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よるのないくに」を以下のとおり復元します。
*よるのないくに
【よるのないくに】
|ジャンル|美少女従魔RPG|CENTER:&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/61QgF7YGZqL.jpg,width=160)|CENTER:&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/717PSZNz6NL._SL1002_.jpg,width=160)|CENTER:&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/71L%2BcH1S27L._SL1018_.jpg,width=160)|
|対応機種|プレイステーション3&br;プレイステーション4&br;プレイステーション・ヴィータ|~|~|~|
|発売元|コーエーテクモゲームス|~|~|~|
|開発元|ガスト長野開発部|~|~|~|
|発売日|2015年10月1日|~|~|~|
|定価|【PS3/PS4】通常版/ダウンロード版:6,800円&br; プレミアムボックス:9,800円&br;【PSV】通常版:5,800円&br; ダウンロード版:5,143円&br; プレミアムボックス:8,800円(全て税別)|~|~|~|
|レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~|~|~|
|判定|なし|~|~|~|
|ポイント|音楽・グラフィックは良質&br;シナリオ・アクションが低評価&br;Vita版は大幅な劣化あり|~|~|~|
//本来は黒歴史判定、Vita版は劣化ゲーに相当する内容かもしれないが、いかんせん単発作品なうえ、Vita版は移植かどうかわからないので、判定なしにしてあります。
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#contents(fromhere)
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**概要
ガスト長野開発部が制作するアクションRPG。~
ガストの完全新規作品としては『大正もののけ異聞録』以来12年半ぶりの新作となる。~
今回は零シリーズの菊池啓介氏がプロデューサーを務めた。

**ストーリー
 かつて在った、人にあらざる者───
 妖魔の長、夜の君と呼ばれたそれとの戦いは
 人類の勝利で終りを迎えた。
 しかし、夜の君はその散り際に
 汚れた血を撒き散らし禍根を残す。
 その青き血を浴びたものは姿と性質を変え、
 邪妖と呼ばれる存在に転じ、
 人々から夜の世界を奪うモノとなる。
 以来、この地は光差す時間はヒトが活動し、
 闇に染まる時間は邪妖が蠢く、決して眠ることのない
 “よるのないくに”となった。
 青き血を浴び、“吸血”という呪われた能力を得た少女は、
 ”よるのないくに”でヒトのために生き、
 夜の生贄となる一人の少女のために戦っていく。
 地図に存在することのない“よるのないくに”。
 これはそこに生き、戦い、その後誰にも語られることなく、
 歴史の狭間に散った二人の少女の愛の物語。
 その真実の愛にもとづく物語は、何よりも悲しく、月よりも美しい───
 (よるのないくに公式HPより引用)

**ゲームシステム

''ゲームの流れ''
-半妖の少女アーナスとして、夜中に現れる邪妖を退治するのがゲームの主な目的である。
-まず拠点であるホテルでイベントの視聴、買い物、クエストの受注を行う。準備が出来たら外出し、イベントの進行、クエストの進行、アイテム収集などをする。
--外では敵が出現する。状況によっては武器や従魔を利用して倒す必要がある。
-道中にある中継地点から帰還するか、一定時間経過すると探索終了となる。道中で手に入れたアイテムや経験値は、このタイミングでまとめて精算される。
-イベントを終わらせる、ボスを倒すなどするとストーリーが進行し、新しいエリアへ行けるようになる。

''アクション''
-基本操作
--□ボタン、△ボタンで攻撃、×ボタンで回避、○ボタンで必殺。ジャンプは存在しない。
--武器は全部で5種類。バランスのいい剣、手数の多い双剣、サポートに長けた銃、打撃力の高い槌、強力な血剣。

-従魔(セルヴァン)
--アーナス配下の妖魔で、一緒に戦ってくれる。戦闘中にSPを消費して召喚する。
--デッキと呼ばれる欄に4種類まで「従魔」をセットできる。デッキは4つまで所持でき、戦闘中に任意に切り替えられる。ただし、デッキを切り替えると召喚済みの従魔は全て帰還する。
--従魔は召喚時に決まったアクションを行う(召喚アクション)。その後は独自の行動パターンで動き、敵を攻撃したり味方を補助したりする。
--既に召喚済みの従魔に対して召喚コマンドを実行すると、各従魔のSPを消費しての特殊能力「従魔バースト」が使える。

