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ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ - (2019/04/12 (金) 10:46:10) の編集履歴(バックアップ)


ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガ

【てぃありんぐさーがしりーず べるうぃっくさーが】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション2
発売元 エンターブレイン
開発元 ティルナノーグ
発売日 2005年5月26日
定価 7,140円
判定 賛否両論
ゲームバランスが不安定
ポイント 初心者お断りの高い難易度
しょぼいグラフィックと王道ではないストーリー
既存のSRPGと大きく異なる、色々と癖のあるシステム
ティアリングサーガシリーズ
ユトナ英雄戦記 / ベルウィックサーガ


概要

ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記』の続編。しかしその関連性は、作中で僅かに匂わせる程度で、世界観の繋がりは全くといっていいほどない。
前作が割りとまだFEに類似している内容だったためか、今作は差別化を図るために従来の基本的なシステムに加えて様々なシステムを搭載した*1

変更点

  • 戦術MAPをそれまでのマス製からヘックス製に変更。
  • 0射程(隣接&近接攻撃)、1射程(隣接はしているが射撃や投擲などで攻撃)、2射程以上(過去作で言う間接or遠距離攻撃)と射程が細かくなり*2、地形効果も待機しているヘックスではなくて戦闘場所に変更*3
  • 命中率に関わるパラメータ『技』を『技能』という武器ごとの熟練度に変更。
  • 攻撃を喰らうと反撃射程内でも反撃できない(『反撃』スキル持ちなどは除く)。
  • 経験値を入手できる機会が『戦闘で相手を倒す』『回復魔法を使う』『相手を捕縛』『民家を探索する』になり、前作のように敵を攻撃することでは稼ぐ事ができなくなった。
  • 盾が武器と同様の扱い(武器と同時に装備可能)となり技能や精度(発動率)も追加*4。弓・石弓・バリスタと矢は別々、槍の大半は移動した値に応じて最初の一撃だけ攻撃力が増す*5など装備の幅が広がって種類毎の差別化*6も図られている。
  • 敵味方共に「潜む」スキル持ちが建造物や森で待機した場合、隣接するか「索敵」スキル持ちが周囲にいるか対象者が攻撃しないと視認不可。もちろん敵AIは潜んでいるプレイヤーユニットを認識できない*7
  • 地上のユニットは空を飛んでいるユニットには0射程攻撃が不可能になり(0射程攻撃への反撃は可能)、過去作にあった弓による特攻も削除。地上ユニットでは捕縛も不可*8
  • 傭兵システム*9の搭載とクラスチェンジ(以後、CCと呼称)条件の大幅な変更*10。バランス調整の結果だと思われるが、一部にCCや入団条件が厳しめのキャラ*11が存在する。
  • アイテム・経験値が有限。
    • 本作は本拠地が固定されており、武器屋などのアイテムはストーリーを進めていくことで増えていく。しかしながら、一部以外のアイテムは入荷数が決まっており、強力な武器などは1個しか入荷されない事もある。
    • さらに、前作と異なり無限に稼ぐことのできるマップや何度もプレイ可能なマップはなく、更に前述した通り敵を倒した時しか経験値が入らない仕様なので経験値も有限である。

