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GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動 - (2014/02/11 (火) 23:04:04) の編集履歴(バックアップ)


GRAVITY DAZE 重力的眩暈:上層への帰還において、彼女の内宇宙に生じた摂動

【ぐらびてぃ でいず じゅうりょくてきめまい:じょうそうへのきかんにおいて、かのじょのないうちゅうにしょうじたせつどう】

ジャンル 重力アクション・アドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ヴィータ
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 SCEジャパンスタジオ
発売日 2012年2月9日
定価 Vitaカード版:5,980円
DL版:4,900円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
分類 良作


概要

重力をテーマにした3D箱庭アクションゲーム。キャッチコピーは「少女は、空に落ちる」。
ディレクションをSIRENシリーズを手掛けた外山圭一郎氏が担当している。
主人公「キトゥン」を操り、オープンスペース(箱庭)のようなヘキサヴィルを自由に移動しながらミッションを攻略していくというアクションアドベンチャーである。

ストーリー

巨大な円柱を取り囲むように築かれた空中都市ヘキサヴィル。この街は「重力嵐」の脅威にさらされ壊滅の危機に瀕していた。
住む所を失いさまよう人々も目立ち始めたヘキサヴィルの一角で、後に周囲から「キトゥン」と呼ばれる事になる一人の少女が目を覚ます。
少女は嵐と共に現れた脅威「ネヴィ」と戦い街の人たちを守りながら、嵐に「奪われた街」を取り戻すために奔走する。 (Wikipediaより)

特徴

  • 重力操作
    • 本作最大の特徴。Rボタンを押すと、いつでもキトゥンは無重力状態になってその場で宙に浮ける。その状態で、左右のアナログスティックやVita本体のモーションセンサーでVita自体を動かすとカメラが移動する。もう一度Rボタンを押すと、そのカメラの奥が重力の働く場所になり、その奥に自由落下していく。これをゲーム中では『重力チェンジ』と呼称する。各種能力は、ジェムというものを消費することで解放・強化されていく。
      • カメラ奥が壁ならば「壁に立つ」、カメラ奥が空ならば「空に落ちる*1」という今までのアクションアドベンチャーでは存在しなかった自由な移動が可能。なお、壁や天井に立っているときはキトゥンの髪や服が垂れている方向で鉛直方向(実際の地面の方向)を表している。
      • Lボタンを押すと重力操作が解除され、自由落下する。また、無制限に使用できるわけではなく、画面に表示されているゲージが切れると強制解除される。ただし、大抵落下している間にゲージが回復するので、あまり困らない。
    • 『重力スライド』
      • 前面タッチスクリーンの両端をタッチし続けると、床がキトゥンにとって斜面として定義され、床に沿ったまま高速でスライド移動が可能。方向転換はVitaのモーションセンサーを用いてVita本体を曲がりたい方向にハンドルのように傾けて行う。また、重力スライド中に片方のタッチを離すとドリフト状態となり、より小さい半径で旋回できる。
    • 『重力グラブ、重力スロー』
      • ○ボタンを押すと、周りのオブジェクトやを無重力状態にして持ち上げることができる。浮かせたものはキトゥンの周りに浮いたまましばらく追従する。グラブを発動しているだけならば、上記のゲージは消費しない。
      • この状態でもう一度○ボタンを押すと、浮かせたオブジェクトを弾丸のように打ち出せる。敵に当てればダメージを与えられるので、遠距離攻撃としても活用できる。無論、周囲に投げるものがなければ使えない。
    • 『重力キック』
      • Rボタンの無重力状態時に□ボタンを押すと、敵に向かって高速落下し、重力加速度を利用してダメージを与える技。戦闘の主力となるアクションである。加速していればいるほど威力が増す。

