「クラッシュ・バンディクー」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
クラッシュ・バンディクー」を以下のとおり復元します。
*クラッシュ・バンディクー
【くらっしゅ・ばんでぃくー】 
|ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B000069SPX)&amazon(B00005QXGY)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~|
|開発元|Naughty Dog(ノーティドッグ) |~|
|発売日|1996年12月6日|~|
|定価|4,800円|~|
|廉価版|PlayStation the Best for Family:1998年5月28日/2,800円&br()PS one Books:2001年10月12日/2,200円|~|
|配信|ゲームアーカイブス:2007年1月25日/600円(PSVITAでは配信停止)|~|
|備考|アナログスティック非対応|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|3Dながら、徹底的に単純明快な王道アクション&br緻密なグラフィックが彩るバラエティに富んだステージ&br丁寧なローカライズで日本でも人気シリーズに&brセーブ周りの不親切さなどによるシリーズ屈指の難易度|~|
|>|>|CENTER:''[[クラッシュ・バンディクーシリーズリンク>クラッシュ・バンディクーシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
『''宇宙初の奥スクロールアクション''』という煽り文句で登場した意欲作。~
折しもかの『[[スーパーマリオ64]]』が出た後((本作の日本版は『64』の約半年後に発売。時期的に本作が影響を受けている可能性はほぼ無いと言える。))に発売されたが、それとは違う切り口の3Dアクションを提示。~
雰囲気も難易度もコテコテな洋ゲーでありながらゲーマーのみならずチビッ子達のハートを掴み、一気に人気シリーズとしてのし上がっていくこととなる。~
開発は、当時は無名だったアメリカの会社ノーティドッグ。~

----
**ストーリー
舞台はオーストラリアの南東にある3つの島。緑溢れる島で動物たちは毎日自由気ままに暮らしていた。~
ところがある日、世界征服を企む悪の科学者が二人、島に乗りこんできた。二人の名は「ネオ・コルテックス」「ニトラス・ブリオ」。~
コルテックスは緑溢れる島を冷たい鉄の島に改造し、島で暮らしていた動物を次々と捕獲。~
彼は捕獲した動物を自分の兵隊に改造しようと考え、「エヴォルヴォレイ」「コルテックス・ヴォルテックス」という機械を使って動物を強く進化させ、洗脳していった。~
だが、何をどう間違えたのか洗脳した動物はコルテックスの命令を聞かず、興奮して暴れるだけの危険な動物になってしまった。~
コルテックスは失敗の原因がわかっていないというブリオの忠告に耳を貸さず、兵隊の隊長にする予定だったクラッシュ・バンディクーの洗脳を強行するも、失敗。~
元々暴れ者だったクラッシュは機械の力で逆に正義感に目覚めてしまった。悪事を見抜いたクラッシュは追いすがるコルテックスを振り切るため窓から飛び出し脱出。~
だが、恋人のタウナは研究員達に捕まり、次の実験台にされそうになっていた。~
海に飛び込み、浜辺で意識を取り戻したクラッシュはタウナを救出するため、コルテックスの城へと向かう。~

----
**特徴・評価点
-基本はクラッシュを操作してゴールに向かうオーソドックスなアクションゲーム。ただし『スーパーマリオブラザーズ』など従来の2Dアクションとは異なり、''画面奥に向かって進む''点が異なる。
--ただし一部のステージでは、奥行きがない2Dアクション的な視点となる。
--リンゴを100個集めると1UPする点や、連続で叩き続けることで多くのリンゴを得られる10コインブロック的な箱、盾がないと一撃で死亡、など基本システムは『マリオ』などに基づく。
--3Dアクションながらマップは細い一本道なので、「どこに行ったらいいのか分からない」という3Dゲームの躓きどころを解消している。

-操作はシンプルで、移動、ジャンプ、スピンアタックの三種類のみ。
--空中制御の自由が極めて高いのも特徴的で、空中でUターンして障害物を避けるという芸当まで可能((マリオだって空中でジャンプの勢いを殺すことはできても、進行方向を切り替えることはできない。))。
--スピンアタックは敵やアイテムを弾き飛ばす(例外もある)。ただし爆弾箱などの危険なアイテムまで破壊してミスになってしまうため、場合に応じた攻撃の使い分けが必要。
--操作系を単純にする((2Dアクションゲームの操作の平均値を取ることで、アクション習得にかかる手間を効果的に減らしている。))ことで、この時期のアクションゲームにありがちな「自由度が高すぎて何をやればいいか分からない」という問題を解決している((次回作以降は、3Dゲームの普及が進んだこともあってか、アクションが増えていく。ただし追加アクションのキーを1つに絞ったり、段階的な開放にすることで、アクションの取っ付きやすさはしっかり残している。))。

