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デストロイ オール ヒューマンズ!」を以下のとおり復元します。
*デストロイオールヒューマンズ!
【ですとろいおーるひゅーまんず!】
|ジャンル|サードパーソン・シューティングゲーム |&amazon(B000LIPEUC)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|セガ|~|
|開発元|Pandemic Studios|~|
|発売日|2007年2月22日|~|
|定価|6,800円|~|
|分類|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|セガの本気(で別物に)&br()後半の難易度は洋ゲーらしく高め&br()無駄に豪華なスタッフとキャストが魅力&br()気分はさながらビーストウォーズ&br()アータマがグーシャーリー♪&br()''誰が火星人やねん!''|~|
**おことわり
>このゲームは1950年代のアメリカ合衆国を舞台としております。
>世界観の背景にあるのは米ソ両超大国の対立を軸とした冷戦構造です。
>この作品は、当時の異常な社会状況を宇宙人の立場で体験するという構成上、
>われわれ人類に対する批判もこめて、ブラックな装いのセリフも存在しています。
>
>しかし、このゲームの製作にかかわるすべての企業・団体・スタッフも、
>特定の主義主張にくみしたり、または貶めたりするような意図をもっているものではありません。
>もしも私たちに特定の立場があるとしたら、核や極端なイデオロギーを乗り越え
>恒久的な全人類の融和と幸福が訪れることを願うことです。
>  <デストロイオールヒューマンズ!日本語版「ご注意」より抜粋>
**概要
アメリカで2005年に発売されて人気となったゲーム。~
しかし、その中身は宇宙人が地球人を虐殺しては脳みそを奪って行く超ブラックな不謹慎ゲーであり、SCEは「こんなもの日本で出させるワケにいかない」という態度をとっていた。~
そこでセガが悪名高きソニーチェックを掻い潜るためにとった秘策は『ビーストウォーズ』((トランスフォーマーのCGアニメシリーズ。「暗くて複雑な設定が多い原版が日本では流行らない」と日本語版スタッフが判断し、声優にアドリブをやりたい放題させるなど、コメディ調にアレンジした事で有名。特にシリーズ第3作目である『ビーストウォーズリターンズ』はキャラデザインのキモさとR18ギリギリな下ネタアドリブと相まり、超上級者向けの怪作と評判。))を思わせる翻訳…を通り越した「超訳」により''バカゲ―扱いにして通してしまおう''という斜め上の手段であった。~
以下、特筆しない限りは日本語版に基づく内容を記述する。
**特徴・システム
-ゲームは基本的に、母船でミッションを選択してUFOで出撃→主人公であるクリプトナイト137を操作する3Dアクションマップでミッションをクリア→母船に帰還してミッションをまた選択し~という流れ。
--母船ではミッションの選択以外にも武装を強化したり、資料の観覧やオプションの設定ができる。
--当ゲームでは「エンドルフィン」という物が通貨のような扱いになっており、エンドルフィンはアクションマップで人間を倒して抽出作業を行えば手に入る。
---ちなみにエンドルフィンとは人間の脳内に存在する神経物質のこと。

-ミッションではR1+他のボタンでザッパー、イチジクビーム、分解レーザー、イオンランチャーの4種の武器を使い分けて進む。
--ザッパーはベーシックな光線銃。イチジクビームはチャージして撃つ必要があるが、人間に命中すればその都度抽出作業をしなくてもエンドルフィンを取り出せる。
--分解レーザーはザッパーより強力だが、弾丸を補充する必要があり、人間が塵になってしまうのでエンドルフィンが回収できない。
--イオンランチャーは放物線状に飛ぶ弾を発射後任意のタイミングで起爆できる。威力も申し分ないものの弾数が極端に少ないのが欠点。
--倒した人間の近くで○を連打すればエンドルフィンを抽出できる。

-また、L1ボタンを押すことで脳波スキャン、変身、サイコキネシス、催眠術の4つのPK技が使える。PK技を使うためには精神力が必要で、精神力が無い場合スキャン以外の技が使えない。
--脳波スキャンすることで生物の心を読み、自分の精神力を回復できる。
---人間の思考を読むことで攻略情報をゲットできる・・・が、どちらかというと関係ない小ネタが多い。
--サイコキネシスを使うことでオブジェクトを近くに寄せたり遠くに投げ飛ばしたり振り回せる。
--人間に変身中は精神力をだんだん消耗する。変身中は人間に見つからないが、かわりにジェットパックと各種武器が使えなくなる。
---ただし変身中もPK技は使えるので、うまく組み合わせればゲームを楽に進めることができる。
--催眠術は人間を眠らせて無防備にするか、騒がせて周囲の人間の目をそちらに向けることができる。また、ストーリー上の重要人物にはこれ以外の特殊な催眠術を使用することもできる。

