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*スターフォックスアドベンチャー 【すたーふぉっくすあどべんちゃー】 |ジャンル|アクションアドベンチャーゲーム|&amazon(B00006FRAR)| |対応機種|ニンテンドーゲームキューブ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|レア|~| |発売日|2002年9月27日|~| |定価|7,140円(税5%込)|~| |判定|なし|~| |ポイント|スターフォックスがまさかのアクションゲーム化&br;て言うかほとんどゼルダ&br;全体的に説明不足感が漂う&br;任天堂とレア社のタッグの現状最終作|~| |>|>|CENTER:''[[スターフォックスシリーズリンク>スターフォックスシリーズ]]''| //初稿作成者へ。例え「なし」でも判定欄の記載をお願いします。 //↑どうやらスターフォックスシリーズ一覧のページだと「なし」になっている模様。投稿者じゃないのに判定を加えていいものかわからんので放置しておくが… //初稿作成者です。判定欄は書き忘れていました、混乱させてしまい申し訳ありません。 ---- #contents(fromhere) ---- **概要 スターフォックスシリーズの3作目だが、シリーズ全体としては番外編的な位置づけ。~ 当初は『ダイナソープラネット』というニンテンドウ64向けオリジナルゲームとして開発されていたが、GCに移行するに当たりスターフォックスのキャラクターを使用することとなったという経緯を持つ。この為、非常に長い延期期間を経て発売に至った。 開発は『スーパードンキーコング』シリーズ等で知られるレア社。そして本作の後、任天堂とレア社の提携が切られてしまった為((同時期に任天堂の保有するレア社の株式がマイクロソフトへ売却されたことにより、レア社はマイクロソフトの傘下会社となった。))、本作が数々の名作を生み出してきた任天堂とレア社のタッグの現状最終作となっている。 **ストーリー フォックス・マクラウド率いるやとわれ遊撃隊「スターフォックス」が、ベノムの暴君・アンドルフの反乱を阻止してから8年後。メンバーの一人、ファルコ・ランバルディが姿を消すなど、チーム内に多くの変化が起きつつも、目立った仕事もなく当てもなく銀河の中を漂う生活が続いていた中、ペパー将軍から待望の仕事の依頼が届いた。依頼の内容は、「ダイナソープラネット」なる恐竜の惑星で起きた謎の異変の調査。フォックスは事の詳細を一通り聞いた後、すぐさま愛機アーウィンへと搭乗し、ダイナソープラネットへと向かう。果たして、異変の原因とは…? **特徴 -フォックスの冒険を彩る様々な要素 --本作は様々なアイテムを駆使し、時には敵と戦い、時には謎を解くことで先へと進んでゆく……つまりバッサリ言ってしまえば3Dゼルダである。 --しかしゼルダの良い所をブラッシュアップしつつ本作独自の要素を組み込んでおり、単なる二番煎じに留まってはいない。ここではそのような本作独自の要素を幾つか紹介する。 -''クリスタルスタッフ'' --本作の物語は、ダイナソープラネットの調査に訪れたフォックスが「クリスタルスタッフ」という杖を手に入れたことから始まる。 --「スタッフ」と言うからには「杖」なのだろうが、何故か一貫して「棒」と訳されている。 --クリスタルスタッフは攻撃や防御といった基本的な行動の他に、冒険を進めると魔法を使用することも可能となる。 --クリスタルスタッフで使用できる魔法は全部で7種。大まかには「ヒートブラスト」「アイスブラスト」のように主に攻撃に使用するものと、「ハイジャンプ」のように主に仕掛けを解くために使用するものに分かれる。ただし例えば「ヒートブラスト」は遠隔スイッチを押す際にも使用するので、この区分は便宜的なものだという事に注意して頂きたい。 -''トリッキー'' --本作に於けるフォックスの相棒で、アソーカ族((ダイナソープラネットに生息する恐竜たちは、幾つかの種族に分かれて共存している。「アソーカ族」は主に角竜のような見た目の種族。))の王子。冒険好きで勇敢だがまだ幼く、フォックスに迷惑をかけることも多い。 --例えばフォックスの代わりにスイッチを踏ませるなどして活用する。 --冒険が進むと火が吹けるようになるので、松明に着火したり、攻撃に転用したりすることが出来る。 -''スペルストーン'' --本作に於ける冒険の大目標。惑星の要であった4つのスペルストーンがスケール将軍により持ち去られた為、ダイナソープラネットは分裂を始めた。本作ではこれを取り戻し、それぞれのフォースポイントに収める必要がある。 -''クラゾアスピリット'' --本作に於ける冒険の大目標その2。惑星の守護神クラゾアの分裂した魂で、それぞれ「試練の館」を突破することで手に入れることが出来る。これらを全て集め、クラゾア宮殿に収めることも惑星復活の重要なカギとなる。 **評価点 -3Dゼルダを更に推し進めたシステム --本作のシステムはゼルダ的ではあるが、単にゼルダのフォロワーには留まらず、様々な点がブラッシュアップされている。 --例えばゼルダに於ける「Z注目」のシステムはスイッチ式かホールド式だったが、本作ではクリスタルスタッフを構えている間は自動で敵や物に注目する。 --上記に挙げた要素の他に、例えば買い物の場面では「値引き交渉」が出来るなど、細かい部分でゼルダを超えようと努力している形跡があちらこちらに見受けられる。 -爽快感 --敵を攻撃した際の感触や、乗り物で敵を追いかけるシーンの疾走感など、細かい点で「気持ちの良い感覚」が得られるようになっており、プレイ感覚がとても良い。 -プレイ時間 --一周10~20時間程度と薄くもなく厚過ぎもしない程度のボリュームであり、一部を除き詰まる場所も殆どない為、快適かつ飽きのこないプレイが可能。 -グラフィック --64期から開発しているという点・GCとしては初期に発売された本作だが、かなり美しい。寄った時のフォックスのフサフサした毛や、動物ながら豊かな表情や挙動をするカットシーンなど当時としては高いクオリティを誇っている。 -魅力的なキャラクター --元々は別のゲームのキャラとして企画されていたにも関わらず、本作登場後にスターフォックスに正式加入するまでに至った人気キャラ・クリスタルをはじめ、本作のキャラクターは非常に印象深いものが多い。 --フォックスを特定の場所にワープさせてくれるが、手土産を持っていない相手には愛想が悪い「ワープ魔人」や、値引きし過ぎると露骨に嫌な顔をする「シャブンガの店」の店主「シャブンガ」等、脇役キャラも曲者揃い。名前すらないモブキャラであっても、非常に強い印象が残るキャラも。 ---なお全くの余談だが、クリスタルの色気は本当に凄い。「キツネである(つまり人間でない)」という事を最大限に活かしており、普段着がブラジャーとフンドシという過激っぷり。人間でやったら間違いなくクレームものである。クラゾア宮殿で初対面したフォックスも桃色じみた視線を向けている。 -動くフォックスを楽しめる --ご存じの通り「スターフォックスシリーズ」はシューティングゲームであり、今まで機体に 乗っているキャラクター達が生身で動くシーンは全く無かった。当の本人たちはモニターで顔が見えるほどの演出でしか視覚的に登場できなかったが、本作はシリーズの枠をアクションに変えた事で、生身の動くフォックスという従来のシリーズでは不可能だった要素を持たせる事に成功している。これはシリーズのファンであればあるほど新鮮に映る点だと思われる。 **問題点 -ゼルダ(時のオカリナ)風のバトルに爽快性がない。 --特定ボタンで敵をロックしたゼルダと違い、こちらは近づくと自動で捕捉する。よって回避したい場合でも敵の方を向くことがある。 --発売前には「Aボタンだけで手軽に攻撃」のように紹介されていたが、それでは敵がすぐにガードしてしまう((こまめにスティックを倒して攻撃方向を変える必要がある。))。&brまた、ザコでも数撃以上与えないと倒せず無双感はない。 --魔法攻撃はあるのだが、敵の動きを止めるものに限って長めに当てないと止まらなかったり、強力なものに限って発動までが長いのでやはりサクサク進むことはできない。 --長い棒を武器にするため「武器を真上から振り下ろす」ができず、飛んでくる小型の敵の迎撃が難しい((『時のオカリナ』は縦切りがロック時の基本攻撃なのでこの問題が一切なかった。))。 --フォックスは盾を持っていないのでガードはクリスタルスタッフでシールドを張るのだが、このガードは''無敵になる''。誇張抜きであらゆるダメージが効かない上に永続的に張っていられるという壊れた性能。 ---ただし張っている間は攻撃と移動ができず、敵はまとわりついてくるものが多いので結局解除時にダメージを負いやすく、単にバトルを長引かせるだけになっている。 ---また、狭い通路を転がる玉を避けながら進むような場面では回避用の窪みが用意されてはいるが、わざわざ窪みに逃げ込まなくてもガードで凌げてしまう。 -全体的に説明不足。 --本作はシナリオやゲームシステム等、様々な点に説明不足が目立つ。 --例えばクリスタルスタッフの入手シーン。クリスタルが「クリスタルスタッフの力を試すのです!」と言ったきり、何の説明もないままフォックスは戦闘に放り出されてしまう。 ---実はクリスタルスタッフには3通りのコンボが存在し、そのどれで倒すかによって敵のドロップするアイテムが変わる、という重要な戦略的要素があるのだが、ゲーム中では一切説明されない。 --シナリオも説明不足が目立つ。例えばクラゾアスピリットを集める理由についてだが、「何故クラゾアの力が必要なのか」という話が出るのが''4つのスペルストーンを集め終わった後''。ゲームの終盤も終盤であり、その時点で既に''6つのクラゾアスピリットのうち4つは集め終わっている''。話のタイミングがいくらなんでも遅すぎる上に、プレイヤーはその時点まで訳も分からずクラゾアスピリットを集めさせられるので、良い気分はしない。 ---しかも前半でクラゾア本体の魂がフォックスと直接会って会話をしているのに、肝心なところを説明せず、クリスタルの救助依頼とチュートリアル的な説明をしただけでどこかへ行ってしまう。結局「何故クラゾアの力が必要なのか」という話も恐竜たちとの会話で発覚することになりクラゾア自身からの説明は最後まで無し。なんとも無責任な守護神である。 --他にも冒頭で「なぜファルコが出ていったのか?」といったむしろファンなら一番最初に気になる部分も無視して話が始まる((ゲーム雑誌『ニンテンドードリーム』で連載されてた漫画で、『64』の後日談でこの間を補完する漫画が連載されていたが、裏設定・番外編的なものならともかく本編に深くかかわる情報をここで説明されても大半のプレイヤーの目に留まったか怪しい。))。 --更に、本作のクライマックス部分も全く説明が足りておらず、所謂「超展開」の類になってしまっている。 #region(シナリオネタバレ有り) --最後の試練の館に入ると、そこには事件の元凶スケール将軍が待ち構えているのだが、いざ戦闘だ、と構えるとスケール将軍は''勝手に死ぬ''。クラゾアスピリットが体外に出た影響だと思われるが、フォックスはそれまでに散々クラゾアスピリットを身体に出し入れしている訳で…。 --更にその後、本作の真の元凶はクラゾアの背後に居たアンドルフだったと判明するのだが、この展開も唐突過ぎて訳が分からない。何故アンドルフはクラゾアスピリットを全て解放させたのか、そもそもアンドルフは『64』で死んだのではなかったのか、''何故クラゾアの像の後頭部にアンドルフの顔が付いているのか''等、様々な謎が一切解明されることなくそのまま話が終わってしまう。 ---グレートフォックスに帰還したフォックスが事件の顛末を報告しても、ペッピーやペパー将軍も「またアンドルフだったなんてな」的な軽いノリで済ませてしまう。もしや''スーパーマリオに対するクッパ''程度のノリなのだろうか…。 --また、アンドルフとの決戦の際、スターフォックスを離脱していたファルコが援護してくれるという傍から見れば熱い展開になるのだが、ファルコがスターフォックスを離脱していた動機付けが弱いので、正直「あっ、戻ってきたんだ」程度の感想しか抱かない。 ---実はファルコがスターフォックスを離れていた理由については漫画「さらば愛しのファルコ」にて描かれているのだが、マニアック過ぎて読んでいない人が殆どだろう。 #endregion -やや肩透かし気味な展開。 --例えば本作は4つのスペルストーンを集める物語であり、4つのエリアが存在することから、4体のボスと戦うことになると想像するのが普通だろうが、実際に戦うボスは3体。2つ目のスペルストーンは''雑魚''とのレース勝負で手に入るという、想像を下回る展開となる。 ---ちなみにこのレース勝負は''追突して相手のバイクをクラッシュさせれば勝ち''という斬新なルール。初見ではまず追い抜いてしまうと思われる。 ---序盤に似たようなレース勝負の場面があり、そちらは普通に追い抜けばクリアとなるので余計に紛らわしい。 --スペルストーンは4つだが、個性的なスペルストーンが1つずつあるのではなく「火」と「水」のスペルストーンがそれぞれ2つずつあるだけ。 ---スペルストーンを収める「フォースポイント」も、それぞれに対応した「火山」と「海」に2回ずつ行くことになる。((ただし1回目と2回目に違う仕掛けを通ることになり、全く同じことを繰り返すわけではない。)) --クリスタルも発売前情報だとダブル主人公のように見える演出だったが、実際は冒頭で「燃料バレルの持ち運び&投擲攻撃」というチュートリアル的なステージをクリア後すぐ捕まってしまい終盤まで出番はない。 ---事実クリスタルは、フォックスに置き換えられる前の主人公だったサーベルというキャラクターとのダブル主人公の予定だった。サーベルに対するトリッキーのように、クリスタルにも相棒としてクラウド族の王女が設定されていた。 --その他、スケール将軍関連のイベントについても肩透かし気味である。 #region(シナリオネタバレ有り) --最初にクリスタルと戦いクリスタルが負けたこと、如何にも強そうな外見をしていることから明らかにラスボスのオーラを放っているスケール将軍だが、上記したようにフォックスがスケール将軍と戦おうとすると''イベントで勝手に死ぬ''。プレイヤーも脱力する事請け合いである。 #endregion -全体的にプレイヤーの腕頼みの謎解きが多い。 --本作の謎解き場面では頭を使うパズル系の謎解きはあまり多くなく、寧ろプレイヤースキルに頼る類のものが多い。特定の場所だけで必要な操作をしなければならない、所謂「ミニゲーム」をやらされる。 --例えば「リングを時間内に全てくぐる」というようなタイムアタック系や、ひたすら連打が必要な連打系など。つまりプレイヤーの腕が全てであり、対策を立てようが無い為、出来る人はすんなり出来るが出来ない人はいつまでも同じところで詰まっているという事態に陥りやすい。しかもノルマが無駄に厳しかったり判定が妙にシビアなものが多い。 --その極め付けが「第三の試練」。ゲージの内部をバーが往復し、時折バーが振り切れようとするのでスティックを逆に入力してそれを必死にゲージ内に留めるという試練なのだが、''多くのプレイヤーがここでこのゲームを投げた程に、異常に難易度が高い''。バーの動きは決まっているとは言え、基本的にバーの動きが異常に速く、右に強く振った次の瞬間に左に振れるといったことも珍しくなく、正直クリアできるかどうかは反射神経頼りと言った所。ちなみにクリアまで''きっかり60秒も''ある。 ---しかも他の試練と同様、''試練に失格するとその都度、試練の館の入口に戻される''。再挑戦する度に館の最奥のクラゾアスピリットの元にたどり着かなくてはならない。さらに途中の回復アイテムが復活しないため、毎度慎重に進む必要がある。 ---因みに「試練の館」で詰まり易いのはここのみ。第四以降の試練は寧ろ簡単であり、何故ここだけこれ程難しいのかは全く分からない。 ---この試練の館に行く前のエリアでも「左右に振れるバーがゲージ内に入っているタイミングでボタンを押す」という似たような感じのミニゲームがあるのだが、こちらもバーが速すぎるうえに判定が無駄にシビア、しかも一回失敗するたびに演出がやたら長い、とどうもバー関係のミニゲームには難がある。 ---ただし「タイミング」のゲームではミスをしてもフォックスが一定ダメージを受けるだけであり、数回ミスをしてもクリアできる。一方で「第三の試練」では一瞬でもバーがズレると即座に失格で、入り口からやり直し。 ---ミスして再挑戦するたびに前後のムービーが再度流される。''イベントシーンのムービーや会話をスキップできない''ことがミニゲーム系の操作が苦手なプレイヤーのストレスに拍車をかける。 --ゼルダとの差別化とも言えるが、かといって純粋なアクション操作ともいえない物でもありプレイヤーの多くを戸惑わせた。 -無駄にマップが入り組んでいる。 --ダンジョンやフィールドが複雑なのはまあ良いとしても、''買い物をする店まで迷路のように入り組んでいる''のは些かやり過ぎであろう。 --しかも本作の移動手段は基本的に徒歩。ひどい時にはダンジョンをクリアした直後、同じ道程を逆戻りさせられることも。 ---明らかな「ダンジョン」ならともかく「単なる通り道」にすぎないような場所も無駄に入り組んでいたり、ハシゴを何度も上り下りするような構造になっている。 ---さらにダンジョンクリア後の帰途にスリッピーが「フォックス、まだそこかい?」という悪態をさらっと吐いてくる。 -スターフォックス要素と本作に元々存在した要素の整合性が取れていない。 --元々オリジナルだったゲームに「スターフォックス」の要素をねじ込んだのだから当然とも言えるが、完全にスターフォックス要素が浮いている。 --まず本作の世界観はギリギリSF的と呼べなくもないが、それでも「魔法」や「霊魂」が普通に登場する事に違和感がある。壮大なスペースオペラを描くスターフォックスの世界観とは少なくとも合ってはいまい。 --加えてフォックスが近代的武器を使用しないことにも違和感がある。「棒で殴ったりせずブラスターを使えば良いのに」((序盤でフォックスがペパー将軍にブラスターが支給されない理由を尋ねており、「今回はあくまで調査だから」とのこと。どんな危険があるかも分からぬ未知の場所を全くの丸腰で調べろというのか。またとっくに早い段階からスケール一味との「戦い」に巻き込まれているのにブラスターを支給してくれないということになる。))というのは本作をプレイした誰もが思う疑問だが、そもそもフォックスが強大な敵に生身で立ち向かう必要は全くないのである。''ランドマスターはどうした?'' ---また、フォックスが拾った直後からクリスタルスタッフを使いこなせる理由もよく分からない。傭兵なので軍隊格闘に長けていても不思議ではないが、棒術となると…。 ---クラゾア宮殿へは何故かアーウィンで向かうことはできないが、終盤では普通にアーウィンで向かっている。 --フォックスの仲間たちも殆ど登場せず、グレートフォックスからナビゲートするだけである。 ---ここまでやるなら完全異世界の物語にして「フォックスが単身異次元に飛ばされた」とかにすれば多少の融通も効いた(ブラスターがないなど)のだろうが、実際の本編では「ライラット系とは別だが既知の太陽系」のお話である。 --ステージ間の移動がアーウィンを使ったシューティングゲームになっている点は辛うじてスターフォックスっぽくはあるのだが、そのクリア条件も「ゴールドリング((そもそもゴールドリングは元々回復アイテムなので、その意味でも履き違えている感がある。))をくぐった数」であり、''シューティングのスコアは関係ない''という「なんちゃってシューティング」なので、あくまでオマケ程度のミニゲームに近いもの。ユーザーが求めていたものを履き違えている感がある。 ---が、とあるボスはアーウィンで挑む事になる。アーウィンで挑むのはシリーズ上当然ではあるのだが、本作単体で見れば基本操作とは異なった所謂ミニゲームを本筋で強制されてしまうという不可解な現象が生じてしまっている。 ---アーウィンの操作自体は良好((ただしチャージショットがなくなっている))で、トリガー押し込みでのローリングなどは次作の「アサルト」でも引き継がれている。 --割れてしまったダイナソープラネットの別部分へ移動するには上空に「ゲート」なるものを開かなければならないのだが、アーウィンで宇宙空間を通って移動しているにも関わらずゲートがなぜ必要なのか説明されない。 ---一方で住民のクラウド族(翼竜)が生身でゲートに飛び込んで別エリアに移動している描写があり、これもフォックスのアーウィン移動と矛盾している。 ---元々『ダイナソープラネット』にあった何らかの遠距離移動手段を無理やりアーウィンに差し替えた名残なのだろうか……。 -その他作りが粗い点。 --ストーリー中に一方通行の箇所がある。第五の試練を突破した後にアーウィンに乗ってダイナソープラネットに向かうと強制的にクラゾア宮殿に着陸してしまい、「ソンテイルの里」を始めとした今まで行くことができていたマップに二度と行けなくなる。その時点で分裂した地形といったダイナソープラネット以外の場所は「×」と表示されて行くことができないので実質行く場所を強制されることになる。加えてクラゾア宮殿に着陸した後にアーウィンに近づいても乗り込むことができず、他の場所に行くことができない。 ---さらにイベント後にアーウィンを操作する場面でセーブをすると、再開が"イベント→アーウィン操作パート"で固定されてしまい、生身で探索することすら不可能に。