…そして、その結果、前作はおろか従来のゲームとも全く異なるゲーム性となってしまった


評価点

  • 「ヒットすると盾を破壊する」「ヒットすると馬を殺す」「アーマー系の防御を無視して攻撃」「盾を無効化して攻撃」などのユニークな効果を持つ武器が多い。また、従来のゲームでは索敵マップでは敵側は無条件にこちらを視認可能だったが、今作では敵側も索敵しないとこちらの存在を把握不可と公平になっている。そういった特殊なアイテムやシステムを上手に使えば攻略が楽しくなる点は高評価である。
    • ランスという武器に関しては癖が強い*12ので評価が難しい。
  • キャラの成長でランダム要素を抑えたことにより、育成重視のSRPGと違ってインフレ無双ゲーになることを避けつつもステータスも重要と、良バランスに仕上がっている。総じて成長の度合いが低いため、FEなどでは序盤でお役御免となっていた老騎士のような低成長キャラ、ウォードなども使いようによっては最終章でも通用するようになっている。
  • 前作では2軍落ちのキャラが多く出てきたりそんなキャラを出しても足手まといになっていたということもあるが、本作の難易度調整から*13あまり使っていないがある程度育成したキャラor初期値が高めのキャラも終盤でも十分活躍できる*14。適材適所で出撃キャラを選ぶと攻略が楽になるが、1軍だけを使うプレイも問題無いので編成の幅が広い。
  • 音楽の評価が高い。場面にあわせた音楽にもなっており全体的に質が非常に高い。使い方もしっかりしている。
    • 批判者からも「この音楽があるだけでベルサガは存在する価値が大いにある」とまで言われるほど極めて高評価。今作で最も普遍的に評価されている要素だろう。
  • 前述しているが、難易度は一見理不尽の塊に見えるかもしれないがどの状況でもいくつもの解法が用意されており、まさに答えの無いパズルといった感じでマニアからは大変好評。やりこみも沢山なされている。また、地雷・肉壁・チクチク・速攻など従来の作戦パターンを安易にできないのも戦略性を上げている。以下に例を挙げると…
    • 地雷:回避系ユニットによる地雷はランダム武器破壊と被命中0%に近づけるのが難しく、防御系ユニットも今作の反撃の仕様(一部スキルを除いて回避or完全に防げないと反撃できない)や軽症でそれぞれ待ち伏せ戦法のリスクが高くなっている上に盾発動率100%や被命中0%等でノーダメージ確定の場合は敵が攻撃してこない*15
    • 肉壁:スキル強健を持たないユニットは軽傷・戦闘不能になる可能性があり、また前述の通り盾を持っているユニットでも盾に発動率とランダム破壊がある。
    • チクチク:経験値は回復魔法を使った時・捕縛した時・トドメをさした時にしか入らない。しかし技能だけは武器防具を使うだけで上げられるので固い敵や回復する敵に攻撃力の低い武器で何十~何百ターンと叩き続けて上げれる。そして技能さえ上がれば攻撃を外す事はかなり減るのだが…。
      • ターン制限のあるマップが多いことや24ターン以降は技能の上がりが悪くなる上に武器防具を無駄に消費する(=資金繰りが大変になる)ので初見プレイヤーだと逆に辛くなりやすい。更にただの繰り返し作業なので廃人でも好き嫌いが分かれる上にチクチク無しでも通常のプレイでは困らないので安易なチクチクは推奨されない*16
    • 速攻:今作ではワープ系の道具は無く、同時ターン制・武器のランダム破壊により一騎駆けは敵に囲まれて倒されるリスクが付きまとう。ただし、丁寧な操作が必要なものの同時ターン制で行動順調整や他ユニットでのフォロー、一斉に襲ってくる敵が少ない、「潜む」スキルなどもあるので大胆な用兵もしやすくなっている。
    • 魔道士系ユニット:前述の通り、過去作以上の打たれ弱さで回避率も低めなのに過去作以上に接近する必要がある。ただ、魔法は威力も命中率も高め(魔法回避率も射程0~1なら地形効果無視)で盾などで硬い敵が多いのでこれまた過去作以上に有用であり、打たれ弱いが高火力とむしろバランスが取れている。
    • 壁:ヘックス制なのでマス制と比べて進行を止めづらい上に集中攻撃を受けやすい。今作にも大軍をせき止めてからゆっくり倒していくのが有効な場合はあるが、過去作と比べて条件が厳しかったり有効ではない場合が多い。
    • ターン制限:上述の通り、本作は難易度調整(と話の流れ)からターン制限のあるマップ*17が多い。高評価や捕縛を目指さなければ割と余裕はあるが、リスクを恐れる余りゆっくり進軍し過ぎると間に合わない場合もある。

