ移行する。~ 全クリア後は&bold(){残機数×5000P+クリアボーナス5000P}のボーナススコアが加算され、最終的なスコアが算出された上でゲーム終了となる。 &bold(){基本操作} -&bold(){レバー・ボタン入力} --リアルタイムに流れる映像内で発生する入力指示に従い、レバー及びボタンを入力する。 --具体的には、画面内の特定の箇所が光った瞬間に、光っている箇所に対応するデバイスを入力する。~ 光の発生の直前に矢印・ボタンアイコンによる指示が一瞬だけ表示されるようになっているが、ステージが先に進むにつれ、アイコンがランダムで「?」表示に変化して隠されるようになる。~ 難易度MAXの場合は、画面内の光のみを頼りに入力デバイスを判断しなくてはならず、入力タイミングもより厳しくなる。 ---「忍者ハヤテ」では指示入力のかなり前の段階で光が発生し予め入力方向を察知できるようになっている個所もあったが、本作では光の発生と入力指示アイコンの表示は終始ほぼ同タイミングであるため、より鋭い反射神経が必要となっている。 --正解ごとにスコアが加算され、一定点数毎にエクステンドが発生して残機が増える。 --指示発生から入力までの時間が短いほど高得点となり、入力指示と異なる入力が正解とし受け付けられる&bold(){隠し入力}によってスコアをより伸ばすことができる。 ---レバー入力よりボタン入力の方が得点が高く、レバー入力指示でもボタン入力が正解として受け付けられる箇所(もしくはその逆)が複数存在する。 --全16シーンの内、8シーンはランダムで映像が右左反転してレバー入力の左右が入れ替わるため、単純に覚えた通りに入力するだけとはいかない。 -&bold(){タイムストップ} --本作独自のゲーム要素として、追い詰められたレイカが危機回避のため自分以外の周囲の時間を一時的に停止させるイベント「タイムストップ」が要所要所で発生する。~ レイカのスーツの胸のボタンが光ったときにボタン入力を行うことで画面が一時停止して画面内に3つの選択肢が表示される。この中から適切なものを制限時間内にレバーとボタンで選択する。 ---選択肢を間違うもしくは時間切れで1ミス。時間切れの場合、正解にカーソルを合わせていてもミスとなる。 --選択肢は常に3つで正解は1つのみ。イベントの内容と正解は常に固定なので運の要素はない。 これらの操作の繰り返しによってレイカに次々と襲い掛かるアクシデントを切り抜けさせ、次のシーンへと導くのがゲームの流れの全てである。~ ---- **シーン一覧 初期筐体設定では、紀元前(7000万~B.C.1年)、中世~現代(A.D.1~2000年)、未来(A.D.2001年~4000年)の3つの年代の中から好きな時代を選ぶ事ができ、それぞれの年代毎に各シーンがランダム出現していく仕様になっている。 本作は全16シーン構成となっており、エンディングを迎えるには16シーンすべてをクリアしなければならない。 #region(シーンの詳細) |>|CENTER:時代|CENTER:ステージ|CENTER:サブタイトル((PS版より))| |CENTER:過去|CENTER:紀元前|B.C.70,000,000|恐竜退治はレイカにおまかせ♡| |~|~|B.C.65,000,000|ここは白亜紀恐竜天国| |~|~|B.C.30,000|原始人は美少女がお好き| |~|~|B.C.16,000|突撃! ロデオでマンモスちゃん| |~|~|B.C.44|美女と野獣と剣闘士| |~|CENTER:中世|A.D.500|地底トロッコGO!GO!GO!| |~|~|A.D.666|666は死霊の番号| |>|CENTER:現代|A.D.1588|海の男は女難に注意| |~|~|A.D.1941|太平洋戦線異常あり| |~|~|A.D.1990|戦場は危険がいっぱい| |>|CENTER:未来|A.D.2001|2001年未来の暴走族| |~|~|A.D.2010|星の降る街…隕石大落下?!| |~|~|A.D.3001|悪党機神ザイオの脅威| |~|~|A.D.3999|エイリアンにご用心| |~|~|A.D.4000|目指せ未来のTOPGUN| |~|~|A.D.4001|時空の彼方より愛を込めて♡| #endregion ---- **キャラクター -&bold(){レイカ (CV:山本百合子)} --タイムマシン開発者の娘で、時間犯罪未然防止のために創設された警察機構「歴史保安警察」のエース。