-ステージには箱がいくつも置いてあり、これを壊すとアイテム等の特典が手に入る。
--普通の木箱は、壊すとリンゴが手に入る。リンゴはクラッシュの好物で、100個集めると残機が1増える。
--中にはアクアクというキャラの絵が描かれた箱があり、これを壊すとミスを肩代わりしてくれるアクアクが手に入る(一部マップでは裸で置かれていることも。)。アクアクは最大二つまで所持でき、二つ所持した状態で三つめを取ると一定時間無敵になる、無敵解除後はまた二つ所持の状態に戻る。
---またアクアクを出現させた際、そのステージの仕掛けや過去のステージのアドバイスをくれる((これは日本独自の仕様であり、開発後半に追加されたためか今作のみ字幕である。また、次回作以降の海外版でも、アクアクのアドバイスは採用されなかった。))。
---無敵状態時は移動速度が上がり、一部のトラップが作動しなくなるほか、周囲の箱を勝手に壊してくれるので爽快感抜群。それまで慎重なプレイを強いられたストレスを一気に開放できる。
--ステージによってはキャラの顔型のプレートが入ってる場合もある。種類はクラッシュ、タウナ、ブリオ、コルテックスの全部で四種類。
---クラッシュは1アップアイテムだが、それ以外の同種のプレートを三つ揃えると、ボーナスステージに行ける。
---タウナとコルテックスのボーナスステージを最後まで進めばセーブができる。なお、ブリオのボーナスは何度でも挑戦できるが、難易度が高い上に最後まで進んでもセーブできないやり込み用のおまけステージ。
--赤色のTNT爆弾箱は、破壊すると爆発し、爆風にクラッシュが巻き込まれるとミスになる。
---スピンアタックで破壊すると即爆発してしまうが、ジャンプで踏むと3秒後に爆発するため、安全に破壊が可能。
--緑色のニトロは、触れると即爆発する。
---安全に壊すには、ニトロを破壊する「!箱」のスイッチを入れる必要がある。
--他にもジャンプ台となる「↑箱」、壊せないブロック箱などがあり、これらを利用したパズル的な要素もある。

-ステージの全ての箱を破壊してクリアすると「ダイヤ」が手に入るため、やりこみ要素になっている。
--ステージによっては色付きの「カラーダイヤ」が手に入り、他のステージ内の隠しルートに行く事ができる。
--それ以外の隠し要素としてコルテックスのボーナスステージで手に入る「カギ」があり、所持していると隠しステージに行く事ができる。

-エリアは「ジャングルの島」、「いせきの島」、そして「てつの島」(コルテックスが開拓した工場地帯)に分かれており、それぞれにいくつかのステージがある。
--ステージ間は自由に移動してセレクト可能。『[[スーパードンキーコング]]』等と同じシステム。
--三つの島ごとにステージ構成ががらりと変わり、「ジャングルの島」には自然豊かなステージや原住民の砦、「いせきの島」には古代遺跡や神殿構内、「てつの島」は工場や研究所などバリエーション豊か。
---この構成は本作特有の雰囲気であり、続編は全てワープルーム形式となっている。

-マリオ的なステージだけではなく、アクセントをつけたステージがいくつかある。ゲーム性がシンプルなだけに似たようなステージばかりになりがちな部分を、上手く避けている。
--猪に乗って疾走したり、大岩に追いかけられ続けるなど、強制スクロールでスピーディーな流れのステージがある。
--基本的には画面奥に進んでいくゲームだが、ステージによっては手前に向かったり、上下左右に進むものもある。同じようなステージでも、違った操作感が必要となる。
---ステージの種類は非常に多く、1ステージでしか使われない場所も非常に多い。特に後半に顕著。
--道中にはボスステージがある。各ボスの倒し方は一工夫必要で、それぞれ特定の倒し方しか通用しない。例えば次から次へと流れ来る爆弾を、うまく敵に当てるなんて倒し方をするステージもある。

