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RPGツクールDS+ - (2016/11/14 (月) 14:38:25) の編集履歴(バックアップ)


RPGツクールDS+

【あーるぴーじーつくーるでぃーえすぷらす】

ジャンル コンストラクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 256MbitDSカード
発売・開発元 エンターブレイン
発売日 2011年12月15日
定価 4,800円(税別)
判定 なし
ポイント 前作よりマシだがやはり低品質
容量不足の改善を実施とセーブデータ増加
素材の質はいいが何故かファンタジー要素削除
デバッグ不足な初歩的かつ致命傷なバグが多数
ニコ生でも非難轟々
ツクールシリーズリンク


概要

コンテストが好評だったのか、発売された『RPGツクールDS』まさかの続編。『RPGツクール VX Ace?』とともに展開・同時発売が行われた。
名前から分かる通り、細かい部分やバグを改善し、前作における最大の難点だった容量問題も改善されている。
ただのアップデート版というわけではなく、機能面はいろいろ大きく改良されており、素材の都合からも作れるゲームの種類は異なる。
前作は「容量とバグさえなければ…」と言われるくらいに、作りやすさとしては見所があったため、本作はその点を活かしていると言える。

しかし容量が改善された分、素材が妙な方向に偏ってしまったため、前作とは違う問題点も浮き彫りになってしまった。

大きな変更点

  • 保存できるゲームの企画データが2作品から4作品に増加。
    • 作品のやり取りを意識したのか、1作品のセーブデータも各3つまで保存できるようになった。
    • ソフトなしでプレイできるDPサイズはダウンロードプレイ機能が非対応になった事により廃止された。
  • 「ファンタジー」の代わりに、新素材として「現代」「SF」「時代劇」系の素材が追加された。
    • これらのマップを組み合わせて、「時代を移り行く展開」などが作れるようになった。
    • 顔グラフィックは4種類の表情が設定出来るようになった。
  • 演出面の強化
    • 台詞文字を大きく表示した時、下地が付けられるようになった。
    • 感情を表すエフェクトに種類が追加された。
    • アイテムを手に入れた時、アイテムの種類を示すアイコンをキャラの頭上に表示されるようになった。
  • 機能面の強化
    • イベント消費量の抑制をはじめとした全般的な容量消費量の調整、追加素材使用時の容量消費は別枠で管理されるようになった。
    • スイッチの数が200から500へと増加し、スイッチ毎に名前が付けられるようになった。
    • フィールドのサイズが3サイズに増えた。
    • 別マップ間のコピー&ペーストに対応した。
    • 選択肢が3択まで選択可能になった。
    • 敵に有効な状態異常や魔法の設定が可能となった。
    • エンディング後のクリアメッセージが設定可能となった。