賛否両論点

  • 全体的なゲームテンポの悪さ*18、既存のパターンが通用し辛かったり、初心者にとっては低めに感じる確率など、新規の評価はよろしくなく、途中で投げ出すケースも多い。せめて難易度選択ができれば新規からの評価も変わったかもしれない*19
    • 一方で、SRPGの初心者には慣れやすいという意見も見かける。
  • キャラそれぞれには様々な個人スキルが用意されており、成長に制限をかけたおかげでキャラの個性はより一層出ている。それゆえに、キャラクターそれぞれに見合った用兵が重要となる。
    • キャラクターの個性が唯一無二である為、プレイヤーお気に入りのキャラを育てる楽しみ方ができない反面、近年のゲームにありがちな「カスタマイズによるキャラの無個性化」もおこりえない。デリックというある意味意図的に弱くしていると思われる*20キャラ以外はなんらかの形で特化した使い道があり、きちんと用途に合わせて使えばその実力を発揮してくれる。
  • しかし、仲間にした時点ではそういった傾向もわからないため、攻略情報なしでそれに気づくのは非常に厳しいのも事実。また、後述するように基本的に成長率が非常に低いため、前作やファイアーエムブレムシリーズでよく取りざたされた「〇ピン」のような、成長で一喜一憂する楽しみも薄くなっている。
  • クリアしても、評価が表示されるだけで特典・引継ぎの類は一切なく、評価をMAXにしても特典などは一切なし。
    • 本作での評価MAXはただプレイするのに比べて回りくどい行動も必要になる上に、そのプレイングが攻略に有利に働く要素や場面はほとんどない。つまり評価MAX狙いはただのやりこみプレイであると言える。
    • ゲームバランス的にも引継ぎは無くて良かったという意見が多く、そもそも前作においても、引き継ぎ要素などは存在しない。

