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ティンクルスタースプライツ - (2013/09/07 (土) 00:36:23) の編集履歴(バックアップ)


ティンクルスタースプライツ

【てぃんくるすたーすぷらいつ】

ジャンル 縦スクロール対戦型シューティング

対応機種 アーケード(MVS)
発売元 SNK
開発元 ADK
稼動開始日 1996年
備考 移植について
ネオジオ、ネオジオCD、セガサターン、ドリームキャスト、
プレイステーション2(続編『-La Petite Princesse-』及び『ADK魂』に収録)、バーチャルコンソール
分類 良作

概要

  • ADKの対戦格闘ゲーム製作ノウハウを生かして開発された、異色の対戦シューティング。
  • 『ワールドヒーローズ』や『ニンジャコマンドー』など、異常に暑苦しいゲーム忍者に定評のあった同社が突如として放った ロリ魔法少女ゲー
    • キャラクターデザインやインターフェース、特徴的な「連爆」システムなどに、パズルゲームで不動の地位を築いていた『ぷよぷよ』の影響が色濃く見られる。
  • 複雑で独自性の強いシステムを上手くシンプルな操作系統にまとめており、純粋なシューティングとしても対戦ゲームとしても極めて高い完成度を誇る。
    • 出回りが良いMVS基板なことも幸いし、現在も根強い人気を得ている。

特徴

+ システム解説
  • 基本は1レバー+2ボタン(ショット・ボム)。
    • ショットは画面下に表示されるゲージを消費して溜め撃ち可能。ゲージは3段階に分かれており、ボタンを押し続けた長さでレベルが決まる。
      通常ショットは基本的に画面表示最大2発の前方密集型でキャラごとの差異は小さいが、溜め撃ちの性能やゲージ効率、チャージ時間などは様々。
    • ボムは通常のSTG同様一定時間完全無敵になる広範囲攻撃。勝っても負けても持ち越すことはできず、毎ラウンド2つからスタート。
  • 対戦システム
    • 本作最大の特徴。画面が落ちものパズルゲームのように左右に分割され、このうちの片方がプレイヤーの可動領域となる。
    • このゲームの勝利条件は特定のボスを倒すことではなく、相手キャラクターのライフをゼロにすること
      • ライフ制と残機制が併用されており、攻撃の種類によってダメージが異なる。画面上のハートマークがなくなるとK.O.となってラウンド終了。
        CPU戦は初期3機+エクステンド、対人戦は2ラウンド先取(3ラウンド先取に設定することも可能)。
      • ザコ敵は基本的に左右同じパターンでエンドレスに出現。これを避けて壊し、下記の「連爆」などを使って相手キャラクターに攻撃を仕掛ける。
        相手がダメージを受けると自分のライフが少量回復。
      • ザコ敵は弾を撃たないが、接触すると少量のダメージを受けるとともに弾き飛ばされて操作不能になり、一定時間ショットと移動速度が弱体化。
        操作不能状態はレバガチャで回復できるが、連続攻撃を受ける危険が高い。ただしザコ敵の接触ダメージで直接死ぬことはない。
  • 連爆
    • 敵を破壊したときに発生する爆発に別の敵を巻き込むことで誘爆が起こり、これを繋げることで大爆発を起こせるというもの。
      爆発の範囲と威力は敵の大きさ(硬さ)に比例。成功すると条件に応じて以下の攻撃を相手の画面に送れる。
      『ぷよぷよ』で言う「連鎖」と思って差し支えない。
    • ザコ敵の中にはたまに泡のシールドが付いたものが混じっており、先にショットなどで泡を壊しておかないと連爆させられない。
      • ノーマルアタック
        通常の連爆で発生する火の玉。全キャラ同性能で、相手を狙って放物線状に飛ぶか、または画面上部で一旦停止して垂直に落ちる。
        連爆数が多いほど大きく硬いものを大量に送れるが、この火の玉は破壊や連爆の対象。
      • リバースアタック
        相手のノーマルアタックを破壊することで送り返す緑色の火の玉。色は違うが、基本的にノーマルアタックと同じ。
      • エキストラアタック
        相手のリバースアタックをさらに破壊することで送り返す必殺技。キャラごとに異なる軌道・攻撃範囲・ダメージを持ち、破壊不可能。
        レベル2以上の溜め撃ちを行うことでも発生する。
      • ボスアタック
        連爆で相手のリバースアタックを大量に破壊することで繰り出す大技。キャラごとに異なるボスキャラクターを発生させ、相手を攻撃する。
        レベルMAXの溜め撃ちを行うことでも発生する。
        両者が同時にボスアタックを発生させると相殺。相手のボス出現中にボスアタックを成立させると出現中のボスを消すことができる。
  • パーフェクト
    • 一度の起爆でザコ敵の編隊を一掃すると成立。自分の攻撃速度上昇、相手の攻撃速度低下、ゲージ増加のボーナスがある。
      落ちものパズルの「全消し」に相当するもので、ザコ敵の配置はほぼ全てやり方次第でパーフェクトを狙える構成になっている。
  • フィーバー状態
    • たまにザコ敵に混じって出現する青いオーブを破壊すると発生。一定時間泡を纏った敵が発生せず、連爆による攻撃の量が多くなる。
      オーブ出現前に画面上部に「!!」のアイコンが出るのが目印。
  • 死神
    • ラウンド開始から一定時間が経過すると出現するようになる、無限プレイ防止用の特殊な敵。ゆっくりと自機を追尾する。
      触れるとライフ残量に関係なく即死する。破壊可能だが、出現するたびに耐久力と移動速度が果てしなく上がっていく。
  • アイテム
    • $(得点アイテム)、ボム補充、バブルクラッシュ(ザコ敵の泡を破壊)の3種類。本作にはアイテムによるショットのレベルアップの概念は無い。
      • $は連続で取ることで獲得ポイントが上がっていく。バブルクラッシュは泡を纏った敵とともに出現し、先に取ることで連爆を狙いやすくなる。
  • ゲームモード
    • 主人公・ロードランを操りCPUと戦う「ストーリーモード」、任意のキャラでCPUと戦う「キャラクターモード」、2P対戦を行う「たいせんモード」の3種類。
      • 対戦格闘のようにCPU戦を行っている相手に乱入できるが、最初からたいせんモードを選ぶことで1コインで対戦が可能
        ただしこの場合は対戦が終了すると即ゲームオーバーとなる。