問題点

  • ファンタジー素材の大幅な削除
    • 素材の幅自体は広がった代わりに、結果的に素材の総数が大幅に減少してしまう結果となってしまった。
      • 本作でピックアップされた3つの世界観を全て合わせればそれなりの素材量だが、時代ごと単体で見ると素材が非常に少ない。特にモブ用の素材が少ない。
      • また、メインとなるはずである現代ものの素材は特に少なく、町並みは同じようなパーツが多いために、プレイヤーが迷ってしまう原因となりがち。
    • マップやパーツも上の3つに合わせて変更されているが、前作にあったファンタジー以外でも流用できそうな異次元ダンジョンや氷系のダンジョンといったものが使えなくなっている。
    • 宝物庫や貯蔵庫でファンタジー素材をDLして使用する事は可能とはいえ、マップやパーツといったDL素材では対処できない部分もあり、ファンタジー系の製作難易度は上がってしまった。
      • 現在では『ツクール城+』のサービス終了によって追加素材のDLができなくなっておりファンタジー系RPGの制作難易度はさらに上がっている。
      • おまけにダウンロード用の容量分を嫌でも空けないといけないため、現在はその分の容量が無駄になってしまった。
  • キャラのパターンそのものが減少
    • いわゆる「萌え」に寄った仕様で、ブサイク系のキャラや濃い顔のキャラのグラフィックは、ツクール城でダウンロードしない限り幅が狭い。
    • しかもツクール城でダウンロード出来るキャラは表情が設定出来ないので、自由度にも問題がある。
      • 顔グラフィックのカラーが選択できないのもマイナスである。
  • BGMの総合的なクオリティ劣化
    • 前作で評価されていた良曲がいくつか削減され、代わりに微妙な新曲が追加されたと評価されることが多い。
    • しかもいくつかは『VX Ace』と共有流用作品で、仕方ないとはいえそれらは元曲から音質が劣化している。
  • 致命的なバグが目立つ
    • 本作のバグは前作のようにゲーム開発進行が難しくなるレベルのものは減少したが、代わりに回避不能なバグが目立つ他、「デバッグで洗い出せなかったのか」というレベルのものが多い。
    • 前作は仕様で苦しめられた感が強いが、本作はバグによって評価が下がっている点が大きい。
      • 特に「イベントで発生させた戦闘中に二重にアイテムを消費*1してしまう」は本作で有名かつ致命的なバグ。ちなみに公式側の回答は「仕様です」。
      • 滅多に起こらないだろうが、フィールド上のみで使える魔法を二種類習得しているキャラは、フィールド魔法を使用しMPが0になっても別の魔法が使えてしまう。こちらも仕様扱いで、2つ以上のフィールド魔法を覚えさせるなと対応。
      • イベントの「このページになる条件」の2つ目の項目に、257番以降のスイッチを設定すると、1~256番のスイッチとして処理される。1つ目の条件ならば問題なく機能するが、逆に言えばこのバグのため、スイッチを設定するなら1つ目の条件をメインに257番目以降のスイッチから潰さないといけない。
      • セーブから再開した際、ワープ移動魔法の移動先が追加されなくなる。
      • 前作より減少したが、未だにフリーズが起こることが多い。
  • DPサイズ版の廃止
    • ファンタジー素材廃止と並ぶ問題点の一つでこれによってゲームの配布の敷居が若干上がってしまった。
      • 親しい友人間なら直接NDSやソフトを渡してプレイしてもらうと言う手もあるが、このゲームの操作がわからずに適当にプレイしてバグに頻発に遭遇するのでプレイ時間の長いゲームだと最後までプレイしてもらうのは難しい。
    • ただ、DPサイズ版はダウンロードプレイに使える容量が厳しい、セーブできないといったゲーム制作上で解決しにくい問題も多く前作の評価を大きく下げた要因の1つであったため廃止もやむをえないという見方をする人もいる。
  • サンプルゲームが未収録状態
    • 今作のサンプルゲームは「ツクール城+」からダウンロードする形式となっている関係ではじめからサンプルゲームが収録されてない。
    • 現在「ツクール城+」がサービス終了となっているのでサンプルゲームのダウンロードは不可能となっている。

評価点

  • 前作において、本来ツールとしての売りだったであろう部分が比較的良い形で出ている。
    • 建物のマップチップを置けば中身も一緒に生成されるという仕様は自由度にこそ支障が出るが、作りやすさには貢献している。
    • 下地なども一発で選べるなどの仕様はそのままなため、製作効率の良さを体感出来る程度にはなっている。
  • 容量問題の大幅な解決。
    • 使用できる数値は前作並だが、消費量が大幅に減り追加素材の消費量は別枠で管理されるようになった。
    • 内容にもよるが体感的には前作の倍以上の規模の作品が作成できるようになり、「当然」と言われるレベルの改善点ではあるが、結果として上記と合わせて「携帯機でゲームが作れる」という本来の良さを体感しやすくなった。
  • 舞台を移り変える作品の作りやすさがシリーズの中でも随一
    • ファンタジー製作不可の代償として、こういった目まぐるしく舞台が変わる作品は作りやすくなった。
    • 公式で想定されているのはいわゆるタイムスリップや異世界ものである。
  • 素材自体の質は相変わらず悪くない。
    • 本作では表情が追加されたため、イベントにも色がつけやすくなった。前作でもあった感情を表すエフェクトにも箔が付いた。
    • イベント戦闘のバグ仕様から、RPGを諦めて「アドベンチャーゲームツクール」として利用されていることも多い。
    • 現代ものは素材が少ないとは言ったが、実は銃器などといった現代兵器アイコンに関しては増加している。