-ディズニーかドリームワークスか、とでも言いたくなるような、いかにもアメリカン・アニメ的な動きのキャラクター達。そのオーバーアクションな動きは、見てるだけでも楽しくなる。
--コミカルでグロテスクな良くも悪くも洋ゲーらしい雰囲気がよく活かされている。特にミス(死亡)時のリアクションが多彩で凝っている。
---グロテスクといっても、所謂ルーニーテューンズ的なノリで、爆発するとガラスの破片のようにバラバラになるなどであり、人を選ぶような極端さはない。

-背景の描き込みが非常に細かい。さらに背景の小道具、流れる水や浮かぶ葉の動きなどにも存在感がある。これらの緻密さには、奇妙なリアリティすら感じる。そしてやはりアメリカン・アニメっぽく極彩色。

-音楽はDevo((80年代を中心に活躍したニューウェーブバンドの代表格。クラッシュシリーズ経由で知った人も多いようだ。))のMark Mothersbough氏の監修の下、同じ開発元の『[[ジャック×ダクスター>ジャック×ダクスター 旧世界の遺産]]』にも関わるJosh Mancell氏が担当。BGMの種類はなかなか多く、いずれもステージの特徴をよく表している。
--例えば、原住民の砦ではエスニックな合唱が取り入れられていたり、工場のステージではマニアックなシンセ音が駆使されている。
---以降のシリーズに比べ、かなり間を取ったBGMが多く、難度の高いステージと相まって緊張感を醸し出している。

----
**難点
-難易度は高め。導入部こそ気楽なゲームだが、中盤以降や隠しステージはかなり難しい。
--アクションの種類が少ない分、精密でシビアなジャンプ操作を要求される場面が多い。
--中でも中盤のステージであるステージ14「あらしのこじょう」は足場の狭さやトラップの多様さで全ステージ中最高クラスの難易度と言われている程の難所である。
---それもそのはず。オリジナルの海外版ではこのステージは終盤(てつの島)にある。日本版でステージ位置が違うのは、日本版製作の際にマップの場所を「ゆうやけのはいきょ」と入れ替えた為((日本版のワールドマップ中では「ゆうやけのはいきょ」は岩だらけの「てつの島」の中腹付近にあるにもかかわらず、中にはいると植物が繁茂しているうえ、終盤の一番高いところまで行くと壁の向こうの海が見えるが「てつの島」にいるはずなのに海の向こうに「てつの島(独特の形状の塔があるので間違えようがない)」が見えるという怪現象が確認できる。「あらしのこじょう」はそこまで目立った違和感はないが、序盤でアクアクが「要塞化が進んでいる」と中盤にしては敵の本拠地のようなヒントをいう。))。「ゆうやけのはいきょ」も非常に長く(「あらしのこじょう」の方はそれほど長いステージではない)、難しいコースであるため中盤のコースとしては不適と判断されたが、コースを入れ替えても違和感の無いステージが「あらしのこじょう」しかなかったからだろうか。
---この変更のため、日本版ではブリオのボーナスステージが中盤でなくなったり、コルテックスのボーナスが密集しているなど、後半のステージ配分がいびつになっている。
--高難易度を考慮してか、日本版では先行して発売されたオリジナル版よりやや難易度が調整されている。
---例えば、前述のアクアクによるアドバイスは海外版にはない要素。その他にも、1UPアイテムの配置が若干増えている、ボーナスステージが多めになっている、一部のコースが短縮されている、等。
---唯一、最初に戦うボスのパプパプのみ体力がオリジナルの3から5に増加しており、日本版の方が難易度が上昇している((もっともパプパプの攻撃はよけやすいので体力増加でも難易度が大幅上昇というほどではない。体力増加理由は分からないが、全体的に難易度が緩和されたPS4の『ブッとび三段もり!』収録版でも体力5になっている。))。

-奥スクロールゆえに、前後の距離感が掴みにくい。
--つり橋など飛び石状になっている足場をジャンプして進むステージが結構あるが、これが少々やっかい。左右に移動する場合は問題ないが、前後に移動する場合は距離感を掴むまでの慣れが必要。