もっとも、先述の一方通行のせいでクラゾア宮殿を歩き回ることしかできないが。 ---トリッキーとのボール遊びや後述の井戸にメダルを投げ込んで裏情報を聴く隠し要素も楽しむことができなくなるため、それらを楽しみたい人は第五の試練突破前のデータを残しておくこと。 --通貨「スカラベ」を集めるのが割と面倒((クリスタルスタッフで石を持ち上げると、石の大きさに応じてスカラベが飛び出てくる。ただし重い石はそれなりに持ち上げるのに時間がかかる。))にも関わらず、頻繁に金でアイテムを買うイベントが起こる。 ---一応、ソンテイルの里とシャブンガの店を往復してスカラベを短時間で稼ぐ方法は存在する。 --本作の仕掛け・謎解きは多岐に渡っているが、何故か「爆弾(のようなもの)で壁を壊す」という謎解きが異様に多い。 ---また、なぜか序盤から出てくる「投げて爆発」させる円筒形の物体が「爆弾」ではなく一貫して「燃料バレル」と呼ばれているのだが、燃料補給に使う要素はなくなぜそこまで燃料バレルにこだわるのか謎である。 --レア社製なので''全編英語ボイス''。英語を話すフォックス達を受け入れられるかどうかは人による。また、[[スターフォックス アサルト]]でフォックスの声優が変更された理由には、今作での声が影響している様子。 ---日本版では英語ボイスに日本語字幕となるが、日本語字幕がかなり大雑把な意訳。意訳でもいちおう必要な会話は成立するようになっているが、中には丸っきり字幕が省略されている台詞さえある。 ---設定上、恐竜達は「恐竜語」を話している。翻訳システムが未完成なゲーム序盤に、フォックスが恐竜達とのコミュニケーションに苦心する場面もある。翻訳システム完成後は恐竜語が英語で聞こえるようにようになるが、何故かクリスタルの台詞だけシステム完成後も恐竜語のまま。しかし何故か最終シーンには英語になる。 //何故かクリスタルのみ最後まで恐竜語で話す。 //↑最後だけは何故か英語で話していました。 ---キャラの性格もアメリカンナイズされており、従来とは性格がやや異なっていたりも。厳格で寡黙だったペパー将軍はジョークを交えて雄弁に喋るフランクな性格になっていたり、子どもの恐竜トリッキーにからかわれたフォックスが「このガキ」と言ってキレたりするなど、シリーズ経験者は違和感を覚える事だろう。 //↑レア製(英国)なのに「アメリカン」でいいのでしょうか? ---特に調子の悪いジュークボックスを蹴飛ばすスリッピーに驚いた者は多い。 --ジュークボックスで今作に収録されているBGMを聴くことができるが、結構な頻度で横にいるスリッピーの指パッチンの音が入る。ハッキリ言って邪魔。 --隠し要素の一つに「井戸に専用のメダルを投げ込み裏情報を聞く」というのがあるが、何枚目のメダルかでメッセージが変わるのに1度ずつしか聞けない((聞いた情報をまとめるファイルなどもない。何度も聞きたければ直前にセーブして聞いたらリセットするしかない。))。 --最後のクリスタルスタッフがよく見ると・・・。 #region(終盤の展開のネタバレ有り) --イベントでクリスタルを救出し、その後正体を現したアンドルフを撃退するためにフォックスは半ば奪われる形でクリスタルスタッフをクリスタルに返すが(とは言っても元々彼女の持ち物なので返すのは筋だが)、アンドルフ撃退後のグレートフォックス内で会話するシーンのフォックスをよく見ると''なぜかフォックスがクリスタルスタッフを所持している。''加えてクリスタルもどこかにしまい込んだのかアンドルフ撃退後にクリスタルスタッフを所持している描写がない。意味もなく転送装置でも使ってこっそりフォックスに持たせたのだろうか? #endregion **総評 紆余曲折を経て発売に漕ぎ着けたタイトルだが、完成度はなかなかのものであり単なる「ゼルダフォロワー」に留まらない出来となっている。~ しかしシナリオなど粗が目立つ部分も多く、何より「そもそもこれをスターフォックスでやる必要はあったのか?」という疑問はやはり残る。~ もともと64版として製作中に形はほぼできていたようで、シナリオなどの粗はスターフォックスに組み込むために無理やり後付け設定を加えたりシナリオを組み変えたりした名残りという推測もできる。~ 数々の名作を送り出してきた任天堂とレア社のタッグによる最後の作品としては少々残念な出来と言わざるを得ない作品である。