総評

本来の『ツクールDS』の良さを表した作品。ただ、やはりデバッグ不足をごまかすことは出来ず、新たな問題が表面化してしまう。
特にイベントにおけるアイテム二重消費はとてもプロの仕事とは思えない稚拙な仕様で、多くのプレイヤーの意思を削いだ。
ただ、前作で問題だった容量はほぼ気にならないレベルまで解決。ボリュームのある作品が作れるようになった。

本作もまた、「バグさえなければ携帯機のツクールとしては良作」だっただけに、製作スタッフのクオリティが向上しなかったことは常々惜しまれる。
とはいえ改善の糸口は見えたため、次に繋ぐ作品として考えれば悪くはなかった…のだが、本作は前作『RPGツクールDS』の悪評がたたって大きく値崩れを起こしてしまう。
前作及び本作において見られた手抜きやバグを始めとする不具合、そしてそれらに対するメーカーの不誠実な対応が多くのツクラーの失望を買い、信頼の回復には至らなかった。
結果として『コンシューマ版RPGツクール』というブランドに、目に見えてわかるほど致命的なダメージを与えてしまったのである。

余談

  • ニコニコ生放送では、『VX Ace』と合わせて販促番組が行われていた。『DS+』は声優の野水伊織が本作を使ってゲームを作るという内容だった。
    • ただ生放送と言いつつ、内容は収録だった。発売後はバグに対する不満のコメントが噴出したが、当然対応はされなかった。
  • 前作で好評だったWi-Fiを使ったコンテストも開催されていた。
    • DS毎による作品の公開位置の変更、作品評価の仕様の変更*2、簡易審査の廃止*3といった前作でのコンテストで問題だった点が変更されている。
    • 本番コンテスト開催前にコラボ作品の『超神ネイガー』を題材としたコンテストが開催された、開催期間が短い上にネイガーやネイガーの発祥地である秋田県の要素をうまく融合させることも審査対象になることから非常に難易度が高いコンテストであったが、最終的に45作品が公開された。そのうち3作品が入賞している。
    • 本番コンテストは、全786作品が公開され、2012年9月3日でDL公開は終了、合計10作品が入賞している。
      • DL公開期間中は好評だったコンテストだが「ネイガー限定コンテストの受賞作品が同居している」「簡易審査の廃止が原因で、明らかな未完成作品や修正版前作品が放置されている」といった問題点もあった。
      • またコンテストのルールにDS1台につき1作品しか投稿できないという制限があるにもかかわらず、本番コンテストで1人2作品投稿して両方入賞した作品*4があり一部のツクラーから「審査が公平でないのでは」という声もあった。
    • 次回以降のコンテストは未定となっているが、『Wi-Fiコネクション』のサービス終了によりDS版を使ったコンテスト開催は無くなったとみていいだろう。
  • なお2013年6月30日の「ツクール城(キャッスル)+」サービス終了、2014年5月20日のWi-Fiコネクションサービス終了により、現在はWi-Fi通信を使った作品の送受信、コラボ素材といった追加素材、サンプルゲームやコンテスト受賞作品のDLはできなくなっている。
  • 後に『VX Ace』用の素材集として本作の素材がSteam及びDEGICAツクールストアにて販売されている。