-上述の通り人間に変身してない状態のクリプトが発見されてしまうと、警官や軍人が集まってきてクリプトを攻撃してくる。
--しばらく身を隠せば警戒状態は解除される。また、ゲーム中盤からは範囲内に入ると変身が解除・武装が一定時間使用不可能になるEMPが設置されているマップが増えていくので気をつける必要がある。
--クリプト及びUFOにはシールドの耐久値が設定されており、0になればもちろんゲームオーバーである。

-ミッションによってはUFOに乗り込んで戦うこともある。 
--UFOは熱線砲とソニックブーム、牽引ビームと量子分解砲が使える。
--熱線砲は弾数無限だが、冷却する必要があるので連射できない。ソニックブーム・量子分解砲は弾数制。
---分解砲の威力は凄まじいものの、弾数が少なくゲーム終盤にならないと使えない。
--牽引ビームを用いることでオブジェクトや人間を運べる。白兵戦時のサイコキネシスと比べるとあまり使う場面はないが。

**バカゲ―要素
-日本語版限定主題歌がある。その名も「''馬鹿がUFOでやってくる''」。
--曲調もさることながら映像も際どいどころではなく、[[某光の巨人>ウルトラマン (PS2)]]のOPを大胆にパクっている。
--さらに当ゲームと一切関係ない「[[檄!帝国華撃団>サクラ大戦シリーズ]]」のフレーズが入っていたり、本編に登場しない謎の影絵が混じっていたりとカオス極まりない。
#region(こちらがその映像である)
|&youtube(http://www.youtube.com/watch?v=Vpd0utw0eFY){512,384}|
#endregion

-シナリオ毎につけられているサブタイトルはすべてパロディ。
--第一話のタイトルはそのものズバリ「[[クリプト大地に立つ>機動戦士ガンダム (PS2)]]」。こんな調子で最終話まで続いていく。
--ちなみに[[12話は欠番になっている>http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E6%98%9F%E4%BA%BA]]。主題歌以上にデリケートなネタだが、いいのか?

-と学会会長・山本弘を中心とした翻訳スタッフによる数々のネタ。
--セガが本作をバカゲーにする上で白羽の矢を立てたのは山本弘、佐藤大輔、ムトウユージ、大倉雅彦、氷川竜介と実に%%クセの強い面子%%豪華なメンバー。彼らの尽力により、セガの目論見通りにシュールギャグとパロディまみれのバカゲーが生まれることになった。
--ちなみに彼らが好き勝手やったようにも見えるが、実はオリジナル版ではクリプトの侵略目的やエンドルフィンを集める理由がはっきりしておらず、その設定の補完等もちゃんと行っている。

-暗号や催眠術を駆使して進むステージではあからさまに失敗するであろう珍妙な選択肢も登場する。しかし反応がどうなるか気になってしまいつい選んでしまうことも。

-豪華声優陣による全力のおふざけ。
--主人公クリプト137とその上司オルソポックス13はそれぞれ山口勝平と大塚芳忠が担当。この二人の掛け合いだけでもう十分笑える。
---山口氏が収録中に入れたアドリブも収録されており、ここも笑いどころになっている。
--黒幕の「''少佐''」の担当声優は田中敦子。お察しの通り某メスゴリラネタである。
---容姿はバタくさくて全く萌えないが。そのことに対して作中でも突っ込まれる始末。
---山口勝平と田中敦子、という組み合わせで本作の製作の上で意識された『ビーストウォーズ』を思い出す人も多いだろうが、ちゃんとそのネタも入っている。
--その他声優も豪華。特に往年の洋画吹き替えでよくその活躍を拝見出来る大御所声優が多数。
---今は亡き広川太一郎や青野武。舞台女優かつ『チップとデール』のチップ役で有名な滝沢ロコ。チョーさんこと長島雄一(現:チョー)。果てはバカボンのパパ(二代目)などでお馴染みの富田耕生などなど、声優だけでもとんでもない予算になりそうなメンバーが顔を揃えている。
---そんな豪華メンバーが演じるキャラが、次々とおバカなセリフを全力で(雰囲気はさながら洋画な部分もある)しゃべってくるのはもう笑うしかない。

-作中で上映される実在の映画が丸一本入っている。もちろんオプションで観覧可能。
--『宇宙から来たティーンエイジャー』という作品が収録されているが、この作品は監督が脚本や撮影、特撮の編集、音楽までも担当した超低予算の映画として有名。無論クオリティはそれ相応の作品である。
--また、ガメラシリーズ第一作の『大怪獣ガメラ』と史上最低の映画として有名な『プラン9』も一部のみだが収録されている。