連爆システムがあるため敵を引き付けてから叩くのが基本になるが、場面によっては安全性を優先して速攻を優先した方が良いこともある。
また、パーフェクトをきっちり取っていくには綿密なパターンの構築と撃ち分けが必要だが、「相手からの攻撃」という本作特有の要素がポイント。
妨害攻撃の軌道はキャラごとにある程度の法則性があるもののランダム弾に近いため、よりアドリブ避けのセンスや視野の広さが求められるゲーム性である。
特に対人戦ではこの傾向が強くなり、上級者同士の対戦になるほどリバースアタックを控えることや攻撃タイミングの読み合いが重要視される。
お互いフィーバー状態になると爆風が画面を埋め尽くすほどの凄まじい撃ち合いとなるのも、他のゲームでは見られない光景である。

自キャララインナップ

対戦格闘やパズルゲームを意識して作られているだけあり、隠し4キャラを含めて全13キャラという2DのSTGとしては異例の多さ。
性能も多岐に渡り、好みに応じて持ちキャラを作ることができる。

+ 簡単解説
  • "マジカルスプライト" ロードラン
    • バランスの取れた主人公。ラビキャットという謎の生き物を連れている。
    • 溜め撃ちは前方直線状に飛ぶ波動砲、高速のエキストラアタックはフィーバー時には異常な速さに変化。ほぼ真横に超高速でカッ飛んでいき、爆発してからもしばらく当たり判定を残すエキストラアタックは理不尽なまでに強力で、ランが最強キャラ候補と言われるゆえんである。
  • "ドラゴンスター" リアリー・ティル
    • ライバルポジション。ドラピーという謎の生き物を連れている。
    • 溜め撃ちは近距離特化の火炎放射、エキストラアタックは画面を水平に横断する。やや変則的な性能だが、使いこなせば面白い。どちらかと言えば持久戦が得意な方のキャラ。
  • "ビーストマスター" ヤン・ヤンヤン
    • サラシ一丁のロリつるぺたという絶大なインパクトのキャラ。トリブタという謎の生き物に乗っている。
    • 攻撃面が非常に強力だが移動速度は最遅という大きな弱点を持つ。溜め撃ちは攻撃範囲とチャージ速度に優れた波状ショット、エキストラアタックは高速で弧を描く。溜めのゲージ上昇速度が全キャラで最速。その性能上持久戦には滅法弱いため、死神が出てくるまでになんとかケリをつけたい。
  • "ドラネコ仙人" ド・ケスベイ
    • 名前の通りの性格のラビキャットの師匠。巨大なネコロボット・魔導ネコに乗っている。
    • 溜め撃ちは前方高威力のネコパンチ、エキストラアタックは画面上から落ちて爆発するロケットパンチ。攻撃力が高いがリーチに欠け、エキストラが貧弱なため持久戦を強いられる。
  • "なぞのいきもの" なんじゃもんじゃ
    • 毛むじゃくらの謎の生き物の群体。モリゾーとキッコロによく似てる。
    • スピードこそ遅いもののそれが幸いし、画面制圧力が極めて高いエキストラアタックが強力な、屈指の強キャラ。溜め撃ちは攻撃範囲は狭いが方向を制御できる電撃。また、通常ショットパワーは通常キャラの中で最強である。