-変身
--敵を攻撃すると変身ゲージが溜まる。最大になれば別形態へと変身できる。どの形態に変身できるは、デッキの従魔によって決まる。
---従魔には「変身因子」と呼ばれるものが設定されており、その総数が多い形態へと変身できる。因子が多いほど変身時間も長くなる。
--いずれの形態も攻撃が派手かつ強力で、ビジュアルも美しい。アーナスの性格も変化する。

**評価点
''闘技場(PS4/PS3限定)''
-ホテルの地下で挑戦できる。特定の条件下で戦闘を行うというもの。クリアすることで特別な報酬がもらえる。
-クリアまでに取った行動(必殺技を使わない、回避しないなど)や、かかった時間に応じてスコアが決まる。スコアが高いほど良い報酬がもらえる。
-パズル要素が強く、ただがむしゃらに連打するだけではクリアできない。しかし難しすぎる訳でもなく、何度も繰り返し挑戦することで攻略法が分かるようになっている。
-クリアするために装備や従魔の組み合わせを考えるのは中々面白い。ボリュームが少なめなのが残念である。

''グラフィック(PS4/PS3限定)''
-キャラの3Dモデルは元となった四々九(よしく)氏の絵を良く再現できており、クオリティは高い。敵や従魔のグラフィックもよく作られている。
--中でもアーナス変身後の姿である「ラビットフォーム」は、露出度高めのデザインと性格から人気が高い。抱き枕カバーが作られるほど。
-建物や背景も高水準とまではいかないが、概ね納得できる出来になっている。
-戦闘エフェクトも派手で爽快。ボスが放つ必殺技も派手なのでゲームオーバー覚悟で見る価値はある。

''サウンド''
-オーケストラやロック調など、バリエーションが豊富に用意されている。
-変身すると形態に応じてBGMが変化する。派手な演出と共にプレイを盛り上げてくれる。
-余談だが本作のOST盤はプレミアムボックスの特典になっており、単品では発売されていない。 

''一部のボス戦''
-ラスボスとクリア後に戦えるエクストラボス''だけ''は、多数の状態異常と広範囲攻撃を備えており対策なしでは一方的に倒されてしまうほど強い。
-この時期だけは、回避のタイミングを覚え、最適な装備の組み合わせを探し、従魔を育成するという、アクションRPGらしい遊び方ができる。