-セーブ手段が限られており、機会も少ない。
--セーブができるのは、タウナのボーナスステージクリア時やダイヤなどを取得してクリアした場合等。~
なお、ダイヤ・カギ入手の時は「現在集めたダイヤやカギの数」は記録されるがクリアしたコースの記録はされない(逆はダイヤやカギも記録される)。
---またタウナのステージクリアのセーブも「中に入ってからミスした場合そのコースで再挑戦ができない((ゲームオーバーになれば復活する))」というのはともかく、日本のゲームによくある「特定箇所クリアでセーブコマンドが選べる((一例として『スーパーマリオワールド』の「お化け屋敷クリア後にセーブできる」など))」とは異なり、「あるコースのボーナスステージをクリアするとそこまでをクリア済みと記録する」という処理をしているので、一度クリアすると二度と入れなくなるうえ、そのコースより前のセーブできるボーナスステージも消滅する((このため「入りやすいタウナプレートのあるコースを残しておいて、あとで高難易度ステージ連続地帯で戻ってこまめにセーブ」などはできない。))。~

-ミスするとそれまでに壊した箱が復活してしまう為、パーフェクトのためにはノーミスクリアを狙う必要がある。
--復活した箱を壊しに戻ることも出来なくは無いが、C箱を複数壊した状態で死亡すると最後に壊したC箱以外は回数にカウントされないので全部の箱を壊してもダイヤはもらえない。
--また、行って戻っての労力を考えるとほとんどの場合最初からやり直したほうが早い。
---再チャレンジするためには一旦クリアするか、ポーズ+セレクトでそのステージを出る必要がある。
---海外版ではC箱を1個でも壊した状態で一回ミスするだけでダイヤを得る権利を失うので((残っている箱のカウントすらされず、クリア後すぐマップ画面へ移行する))、ダイヤを得るにはステージの最初から最後までミスせずにクリアすることが必須。

-アクアクのヒントは無敵状態になると表示されない。そのため、アクアクを2つ所持した状態でヒントを聞くためにはわざとミスをする必要がある。
--どちらもプレイが格段に楽になる要素のため、両立できないのは辛い。ただし、ステージ後半のアクアクはヒントを出さないなどの配慮は一応なされている。
---この仕様は『[[2>クラッシュ・バンディクー2 コルテックスの逆襲!!]]』以降も採用されている。

-真のエンディングが…
--初めて見た時「えっ!これだけ?」と思ったプレイヤーは多いはず。

#region(具体的に)
-真エンドを見るには、ラスボスの手前にある入ってすぐゴールになるステージにダイヤを全て所持した状態で行く必要があるのだが…
--それらのアイテムを駆使して最奥部に辿り着くと、なんと''タウナが脱出準備を整えて待っていてそのままエンドとなる''。もちろんボス戦もない。

-一応オマケでキャラクターの後日談のテキスト表示があったりするが、物語的に拍子抜けにも程があり、物凄い苦労の割には合わない。
--ちなみにラスボスのコルテックスとは戦わずに終わった訳だが、この後日談では「クラッシュに負けた後は…」などと、いかにも対決があったかのように語られている。実際は戦わず逃げた訳だが…。
---取説やOPなどで「動物を改造・洗脳して世界征服の尖兵にする」というコルテックスの計画は全然うまくいってないので、どうにかいう事を聞く獣人3体と助手のブリオがやられた時点でもう組織として壊滅状況で自滅したという事なのだろう。((『2』OPでもネヌ・ジンが手下がいない事を明言している(『2』の敵はほぼ全員野獣かコルテックスから離反したブリオの手下)))
--続編の『2』は今作のラスボス戦でコルテックスにとどめを刺した場面(コルテックスが飛行船から落下する場面)から始まるので、対決はちゃんとしたことになっている。また、ここで語られた後日談もしっかり次回作以降の設定に活かされている((リパー・ルーが利口になった、ニトラス・ブリオが改心した、など))。
#endregion

----
**総評
シンプルなゲーム性と操作性、それを演出の緻密さで盛り上げた、完成度の高いアクションゲーム。『スーパーマリオブラザーズ』等を彷彿とさせるゲーム性は、誰にでも馴染み易く遊び易い。また後半の難易度が高くライトユーザーには厳しい面があるものの、一方でやりこみがいがあるという面もあった。~
PS登場後にようやく現れた、本格一般向けゲームともいえる。もちろん、それまでにも一般向けゲームはあったが、ここまでシンプルな操作系とゲーム性を両立させたものはなかった。

----
**その後の展開
クラッシュシリーズは当時日本でも好評を博し、そのままPSの定番シリーズとして展開を進めていくも、『[[レーシング>クラッシュ・バンディクー レーシング]]』まで(ナンバリングでは『3』まで)を最後に版権問題で製作元が変更。『[[クラッシュ・バンディクー カーニバル]]』は好評だったが、『4』以降凋落の一途を辿ることになる。海外ではしばらく展開が続いていたが評判は悪く、日本未発売の物も存在する。

