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ICEY - (2020/03/30 (月) 16:31:57) の編集履歴(バックアップ)


ICEY

【あいしー】

ジャンル アクション
対応機種 Windows 7/8/10
OS X Lion 10.7
Nintendo Switch
プレイステーション4
発売元 X.D. Network(心动网络)
開発元 FantaBlade Network(幻刃网络)
発売日 【Steam】2016年11月17日
【Switch】2018年5月31日
定価 【Steam】1,180円(税込)
【Switch】1,000円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
レーティング  CERO:A(全年齢対象)
備考 ダウンロード専売
PS4版は日本未発売
iOS・Androidでも配信
判定 良作
バカゲー
ポイント ナレーションがメインディッシュのフル"メタる"アクション
1000円とは思えぬ作り込み
「崖から飛び降りるのが目的のゲームなんて聞いたことあるか!?」


概要

中国のゲーム会社が開発・発売した2Dアクションゲーム。
女性型アンドロイド「ICEY」が襲い掛かる敵マシンを破壊しながら、「ユダ」に支配された世界を救いに行くというシナリオ。
作りはオーソドックスな2D横スクロールアクションゲームとなっており、素早いアクションと刀状の武器で敵をスタイリッシュに切り捨てていくのが特徴。

メタ視点のナレーションが笑いを誘う、第四の壁をぶち壊せ

『ICEY』は横スクロール型2Dアクションゲームだ。君はナビゲーターの指示に従い、ICEYの目を通してこのゲームの世界の真相を解き明かさなくてはならない。

しかし、その真相は――『ICEY』は横スクロール型2Dアクションゲームではないかもしれないし、君はICEYの目を通して世界を見ることも、世界の真実を解き明かすこともないかもしれない。

『ICEY』の本質はメタ要素にこそある。プレイヤーはナビゲーターの指示に抗い、「ゲームとは」「真相とは」といった命題と向き合うことになる。『ICEY』の中で、君が演じるのはICEYであり「君自身」ではない。

しかしそれすらも絶対ではなく、君は「君自身」を演じ、「君自身」としてICEYを操作することもできる。

そう、これはアクションゲームの皮をかぶった罠なのだ。

さあ、今こそ物語の真相を解き明かす時だ。

ICEY,I SEE。

(ダウンロードページより引用)

システム

  • 基本的には道中に現れる敵を倒しながら先へと進み、最終的にラスボスであるユダの討伐を目指すのがこのゲームの目的となる。
    また、本作はステージを進めていくに従ってナビゲーター(CV:下野紘)によるナレーションが入るようになっており、後述する評価点に記載している内容により、ゲームプレイに作業感を感じにくくなっている。
  • 弱・強攻撃とジャンプ、ダッシュなどを備えた横スクロールアクションとなっており、道中のセーブ地点を調べる事で技の新規習得と強化が可能になっている。
    • どの技も最初はLv1又はLv0(未収得)となっており、敵を倒したりして獲得したお金を使ってLv3まで強化することが出来る。HPやバリアゲージの強化も可能。
    • また、弱攻撃は移動上と共に入力すると空中攻撃に移行する切り上げが行える、ダッシュは全方向に入力可能である等、ステージ内を縦横無尽に駆け回ることが可能となっている。
  • ICEYはバリアを纏っており、バリアゲージが尽きない限り仰け反らず、受けるダメージも少なくなる。
    ただし、バリアは一部の攻撃を受けると即ゲージが0になってしまう。
    また、敵の攻撃に合わせてダッシュすれば攻撃を回避することが出来、成功するとスロー演出がかかる。また、場合によっては追加入力で反撃を食らわせる事も可能。
    • 減少したバリアゲージやHPは、敵を追い詰めた際に頭上に表示されるボタンを入力してトドメを刺す「コア攻撃」を行うことで回復できる。この回復量も勿論強化可能。
    • また、この方法でトドメを刺した際に出現する結晶は弱攻撃ボタン長押しで画面内全体攻撃に使用することが出来、結晶の数が多くなるほど威力が上がる。
  • また、PS4のトロフィーに当たる「実績」も用意されており、その内容が下記の評価点にも繋がっている。

