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ロックマンX コマンドミッション」を以下のとおり復元します。
#contents()
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*ロックマンX コマンドミッション
【ろっくまんえっくす こまんどみっしょん】
|ジャンル|RPG|&amazon(B00027XJ9U)|&amazon(B00027XI6E)|~|
|対応機種|ニンテンドーゲームキューブ&br()プレイステーション2|~|~|~|
|メディア|【GC】8cm光ディスク&br()【PS2】DVD-ROM 各1枚|~|~|~|
|発売元|カプコン|~|~|~|
|開発元|カプコン&br()バリューウェーブ|~|~|~|
|発売日|2004年7月19日|~|~|~|
|定価|7,140円|~|~|~|
|プレイ人数|1人|~|~|~|
|レーティング|CERO:全年齢対象|~|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|~|
|>|>|>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズリンク>ロックマンシリーズ]]''|
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**概要
-『ロックマンX』がまさかのRPGとして登場。GC版とPS2版が同時に発売される。
-だが『ロックマンDASH((「フリーランニングRPG」と銘打っていた))』などの例があるとは言え、これまでアクションゲームとして売ってきたシリーズが突如RPGになった事、何よりそれまでのXシリーズが『X5』以降お世辞にもよろしいとは言えない出来が続いていたことが祟り、シリーズファンの反応は非常に鈍かった。
-しかし、制作を手掛けたのがカプコンの名作RPG『[[ブレスオブファイアシリーズ]]』のスタッフという事もあり、その出来は水準以上。
-ディレクターは『X4』のプロデューサーや本家でもいくつか関わっていた他、『ブレスIII』のプロデューサーでもあった竹中善則氏。
-GC版とPS2版では若干異なっており、前者はGBAとの連動を利用したトレジャーナビとフィギュア(特殊なコインを収集しなければ購入不可能)が、後者は『X8』の体験版が収録されている。
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**ストーリー
西暦22XX、この地に落下した小惑星2202XABの破片から未知の鉱物〝フォースメタル〝が採取された。~
〝フォースメタル〝応用技術はレプリロイド工学に革新をもたらし、この地にはフォースメタル鉱石を採掘するための巨大施設、人工島「ギガンティス」が作られた。~
人工島の運営は順調に見えた、が…~
あるとき、島の一部のレプリロイドがリベリオンを名乗り武装して反乱を起こす。~
政府は、反乱の首謀者である「イプシロン」を“イレギュラー”と断定。~
ギガンティスに、イレギュラーハンターチームを派遣した。~
(説明書より引用)~
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**特徴
-ストーリーは一章はプロローグ。2章でセントラルタワーを解放して以降はタワー内のハンターベースを拠点にして、人工島ギガンティスに点在する各施設(ステージ)へ向かい、それらをクリアしていく事で進む。
--説明書に載っているストーリー上のメインのボスが8体、拠点とステージの行き来で進行するなど、ロックマンシリーズらしい要素がふんだんに盛り込まれている。
--ただしRPGだけあってシナリオ面では従来シリーズに比べて大幅に肉付けされている。仲間たちの抱えた背景やそれぞれが絆を深めることを軸にしたストーリーが展開されていき、イベントシーンもカメラワークやモーションがしっかり組まれている。
--以下仲間キャラの概要(キャラ説明は説明書から引用)。
#region(パーティキャラクター)

-''エックス''
--本編の主人公。元第17部隊隊長。幾多の事件を解決してきた伝説のイレギュラーハンター。
--ギガンティスで起きた反乱を制圧すべく、政府から派遣された。一撃必殺のエックスバスターで敵を一掃する。
--本作では「潜入捜査用アーマー」を標準装備している。移動中は、レーダーを無効化するという設定の「ステルス・ビームマフラー」が展開される。
-''ゼロ''
--S級の凄腕ハンター。元第0特殊部隊隊長。物事をドライにとらえるクールな性格。
--エックス、シャドウとともにギガンティスに赴く。強力無比なゼットセイバー、すべてを両断する。
-''スパイダー''
--正体不明のキザな賞金稼ぎ。自己中心的ではあるが、意外に仲間思いなところも。
--両腕のカードスリットから超高速でカードを打ち出し攻撃する。
-''マッシモ''
--巨大な体とは裏腹に小心な性格で臆病者。その身にまとうアーマーには何か秘密があるらしいが…。
--両手持ちの巨大な武器を自由自在に操り、強烈な一撃で敵を粉砕する。
-''マリノ''
--新技術や新発明を専門に狙う盗賊レプリロイド。曲がったことが大嫌いで、常に前向きな性格。
--目にもとまらぬ高速移動で敵の隙をつくのが得意。
-''シナモン''
--ガウディル博士の研究所で大切に育てられた。心優しい看護型レプリロイド。
--常にマイペースだが、芯はしっかりしている。両手の医療ユニットで仲間を癒してくれる。
-''アクセル''
--エックス、ゼロと並ぶS級ハンター。無邪気な性格ゆえの残忍さも持ち合わせている。自分の出生の秘密を探るため、単身でギガンティスに乗り込むが…。
--変身能力と、巧みな銃さばきで敵を翻弄する。
#endregion