#region(余談<発売元変更によるシリーズ没落の経緯について>)

本作の発売元はSCE、開発はノーティドッグ、制作は大手映画会社ユニバーサルスタジオの子会社であるユニバーサル・インタラクティブ・スタジオ(以下、UIS)であり、エグゼクティブプロデューサーは当時UISに所属していたマーク・サーニー氏((同社の設立時にも関わっており、技術担当副社長の職にあった))。~
この文章だけだと「クラッシュシリーズはUISとノーティによって製作された」かのように見えるが、''実際にはUIS社自体は殆ど関わっていない。''~
UISが出したのは立ち上げ予算のみであり、巨額の製作費や宣伝費、その他諸々のマーケティング費用などは全てSCEが捻出。実際の開発はサーニー氏''個人''とノーティによって行われた。つまり本作とUISとの接点は、「サーニー氏がUISに所属している」というだけであった。((ちなみにノーティドックは本作の前に3DO用の実写格ゲーである『Way Of The Warrior』をUISからリリースしており、その完成品のプレゼンでサーニー氏からその実力を見出され、新作3作の開発契約を結ぶこととなった。それが後に本作を含めた「3」までの「クラッシュ・バンディクーシリーズ」として世に送り出されている。))~
これはUISの意識の無さから来ている。UISに限った話ではないが、TVゲームを「所詮は子供のおもちゃ」と考える人や会社は多い。最初だけ金を出して後は全て丸投げ、事業が失敗したところで損失は殆どないし、当たれば儲けもん…程度にしか考えていなかったのである。~


ただし、UISの元社員で今作のプロデューサーのデイヴ・シラー(Dave Siller)氏によると上記の記述は完全に誤りで、実際にはシラー氏((彼曰く、ゲームデザインの大本は彼によるものらしい。次回作のアイディアのいくつかもシラー氏が提供したとか。))始め数名のUIS社員が深く関与していたという((一方、サーニー氏はクラッシュシリーズに言われているほど関わっているわけでは無く、彼が関わり始めたのはSCEIの発売が決まってからとしている。))。~
本作発売前後にシラー氏を疎ましく思ったノーディドッグ社員の嫌がらせによりUISから放逐されてしまったと主張しているが、真偽は不明。少なくとも、クラッシュシリーズの立ち上げにシラー氏が深く関わっていたこと((例えば、ゲームの根幹にかかわる仕様書などをいくつか作成しており、ネット上で公開していた。))はほぼ確実だろうということと、クラッシュ2でUIS側のスペシャルサンクスにクレジットされているのを最後に、シラー氏がシリーズに関与していないことは確かである。~
クラッシュの開発裏話を載せていた彼のfacebookページは閉じられたが、それに関するシラー氏の発言はクラッシュシリーズのファンサイト「Crash Mania」に転載されている。(英語のうえ、ややきつい内容なので注意。)

このような危うい状況で展開していた本シリーズだが、UISの予想に反してクラッシュは世界中で大ヒット、PSの顔役と言えるまでの人気シリーズに昇りつめる。~
利益が本家ユニバーサルスタジオ(以下、US)の事業の一部を少なくない形で担うようになった頃、USは「金の成る木」という認識を持つようになる。~
現場も状況も判っていないにもかかわらず余計な口を出し、事後報告で担当者を変え、更には引き継ぎすらしない…と意識の無さ故のUSの暴走が、SCEやノーティを襲うようになる。~
SCEは版権買収の交渉も行ったが、USは金の成る木を手放してなるものかと巨額を提示、交渉は頓挫。そして遂に開発・販売契約も決裂した。~
ノーティは『レーシング』を最後に本シリーズから手を引き、SCEのファーストパーティ入りをして新たに立ち上げた『[[ジャック×ダクスター>ジャック×ダクスター 旧世界の遺産]]』をリリース。以後『[[アンチャーテッドシリーズ]]』『[[The Last of Us]]』と次々にヒットタイトルを生み出していく。~
サーニー氏もやはり『カーニバル』を最後にUSから独立。ノーティと同じく『[[スパイロ・ザ・ドラゴン]]』(こちらもUIS版権のため後に離反)や、新たに作り上げた『[[ラチェット&クランク>ラチェット&クランクシリーズ]]』とPSハードに深く関わり、PS4タイトルの『[[KNACK]]』が現在の最新作となる。~