評価点

  • ナビゲーター(CV:下野紘)の存在
    • 本作をバカゲーたらしめる根幹の要素であり最大の評価点。
      ゲーム中ではチュートリアルが終わると指示を出してくるようになるのだが、ダウンロードページの概要にも書かれている通り、 本作はナビゲーターの指示とは異なる行動を取った際の反応を楽しむのが醍醐味となっている。
      • 例えば「ICEYは崖の端にある制御装置を起動して橋を架けた」というナレーションが入るシーンで橋を架けずに崖に落ち続けると、三回目で「君は何を考えているんだ!? ストップ、ストーップ!!」と静止が入り、 「そもそも君は、これがアクションゲームだと言うことを分かっているのか!?」というメタ発言が飛び出し、第四の壁を越えてプレイヤーを長々と諭した上で再度制御装置を起動するように促してくる。
        しかし、それも無視してもう一度落ちるといよいよ ゲームのステージを改変した上で宝箱まで用意してナレーションに従わせようとしてくる*1
        ……と、 こんな要素が全てのステージどころか、チュートリアル直後のモノローグの時点から散りばめられており、ナビゲーターの発狂シーンやキレ芸シーンだけ切り取っても一時間近いボリュームがある。終始妥協の無い下野氏の演技は、とても1000円の格安ゲームとは思えない程。
        ナビゲーターの指示が前フリにしか聞こえなくなってきたら、いよいよあなたは立派なICEYプレイヤーです。 ICEYの世界へようこそ。
      • また、仮に「指示に反した行動」が分からないとしても、メニューの「実績」の項目を見ればその内容が一目瞭然になる親切設計。 そしてナビゲーターのはっちゃけぶりもどんどん悪化加速していく。
    • 下野氏の声が分からないという人のために補足しておくと、『バカとテストと召喚獣』の吉井明久、『SKET DANCE』の椿佐介、『進撃の巨人』のコニー・スプリンガー、『鬼滅の刃』の我妻善逸など、「少し鼻が詰まったような少年声と はっちゃけ具合 」に定評のある声優である。
  • 1000円という価格の安さ
    • 上記のナビゲーターの件もそうだが、本作は2Dアクションゲームとしてもかなり作り込まれており、1000円以上の価値は十分にあると言える。

難点

  • 一部の翻訳が不自然
    • 海外制作のインディーゲーム*2である点と本作の値段を考慮するとある程度は仕方のない事だが、本作は下野氏のナレーションが自然な日本語になっているため、チュートリアルやメニュー画面でのややおかしな日本語がかえって目立ってしまっている。
  • 極一部、取り逃がすとそのデータ中二度と解放できなくなる実績がある。
    • 何度もやり直したくなるゲームではあるのであまり目立たないが、気になる人は気になってしまう。
  • ボス戦のテンポがやや悪い
    • 基本的にシールドをすぐに破壊してくるため、お供の雑魚の被弾が増える上、敵によっては掴み技による拘束時間が存在するのが原因。
      回避すれば改善可能だが、肝心の攻撃前の予兆モーションが短く、それを初心者が見切るのは至難の技。
      この予兆モーションは難易度によってタメ時間が変わる措置が存在しないのも、この点に拍車をかけている。
  • UI関連
    • チュートリアルの操作説明が時間経過で消えてしまうのだが、上述の不自然な翻訳のせいで読みづらく、読み切る前に表示が消えてしまうものもある始末で、作中での再確認も不可能。
      Switchなら即座にスクショ撮影出来るのが救いか。
    • PC版とSwitch版で一部UIが異なる。
      代表的なものとして、攻撃ダメージ表記の有無が挙げられる。気にならないと言われればそれまでだが。
  • エンディング
    • 本作は真EDで初めて降幡愛氏によるICEYのボイスを聞くことが出来るのだが、このボイスは一つのデータにつき一度しか再生されないため、再度聞くためにはデータを消して一からやり直さなければならない。

総評

横スクロールアクションとして十分な完成度を誇っているが、それがナビゲーターという大量のお遊び要素によって唯一無二の存在感を放っている事は間違いない。
幾つか気になる点もあるものの、プレイ後の満足感は明らかに価格以上で、バグや不具合の類も演出を除いて一切存在しない逸品である。
下野紘氏のファンであったり、アクションゲームやメタ的なネタが苦手でないのなら、是非プレイして頂きたい。

余談

  • 東京ゲームショウ2016でベストインディーゲームのノミネートを獲得しており、PC版の高評価*3を受けて他機種でも続々と発売される流れとなった。
  • 尚、日本語音声は当初は実装されておらず、Switch版で追加されたのを境に他機種版でも続々と実装されるに至ったという経緯がある。
  • 主人公が女性型アンドロイドという設定や、一部の演出から『NieR:Automata』を連想するかもしれないが、本作は2006年から10年かけて開発されており、発売されたのも本作の方が先である。
  • ちなみに、iOS・Android版は僅か 300円台 で購入可能。
    ……最早恐ろしさすら感じる安さである。