-フォースメタル
--今作のシナリオの根幹に関わる要素であり、システム的にも重要な位置づけを持つ鉱石。
--太平洋上に落下した隕石「2202XA8」の破片から採取された鉱石、およびその鉱石を加工・精製することで得られる一種の集積回路を称する。FMを搭載したレプリロイドは、能力が大幅に強化される。

**戦闘システム
-基本的には一般的なRPGに見られるコマンド選択式の戦闘で、キャラのスピードが早いほどターンが回ってくる速度が変わる。
-戦闘ではWE(ウェポンエネルギー)という、他のRPGでいえばMPに相当するステータスが重要になるのだが、このWEの管理が戦闘システムの柱の一つとなる。
--WEは毎戦闘の初期値が決まっており、キャラごとに順番が回ってくるたびにWEゲイン(WE回復量)分のWEが回復する。最大値は一律100%となっている。
--WEは戦闘の度にリセットされるため、通常のRPGと違いいかにして節約しつつボスの場所まで温存するか、ではなくいかにして毎戦闘効率よく使えるかという管理能力が試される。
--WEはサブウェポンやアクショントリガーを使用する際に消費され、0になったキャラは次にターンが回ってくるのが遅くなる。
--その他、武器によってはWEが一定以上溜まっていると追加効果が発生するなど様々な使い道がある。
-サブウェポン
--WEを消費して様々な追加効果などを発生させられる特殊装備であり、各キャラ2個ずつまで組み合わせて装備できる。
--サブウェポンは使用してもターンは経過せず、装備中のサブウェポンを1ターンに各1回ずつ使用可能で、メインウェポン(通常攻撃)と併用可能。
--サブウェポンの効果は単なる追加攻撃から属性攻撃、一定確率で特定ステータスを下げたりバッドステータスを与えたりするもの、メインウェポンの攻撃力を上げたり敵からアイテムを盗むものだったりと様々。サブウェポンの選択と使い分けは戦術上ある意味メインウェポンよりも重要である。
-サブタンク
--シリーズお馴染みの回復アイテム。本作には、一般的なRPGにあって当然の回復アイテムや回復技はほとんど存在せず、通常はサブタンクで回復を行う。
--一定の消費を行うことによってパーティーの回復が行える。戦闘中に使用する場合アイテムと同じく一回分のターンを使用する。
--タンクエネルギーはフィールドに配置されたクリスタル((宝箱に相当し、ダッシュで破壊することで中身を入手できる))や、ハンターベースで休養することで回復できる。
--タンクパーツというアイテムを4つ集めるごとに最大容量が100%分増えていく。
-交代
--仲間が4人以上いる場合キャラクターはターンを消費せずに控えの仲間と交代することができる。
---そのため「そのキャラの攻撃属性の相性が悪い敵に対して控えキャラに交代して攻撃」など敵に合わせて仲間を交代させる戦略が有効。
--ただし控えにしている場合はターンごとのWE回復やサブタンク使用によるHP回復の恩恵が受けられない。

***Xオーダー(クロスオーダー)
-敵味方の行動順やLE(HP)残量をまとめて表示したもの。画面下に、棒グラフのようなゲージがついたキャラアイコンの列で表示されている。
--ゲージの色は青が味方、黄色が敵。ゲージの量は残りLE。並びは8ターン先までの行動順(の予測)であり、一目で戦闘状況がわかるようになっている。
--行動順予測はキャラのスピードによって決まるため必ずしもその順番に行動するとは限らない。ハイパーモードなどでスピードが上下したり、防御やアイテム使用など行動順が早く回ってくる行動などで実際の行動順が変わる。
--Xオーダーを見るだけで全体の戦況がわかるようになっているため基本的にプレイヤーはこれを指針に戦術を組み立てていくことになる。