こうしてUSにはクラッシュの版権のみが残った。ここで国内発売元としてコナミが名乗りを上げ、しばらくはコナミが本シリーズを販売する事になる。((勘違いされる事もあるが、上記の経緯によりコナミがクラッシュを代理で拾った形であり、SCEから直接奪い取った訳ではない。))~
しかし、「SCEの資金力と宣伝」「サーニー氏の手腕」「ノーティの技術力」、この3つが揃ってこそのクラッシュ・バンディクーであった。~
『4』『アドバンス』『アドバンス2』『ニトロカート』と次々にリリースするも売上は低迷、契約期間を満了してそのままコナミは本シリーズの日本国内販売権を手放した。~

『5』以降の発売元となったのはビベンディユニバーサル・ゲームズ。この会社は上記のUIS自身が後にフランスのビベンディグループの傘下となったもの、つまりは自社発売にあたる。~
しかし人気低迷に歯止めはかからず、ここでも売上は右下がりとなる。~
さらに、07年末にビベンディユニバーサルゲームズとアクティビジョンが合併。クラッシュの版権も新会社アクティビジョン・ブリザードのものとなり、日本法人も消滅したため、『フェスティバル』以降の国内の家庭用ソフト販売は行われなくなってしまった。国内でのクラッシュ・バンディクーは事実上ここで終了する。~
国外においても、08年10月に発売された『Crash: Mind over Mutant』を最後に家庭用ハードでの発売はされておらず、やはりブランドは地の底まで落ちてしまった。
一応、スマートフォン向けアプリがいくつかリリースされており、内何作かは日本でもプレイ可能だが、それも細々とした展開である。~
USJにもクラッシュの着ぐるみが当初は残っていたが、徐々にグッズの販売が打ち切られ、2012年4月末には完全にUSJとの契約が打ち切られてしまった。~

こうして本シリーズは終焉を迎えた。
ちなみに、ユニバーサルはこの70年前にディズニー相手にほぼ同じことをやらかしてコンテンツを潰している((これはディズニーがそれまであまり意識していなかった著作権について、認識を改めた事件となった。同時に「著作権にうるさい」という正確ではないイメージを助長した諸悪の根源でもある。そのおかげでミッキーマウスが生まれたのだが…。なお当該コンテンツ(しあわせうさぎのオズワルド)は21世紀に入って、無事ディズニー社に返還された))。[[関連作品>ディズニー エピックミッキー ~ミッキーマウスと魔法の筆~]]

しかし、シリーズ20周年となる2016年に発売された『[[アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝]]』で本作のステージ「おおいわゴロゴロ」がミニゲームとして収録((クラッシュのモーションなどから移植ではなくアンチャ用に作り直されたものだとわかる。))されており、「今年は何か発表があるだろう」とファンを期待させた((新作に関するデマや版権に関する報道が多く、沈黙が長いこともあってファンからの期待の目が向けられていた))。~
そして6月のE3ではクラッシュが『Skylanders Imaginators』に参戦することと『1』『2』『3』のHDリマスター版の開発が発表された。

なお、本作およびノーティ時代のシリーズ作品(および前述した[[スパイロ・ザ・ドラゴン]]シリーズ)は、2014年までゲームアーカイブスで配信していたのだが、2014年11月頃に突如としてVita版のみ配信停止となった。これに関しても、権利元の都合とされている。
#endregion

----
**余談
-上記の変更点のほかに、日本版は海外版と大きく違う点がある。
--海外版ではすべてのキャラクターをブレンダン・オブライエン氏が演じていた((2以降は、キャラの増えた関係でコルテックスとブリオを降板。新たにエヌ・ジンを演じているため複数キャラの声優を務めていることには変わりない。))が、日本版では各キャラ専用の声優がついている。山口勝平氏、飯塚昭三氏、小形満氏と、少ないながら豪華なメンツ。
--ボーナスステージや中盤以降のボスステージの音楽が書き直されている。明るい音楽にしたかったというSCEJの要望とのこと。
---ブリオとコルテックスのボスステージの音楽はそれぞれのボーナスステージで聴ける。海外版ではどちらも同じ音楽だったため。
---2以降は、基本的にゲーム中の音楽が差し替えられることは無くなった。