問題点

難易度

  • 本作は比較的命中率と回避率のどちらも低めに設定されており敵も味方も攻撃の命中率が4~7割程度で不安定ということが往々にしてある。命中率以外にも、何かと確率がからむ場面が多いため、どうしても運ゲーの印象が強くなってしまう。
    • 幾重にも事前準備して確率を上げるのが醍醐味*21とされているが、それに気づくまでのハードルが高い。
    • 幸いにして本作は5ターンごとにMAP上でのセーブが可能。しかしながら、このせいでセーブ後に色々と欲張って吟味しようとしてしまう罠もある。
  • 以下に「運ゲー」と批判される要因を詳述。
    • 軽傷と戦闘不能。攻撃命中時に軽傷(装備外しに加えて被命中率+10%、後述の戦闘不能になる確率が大幅アップ)や戦闘不能(捕縛されるようになり、攻撃と反撃不可で防御値も0で攻撃が100%命中するようになる。移動も1~移動距離までのランダム化、索敵マップの視界も1へクスに変更)になることがある。
    • 軽傷は例え1でもダメージを受けたらなる可能性がある。実際のゲーム中では、前線で戦っているユニットがいきなり敵の前で装備を解除され、敵の攻撃が当たりやすくなり、非常に危険な戦闘不能になりやすい状態に陥る。「強健」スキルを持つ限られたユニット以外は、この判定がダメージを受ける度に行われることになる。
    • つまり、敵味方双方ともにピンチになりやすくなったと取れる。ただし、軽傷はそうでもないが、戦闘不能を回復する手段は少ない。さらに敵はユニットの生存など気にせず使い捨て感覚で突撃できるので、プレイヤーと同列に扱うことはできない*22
      • これとは別に斧や一部の武器が命中すると低確率で装備が外れる場合がある。
    • 武器の破損。今作の武器は回数を使いきると自動で壊れる過去作と違い、使っているとランダムで壊れる*23というシステムをとっている。
      • その確率は1%~4%と一見低いのだが、何しろ試行回数が多いので壊れて欲しくない場面で壊れる事はままある*24。一部以外の武器は壊れるとロストする。修理もできなくなるので注意が必要。
    • 命中率。序盤では初期の命中率が60前後しかなく、その信用できない数値を戦術に組み込まなくてはならない(それもターン制限のあるMAPで)。
      • 連携、指揮、狙撃などのスキルを使えば序章でも80~100%の命中率は出せる…が理解が浅いうちは気づかない場合がある*25
      • 序盤で命中100を叩きだせるのは一部のキャラだけ*26。おまけに非戦闘要員はもちろん魔道士系ユニットも攻撃が2回命中すると大抵死ぬ*27。盾を持てる騎兵は固いが歩兵系戦士でも基本的に防御力が低いため、盗賊系ユニット以外から3~4発喰らうと危ないので丁寧な運用が必要。
    • 捕縛。上述の戦闘不能の敵には捕縛が可能になる。軽傷からなら戦闘不能になりやすい。捕縛をすると、そのユニットを倒して得られる経験値と所持品がすべて手に入るうえ、一部のユニットは捕虜交換により身代金が得られるため非常にメリットが大きい。
      • この戦闘不能というのがネックで、軽傷状態から残りHPを1にしても戦闘不能にならない事もしばしば。基本的には確実に戦闘不能にすることはできないので、賞金首を捕まえるためには幾度もリセットとロードを繰り返す必要がある。せめて「軽傷状態である程度までHPを減らしたら100%戦闘不能になるくらいならば…」という意見も見受けられる。
      • また、クリアする『だけ』なら捕縛をする必要もないが、良いアイテムを持っている敵がいたり賞金首の場合はただ倒した場合と比べて報奨金が二倍になるため、捕縛意欲を誘惑してくれる憎い仕様である。仕様自体は面白いが、運任せである点が不評を買っている。
      • 捕縛が必須という場面は(評価MAXプレイを狙わないなら)存在しないため「運がいいと捕縛して良いものorお金が手に入りますよ」くらいに考えておくのが無難*28
      • しかし前述の難易度から余裕のない人には必要な物に見える場合があり、その場合は捕縛自体がリセット前提でなければ難しい上に行動の幅が狭まるためにドツボに嵌ってしまう。
    • レベルアップによる能力の成長。確率による伸びやすさがあるとは言え基本的に運任せだった過去作と比べて、本作では能力の伸びにレベルごと・キャラごとに最低保障と最高値がある*29。つまり必ず一定の数値までは成長するようになっている。良成長に制限がかけられているとも取れるが運要素はむしろ低減されている。
      • 本作でレベルアップ時にランダムでステータスが伸びる確率は殆どが10%~25%前後、最大でも40%と全体的に低めで、ほぼ全キャラがティアリングサーガでいうアーキスやマルジュのような成長率である*30。成長補正の強いキャラは気にはならないが、成長補正が弱いキャラはレベルが上がってもそこまで強くならない可能性がある*31ので、固定成長の方が良かったという意見もある。
      • こういった事情のため、強ユニットを作りづらく、少数精鋭で難所を切り開くパワープレイが難しい*32前作と同じ感覚でプレイすると間違いなく死が見える
      • また、約二名成長に制限がかかっておらずどこまでも強くなる人達がいるがこちらも何かと調整されており、バランスブレーカーにはなりづらい。具体的にいうと、成長する確率は据え置きで片方の参戦はそれなりに早い上に強力なユニットの代わりに移動に少し難があるのと攻撃力の高さが祟って成長させづらく、もう片方にいたっては最終章でようやく参戦する*33
    • 致命。今までの必殺から代わった要素で発動時は通常のダメージに加えて10~20のダメージを上乗せする。致命回避率は設定されてない*34。ダメージ計算が狂うので敵でも味方でも邪魔に感じる時はある。スキルやアイテムによって無効化することは可能。
      • ただし、この要素の批判は少ない。ダメージ計算が狂うだけなら前作の必殺も同様。且つ、無ければ戦闘やバランスが味気ない。必殺と違って非力でも効果があるのも大きい*35
    • 料理屋(一時的な強化)と馬屋のラインナップがランダムで決まる為、目的のものを出すにはリセット必須。
      • こだわるヘビーユーザー以外はその時々のラインナップから選ぶので十分、或いは全く利用しなくてもいいくらいの要素。これらのためにリセットが必須なわけではない。
  • なお、このような運要素はゲームを進めるにつれて軽減されてはいく。
    • 特に問題となる命中率だが、命中率にはキャラの技能(武器熟練度)と武器の精度(命中率)というパラメータが関わっており、序盤ではこの両方が全体的に低めなのが命中率の低い原因。さらに、命中率の高い武器は基本的に有限である。なお、敵自体は基本的に序盤から終盤まで回避能力は高くない。
      • よって、中盤になってキャラの技能が上がり、高精度の武器が揃ってくると必中も容易*36
      • 序盤は運ゲーとの批判もよく見かけるが、普通にプレイする分には序盤なだけに高難易度ではないので、運ゲーで難しいというのは的外れな意見である。敵側にも強力な攻撃が少なかったり味方同様に低命中率などの理由で、失敗は多くとも後半よりも失敗した時のフォローも効きやすい。
      • 物語が進むと命中率やユニットが増えたりして攻略の幅が広がると同時に、一般的なSRPGに比べて強力な敵の武器や配置も増えるので絶妙なバランスになっている。その一方でワンパターンな攻略方法が通用しづらいので初見にとって難しく感じてくる要因にもなっている*37
    • だが、そこにたどり着く前に、序盤の命中率の低さや全体的なもっさり感を乗り越えられずに投げた人も数多いと思われるため、ヘビーユーザーでも「味方の初期技能を今の値から+10するなどして、もうちょっと序盤の間口を広げた方がよかった」という意見もある。
  • 全体的に見れば、命中率を始めとした確率だけでなく、マップ自体もよく練られた難易度の高い配置になっている。
    • 例えば狙撃手なら基本的に高技能でいやらしい場所に潜んでいたり、強力な剣を持った味方が登場する近くに攻撃命中時に剣を破壊することがある武器を持った敵を配置したり、騎馬隊はまとまって動いてきて相手にしづらいなど、いやらしい配置がなされている。
    • そういった配置に対して対抗できるキャラクターも味方側に用意されている。一例として、潜んでいる狙撃手に対しては、「弓回避*38」をもち、防御力も高く強力な盾を持てるエルバートで活路を見出すなどの攻略法がある。
  • 本作ではユニットはHPが0になるとそこでロストとなり、墓地に墓石がたつ。なお、敵に捕縛された場合は身代金と引き換えに帰還が可能。進行になるべく支障が出ないようにと、この墓石の数が一定数ごとに強力なアイテムが入るため、使用しないキャラをわざと殺してアイテムを入手するというテクニックもある。*39
    • 因みに、下記にあるデリックはある事情で墓がたたない。