***アクショントリガー
-いわゆるキャラ固有の必殺技。WEが50パーセント以上溜まっているキャラクターのターンにRボタンを押すと発動し、『スーパーマリオRPG』や『FF10』にあるような操作をキャラ毎に要求され、それらの成功率によって必殺技の効果が変わったりする。
--より多くのWEを消費することで効果が高まり、使用するとWEが0になる(エックスの通常のアクショントリガーのみ、使用時のWEの消費量を任意で調整できる)。
--強力ではあるがWEが0になり、そのキャラの次の行動手番が遅く回ってくることになるため考えなしに使うと逆にピンチになる。
--キャラクターごとにアクショントリガー時に行うアクション(ミニゲーム)が違うため、それによっても使い勝手が異なる。基本的に消費WEが高いほど使いやすいようになる。
---キャラによってはスロットの目押しや格闘ゲーム風のコマンド入力などが要求される。
--主人公格のエックスとゼロには通常のアクショントリガーのほかに隠しアクショントリガーが存在する。

***ハイパーモード
-キャラが自分の姿を変化させ、一時的にパワーアップするモード。大幅にステータスが上がったり、中にはキャラ性能自体が大きく変化するものも。
--ハイパーモード中にキャラごとに決められた活動限界時間を消費すると通常の状態に戻ってしまう。ハイパーモードの活動限界時間はレベルアップやハンターベースでの休養で回復する。
--活動限界時間は、ハイパーモードになって1ターンの行動を終えた後、再び自分のターンを迎えると1ターン分減るという仕様のため、ハイパーモードになった直後の1ターンで戦闘を終了させてしまえば、活動限界時間は減らない。
---つまりボス戦は勿論雑魚戦でもとどめ専用として割り切れば十分有効活用できる。その場合ハイパーモード使用後、次に自分の手番が回ってくるまでの間に戦闘を終わらせられるかという見切りの駆け引きが肝心。
--やはり主人公格のエックスとゼロには通常のハイパーモードのほかに隠しハイパーモードが存在する。

***ファイナルストライク
-1ターンで敵の"現在"LE(HP)を75%以上100%未満削ることで発動できる追加攻撃。発動すると、ボタン連打によりパーティー全員でその敵をタコ殴りにできる。
--発動条件を満たした際に発動するかどうかは任意で決められる。
--序盤でも簡単に数千~万単位のダメージを敵に与えられるが、実質トドメ専用なのでゲームバランスを壊さずに爽快感を堪能できる。
--ファイナルストライク発動後はWEがヒット数に応じて回復するため、アクショントリガーやサブウェポンでWEを多く使用した強力な攻撃でファイナルストライクを発動させたほうがWEの節約になったりする。
--逆に敵の現在LE以上のダメージを与えてしまうとファイナルストライクは発動しないため、攻撃を手加減して敵へのダメージを調整しファイナルストライクを発動、WEを回復するという考えも大事。
--敵のLEや味方の攻撃力などを考えて「堅実にWEを溜めていく」か「ファイナルストライク狙いで無理してでも大ダメージを狙う」かという駆け引きが熱い。
--戦闘終了時には、ファイナルストライクのヒット数に応じたボーナスが得られる。

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**その他のシステム
***フォースメタル
-システム的に言えば通常のRPGでいうアクセサリーに相当するもの。装備すると種類に応じて恩恵を受けられる。
--能力値を底上げしたり、特定のバッドステータスを防いだりといったオーソドックスなものから戦闘開始時の初期WEを上げたり一回だけ倒れても自動的に復活するといったものと様々。サブウェポンなどと同様、敵や状況に合わせてどう選択するかが戦いの攻略のカギになる。
--一方で強いフォースメタルほどキャラにかかる侵蝕が大きくかかる。キャラごとにフォースメタルが装備できる数と侵蝕への許容量が設定されており、それを超えると戦闘中に暴走する危険(フォースメタルハザード)が高くなる。これらの数値は「抵抗」と称している。
---フォースメタルハザードが発生すると戦闘中に最大LEやWEゲインが減少するなどの不利益を被り、更にこれらのデメリットはその戦闘が終わるまで回復できない。
--敢えて侵蝕の許容量を超えるフォースメタルを装備することも出来るため、弱いフォースメタルを堅実に使っていくか、暴走のリスクを承知で強いフォースメタルを装備するかといった選択を考えさせられる。
--中盤に入手するフォースメタルジェネレータを利用することによって、指定されたアイテムを組み合わせて新たなフォースメタルを生成することができる。 