  • "ようせいコンビ" ティンカー&リンカー
    • ランの側近の双子妖精。一人が自機となり、もう一人はサポートに回る模様。
    • 溜め撃ちは上下に撃ち分けが可能な直進型。攻撃力は低いが、画面を跳ね回る軌道で読みにくいエキストラアタックがかなり強力。超高速エキストラアタックも使えるため、熟練のプレイヤーが扱うとかなり強い。
  • "ロケットマン" アーサー=シュミット
    • ランに惚れている変な男。ドラネコ仙人に作ってもらったらしいロケットを背負っており、移動が異常に速い。(最遅キャラのヤンヤンのおよそ倍速)
    • 溜め撃ちは前方直線型のレーザー、エキストラアタックは下から上に直線的に飛ぶロケット。とにかく高すぎる機動力の制御が鍵。長期戦で死神との果て無き鬼ごっこが始まれば、シュミットの右に出るキャラはいない。ただしショットパワーは貧弱で、持久戦に持ち込めないと脆い面も。
  • "メヴィウス親衛隊" グリフォン・エヴィン・バーン
    • アホっぽい3人組。グリピーという謎の生き物に乗っている。
    • トリッキーなキャラだが使いこなせればなかなかの強さ。溜め撃ちは自機の周りに展開する持続型、エキストラアタックは直線攻撃型。
  • "トレジャーハンター" マッキー&ペンテル
    • 謎のぬいぐるみを持つミミリン族とミミルン族のコンビ。巨大なえんぴつのようなものに乗っている。
    • 溜め撃ちは前方密集の爆風型、エキストラアタックは敵を二度捕捉する追尾型。エキストラアタックを生かせれば強いが、移動が遅い。長期戦はあまり得意でなく、即殺が求められるキャラ。
  • "暗黒スプライト" ダークラン(隠しキャラ)
    • メヴィウスが生み出したランのコピー。色が黒くて胸がちょっと大きいドッペル(ryいやさ紫ナコ(ry
    • ランと全く同じ性能。やはり強い。
  • "悪の帝王" メヴィウス(隠しキャラ)
    • ストーリーの元凶である中ボス。どう見てもサタ(ry
    • 全キャラで最強の通常ショットを持つ。溜め撃ちはコウモリ型の3way弾、エキストラアタックは超高性能な追尾弾。上手く攻撃を散らすことができれば強力無比。その性能から、平等な勝負を望む場合は使用禁止キャラにされてしまうこともある。
  • "マジカルクイーン" メモリー女王(隠しキャラ)
    • ラスボスでランの母親。ものすごい大食いで、ボスアタックの名前が会社名にちなんで「A.D.ケーキ」だったりする。
    • 凄まじい攻撃範囲の溜め撃ちと、これまた凄まじい性能のエキストラアタックはさすがボスの一言。超高速エキストラもやはり使え、乱戦になると滅法強い。これまたその性能から、平等な勝負を望む場合は使用禁止キャラにされてしまうこともある。
  • "光の王女" スプライト(隠しキャラ)
    • ランに転生した伝説の魔法戦士。ストーリーモードでは6面以降ランがこの姿に変身する。
    • 全体的にランと似た性能だが、攻撃力が高い反面やや決定力に欠ける。とはいえ見切りにくいエキストラアタックはやはり脅威。