グラフィック

  • まず真っ先に目に付くのはとてもPS2とは思えない貧相なグラフィック。SFC並と言われてもしょうがない。
    • 最大の問題はソースの解像度が小さいということだろう。濁点と半濁点も違いが分かり辛い。D端子の使用がユーザー間で推奨されているが、オリジナルサイズの表示からして少しボケている。それでもS端子ならD端子と遜色なく見れるが、コンポーネント端子出力などではそこらの他ゲームよりボケボケである。
  • その貧相なグラフィック面は特に戦闘アニメで顕著に現れており、更に地味な傾向になった戦闘アニメとの相乗効果もあいまって大変目立つ。
    • ドット自体はとんでもないほどヌルヌル動く上に1射程攻撃に対する反撃のパターンがあったりとパターンも多め。前作でのコマ数不足も改善されているが、人物が小さくなったせいで迫力がなくなった。シナリオ面でもヘックスの大きさに合わせた小さなキャラ(それでいて頭身はリアルに近い)がちょろちょろと動くため率直に言って見にくい。
    • また、戦闘直前にアニメのオンオフが選択できるが、オフのマップ戦闘もヌルヌル動く弊害なのかもっさり感が強い(特にラレンティアというキャラにそれが顕著)上に、レベルアップの演出が大げさな割に妙に遅い*40のでイライラしやすい。
      • アニメーション内容もランス以外の近接攻撃は全て 敵に近づく→立ち止まる→ザシュ! …そして相手の反撃も一瞬間を置いてから動き出すという具合でテンポが悪い。複数の攻撃パターンややられモーションもあるので凝ってはいるのだが…。
      • ちなみにアニメーションは後に『ペルソナ』『ダンガンロンパ』のアニメに関わったアニメーション製作チーム「チームティルドーン」が製作している*41のだが、容量か予算の問題か、その実力をうまく発揮することができなかったのは残念である。
  • マップのグラフィックはまだマシ。それでもようやくPSレベルであるのは否めない。