***派遣システム
-既に攻略したステージに仲間にした派遣メカニロイドを送り込むことで自動的にアイテムやお金を入手できるシステム。
--ここでしか入手できないアイテムやコレクション要素も多い。また初見では入ることができない隠しエリアへの鍵が入手できる場合もある。
-派遣メカニロイドはステージ中に故障した状態で倒れている。これらを回収することによって派遣に使うことができるようになる。ものによっては仲間にするために特殊なアイテムが必要になるものもある。
-派遣メカニロイドは派遣を繰り返すうちに強くなっていき、派遣させる場所によって戦闘力、探索力、諜報力のいずれかのパラメータを強化できる。単純だが育成要素もあるためものによって使い分けをする、互いに弱点を補強できる組み合わせを考える、など意外と計画性がいる。
-各種コレクション要素を完成させるには必須のシステムであるが、システム自体はシンプルでそれほど手間がかからないものである。

***スカイルーム
-ハンターベースから行くことができる特別な部屋。
--これまでの戦闘の様々な記録を参照できる、ゲーム中のBGMやムービーを鑑賞できる、特定の条件を満たすことで得られるポスターや設定画、後述のフィギュアを見られるなど、お楽しみ要素の意味合いが強い。
--チャレンジという、特定条件を満たすことで達成されるやり込み要素も用意されている。
--エックスのビームマフラーの色も変更できる。色のバリエーションは特定の条件を満たすことで増える。

***その他
-フィールド移動時は、シリーズお馴染みのダッシュによる高速移動が行える。
--ダッシュによる体当たりで特定のオブジェクトを破壊してアイテムを手に入れたり、高速移動で一部のトラップを潜り抜けたりできる。

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**評価点
***戦闘
-フォースメタルやサブウェポンの選択による装備の自由度、Xオーダーによる行動順の見切り、WEの管理による戦術性の高さ、アクショントリガーやハイパーモード、ファイナルストライクのかっこよさ・爽快感などから戦闘がとても面白い。
-独自のシステムや専門用語も多いが、実際にプレイしてみるとインターフェースは非常に快適。フォースメタルハザードなどシナリオに沿ったシステムであるため説明が無くとも理解できる。
-技のエフェクトや効果音などの演出も爽快感・多様性に優れている。戦闘中のテンポもよいためスピード感にも溢れている。
--ハイパーモードやアクショントリガーがキャラごとに違うのもあってキャラ一人一人の使用感がかなり違い、飽きさせない。
-ボスはもちろん雑魚敵にいたるまで個性的な特徴を持っているものが多く、相手によって装備やフォースメタルを変えるのが有効という本作の戦闘システムを存分に堪能できる作りになっている。そのため敵の能力を確認するアナライズなども役に立てるようになっている。因みに歴代の雑魚キャラも多数登場している。
-射撃攻撃に対して反撃をしてくる敵に打撃系のキャラに交代して攻撃させる、特定の属性の装備・フォースメタルで身を固めたキャラに交代してその属性を苦手とする敵に有利に戦うなど攻略法を自分で組み立てる楽しさがある。
-またボスはそういった攻略法を確立しないと苦戦するゲームバランスであり戦闘の面白さが生かせるようによく練られている。「慣れないうちは何度もやられてボスの行動パターンや特徴をつかみ、対策を練ることで攻略する」というゲームバランスはロックマンシリーズのボス戦全般に通じる。一度攻略法を見つけてしまえば安定して勝利できるようになるというところもそのまま。