その他

  • CPU戦のラスボス・メモリー女王がやたらと強いことで有名。
    低レベル設定ならば初心者でも撃破可能だが、高レベルになるとどんなに弾幕を送り込んでもあり得ない超反応避けを連発し、なかなかくたばらない。
    • 気付けば総プレイ時間の半分以上がメモリー女王戦だったという事態が普通に起こるため、無意識にこの面のBGMを丸暗記してしまう人が続出した。
      (耳に残る名曲だからでもあるのだが)
    • 上記されている通り、今作のBGMはADKのサウンドの中でもなかなかの傑作揃い。
  • 『ぷよぷよ』の影響を強く受けているのは前述の通りだが、当時大人気だったアニメ『赤ずきんチャチャ』のパロディと受け取れる部分も随所に見られる。
    • キャラクターデザインは藤ノ宮深森氏。各移植版のジャケットを見比べれば分かるのだが、キャリアとともに絵柄が激変しているのが特徴。
  • 本作がADK最後のアーケード作品とされるが、厳密には『ビーストバスターズ2』や開発中止タイトルなどが存在するためこれは誤り。
    • また、本作はSNKが販売した作品なので厳密にはADK作品とも少々異なる。
  • 本作の開発者は「シューティングで対戦は出来ない」と言われていたゲーム業界の不文律を破りたくてこのゲームを作った、と雑誌『ゲーメスト』のインタビューで答えている。
  • 人気を博したとは決して呼べない出回りであったが、与えた影響は小さいものではなかった。同人作品『東方夢時空』『東方花映塚』は本作を真似て作られたものであると作者によって明言されている。

総評

一見システムは複雑だが、実際にやることは「避ける・撃つ・取る」のシューティングの基本をしっかり守っており、操作自体は非常にシンプル。
気軽にプレイできるハードルの低さとやり応えのある懐の深さを併せ持ち、後にも先にもほとんど例のない「2D対戦型シューティング」を見事なまでに完成させている。
パステル調に可愛らしくまとめられたグラフィック、耳に馴染みやすいBGMやキャラクターボイス、爽快感のあるSEなど、演出面も総じて出来が良い。
派手すぎて画面が見辛いという難点もあるが、フィーバー中の大連爆の快感は他に類を見ず、処理落ちの激しさも結果的に避けの難度を保つ機能を果たしている。
あらゆる意味であのムサ苦しいゲームを量産していたADKが作ったとは思えないゲームである
ADKはこの直前にも『ニンジャマスターズ 覇王忍法帖』というむやみに濃いゲームを放っており、やはり本作は浮いている。

惜しむらくは本作が対戦台に置かれることが少なかったこと。
当時MVSの対戦台は格闘ゲームが大勢力を誇っていたため、本作の真骨頂とも言える対戦の奥深さがあまりプレイヤーに伝わらなかった。
必然的にCPU戦がメインと見られることになったのだが、シンプルなスコアシステムかつ対戦形式なせいで稼ぎに関しては相当な運ゲー(粘って大きな連爆を繰り返すと高得点だが、連爆を起こしすぎるとCPUに勝手に死なれ稼げないジレンマ)なため、シューティングにつきものの熱心なスコアラーに受けが悪かった点は不運である。
また、『ぷよぷよ』や『パズルボブル』、『マジカルドロップ』などのポップ調なゲームと比べてあまりにも大きなお友達を狙いすぎたキャラデザインも惜しいところ。
今でこそこうした作風は珍しくなくなったが、当時のゲームセンターの一般コーナーでこのゲームをプレイすることはある意味公開処刑に近い。
そういう意味では本作は決して「気軽にプレイできる」訳ではなかった…。

しかしゲームとしての質の高さは本物で、いまだにゲームセンターで現役稼動している姿や動画サイトなどで対戦の模様を見ることができる。
極限までやり込んだ上級者による、異次元の領域に踏み込んだ連爆の応酬は一見の価値あり。

移植

ネオジオをはじめ様々なハードに移植されたが、中でも特筆すべきはセガサターン版。
サターン版オリジナルキャラ「美鈴キサラギ&校長先生」の登場。
溜め撃ち用のゲージが一段階上がるアイテムの追加。
キャラクターモードでは対戦前に相手のセリフが出るなど色々アレンジされている。
さらに公式イラストや設定資料、投稿イラストが見られる「おまけディスク」までついてくる。

続編

諸事情により続編は製作されず、2003年にADKは倒産。
この点について「中心人物の退社」が原因とされることがあるが後にプロデューサー本人に否定されている。
その後、版権を買い取ったSNKプレイモアから2005年7月28日に正統な続編となる『ティンクルスタースプライツ ~La Petite Princesse~』がPS2で発売された。
システムやゲームの雰囲気はほぼそのままにグラフィックの3D化、キャラの入れ替えが行われている。
隠しモードとして無印ティンクルスタースプライツもそのまま収録(ただしサターン版の追加要素は無い)。製作にかかわったオリジナルスタッフはプロデューサー・元プログラマー(原案&アドバイザー)・キャラクターデザイナーのみ。また外注がナウプロダクションと危険視されていたが、良続編・良移植としていい意味で評判を裏切った。