ストーリー

  • 今回の主人公はシノン公国*42という国の公子。しかしエンディング近くまでずっと (無能な) 上司*43の無茶な命令に従うという内容の為、過去作とはまた違った形の話になっている。
    • 本作はいうなれば「大戦の裏で活躍した1人の英雄」の話である。全世界をまわって、最後に一国の王になるような大きな話ではないし、前作で高い評価を得た群像劇的な要素もない。
    • プレイヤーは常時その無能な上司の主人公に対する罵詈雑言を聞かされる羽目になる。せめて、無能なりにも気遣う発言があれば救われるのだが、 そんなものは一切ない
      • 途中までも賛否両論だが、終わり方までも消化不良といわざるを得ない。要約すると、実はストーリー開始前から自国に暗黒教団の四天王の1人が潜入しており、ラストでそいつに騙されていた自国の馬鹿な国王が殺され、主人公達が暗黒教団の四天王を全て撃破したところで敵国でクーデターが起きて敵国の馬鹿王子が死亡し、暗黒教団の大ボスは戦うことなく逃亡。そして互いの国の和平派が停戦協定を結ぶ…という終わり方を向かえる*44。主人公の立場からすると、やるべきことはほぼ全て成し遂げているので一応消化不良というわけではない…が、ゲームとしてそれでいいのかという意見は多い。打ちきりエンドと揶揄されることも。
  • 実際は続編ではなく世界観が一新されているため、TSの続編(ストーリー)を期待して買って落胆した人も。*45
    • だが、MAP上で家が賊に破壊されるときに「一体どうやって家が破壊されるのか」という過程がしっかり書かれているという点は評価が高い。どれも悲惨な展開で、戦争においての一番の被害者は子供や女性であるのをよく表現できている。
  • サブストーリーにあたる出撃依頼や住民依頼は感動できるものから世界観を伺わせるものなど多種多様。
    • 過去作程ではないが加賀氏のストーリーにはつきものの恋愛要素も多く、例えば主人公が率いる騎士団の初期メンバーは、年配の副長を除き最終的に全員が特定の相手と結ばれることとなる*46のだが、ファイアーエムブレムと異なり、基本的にプレイヤーの選択で恋人を選ぶことはできない。
  • おまけに主人公の相手はなんと義妹のリネット。これには『加賀氏は義妹が好きだから』という説*47がある。
    • そのリネットだが、ゲーム中、遠い異国の地に赴いた主人公に対し、手紙やお金やアイテムなどを送ってくれるありがたい妹で、ゲーム雑誌での露出も多く、序盤に義理の兄妹だったことが判明したり、ヒロインであることを初期から匂わせていた。
    • しかし、実際に本人が登場するのはゲーム終盤。それも最終章で参戦し、EDではいきなり主人公と結婚するという急展開に多くのプレイヤーは驚き、展開になじめずネットリなどの蔑称*48をつけて叩く者もあらわれた。
      公式イラストとの落差の激しさ、登場の遅さ、その性格や終盤の展開の強引さも含めて、プレイヤー側がどう取るかの面が大きく、意見が真っ二つに分かれてしまうキャラである事は否めない。
      • 過去作のヒロイン達には、主人公との絆を育む描写や、どうやって好きになったかきちんと書かれている場合もあったが、リネットの場合はその描写が非常に少ない*49。何よりも ゲーム中での本人の出番があまりにも遅すぎるせいで、プレイヤーがリネットに感情移入をする余裕がほとんどない ことが大きい。その為、EDを見て「なんで今まで女性の事をほとんど気にしなかった主人公が、いきなり結婚することになるんだ?」と面食らったプレイヤーも多かったであろう*50
      • そもそも、義妹という設定自体、人によって好き嫌いが激しく分かれる。もしもヒロインが選択*51可能ならリネットもここまで叩かれはしなかっただろう。実際、明確に主人公のことを好いているキャラが他に一名存在する。が、肝心の主人公の気持ちが不明で、ある理由から主人公は立場を固持し、結局そのキャラも…という、なんとも救われない展開なのも影響しているだろう。
      • なお、普段はいたって冷静な主人公が義妹の危機に対してのみはなりふり構わない態度をとったり、また、主人公の一人称は常に「私」だが義妹に対してのみ「僕」を使うなど、やはり彼女が主人公にとって他のキャラとは異なる特別な存在であるということは感じられる。