***そのほか
-この手のゲームにありがちな「ゲームジャンルを変更したせいで元のシリーズの持ち味や雰囲気を殺してしまっている」という部分もほとんど見られない。
--8ボスを意識したようなボスたちやサブタンクによる回復、ダッシュなどを駆使して乗り越えるステージギミック、ハイパーモードによるXファイアや黒ゼロの再現、終盤のボスラッシュなど、シリーズファンならニヤリとするネタも満載。
--グラフィックや音楽、世界観設定などもロックマンXシリーズとして違和感のないものとなっている。
--オリジナルの仲間キャラやフォースメタルなどのオリジナル要素も多いがやはり世界観に即しており、好感が持てるものが多いため批判は見受けられない。
---本作の仲間達はエックス、ゼロ、アクセルのレギュラー三人に劣らず魅力的なキャラクター性を放っている。特に登場エピソードでは熱い展開でストーリーを盛り上げてくれる。
--程良くアレンジされたエックスの標準装備アーマーおよびビームマフラーのデザインも格好良く、主人公として他のキャラに見劣りしない。
--また従来シリーズではゼロが大きく優遇されていたことに不満を持つファンもいたが((X4の時点で「エックスの影が薄い」とゲーム雑誌で指摘され、本作が出るまで彼の扱いは微妙だった。外部出演もゼロばかりなので不満に思っているファンもいる。))、この作品でのゼロは攻撃力こそトップクラスだが防御性能が低い癖のある性能であること((攻撃が当たりやすい、基本的な防御力が低い、フォースメタルの抵抗値が低いためフォローしにくいなど。))、本格的に仲間になるのが遅めのタイミングであることなどからそのような点も薄くなっており、かといって全くないがしろにされているわけでもないため良調整とされている。
--敵キャラもかなり個性が際立っている。民間人に被害を与えた際には治療活動を行うなど単なる悪党に留まらないスカーフェイス、元々は悪人ではなかったがフォースメタルの力に溺れリベリオンに加担したDr.サイケ、好戦的で残虐な性格だが、山猫型レプリロイドということもあってか、''渋い声で語尾に「ニャ」をつけて話すワイルドジャンゴー''((ロックマンXシリーズのボス敵は動物をモチーフとしたものがほとんどだが、モチーフが語尾に影響しているのはこのジャンゴーくらいである。))など。

-各ステージはギミックや探索要素、隠し要素が凝ってあり、一つ一つの完成度が高い。一度潜っただけでそのまま終わりというものはない。
-ロードが短く、ムービーのスキップも可能であるため(エンカウント率を除けば)ゲームテンポがすこぶるよい。
--PS2版ではエンカウント時などにややロード時間を感じるが、あくまでGC版と比較した場合であり、PS2ソフトとして見れば長い訳ではない。
-仲間との結束が実感できるいい意味で少年漫画的なストーリー。一話一話の展開が熱く、後の展開に向けた伏線もしっかり張られている。

-派遣システムなど戦闘以外のシステムも完成度が高く好評。
--派遣システムの各要素やフィギュアなどの収集要素、強敵が待ち受けるクリア後ダンジョンなどもあり、それなりにやり込み要素はある。
---さすがにRPGという土俵で常日頃勝負をしているような作品には一歩及ばないものの、ACT作品からの突然の別ジャンルへの出張とは思えないほどやりこみ要素が練られている。

-声優はベテランが多く起用されており、敵味方ともに演技は良好。
--エックスの声優は森久保祥太郎氏から櫻井孝宏氏に変更された。なんと主人公かつ担当声優の引退等の問題もないのに二度目(SFCの波動拳ボイスを含めれば三度目)のキャスト変更であるが、櫻井氏の熱演もあって好評の声が多い。((森久保氏の演じるエックスがキャラ的にも作品の出来的にも評判があまり良くなかったというのも好評の遠因であろう))この作品の後もエックスは櫻井氏が担当する事になった。

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**賛否両論点
-ある仲間キャラについて
#region(ゲームに関する大きなネタバレ注意)

-実はこのキャラが裏切り者ポジションの為、この仲間を最後まで使う事が出来ない。
--同時に仲間になるキッカケとなった理由が裏切る事で、とあるキャラの存在に色々と疑問が生まれる事になった。
--ラスボスの名前がある仲間キャラの名前の逆さ読みであるため、分かる人には関連性がすぐに分かってしまう(名前の綴りを英語読みにした上での逆さ読み)
--一番最初期に仲間になる印象的なキャラクターなので、出来ればこのキャラを最後まで使いたかったという意見が多い。
---キャラ性能的には中盤で仲間になるアクセル((これが伏線にもなっている))が似たような性能であるが、専用のアクショントリガーなど、このキャラ独自の個性的な部分もある。
--一応、ストーリーとしてはかなり盛り上がった事には違いない。また、何気ないパッケージイラストが実はこの展開の伏線になっている、という点については評価する声が多い。
#endregion