**問題点
''シナリオ''
-ストーリーは主人公のアーナスとヒロインのリュリーティスの2人を中心とした話だが、全体的にツッコミどころが多く、説明・描写が不足している。どこがと問われてここがと言えない程度に万遍なく問題点が広がっている。
-設定がはっきりしていない。
--夜は邪妖が沸くため住民はみな屋内に閉じこもっているという設定(のはず)だが、主要キャラは平気で出歩いている。雑魚しかいない序盤のエリアならともかく、高レベルの敵が徘徊しているダンジョンにまで現れる。
--「聖女の生贄(リュリーティス)」は邪妖に狙われやすいため、特別な護衛(アーナス)がそれを護ることになっている。しかし劇中では、リュリーティスは夜中に護衛なしで何度も外出している。アーナスも夜中に出歩くリュリーティスを見て、咎めるようなことをしない。
---冒頭の時点で、夜に護衛1人つけず新しいエージェント(アーナス)を迎えに行っている。しかもその後すぐに邪妖にさらわれる始末。一応この時点ではまだ聖女ではないのだが、それにしても不注意の度を超えている。
--舞台となる島は「夜には''化け物が闊歩する''、''地図に存在しない''島」だが、島の住民は''明るく生活''し、''島の外から人が来る''こともある。住民が邪妖に怯えているような描写もない。
---劇中では一般人が何人も邪妖に殺されている描写がある。まともな人間なら一刻も早く島から逃げ出すだろう。
--邪妖が出現する原因となった「夜の君」の設定が曖昧で、彼が何だったのかが最後まではっきりしない。はじめは「世界を常闇にしようとしている」とされているが、ゲームが進むにつれて「夜そのもの化身」「実は利用されていただけ(悪役ではない)」「影のサポーターだった」と立場がコロコロ変わる。
--分類が無駄に多い。「妖魔」「純血の妖魔」「邪妖」「従魔」「魔族」etc..敵を表す用語だけでもこれだけある。曖昧な設定と相まって、キャラの台詞がやや難解になっている。
-キャラ同士の関係も分かりづらい。
--アーナスとリュリーティスは相思相愛だが、2人が出会ってから仲良くなるまでの経緯が丸々省かれている(過去に一緒にいたとさらっと語られるのみ)ため、物語に入り込みづらい。後にDLCで補完されたが、完全ではない。
---エンディングに影響する好感度システムはあるのだが、正直な所ゲーム開始時点で相思相愛である。
-一部イベントの内容がおかしい。
--本作のダンジョン内部には何故か電話が置かれており、トラブルが発生した直後に都合よくかかってくる。キャラもそれに突っ込もうとせず、平然と電話を取る。またアーナスが無視した電話をリュリーティスが取った結果、彼女が聖女に決まるという意味不明な展開がある。アーナスも「あのとき自分が電話に出れば~」とズレたことを語り出す。
--発売前からアーナスとリュリーティスの百合描写が大々的に宣伝されていたのだが、サブキャラ2人(男)がアーナスに惚れ、アプローチを繰り返すという無駄な描写がゲーム全体を通して何度も行われている。こんなシーンを入れるぐらいならアーナスとリュリーティスの関係や、世界観についての説明をもっと増やすべきだったはず。アーナスが一切靡かないため、シナリオ上の意味もなく、アーナスは男にもモテる、という描写をやりたかった以外の意図が感じられない。
-「従魔(セルヴァン)」や「血の奉納(デスダン)」などの普通は読めないような用語にほとんどルビが振られていない。「邪妖(じゃよう)」「純血の妖魔(じゅんけつのようま)」などは普通に読んでいるので紛らわしい。
--ただ、これらの用語が含まれるセリフにはほとんどボイスが入っているので、さほど気にはならない。
-半妖、百合などの要素から、シナリオが『[[サガフロンティア]]』のアセルス編の設定に酷似しているとの指摘がある。ちなみにシナリオライターはそのアセルス編と同一の人物、[[すなわち>黄金の絆]] [[かの>新約聖剣伝説]] [[悪名高い>俺の屍を越えてゆけ2]]''生田美和''氏である((ただし、サガフロのアセルス編については「原案・設定資料」担当であり、最終的なシナリオ構築は河津秋敏氏の手によるもの。つまり本作の場合は「もしアセルス編に河津氏の手が加えられなかったら」という形に近い。))。
--「人間の赤い血と人外の青い血が混じった紫の血の半妖」「外的要因で半妖になってから外見が変わってない」「同性に興味あり」「名前はア○○ス」など、アーナスとの類似点が多い。

''システム''
-ガストには珍しいアクションRPGという点を考慮しても、システムに粗が多すぎる。
-従魔のバランスがおかしい。
--従魔は全部で21種(+DLC1種)いるが、回復役が1種しかいない。そのためデッキが回復役+他3種でほぼ固定される。
--同じ従魔を同じデッキに2体以上入れられないという制限があり、「全員壁役」「美少女従魔オンリー」といったデッキが組めない。
-主人公が弱すぎる。
--初期の攻撃力・防御力が低く、レベルアップしてもあまり上昇しない。装備品で特化させないとあっという間にやられる。
--一方で従魔は倒されてもしばらくすれば復活する、主人公よりステータスが高い、後述するドローが極めて強力とかなり強めに設定されている。そのため効率を重視すると「従魔を召喚して、自分は離れた位置から傍観(あるいは遠距離攻撃)」という戦い方になってしまう。
-(ラスボスまでの)ボス戦がヌルすぎる。
--動作が鈍く、攻撃の間隔が長いため被弾しても簡単に立て直せる。加えて従魔の存在から5対1であるにもかかわらずHPが低く、育成状況によっては速攻で倒せてしまう。
--このバランスがラスボス直前まで続くため、アクションが得意なプレイヤーは途中で飽きる可能性が高い。
-調整ミスと思われる部分が多数存在する。
--デッキを切り替える「ドロー」というアクション。このアクションを実行すると場に出ている従魔が全て消滅するのだが、その際に従魔のSP(従魔バーストに消費する)が全快してしまう。
---これを利用するとバースト→ドロー→バースト→…というループができてしまう。「1発しか撃てないほど消費が大きい代わりに超威力」という癖の強いバーストも、ドローを利用すれば連射できる。ただでさえ低い難易度が更にヌルくなってしまっている。
---場から消滅するため従魔アクションも連発できる。ラウネーという従魔の召喚アクションは回復なので、これを利用すれば瀕死の状態からHP最大まで一気に回復できてしまう。
--「攻撃命中時にSP回復する」という装備品がある。これと連続ヒットする従魔バーストを組み合わせると、いくら撃ってもSPが減らないという状況になる。
--吹き飛ばされたときに「受身を取る」アクションがあるが、吹き飛ばされてから一定時間経過しないと入力を受け付けないという仕様により、高く打ち上げられたときにしか実行できなくなっている。吹き飛ばしを使う敵は多いため、この仕様を知らないとあらゆる場面で理不尽な思いをする。