その他の問題点

  • 倉庫によるアイテムの管理が面倒。
    • 倉庫に入れるのはアイテムではなく、ユニットがアイテムを持ち運ぶための携帯袋。直接倉庫からアイテムを出し入れするのは不可能な仕様。
    • さらに、この携帯袋は人に持たせることも可能なため、倉庫を使わずに仲間の誰かに保管してもらった方がアイテムの管理は楽になる。なお、携帯袋は入手可能な数に限界があり、序盤はあまり手に入らない。
    • 過去作よりも1ユニットにアイテムをたくさん持てるようにする必要があり*52携帯袋自体はいいのだが、アイテムを直接出し入れ可能な倉庫があるほうが当然快適*53
  • 異常にメモリーカードの容量を食う。なんと1.8メガ近く。
    • 1.8メガで1つのシステムファイル、1つのシステムファイル内に8つのセーブファイル。セーブは1つ2つで十分と思っても8つ分の領域を確保しなくてはならない。
    • ただし、本作ではシステム的に他のSRPG以上に複数のセーブを利用した方が格段にクリアしやすくなるので素直に複数ファイルを使わせる為とも取れる。他のゲームも同時に進めたいプレイヤーにとっては有難迷惑だが。
  • 騎馬系のユニットはダメージを受けるとその騎馬自体もダメージを受けて死ぬという前代未聞のシステムが搭載されている。
    • このシステムで問題とされやすいのが馬のHP回復と交換させる手段が少ないこと*54、自然回復はしないので高価な名馬も無茶な運用を続ければ当たり前だが数章で死んでしまう。
      • また、新たな馬を手に入れて乗り換えると、古い馬は消えてしまう。従っていつもは安い馬で済ませ、重要任務では高価な名馬を起用するといった馬の交換や使い分けが自由に出来ない。イベント入手の馬も例外なく、キャラ同様にロストする。
    • 但し、馬はダメージを受け辛い上に下馬した状態でも戦える。また、名馬は高いが安い馬なら1000Dでポーション2個より安いので惜しまない方が楽。各地で取れる高価な名馬ならHPが高いので前線でも安心して使える上に、特殊な武器攻撃を除けば大抵は馬の前に乗り手が死んでしまうので、実際のところは特殊武器への対策・運用方法・HPが減ったら回復or交換を意識していれば困らない。
      • なお敵ユニットの馬にもHPは設定されている上に戦闘マップでは回復手段がない。正攻法で先に馬を倒すのは難しいが特殊武器を使えば先に馬を倒すことも可能。敵側の馬を倒すのが非常に大きな意味を持つ場面も多く*55、こちらにも有利な要素がある。
  • 入団条件やクラスチェンジ条件、蓄積されている武器の技能ポイント、ゲーム中で送られてくるお守りや料理や家具の効果など、ゲーム中で説明されないデータがとても多い。料理は食べれば効果が表示されるが食べる前に説明がないのが困る。食べさせても次から説明が開示される事もない。
    • 特に料理は章始めにメニューが決まる上に多数の種類とユニット毎に好き、普通、嫌いの三段階に分かれているので効果的な利用は難しい。嫌いな料理だとステータスにマイナス補正がつくことすらある。そのため、後で攻略wikiや攻略本でその効果を知って驚いた人も多い*56
      • しかし、上述の通り普通にプレイする分には料理は全く利用しなくても問題ない。何故なら使わずとも問題無くクリア出来る様に調整されている上に、資金枯渇することもある初見プレイヤーや初心者は武器や傭兵の方が圧倒的に優先順位が高いため。しかもバランス調整の為に一度食べた料理は再出現しなくなり、再出現させるには仕様の把握と更なる資金消費・ストーリーを進める必要がある。その為、資金管理の難しい初見プレイでは活用しづらい。
  • クラスチェンジの条件に関しては基本的にはレベルと技能が高ければいいのだが、エルバートというキャラクターを筆頭に特定の武器の技能がとても上がりづらい一部のキャラクターのクラスチェンジがとにかく厳しい。特に評価MAXを目指す場合は数多くのユニットを育てないといけないので困りやすい。
    • 入団条件に関しても同様で、基本的には雇用して出撃させまくってイベントを発生させれば良いのだが、特殊な条件が必要なキャラクターも居る。中には期間限定の条件付きイベントを見なければ加入しないキャラクターが複数おり、そういったキャラクターはイベントを見ていなければ最後まで雇用し続けても正式加入できない*57