評価点

  • 重力操作による浮遊感や移動の爽快感。
    • 建物の壁や橋の裏に重力操作で立ったりとどこにでも立てるし、空に向かってでもどこへでも落ちていける。若干慣れが必要だが、その分自在に操れるようになったときの爽快感は格別。
    • 移動はとにかく自由。画面に映っている場所ならどこにでも行けると言っても過言ではない*2
    • この自由度の高さから、街の中の色々な場所を探索してみたいという意欲を掻き立てる。
  • 街の作り込み。
    • 街自体が1つのダンジョンと言えるほどに広く構造も複雑なため、上記の重力アクションも相まって「ただ街を散策しているだけで数時間経っていた」と言うこともザラにある。中でも最後に訪れる街「ヴァン・ダ・センタリアレ」の広さと複雑さはハンパではなく、隅々まで回るにはリアル時間で半日かかるとまで言われるほど。
      • 街にはそれぞれ独自の特徴を持たせてあり、視覚的にも楽しませてくれる。また、全ての街がシームレスでつながっており、フィールドとしての広さは相当なもの。
    • 高低差も多く、そこを重力操作でかけ上ったり、逆に高所から落下するのも楽しめる*3作りになっている。吹き抜けになっている場所もあり、徒歩で移動するのが面倒なら重力チェンジでショートカットもできるので、ストレスはほとんど無い。
    • 街のいたるところに『ジェム』と呼ばれる紫色の塊が配置されており、これはキトゥンのパラメーターの強化や、チャレンジミッションを解放するために必要なポイントである。
      • 普通なら集めるのは作業になりやすいところだが、上述の移動の自由さや街自体の高低差の作りを楽しみながら集めていけるのでさほど苦にならない。
  • グラフィック
    • Vitaの有機ELディスプレイの発色の良さから、街の独創的な雰囲気を美麗に表現している。
  • BGM
    • 田中公平氏によるBGMはどれもお洒落。作品および街の雰囲気にマッチしており評価は高い。
  • チャレンジミッション
    • 上述のジェムを特定の場所で消費して解放されるシナリオとは無関係のミッション。本作の重力アクションの一つに焦点を絞ったミッションが用意されている。
    • 制限時間内で敵(ネヴィ)を倒し続ける*4『フリーバトル』、チェックポイントを経由して目的の場所へ到達する時間を競う『タイムアタック』などオーソドックスなものから、重力グラブで人を目的地へ連れていくものや、技を重力スローに限定したフリーバトルなど多岐にわたる。
    • このチャレンジミッションにはスコアがあり、ネットランキングにスコアを登録できるので、これで世界中のプレイヤーと競うことができる。また、指定されたスコアを出すことで大量のジェムがゲットできる。
  • キャラクターの魅力。
    • 主人公『キトゥン』は記憶喪失という設定*5ながら、明るく元気に振る舞い、ヘキサヴィルの人たちのために奔走する姿は好感が持て感情移入しやすい。
    • サブキャラもキトゥンと同じ力を持つ女性『クロウ』、トラブルメーカーの警務官『シドー』、世界の創造主を自称する老人『ゲイト』など、個性的で濃いキャラが多く印象的。

難点

  • ボリュームが少ない。
    • 特にストーリーミッションだけ追っていくと結構早く終わってしまう*6
    • またシナリオは伏線もほとんど回収されない。さも「次回に続く」と言わんばかりの終わり方のため、未解明のまま終わってしまうというのはやはりモヤモヤする。
    • 一応サイドストーリーがダウンロードコンテンツとして配信されるなど多少のフォローはされている。
  • ロードが長い。
    • 起動時やセーブデータロード時、チャレンジミッションに挑戦する時には20~30秒近く待たされる。
    • またチャレンジミッションでは高得点を狙うためには何度もリトライする必要があるが、ミッション途中ではリトライできず、ミッション中断するか一度最後までやる必要がある。そしてどちらを選んでも長いロード時間を要求されるためストレスになってしまう。
  • バトルが単調。
    • バトルはだいたい前述の重力キック連打でなんとかなってしまう。
      • というよりも、まともに戦闘で使える攻撃手段が重力キックと必殺技のみと言っていい(グラブはオブジェクト数に制限あり)。戦闘では、目下相手の攻撃を重力操作などで回避しつつネヴィのコアを探して狙い撃つ(というか蹴る)形となる。
  • 回避が出しづらい。
    • 回避は前面タッチスクリーンをフリックするというもので、とっさに出しづらい。そのため近接戦闘より余計離れたところから重力キック、もしくは重力グラブ&スローという戦法に偏りやすい。
  • カメラ操作
    • ボタンをフルに使うためある意味仕方ないことかも知れないが、カメラ操作が完全にマニュアル(攻撃は多少追尾してくれる)。
    • もともと重力操作で視点が変わりやすいので、戦闘中に敵を見失うと被弾率が格段に上がってしまう。
    • 敵であるネヴィは、雑魚であっても弱点であるコア以外への攻撃は一切無効。コアは背中にくっついていたり全身にいくつもあったりするので、カメラワークの影響でやや狙いづらい。
  • 比較的3D酔いし易い
    • 評価点である「重力操作による浮遊感や移動の爽快感」の裏返しでもあるが、縦横無尽の世界観と前述のカメラ操作が相まり、人によっては(他の3Dスクロールゲームと比べ)3D酔いしてしまい易いゲーム仕様となっている。

総評

細かな欠点はあるが、「重力」を使ったアクション性の高さと斬新かつ独特な操作感には、それらの点も霞んでしまうほどの気持ちよさがある。
この気持ちよさは実際に触れてみなければわからない部分もあるので、新しくVitaを買う予定のある方はぜひ体験して頂きたい。

余談

  • 2012年の日本ゲーム大賞を受賞した。
  • 記事冒頭にあるように「グラビティ デイズ」が正しい読みだが、「DAZE」と言う単語があまり一般的で無い事もあり「グラビティだぜ!」と読まれる事が少なからずある。