-キャラごとの使用感がバラエティに富んでいる代償にキャラごとのバランスがあまりよくない。
--ターン性戦闘システムの都合上、スピードが高いキャラがかなり有利になりやすい。
--トップクラスのスピードキャラであるマリノは攻撃力の低さをヒット数とクリティカル率の高さで十分以上補えており、かなり強い。またパラメータも体力と攻撃力以外は概ね標準的でフォースメタル欄も3つあるため、フォローがきき、ある程度贅沢な装備が可能。更に格闘武器と射撃武器を使い分けることも出来る。終盤に手に入る武器に有用なものが無い点だけが惜しい。
--エックスも隙のないステータスや使いやすいアクショントリガー・ハイパーモードなど強性能であるが、主人公なので多少優遇されていてもそれほど問題視はされない。
--シナモンは攻撃が苦手な回復系キャラという位置づけであり、サポート要員として問題ない性能だが、"とある隠し武器"を装備するとステータスに隙のない超高火力アタッカーに変貌する。
---しかもその隠し武器は、入手方法さえ知っていればプレイヤーはシナモンが仲間になった直後に回収することもできるため、以降のゲームバランスを一変させてしまう。(その装備を使わなければいいだけの話ではあるが)
--スパイダーはアクショントリガーの性能はイマイチだがWEが高いと性能が強化される武器が強力で使いやすい。ハイパーモードもオトリを併用すれば多くの攻撃を無効化することが出来る。
--逆に攻守が高くスピードが遅い(更に装備できるフォースメタル欄が2つしかない)マッシモは使いにくい。属性攻撃耐性が低い事に関してはハイパーモードでフォロー可能だが……。通常攻撃のモーション時間も長い。
--ゼロは上述の通り防御性能が低い欠点や本格的に仲間になるのが遅いという問題こそあるが、攻撃力はマッシモを凌く上に複数ヒットする武器を多く装備することが出来るため実質的な火力はゲーム随一となっている。
---アクショントリガーもコマンド入力に慣れを要するが使いこなせるようになれば強力かつ、デフォルトで装備されているゼロ専用のサブウェポン「カゲロウ」((自身の残像を呼び出し、共に攻撃させるサブウェポン。))もアクショントリガーに効果が発揮される為、属性武器やハイパーモードも併用して活用出来ればバランスブレイカーに成りかねない程の凄まじい火力を叩き出せる。
--アクセルはアクショントリガーの威力が低いものが多く、ハイパーモードの性能も悪くはないがスパイダーと全く同じ性能のためやや不遇に感じる。武器の〇〇キラーは強いがこのゲームは戦闘中に武器の変更が出来ないためやはり使いづらい。
---スピードはマリノに並びトップクラスなのでサブタンクによる回復役やアイテム使用、またスパイダーと同様にハイパーモードとオトリを併用した敵の多くの攻撃を無効化などパーティのサポート役として力を発揮出来る。
--とはいえ戦闘中のキャラ交代のデメリットがほとんどなく、パーティー全員が何らかの形で貢献できる戦闘システムであるお陰で使いにくいキャラが全く役に立てないわけでもない。

-ボリュームが物足りない。
--普通にクリアするだけなら20時間もあれば十分。クリア後に隠し要素もあるがそれでも一般的なRPGとしては量的に優れているとは言えない。
--元々は本家シリーズに合わせて8体のボスに加えて、その後に数体のボスと戦うという構成だったのだが、シナリオの都合によって8体のボスのうち2体が隠しボスに回され、更に1体がラストダンジョンの中ボスに回されたという背景がある。そのせいでボリューム不足になった感は否めない。
--終盤の展開もやや駆け足気味で、掘り下げればもっと面白くなりそうだったキャラや設定が幾つかある。
--一応クリア後の隠しダンジョンにおいて、隠しボスと戦う事も出来る為全くやり込み要素がないかという訳ではないのだが、この連戦する隠しボスのデザインが殆ど同じなのとダンジョンも小部屋を繰り返すだけな為、少し新鮮みが薄い。