''カメラ''
-視点を寄せたり、上下の角度を変えたりすることがができない。「美少女」を謳っておきながら、ローアングルにしたりキャラに寄せたりすることができない。
-厳密にはできるが、遠・中・近の3つの固定アングルを切り替えるというものである。しかし近・中はカメラの位置が低すぎて周囲の状況が分かりづらいため、結局遠固定で進めることになる。
-公式HPのスクリーンショットでは戦うアーナスや従魔の姿が映されているが、本作のカメラでその場面を再現することは不可能である。
-Vitaはただでさえ酷いグラフィックが、このカメラの影響でより不鮮明になっている。

''ボリューム''
-クリアにかかる時間は15時間程度で、昨今のゲームにしてはかなり短めである。価格に見合った内容とは言えない。
-クリア後の展開も半日あれば終わるボリュームで、やり込みも最大ダメージ検証や従魔のステータス強化といった人を選ぶものが中心である。
-ACT好きなプレイヤーが想定していたであろう「美しいコンボを考える」「ボス相手に華麗に立ち回る」といった要素は皆無である。

''モーション''
-良質なグラフィックに対して、モーションの出来が異常に悪い。種類も数えるほどしかない。またモーション中は文字送りできないという仕様があり、会話シーンを飛ばそうとしても止められてしまう。
-中盤やラスボス戦直前に挿入されるアーナスと敵の殺陣シーンは、動きがもっさりしていてギャグにしか見えない。にもかかわらず本作にはイベントスキップがないため飛ばすことができない。

***Vita版の問題点
''処理落ち''
-頻繁に処理落ちが発生する。特に酷いのが闘技場で、「動作はゆっくりになるがタイムは通常通り進む」という現象が発生する。この影響で闘技場の難易度が異常に高くなっている。

''グラフィック''
-度を越えたグラフィックの劣化。マルチ展開したことを差し置いても酷い。文字までぼやけているため、非常に見るに耐えない代物になっている。
--こちらはパッチVer.1.02で改善された…と思いきや、画面全体をぼやけさせてしまい、更に悪くなる有様。
-キャラデザの四々九氏がVita版のグラフィックに対し「VITA版はあんまりお勧めできないわ、画質がアレです。時代はヌルヌルPS4ですわ…」とツイートしていた(2016年2月現在削除済)。

**総評
長らく完全新作が出ていなかったこと、そして「美少女×従魔×RPG」と銘打ったことで大きな注目を集めた作品であった。~
しかしシナリオ、アクション双方の完成度が低く、そのつくりの粗さと稚拙さから多くのプレイヤーに「期待外れ」の烙印を押されてしまった。~
Vita版はそれに加えてグラフィックや処理落ちの問題もあるので、PS3/PS4版以上に厳しい評価となってしまった。~
美少女を売りにしたキャラゲーとしても、方向性のブレで作りこみが甘く、それ目当ての人も満足できるとは言い難いものがある。~

一応、操作性は問題視するほど悪くなく致命的な不具合も存在しないため、シナリオ(VITA版は処理落ちと画質)を無視できるのであれば遊べなくはない。~
ただ問題点で挙げたようにボリュームは薄く難易度も低いため、シナリオを二の次と考えるようなプレイヤーが満足できるかは微妙なところである。

**余談
-元は『[[超次元ゲイム ネプテューヌ]]』のキャラであり、ガストの擬人化キャラでもある「がすとちゃん」が初回特典の従魔としてゲスト出演している。しかし他の従魔と異なり一体しかおらず憑代もない。厳選もできず変身因子を強化できないため、最終的には二軍落ちしてしまう。
--PVに「様々な壁を乗り越え」と書かれ、IF、コンパイルハートの版権表記がある事から、ネプテューヌシリーズ、コーエーテクモゲームス作品両方で登場させにくいキャラとなっている模様。

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