**評価点
-この手の箱庭ゲー全般に言えることだが、圧倒的な力で町と人類を蹂躙していくのはとにかく爽快の一言。
--あまりにひどいことをしても、クリプトとオルソボックスのゆるーい掛け合いや各種パロディネタのおかげでプレーヤーが引いてしまうことはない。
--(ストーリー上は)クリプト側から先制攻撃は行っておらず、人類を攻撃するのはあくまで正当防衛や義憤に駆られた場合などちゃんと納得できるだけの作劇上の理由も作っている。
---この辺りも訳者たちがクリプトが悪人に見えないように配慮したらしい。もっとも多くのプレイヤーはそんなこと気にせず蛮行に走るわけだが。

-単純に虐殺するだけのゲームではなく、潜入ミッションや特定キャラをキャトルミューティレーションするなどミッションのバリエーションが豊富。
--ステージによっては催眠術等を活用すれば楽できる場合もあるが、ゴリ押しのジェノサイドプレイでクリアすることも可能。ある程度各々のプレイスタイルに合わせてゲームを進行できる。

-どうしてもクリアできない人のためにエンドルフィン増加の裏コマンドもある。ただやるとすぐゲームが終わってしまうので自己責任で。

-BGMを初めとした全体の雰囲気は良い意味でB級洋画らしさ全開。
--ストーリーも一言でまとめれば「さらわれた兄を助け出すため悪の秘密結社と戦う宇宙人」とB級そのもの。
--ご丁寧に解説してくれる悪役、巨大な陰謀、唐突なグロシーン、核兵器、そして大爆発とこの辺のB級洋画のお約束はしっかり押さえている。
---あえて言うならブロンド美女のセクシーシーンがないのが残念か。

**賛否両論点
-小ネタが大量且つ濃いので分かる人なら楽しめるが、分からないと面白さが半減。
--アニメ・漫画や特撮等のサブカルネタは理解出来ても、洋画やアメリカの常識等幅広いジャンルに精通していないと今一つ面白さが伝わらないネタも多い。
--例えば警官が言う「アンパンが好きだ」というセリフ。アメリカでアンパンはおかしい……というネタに見せかけて''アンパンはシンナーの隠語であり、それを警察が言っている''というブラックなネタである。
--逆に言うとハマる人はとことんハマる。「クリントって俳優は、クモの怪獣に爆弾を落とすパイロットの役なんかやってて将来性がない」なんてセリフでニヤリとできる人にはぴったりのゲームである。

-恐らく全てのネタが分かるのは、本作の制作に携わったSFマニアでサブカル通の山本弘だけかも知れない。
--しかし山本曰く自身が関与しなかった収録現場のアドリブで入れられたネタもあるので、もはや初見で全て分かる人はこの世にはいないかもしれない。もし全て分かったならば相当な好事家である。
--もちろんネタが分からなくても本筋を楽しむ分には問題ない。

-主人公であるクリプトとその上司オルソポックスの関西弁が胡散臭い。関西出身の人は気になる。
--もっとも担当声優は二人とも関西出身ではなく、山本曰くわざと胡散臭い演技にしたようだ。こういう点も含めてバカゲーということだろう。

**問題点
-×ボタンで決定・△でキャンセルという洋ゲー式の操作なので慣れるまでボタンを押し間違えがち。

-ゲーム後半の敵の攻撃はかなり苛烈。笑って楽しむということからは程遠くなってしまう。
--重ね重ねになるが、''オリジナル版はバカゲーでは無い。''

**総評
他国で発売されたゲームが規制の影響で台無しに…という例は数多くあるが、ニュアンスを変えて別の面白さを生み出したという稀有な作品。~
洋画ファンや昭和特撮好き、声優マニアなどにはぜひ進めたい一作。~
もっともネタが分からなくても虐殺プレイと軽快な掛け合いである程度楽しめなくもない。~
逆に分からなかったギャグの元ネタを探してみるのも楽しみ方の一つだろう。
**余談
-公式サイトは、立ち上げた直後に諸般の事情により閉鎖し、その後何者かが海賊版サイトを立ち上げた…という設定となっている。要するに、海賊版サイトはれっきとした公式サイトである。
-翻訳の力ではどうしようもない場面も存在しており、さすがに日本語版ではそこの修正が余儀なくされた。
--それはエンドルフィンの抽出シーン。日本語版では抽出しても死体はそのままだが、''海外版では頭がパックリ割れて、そこからエンドルフィンが出てくる''という演出だった。
-海外では続編が4作目までリリースされているが、残念ながら日本ではいずれも未発売。
-元々オリジナル版発売元のTHQは雰囲気を損なうとしてこのゲームのバカゲー化に反対していたが、セガの交渉スタッフが「田中敦子に会わせてやる」という殺し文句で承知させたという逸話が存在する、という''噂''がある。

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