-ゲームを進行する上での重要なある情報が説明されない。
--ダンジョンは基本迷いやすいのだが、実は正しい進行ルートの扉だけ模様が違う。しかしその説明がない。
--地上にいる敵には射撃攻撃のダメージを半減され、空中にいる敵には格闘攻撃を75%の確率で回避される仕様があるが、こちらもノーヒント。後者は自力で気づけるが、前者は言われなければ気づかない。

-エックスとゼロの隠しハイパーモードはかなり異色なデザインであり、好みが分かれる。
--エックスの隠しハイパーモードはお馴染みの最強形態「アルティメットアーマー」。しかしそのデザインは従来のものとかけ離れており、なまじ名前だけが同じという点も賛否が分かれる一因であろう。
---かなり厳密に言うと本来の名称は「アルティメットアーマ」と、文字数制限で一文字足りない別物であり、従来とは違う物という見方は出来なくはない。
--ゼロの隠しハイパーモードは無印ロックマンシリーズに登場する某ロボットを彷彿させるもの。ゼロのイメージに合っているかといえば微妙だが、設定的には彼の開発者を考えれば不自然なものではなく、一種のファンサービスとも言える。ただし入手までの流れは、ただ単に敵が守っている宝を入手するというだけであり、無印シリーズとの関連を伺わせるようなストーリー性は特に無い。

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**問題点
-エンカウントの問題
--エンカウント率がかなり高い。
---ステージがそれほど広く無い為、ザコ敵とのエンカウント率を上げることで戦闘回数を調整している節がある。下手すると戦闘終了後に一回ダッシュしただけで新たな敵とエンカウントしてしまうことがあるほど。そこまで酷いことは稀だが、基本、全体的にザコ敵とのエンカウント率が高い事が目につく。
---装備していると確実に逃げられるフォースメタルやエンカウント率を下げるフォースメタルもあるので致命的というわけでもないが、頻繁なエンカウントのせいでゲームテンポの良さをある程度殺してしまっている。
---そもそもロックマンXというゲームの性質上、ランダムエンカウントよりもシンボルエンカウントの方が合っていたようにも思える。現状では狭い通路が多いこともあり、実装は難しいかもしれないが。
--余談だが、エンカウント率は歩く→走る→ダッシュの順番で高くなる。このためダッシュしまくった場合は早くエンカウントするのは仕様だが、初週は気が付かずダッシュ移動を連発してしまいがち。

-本作オリジナルの仲間達の扱いについて。
--前述の通り、本作オリジナルの仲間達はいずれも魅力的で登場当初は見せ場も多いのだが、アクセルとゼロが仲間になっていつもの三人が揃った辺りから彼らの出番が激減。一部を除いてイベントシーンには登場せず、蚊帳の外になってしまう。
--ラスボス戦はおろか、エンディングのムービーにすら登場しない始末である。まるで仲間を見捨ててエックス達三人だけが脱出したか、最初から本作オリジナルの仲間はいなかったようにも見えなくない。
--下記のゼロの項目にもあるがゼロがパーティを離脱する直前にゼロを含めた全員でボス戦があるが直後の会話を見る限りゼロは基地に戻るまで他のメンバーと会っていない前提で会話が進んでいるという非常に矛盾した展開となっている。
---さらに言えばゼロが一時加入する直前の会話では他のメンバーがいるためエックスとアクセル以外は直前で基地に帰還したと言う事になる。

-ゼロの扱いについて。
--少し触れたが今までのシリーズでゼロが優遇されていたため、それが抑えられたということを考慮してもストーリーでゼロは扱いが悪い。以前に裏切りにあったとはいえエックスが信頼している仲間達を信用せずならず者呼ばわりするなど性格がクール、ドライを通り越して浅慮、身勝手ととれる面がある((しかも信用できない理由が「裏切った人物と同じくギガンテス出身のためいつイレギュラー化するかわからない」というかなり理不尽な理由である))。シリーズ経験者ならキャラ崩壊とまではいかないにしても少し違和感を感じる。
--キャラ性能も本編通り防御力や抵抗値が極端に低いのは解るが、華麗な連続攻撃や技で敵と戦ってきたゼロがHPとパワーだけ異常に高くスピードが極端に低いというのは、これも違和感を感じる設定。
--また、ゼロの開発者は今までの作品ではあからさまに示唆されつつもハッキリと明言されていなかったのだが、この作品の公式攻略本にて開発者の名前を明確に書かれてしまった。((それも本を開いて最初にあるキャラクター紹介のページに載っている。))一応外伝とはいえこれはいかがなものか。