総評

今作はあの名作であるTSの続編ということで多数のファンが期待していた。無論加賀氏のファンも。しかし、人を選ぶマニア向けなシステムとテンポの悪さ、攻略の幅広さによる高い難易度、馬鹿な国王の尻拭いを散々させられた挙句にたどり着くのは義妹との強制結婚と打ち切りに近いエンディング、貧相なグラフィックもあいまって賛否を呼んでいる。ある意味ではファミコン時代のクリアすること自体が褒められる難易度*58をPS2に持ってきたといえるかもしれない。
上記の数々の賛否両論あふれるシステムや不便さなどから、合わなかった人からクソゲーやマゾゲー扱いを受けることが多いのも事実。

住民依頼や賞金首を放棄し作戦目標を最低限満たすなど妥協すれば肩透かしなぐらいの難易度なのだが、妥協し過ぎると賞金やレアアイテム・仲間等を手に入れられない事もあるので度合いが大事。コンプリートしないと気が済まない凝り性な人ほど大変な仕様である。 絶えず変化していく戦況に対し、誰を使ってどうやって突破・撃破するか、如何にしてリスクを減らすかという戦略をめぐらせる。ただしその先に行き着くところは結局のところ確率論である。

はまる人はとことんはまるが、合わない人にはとことん合わないゲームである。極一部のマニアには好評な要素も、慣れない人には理不尽に感じる場合も多く、間違っても人に軽々しく勧められるゲームではない*59。ティアリングサーガプレイヤーにオススメする場合、話もシステムも別物なので注意されたし。

要はTSの続編として出したことが良くも悪くも大きいということである。

余談

  • よりにもよってベルサガが発売された2005年にはライバルの立場であるFEシリーズの新作『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡』が発売されている。しかも非常に発売時期が近いというおまけつき(ベルサガ:5月26日、蒼炎:4月20日)。それどころか、当初の発売予定日は4月28日であった。(後に1ヵ月延期が告げられた)
    • しかもゲーム性の傾向は正反対。そのため、ここに来て大分沈静化を見せていた現行FEのファンVS加賀氏のファンの対立が激化してしまった。
      • 前作のTS裁判も初期の宣伝については問題があったがゲーム内容については問題が無かったという判決で終わり、最近ではベルサガの発売元であるエンターブレインがFE暁の女神の攻略本を出したりと会社同士の仲は以前よりはマシにはなっている模様。また、加賀氏本人であることが確実とされたブログにおいてTSやBSの裏設定やゲーム製作に関する思いが語られている。
    • なお、売上自体は、FEは15万5000前後、こちらは18万程度と勝っている。
  • なお、加賀氏は小説『銀河英雄伝説』の大ファンであることが知られており、これまでにも氏の作品にはキャラの名称などで銀英伝のオマージュが見られたが、今作は激しく憎みあう二大国が何百年にもわたり戦争を続けているという舞台設定など、これまで以上にその傾向が強く見られる。
    • ちなみに加賀氏曰く、今まで通り史実や神話の方を強く意識していて似ているのはたまたまとのこと。
  • 本作にはまった一部の人々は、クリアすることすら難しいこのゲームにおいて「ノーリセットでクリア後評価MAX(ただしソースはブログや2chの書き込みのみ)」「ターン制限のないMAPで全捕縛」「とあるキャラクターにほぼ全ての敵+α*60を殺させて撃墜数1400オーバー」「とあるキャラクターの技能(すさまじく成長しない)をMAXにする」「最弱キャラのデリックを最終面だけで能力カンストさせる」「ノーレベルアップクリア(本作は未使用キャラですらレベルアップはしないが経験値が溜まっていく)」「操作不可能な最終面だけのNPCキャラをレベルアップさせて能力をカンストさせる」「通常は戦闘を回避する竜騎士団と戦うだけでなく、普通にやるだけでは奪えないアイテムすら奪う(かなりの低確率で成功)」「RTA」などといった、常軌を逸したやりこみをしている。
  • ファミ通文庫の小説版ベルウィックサーガでは(小説の尺の問題もあるだろうが)最後にリネットと結ばれないで終わる。(ちなみに馬鹿国王は「謀殺された」と一文だけで済まされている)作者も、この終盤の展開は納得いかないものだったのだろうか*61