人呼んで「タイムギャル」。~ 幼少時より父の研究の被験者としてタイムトラベルを繰り返していた経験を買われてルーダ追跡の適任者として選出され、ルーダに奪われたタイムマシンを取り戻すべく、タイムスーツの力を駆使して過去から未来を駆け抜けていく。(公式バックストーリーより) --LDゲームの主人公の宿命として様々なアクシデントに遭遇し、美少女ヒロインにもかかわらずミスする度にこっ酷い目に合わされて多種多様なギャグリアクションを取らされる難儀なお方。~ 「普通にしていれば正統派の主人公なのにミスした途端に三枚目化する」という点では、『忍者ハヤテ』の系統を継いでいるといえよう。 -&bold(){ルーダ} --タイムマシンを強奪した30世紀最大の大悪党。レイカの追跡に気づいて歴史のゆく先々に罠を仕掛けており、ラストシーンでレイカを待ち受けている。 --操作ミスしてレイカが災難に見舞われる度に高笑いして嘲り笑うシーンがお約束のように挿入される。 ---- **評価点 ''キャラクターの魅力を押し出した作風'' -ヒロイン・レイカの魅力 --本作の世界観や舞台設定は80年代当時のアニメファン層を意識したSFもののOVA((オリジナルビデオアニメーション。レンタル専売もしくは劇場公開向けに制作されたオリジナルアニメ作品のこと。80年代当時は少女が主人公のファンタジーものやSFものが流行していた。))的なテイストで、レイカのルックスも露出度の高いビキニ型のスーツにロングヘアーと、当時のアニメファンのツボをついた非常にわかりやすいデザインである。 --加えて、LDゲームのキャラクターには珍しく大量のボイスが用意されているのが大きな特徴で、通常アニメーション中もこれでもかという位に喋りまくる。 ---担当声優・山本百合子((アニメ版『北斗の拳』のユリア役、ゲームでは本作の後年に出た脱衣麻雀「スーパーリアル麻雀PII」のショウコ役で有名なベテラン女性声優。ちなみに、本作のミスリアクションにさりげなく北斗の断末魔ネタが入っている(笑)))のはつらつとしたアドリブ演技による底抜けに明るく元気なイメージづけもあって際立った個性を持っており、太ももを露にして元気いっぱいに飛び回るその姿で(主に男性)プレイヤーのハートをがっちりと掴んだ。キャラクター人気も高く、一時期タイトーの看板キャラとして扱われていたほど。 //---トップランディングの立て看板にスチュワーデスコスチュームのレイカが採用されている。 //余談にあるのでCO -コミカルかつ多彩なミスリアクションの数々。 --''本作最大の評価点''といえる要素。ミスした際は「レイカが踏み/押し潰される」「光線に当たって悶絶する」など多種多様なハードな状況に陥ってしまうが、大半が「レイカの全身がデフォルメされるうえに間抜けな叫び声をあげる」という80年代のギャグアニメ的なノリのオーバーなリアクションになることから、痛々しさ%%や興奮%%は一切感じられない。なおレイカの叫び声は担当の山本氏によるアドリブであり、1つのミスシーンで複数パターンの叫び声があることも。 --一部、ギャグリアクションを取る間もなくガチで死亡してしまう場合もあるが、それでも全編にわたってコミカルなギャグ調に統一されており、怪物にお尻をかじられたり天使になって昇天したりと、その種類は実に豊富。同じシーンのセリフ違いを除いただけでも60種類近くある。 ---中でも「ジャンプした瞬間にパンツを恐竜に食い千切られ、赤面してしゃがみこむ」というちょっぴりエッチなリアクションが大きな話題となった。開発スタッフも「そこが本作最大の見せ場」と豪語した程で、そこでわざとミスして楽しむ御仁も多かったとか。 --「ミスリアクションがコミカル」という作風のLDゲームは、オリジナル作品としての前作に当たる『[[忍者ハヤテ]]』の他、国外のLDゲームや国産の他メーカーの作品にも存在しているが、むしろ「単調なゲーム性だからこそキャラと演出に拘った」と言っても過言ではないと思えるほどの力の入れっぷりが窺えるのは本作くらいのものだろう。 ---結果的に「''わざとミスしてリアクションを楽しむ''」というLDゲームにあるまじき珍現象を生み出した。機種そのものは極めて短命に終わったものの、本作は多くの熱狂的なファンを獲得することになり、インカム面でも好調だった模様。 ''アニメーションの質の高さ'' -大手アニメ会社の制作だけあってアニメーションの質は非常に高く、&bold(){総枚数1万枚以上のフルアニメーション}という贅沢な作りもあって、昨今のアニメ作品ではなかなかお目にかかれないほどに突出した躍動感でよく動く。