-序盤の鬼門「シルバーホーンド」
--第3章のボスで、まだ序盤ながら下手をすればラスボスよりも苦戦する可能性のあるボス。
--その理由は体力が半分以下になると必ず使用する技「流体コーティング」にある。この技は自身の防御力を上昇させ、さらに一定確率でオート防御が発生するというものだが、このオート防御の発生確率が決して低くないため、運が悪いと思うようにダメージが与えられずジリ貧となる。
--また、この時パーティメンバーはエックス、スパイダー、マッシモの三名しかいないため、あまり戦法に幅がなく、相手は凍結効果のある攻撃も持つため、撃破には非常に運が絡みやすい。

-戦闘中のちょっとした演出やメッセージ表示の待ち時間などでテンポを損ねている部分は多い。
--ハイパーモードに姿を変える演出は決して長くはないものの、定期的に使う物としては短いともいえない。
--ファイナルストライクも、ボス戦はともかく雑魚相手に行うものとしてはあまりテンポが良いとは言えず、その点での爽快感は微妙。ファイナルストライク発動をキャンセルして次の味方の攻撃でとどめを刺した方が快適だったりする。

-3DグラフィックのRPGにしては、戦闘中のカメラワークが地味。
--通常はカメラが遠く引いた視点で固定されており、カメラが切り替わるのはハイパーモード発動などの一部の行動や戦闘勝利時、一部のイベント戦闘の演出のみ。

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**総評
ロックマンXシリーズ初のRPGながら、その完成度は非常に高く、特に戦闘システムの戦略性、中毒性の高さは特筆に値する。~
他のシステムも細かな粗こそあれど出来は良く、丁寧に作り込まれている。X5以降、三作続けて煮え湯を飲まされてきたシリーズファンも思わず唸るほどの出来。~
しかし、完成度の高さとは裏腹にRPGという最初の印象から、売上に関しては両機種版共に散々な結果に終わってしまった。~
この為、続編が作られる可能性は絶望的であるが、システム的な部分でも好意的な評価を得ているのは確かなので直接の続編ではなくとも同様の戦闘システム等でのゲーム開発を望む声もある。~
魅力的な戦闘システムに程よく歯応えのあるゲームバランスなど、今までロックマンシリーズを遊んだ事の無い人でも楽しめるRPGに仕上げられている。興味があれば是非、遊んでみてほしい。

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**余談
-シリーズ上の時系列は不明。22XX年という事で、X8より後の時代と思いきや、後に発売された『ロックマンX大全書(双葉社:刊)』には正規シリーズとは無関係の外伝と記述されている。
--実際、後発のX8のストーリーと明らかな矛盾がある。
--北林氏は本作について「これまでのシリーズが連載漫画なら、本作はアニメで言う劇場版」と語っている。
-プロデューサーを務めた北林達也氏を始め、今作を手掛けたスタッフの一部は後発の『[[ロックマンX8]]』の制作にも参加した。
-エックスのデザインが普段と違う理由はイラストレーター曰く、「22XX年ということで『あ、ゼロシリーズと同じだ』と思い、そちらにイラストのタッチを若干合わせてみた」とのこと。確かに、ゼロシリーズのコピーエックス(非戦闘形態)によく似たデザインになっている。
-同じカプコンのRPG「ラストランカー」の公式サイト「ラストランカーTV」で「ブレスオブファイア5以来のカプコン久しぶりのRPGです。」と発言し、公式自らこのゲームを黒歴史にしていた。(ブレスオブファイア5は2002年、このゲームは2004年発売)
-後にアニメ化された「いつか天魔の黒うさぎ」のとあるBGMのイントロが本作のBGM「鋼鉄のマッシモ」と全く同じである。
//いつ天のBGMは小森茂生(「けいおん!」「新世界より」「ハイフリート・スクール」などに参加)、コマミソは岡田信弥・小見山優子・小渕世子
//いつ天側のBGM名は「Battle Mode #1」  とりあえずいくつか情報を書いてCOしておく
//「後に~」は「2011年に~」の方が読みやすくていいかも。気にするほどでもないけど

復元してよろしいですか?