-開発者は『[[ソニック・ザ・ヘッジホッグ]]』を意識したと語っている((エグゼクティブプロデューサーのマーク・サーニー氏は『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』の開発に携わっている。最初期のプロトタイプではステージセレクト画面はどちらかと言うとドンキーコングに似ていた))。

-真エンディングで語られるボスキャラ達の後日談は、日本向けのローカライズの際に微修正されている。
--単なる翻訳では無く翻案に近く、原語版にはないエピソードも追加されている。最初のボスであるパブパブに至っては真逆の性格((コルティックスの残した城をどうするかについて「原語:改造してお店にして大儲け→日本:観光に使わないかと進められるが気が乗らない」))に。

-SCEは一時期、クラッシュをPSのCMでよく使っていた。当時はパラッパやピポサルなどと並ぶ文字通りの顔役だった。

-CMはキャラクター達がダンスを踊るというもの。
--このCMで生まれた「クラッシュダンス」は海外版を含め『2』に逆輸入され、日本未発売作品でも使用されている。一方CMソングの「クラッシュ万事休す」は日本版限定でタイトルBGMに採用さえている。
---ちなみに海外版のCMは''着ぐるみのクラッシュが米任天堂社に向かって本作をアピールする''というもの。

-当時発売されていた攻略本は、ステージの先が見通せない「大岩ステージ」「イノシシステージ」「暗闇ステージ」以外のマップが載っておらず((比較的簡単に作れそうな横スクロールステージのマップすら無かった!))、代わりに大量のステージ写真で構成されるという異色のものになっている。
--当時、本格的な3Dゲームは数が少なく、攻略本のスタッフも3Dマップ制作のノウハウが無かったための苦肉の策だろう。
---次回作以降は、SCEJがマップデータを提供したのか、はたまた3Dゲームが増えて3Dのマップ制作に慣れたのか、いずれの攻略本にもマップが載るようになった。ただし、『[[4>クラッシュ・バンディクー4 さくれつ!魔神パワー]]』では…

-馴染みの薄いであろう「バンディクー」という生物の簡単な解説が取説に掲載されている。
--「バンディクー」とは、正確には「バンディクート」というインドネシア、パプアニューギニア、タスマニアに住む、一風変わった有袋類のこと。体長20~50cmで雑食性、現在絶滅の危機に瀕している保護動物。ちなみにクラッシュのモデルは「ミミナガバンディクート」というオーストラリア固有の種類。
--そもそも、海外版タイトル(原題)が『Crash &bold(){Bandicoot}』となっているのはこれが理由。

-『宇宙初の奥スクロールアクション』と銘打っているが、本作の2年前に『キッドクラウンのクレイジーチェイス』(発売元:ケムコ)が似たゲーム性を実現している。
--こちらも一本道の擬似3D空間を駆け抜けるアクションゲーム。ただし『クラッシュ』の大岩ステージのように''手前''へ突き進むので、キャッチフレーズはあながち間違っていない。
--ある意味、『[[ストリートファイター]]』に対する『[[イー・アル・カンフー]]』のような物と言えるかもしれない。
--奇遇にも、その続編は''『クラッシュ』と同じ日にプレイステーションで''発売されている。

-2015年に入り、開発当初作られた、ゲーム内のオープニングとエンディングに使われる予定だったアニメーションが発掘された。
#region(それがこの動画である)
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=6d5651XSuh0){425,350}
--ご覧の通り、非常に[[カートゥーン>Cuphead]]調である。音楽がゲームのそれに輪をかけて明るい、如何にもなコメディータッチ。ユニバーサルの面目躍如と言うところ。
---「クラッシュ2」から登場するキャラクターが何匹か登場していることも興味深い。
--この動画をアップロードした、本作プロデューサーのデイヴ・シラー氏によると、クラッシュを3Dゲームとして打ち出すというSCEIの方針で没になったとのこと。
#endregion

-終盤に登場する敵「ビリビリ研究員」を倒した時の断末魔の悲鳴がやたらとリアル。
--ちなみにこの断末魔は続編『2』のボワボワ作業員やシールド研究員にも使われている。

-2017年、PS4で『1』『2』『3』のリマスター、『[[クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!]]((海外版タイトルは『Crash Bandicoot N. Sane Trilogy』))』を発売。開発はノーティ・ドッグではなく、[[アドバンス版>クラッシュ・バンディクー アドバンス]]を開発したバイカリアス・ビジョンズが担当。
--詳しくは該当項目を参照。

復元してよろしいですか?