~ ミスリアクションだけが注目されがちだが、様々なアクシデントを華麗な身のこなしで切り抜けていくレイカの活き活きとしたアクションも本作の見どころの1つである。 --また、前述の通り、LDゲームのキャラクターには基本的にセリフらしいセリフがないが、本作では通常アニメーション時ですらもレイカが様々なアクシデントから逃げ回りつつ余裕で喋りまくっているので非常に賑やか。ミス時と同様、全て台本なしのアドリブである。~ これにより、キャラクターの個性と共に、純粋なアニメーション作品としての魅力も強く押し出されており、映像作品としてのエンターテイメント性においては『[[忍者ハヤテ]]』同様、完成度が非常に高い。 -''演出面'' --本作では全面クリア時のネームエントリーで制限時間0になるまで待つかボタンを押して入力を終了すると、スタッフロールが流れる。~ また、ネームエントリーBGMが用意されており、中途ゲームオーバーでのランクイン時には途中まで、全クリア後のランクイン時に制限時間0になるまで待つとそのまま最後まで流れ、ボタンを押すといったんBGMが切れた後、スタッフロールの表示と同時にBGMのショート版が流れるようになっている。 ---『[[忍者ハヤテ]]』では全クリア時に短いデモが流れクリア達成のメッセージが表示された後にGAMEOVER表示で終了、BGMのない無音状態でネームエントリーと言う簡素な演出であった他、OPデモも非常に短いダイジェスト映像的なものだった。~ 本作では同様にダイジェスト映像ながらテーマ曲を交えた1分弱の長い映像になっており、まさにOP映像と言うにふさわしい趣になっている。この点はささやかな演出の進化ともいえる。 ---- **問題点 -デバイス入力受付時間の短さ --『忍者ハヤテ』では入力受付時間は比較的余裕があったが本作ではかなり短く、入力のタイミング自体もかなりシビア。 ---パターンがわかっているのに入力が間に合わなくてミスということが起きがちで、選択肢を選ばせるという初見殺しの要素も相まって難易度は高い。 -LDゲームゆえにやる事の単調さは相変わらず --難易度は高めだが、結局はパターンとタイミングの暗記が全てなので、ゲームとしてはやはり底は浅い。 //-アーケード版は初期料金設定が200円と高め。 //ゲーム自体の問題点ではないのでCO ---- **総評 単調なシステムゆえ、ゲーム性そのものに見るべきところはない。~ しかしアニメ映像の活き活きとした躍動感、その中で魅力的なキャラクターが見せる多彩でコミカルなミスリアクションは、他のLDゲーム作品には見られない独特な魅力となっている。~ 当時の流行にクリティカルヒットした(余談を参照)ことで、衰退速度が著しかったLDゲームの中において、本作や主人公のレイカは熱狂的な支持と多大な知名度を得ることとなった。 //余談と被る部分を極力削りつつ全体を整理。 ---- **&aname(conversion,option=nolink){移植版} -&bold(){『タイムギャル』- VHDpc INTER ACTION版} --MSX、シャープX1などパーソナルコンピュータに外付けユニットであるVHDpcマーク付きプレイヤー、VHDインターフェイスユニットを組み合わせることで遊べる、独自規格のビデオディスク向け移植。 -&bold(){『タイムギャル』- メガCD(ウルフチーム、1992年11月13日発売/7,800円)} --インターフェースが再構築されており、スコアは右画面下に表示、映像は画面中央のウィンドウ内に表示されるようになり、画面内に表示されていた操作指示は映像ウィンドウ内の左右上下にあるタイムボールの点滅による指示に置き換わっている。~ 画面右下にはレイカの顔グラフィックが表示され、アクションの成否の度に表情が変化するようになっている。 --元画像を圧縮し1枚1枚手作業で修正を施すことでグラフィックを再現しているため、画質は元に比べると大幅に劣化している。 --OPムービーとスタッフロールの映像と曲がオリジナルのものに差し替えられ、OPにオリジナル主題歌「時空をこえて」が挿入されている。 ---歌唱はレイカを演じた山本百合子氏。FULLバージョンを収録した非売品のシングルCDが購入者に配布された。海外版のOPではインストバージョンに差し替えられている。 --中割が削減されている部分が多く動きはやや粗くなっているが、アニメーションそのものの質はオリジナル版と比して遜色なくプレイ感覚共に忠実な移植を実現しており、OPにフルボイスのボーカル曲を挿入するなどウルフチームらしい技術力の高さがいかんなく発揮されている。 ---また本作描き下ろしのビジュアルもあり、HARDモードクリア後のおまけビジュアルも用意されている。 -&bold(){『タイムギャル』-セガCD版(ウルフチーム、1993年)} --北米向けにセガCD版が発売された。内容は基本的に国内版と同一だが、以下の変更点が存在する。 ---OPの映像がAC版の映像をコンバートの上で編集したものに差し替えられており曲がインストバージョンになっている。 ---英語音声で吹き替えられている(アドリブの演技は再現されていない)。 ---効果音が刷新されている。 ---一部のミスシーンが削除され別シーンのものに差し替えられている。 -&bold(){『タイムギャル』- Mac版(タイトー、1994年発売/8,800円)} --パソコン版移植。デバイス入力は全てマウスのクリックで行う。 -&bold(){『タイムギャル』- メガLD版(タイトー、1995年3月発売/9,800円)} --パイオニア、NECホームエレクトロニクス(OEM)より発売されたレーザーディスクプレイヤー「レーザーアクティヴ」向けの移植で、レーザーディスクとCD-ROMの機能を組み合わせた新規格LD-ROM(LD-ROM2、MEGA-LD)専用ソフト。 --ゲーセン並みの高画質で遊べる点で支持を得たが、本体・ソフト共に定価が高額ゆえにプレイ環境が希少なこともあり、ハード本体はもちろんソフト単品にもかなりのプレミアがついているため、プレイ環境を今から整えるのは非常に困難。 -&bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- プレイステーション版(タイトー、1996年7月5日発売/6,800円)}~ &bold(){『タイムギャル&忍者ハヤテ』- セガサターン版(エグゼコ・デベロップメント、1997年1月17日発売/5,800円)} --両者とも『タイムギャル』と『[[忍者ハヤテ]]』の2本を収録したオムニバスソフト。各ハード共にCD-ROM2枚組みで、各ディスクに作品が一つずつ収録される形となっている。~ 両機種共に、英数字フォントの変更やCD-ROMメディアゆえに画質はそこそこながら、ほぼ完全移植でプレイ感覚も再現されている。データのセーブ機能には対応していないが、アニメシーンだけを鑑賞できるモードが搭載されており、純粋なアニメ作品としても楽しめる様になっている。 --PS版は「DIP MODE」による難易度、残機数、ステージ進行順変更などの内部設定変更機能と、サウンドテストモード・残機無制限の裏技が仕込まれている。 --使用した原盤の状態のせいかAD1941以降の映像は色があせている。 --両機種共に、元々の発売本数が極端に少ない事情もあって、こちらも入手困難でプレミア価格が付いている。 -&bold(){『タイムギャル』(iOS版・Android版 / 配信開始日:2017年4月1日・4月3日/共に1,100円)} --タイトーの往年の懐かし名作ゲームをアプリ配信するプロジェクト「タイトークラシックス」の第1弾タイトルとして配信された。 --クリア済みのシーンを自由に閲覧できる『シアターモード』搭載の他、追加コンテンツとして『入力デバイス事前告知』と『開発資料閲覧コーナー』を有料で購入できる。 ---- **余談 -本作がリリースされた80年代中期は、まだ今でいう「萌え」や「オタク」といった概念が明確に確立しておらず、そうした言葉も一般的ではなかった時期であったが、当時既にゲームセンターにはそういった層が集まる傾向があった。~ 女性が主人公のゲームが多く作られ、またそれらのゲームに熱烈なファンが多く発生し始めたのも、ちょうどこの頃である。 --特に80年代に制作されるようになったゲーム作品の中には、当時のアニメ業界で流行っていたOVAの作風に影響を受けたものが多く、アニメファンを中心とするマニア層をTVゲームに惹きつける大きな要因となった。 --当時のOVAは「美少女ヒロインが活躍するSFもの」が定番ジャンルだったこともあり、まさにその内容と合致していた本作がマニア層に大いに受け入れられたのも当然と言える。そのため本作は「オタク黎明期を象徴するゲーム作品」と評せるだろう。 --アニメーション映像により描かれる女性キャラクターの魅力を存分にアピールした作風は、後のギャルゲーと呼ばれるジャンルに大きな影響を与えており、86年代以降に制作された女性主人公の有名作などとも合わせ、ギャルゲーの始祖とも言われている。 -ヒロインのレイカはその人気ぶりから一時期タイトーのマスコットキャラとして扱われていた。 --1990年頃の業界展示会や直営店舗の開店イベントにおいてコンパニオンにレイカの衣装を着せてキャンペーンを行ったり((メガCD版発売の際には、飯島愛がレイカのコスプレをしてプロモーションを行った。))、『トップランディング』の販促宣伝のためにスチュワーデス姿の等身大ポップを飾られたり(そして盗まれもした)、当時のタイトーのコーポレート・アイデンティティ用ポスターのイメージキャラクターに抜擢されたり、PCエンジン版『パズニック』のクリア後の1枚絵に出たりと、ゲーム内外含めて露出は多かった。 --1991年に発売されたタイトークイズゲーム「クイズ地球防衛軍」では、2P側の操作キャラがもろに彼女を意識した緑髪の「レイカ」というキャラクターだった。 --本作稼働から26年経過した2011年に発売されたPS3配信専売タイトル『エレベーターアクション デラックス』では、レイカが無料の追加配信キャラとして登場している。 -本作が他作品に与えた影響も地味に大きい。 --同社製作のシューティングゲーム『[[奇々怪界]]』のやられパターンの多彩さは、本作がミスリアクションの多彩さで人を惹きつけインカムを伸ばした実績にあやかってのことであったと、製作スタッフが同人誌『ゲームクロニクル1 奇々怪界』のインタビューで明かしている。 --また、アルファシステム製作・タイトー販売の縦スクロールシューティングゲーム『式神の城III』((『~III』の実開発は韓国のスコーネック))には、レイカをモチーフにしたキャラ「霧島零香」(しかもコードネームが「タイムギャル」)が登場している。 -稼動期間が短かったことに加え、LD媒体ゆえに筺体自体の寿命も極めて短かったため、国内には稼働可能な状態で現存している筐体はもう残っていないという。 --1992年のメガCD移植の際に、ウルフチームが全国のゲームセンターと連絡を取り合って探したものの、ついに見つからなかったことが当時のメガドライブFAN及びBEEPメガドライブの両誌で語られており、タイトーに残されていたサンプル用のLD媒体が移植に使用されたという。 -2005年発売の複数メーカーの合同アルバム「レジェンド オブ ゲームミュージック ~プレミアムボックス」に本作のBGMも収録された。音源化はこのアルバムが初。 --その他、ドコモのdメニュー向けゲームポータルサイト「タイトーステーション」で配信されていたカードゲーム「大富豪パーティー」のBGMにタイトーの往年レトロアーケードゲームBGMのアレンジが用いられており、本作のメインテーマも「&bold(){Time Gal -Future Queen MIX-}」のタイトルでアレンジされている。i-Tunesストアでサウンドトラックが発売されており、購入が可能。また、タイトーのレトロアケゲーのキャラクターたちが選択可能なマイキャラ及び対戦相手として出演しており、レイカも出演していた。 -本作はLDゲーム版『ドラゴンズレア』のスタッフが手掛けたLDゲームである『スペースエース』をモチーフとしており、SF冒険活劇的世界観やシステムの土台はこの作品から採り入れられたもの。(A.D.4000のシューティングステージは本作のシューティングステージを流用した前作「宇宙戦艦ヤマト」を基にしている) -本作に『忍者ハヤテ』の主人公ハヤテがカメオ出演しているシーンが1か所だけある。 -2023年12月14日にNintendo Switchで発売された『タイトー LDゲームコレクション』に本作のHDリマスター版が収録された。前述の『[[忍者ハヤテ]]』や『宇宙戦艦ヤマト』もHDリマスター化して収録されているほか、各タイトルの単体配信もされている。 --また、特装版にのみ''完全新作である続編の『タイムギャル リバース』が収録されている''。よもや平成を飛び越して、令和の時代にタイムギャルの新作が出る事になろうとは誰が予想出来ただろうか…。 **参考動画 #region(サムネイルは件のしゃがみこむシーン) &nicovideo2(sm915337)~ #endregion

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